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特開2023-114259情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114259
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230809BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230809BHJP
   G01C 21/16 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
G01B11/00 A
G01B11/00 H
G08G1/00 X
G01C21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016528
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 純平
(72)【発明者】
【氏名】鮫田 芳富
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩行
【テーマコード(参考)】
2F065
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA09
2F065BB15
2F065CC11
2F065CC40
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF64
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM02
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065QQ41
2F065UU05
2F129AA03
2F129BB07
2F129BB19
2F129BB22
2F129BB26
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH20
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動距離を効果的に推測することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、車両の角速度もしくは加速度を計測する慣性センサと前記車両の移動量を計測する移動量センサとを備え。路面パターンごとに前記慣性情報と前記移動量との関係を示す路面判定用関数に関する路面判定用関数情報と、前記路面パターンごとに前記車両の移動速度を算出する速度算出用関数に関する速度算出用関数情報とをメモリに格納し。プロセッサは、前記慣性センサ及び前記移動量センサから前記慣性情報及び前記移動量を取得し、取得した前記慣性情報及び前記移動量と、前記路面判定用関数情報とに基づいて前記車両が走行する前記路面パターンを判定し、判定された前記路面パターンに対応する前記速度算出用関数情報と、前記慣性情報と、に基づいて前記車両の移動速度を算出し、前記車両の移動速度に基づいて前記車両の移動距離を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に掛かる角速度もしくは加速度を慣性情報として計測する慣性センサと前記車両の移動量を計測する移動量センサとに接続するセンサインターフェースと、
路面パターンごとに前記慣性情報と前記移動量との関係を示す路面判定用関数に関する路面判定用関数情報と、前記路面パターンごとに前記車両の移動速度を算出する速度算出用関数に関する速度算出用関数情報と、を格納するメモリと、
前記センサインターフェースを介して前記慣性センサ及び前記移動量センサから前記慣性情報及び前記移動量を取得し、
取得した前記慣性情報及び前記移動量と、前記メモリに格納されている前記路面判定用関数情報とに基づいて前記車両が走行する前記路面パターンを判定し、
判定された前記路面パターンに対応する前記速度算出用関数情報と、前記慣性情報と、に基づいて前記車両の移動速度を算出し、前記車両の移動速度に基づいて前記車両の移動距離を算出する、
プロセッサと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記慣性センサは、前記車両に掛かる角速度を計測し、
前記プロセッサは、
前記センサインターフェースを介して前記慣性センサから取得した角速度に基づいて、水平軸周りの前記角速度の標準偏差を算出し、
前記標準偏差及び前記移動量で表される点と前記路面判定用関数との距離を算出し、
前記距離に基づいて前記路面パターンを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記標準偏差と前記速度算出用関数とに基づいて前記車両の移動速度を算出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動量センサは、イメージセンサである、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記路面判定用関数は、線形関数である、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記センサインターフェースは、前記車両に積載されている荷物の重量を計測する重量センサに接続し、
前記プロセッサは、前記重量に基づいて、前記路面判定用関数を修正する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
操作の入力を受け付ける操作インターフェースを備え、
前記プロセッサは、前記操作インターフェースを通じて、前記路面パターンを判定する際に対象とする前記路面パターンの個数の入力を取得する、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、所定の期間において同一の前記路面パターンを判定した場合、判定された前記路面パターンに基づいて前記車両の移動距離を算出する、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記センサインターフェースは、前記車両が走行する路面との距離である路面距離を計測する距離センサに接続し、
前記プロセッサは、
前記路面距離に基づいて、評価値を算出し、
