(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011425
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】工事用エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 9/02 20060101AFI20230117BHJP
B66B 1/34 20060101ALI20230117BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B66B9/02 A
B66B1/34 A
B66B3/00 U
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115267
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】593028551
【氏名又は名称】伊藤忠TC建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087712
【弁理士】
【氏名又は名称】山木 義明
(72)【発明者】
【氏名】北川 清隆
【テーマコード(参考)】
3F301
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F301AA13
3F301BA08
3F301BB26
3F303FA14
3F502HA12
3F502NA26
(57)【要約】
【課題】昇降路の高さによらず搬器が安定して動作することができると共に、昇降路の伸縮作業の煩雑化を防止することができるエレベータを提供する。
【解決手段】昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレール34と、レール34に沿って昇降路を昇降可能に設けられた搬器38を備え、レール34は、鉛直方向に細長く伸びるラックレール36を備え、搬器38は、ラックレール36の噛合面36aと噛合するピニオンギア42aと、ピニオンギア42aを回動させる電動機101と、電動機101を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器121を備え、電動機101を駆動させるための電力を、外部の電源191から搬器38に対して供給するための非接触電力伝送手段171,172,173,174を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備えた
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記非接触電力伝送手段は、磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段である
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記電動機は、前記電動機の駆動軸に対して前記ピニオンギアの回転動作が入力されることによって電力を発生する発電機能を有し、
前記発電機能によって発電された電力が前記蓄電器に蓄積されることによって、
前記搬器の下降時の運動エネルギーの一部を前記搬器の動力に再利用する、エネルギーの回生機能を備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記昇降路における前記搬器の停止位置には、乗場操作盤と前記乗場操作盤と接続された送信機が設けられ、
前記送信機は、前記搬器に設けられた受信機と無線通信手段によって接続され、
前記乗場操作盤の操作信号が、前記無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエレベータ。
【請求項5】
前記搬器に設けられた通信機と双方向の無線通信手段によって接続された端末を備え、
前記端末の操作信号が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエレベータ。
【請求項6】
エレベータの状態情報が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器から前記端末に送信され、前記端末で前記状態情報を確認することができる
ことを特徴とする請求項5に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワークレーン等の大型の構造物や建築物、建設中のビル、土木工事等において、人間や荷物等を高所に移動させるために用いられる仮設のエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場等で使用される大型のタワークレーンを例に上げると、クレーンのオペレータが、クレーンの上部に設けられたクレーンの運転室に、安全かつ迅速に移動することができるように、クレーンのマストの内部に仮設のエレベータ(例えば、特許文献1参照)が設置されることがあった。
【0003】
図5及び
図6は、そのようなクレーン2、及び、そのクレーン2のマスト4の内部に設置される従来のエレベータ12について説明するために参照する図である。
【0004】
図5に示すクレーン2は、クライミングクレーンと呼ばれるタワークレーンであり、下端部が基礎3に固定されて、そこから鉛直方向(図中上下方向)の上方に向かって伸びるように立設されたマスト4と、マスト4の上部に設けられ、マスト4に対して鉛直方向に伸びる軸線の回りに旋回可能なクレーン本体部6と、クレーン本体部6の下側に設けられ、クレーン本体部6をマスト4に沿って昇降させる昇降装置8を備えていた。
【0005】
そして、クレーン本体部6には、クレーン本体部6から外側に突き出されるように設けられたジブ6aや、オペレータが中に入ってクレーン2の操作を行う運転室6b等が設けられていた。
【0006】
このようなクレーン2のマスト4は、
