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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114285
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】浄化処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/02 20230101AFI20230809BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20230809BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20230809BHJP
   C02F 11/10 20060101ALI20230809BHJP
   B01D 53/44 20060101ALI20230809BHJP
   B01D 53/52 20060101ALI20230809BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20230809BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C02F1/02 B ZAB
B09B3/00 302C
C02F1/461 Z
C02F11/10 Z
B01D53/44 110
B01D53/52
B01D53/82
B01D53/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016570
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D002
4D004
4D034
4D059
4D061
【Fターム(参考)】
4D002AA03
4D002AA40
4D002AC10
4D002BA04
4D002CA07
4D002CA09
4D002DA31
4D002EA08
4D002HA08
4D004AA03
4D004AB10
4D004AC05
4D004BA03
4D004CA27
4D004CA47
4D004CA48
4D004CB34
4D004CC20
4D004DA06
4D004DA09
4D034AA26
4D034CA04
4D059AA00
4D059AA07
4D059BB05
4D059CA01
4D059CA14
4D059CA16
4D061DA01
4D061DB01
4D061DB09
4D061DB19
4D061DC03
4D061DC04
4D061DC09
4D061DC15
4D061EA02
4D061EB01
4D061ED03
4D061FA01
4D061FA06
(57)【要約】
【課題】被処理物を清浄に処理することができる浄化処理装置を提供しようとするもの。
【解決手段】被処理物を流動性加熱媒体で熱分解する熱分解槽1と、前記熱分解槽1で発生した気化成分を供給する浄化槽2とを有し、前記浄化槽2では気化成分を活性炭流動床21と活性炭固定床22とで処理するようにした。前記浄化槽2に対して液体中にオゾンを圧入して電気分解する電解機構Eを有し、液体中に前記オゾンから酸素ラジカルを生成させるようにしてもよい。前記熱分解槽1で発生した気化成分中の炭化水素ガスを熱分解槽1の加熱に供するようにしてもよい。前記熱分解槽1で活性炭の再生をするようにしてもよい。前記熱分解槽1の内周側に被処理物の供給ラインLを配置するようにしてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を流動性加熱媒体で熱分解する熱分解槽(1)と、前記熱分解槽(1)で発生した気化成分を供給する浄化槽(2)とを有し、前記浄化槽(2)では気化成分を活性炭流動床(21)と活性炭固定床(22)とで処理するようにしたことを特徴とする浄化処理装置。
【請求項2】
前記浄化槽(2)に対して液体中にオゾンを圧入して電気分解する電解機構(E)を有し、液体中に前記オゾンから酸素ラジカルを生成させるようにした請求項1記載の浄化処理装置。
【請求項3】
前記熱分解槽(1)で発生した気化成分中の炭化水素ガスを熱分解槽(1)の加熱に供するようにした請求項1又は2記載の浄化処理装置。
【請求項4】
前記熱分解槽(1)で活性炭の再生をするようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項5】
前記熱分解槽(1)の内周側に被処理物の供給ライン(L)を配置するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項6】
