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特開2023-114216直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ秤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114216
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016463
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】菊池 孝平
(72)【発明者】
【氏名】窪田 俊哉
(57)【要約】
【課題】物品から分離したシーズニングなどの分離物が直進フィーダのトラフに付着堆積するのを抑制して、物品を円滑かつ安定して搬送できるようにする。
【解決手段】物品を振動搬送する直進フィーダ用のトラフであって、底板部及び該底板部の両側から立設された対向する一対の側板部によって形成された搬送通路を備え、搬送通路の底面となる底板部の上面に、物品の搬送方向に沿って延びる複数の突条を、トラフの幅方向に並列して設けている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される物品を振動搬送する直進フィーダ用のトラフであって、
底板部及び該底板部の両側から立設された対向する一対の側板部によって形成された搬送通路を備え、
前記搬送通路の底面となる前記底板部の上面には、前記物品の搬送方向に沿って延びる複数の突条が、当該トラフの幅方向に並列して設けられている、
ことを特徴とする直進フィーダ用のトラフ。
【請求項2】
前記突条は、金属製の帯板材で構成され、
前記底板部には、前記物品の搬送方向に沿って複数の連結孔が形成され、
前記突条の下辺部には、該突条の長手方向に沿って複数の突片が突設され、
前記突条の前記突片が、前記底板部の前記連結孔に挿入されて溶接連結されている、
請求項1に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項3】
前記底板部の前記連結孔は、前記底板部を貫通して形成され、
前記連結孔に挿入された前記突条の前記突片と前記底板部とが、該底板部の下面側で溶接連結されている、
請求項2に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項4】
前記底板部は、平坦部と、該平坦部の前記物品の搬送方向の始端側から、前記物品の搬送方向の上手に向かって先上がり傾斜した傾斜部とを有し、
前記突条は、前記底板部の前記平坦部に沿う平坦下辺部と、前記底板部の前記傾斜部に沿う傾斜下辺部とを有し、
前記底板部の前記平坦部と前記突条の平坦下辺部とが溶接連結されると共に、前記底板部の前記傾斜部と前記突条の前記傾斜下辺部とが溶接連結されている、
請求項2または3に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項5】
供給される物品を周縁部へ搬送する分散フィーダと、前記分散フィーダの周囲に配設され、前記分散フィーダによって供給された物品を外方へ振動搬送する複数の直進フィーダと、前記各直進フィーダにそれぞれ対応して設けられ、前記直進フィーダから供給される前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、前記各供給ホッパにそれぞれ対応して設けられ、前記供給ホッパから排出された物品を一時保持して物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備える組合せ秤であって、
前記複数の直進フィーダは、前記請求項1ないし4のいずれか一項に記載のトラフを備えている、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項6】
前記直進フィーダから前記供給ホッパへ供給される前記物品の供給経路に配設されて、前記物品から分離された分離物を収容可能な収容容器と、
前記収容容器内の前記分離物を吸引して排出する排出管路とを備える、
請求項5に記載の組合せ秤。
【請求項7】
前記収容容器は、前記物品の前記供給経路に配置されたフィルタ部を上部に備えると共に、前記排出管路に連通して、前記フィルタ部を通過した前記分離物を吸引する吸い込み口を備える、
請求項6に記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子などの物品を振動搬送する直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤においては、例えば、特許文献1に示すように、中心上方から供給された物品が、振動駆動される分散フィーダによって放射状に分散搬送され、分散フィーダの周囲に配置した複数の直進フィーダに移載され、直進フィーダによって更に外方に振動搬送される。複数の直進フィーダの搬送終端の下方には、複数の供給ホッパが配置されており、各供給ホッパの下方には、計量ホッパが配置されている。