図5に示すように、マスト4の四隅部に配置されて、それぞれが鉛直方向に細長く伸びるように設けられた4本の柱材4aと、それら4本の柱材4aのうちの隣り合う2本の柱材4aの間を斜めに繋ぐように設けられた複数の斜材4bを備えて、略四角柱状に形成されており、そのため、マスト4の内部には、マスト4の下部から上部まで連続する内部空間が形成されていた。
【0007】
従来のエレベータ12は、このようなクレーン2のマスト4をエレベータの昇降路(エレベータシャフト)として、マスト4の内部空間に設置されていた。
【0008】
従来のエレベータ12は、ラックアンドピニオン方式のエレベータであり、
図5に示すように、エレベータの昇降路、すなわち、マスト4の内部空間の内壁部に沿って鉛直方向(図中上下方向)に伸びるように設けられたレール14と、レール14に沿って昇降路を昇降可能に設けられた搬器18を備えていた。
【0009】
エレベータ12のレール14は、
図6に示すように、水平方向(図中左右方向)に所定の間隔をおいて配置された、鉛直方向に細長く伸びる2本のガイドレール15と、それら2本のガイドレール15の間にガイドレール15と略平行に設けられた、鉛直方向に細長く伸びるラックレール16を備えており、ラックレール16には、複数の歯がラックレール16の長さ方向(図中上下方向)に沿って並ぶように形成された噛合面16aが形成されていた。
【0010】
エレベータ12の搬器18は、
図6に示すように、人間や荷物等が収容される荷台部20と、荷台部20の下側に設けられ、搬器18の動作やその制御等を行うための機器が収納される駆動部22を備えていた。
【0011】
荷台部20は、内部に人間や荷物等を収容することができるように略箱状に形成され、その内部には、搬器18を操作するためのボタンやスイッチ等が設けられた籠内操作盤20aが設けられていた。
【0012】
駆動部22は、内部に機器を設置することができるように略箱状に形成されており、
図6に示すように、その内部に、電動機22bや制御部20c等が設けられると共に、駆動部22の背面には、ピニオンギア22aが設けられていた。
【0013】
このような搬器18が、レール34のガイドレール15対して、レール14に沿って鉛直方向に移動することができるように取り付けられていた。
【0014】
そして、このとき、駆動部22の背面に設けられたピニオンギア22aがラックレール16の噛合面16aと噛合するように配置されており、それにより、電動機22bがピニオンギア22aを回動させることによって、搬器18がレール14に沿って鉛直方向に昇降するようになっていた。
【0015】
そして、このような搬器18に対して、電動機22bや制御部22cを動作させるための動力を供給するため、十分な長さ寸法を有する電源ケーブル28の、一方の端部が搬器18に接続され、反対側の端部が地上に設置された電源26に接続されていた。
【0016】
一方、このようなエレベータ12が設置される昇降路(クレーン2のマスト4)には、昇降路における搬器18の停止位置(例えば、クレーン2の地上部とマスト4の最上部)に、搬器18をその位置に呼ぶためのボタン等が設けられた乗場操作盤24が設けられていた。
【0017】
そして、乗場操作盤24における操作信号を搬器18へと伝えるため、十分な長さ寸法を有する制御ケーブル29の、一方の端部が乗場操作盤24に接続され、反対側の端部が搬器18に接続されていた。
【0018】
このようなエレベータ12においては、搬器18の荷台部20に乗り込んだ人間が籠内操作盤20aを操作すると、その操作信号が駆動部22の制御部22cに伝えられ、制御部22cは、その操作内容に応じて電動機22aを駆動させ、それにより、ピニオンギア22aが回動して、搬器18がレール14に沿って昇降するようになっていた。
【0019】
そして、昇降路にいる人間が乗場側操作盤24を操作すると、その操作信号が制御ケーブル29を介して駆動部22の制御部22cに伝えられ、制御部22cは、籠内操作盤20aにおける操作時と同様に、その操作内容に応じて、搬器18を昇降させるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述したような従来のエレベータ12には、クレーン2のマスト4の高さが高くなるほど、搬器18の動作が不安定になるという問題があった。
【0022】
すなわち、従来のエレベータ12は、
図5に示すように、搬器18に接続された電源ケーブル28や制御ケーブル29が、搬器18から長く垂れ下がるように配置されるため、クレーン2のマスト4が高くなり、それに伴って、エレベータ12の昇降路が長くなると、動作中の搬器18にかかる電源ケーブル28や制御ケーブル29の最大重量が増加すると共に、動作中の搬器18から垂れ下がる電源ケーブル28や制御ケーブル29が風を受けて揺動することもあるため、搬器18の安定動作に影響を及ぼすおそれがあった。
【0023】
さらに、揺動するケーブル(電源ケーブル28や制御ケーブル29)が周囲の障害物に接触して損傷し、それによって、エレベータ12が停止する不具合が多発するという問題があった。
【0024】
また、損傷したケーブル(電源ケーブル28や制御ケーブル29)はいずれも高価な部材であり、また、ケーブルの交換には時間も要するため、エレベータの修理等の保守コストの増加を招くおそれがあった。
【0025】
また、上述したような従来のエレベータ12には、エレベータ12の昇降路を延長(又は短縮)する作業が煩雑化なものになるという問題があった。
【0026】
すなわち、クレーン2のようなタワークレーンは、工事の進捗に応じて、マスト4を継ぎ足してその高さを高くしたり、逆に、継ぎ足した分を撤去してその高さを低くしたりして用いられるため、そこに設置されたエレベータ12についても、それに伴って、昇降路が延長(又は短縮)される必要があるが、その作業は、非常に重量のある長い電源ケーブル28や制御ケーブル29を取り回しながら行う必要があるため、非常に煩雑化なものになっていた。