前記熱分解槽(1)の外周側に浄化槽(2)を配置するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項7】
前記熱分解槽(1)と被処理物の供給ライン(L)と浄化槽(2)とを同心円状に配置するようにした請求項5又は6記載の浄化処理装置。
【請求項8】
前記熱分解槽(1)を昇温するための上方に向かう熱風通路(4)を設けるようにした請求項1乃至7のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項9】
前記熱風通路(4)を略L字状とするようにした請求項8記載の浄化処理装置。
【請求項10】
前記熱風通路(4)の熱風の循環ライン(CL)を形成するようにした請求項8又は9記載の浄化処理装置。
【請求項11】
前記浄化槽(2)の下方にタンク(T)を形成するようにした請求項1乃至10のいずれかに記載の浄化処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被処理物を清浄に処理することができる浄化処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、会社、工場、ホテル、旅館、飲食店、一般家庭等から排出された生ごみその他の廃棄物を、公害が生ずることなく、無害、無臭で炭化処理するための装置に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、会社、工場、ホテル、旅館、飲食店、一般家庭等から排出された生ごみその他の廃棄物の量は極めて多量であり、これらの廃棄物を公害が生ずることなく、無害、無臭で処理することが大きな社会問題になっている。
廃棄物の処理は、一般に、焼却処理、発酵処理、埋立て投棄処理等によって行われている。このような従来の廃棄物処理手段特に焼却処理の場合に、次のような問題が生ずる。即ち、廃棄物の焼却処理時に、排ガス中に存在するダストおよび有害物質が飛散するため、公害を引き起こさずに無煙、無臭で処理することができず、また、処理に際し廃棄物を分別しなければならず、これらの処理のために多額の設備費を要し、処理コストが高騰する上、処理作業が複雑になること等である、というものである。
このような状況に対し、被処理物を清浄に処理することができる浄化処理装置を得たいという要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-51339
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、被処理物を清浄に処理することができる浄化処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の浄化処理装置は、被処理物を流動性加熱媒体で熱分解する熱分解槽と、前記熱分解槽で発生した気化成分を供給する浄化槽とを有し、前記浄化槽では気化成分を活性炭流動床と活性炭固定床とで処理するようにしたことを特徴とする。
この浄化処理装置では、被処理物を流動性加熱媒体で熱分解する熱分解槽(例えば流動性加熱媒体を約600~950℃に昇温)を有するので、被処理物(液体系の排水等の場合)の水分を蒸発させると共に含有有機物等をメタンなどの低級炭化水素やその他気化成分に変化させ、また被処理物(固体系の廃プラスチック片等の場合)の炭素樹脂骨格等を分断してメタンなどの低級炭化水素やその他気化成分に変化させることが出来る。
【0006】
また、熱分解槽で発生した気化成分を供給する浄化槽を有するので、気化した水蒸気やメタンなどの低級炭化水素その他気化成分を槽内に取り込むことが出来る(浄化槽は排ガススクラバー槽として機能する)。
そして、前記浄化槽では気化成分を活性炭流動床と活性炭固定床とで処理するようにしたので、気化成分中に例えば熱分解しそこなった残留有機成分や硫化水素などの異物成分が含まれる場合、これらを活性炭流動床や活性炭固定床の活性炭で吸着濾過して浄化することが出来る。
【0007】
さらに、活性炭流動床と活性炭固定床とを有するので、気化成分中の残留有機成分や異物成分を活性炭流動床で大きく吸着処理し、活性炭固定床で細かく吸着濾過して浄化槽の処理水を高度に清浄化することが出来る。
一般的に、排水処理(水処理)は吸着活性炭量で全体的な処理量が規制されるが、この浄化処理装置は、被処理物を流動性加熱媒体で熱分解する熱分解槽と前記熱分解槽で発生した気化成分を供給する浄化槽とを有しており、液体系の被処理物(排水、廃液)を処理する場合、熱分解槽の熱源(バーナー等)の熱量の容量アップにより排水等の処理量のアップが比較的容易に可能なものであり(排水量20m3/日で60万kcal/hrバーナー に対し、排水量40m3/日で120万kcal/hrバーナー)、また生物処理のような有機汚泥は出ないものである。
