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特開2023-114199漢字学習支援システム、漢字学習支援装置、漢字学習支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114199
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】漢字学習支援システム、漢字学習支援装置、漢字学習支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/00 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
G09B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016420
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(74)【代理人】
【識別番号】100223985
【弁理士】
【氏名又は名称】原 美貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】魏 建寧
(72)【発明者】
【氏名】西本 一志
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028AA02
2C028BA01
2C028BA02
2C028BB01
2C028BC01
2C028BD01
(57)【要約】
【課題】少ない負担で漢字の既習得者の学び直しが可能となる手段を提供する。
【解決手段】誤字形漢字生成部110は、合体字形漢字の誤字として第1部分字と第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成する。誤字含有文生成部130は、合体字形漢字の誤字として誤字形漢字を含む誤字含有文を示す誤字含有文情報を生成する。誤字含有文出力部140は、誤字含有文情報を出力する。誤字含有文取得部210は、誤字含有文情報を取得する。誤字含有文表示部220は、誤字含有文を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漢字の学習を支援する漢字学習支援システムであって、
サーバ装置と、
前記サーバ装置と情報を送受信可能なクライアント装置とを備え、
前記サーバ装置は、
第1部分字が第1位置に配置され且つ第2部分字が第2位置に配置されて合体した字形の漢字である合体字形漢字の誤字であって前記第1部分字と前記第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤った字形の漢字である誤字形漢字を示す情報である誤字形漢字情報を生成する誤字形漢字生成部と、
前記合体字形漢字の誤字として前記誤字形漢字を含む文である誤字含有文を示す情報である誤字含有文情報を生成する誤字含有文生成部と、
前記誤字含有文情報を前記クライアント装置に出力する誤字含有文出力部と、
を含み、
前記クライアント装置は、
前記サーバ装置から前記誤字含有文情報を取得する誤字含有文取得部と、
前記誤字含有文を表示する誤字含有文表示部と、
を含む、
漢字学習支援システム。
【請求項2】
前記誤字形漢字生成部は、前記第1部分字が前記第2位置に配置され且つ前記第2部分字が前記第1位置に配置されて合体した誤った字形の漢字を示す前記誤字形漢字情報を生成する、
請求項1に記載の漢字学習支援システム。
【請求項3】
前記合体字形漢字は、意符の部分字と音符の部分字とを含む形声字であり、
前記第1部分字は、前記意符の部分字と前記音符の部分字とのうちの何れか一方の部分字であり、
前記第2部分字は、前記意符の部分字と前記音符の部分字とのうちの何れか他方の部分字である、
請求項1又は2に記載の漢字学習支援システム。
【請求項4】
前記誤字含有文表示部は、ユーザによる操作に基づいて前記誤字形漢字が目立つように前記誤字含有文の表示態様を変更可能である、
請求項1~3の何れか一項に記載の漢字学習支援システム。
【請求項5】
前記クライアント装置は、
表示された前記誤字含有文を読むユーザの視線を検出する視線検出部と、
前記ユーザの視線に基づいて前記ユーザが前記誤字形漢字を前記合体字形漢字の誤字として認識したか否かを判定する誤字認識判定部と、
前記誤字認識判定部の判定結果を示す情報を表示する判定結果表示部と、
を更に含む、
請求項1~4の何れか一項に記載の漢字学習支援システム。
【請求項6】
漢字の学習を支援する漢字学習支援装置であって、
第1部分字が第1位置に配置され且つ第2部分字が第2位置に配置されて合体した字形の漢字である合体字形漢字の誤字であって前記第1部分字と前記第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤った字形の漢字である誤字形漢字を前記合体字形漢字の誤字として含む文である誤字含有文を示す情報である誤字含有文情報を生成する誤字含有文生成部と、
前記誤字含有文情報を出力する誤字含有文出力部とを備える、
漢字学習支援装置。
【請求項7】
漢字の学習を支援する漢字学習支援方法であって、
コンピュータが、第1部分字が第1位置に配置され且つ第2部分字が第2位置に配置されて合体した字形の漢字である合体字形漢字の誤字であって前記第1部分字と前記第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤った字形の漢字である誤字形漢字を前記合体字形漢字の誤字として含む文である誤字含有文を生成する誤字含有文生成ステップと、
前記コンピュータが、前記誤字含有文を出力する誤字含有文出力ステップと、
を含む漢字学習支援方法。
【請求項8】
コンピュータを、
第1部分字が第1位置に配置され且つ第2部分字が第2位置に配置されて合体した字形の漢字である合体字形漢字の誤字であって前記第1部分字と前記第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤った字形の漢字である誤字形漢字を前記合体字形漢字の誤字として含む文である誤字含有文を示す情報である誤字含有文情報を生成する誤字含有文生成部、
前記誤字含有文情報を出力する誤字含有文出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢字学習支援システム、漢字学習支援装置、漢字学習支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、漢字の学習に用いられる装置が知られている。特許文献1には、ユーザによって入力された漢字の字形・画数・書き順の正否や送り仮名の正否を判定する漢字学習装置が開示されている。また、特許文献2には、漢字を筆順毎に色分けして表示する漢字学習用コンピュータが開示されている。また、特許文献3には、「さんずいへん」と「水」のような同一の意味であっても配置によって字形の異なる部分字形を区別せずに部分字形の組合せによって作成した漢字を均衡のとれた正しいパターンで表示する漢字学習装置が開示されている。また、特許文献4には、表示された漢字の意符にユーザがタッチすると音符が同一で異なる意符の別の正しい漢字を表示するとともに、表示された漢字の音符にユーザがタッチすると意符が同一で異なる音符の別の正しい漢字を表示する漢字学習支援装置が開示されている。
【0003】
また、非特許文献1には、ユーザが漢字入力をしたときに一部の漢字を誤った字形の漢字に差し替えて表示するコンピュータ装置が開示されている。非特許文献1における誤った字形の漢字は、正しい字形の漢字よりも画数が1画以上多い又は1画以上少ない文字である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6963302号公報