判定された前記路面パターンと前記評価値とが整合する場合、判定された前記路面パターンに基づいて前記車両の移動距離を算出する、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記メモリは、前記車両の位置を示す位置情報を格納し、
前記プロセッサは、前記車両の移動距離に基づいて前記車両の位置を示す位置情報を更新する、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
他の装置と接続する通信インターフェースを備え、
前記プロセッサは、前記通信インターフェースを通じて、基準位置を示す基準位置情報を受信した場合、前記基準位置情報に基づいて、前記位置情報を更新する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
プロセッサによって実行される情報処理方法であって、
車両に掛かる角速度もしくは加速度を慣性情報として計測し、
前記車両の移動量を計測し、
取得した前記慣性情報及び前記移動量と、路面パターンごとに前記慣性情報と前記移動量との関係を示す路面判定用関数に関する路面判定用関数情報とに基づいて前記車両が走行する前記路面パターンを判定し、
判定された前記路面パターンに対応する、前記車両の移動速度を算出する速度算出用関数情報と、前記慣性情報と、に基づいて前記車両の移動速度を算出し、
前記車両の移動速度に基づいて前記車両の移動距離を算出する、
情報処理方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行されるプログラムであって、
前記プロセッサに、
車両に掛かる角速度もしくは加速度を慣性情報として計測する機能と、
前記車両の移動量を計測する機能と、
取得した前記慣性情報及び前記移動量と、路面パターンごとに前記慣性情報と前記移動量との関係を示す路面判定用関数に関する路面判定用関数情報とに基づいて前記車両が走行する前記路面パターンを判定する機能と、
判定された前記路面パターンに対応する、前記車両の移動速度を算出する速度算出用関数情報と、前記慣性情報と、に基づいて前記車両の移動速度を算出する機能と、
前記車両の移動速度に基づいて前記車両の移動距離を算出する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場又はプラントなどの屋内において、搬送車などの車両が用いられている。そのような車両は、屋内で使用されるためGPS(Global Positioning System)を利用することができない。そこで、車両は、自身の移動距離を推測する必要がある。
【0003】
車両が自身の移動距離を推測する手法として、自身の振動と路面(たとえば、コンクリート又は絨毯など)とに応じて移動距離を推定するものがある。
【0004】
しかしながら、従来、車両は、移動中に路面が変化した場合などに適切に移動距離を推測することができないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-166853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するため、移動距離を効果的に推測することができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、センサインターフェースと、メモリと、プロセッサと、を備える。センサインターフェースは、車両に掛かる角速度もしくは加速度を慣性情報として計測する慣性センサと前記車両の移動量を計測する移動量センサとに接続する。メモリは、路面パターンごとに前記慣性情報と前記移動量との関係を示す路面判定用関数に関する路面判定用関数情報と、前記路面パターンごとに前記車両の移動速度を算出する速度算出用関数に関する速度算出用関数情報と、を格納する。プロセッサは、前記センサインターフェースを介して前記慣性センサ及び前記移動量センサから前記慣性情報及び前記移動量を取得し、取得した前記慣性情報及び前記移動量と、前記路面判定用関数情報とに基づいて前記車両が走行する前記路面パターンを判定し、判定された前記路面パターンに対応する前記速度算出用関数情報と、前記慣性情報と、に基づいて前記車両の移動速度を算出し、前記車両の移動速度に基づいて前記車両の移動距離を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る車両システムの構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る車両の構成例を概略的に示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る慣性センサの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るイメージセンサの構成例を示すブロック図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る重量センサの構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る基準位置送信装置の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る路面判定用関数の例を示すグラフである。
図9図9は、第1の実施形態に係る補正後の路面判定用関数の例を示すグラフである。
図10図10は、第1の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図11図11は、第2の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図12図12は、第3の実施形態に係る車両の構成例を概略的に示す図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る距離センサの構成例を示すブロック図である。
図14図14は、第3の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
実施形態に係る車両システムは、車両が移動する移動距離を推測する。車両システムは、車両のセンサからの情報に基づいて車両が走行する路面(コンクリート又は絨毯など)を判定する。車両システムは、判定結果に基づいて、車両の移動距離を推測する。たとえば、車両システムは、判定結果及び車両の角速度などに基づいて車両の移動距離を推測する。