【0008】
前記被処理物として、有機成分を含有する排水や固体有機物を例示することが出来る。
被処理物(液体系)として、各種排水や廃液(例えばCOD 約20,000~60,000ppmの高濃度廃液)などを例示することが出来る。被処理物が液体系の各種排水や廃液の場合、気化成分として、水蒸気や、有機物の熱分解成分である低級炭化水素(メタンガス、エタンガス等)などを例示することが出来る。熱分解槽で気化しなかった炭化物や無機成分は、流動性加熱媒体に残留することになる。
【0009】
被処理物(固体系)として、廃プラスチック類の粉砕片、生物処理後の有機汚泥(湿潤体)、食品加工残渣、廃食品類、生ごみ(魚の頭、骨など)、病院などの使用済みの紙おしめ・脱脂綿などの医療廃棄物などを例示することが出来る。被処理物が固体系の場合、気化成分として、有機物の熱分解成分である炭化水素(メタンガス、エタンガス等)などを例示することが出来る。熱分解槽で気化しなかった炭化物や無機成分は、流動性加熱媒体に残留することになる。
【0010】
前記流動性加熱媒体として、金属製やSi-C(熱伝導率 200W/mK)製などの粒体(略球状体、ビーズ状体等)、低融点合金・金属(溶融した金属液体)、溶融食塩(ソルトバス)などを例示することが出来る。低融点金属として、錫(熱伝導率 64W/mK、融点232℃、沸点2,063℃、密度7g/cm3)、鉛(熱伝導率 31W/mK、融点327.5℃、沸点1,750℃、密度11g/cm3)、インジウム(熱伝導率 82W/mK、融点156℃、沸点2,072℃、密度22 g/cm3)、ガリウム(熱伝導率 88W/mK、融点29.78℃、沸点2,208℃、密度6g/cm3)などを例示することが出来る。
【0011】
前記流動性加熱媒体の熱源として、都市ガス(LNG)、プロパンガス、炭化水素ガス(メタンガス)、電熱加熱、誘導加熱(IH)などを例示することが出来る。
熱分解の態様として、炭化物にすることや炭化水素ガス(メタンガス、エタンガスなどの有機物の熱分解ガス)などの可燃物にすることを例示することが出来る。
【0012】
(2)前記浄化槽に対して液体中にオゾンを圧入して電気分解する電解機構を有し、液体中に前記オゾンから酸素ラジカルを生成させるようにしてもよい。
このように、前記浄化槽に対して液体中にオゾンを圧入して電気分解する電解機構を有し、液体中に前記オゾン(O3)から酸素ラジカル(・O)を生成させるようにすると、オゾン(常温で気体であり液面から離脱し易い)を、より活性な酸素ラジカル(・O)として液体中に共存させ、この酸素ラジカル(・O)により浄化槽中に酸化分解作用を及ぼすことが出来る。
すなわち、液面から離脱しようとする性質を有するオゾン(O3)を電気分解して、酸素ラジカル(・O)に変化させることにより、活性度が高い酸素ラジカル(・O)に変換することが出来る。
【0013】
液体中にオゾンを圧入して電気分解すると、オゾン(O3)に及ぼされる電気エネルギーによって酸素ラジカル(・O)になる。O3→O2+・O、O2→・O+・O
オゾン(O3)の酸化電位は 2.07Vであるのに対し、酸素ラジカル(・O)の酸化電位は 2.42Vであり、酸素ラジカル3つが生成すると2.42V×3=7.26Vになる。すなわち、オゾン(O3)の酸化電位2.07Vは、3つの酸素ラジカル(・O)に変化すると酸化電位は2.42V×3=7.26Vと大きなものになる。
【0014】
そして、オゾンの電気分解により生成した活性ラジカル種(・O)は、強い酸化性を有しており、浄化槽中の液体中の有機物(汚れ成分)に対して分解作用を及ぼして浄化していく。
つまり、この酸素ラジカル(・O)により、浄化槽の脱臭、脱色、殺菌をしたり、有機物やアンモニアその他の汚れ成分の分解をすることが出来る。酸素ラジカル(・O)は、浄化槽中の汚れ成分などを最終的に二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)などの無害な物質に変化させる。
【0015】
浄化槽中の液体は一部を排出しつつ、一部はオゾンを供給する電解機構に通水・通液しながら循環するようにすることが出来る。これにより、浄化槽中の清浄処理水を外部に排出しつつ、浄化槽中でオゾンと酸素ラジカルの酸化作用を繰り返し発揮させることが出来る。
また、オゾンの電気分解により生成した活性ラジカル種(・O)の強い酸化性により、浄化槽中の使用済み活性炭の吸着汚れ成分に対して分解作用を及ぼして浄化していく。