【特許文献2】特開2004-133404号公報
【特許文献3】特開昭61-261767号公報
【特許文献4】特開2015-222334号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】西本一志、魏建寧、「漢字形状記憶の損失を防ぐ漢字入力方式」、情報処理学会論文誌、2016年4月15日発行、p.1207~1216
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~4に記載された装置では、正しい漢字を表示するため、漢字の初学者が習得していない漢字を学ぶには適している一方、漢字の既習得者には退屈であるため学び直しには適していない問題がある。これに対して、非特許文献1に記載された装置では、漢字の既習得者の漢字の字形の記憶の修正・強化を支援できる。しかしながら、非特許文献1に記載された装置では、表示される誤った字形の漢字が正しい字形の漢字よりも画数が1画以上多い又は1画以上少ない文字であるため、既習得者であっても誤った字形の漢字が表示されても画数の増減が少なければ正しい字形の漢字との違いを認識し難く、誤った字形の漢字を見逃してしまう虞がある。したがって、非特許文献1に記載された装置では、漢字の既習得者は、誤った字形の漢字を見つけるために高い集中力を発揮する必要があり、漢字の学び直しのための負担が大きくなる問題がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、少ない負担で漢字の既習得者の学び直しが可能となる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る漢字学習支援システムは、
漢字の学習を支援する漢字学習支援システムであって、
サーバ装置と、
前記サーバ装置と情報を送受信可能なクライアント装置とを備え、
前記サーバ装置は、
第1部分字が第1位置に配置され且つ第2部分字が第2位置に配置されて合体した字形の漢字である合体字形漢字の誤字であって前記第1部分字と前記第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤った字形の漢字である誤字形漢字を示す情報である誤字形漢字情報を生成する誤字形漢字生成部と、
前記合体字形漢字の誤字として前記誤字形漢字を含む文である誤字含有文を示す情報である誤字含有文情報を生成する誤字含有文生成部と、
前記誤字含有文情報を前記クライアント装置に出力する誤字含有文出力部と、
を含み、
前記クライアント装置は、
前記サーバ装置から前記誤字含有文情報を取得する誤字含有文取得部と、
前記誤字含有文を表示する誤字含有文表示部と、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クライアント装置が合体字形漢字の誤字として誤字形漢字を含む誤字含有文を表示しない漢字学習用文書生成システムよりも少ない負担で漢字の既習得者の学び直しが可能となる手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る漢字学習支援システムの機能構成を示す図
図2】実施の形態1に係る各装置のハードウェア構成を示すブロック図
図3】実施の形態1に係る誤字形漢字の表示例を示す図
図4】実施の形態1に係る誤字含有文の表示例を示す図
図5】実施の形態1に係る判定結果情報の表示例を示す図
図6】実施の形態1に係る誤字含有文生成処理のフローチャート
図7】実施の形態1に係る誤字認識判定処理のフローチャート
図8】予備実験におけるテスト問題の一部の表示例を示す図
図9】予備実験におけるテストの成績の人数分布の説明図
図10】予備実験におけるテストの成績の説明図
図11】実験例1及び比較例1、2の各文章の一部の表示例を示す図
図12】本実験における理解度チェックリストの表示例を示す図
図13】本実験におけるアンケート調査の表示例を示す図
図14】本実験におけるテストの成績の変化の説明図
図15】本実験における各文章を読むための所要時間の説明図
図16】本実験における理解度チェックテストの成績の説明図
図17】本実験におけるアンケート調査の質問3の回答の説明図
図18】本実験におけるアンケート調査の質問4の回答の説明図
図19】本実験におけるアンケート調査の質問5の回答の説明図
図20】実施の形態2に係る漢字学習支援装置の機能構成を示す図
図21】変更例に係る誤字形漢字の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態に係る漢字学習支援システム、漢字学習支援装置、漢字学習支援方法及びプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同じ符号を付す。
【0012】
[実施の形態1]
(実施の形態1に係る漢字学習支援システム1について)
本発明の実施の形態1に係る漢字学習支援システム1は、ユーザの漢字の学習を支援するシステムであり、特に漢字の既習得者の漢字の再学習の支援に有用なシステムである。図1に示すように、漢字学習支援システム1は、サーバ装置100、クライアント装置200を備える。サーバ装置100とクライアント装置200とは、図示しない通信ネットワークの一例としてのインターネットによって情報の送受信が可能である。
【0013】
サーバ装置100は、例えば、サーバコンピュータ、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータといったコンピュータ装置である。サーバ装置100は、誤った字形の漢字である誤字形漢字を示す情報である誤字形漢字情報を生成する誤字形漢字生成部110、誤字形漢字情報を記憶する誤字形漢字記憶部120を含む。また、サーバ装置100は、誤字形漢字を含む文である誤字含有文を示す情報である誤字含有文情報を生成する誤字含有文生成部130、誤字含有文情報を出力する誤字含有文出力部140を含む。
【0014】
クライアント装置200は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末といったコンピュータ装置である。クライアント装置200は、撮像部材の一例としてのカメラ201を備える。また、クライアント装置200は、誤字含有文情報を取得する誤字含有文取得部210、誤字含有文を表示する誤字含有文表示部220を含む。また、クライアント装置200は、ユーザの視線を検出する視線検出部230、ユーザが誤字を認識したか否かを判定する誤字認識判定部240、判定結果を示す情報である判定結果情報を表示する判定結果表示部250を含む。
【0015】
漢字学習支援システム1では、サーバ装置100は、誤字形漢字情報から誤字含有文情報を生成してクライアント装置200に出力し、クライアント装置200は、取得した誤字含有文情報が示す誤字含有文を表示する。このようにすることで、クライアント装置200のユーザは、表示された誤字含有文を読んで誤字形漢字に気付いたときに、正しい字形の漢字を認識することで当該漢字の再学習を行うことができる。
【0016】
なお、本願における「文」とは、思想、感情等を言葉で表現する際の一区切りの纏まりがある内容を有する最小の単位の文字列であり、例えば、最初の文字から句点(「。」)までの一続きの纏まりで一語以上の語から構成される漢字を含む文字列である。よって、例えば、複数の文を連ねて思想・感情などを表現したひとまとまりのものである「文章」に含まれる各文も本願における「文」に含まれる。また、例えば、文や文章で書き記したものである「文書」に含まれる文も本願における「文」に含まれる。
【0017】
(実施の形態1に係るサーバ装置100のハードウェア構成について)
図2に示すように、サーバ装置100は、制御プログラム59に従って処理を実行する制御部51を備える。制御部51は、CPU(Central Processing Unit)を備える。制御部51は、制御プログラム59に従って、図1に示す、誤字形漢字生成部110、誤字含有文生成部130として機能する。