たとえば、車両システムは、工場、倉庫又はプラントなどで用いられる。
【0010】
図1は、実施形態に係る車両システム1000の構成例を示す。図1が示すように、車両システム1000は、基準位置送信装置6及び車両10などから構成される。
【0011】
基準位置送信装置6は、所定の基準位置に設置されている。基準位置送信装置6は、所定の範囲に存在する車両10に対して、自身が設置されている基準位置を示す基準位置情報を無線で送信する。基準位置送信装置6については、後に詳述する。
【0012】
車両10は、通路Rを走行する車両である。車両10は、所定の荷物などを積載して走行する。車両10は、自走するものであってもよい。また、車両10は、オペレータ又はロボットなどによって牽引され又は押されるものであってもよい。
【0013】
図2は、車両10の構成例を概略的に示す。図2では、車両10の進行方向をX軸(水平軸)とし、X軸と水平方向に直交する軸をY軸(水平軸)とする。また、垂直方向をZ軸とする。
【0014】
図2が示すように、車両10は、慣性センサ20、イメージセンサ30、重量センサ40、車体90及び情報処理装置100などを備える。情報処理装置100は、慣性センサ20、イメージセンサ30及び重量センサ40と接続する。
【0015】
車体90は、車両10を構成するベースである。車体90は、移動可能な構造を有する。車体90は、自走する場合、タイヤ及びタイヤを駆動するモータなどから構成される。また、車体90は、自走しない場合、タイヤ及び取っ手などから構成される。
【0016】
車体90には、慣性センサ20、イメージセンサ30、重量センサ40及び情報処理装置100が設置されている。
【0017】
慣性センサ20は、車両10に掛かる角速度及び加速度を測定するセンサである。慣性センサ20は、角速度として、X軸、Y軸及びZ軸周りの角速度を測定する。また、慣性センサ20は、加速度として、X軸、Y軸及びZ軸方向の加速度を測定する。慣性センサ20については、後に詳述する。
【0018】
イメージセンサ30(移動量センサ)は、車両10が走行する路面を撮影するセンサである。イメージセンサ30は、車体90から下方に向かって画像を撮影する。イメージセンサ30は、車両10の移動量を測定するセンサとして機能する。イメージセンサ30については、後に詳述する。
【0019】
重量センサ40は、車両10が積載している荷物の重量を測定するセンサである。たとえば、重量センサ40は、積載台の下部などに設置されている。重量センサ40については、後に詳述する。
【0020】
情報処理装置100は、慣性センサ20、イメージセンサ30及び重量センサ40からの情報に基づいて、車両10が移動した移動距離を推測する。また、情報処理装置100は、車両10の向きを推測する。情報処理装置100は、移動距離及び向きに基づいて車両10の位置を推定する。
【0021】
図3は、情報処理装置100の構成例を示す。図3が示すように、情報処理装置100は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、センサインターフェース16、操作部17及び表示部18などを備える。
【0022】
プロセッサ11と、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、センサインターフェース16、操作部17及び表示部18と、は、データバス又はインターフェースなどを介して互いに接続する。
なお、情報処理装置100は、図3が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、情報処理装置100から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0023】
プロセッサ11は、情報処理装置100全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0024】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0025】
ROM12は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、情報処理装置100の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0026】
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0027】
NVM14は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、情報処理装置100の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0028】
NVM14は、プロセッサ11が路面(路面パターン)を判定するために用いる路面判定用関数を示す路面判定用関数情報を予め格納する。路面判定用関数については、後に詳述する。
【0029】
また、NVM14は、プロセッサ11が車両10の移動速度を算出するための用いる速度算出用関数を示す速度算出用関数情報を予め格納する。速度算出用関数については、後に詳述する。
【0030】
通信部15(通信インターフェース)は、基準位置送信装置6と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部15は、無線で基準位置送信装置6に接続する。たとえば、通信部15は、無線のLAN(Local Area Network)接続、Bluetooth(登録商標)接続又はUWB(Ultra Wide Band)通信などをサポートするインターフェースである。
【0031】
センサインターフェース16は、慣性センサ20、イメージセンサ30及び重量センサ40と通信するためのインターフェースである。たとえば、センサインターフェース16は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
【0032】
なお、センサインターフェース16は、慣性センサ20と通信するためのインターフェースと、イメージセンサ30と通信するためのインターフェースと、重量センサ40と通信するためのインターフェースと、から構成されるものであってもよい。