オゾン(O3)は、空気中の酸素(O2)を原料としてオゾナイザーにより発生させることが出来る。
【0016】
(3)前記熱分解槽で発生した気化成分中の炭化水素ガスを熱分解槽の加熱に供するようにしてもよい。
このように、熱分解槽で発生した気化成分中の炭化水素ガスを熱分解槽の加熱に供するようにすると、自己(被処理物)から発生した炭化水素ガス(例えばメタンガス)のエネルギーを利用して省エネを図ることが出来る。
具体的には、熱分解槽により被処理物を流動性加熱媒体で熱分解して可燃物に変化させ、流動性加熱媒体(Si-C粒体等)により高濃度廃液や粉砕有機固体(廃プラスチックの粉砕片)等の被処理物を熱分解して炭化物や炭化水素(メタン)等の可燃物に変化させることが出来る。
【0017】
また、得られた炭化水素ガス(例えば廃ウレタンボードを約650℃で熱分解して得たメタンガス)により発電して流動性加熱媒体の昇温に供するようにすると被処理物の内在エネルギーを有効利用することが出来る。
炭化水素ガスを熱分解槽の加熱に供する態様として、熱分解槽のガスバーナーのLNGにメタンガスを混合して燃焼させることや、メタンガスにより発電して電力を得て熱分解槽を電熱加熱に供することなどを例示することが出来る。また、メタンガスを水蒸気改質して得た水素ガスから電力を得ることも例示することが出来る。
そして、被処理物を産廃処分する不要物ではなく自身をエネルギーを産み出す有用物すなわち熱量発生原料に変換して地球環境の保全に資することが出来る。
【0018】
(4)前記熱分解槽で活性炭の再生をするようにしてもよい。
このように、熱分解槽で活性炭の再生をするようにすると、例えば活性炭流動床や活性炭固定床の活性炭を抜き出し、吸着した汚れ成分(有機物等)を熱分解すると共に賦活・再生(例えば約600~950℃に昇温)して浄化槽で再利用することが出来る。
【0019】
(5)前記熱分解槽の内周側に被処理物の供給ラインを配置するようにしてもよい。
このように、熱分解槽の内周側に被処理物の供給ラインを配置するようにすると、被処理物を熱分解槽の下方側に供給し上昇していく過程で加熱作用を及ぼして熱分解していくことが出来る。熱分解槽中には酸素は含まれず、有機物は炭化されることとなる。
前記被処理物の供給ラインとして、高濃度廃液の注入管(ポンプで先端のノズルから熱分解槽に圧入する)や粉砕有機固体の供給ライン(スパイラルコンベア等で熱分解槽に圧入する)を例示することが出来る。
【0020】
(6)前記熱分解槽の外周側に浄化槽を配置するようにしてもよい。
このように、熱分解槽の外周側に浄化槽を配置して流入させるようにすると、昇温された(高温の)熱分解槽の外周側の浄化槽(冷却槽)により周囲の作業者の安全性を担保することが出来る。また、火災のガードになる。
前記浄化槽は、仮に排気ガス中に有機成分が残留していた場合、電解機構から電解水を循環させて、液中に移行した有機成分を酸化分解していくことが出来る。
【0021】
(7)前記熱分解槽と被処理物の供給ラインと浄化槽とを同心円状に配置するようにしてもよい。
このように、熱分解槽と被処理物の供給ラインと浄化槽とを同心円状(同軸状)に配置するようにすると、相互間が一体型となり配管の取り回しやバルブ数やポンプ数の削減をすることができビルトインタイプとして工事を簡略化することが出来る。
【0022】
(8)前記熱分解槽を昇温するための上方に向かう熱風通路を設けるようにしてもよい。
このように、熱分解槽を昇温するための上方に向かう熱風通路を設けるようにすると、熱風発生器などの炎の先端が熱分解槽の下方に当たりにくく熱的衝撃を緩和することが出来る。また、前記熱風通路の外周をタンクにして水(クーラントになる)を満たすことにより熱風の流路を外部空間から熱的に遮断(水中埋込みインナータイプ)して不測の事態(装置外部への温度の流出)からの安全性を担保することが出来る。
【0023】
(9)前記熱風通路を略L字状とするようにしてもよい。
このように、熱風通路を略L字状とするようにすると、(熱風発生器の)熱風を略L字状の部分(例えば耐熱・耐火レンガを配する)に当てて風速を一旦減衰させて上向流とすることができ熱分解槽の下方への熱的衝撃を緩和することが出来る。
【0024】
(10)前記熱風通路の熱風の循環ラインを形成するようにしてもよい。
このようにすると、耐熱性(Si-C製の羽根など)の送風機(シロッコファン、送風ファン、スクリュー状ファン)等を用いて熱風を循環・再利用することにより省エネを図ることが出来る。
【0025】
(11)前記浄化槽の下方にタンクを形成するようにしてもよい。
このように、浄化槽の下方にタンクを形成するようにすると、活性炭流動床や活性炭固定床からの処理水を配管やポンプなしでタンクに移動させることが出来る。これにより、現場での工事が非常に楽になるものである。