【0018】
図2に戻り、サーバ装置100は、制御プログラム59をロードし、制御部51の作業領域として用いられる主記憶部52を備える。主記憶部52は、RAM(Random Access Memory)を備える。
【0019】
また、サーバ装置100は、制御プログラム59を予め記憶する外部記憶部53を備える。外部記憶部53は、制御部51の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部51に供給し、制御部51から供給されたデータを記憶する。外部記憶部53は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを備える。外部記憶部53は、図1に示す誤字形漢字記憶部120として機能する。
【0020】
また、サーバ装置100は、ユーザに操作される操作部54を備える。操作部54を介して、入力された情報が制御部51に供給される。操作部54は、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力部品を備える。
【0021】
また、サーバ装置100は、操作部54を介して入力された情報及び制御部51が出力した情報を表示する表示部55を備える。表示部55は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を備える。表示部55は、例えば、図1に示す誤字含有文出力部140として機能する。
【0022】
図2に戻り、サーバ装置100は、情報を送受信する送受信部56を備える。送受信部56は、ネットワークに接続する通信網終端装置、無線通信装置等の情報通信部品を備える。送受信部56は、例えば、図1に示す誤字含有文出力部140として機能する。
【0023】
また、サーバ装置100では、主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56は何れも内部バス50を介して制御部51に接続されている。
【0024】
サーバ装置100は、制御部51が主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56を資源として用いることによって、図1に示す上記の各部110~140の機能を実現する。例えば、サーバ装置100は、誤字形漢字生成部110が行う誤字形漢字生成ステップ、誤字形漢字記憶部120が行う誤字形漢字記憶ステップを実行する。また、例えば、サーバ装置100は、誤字含有文生成部130が行う誤字含有文生成ステップ、誤字含有文出力部140が行う誤字含有文出力ステップを実行する。
【0025】
(実施の形態1に係るクライアント装置200のハードウェア構成について)
また、クライアント装置200もサーバ装置100と同様に、内部バス50で接続された制御部51、主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56を備える。クライアント装置200では、制御部51は、制御プログラム59に従って、図1に示す、視線検出部230、誤字認識判定部240として機能する。また、表示部55は、誤字含有文表示部220、判定結果表示部250として機能する。また、送受信部56は、誤字含有文取得部210として機能する。
【0026】
クライアント装置200は、制御部51が主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56を資源として用いることによって、図1に示す上記の各部210~250の機能を実現する。例えば、クライアント装置200は、誤字含有文取得部210が行う誤字含有文取得ステップ、誤字含有文表示部220が行う誤字含有文表示ステップを実行する。また、例えば、クライアント装置200は、視線検出部230が行う視線検出ステップ、誤字認識判定部240が行う誤字認識判定ステップ、判定結果表示部250が行う判定結果表示ステップを実行する。
【0027】
(実施の形態1に係るサーバ装置100の機能構成の詳細について)
図1に戻り、誤字形漢字生成部110は、誤字形漢字情報として第1部分字が第1位置に配置され且つ第2部分字が第2位置に配置されて合体した字形の漢字である合体字形漢字の誤字である誤字形漢字を示す情報を生成する。誤字形漢字生成部110は、誤字形漢字情報として第1部分字が第2位置に配置され且つ第2部分字が第1位置に配置されて合体した誤った字形の漢字を示す情報を生成する。
【0028】
ここで、正しい字形の合体字形漢字として、例えば、形声字(形声文字、Phonogram Characters)の一例としての「蟀」について考える。形声字である「蟀」は、第1部分字の一例であって意符(Semantic Radicals)の部分字の一例としての「虫」が左側の位置に配置され、第2部分字の一例であって音符(Phonetic Radicals)の部分字の一例としての「率」が右側の位置に配置されている。この場合、誤字形漢字生成部110は、例えば、図3に示すように、「蟀」の誤字形漢字情報として「虫」が右側の位置に配置され且つ「率」が左側の位置に配置されて合体した誤った字形の漢字を示す情報を生成する。
【0029】
図1に戻り、誤字形漢字記憶部120は、誤字形漢字生成部110が生成した誤字形漢字情報を記憶する。例えば、誤字形漢字記憶部120は、上述した「蟀」の誤字形漢字情報を記憶する。
【0030】
誤字含有文生成部130は、誤字含有文情報として誤字形漢字記憶部120が記憶している誤字形漢字を含む文を示す情報を生成する。まず、誤字含有文生成部130は、サーバ装置100において正しい文を示す情報が生成された後、又は、サーバ装置100とは異なる装置から正しい文を示す情報を取得した後、誤字形漢字記憶部120を参照する。そして、誤字含有文生成部130は、正しい文に含まれる正しい字形の漢字の誤字形漢字を誤字形漢字記憶部120が記憶していれば、正しい字形の漢字を誤字形漢字に置き換えることで、誤字含有文情報を生成する。例えば、誤字含有文生成部130は、図4に示すように、誤字含有文情報として正しい文である「(…前略…)蟋蟀が鳴いている。」のうちの「蟀」と上述した「蟀」の誤字形漢字とを置き換えた文を示す情報を生成する。
【0031】
図1に戻り、誤字含有文出力部140は、誤字含有文生成部130が生成した誤字含有文情報をクライアント装置200に送信することで、誤字含有文情報を出力する。例えば、誤字含有文出力部140は、上述した「(…前略…)蟋蟀が鳴いている。」のうちの「蟀」を誤字形漢字に置き換えた文を示す誤字含有文情報をクライアント装置200に送信する。
【0032】
(実施の形態1に係るクライアント装置200の機能構成の詳細について)
誤字含有文取得部210は、サーバ装置100から誤字含有文情報を受信することで、誤字含有文情報を取得する。
誤字含有文表示部220は、誤字含有文情報が示す誤字含有文を表示部55に表示する。なお、誤字含有文表示部220は、図示しないプリンタを用いて誤字含有文情報が示す誤字含有文を紙媒体に印刷することで当該誤字含有文を表示してもよい。
【0033】
また、誤字含有文表示部220は、ユーザが操作部54を用いて誤字形漢字を確認する操作を行ったとき、誤字形漢字が目立つように表示部55における誤字含有文の表示態様を変更する。例えば、誤字含有文表示部220は、誤字含有文を黒色で表示部55に表示し、ユーザが操作部54を用いて誤字形漢字を確認する操作を行ったときに誤字形漢字の表示色のみを黒色から赤色に変更したり、黒色と赤色との変更を繰り返したりしてもよい。また、例えば、誤字含有文表示部220は、誤字含有文を表示部55に表示し、ユーザが操作部54を用いて誤字形漢字を確認する操作を行ったときに誤字形漢字のみを四角形状の枠画像で囲んで表示してもよい。