【0033】
また、センサインターフェース16は、通信部15と一体的に形成されるものであってもよい。
【0034】
操作部17(操作インターフェース)は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部17は、入力された操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。たとえば、操作部17は、ボタン又はタッチパネルなどから構成される。
【0035】
表示部18は、プロセッサ11からの制御に従って種々の情報を表示する。たとえば、表示部18は、ランプ又は液晶モニタから構成される。操作部17がタッチパネルから構成される場合、表示部18は、操作部17としてのタッチパネルと一体的に形成される。
【0036】
次に、慣性センサ20について説明する。
図4は、慣性センサ20の構成例を示す。図4が示すように、慣性センサ20は、慣性情報取得部21及び通信部22などから構成される。慣性情報取得部21と通信部22とは、互いに接続する。
【0037】
慣性情報取得部21は、車両10に掛かる角速度及び加速度を示す慣性情報を取得する。慣性情報は、X軸、Y軸及びZ軸周りの角速度と、X軸、Y軸及びZ軸方向の加速度と、を示す。慣性情報取得部21は、取得された慣性情報を通信部22に送信する。
【0038】
通信部22は、情報処理装置100と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部22は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
通信部22は、慣性情報取得部21からの慣性情報を情報処理装置100に送信する。
【0039】
次に、イメージセンサ30について説明する。
図5は、イメージセンサ30の構成例を示す。図5が示すように、イメージセンサ30は、イメージ取得部31及び通信部32などから構成される。イメージ取得部31と通信部32とは、互いに接続する。
【0040】
イメージ取得部31は、車両10が走行している路面を撮影したイメージを取得する。イメージ取得部31は、カメラなどから構成される。また、イメージ取得部31は、路面を照らすライトなどを備えるものであってもよい。イメージ取得部31は、取得されたイメージを通信部32に送信する。
【0041】
通信部32は、情報処理装置100と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部32は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
通信部22は、イメージ取得部31からのイメージを情報処理装置100に送信する。
【0042】
次に、重量センサ40について説明する。
図6は、重量センサ40の構成例を示す。図4が示すように、重量センサ40は、重量取得部41及び通信部42などから構成される。重量取得部41と通信部42とは、互いに接続する。
【0043】
重量取得部41は、車両10が積載している荷物の重量を取得する。重量取得部41は、取得された重量を通信部42に送信する。
【0044】
通信部42は、情報処理装置100と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部42は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
通信部42は、重量取得部41からの重量を情報処理装置100に送信する。
【0045】
次に、基準位置送信装置6について説明する。
図7は、基準位置送信装置6の構成例を示す。図7が示すように、基準位置送信装置6は、記憶部61及び通信部62などから構成される。記憶部61と通信部62とは、互いに接続する。
【0046】
記憶部61は、基準位置送信装置6が設置されている基準位置を示す基準位置情報を予め格納する。記憶部61は、オペレータからの操作に従って、基準位置情報を更新してもよい。
【0047】
通信部62は、情報処理装置100と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部62は、無線のLAN接続、Bluetooth接続又はUWB接続などをサポートするインターフェースである。
【0048】
通信部62は、記憶部61が格納する基準位置情報を情報処理装置100に送信する。たとえば、通信部62は、所定の間隔で、所定の範囲(基準位置送信装置6から所定の距離の範囲)に存在する情報処理装置100に対して基準位置情報を送信する。
【0049】
次に、路面判定用関数について説明する。
図8は、路面判定用関数の例を示すグラフである。図8では、横軸は、イメージセンサ30が取得したイメージから推定される車両10の移動量(たとえば、単位時間あたりの移動量、m)を示す。縦軸は、慣性情報が示すX軸及びY軸周りの角速度の標準偏差(g)を示す。
【0050】
図8は、グラフ71乃至73を示す。ここでは、グラフ71乃至73は、線形であるものとする。また、グラフ71乃至73は、車両10が荷物を積載していない場合(重量センサ40が0を計測している場合)におけるmとgとの関係を示す。
【0051】
グラフ71は、路面1におけるmとgとの関係を示す。グラフ71は、以下の式で表現される。
【0052】
【数1】
【0053】
グラフ72は、路面2におけるmとgとの関係を示す。グラフ72は、以下の式で表現される。
【0054】
【数2】
【0055】
グラフ73は、路面3におけるmとgとの関係を示す。グラフ73は、以下の式で表現される。
【0056】
【数3】
【0057】
路面判定用関数情報は、グラフ71乃至73の係数を格納する。即ち、路面判定用関数情報は、
【0058】
【数4】
【0059】
を1つの路面のセットとして複数のセットを格納する。ここで、iは、路面を示す。
【0060】
なお、路面判定用関数情報が格納する係数のセットの個数は、2以上であればよく、特定の個数に限定されるものではない。
【0061】
次に、情報処理装置100が実現する機能について説明する。情報処理装置100が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0062】
まず、プロセッサ11は、判定する路面の個数(路面数)を入力する機能を有する。