【0003】
各直進フィーダによって搬送された物品は、対応する各供給ホッパにそれぞれ投入され、その後、供給ホッパから対応する計量ホッパに供給され、各計量ホッパに供給された物品の重量に基づいて組合せ演算されて、所定重量範囲の組合せとなる計量ホッパが選択されて物品が排出され、集合シュートを介して包装機に投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-7596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような組合せ秤において、砂糖や塩などのシーズニング(粉末調味料)がまぶされた、例えば、グミやポテトチップスなどの物品を計量する場合、物品から砂糖や塩などのシーズニング、あるいは、物品の欠片などが分離し、振動搬送される物品によって、分離物がトラフの搬送面に擦り付けられると共に、分離物同士が押し付けられてくっつくことになり、トラフの搬送面に分離物が付着堆積するのを十分に防止することができなかった。
【0006】
このように直進フィーダのトラフの搬送面に、シーズニングなどの分離物が付着堆積すると、物品の円滑な搬送が阻害されるので、それら付着物を取り除くために直進フィーダのトラフの清掃作業が必要となり、組合せ秤の計量運転を中断させる必要があり、稼働率が低下する。
【0007】
また、付着堆積した分離物が成長して塊となって剥離し、物品に混入して商品価値を損ねたり、正確な計量ができず、計量精度を低下させることがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて為されたものであって、物品から分離したシーズニングなどの分離物が直進フィーダのトラフに付着するのを抑制して、物品を円滑かつ安定して搬送することができる直進フィーダ用のトラフ及びこのトラフを備えた組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0010】
(1)本発明に係る直進フィーダ用のトラフは、供給される物品を振動搬送する直進フィーダ用のトラフであって、
底板部及び該底板部の両側から立設された対向する一対の側板部によって形成された搬送通路を備え、前記搬送通路の底面となる前記底板部の上面には、前記物品の搬送方向に沿って延びる複数の突条が、当該トラフの幅方向に並列して設けられている。
【0011】
本発明に係る直進フィーダ用のトラフによると、物品は、主に並列配置された突条の上端で支持されて、搬送通路の底面となる底板部の上面から浮かされた状態で搬送されると共に、物品から分離したシーズニングなどの分離物は突条の間の底板部の上面に落下する。
【0012】
従って、底板部の上面のシーズニングなどの分離物は、物品によって底板部の上面に擦り付け、あるいは、押さえつけられることがなく、底板部の上面への分離物の付着堆積が少なくなると共に、付着した分離物が成長して塊になることも少なくなり、分離物は粉粒状態のままで搬送される。
【0013】
(2)本発明の一実施態様では、前記突条は、金属製の帯板材で構成され、前記底板部には、前記物品の搬送方向に沿って複数の連結孔が形成され、前記突条の下辺部には、該突条の長手方向に沿って複数の突片が突設され、前記突条の前記突片が、前記底板部の前記連結孔に挿入されて溶接連結されている。
【0014】
この実施態様によると、帯板材からなる突条の下辺部に突設された突片を、底板部に形成された連結孔に挿入することで、特別な治具を用いなくても、複数の突条を、物品の搬送方向及び当該トラフの幅方向に正しく位置決めして、所定の起立姿勢で底板部に溶接連結することができる。
【0015】
(3)本発明の他の実施態様では、前記底板部の前記連結孔は、前記底板部を貫通して形成され、前記連結孔に挿入された前記突条の前記突片と前記底板部とが、該底板部の下面側で溶接連結されている。
【0016】
この実施態様によると、溶接ビードの盛り上がりが、底板部の上面側に露出することがなく、溶接ビードによってシーズニングなどの分離物の搬送が妨げられたり、隆起した溶接ビートに分離物が付着するといったことがなく、当該トラフの清掃作業も容易となる。
【0017】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記底板部は、平坦部と、該平坦部の前記物品の搬送方向の始端側から、前記物品の搬送方向の上手に向かって先上がり傾斜した傾斜部とを有し、前記突条は、前記底板部の前記平坦部に沿う平坦下辺部と、前記底板部の前記傾斜部に沿う傾斜下辺部とを有し、前記底板部の前記平坦部と前記突条の平坦下辺部とが溶接連結されると共に、前記底板部の前記傾斜部と前記突条の前記傾斜下辺部とが溶接連結されている。