【0034】
視線検出部230は、カメラ201によって撮像された映像を画像処理することで、表示部55に表示された誤字含有文を読むユーザの視線を検出する。なお、カメラ201で撮像した画像に基づいてユーザの視線を検出する構成は、例えば、特許第6969654号公報、特開2021-193482号公報に記載されている公知の技術を用いることで実現可能である。
【0035】
誤字認識判定部240は、視線検出部230が検出しているユーザの視線に基づいて、ユーザが誤字形漢字を合体字形漢字の誤字として認識したか否かを判定する。例えば、誤字認識判定部240は、ユーザの視線が誤字形漢字で停止した期間が予め定めた閾値を超えたとき、ユーザが誤字形漢字を合体字形漢字の誤字として認識したと判定する。また、誤字認識判定部240は、誤字含有文に複数の誤字形漢字が含まれている場合、ユーザが認識した誤字形漢字の個数に基づく認識率を特定する。例えば、誤字認識判定部240は、誤字含有文に含まれる誤字形漢字の総数をM、予め設けたカウンタでカウントした誤字形漢字を認識した個数をnとしたとき、n/Mを算出することで認識率を特定してもよい。
【0036】
判定結果表示部250は、ユーザが操作部54を用いて誤字形漢字を確認する操作を行ったとき、判定結果情報として誤字認識判定部240が特定した認識率に基づく情報を表示部55に表示する。例えば、判定結果表示部250は、図5に示すように、「<判定結果> 誤字認識率は○○%です。」との文字画像を表示部55に表示することで、判定結果情報を表示する。
【0037】
(実施の形態1に係る誤字含有文生成処理について)
次に、サーバ装置100が誤字含有文情報を生成、出力する動作について詳細に説明する。なお、サーバ装置100が誤字形漢字情報を生成、記憶する動作については、誤字形漢字生成部110が合体字形漢字の誤字として各部分字の位置が置き換えられて合体した誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成し、誤字形漢字記憶部120が誤字形漢字情報を記憶するだけである。よって、冗長な説明を省略するため、詳細な説明については省略する。
【0038】
サーバ装置100は、例えば、ユーザが操作部54を用いて正しい文を示す情報を生成又は取得した後に誤字含有文を生成する旨の操作をしたとき、図6に示す誤字含有文生成処理の実行を開始する。先ず、誤字含有文生成部130は、正しい文に含まれる正しい字形の漢字を順番に選択し(ステップS101)、誤字形漢字記憶部120を参照して選択した漢字の誤字形漢字が記憶されているか否かを判定する(ステップS102)。誤字含有文生成部130は、選択した漢字の誤字形漢字が記憶されている場合(ステップS102;Y)、選択した漢字を誤字形漢字に置き換え(ステップS103)、全ての漢字が選択されたか否かを判定する(ステップS104)。
【0039】
一方、誤字含有文生成部130は、選択した漢字の誤字形漢字が記憶されていない場合(ステップS102;N)、全ての漢字が選択されたか否かを判定する(ステップS104)。誤字含有文生成部130は、全ての漢字が選択されていない場合(ステップS104;N)、全ての漢字が選択されるまでステップS101~S104の処理を繰り返す。そして、誤字含有文生成部130は、全ての漢字が選択された場合(ステップS104;Y)、正しい文に含まれる正しい字形の漢字が誤字形漢字に置き換えられた誤字含有文を示す誤字含有文情報をクライアント装置200に出力し(ステップS105)、処理を終了する。
【0040】
(実施の形態1に係る誤字認識判定処理について)
次に、クライアント装置200が誤字を認識したか否かを判定する動作について詳細に説明する。なお、クライアント装置200が誤字含有文情報を取得、表示する動作については、誤字含有文表示部220が誤字含有文を表示するだけである。よって、冗長な説明を省略するため、詳細な説明については省略する。
【0041】
クライアント装置200は、例えば、ユーザが操作部54を用いて誤字含有文を表示する旨の操作をしたとき、図7に示す誤字認識判定処理の実行を開始する。先ず、誤字認識判定部240は、カウンタに0をセットし(ステップS201)、視線検出部230にカメラ201によるユーザの視線を検出する処理を開始させ(ステップS202)、ユーザの視線が誤字形漢字で停止したか否かを判定する(ステップS203)。
【0042】
誤字認識判定部240は、ユーザの視線が誤字形漢字で停止した場合(ステップS203;Y)、停止した時間が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS204)。誤字認識判定部240は、停止した時間が閾値を超えた場合(ステップS204;Y)、既にカウント済の誤字形漢字であるか否かを判定する(ステップS205)。誤字認識判定部240は、カウント済の誤字形漢字でない場合(ステップS205;N)、カウンタの値に+1を加算し(ステップS206)、ユーザが操作部54を用いて誤字形漢字を確認する操作を行ったか否かを判定する(ステップS207)。一方、誤字認識判定部240は、ユーザの視線が誤字形漢字で停止していない場合(ステップS203;N)、又は、停止しても停止した時間が閾値を超えない場合(ステップS204;N)、又は、誤字を認識したと判定しても既にカウント済の誤字形漢字である場合(ステップS205;Y)、ユーザが操作部54を用いて誤字形漢字を確認する操作を行ったか否かを判定する(ステップS207)。
【0043】
ユーザが誤字形漢字を確認する操作を行っていない場合(ステップS207;N)、当該操作を行うまでステップS203~207の処理を繰り返す。一方、ユーザが誤字形漢字を確認する操作を行った場合(ステップS207;Y)、誤字含有文表示部220は、誤字形漢字が目立つように表示部55における誤字含有文の表示態様を変更する(ステップS208)。次に、誤字認識判定部240は、誤字含有文に含まれる誤字形漢字の総数M、カウンタの値、すなわち、誤字形漢字を認識した個数nからn/Mを算出することで誤字形漢字の認識率を特定する(ステップS209)。そして、判定結果表示部250は、認識率に基づく判定結果情報を表示部55に表示し(ステップS210)、処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1によれば、サーバ装置100では、誤字形漢字生成部110は、合体字形漢字の誤字として第1部分字と第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成する。また、誤字含有文生成部130は、合体字形漢字の誤字として誤字形漢字を含む誤字含有文を示す誤字含有文情報を生成し、誤字含有文出力部140は、誤字含有文情報を前記クライアント装置200に出力する。そして、クライアント装置200では、誤字含有文取得部210は、サーバ装置100から誤字含有文情報を取得し、誤字含有文表示部220は、誤字含有文を表示する。
【0045】
このようにすることで、クライアント装置200のユーザは、表示された誤字含有文を読んで誤字形漢字に気付いたときに、正しい字形の漢字を認識することで当該漢字の学習を行うことができる。
【0046】
ここで、近年、漢字を使用している日本、中国といったアジアの国において、漢字の既習得者が漢字を読むことができるが書くことができない所謂「漢字健忘」が社会問題となっている。漢字健忘の問題は、これらの国の人々がパーソナルコンピュータ、スマートフォンといったコンピュータ装置で採用されている漢字の読み方を入力すれば当該漢字に自動的に変換される方式の漢字入力ソフトウェアを日常的に利用していることが原因であると一般的に認識されている。しかしながら、漢字入力ソフトウェアの利用を禁止することは現実的ではなく、漢字健忘の問題を解決したり軽減したりすることができる対策が求められている。
【0047】