たとえば、オペレータは、車両10が走行する路面の個数を予め認識している場合、当該個数を路面数として車両10の操作部17などに入力する。
【0063】
プロセッサ11は、入力された路面数に基づいて、路面を判定する。即ち、プロセッサ11は、路面数と同数の路面を判定すると、以後、これまでに判定された路面の中から車両10が走行している路面を判定する。たとえば、プロセッサ11は、路面数として2を入力すると、異なる2つの路面を判定した以降において、判定された2つの路面の何れかを車両10が走行している路面として判定する。
【0064】
また、プロセッサ11は、車両10に掛かる角速度の標準偏差を算出する機能を有する。
【0065】
プロセッサ11は、走行中において、慣性センサ20から慣性情報を取得する。慣性情報を取得すると、プロセッサ11は、慣性情報からX軸及びY軸周りの角速度を取得する。ここでは、プロセッサ11は、所定の期間(たとえば、1秒)におけるX軸及びY軸周りの角速度を取得する。
【0066】
X軸及びY軸周りの角速度を取得すると、プロセッサ11は、X軸周りの角速度とY軸周りの角速度とを合わせた分布の標準偏差(g)を算出する。
【0067】
また、プロセッサ11は、イメージセンサ30からのイメージに基づいて移動量を推定する機能を有する。
【0068】
プロセッサ11は、所定の期間(たとえば、1秒)においてイメージセンサ30からイメージを取得する。イメージを取得すると、プロセッサ11は、所定の期間におけるイメージに基づいて車両10の移動量(たとえば、単位時間あたりの移動量)を算出する。
【0069】
たとえば、プロセッサ11は、異なるタイミングで取得されたイメージ間での画素の濃淡変化からXY平面上の移動量を求める。たとえば、プロセッサ11は、移動量を推定する代表的な手法としてLucas-Kanade法を用いて移動量を求める。
【0070】
なお、プロセッサ11は、移動量の単位として、距離を用いてもよいし、画素数を用いてもよい。
【0071】
また、プロセッサ11は、所定の期間における取得したイメージに基づいてイメージセンサ30が移動量を算出して、プロセッサ11は算出された移動量をイメージセンサ30から取得してもよい。
【0072】
また、プロセッサ11は、車両10に積載されている荷物の重量に基づいて、路面判定用関数を修正する機能を有する。
【0073】
プロセッサ11は、重量センサ40を通じて車両10に積載されている荷物の重量を取得する。なお、プロセッサ11は、重量が所定の閾値以下である場合、係数の補正を行わなくともよい。
【0074】
重量を取得すると、プロセッサ11は、重量に基づいて係数を修正する。
車両10の角速度の標準偏差は、重量が増加するほど抑えられる。従って、プロセッサ11は、重量が増加するほど、gの値が小さくなるように係数を修正する。
【0075】
図9は、プロセッサ11が修正した係数の例を示すグラフである。図9が示す例では、プロセッサ11は、ciを修正したものとする。
【0076】
図9は、グラフ71、グラフ71’及び71’’を示す。
【0077】
グラフ71は、前述の通りである。
【0078】
グラフ71’は、グラフ71の係数であるc1を修正したグラフである。グラフ71’は、車両10が所定の重量の荷物を積載している場合におけるグラフである。図9が示すように、グラフ71’は、グラフ71の下方に形成されている。即ち、グラフ71’のgは、同一のmにおいてグラフ71よりも小さい。
【0079】
グラフ71’’は、グラフ71’よりもさらにc1を修正したグラフである。グラフ71’’は、車両10がより重い重量の荷物を積載している場合におけるグラフである。図9が示すように、グラフ71’’は、グラフ71’の下方に形成されている。即ち、グラフ71’’のgは、同一のmにおいてグラフ71’よりも小さい。
【0080】
プロセッサ11は、他の路面に対応する路面判定用関数の係数も同様に修正する。
【0081】
なお、プロセッサ11は、ai及びbiを修正するものであってもよい。プロセッサ11が係数を修正する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0082】
また、プロセッサ11は、角速度の標準偏差(g)及びイメージからの移動量(m)に基づいて、車両10が走行している路面を判定する機能を有する。
【0083】
ここでは、プロセッサ11は、g及mに最も近い修正後の路面判定用関数を特定する。
たとえば、プロセッサ11は、以下の式に従って、g及びmと修正後の路面判定用関数との距離を算出する。
【0084】
【数5】
【0085】
ここで、diは、距離を示す。また、ai、bi及びciは、修正後の係数を示す。
【0086】
プロセッサ11は、最も距離が小さい修正後の路面判定用関数を特定する。最も距離が小さい修正後の路面判定用関数を特定すると、プロセッサ11は、特定された路面判定用関数に対応する路面を、車両10が走行している路面であると判定する。
【0087】
また、プロセッサ11は、判定された路面に基づいて、車両10の移動距離を算出する機能を有する。
【0088】
路面を判定すると、プロセッサ11は、判定された路面に対応する速度算出用関数を設定する。
【0089】
速度算出用関数は、以下の式で表現される。
【0090】
【数6】
【0091】
ここでは、vは、車両10の移動速度を示す。また、gは、角速度の標準偏差を示す。iは、路面を示す。
【0092】
速度算出用関数情報は、上記の式の係数を格納する。即ち、算出用関数情報は、
【0093】
【数7】
【0094】
を1つの路面のセットとして複数のセットを格納する。
【0095】
プロセッサ11は、設定された速度算出用関数にgを代入して、車両10の速度を算出する。速度を算出すると、プロセッサ11は、速度を時間で積分して、移動距離を算出する。
【0096】
なお、プロセッサ11は、移動量を代入して速度を算出することができる速度算出用関数を設定し、移動量に基づいて車両10の速度を算出してもよい。また、プロセッサ11は、移動量と角速度の標準偏差とを代入して速度を算出することができる速度算出用関数を設定し、移動量及び角速度の標準偏差に基づいて車両10の速度に算出してもよい。
【0097】
また、プロセッサ11は、移動距離に基づいて、車両10の現在の位置を示す位置情報を更新する。たとえば、NVM14は、位置情報を格納する。
【0098】