【0018】
この実施態様によると、帯板材からなる突条の平坦下辺部のみで底板部に溶接連結する場合には、突条の横倒れに対する強度を確保しにくいが、突条に傾斜下辺部を設けると共に、底板部に傾斜部を設けて、それらを溶接連結することによって、突条の横倒れに対する強度を高めることができる。
【0019】
(5)本発明に係る組合せ秤は、供給される物品を周縁部へ搬送する分散フィーダと、前記分散フィーダの周囲に配設され、前記分散フィーダによって供給された物品を外方へ振動搬送する複数の直進フィーダと、前記各直進フィーダにそれぞれ対応して設けられ、前記直進フィーダから供給される前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、前記各供給ホッパにそれぞれ対応して設けられ、前記供給ホッパから排出された物品を一時保持して物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備える組合せ秤であって、
前記複数の直進フィーダは、上記(1)ないし(4)のいずれかのトラフを備えている。
【0020】
本発明に係る組合せ秤によると、で物品を振動搬送する直進フィーダの当該トラフへのシーズニングなどの分離物の付着堆積を抑制できるので、当該トラフの清掃作業の頻度を低減して当該組合せ秤の稼働率を高めることができると共に、直進フィーダによって安定して物品を搬送できるので、計量精度の低下を防止することができる。
【0021】
(6)本発明の他の実施態様では、前記直進フィーダから前記供給ホッパへ供給される前記物品の供給経路に配設されて、前記物品から分離された分離物を収容可能な収容容器と、前記収容容器内の前記分離物を吸引して排出する排出管路とを備える。
【0022】
この実施態様によると、直進フィーダの当該トラフによって物品から分離されて搬送されるシーズニングなどの過剰な分離物を、直進フィーダから供給ホッパへの物品の供給経路に配設した収容容器に収容し、収容容器内の分離物を、排出管路を介して吸引排出して回収することができる。
【0023】
これによって、供給ホッパ及び計量ホッパへ砂糖や塩などのシーズニングが、過剰に供給されるのを阻止することができるので、計量ホッパの内面などにシーズニングなどの分離物が付着堆積し、付着した分離物が成長して塊となって剥落するのを防止することができ、計量精度の低下を回避することができる。
【0024】
(7)本発明の更に他の実施態様では、前記収容容器は、前記物品の前記供給経路に配置されたフィルタ部を上部に備えると共に、前記排出管路に連通して、前記フィルタ部を通過した前記分離物を吸引する吸い込み口を備える。
【0025】
この実施態様によると、物品に過剰に付着した砂糖や塩などのシーズニングが、収容容器の上部のフィルタ部によって物品から分離されてフィルタ部を通過し、通過した分離物は、収容容器の吸込み口から排出管路へ吸引されて排出される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の直進フィーダ用のトラフによれば、物品は、主に突条の上端で支持されて搬送される一方、物品から分離したシーズニングなどの分離物は、突条の間の底板部の上面に落下して搬送されるので、シーズニングなどの分離物が、物品によって底板部の上面に擦り付け、あるいは、押さえつけられることがなく、当該トラフへの分離物の付着堆積を抑制することができる。
【0027】
本発明の組合せ秤によれば、直進フィーダで物品を搬送するトラフへのシーズニングなどの分離物の付着堆積を抑制できるので、付着堆積物を除去するためのトラフの清掃作業の頻度を低減して、当該組合せ秤の稼働率を高めることができると共に、安定して物品を搬送できるので、計量精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の斜視図である。
図2図2は本発明の一実施形態に係るトラフを含む要部の縦断側面図である。
図3図3図2のトラフの斜視図である。
図4図4図2のトラフの縦断正面図である。
図5図5図2のトラフの分解斜視図である。
図6図6図1の組合せ秤における供給ホッパの斜視図である。
図7図7図6の供給ホッパにおける分解斜視図である。
図8図8は要部の全体構成を示す概略斜視図である。
図9図9は要部の全体構成を示す概略平面図である。
図10図10は本発明の他の実施形態のトラフの一部を示す縦断正面図である。
図11図11は本発明の更に他の実施形態のトラフの一部を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の斜視図である。この実施形態の組合せ秤は、各種の菓子や食品などの物品を所定量ずつ計量して排出するものであって、計量された物品を、図示しない下方の包装機に投入して袋詰めする包装ラインに利用される。