このため、漢字健忘の問題の対策として、本願の発明者らは、上述した非特許文献1に記載された装置を提案していた。しかしながら、非特許文献1に記載された装置では、上述したように、表示される誤字形漢字が正しい字形の漢字よりも画数が1画以上多い又は1画以上少ない文字であるため、既習得者であっても正しい字形の漢字からの画数の増減が少なければ誤字形漢字を見逃してしまう虞がある。このため、非特許文献1に記載された装置が表示する誤字含有文は、正しい文との違いが殆どなく、一目で見分けることができない可能性が高い。よって、非特許文献1に記載された装置が表示する誤字含有文は、漢字の既習得者であっても、誤字形漢字を認識するには誤字含有文に含まれる漢字を一文字ずつ高い集中力を発揮しながら確認する必要がある。この結果、非特許文献1に記載された装置は、漢字の学び直しのための負担が大きくなる問題がある。
【0048】
これに対して、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1では、クライアント装置200が表示する誤字含有文は、非特許文献1に記載された装置が表示する誤字含有文よりも正しい文との違いが認識し易く、正しい字形の漢字と誤字形漢字とを見分け易くなっている。この結果、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1は、漢字の既習得者であれば誤字形漢字を見つけるために高い集中力を発揮する必要がないので、非特許文献1に記載された装置よりも少ない負担で漢字の既習得者の学び直しが可能となる手段を提供することができる。
【0049】
また、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1によれば、サーバ装置100では、誤字形漢字生成部110は、誤字形漢字情報として第1部分字が第2位置に配置され且つ第2部分字が第1位置に配置されて合体した誤った字形の漢字を示す情報を生成する。
【0050】
このようにすることで、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1は、第1部分字が第2位置に配置され且つ第2部分字が第1位置に配置されて合体した誤字形漢字を示す情報を生成しない漢字学習支援システムよりも合体字形漢字の誤字として認識し易い誤字形漢字を示す情報を容易に生成できる。
なお、本実施の形態では、誤字形漢字生成部110は、合体字形漢字の各部分字の位置を入れ替えた誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成したが、誤字形漢字は何れかの部分字が異なる位置に配置されている限りにおいてこれに限定されない。例えば、誤字形漢字生成部110は、「蟀」の誤字形漢字情報として「虫」と「率」とが上下に配置されて合体した誤字形漢字を示す情報を生成してもよい。
【0051】
また、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1によれば、サーバ装置100では、誤字形漢字生成部110は、誤字形漢字情報として合体字形漢字である形声字の意符の位置と音符の位置とを入れ替えた誤字形漢字を示す情報を生成可能である。
【0052】
このようにすることで、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1は、形声字の意符又は音符が異なる位置に配置された誤字形漢字を示す情報を生成しない漢字学習支援システムよりも形成字の誤字として認識し易い誤字形漢字を示す情報を容易に生成できる。特に、形成字の使用率は漢字全体の約8割を占めると言われているため、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1は、通常使用される漢字の正しい字形の再学習を効率良く支援することができる。
なお、本実施の形態では、合体字形漢字の一例として形声字を例示したが、合体字形漢字は少なくとも第1部分字と第2部分字とに分解可能であれば形成字に限定されない。例えば、合体字形漢字は、「明」、「男」、「畑」といった会意字(会意文字)も含む。
【0053】
また、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1によれば、クライアント装置200では、誤字含有文表示部220は、ユーザが誤字形漢字を確認する操作を行ったとき、誤字形漢字が目立つように誤字含有文の表示態様を変更する。
【0054】
このようにすることで、ユーザは、誤字含有文に含まれる誤字形漢字を速やかに確認することができ、合体字形漢字の誤字としての誤字形漢字を認識することができる。この結果、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1は、クライアント装置200のユーザの漢字の学習を支援することができる。
なお、本実施の形態のように、クライアント装置200は、誤字形漢字が目立つように誤字含有文の表示態様を変更可能であることが好ましいが、誤字形漢字が目立つように誤字含有文の表示態様を変更しなくてもよい。
【0055】
また、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1によれば、クライアント装置200では、視線検出部230は、カメラ201で撮像された映像の画像処理によって表示部55に表示された誤字含有文を読むユーザの視線を検出する。また、誤字認識判定部240は、検出しているユーザの視線に基づいてユーザが誤字形漢字を合体字形漢字の誤字として認識したか否かを判定する。そして、判定結果表示部250は、ユーザが誤字形漢字を確認する操作を行ったとき、誤字認識判定部240の判定結果を示す情報として誤字形漢字の識字率に基づく情報を表示する。
【0056】
このようにすることで、ユーザは、誤字含有文に含まれる誤字形漢字を認識できていたか否かを確認することができる。この結果、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1は、クライアント装置200のユーザの漢字の学習を支援することができる。
なお、本実施の形態のように、クライアント装置200は、ユーザの視線から誤字形漢字を認識したか否かを判定して判定結果情報を表示可能であることが好ましいが、ユーザの視線から誤字形漢字を認識したか否かを判定して判定結果情報を表示しなくてもよい。
【0057】
(実験例)
ここで、本願の発明者らは、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1の有用性を確認するための実験を行った。以下、実験の内容及び結果について詳細に説明する。
【0058】
(予備実験)
先ず、漢字健忘の問題を確認するための予備実験として、本願の発明者らが所属する大学院の中国人学生24人の実験協力者を対象として形声字の書き取りテストを実施した。テスト問題には、現代漢字常用字表(<URL>https://lingua.mtsu.edu/chinesecomputing/statistics/char/listchangyong.php)から選択した13種類の常用形声字と書き間違え易い7種類の非常用形声字との合計20種類の形声字を使用した。図8に示すように、テスト問題は、漢字の読み方をピンインの表記法で示したローマ字の下方に引かれた線の上に実際の漢字を記入することを求める問題である。
【0059】
(予備実験の実験結果)