【0027】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、昇降路の高さによらず搬器が安定して動作することができると共に、ケーブルの損傷に起因する不具合の発生を防止することができ、さらに、昇降路の伸縮作業の煩雑化を防止することができるエレベータを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題を解決するために、本発明のエレベータは、
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備えた
ことを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明のエレベータは、
前記非接触電力伝送手段は、磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段である
ことを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明のエレベータは、
前記電動機は、前記電動機の駆動軸に対して前記ピニオンギアの回転動作が入力されることによって電力を発生する発電機能を有し、
前記発電機能によって発電された電力が前記蓄電器に蓄積されることによって、
前記搬器の下降時の運動エネルギーの一部を前記搬器の動力に再利用する、エネルギーの回生機能を備えている
ことを特徴とするものである。
【0031】
また、本発明のエレベータは、
前記昇降路における前記搬器の停止位置には、乗場操作盤と前記乗場操作盤と接続された送信機(テレメータ装置)が設けられ、
前記送信機は、前記搬器に設けられた受信機と無線通信手段によって接続され、
前記乗場操作盤の操作信号が、前記無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とするものである。
【0032】
また、本発明のエレベータは、
前記搬器に設けられた通信機と双方向の無線通信手段によって接続された端末(遠隔監視制御装置)を備え、
前記端末の操作信号が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とするものである。
【0033】
また、本発明のエレベータは、
エレベータの状態情報が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器から前記端末に送信され、前記端末で前記状態情報を確認することができる
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0034】
このような本発明のエレベータによれば、
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備えたことにより、
外部から搬器に接続される電源ケーブルを無くすことができるため、
昇降路の高さによらず搬器が安定して動作することができると共に、ケーブルの損傷に起因する不具合の発生を防止することができ、さらに、昇降路の伸縮作業の煩雑化を防止することができる。
【0035】
さらに、前記昇降路における前記搬器の停止位置には、乗場操作盤と前記乗場操作盤と接続された送信機(テレメータ装置)が設けられ、
前記送信機は、前記搬器に設けられた受信機と無線通信手段によって接続され、
前記乗場操作盤の操作信号が、前記無線通信手段によって、前記搬器に送信されることにより、
外部から搬器に接続されるケーブルを全て無くすことができるため、ケーブルの損傷に起因するエレベータの停止等の不具合がなくなり、その分、エレベータの修理等の、保守コストの低減を図ることができる。
【0036】
さらに、前記搬器に設けられた通信機と双方向の無線通信手段によって接続された端末(遠隔監視制御装置)を備え、
前記端末の操作信号が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器に送信され、
エレベータの状態情報が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器から前記端末に送信され、前記端末で前記状態情報を確認することができることにより、
エレベータに不具合が生じた際に、遠隔地から、状況の把握や原因の調査を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るエレベータ32を示す正面図である。
【
図3】
図1に示すエレベータ32における、搬器38とレール34の取付部を示す図であり、
図3(a)は、搬器38とレール34の取付部の周辺を拡大した拡大平面図であり、
図3(b)は、取付部のピニオンギア42aとラックレール36の噛合部の周辺を拡大した拡大正面図である。
【
図4】
図1に示すエレベータ32のシステム構成図である。
【
図5】従来のエレベータ12が設置されたクレーン2を示す図であって、クレーン2のマスト4の一部を破断してその内部を示す概略側面図である。
【
図6】
図5に示すエレベータ12の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係るエレベータを実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0039】
図1ないし
図4は、本発明の一実施の形態に係るエレベータ32について説明するために参照する図である。なお、
図5及び
図6に示す従来のエレベータ12と同様の部分については、一部を除き同じ符号を付して説明するものとする。
【0040】
本実施の形態に係るエレベータ32は、
図1に示すように、従来のエレベータ12(
図6参照)と同様のラックアンドピニオン方式のエレベータであり、エレベータの昇降路に沿って鉛直方向(図中上下方向)に伸びるように設けられるレール34と、レール34に沿って昇降路を昇降可能に設けられた搬器38を備えている。
【0041】
エレベータ32のレール34は、