【0031】
この組合せ秤は、櫓状に組み上げ立設された図示しないフレームの階上床面に設置されるものであり、中央部が大きく上下に貫通開口された中空構造の基台1の上方に、センター基体2が複数の脚部3を介して支持されている。
【0032】
センター基体2の上部中心には、図示されていない供給コンベヤの終端から投下された物品を流下案内する供給ファネル4と、流下案内された物品を円錐状のトップコーン5で受止めて、外周に向けて分散搬送する分散フィーダ6とが配設されている。この分散フィーダ6の周囲には、分散搬送された物品を樋状のトラフに載置して、更に外方に向けて振動搬送する多数台(この例では14台)の直進フィーダ8が放射状に設けられている。直進フィーダ8は、物品を載置して搬送する後述の直進フィーダ用のトラフと、このトラフを振動駆動する加振機構とを備えている。
【0033】
センター基体2の外周部には、各直進フィーダ8からの物品を一旦貯留して排出する複数台の供給ホッパ9と、各供給ホッパ9から排出された物品の重量を計量するための複数台の計量ホッパ10とが装備されている。そして、これら直進フィーダ8、供給ホッパ9、及び、計量ホッパ10を一連とする多数連(この例では14連)の計量ユニットによって物品の組合せ計量及び排出が行われる。
【0034】
各計量ホッパ10の下方には、組合せ演算によって所定重量範囲となる適量組合せに選択された計量ホッパ10から排出された物品を集合させる集合シュート11が、配備されている。集合シュート11の下端部には、集合シュート11から滑落してきた物品をセンター基体2の中心下方に集める円形漏斗状の集合ファネル12が配備されている。
【0035】
更に、集合ファネル12の下方に、集合ファネル12で集められた所定重量範囲の物品を一旦受け止め貯留する集合ホッパ13が配置されている。集合ホッパ13は、階下に設置された図示されていない包装機からの排出要求指令に基づいて開放制御されるようになっている。
【0036】
なお、この実施形態に示す組合せ秤は、14台の計量ユニットが7台ずつ2つのグループに区分され、物品は7台ずつの計量ユニットによって2系統で組合せ計量され、系統ごと2つの集合ファネル12、及び、2台の集合ホッパ13を介して排出される仕様となっている。
【0037】
本実施形態では、直進フィーダ8において、物品から分離したシーズニングなどの分離物が直進フィーダ8のトラフに付着堆積し、物品の搬送の妨げになるのを防止するために、次のように構成している。
【0038】
図2は、直進フィーダ8のトラフ7付近を含む要部の縦断側面図であり、図3は、図2のトラフ7の斜視図であり、図4は、その縦断正面図であり、図5は、その分解斜視図である。
【0039】
この実施形態のトラフ7は、図2の矢符Aで示される物品の搬送方向の全長に亘って一定横幅に形成された底板部7aと、底板部7aの左右両側端から斜め外方上方に立設された一対の側板部7b,7cとを備えている。これら底板部7a及び側板部7b,7cによって、幅広で断面積の大きい逆台形状の搬送通路Pが形成される。また、トラフ7は、底板部7aの物品の搬送方向の始端側に立設された物品の零れ落ちを防止する背板部7dを備えている。
【0040】
トラフ7の底板部7aは、その上面が、略全面に亘って平坦な平坦部7aと、この平坦部7aの物品の搬送方向の始端側から搬送方向の上手である背板部7dに向けて緩やかに先上がり傾斜した傾斜部7aを有している。
【0041】
搬送通路Pの底面となる底板部7aの上面には、物品の搬送方向に沿って延びる複数、この例では6本の突条15が、トラフ7の幅方向に並列して設けられている。
【0042】
底板部7aの上面から上方へ突出した複数の突条15は、互いに平行に等しい間隔をあけて設けられており、底板部7aの全長に亘って延びている。
【0043】
各突条15は、同じ形状であって、金属製の帯板材で構成されている。この実施形態では、各突条15は、トラフ7と同材質であるステンレス鋼の金属板を所定高さの帯板状に裁断したものである。各突条15の下辺部は、図2図5に示すように、トラフ7の底板部7aの平坦部7aに沿う平坦下辺部fと、底板部7aの傾斜部7aに沿う傾斜下辺部sとを有している。すなわち、突条15の下端の下辺部の略全長が、トラフ7の底板7aの平坦部7a及び傾斜部7aに沿う形状となっている。
【0044】
また、突条15の下辺部における長手方向の複数個所(この例では4箇所)に、突条5の長手方向に長い突片15aが突設されている。
【0045】
トラフ7の底板部7aの平坦部7a及び傾斜部7aには、これら突片15aが挿入される物品の搬送方向に長いスリット状の複数の連結孔17が、貫通形成されている。
【0046】