テストを実施した結果、図9に示すように、全20問の成績の分布は、100点換算で60点未満が22人、60点~79点が2人、80点以上が0人であった。よって、各分布の割合は、60点未満が91.7%(22/24≒91.7[%])、60点~79点が8.3%(2/24≒8.3[%])、80点以上が0%であった。また、常用形声字のみの全13問の成績の分布は、60点未満が16人、60点~79点が7人、80点以上が1人であり、各分布の割合は、60点未満が66.7%(16/24≒66.7[%])、60点~79点が29.2%(7/24≒29.2[%])、80点以上が4.2%(1/24≒4.2[%])であった。また、非常用形声字のみの全7問の成績の分布は、60点未満が24人、60点~79点、80点以上が各0人であり、各分布の割合は、60点未満が100%、60点~79点、80点以上が各0%であった。
【0060】
また、図10に示すように、全20問の平均点は100点換算で37.7点(7.5/20≒37.7[点])、常用形声字のみの全13問の平均点は46.2点(6.0/13≒46.2[点])、非常用形声字のみの全7問の平均点は26.2点(2.0/7≒26.2[点])であった。このように、漢字全体における形声字が使用される割合は約80%を占めているとされているにも関わらず、何れの平均点も50点以下とかなり低く、対象者らに漢字健忘の問題が存在することは明らかであることが分かった。
【0061】
(本実験)
次に、漢字学習支援システム1の有用性を確認するための本実験として、予備実験とは異なる中国人学生24人の実験協力者を対象とする3段階の作業を実施した。先ず、第1段階の作業は、全対象者に形声字の書き取りテストに回答させる作業である。テスト問題には、上述した現代漢字常用字表から選択した60種類の常用形声字と、発明者らが書き間違え易いと判断した画数が比較的多い30種類の漢字との合計90種類の漢字を使用した。なお、テスト問題の形式は予備実験のときと同様である。
【0062】
また、第2段階の作業は、第1段階の作業で回答したテストの成績の分布が均等となるように各8人の対象者を割り振った3つのグループを作成した上で、第1グループの各対象者に後述する実験例1の文章、第2グループの各対象者に後述する比較例1の文章、第3グループの各対象者に後述する比較例2の文章をそれぞれ読ませる作業である。
【0063】
なお、確認のために3つのグループのテストの成績について対応がない1要因3水準での分解分析を実施したところ、グループの主効果は有意ではなかった。具体的には、F値及びp値について、F(2,21)=0.002、p=0.998>0.05が成立するため、有意差があると判断される値ではなかった。よって、グループ分けに有意な偏りがないことは明らかである。
【0064】
また、実験例1及び比較例1、2の各文章は、上述した60種類の形声字を全て含む文章、具体的には、図11に示す中国の小学三年生の国語教材に掲載されている「マッチ売りの少女」の文章である。なお、図11では文章に含まれる誤字形漢字の記載位置を明確にするために誤字形漢字を点線の枠で囲んでいるが、実際に実験で用いた紙媒体には当該点線の枠は印刷されていない。また、各文章の文字は、SimSum文字フォントを使用し、フォントサイズ10.5ポイントとした。これは、中国語の紙書籍で標準的に使用されている文字フォント及び文字サイズである。なお、各文章は、上述した残り30種類の書き間違え易い漢字を含まない。これらの漢字は、本実験の意図を実験途中で対象者に悟られないようにするための所謂ダミーとして採用したためである。
【0065】
(実験例1)
実験例1の文章は、上述した60種類の形声字のうちから選択した40種類の形声字をサーバ装置100が誤字形漢字に置き換えた文章である。
【0066】
(比較例1)
比較例1の文章は、上述した60種類の形声字のうちから選択した40種類の形声字を非特許文献1に記載された装置が誤字形漢字に置き換えた文章である。
【0067】
(比較例2)
比較例2の文章は、上述した40種類の形声字を誤字形漢字に置き換えておらず、全て正しい字形の漢字のみを含む正しい文章である。
【0068】
なお、各文章において選択した40種類の形声字は、全て第1段階のテスト問題として出題されている漢字であるため、第2段階の作業に何らかの予期せぬ影響を与える可能性がある。このため、第2段階の作業は、各対象者になるべく予断を与えぬようにするため、第1段階の作業を実施してから15日後に実施した。また、第2段階の作業において、各対象者には、文章を読む前に、開始時刻と終了時刻とを記入するよう指示する以外に一切の指示を行っていない。さらに、第2段階の作業の実施中及び実施後の質問は一切受け付けなかった。
【0069】
そして、第3段階の作業は、全対象者に対して、第2段階の作業で読んだ文章の理解度チェックテスト、漢字の書き取りテスト、アンケート調査に回答させる作業である。図12に示すように、理解度チェックテストのテスト問題は、例えば、「問題1.文章中の今日は何の日ですか.」といった文章の内容の理解度を確認する全5問の問題である。また、漢字の書き取りテストのテスト問題には、上述した現代漢字常用字表から選択した60種類の常用形声字を使用した。なお、テスト問題の形式は予備実験及び第1段階の作業のときと同様である。また、図13に示すように、アンケート調査の質問は、全5問の質問である。
【0070】
具体的には、アンケート調査の質問は、「質問1.ふだん漢字を手書きする際に思い出せないなどの問題があるか.」、「質問2.ふだんの漢字との接し方のうち,一番多い接し方はどれか.」との漢字健忘に関する質問を含む。また、アンケート調査の質問は、「質問3.実験で読んだ文書中に含まれる誤字形文字に気づいたか.」、「質問4.文書中の誤字形文字の存在が事後テストにどの程度影響したか.」、「質問5.誤字形文字の存在が文書の内容理解や読む速度にどの程度影響したか.」との誤字含有文による再学習に関する質問を含む。なお、アンケート調査は、第2段階の作業で誤字形漢字を含む文章を読んだ第1グループ及び第2グループの各対象者のみに回答させている。
【0071】
(本実験の実験結果)
以下、第1段階から第3段階までの作業を実施した結果について説明する。先ず、第1段階の作業において漢字の書き取りテストを実施した結果、図14に示すように、60種類の常用形声字を使用した60問の平均点は、100点換算で第1グループが58.96点、第2グループが59.58点、第3グループが59.58点であった。なお、各対象者の点数の平均点からの散らばり具合を示す標準偏差は、第1グループが16.67、第2グループが17.55、第3グループが22.73である。
【0072】
次に、第2段階の作業において実験例1及び比較例1、2の各文章を読んだ後、第3段階の作業において漢字の書き取りテストを実施した結果、上述した60問の平均点は、100点換算で第1グループが78.54点、第2グループが73.13点、第3グループが68.96点であった。なお、各対象者の点数の平均点からの散らばり具合を示す標準偏差は、第1グループが9.91、第2グループが16.38、第3グループが22.14である。
【0073】
よって、テストの平均点は、全てのグループで第3段階のほうが第1段階よりも上回ることが確認された。具体的には、第3段階と第1段階とのテストの成績の差分の平均点は、第1グループが19.58点、第2グループが13.54点、第3グループが9.38点である。なお、図示は省略するが、テストの点数は、全ての対象者について第3段階のほうが第1段階よりも上回ることが確認された。また、確認のために全ての対象者の第1段階及び第3段階の作業におけるテストの点数について対応のあるt検定を実施した結果、1%の有意水準で有意差があると認められた。具体的には、t値及びp値について、t(23)=6.32、p=0.00<0.01が成立するため、有意差があると判断された。よって、第2段階の作業によってテストの成績が上昇したことは明らかである。
【0074】