図1に示すように、水平方向(図中左右方向)に所定の間隔をおいて配置された、鉛直方向に細長く伸びる2本のガイドレール35と、それら2本のガイドレール35の間にガイドレール35と略平行に設けられた、鉛直方向に細長く伸びるラックレール36を備えている。
【0042】
ガイドレール35は、
図3(a)に示すように、その長さ方向(図の紙面に垂直方向)に対して垂直な断面形状が略コの字状に形成されており、2本のガイドレール35が、それぞれのガイドレール35の略コの字断面の開口部が、互いに水平方向(図中左右方向)の外側を向くように配置されている。
【0043】
そして、ラックレール36は、
図3(b)に示すように、その長さ方向(図中上下方向)に対して直角な幅方向(図中左右方向)の一方の端部(図中右側の端部)に、ラックレール36の図中右側の側面から突出するように形成された複数の歯が、ラックレール36の長さ方向に沿って並ぶように形成された噛合面36aが形成されている。
【0044】
このようなレール34が、従来のエレベータ12(
図6参照)と同様に、
図5に示すようなタワークレーン2のマスト4の内部空間をエレベータの昇降路として、昇降路の内壁部に沿って鉛直方向に伸びるように設けられている。
【0045】
エレベータ32の搬器38は、
図1及び
図2に示すように、人間や荷物等が収容される荷台部40と、荷台部40の下側に設けられ、搬器38の駆動や制御を行うための機器が収納される駆動部42を備えている。
【0046】
荷台部40は、平面形状が略矩形に形成された略板状の床部40aと、床部40aの外周部に沿って、荷台部40の周囲を囲むように設けられた側部40bと、荷台部40の上部を覆うように、床部40aの上方に所定の間隔をおいて、床部40aと略平行に設けられた略板状の屋根部40cを備えている。
【0047】
側部40bは、鉛直方向に細長く伸びる略棒状の部材が、床部40aの外周部に複数配置され、それらの鉛直方向に伸びる棒状部材の上端部と高さ中央部に、水平方向に細長く伸びる略棒状の部材が、それらの鉛直方向に伸びる棒状部材の間を水平方向に繋いで荷台部40の周囲を囲むように設けられることにより形成されている。
【0048】
そして、屋根部40cは、
図2に示すように、側部40bを形成する鉛直方向に伸びる棒状部材のうちの、荷台部40の背面(図中右側の面)に配置された棒状部材が上方に延長されて、その延長された棒状部材の上端部に設けられている。
【0049】
そして、
図1に示すように、荷台部40の内部には、側部40bを形成する鉛直方向に伸びる棒状部材のうちの、荷台部40の一方の側面(図中右側の面)に配置された棒状部材が上方に延長されて、その延長された棒状部材の上端部に、搬器38を操作するためのボタンやスイッチ等が設けられた籠内操作盤40dが設けられている。
【0050】
そして、籠内操作盤40dの下側には、搬器38の動作を制御するための機器等が収納された籠内制御盤40eが設けられている。
【0051】
駆動部42は、内部に機器を設置するための空間を有する略直方体の箱状に形成され、その内部には、
図1及び
図2に示すように、電動機101、主蓄電器121、補助蓄電器122、インバータ131,132、内部制御盤42c、受電ユニット174等の、搬器38の駆動や制御を行うための機器が収納されている。
【0052】
駆動部42は、例えば、断面L字形の長尺部材(アングル材)を組み合わせて上記直方体の各辺に相当する骨組み部が形成され、上記直方体の上面が荷台部40の底部40aによって覆われ、その他の面が底部40aと同様の板状部材によって覆われることにより形成されている。
【0053】
そして、
図1に示すように、駆動部42の背面(図の紙面奥側の面)には、ピニオンギア42a、2つの押えローラ42b、及び、受電コイル173が設けられている。
【0054】
ピニオンギア42aは、
図2に示すように、搬器38の前後方向(図中左右方向)に伸びる回転軸を有し、
図3(b)に示すように、レール34のラックレール36の噛合面36aと噛合するような円形歯車状に形成されている。
【0055】
押えローラ42bは、
図3(b)に示すように、ピニオンギア42aの回転軸と略平行な回転軸を有し、その回転軸の回りに回動自在に形成されている。
【0056】
そして、2つの押えローラ42bは、
図1に示すように、その回転軸が、ピニオンギア42aの回転軸から水平方向(図中左右方向)の片側(図中左側)に所定の間隔をおいた位置に、ピニオンギア42aの中心軸の高さ位置を中心に上下対称となるように、鉛直方向(図中上下方向)に所定の間隔をおいて設けられている。
【0057】
受電コイル173は、その受電面173aが外側(
図2中右側)に向くように、駆動部42の背面の
図1中右下部に配置されている。
【0058】
また、搬器38の背面には、
図1及び
図2に示すように、水平方向(
図1中左右方向)に所定の間隔をおいて設けられた一対のガイドローラ38aが、鉛直方向(
図2中上下方向)に所定の間隔をおいて二組設けられている。
【0059】
これらのガイドローラ38aは、
図3(a)に示すように、水平方向(図中左右方向)に伸びる回転軸を有し、その回転軸の回りに回動自在に形成されると共に、搬器38の背面から後方(図中上方)に所定の間隔をおいた位置に、その回転軸の軸線方向の一方の端部が支持された状態で設けられている。
【0060】
そして、一対のガイドローラ38aは、それぞれのガイドローラ38aの回転軸が同一の軸線上に位置し、それぞれのガイドローラ38aの軸線方向の他方の端部(支持された側と反対側の端部)が互いに対向するように配置されている。
【0061】
このような搬器38が、
図3(a)に示すように、一対のガイドローラ38aが2本のガイドレール35を水平方向(図中左右方向)の外側から挟み込んで、それぞれのガイドローラ38aがそれぞれのガイドレール35の内側に配置されるようにして、レール34に対して取り付けられている。
【0062】
それにより、搬器38は、レール34に対して前後左右方向(