たとえば、プロセッサ11は、z軸周りの角速度をオフセットで補正し時間で積分することで、車両10の向きを特定する。プロセッサ11は、車両の向き及び移動距離に基づいて車両10の位置を特定し、位置情報を更新する。
【0099】
また、プロセッサ11は、基準位置送信装置6からの基準位置情報に基づいて、位置情報を更新する機能を有する。
【0100】
たとえば、プロセッサ11は、走行中において、通信部15を通じて基準位置情報を受信したかを判定する。基準位置情報を受信したと判定すると、プロセッサ11は、既存の位置情報を、受信された基準位置情報が示す基準位置を車両10の位置として示す位置情報に更新する。
【0101】
次に、情報処理装置100の動作例について説明する。
図10は、情報処理装置100の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0102】
まず、プロセッサ11は、操作部17などを通じて、路面数を入力する(S11)。路面数を入力すると、プロセッサ11は、慣性センサ20から取得されたX軸及びY軸周りの角速度の標準偏差を算出する(S12)。角速度の標準偏差を算出すると、プロセッサ11は、イメージセンサ30からのイメージに基づいて移動量を推測する(S13)。
【0103】
移動量を推測すると、プロセッサ11は、重量センサ40を用いて車両10に積載されている荷物の重量を取得する(S14)。重量を取得すると、プロセッサ11は、重量に基づいて、路面判定用関数の係数を修正する(S15)。
【0104】
路面判定用関数の係数を修正すると、プロセッサ11は、標準偏差及び移動量と各路面判定用関数との距離を算出する(S16)。標準偏差及び移動量と各路面判定用関数との距離を算出すると、プロセッサ11は、算出された距離に基づいて路面を判定する(S17)。
【0105】
路面を判定すると、プロセッサ11は、判定された路面に対応する速度算出用関数を設定する(S18)。速度算出用関数を設定すると、プロセッサ11は、設定された速度算出用関数に基づいて車両10の移動距離を算出する(S19)。
【0106】
移動距離を算出すると、プロセッサ11は、移動距離に基づいて位置情報を更新する(S20)。位置情報を更新すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて基準位置情報を受信したかを判定する(S21)。
【0107】
基準位置情報を受信したと判定すると(S21、YES)、プロセッサ11は、受信された基準位置情報に基づいて位置情報を更新する(S22)。
【0108】
基準位置情報を受信していないと判定した場合(S21、NO)、又は、受信された基準位置情報に基づいて位置情報を更新した場合(S22)、プロセッサ11は、S12に戻る。
【0109】
なお、プロセッサ11は、路面数を入力しなくともよい。この場合、プロセッサ11は、これまでに判定された路面に関わらず、g及びmが最も近い路面判定用関数に対応する路面を車両10が走行している路面として判定する。
【0110】
また、プロセッサ11は、車両10が積載している重量を取得しなくともよい。この場合、プロセッサ11は、路面判定用関数の係数を修正しなくともよい。
【0111】
また、プロセッサ11は、車両10が積載している重量に基づいて角速度の標準偏差(g)を修正してもよい。たとえば、プロセッサ11は、角速度の標準偏差に重量に対応する係数を積算してもよい。
【0112】
また、路面判定用関数は、線形でなくともよい。路面判定用関数の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0113】
また、プロセッサ11は、複数のイメージセンサ30を備えてもよい。たとえば、プロセッサ11は、複数のイメージに基づいてmを算出してもよい。
また、車両10は、車体90に設置されているタイヤの回転を検知するセンサを備えるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、タイヤの回転に基づいてmを算出してもよい。プロセッサ11がmを算出する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0114】
また、慣性センサ20は、車両10に掛かる角速度のみを取得する角速度センサであってもよい。
【0115】
また、プロセッサ11は、角速度の代わりに加速度を用いてgを算出してもよい。
また、車両システム1000は、車両10に情報処理装置100を積載しなくともよい。即ち、情報処理装置100は、車両10の外部に上位装置として配置されるものであってもよい。
【0116】
以上のように構成された車両システムは、車両の角速度の標準偏差及び移動量に基づいて路面を判定する。車両システムは、判定された路面に基づいて移動速度を算出し、車両の移動距離を算出する。その結果、車両システムは、車両の走行中に路面が変化した場合であっても、車両の移動距離を効果的に推測することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る車両システムは、所定の期間において車両10が走行している路面として同一の路面を判定した場合に速度算出用関数を更新する点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0117】
第2の実施形態に係る車両システム1000の構成は、第1の実施形態に係るそれと同様であるため説明を省略する。
【0118】
次に、情報処理装置100が実現する機能について説明する。情報処理装置100が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
また、情報処理装置100は、第1の実施形態に係る情報処理装置100が実現する機能に加えて以下の機能を実現する。
【0119】
プロセッサ11は、所定の期間において同一の路面を判定した場合に、速度算出用関数を更新する機能を有する。
【0120】
路面を判定すると、プロセッサ11は、同一の路面を判定した期間を算出する。当該期間を算出すると、プロセッサ11は、当該期間が所定の閾値(たとえば、数秒から数十秒)を超えたかを判定する。当該期間が所定の閾値を超えたと判定すると、プロセッサ11は、速度の算出に用いる速度算出用関数を、現在の速度算出用関数から判定された路面に対応する速度算出用関数に更新する。
【0121】