また、上述した差分の平均点から、テストの成績は、第1グループが最も上昇し、第2グループが2番目に上昇し、第3グループが最も上昇しなかったことが分かる。なお、確認のために全ての対象者のテストの成績の差分に基づいて、Williamsの多重比較検定法を用いて、第3グループをコントロール群とする当該差分に関する検定を実施した。この結果、第1グループと第3グループとの成績の差分の間の統計検定量は1.93となり、5%の有意水準で有意差が認められた。一方、第2グループと第3グループとの成績の差分の間の統計検定量は0.79となり、有意差が認められる値ではなかった。よって、第1グループにおけるテストの成績の向上幅が第3グループよりも有意に大きいことは明らかである一方、第2グループにおけるテストの成績の向上幅が第3グループよりも有意に大きいとまでは言えないことは明らかである。
【0075】
換言すると、第2段階の作業において実験例1の文章を読んだ第1グループの対象者は、第2段階の作業において比較例2の文章を読んだ第3グループの対象者よりもテストの成績が明らかに向上したことが分かる。一方、第2段階の作業において比較例1の文章を読んだ第2グループの対象者は、第2段階の作業において比較例2の文章を読んだ第3グループの対象者よりもテストの成績が明らかに向上したとまでは言えないことが分かる。
この結果、漢字の既習得者は、実験例1の文章を読んだほうが比較例1、2の各文章を読むよりも形声字の字形の記憶が効果的に修正・強化できたことが分かる。
【0076】
また、図15に示すように、第2段階の作業において実験例1及び比較例1,2の各文章を読むための平均所要時間は、第1グループが7.25分、第2グループが7.25分、第3グループが7.13分であった。なお、各対象者が各文章を読むための所要時間の平均所要時間からの散らばり具合を示す標準偏差は、第1グループが2.99、第2グループが3.73、第3グループが2.52である。よって、文章を読むための所要時間は、各グループで殆ど差がないことが確認された。
【0077】
なお、確認のために3つのグループの各文章を読むための所要時間について対応がない1要因3水準での分解分析を実施したところ、グループの主効果は有意ではなかった。具体的には、F値及びp値について、F(2,21)=0.316、p>0.05が成立するため、有意差があると判断される値ではなかった。よって、グループ毎の所要時間に有意な偏りがないことは明らかである。
この結果、漢字の既習得者は、実験例1の文章を読んでも比較例1、2の各文章を読んだときと比べて所要時間が長くならないことが分かる。
【0078】
また、図16に示すように、第3段階の作業において理解度チェックテストを実施した結果、全5問の平均点は、100点換算で第1グループが80.0点、第2グループが75.0点、第3グループが80.0点であった。なお、各対象者の点数の平均点からの散らばり具合を示す標準偏差は、第1グループが12.5、第2グループが17.2、第3グループが12.5である。よって、文章の理解度も所要時間と同様に、各グループで殆ど差がないことが確認された。
【0079】
なお、確認のために3つのグループの理解度チェックテストの成績について対応がない1要因3水準での分解分析を実施したところ、グループの主効果は有意ではなかった。具体的には、F値及びp値について、F(2,21)=0.452、p=>0.05が成立するため、有意差があると判断される値ではなかった。よって、グループ毎の理解度チェックテストの成績に有意な偏りがないことは明らかである。
この結果、漢字の既習得者は、実験例1の文章を読んでも比較例1、2の各文章を読んだときと比べて理解度が低下しないことが分かる。
【0080】
また、図17に示すように、アンケート調査の質問3の回答を集計した結果、誤字形漢字に気付いたと回答した割合は、第1グループが100%である一方、第2グループが50%であった。すなわち、誤字形漢字に気付いたと回答した割合は、第1グループが全8人である一方、第2グループが4人であった。
この結果、文章に含まれる誤字形漢字に気付いた対象者は、第1グループが全員であるのに対して第2グループは半分しかいないことが分かる。
【0081】
また、図18に示すように、アンケート調査の質問4の回答を集計した結果、質問3で誤字形漢字に気付いた対象者について、文章に含まれる誤字形漢字が漢字の書き取りテストに非常に役に立つと回答した人数及び割合は、第1グループが5人で63%(5/8≒63[%])、第2グループが4人で100%であった。また、文章に含まれる誤字形漢字が漢字の書き取りテストにある程度役に立つと回答した人数は、第1グループが3人で37%(3/8≒37[%])であった。
この結果、文章に含まれる誤字形漢字に気付いた対象者は、グループに関わらず全員が誤字形漢字によって形声字の字形の記憶を修正・強化できたと認識していることが分かる。
【0082】
また、図19に示すように、アンケート調査の質問5の回答を集計した結果、質問3で誤字形漢字に気付いた対象者について、文章に含まれる誤字形漢字が文章の理解や読むための所要時間にあまり影響がなかったと回答した人数及び割合は、第1グループが3人で38%(3/8≒38[%])、第2グループが2人で50%(2/4=50[%])であった。また、文章に含まれる誤字形漢字が文章の理解や読むための所要時間に全く影響がなかったと回答した人数及び割合は、第1グループが5人で62%(5/8≒62[%])、第2グループが2人で50%(2/4=50[%])であった。
この結果、文章に含まれる誤字形漢字に気付いた対象者は、グループに関わらず全員が誤字形漢字による文章の内容理解や読む時間への悪影響がないと判断したことが分かる。
【0083】
したがって、本実験の結果、漢字の既習得者は、実験例1の文章を読むことで、特段の悪影響を受けることなく形声字の字形の記憶が効果的に修正・強化できることが分かる。この結果、実験例1の文章を作成可能な本実施の形態に係る漢字学習支援システム1の有用性を確認することができた。すなわち、本実施の形態に係る漢字学習支援システム1は、漢字の既習得者の漢字の再学習を効率良く支援することができる。
【0084】
[実施の形態2]
実施の形態1では、サーバ装置100とクライアント装置200とを含む所謂クライアントサーバシステムとしての漢字学習支援システム1を例示したが、本発明はクライアントサーバシステムに限定されない。例えば、コンピュータ装置としての漢字学習支援装置2がサーバ装置100とクライアント装置200との機能を備えていてもよい。以下、図20を参照して、実施の形態2に係る漢字学習支援装置2について、詳細に説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1と異なる構成について説明し、実施の形態1と同一の構成については冗長であるため説明を省略する。
【0085】
(実施の形態2に係る漢字学習支援装置2について)
図20に示すように、漢字学習支援装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末といったコンピュータ装置である。漢字学習支援装置2は、誤字形漢字記憶部120、誤字含有文生成部130、誤字含有文出力部140を含む。また、漢字学習支援装置2は、カメラ201、視線検出部230、誤字認識判定部240、判定結果表示部250を含む。
【0086】
(実施の形態2に係る漢字学習支援装置2のハードウェア構成について)
図示は省略するが、漢字学習支援装置2は、実施の形態1に係る各装置100、200と同様に、内部バス50で接続された制御部51、主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56を備える。漢字学習支援装置2は、制御部51が主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56を資源として用いることによって、図20に示す上記の各部120~140、230~250の機能を実現する。
【0087】
(実施の形態2に係る漢字学習支援装置2の機能構成の詳細について)