図3(a)の紙面に平行方向)の移動が規制されると共に、レール34に沿って鉛直方向に移動することができるように、レール34に取り付けられている。
【0063】
そして、このとき、駆動部42の背面に設けられたピニオンギア42aは、
図3(b)に示すように、図中右側からラックレール36の噛合面36aと噛合するように配置されると共に、2つの押えローラ42bは、図中左側からラックレール36の側面と接触して、ラックレール36をピニオンギア42aに押し付けるように配置されている。
【0064】
それにより、ピニオンギア42aを回動させることによって、搬器38をレール34に沿って鉛直方向に昇降させることができるようになっている。
【0065】
一方、このようなエレベータ32が設置される昇降路の最下部(例えば、クレーン2の地上部)には、
図1及び
図2に示すように、送電コイル172と送電ユニット171が設けられ、送電コイル172は送電ユニット171と接続され、送電ユニット171は電源191に接続されている。
【0066】
送電コイル172は、
図2に示すように、その送電面172aが、搬器38が昇降路の最下部に位置した際に、送電コイル172の駆動部42の背面に設けられた受電コイル173の受電面と所定の間隔をおいて対向するように配置されている。
【0067】
また、このようなエレベータ32が設置される昇降路における搬器38の停止位置(例えば、クレーン2の地上部とマスト4の最上部)には、搬器38をその位置に呼ぶためのボタン等が設けられた乗場操作盤151と送信機152(テレメータ装置)が設けられ、乗場操作盤151は送信機152に接続されている。
【0068】
次に、本実施の形態に係るエレベータ32の機能及び動作について説明する。
【0069】
本実施の形態に係るエレベータ32は、搬器38を動作させるために必要な電力が、磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段を用いて、地上部に設置された外部の電源191から搬器38に供給されるようになっている。
【0070】
ここで、磁界共鳴方式の非接触電力伝送とは、送電側コイルと受電側コイルで共振回路の共振周波数を一致させることによって、送電側コイルに電流を流して発生した磁場の振動が、送電側コイルに接近した受電側コイルに伝わり、受電側コイルが共鳴(共振)することによって電力を発生させるようにしたものである。
【0071】
本実施の形態に係るエレベータ32は、
図4に示すように、送電側の機器である送電ユニット171と送電コイル172、及び、受電側の機器である受電コイル173と受電ユニット174から構成された非接触電力伝送手段を備えている。
【0072】
そして、送電ユニット171が、電源191から入力された電力(例えば、AC200V)を用いて、送電コイル172から磁場の振動を発生させ、受電ユニット174が、受電コイル173が送電コイル172に接近した際に、送電コイル172の磁場の振動と共鳴する受電コイル173から電力を発生させて出力するようになっている。
【0073】
そして、受電ユニット174から出力された電力(例えば、DC24V)は、
図4に示すように、動力線201を介して、主蓄電器121と補助蓄電器122に入力されて、それぞれの蓄電器に蓄積される。
【0074】
このとき、これらの蓄電器(主蓄電器121と補助蓄電器122)の充電は、蓄電器の過充電を防止して適切な蓄電量を維持するために、制御回路111(PLC:プログラマブルコントローラ)によって制御されている。
【0075】
すなわち、それぞれの蓄電器(主蓄電器121と補助蓄電器122)は、蓄電量に応じた信号204を制御回路111に対して出力し、受電ユニット174は、自身が受電状態にあるかどうかの信号203を制御回路111に対して出力し、制御回路111は、蓄電量を基にその蓄電器が充電可能かどうかを判断し、その蓄電器が充電可能であり、かつ、受電ユニット174が受電状態であれば、受電ユニット174に対して電力の出力を許可する信号203を出力し、蓄電器の充電を許可するようにスイッチMS1,MS2を切り替えるようになっている。
【0076】
本実施の形態に係るエレベータ32においては、このようにして充電された蓄電器(主蓄電器121と補助蓄電器122)に蓄積された電力を用いて、搬器38の昇降等の、所定の操作に応じた動作をさせるようになっている。
【0077】
ここで、主蓄電器121は、ピニオンギア42aを回動させる電動機101を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器であり、補助蓄電器122は、搬器38の電動機101以外の機器を動作させるための電力が蓄積される蓄電器である。
【0078】
例えば、搬器38の荷台部40に乗り込んだ人間が籠内操作盤40dを操作した場合は、
図4に示すように、その操作信号が制御回路111に入力され、制御回路111は、その操作内容に応じて、主蓄電器121に対して電力の出力(放電)を許可するようにスイッチMS1を切り替え、電動機101に対する電力の供給を許可するようにスイッチMCを切り替える。
【0079】
それにより、主蓄電器121から出力された電力は、動力線201を介して、インバータ131に入力されて、インバータ131によって変換(例えば、AC200V)された後に、インバータ132を経て電動機101に入力される。
【0080】
そして、入力された電力によって電動機101が駆動し、駆動する電動機101によってピニオンギア42aが回動し、回動するピニオンギア42aがレール34のラックレール36の噛合面36aと噛合することにより、搬器38がレール34に沿って鉛直方向に昇降するようになっている。
【0081】
また、搬器38の外部、すなわち、エレベータ32の昇降路側にいる人間が乗場操作盤151を操作した場合は、
図4に示すように、その操作信号は送信機152に入力され、送信機152は、無線通信手段(例えば、特定小電力無線通信)を用いて、搬器38に設けられた受信機153と接続し、乗場操作盤151の操作信号を搬器38に対して送信する。