突条15の各突片15aを各連結孔17に挿入して、突条15を位置決め起立させた後、挿入連結箇所がトラフ7の底板部7aの下面側、すなわち、裏面側から溶接され、突片15aが底板部7aに溶接連結されている。
【0047】
このように突条15の突片15aを、底板部7aの連結孔17に挿入することで、特別な治具を用いなくても、複数の突条15を、物品の搬送方向及びトラフ7の幅方向正しく位置決めして容易に連結することができる。
【0048】
また、底板部7aの平坦部7aの部分のみでの溶接連結では、突条15の横倒れに対する強度を十分確保しにくいが、底板部7aの傾斜部7aでの溶接連結が付加されることで横倒れ強度が高いものとなり、突条15を所定の起立姿勢に強固に保持することができる。これによって、振動駆動による突条15の浮き上がりや変形を回避し、長期間に亘って所期の位置姿勢を安定維持することができる。
【0049】
なお、図示されていないが、トラフ7の底板部7aの下面、すなわち、トラフ7の外底面には、加振機構へ脱着可能に連結するため、及び、トラフ自体の補強のために厚板材からなる支持部材が積層連結されるので、上記連結個所の盛り上がった溶接ビードは、研削除去されてトラフ裏面は平坦に形成される。
【0050】
この実施形態のトラフ7では、底板部7aの上面に設けられた複数の突条15は、同じ突出高さであって、その間隔は、物品の大きさよりも狭い間隔となっている。
【0051】
これによって、物品は、主に複数の突条15の上端で受止められ、トラフ7の底板部7aの上面にあまり摺接することなく搬送される。また、物品から分離したシーズニングなどの分離物は、複数の突条15の間を通って底板部7aの上面に落下し、分離物が、搬送される物品によって底板部7aの上面に擦り付け、あるいは、押さえつけられることなく振動搬送される。
【0052】
したがって、直進フィーダ8のトラフ7におけるシーズニングなどの分離物の付着堆積を抑制することができ、付着した分離物が成長して塊になって剥離するのを防止することができる。これによって、トラフ7に付着堆積した分離物を除去するためのトラフ7の清掃作業の頻度を低減して、組合せ秤の稼働率を高めることができると共に、直進フィーダ8で安定して物品を搬送できるので、計量精度の低下を防止することができる。
【0053】
更に、本実施形態においては、直進フィーダ8のトラフ7で物品から分離したシーズニングなどの過剰な分離物が、供給ホッパ9及び計量ホッパ10へ供給されて、計量ホッパ10の内面などに付着堆積するのを防止するために、分離物を排出除去するように構成している。
【0054】
以下、分離物を排出除去するための構造を、図2及び図6図9に基づいて説明する。
【0055】
各供給ホッパ9の上部には、直進フィーダ8におけるトラフ7の終端から搬出されて供給ホッパ9内に投入される物品w、及び、トラフ7の底板7aに沿って搬送されて供給ホッパ9内に投入される分離物を受け止めて、分離物のみを濾過回収する収容容器20が装備されている。
【0056】
図2図6図7に示すように、収容容器20は、容器本体21と、これを供給ホッパ9に嵌め込み支持する取付け部22とを備えている。容器本体21の取付け部22が、供給ホッパ9の直進フィーダ側である内壁板9aに上方から脱着可能に差し込み支持されている。
【0057】
容器本体21は、左右に開放された横向き筒状に形成され、取付け部22に上方から嵌め込むことで左右の横向き開口が閉塞される。これによって、収容容器20は、四周が周壁で囲まれた浅い箱状となる。また、容器本体21の上面には、多数の矩形透孔を整列形成した板状の多孔体からなるフィルタ部20aが、ホッパ内方に向かって先下がり傾斜姿勢で備えられている。なお、フィルタ部20aは、例えば、パンチングメタルや金属製のメッシュなどで構成してもよい。
【0058】
取付け部22には、供給ホッパ9の内壁板9aに上方から差し込まれる下向きのスリット状のフック部23が備えられており、差し込み装着状態では、供給ホッパ9の左右側板の間に横ずれ無く位置決め保持される。
【0059】
また、図2示すように、取付け部22に嵌め込まれた容器本体21は、その直進フィーダ側の背面が装置内方に向けて露出され、この露出部には吸込み口20bが形成されている。そして、この吸込み口20bに、T形の配管コネクタ24の外向き分岐端が連通連結されている。更に、図6等に示すように、配管コネクタ24の左右両端には、樹脂チューブからなる吸引管25が接続されている。
【0060】
図8図9に示すように、吸引管25は、隣接する複数個(この例では7個)の収容容器20に接続した配管コネクタ24を、縦列状に連通するよう接続されるとともに、縦列接続された一連の吸引管25の両端が吸引器26に接続されている。
【0061】