当該期間が所定の閾値を超えていないと判定すると、プロセッサ11は、速度の算出に用いる速度算出用関数として、現在の速度算出用関数(現在設定されている速度算出用関数)を維持する。
【0122】
なお、現在の速度算出用関数が設定されていない場合、プロセッサ11は、当該期間の長さに関わらず、判定された路面に対応する速度算出用関数を設定してもよい。
【0123】
次に、情報処理装置100の動作例について説明する。
図11は、情報処理装置100の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0124】
まず、プロセッサ11は、操作部17などを通じて、路面数を入力する(S31)。路面数を入力すると、プロセッサ11は、慣性センサ20から取得されたX軸及びY軸周りの角速度の標準偏差を算出する(S32)。角速度の標準偏差を算出すると、プロセッサ11は、イメージセンサ30からのイメージに基づいて移動量を推測する(S33)。
【0125】
移動量を推測すると、プロセッサ11は、重量センサ40を用いて車両10に積載されている荷物の重量を取得する(S34)。重量を取得すると、プロセッサ11は、重量に基づいて、路面判定用関数の係数を修正する(S35)。
【0126】
路面判定用関数の係数を修正すると、プロセッサ11は、標準偏差及び移動量と各路面判定用関数との距離を算出する(S36)。標準偏差及び移動量と各路面判定用関数との距離を算出すると、プロセッサ11は、算出された距離に基づいて路面を判定する(S37)。
【0127】
路面を判定すると、プロセッサ11は、同一の路面を判定した期間が所定の閾値を超えているかを判定する(S38)。
【0128】
同一の路面を判定した期間が所定の閾値を超えていると判定すると(S38、YES)、プロセッサ11は、速度算出用関数を更新する(S39)。
同一の路面を判定した期間が所定の閾値を超えていないと判定すると(S38、NO)、プロセッサ11は、速度算出用関数を維持する(S40)。
【0129】
速度算出用関数を更新した場合(S39)、又は、速度算出用関数を維持した場合(S40)、プロセッサ11は、速度算出用関数に基づいて車両10の移動距離を算出する(S41)。
【0130】
移動距離を算出すると、プロセッサ11は、移動距離に基づいて位置情報を更新する(S42)。位置情報を更新すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて基準位置情報を受信したかを判定する(S43)。
【0131】
基準位置情報を受信したと判定すると(S43、YES)、プロセッサ11は、受信された基準位置情報に基づいて位置情報を更新する(S44)。
【0132】
基準位置情報を受信していないと判定した場合(S43、NO)、又は、受信された基準位置情報に基づいて位置情報を更新した場合(S44)、プロセッサ11は、S32に戻る。
【0133】
以上のように構成された車両システムは、路面の判定が所定の期間継続する場合に判定された路面に対応する速度算出用関数を用いて車両の移動速度を算出する。その結果、車両システムは、慣性センサ又はイメージセンサへのノイズなどにより瞬時的な路面の誤判定が生じた場合であっても適切に路面を判定することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る車両システムは、路面の凹凸にさらに基づいて路面を判定する点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0134】
図1は、第3の実施形態に係る車両システム1000’の構成例を示す。図1が示すように、車両システム1000’は、基準位置送信装置6及び車両10’などから構成される。
【0135】
図12は、車両10’の構成例を概略的に示す。図12では、車両10’の進行方向をX軸とし、X軸と水平方向に直交する軸をY軸とする。また、垂直方向をZ軸とする。
【0136】
図12が示すように、車両10’は、慣性センサ20、イメージセンサ30、重量センサ40、距離センサ50、車体90及び情報処理装置100などを備える。情報処理装置100は、慣性センサ20、イメージセンサ30、重量センサ40及び距離センサ50と接続する。
【0137】
距離センサ50は、所定の位置(たとえば、距離センサ50が設置されている位置)から路面までの距離(路面距離)を測定するセンサである。距離センサ50は、車体90の下部に下向きに設置されている。距離センサ50については、後に詳述する。
【0138】
情報処理装置100のセンサインターフェース16は、慣性センサ20、イメージセンサ30、重量センサ40及び距離センサ50と通信するためのインターフェースである。
【0139】
次に、距離センサ50について説明する。
図13は、距離センサ50の構成例を示す。図13が示すように、距離センサ50は、距離情報取得部51及び通信部52などから構成される。距離情報取得部51と通信部52とは、互いに接続する。
【0140】
距離情報取得部51は、所定の位置(たとえば、距離センサ50が設置されている位置)から路面までの距離を示す距離情報を取得する。たとえば、距離情報取得部51は、レーザを照射する照射部と路面からの反射したレーザを受光する受光部とから構成される。距離情報取得部51は、照射したレーザが路面で反射し受光部に届くまでの時間に基づいて路面との距離を計測するToF(Time-fo-Flight)方式を採用するものであってもよい。
【0141】
通信部52は、情報処理装置100と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部52は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
通信部52は、距離情報取得部51からの距離情報を情報処理装置100に送信する。
【0142】
次に、情報処理装置100が実現する機能について説明する。情報処理装置100が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
また、情報処理装置100は、第1の実施形態に係る情報処理装置100が実現する機能に加えて以下の機能を実現する。
【0143】
まず、プロセッサ11は、距離センサ50からの距離情報に基づいて、路面の凹凸の特徴を示す評価値を算出する機能を有する。