【0082】
そして、受信機153は、送信機152から送信された操作信号を受信して、制御回路111に対して出力し、制御回路111は、籠内操作盤40dにおける操作時と同様に、その操作内容に応じて、搬器38を昇降させることができるようになっている。
【0083】
また、本実施の形態に係るエレベータ32の搬器38は、
図4に示すように、外部の電源と有線で接続して充電することができる予備蓄電器181を備えており、緊急時には、予備蓄電器181を電源191と有線で接続して直接充電し、その電力を用いて、電動機101を駆動させたり、他の蓄電器(主蓄電器121と補助蓄電器122)を充電したりすることができるようになっている。
【0084】
また、本実施の形態に係るエレベータ32は、搬器38が下降する際の運動エネルギーの一部を電気エネルギーに変換して蓄積し、蓄積された電力を搬器38の動力に再利用するような、エネルギーの回生機能を備えている。
【0085】
すなわち、電動機101は、電力が入力されることにより駆動軸が回動するような一般的な電動機の機能を備えると共に、駆動軸に対して回転動作が入力されることによって電力を発生する発電機能を備えている。
【0086】
それにより、
図4に示すように、搬器38の下降時には、搬器38の下降に伴って回動するピニオンギア42aの回転動作が電動機101に入力され、それにより、電動機101が回生電力202を発電して出力し、出力された回生電力202が、インバータ132に入力されて変換(例えば、DC24V)された後に、動力線201を介して、主蓄電器121と補助蓄電器122に入力されて蓄積されるようになっている。
【0087】
また、本実施の形態に係るエレベータ32は、外部の端末162(遠隔監視制御装置)を用いて、エレベータの操作や、エレベータの状態の監視を行うための遠隔監視制御機能を備えている。
【0088】
すなわち、
図4に示すように、搬器38には、通信機161が設けられており、通信機161は、双方向の無線通信手段(例えば、公衆回線163を介したデータ通信等)を用いて、タブレットやノートPCのような端末162との間で通信を行うことができるようになっている。
【0089】
そして、端末162に搭載されたアプリケーションによってエレベータの操作信号を通信機161に送信し、通信機161がその操作信号を制御回路111に対して出力することにより、制御回路111は、籠内操作盤40dにおける操作と同様に、その操作内容に応じて、搬器38を昇降させることができるようになっている。
【0090】
そして、それと同時に、制御回路111がエレベータの各種状態情報(各蓄電器の蓄電量、充放電状態、搬器の現在位置等)を通信機161に対して出力し、通信機161がそれらの状態情報を端末162に送信することにより、端末162に搭載されたアプリケーションによってそれら情報を確認することができるようになっている。
【0091】
このような本実施の形態に係るエレベータ32を用いることにより、昇降路(例えば、クレーン2のマスト4)の高さ寸法が大きくなったとしても、搬器38を安定して動作させることができる。
【0092】
すなわち、本実施の形態に係るエレベータ32は、搬器38を動作させるための電力や操作信号を搬器38に伝えるためのケーブルを有していないため、ケーブルの重量や風によるケーブルの揺動等、昇降路の高さ寸法が大きくなった際に、搬器38の安定動作の妨げとなる要因が生じないため、昇降路の高さによらず搬器38を安定して動作させることができる。
【0093】
そして、外部から搬器38に接続されるケーブルを全て無くすことができるため、ケーブルの損傷に起因するエレベータの停止等の不具合がなくなり、その分、エレベータの修理等の、保守コストの低減を図ることができる。
【0094】
また、本実施の形態に係るエレベータ32を用いることにより、エレベータ32の昇降路の延長(又は短縮)の作業を容易に行うことができる。
【0095】
すなわち、本実施の形態に係るエレベータ32は、エレベータ32の昇降路の延長(又は短縮)する際に、上記のような重量のあるケーブルを取り回す必要がないため、エレベータ32の昇降路の延長(又は短縮)の作業を容易に行うことができる。
【0096】
このような本実施の形態に係るエレベータ32によれば、昇降路の高さによらず搬器が安定して動作することができると共に、ケーブルの損傷に起因する不具合の発生を防止することができ、さらに、昇降路の伸縮作業の煩雑化を防止することができる。
【0097】
また、本実施の形態に係るエレベータ32によれば、上記エネルギーの回生機能を備えることにより、エレベータ32を動作させるために必要な外部電力を節約できるため、エレベータの稼働コストの低減を図ることができる。
【0098】
また、本実施の形態に係るエレベータ32によれば、上記遠隔監視制御機能を備えることにより、例えば、クレーンのオペレータが、クレーン2の運転室6b内でタブレット(端末162)を用いてエレベータ32を遠隔で操作したり、メーカーの保守員が、自社に設置されたノートPC(端末162)を用いて、エレベータの状態を遠隔で監視したりすることができる。
【0099】
そして、それにより、エレベータに不具合が生じた際に、遠隔地から、状況の把握や原因の調査を迅速に行うことができる。
【0100】
なお、本発明は、前記実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる範囲内であれば、種々の変更が可能である。
【0101】
例えば、前記実施の形態に係るエレベータ32においては、搬器38に電力を供給するために、磁界共鳴方式の非接触電力伝送を用いているが、磁界共鳴方式以外の方式を用いた非接触電力伝送手段によって、搬器38に電力が供給されるようにしてもよい。
【0102】
また、前記実施の形態に係るエレベータ32においては、送信機152と受信機153は、特定小電力無線通信によって通信を行うが、送信機152と受信機153が、その他の等の無線通信手段によって通信できるようにしてもよい。