図2に示すように、吸引器26は、上下に貫通する空気流路の中間部に絞り流路部rを備え、この絞り流路部rに連通するように吸引管25が接続される。また、図1図8等に示すように、吸引器26の上端には空気供給管27が接続されるとともに、吸引器26の下端には排気管28が連通接続されている。
空気供給管27は、図示されていないコンプレッサーなどの空気圧送装置に配管接続されている。この空気供給管27を介して吸引器26に加圧空気を送り込んで高速通過させることで、吸引器26の絞り流路部rにベンチュリー効果による負圧を発生させ、絞り流路部rに連通接続した吸引管25から空気を吸引するよう構成されている。
【0062】
なお、空気供給管27は、図1に示すように、供給ファネル4を支持するために支柱29を介して固定配備されたリング状のファネル支持フレーム30の一部に連結支持されるとともに、排気管28は、脚部3から延出された支持アーム31の先端部に連結支持されている。
【0063】
上記構成によると、直進フィーダ8におけるトラフ7の終端からは、複数の突条15の上端辺に受止め支持されて振動搬送されてきた物品wと、物品から分離してトラフ7の底板部7a上に落ち込んで振動搬送されてきたシ-ズニングなどの分離物とが排出され、供給ホッパ9に投入される。
【0064】
投入された物品w及び分離物は、図2に示すように、先ず、収容容器20のフィルタ部20aに受止められ、物品wはフィルタ部20aの先下がり傾斜に沿って転がって供給ホッパ9内に流下し、分離物はフィルタ部20aを通して収容容器20内に取り込まれる。
【0065】
空気供給管27を介して吸引器26に加圧空気が供給されると、吸引管25には吸引器26に向かう吸引気流が発生し、収容容器20内に取り込み回収された分離物は、その吸引気流に乗って吸引器26に引き込まれ、吸引器26を通過する加圧空気に合流し、排気管28を介して排出されてゆく。
【0066】
なお、吸引器26に加圧空気を供給流通させる空気圧送装置の運転形態は種々設定することができ、例えば、予め設定された所定の周期で一定時間に亘って加圧空気の供給作動を行うように制御してもよく、あるいは、計量運転の間は常に加圧空気の供給を行って、分離物を連続して吸引排出するようにしてもよい。
【0067】
ここで、排気管28は分離物の搬出管として機能するものであり、排気管28の排出端部は、分離物回収部に延出される。
【0068】
分離物回収部としては、例えば、図1中の仮想線で示すように、単に、排気管28の排出端部を回収容器32に臨設接続し、排気から分離物を回収容器32に回収する構造を利用することができる。
【0069】
本実施形態によると、供給ホッパ9及び計量ホッパ10には、シーズニングなどの過剰な分離物を除去して物品を供給することができるので、計量ホッパ内面に分離物が付着堆積するのを抑制する共に、成長して塊となった分離物が剥落して計量精度を低下させるのを防止することができる。
【0070】
〔その他の実施形態〕
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0071】
(1)突条15の数、長さ、並列ピッチや高さ、あるいは、突条15の形状は、搬送する物品の大きさや性状に応じて設定すればよく、例えば、図10に示すように、突条15の上端を凸曲面にしておくことで、物品との接触をより少なくできるとともに、角張った突条15の上端縁による物品の損傷や、物品表面からシーズニングが剥離されることを抑制することができる。
【0072】
(2)図11に示すように、物品の性状によっては、高さの異なる突条15を並列立設してもよい。
【0073】
(3)突条15をトラフ底板7aに連結固定する手段としては、上記実施形態のように、トラフ7の裏面から溶接して、トラフ7の搬送通路となる底板部7aの上面側に溶接個所を露出させない形態が、洗浄性において優れているが、簡易には、突条15をトラフ7の底板部7aにスミ肉溶接によって連結固定する形態を利用してもよい。
【0074】
この際、突条15の下辺複数個所にピン状の小突起を設けて、トラフ7の底板7aに形成した連結孔に挿入して、突条15の位置決めを行うようにしておくと、スミ肉溶接作業が容易となる。なお、連結孔は、貫通していてもよく、貫通していなくてもよい。
【0075】
(4)突条15は、帯板材に限られるものではなく、丸棒材を用いることも可能である。
【0076】
(5)上記実施形態では、複数の計量ユニットを環状に配備した仕様の組合せ秤を例示しているが、複数の計量ユニットを横一列状に配備した仕様の組合せ秤に適用することもできる。
【符号の説明】
【0077】
7 トラフ
7a 底板部
7a 平坦部
7a 傾斜部
8 直進フィーダ
9 供給ホッパ
10 計量ホッパ
15 突条
15a 突片
17 連結孔
20 収容容器
f 平坦下辺部
s 傾斜下辺部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11