誤字形漢字記憶部120は、例えば、他の装置から取得した誤字形漢字情報を記憶する。
誤字含有文出力部140は、誤字含有文生成部130が生成した誤字含有文情報が示す誤字含有文を表示部55に表示したり、図示しないプリンタを用いて当該誤字含有文を紙媒体に印刷したりすることで、誤字含有文情報を出力する。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態に係る漢字学習支援装置2によれば、誤字含有文生成部130は、合体字形漢字の誤字として第1部分字と第2部分字との少なくとも一方の部分字が異なる位置に配置されて合体した誤字形漢字含む誤字含有文を示す誤字含有文情報を生成し、誤字含有文出力部140は、誤字含有文を表示したり紙媒体に印刷したりすることで誤字含有文情報を出力する。
【0089】
このようにすることで、ユーザは、表示された誤字含有文を読んで誤字形漢字に気付いたときに、正しい字形の漢字を認識することで当該漢字の再学習を行うことができる。また、本実施の形態に係る漢字学習支援装置2は、漢字の既習得者であれば誤字形漢字を見つけるために高い集中力を発揮する必要がないので、非特許文献1に記載された装置よりも少ない負担で漢字の既習得者の学び直しが可能となる手段を提供することができる。
その他、本実施の形態に係る漢字学習支援装置2は、実施の形態1、2に係る漢字学習支援システム1と同様の作用効果を奏する。
【0090】
[変更例]
なお、上記の実施の形態1では、1台のサーバ装置100が誤字形漢字情報と誤字含有文情報とを生成しているが、これに限定されず、複数台のサーバ装置が誤字形漢字情報と誤字含有文情報と別々に生成してもよい。例えば、第1サーバ装置が誤字形漢字生成部110を含み、第2サーバ装置が誤字形漢字記憶部120と誤字含有文生成部130とを含んでもよい。このようにすることで、第1サーバ装置は、誤字形漢字情報を生成し、第2サーバ装置は、第1サーバから取得、記憶した誤字形漢字情報を用いて誤字含有文情報を生成できる。
【0091】
なお、上記の実施の形態2では、誤字形漢字記憶部120は、漢字学習支援装置2が他の装置から取得した誤字形漢字情報を記憶しているが、これに限定されず、例えば、漢字学習支援装置2が自ら生成した誤字形漢字情報を記憶してもよい。具体的には、漢字学習支援装置2が誤字形漢字生成部110を含み、誤字形漢字記憶部120は、誤字形漢字生成部110が生成した誤字形漢字情報を記憶してもよい。
【0092】
なお、上記の実施の形態1、2では、2種類の部分字を含む合体字形漢字を例示したが、合体字形漢字は3種類以上の部分字を含んでもよい。例えば、合体字形漢字は、会意字の一例としての「品」であってもよい。なお、会意字である「品」は、第1部分字の一例としての「口」が上側の左右方向の中央部の位置に配置され、第2部分字の一例としての「口」が下側左部の位置に配置され、第3部分字の一例としての「口」が下側右部の位置に配置されている。
【0093】
この場合、誤字形漢字生成部110は、例えば、図21に示すように、「品」の誤字形漢字情報として各「口」が左右方向に並んで配置されて合体した誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成してもよい。また、この場合、誤字形漢字生成部110は、例えば、「品」の誤字形漢字情報として各「口」が上下方向に並んで配置されて合体した誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成してもよい。また、この場合、誤字形漢字生成部110は、例えば、「品」の誤字形漢字情報として各「口」が下側の左右方向の中央部の位置、上側左部の位置、上側右部の位置にそれぞれ配置されて合体した誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成してもよい。また、この場合、誤字形漢字生成部110は、例えば、「品」の誤字形漢字情報として各「口」が上側左部の位置、上下方向及び左右方向の中央部の位置、下側右部の位置にそれぞれ配置されて合体した誤字形漢字を示す誤字形漢字情報を生成してもよい。
【0094】
なお、上記の実施の形態1、2では、誤字含有文生成部130は、正しい文に含まれる置き換え可能な全ての正しい字形の漢字を誤字形漢字に置き換えているが、置き換え可能な全ての正しい字形の漢字を誤字形漢字に置き換えなくてもよい。例えば、実施の形態1であれば、誤字含有文生成部130は、サーバ装置100の管理者が操作部54を用いて予め設定した割合で、置き換え可能な正しい字形の漢字を誤字形漢字に置き換えてもよい。また、例えば、実施の形態2であれば、誤字含有文生成部130は、ユーザが操作部54を用いて予め設定した割合で、置き換え可能な正しい字形の漢字を誤字形漢字に置き換えてもよい。
【0095】
なお、上記の実施の形態1、2では、誤字含有文生成部130は、生成又は取得した正しい文を示す情報から誤字含有文情報を生成したが、これに限定されず、正しい文を生成、取得せずに誤字含有文情報を生成してもよい。例えば、非特許文献1に記載された装置のように、上述した漢字の読み方を入力すれば当該漢字に自動的に変換される方式の漢字入力ソフトウェアで文を生成する状況において、漢字の読み方を入力すると当該漢字の誤字形漢字に自動的に変換されることで、正しい文を示す情報を生成せずに誤字含有文情報を生成してもよい。
【0096】
なお、制御部51、主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、送受信部56、内部バス50等を備えるサーバ装置100、クライアント装置200及び漢字学習支援装置2の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、DVD-ROM(Read-Only Memory)等に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上記の処理を実行するサーバ装置100、クライアント装置200及び漢字学習支援装置2を構成してもよい。また、通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロードすることでサーバ装置100、クライアント装置200及び漢字学習支援装置2を構成してもよい。
【0097】
また、サーバ装置100、クライアント装置200及び漢字学習支援装置2の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担により実現する場合、または、OSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0098】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して提供することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを提供してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行してもよい。
【0099】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0100】
1…漢字学習支援システム、2…漢字学習支援装置、50…内部バス、51…制御部、52…主記憶部、53…外部記憶部、54…操作部、55…表示部、56…送受信部、59…制御プログラム、100…サーバ装置、110…誤字形漢字生成部、120…誤字形漢字記憶部、130…誤字含有文生成部、140…誤字含有文出力部、200…クライアント装置、201…カメラ、210…誤字含有文取得部、220…誤字含有文表示部、230…視線検出部、240…誤字認識判定部、250…判定結果表示部。
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