【0103】
また、前記実施の形態に係るエレベータ32においては、端末162と搬器38の通信機161は、公衆回線163を用いたデータ通信によって互いに通信を行うが、端末162と搬器38の通信機161が、その他の双方向の無線通信手段によって通信できるようにしてもよい。
【0104】
また、前記実施の形態に係るエレベータ32においては、レール34や搬器38は、クレーン2のマスト4の内部空間に配置されているが、レール34や搬器38がその大きさからマスト4の内部空間に配置できない場合は、レール34をクレーン2のマスト4の外壁部に沿うように配置して、そこに搬器38を取り付けることにより、搬器38が、マスト4の外壁部に沿って鉛直方向に昇降するようにしてもよい。
【0105】
さらに、レール34や搬器38が設置される対象は、
図5に示すようなクレーン2のマスト4に限定されず、クレーン2のマスト4以外の場所、例えば、建築物や建設中のビル、土木工事の工事現場等の様々な場所に、仮設常設を問わず、設置して用いてもよい。
【0106】
また、前記実施の形態に係るエレベータ32においては、レール34は、2本のガイドレール35の間に1本のラックレール36が設けられるような構成をしているが、レール34はこのような構成に限定されず、搬器38がレール34に対して前後左右方向の移動が規制され、鉛直方向に移動することができるようなっていれば、どのようなレールの本数又は配置であってもよい。
【0107】
また、前記実施の形態に係るエレベータ32においては、搬器38の荷台部40は、その側部40bが細長い略棒状の部材によって形成されているが、荷台部40はこのような構成に限定されず、例えば、荷台部40が、略板状の部材によって周囲が囲まれるような略箱状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0108】
2 クレーン
3 基礎
4 マスト
4a 柱材
4b 斜材
6 クレーン本体部
6a ジブ
6b 運転室
8 昇降装置
12 エレベータ
14 レール
15 ガイドレール
16 ラックレール
16a 噛合面
18 搬器
20 荷台部
20a 籠内操作盤
22 駆動部
22a ピニオンギア
22b 電動機
22c 制御部
24 乗場操作盤
26 電源
28 電源ケーブル
29 制御ケーブル
32 エレベータ
34 レール
35 ガイドレール
36 ラックレール
36a 噛合面
38 搬器
38a ガイドローラ
40 荷台部
40a 床部
40b 側部
40c 屋根部
40d 籠内操作盤
40e 籠内制御盤
42 駆動部
42a ピニオンギア
42b 押えローラ
42c 内部制御盤
101 電動機
111 制御回路
121 主蓄電器
122 補助蓄電器
131 インバータ
132 インバータ
151 乗場操作盤
152 送信機
153 受信機
161 通信機
162 端末
163 公衆回線
171 送電ユニット
172 送電コイル
173 受電コイル
174 受電ユニット
181 予備充電器
191 電源
201 動力線
202 回生電力
203,204 信号
MS1,MS2,MC スイッチ
【手続補正書】
【提出日】2022-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備え、
前記非接触電力伝送手段は、送電側コイルと受電側コイルで共振回路の共振周波数を一致させることによって、送電側コイルに電流を流して発生した磁場の振動が、送電側コイルに接近した受電側コイルに伝わり、受電側コイルが共振することによって電力を発生させる磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段である
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記電動機は、前記電動機の駆動軸に対して前記ピニオンギアの回転動作が入力されることによって電力を発生する発電機能を有し、
前記発電機能によって発電された電力が前記蓄電器に蓄積されることによって、
前記搬器の下降時の運動エネルギーの一部を前記搬器の動力に再利用する、エネルギーの回生機能を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記昇降路における前記搬器の停止位置には、乗場操作盤と前記乗場操作盤と接続された送信機が設けられ、
前記送信機は、前記搬器に設けられた受信機と無線通信手段によって接続され、
前記乗場操作盤の操作信号が、前記無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記搬器に設けられた通信機と双方向の無線通信手段によって接続された端末を備え、
前記端末の操作信号が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエレベータ。
【請求項5】
エレベータの状態情報が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器から前記端末に送信され、前記端末で前記状態情報を確認することができる
ことを特徴とする請求項4に記載のエレベータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
上記課題を解決するために、本発明のエレベータは、
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備え、
前記非接触電力伝送手段は、送電側コイルと受電側コイルで共振回路の共振周波数を一致させることによって、送電側コイルに電流を流して発生した磁場の振動が、送電側コイルに接近した受電側コイルに伝わり、受電側コイルが共振することによって電力を発生させる磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段である
ことを特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