プロセッサ11は、所定の期間(たとえば、1から数秒)において、距離センサ50から距離情報を取得する。距離情報を取得すると、プロセッサ11は、取得された距離情報に基づいて、路面の凹凸の特徴量を示す評価値を算出する。
【0144】
たとえば、プロセッサ11は、距離の最大値と最小値との差を評価値として算出する。また、プロセッサ11は、距離の標準偏差(又は、分散)を評価値として算出してもよい。プロセッサ11が評価値を算出する方法は、特定の方法に限定されるものではない。また、評価値は、複数の値から構成されるものであってもよい。
【0145】
また、プロセッサ11は、判定された路面と距離情報から算出された評価値とが整合するかを判定する機能を有する。
【0146】
たとえば、NVM14は、各路面の凹凸の特徴を示す評価値を予め格納する。
プロセッサ11は、判定された路面の評価値をNVM14から取得する。評価値をNVM14から取得すると、プロセッサ11は、NVM14から取得された評価値と距離情報から算出された評価値とを比較する。
【0147】
たとえば、プロセッサ11は、両者の差(又は、距離)が所定の閾値以下である場合、両評価値が整合すると判定する。即ち、プロセッサ11は、判定された路面と距離情報から算出された評価値とが整合すると判定する。
【0148】
また、プロセッサ11は、両者の差(又は、距離)が所定の閾値より大きい場合、両評価値が整合しないと判定する。即ち、プロセッサ11は、判定された路面と距離情報から算出された評価値とが整合しないと判定する。
【0149】
また、プロセッサ11は、判定された路面と距離情報から算出された評価値とが整合する場合に、速度算出用関数を更新する機能を有する。
【0150】
判定された路面と距離情報から算出された評価値とが整合すると判定すると、プロセッサ11は、速度の算出に用いる速度算出用関数を、現在の速度算出用関数から判定された路面に対応する速度算出用関数に更新する。
【0151】
また、判定された路面と距離情報から算出された評価値とが整合しないと判定すると、プロセッサ11は、速度の算出に用いる速度算出用関数として、現在の速度算出用関数(現在設定されている速度算出用関数)を維持する。
【0152】
なお、現在の速度算出用関数が設定されていない場合、プロセッサ11は、整合の判定結果に関わらす、判定された路面に対応する速度算出用関数を設定してもよい。
【0153】
次に、情報処理装置100の動作例について説明する。
図14は、情報処理装置100の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0154】
まず、プロセッサ11は、操作部17などを通じて、路面数を入力する(S51)。路面数を入力すると、プロセッサ11は、慣性センサ20から取得されたX軸及びY軸周りの角速度の標準偏差を算出する(S52)。角速度の標準偏差を算出すると、プロセッサ11は、イメージセンサ30からのイメージに基づいて移動量を推測する(S53)。
【0155】
移動量を推測すると、プロセッサ11は、重量センサ40を用いて車両10に積載されている荷物の重量を取得する(S54)。重量を取得すると、プロセッサ11は、重量に基づいて、路面判定用関数の係数を修正する(S55)。
【0156】
路面判定用関数の係数を修正すると、プロセッサ11は、標準偏差及び移動量と各路面判定用関数との距離を算出する(S56)。標準偏差及び移動量と各路面判定用関数との距離を算出すると、プロセッサ11は、算出された距離に基づいて路面を判定する(S57)。
【0157】
路面を判定すると、プロセッサ11は、距離センサ50から距離情報に基づいて路面の凹凸の特徴を示す評価値を算出する(S58)。評価値を算出すると、プロセッサ11は、判定された路面と評価値とが整合するかを判定する(S59)。
【0158】
判定された路面と評価値とが整合すると判定すると(S59、YES)、プロセッサ11は、速度算出用関数を更新する(S60)。
判定された路面と評価値とが整合しないと判定すると(S59、NO)、プロセッサ11は、速度算出用関数を維持する(S61)。
【0159】
速度算出用関数を更新した場合(S60)、又は、速度算出用関数を維持した場合(S61)、プロセッサ11は、速度算出用関数に基づいて車両10の移動距離を算出する(S62)。
【0160】
移動距離を算出すると、プロセッサ11は、移動距離に基づいて位置情報を更新する(S63)。位置情報を更新すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて基準位置情報を受信したかを判定する(S64)。
【0161】
基準位置情報を受信したと判定すると(S64、YES)、プロセッサ11は、受信された基準位置情報に基づいて位置情報を更新する(S65)。
【0162】
基準位置情報を受信していないと判定した場合(S64、NO)、又は、受信された基準位置情報に基づいて位置情報を更新した場合(S65)、プロセッサ11は、S52に戻る。
【0163】
なお、プロセッサ11は、距離情報から算出された評価値に基づいて路面を判定してもよい。この場合、プロセッサ11は、g及びmから判定された路面と評価値から判定された路面とが一致する場合に、速度算出用関数を更新してもよい。
【0164】
以上のように構成された車両システムは、判定された路面と路面の凹凸とが整合した場合に、速度算出用関数を更新する。その結果、車両システムは、より精度よく速度算出用関数を設定することができる。
【0165】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
1…路面、2…路面、3…路面、6…基準位置送信装置、10…車両、10’…車両、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…NVM、15…通信部、16…センサインターフェース、17…操作部、18…表示部、20…慣性センサ、21…慣性情報取得部、22…通信部、30…イメージセンサ、31…イメージ取得部、32…通信部、40…重量センサ、41…重量取得部、42…通信部、50…距離センサ、51…距離情報取得部、52…通信部、61…記憶部、62…通信部、71…グラフ、71’…グラフ、71’’…グラフ、72…グラフ、73…グラフ、90…車体、100…情報処理装置、1000…車両システム、1000’…車両システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14