このような本発明のエレベータによれば、
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備え、
前記非接触電力伝送手段は、送電側コイルと受電側コイルで共振回路の共振周波数を一致させることによって、送電側コイルに電流を流して発生した磁場の振動が、送電側コイルに接近した受電側コイルに伝わり、受電側コイルが共振することによって電力を発生させる磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段であることにより、
外部から搬器に接続される電源ケーブルを無くすことができるため、昇降路の高さによらず搬器が安定して動作することができると共に、ケーブルの損傷に起因する不具合の発生を防止することができ、さらに、昇降路の伸縮作業の煩雑化を防止することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワークレーン等の大型の構造物や建築物、建設中のビル、土木工事等において、人間や荷物等を高所に移動させるために用いられる仮設の工事用エレベータであって、
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備え、
前記非接触電力伝送手段は、送電側コイルと受電側コイルで共振回路の共振周波数を一致させることによって、送電側コイルに電流を流して発生した磁場の振動が、送電側コイルに接近した受電側コイルに伝わり、受電側コイルが共振することによって電力を発生させる磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段である
ことを特徴とする工事用エレベータ。
【請求項2】
前記電動機は、前記電動機の駆動軸に対して前記ピニオンギアの回転動作が入力されることによって電力を発生する発電機能を有し、
前記発電機能によって発電された電力が前記蓄電器に蓄積されることによって、
前記搬器の下降時の運動エネルギーの一部を前記搬器の動力に再利用する、エネルギーの回生機能を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
【請求項3】
前記昇降路における前記搬器の停止位置には、乗場操作盤と前記乗場操作盤と接続された送信機が設けられ、
前記送信機は、前記搬器に設けられた受信機と無線通信手段によって接続され、
前記乗場操作盤の操作信号が、前記無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の工事用エレベータ。
【請求項4】
前記搬器に設けられた通信機と双方向の無線通信手段によって接続された端末を備え、
前記端末の操作信号が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器に送信される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の工事用エレベータ。
【請求項5】
エレベータの状態情報が、前記双方向の無線通信手段によって、前記搬器から前記端末に送信され、前記端末で前記状態情報を確認することができる
ことを特徴とする請求項4に記載の工事用エレベータ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、タワークレーン等の大型の構造物や建築物、建設中のビル、土木工事等において、人間や荷物等を高所に移動させるために用いられる仮設の工事用エレベータに関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
上記課題を解決するために、本発明のエレベータは、
タワークレーン等の大型の構造物や建築物、建設中のビル、土木工事等において、人間や荷物等を高所に移動させるために用いられる仮設の工事用エレベータであって、
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備え、
前記非接触電力伝送手段は、送電側コイルと受電側コイルで共振回路の共振周波数を一致させることによって、送電側コイルに電流を流して発生した磁場の振動が、送電側コイルに接近した受電側コイルに伝わり、受電側コイルが共振することによって電力を発生させる磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段である
ことを特徴とするものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
このような本発明のエレベータによれば、
タワークレーン等の大型の構造物や建築物、建設中のビル、土木工事等において、人間や荷物等を高所に移動させるために用いられる仮設の工事用エレベータであって、
昇降路に沿って鉛直方向に伸びるように設けられるレールと、前記レールに沿って前記昇降路を昇降可能に設けられた搬器を備え、
前記レールは、鉛直方向に細長く伸びるラックレールを備え、
前記搬器は、前記ラックレールの噛合面と噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアを回動させる電動機と、前記電動機を駆動させるための電力が蓄積される蓄電器を備え、
前記電動機を駆動させるための電力を、外部の電源から前記搬器に対して供給するための非接触電力伝送手段を備え、
前記非接触電力伝送手段は、送電側コイルと受電側コイルで共振回路の共振周波数を一致させることによって、送電側コイルに電流を流して発生した磁場の振動が、送電側コイルに接近した受電側コイルに伝わり、受電側コイルが共振することによって電力を発生させる磁界共鳴方式の非接触電力伝送手段であることにより、
外部から搬器に接続される電源ケーブルを無くすことができるため、昇降路の高さによらず搬器が安定して動作することができると共に、ケーブルの損傷に起因する不具合の発生を防止することができ、さらに、昇降路の伸縮作業の煩雑化を防止することができる。