【発明の効果】
【0026】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
気化成分中の残留有機成分や異物成分を活性炭流動床で大きく吸着処理し、活性炭固定床で細かく吸着濾過して浄化槽の処理水を高度に清浄化することができるので、被処理物を清浄に処理することができる浄化処理装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の浄化処理装置の実施形態1を説明する断面図。
図2】この発明の浄化処理装置の実施形態2を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、この浄化処理装置は、被処理物を流動性加熱媒体で熱分解する熱分解槽1(流動性加熱媒体を約650℃に昇温した)と、前記熱分解槽1で発生した気化成分を供給する浄化槽2とを有し、前記浄化槽2では気化成分を活性炭流動床21と活性炭固定床22とで処理するようにした。
【0029】
前記被処理物として、有機成分を含有する排水、及び固体有機物を処理した。
有機成分を含有する排水として、COD 約30,000ppmの高濃度廃液を処理した。気化成分として、水蒸気と、有機物の熱分解成分である低級炭化水素(メタンガス)が発生した。熱分解槽1で気化しなかった炭化物や無機成分は、流動性加熱媒体に残留した。
また固体有機物として、廃プラスチックの粉砕片を処理した。気化成分として、有機物の熱分解成分である炭化水素(メタンガス)が発生した。熱分解槽1で気化しなかった炭化物や無機成分は、流動性加熱媒体に残留した。
【0030】
流動性加熱媒体として、Si-C(熱伝導率 200W/mK)製のビーズ状体を用いて行った。また、低融点金属である錫(熱伝導率 64W/mK、融点232℃、沸点2,063℃、密度7g/cm3)を用いても行った。熱分解槽1中の流動性加熱媒体を加熱する熱源として都市ガス(LNG)による熱風発生器を用いた。
【0031】
前記浄化槽2に対して液体中にオゾン(常温で気体であり液面から離脱し易い)を圧入して電気分解する電解機構Eを有し、液体中に前記オゾン(O3)から酸素ラジカル(・O)を生成させるようにした。オゾン(O3)は、空気中の酸素(O2)を原料としてオゾナイザーにより発生させた。
したがって、オゾン(O3)をより活性な酸素ラジカル(・O)として液体中に共存させ、この酸素ラジカル(・O)により浄化槽2中に酸化分解作用を及ぼすことが出来た。すなわち、液面から離脱しようとする性質を有するオゾン(O3)を電気分解して、酸素ラジカル(・O)に変化させることにより、活性度が高い酸素ラジカル(・O)に変換することが出来た。
【0032】
そして、オゾンの電気分解により生成した活性ラジカル種(・O)は、強い酸化性を有しており、浄化槽2中の液体中の有機物(汚れ成分)に対して分解作用を及ぼして浄化していく。つまり、この酸素ラジカル(・O)により、浄化槽2の脱臭、脱色、殺菌をしたり、有機物やアンモニアその他の汚れ成分の分解をすることが出来た。酸素ラジカル(・O)は、浄化槽2中の汚れ成分などを最終的に二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)などの無害な物質に変化させる。
【0033】
浄化槽2中の液体は一部を排出しつつ、一部はオゾンを供給する電解機構Eに通水・通液しながら循環するようにした。これにより、浄化槽2中の清浄処理水を外部に排出しつつ、浄化槽2中でオゾンと酸素ラジカルの酸化作用を繰り返し発揮させることが出来た。
【0034】
前記熱分解槽1の内周側に被処理物の供給ラインLを配置するようにした。前記被処理物の供給ラインLとして、高濃度廃液の注入管(ポンプでノズルの先端3から熱分解槽1に圧入した)と、粉砕有機固体の供給ラインL(スパイラルコンベアS1→S2で熱分解槽1に圧入した)を設けた。なお、高濃度廃液の注入管L(断面 円環状)は、粉砕有機固体の供給ラインL(スパイラルコンベアS2)の外周側に形成した。
したがって、被処理物を熱分解槽1の下方側に供給し上昇していく過程で加熱作用を及ぼして熱分解していくことが出来た。熱分解槽1中には酸素は含まれず、有機物は炭化されることとなった。
【0035】
前記熱分解槽1の外周側に浄化槽2を配置するようにした。したがって、昇温された高温の熱分解槽1の外周側の浄化槽2(冷却槽)により、周囲の作業者の安全性を担保することが出来た。
前記熱分解槽1と被処理物の供給ラインLと浄化槽2とを、同心円状(同軸状)に配置するようにした。したがって、装置の相互間が一体型となり配管の取り回しやバルブ数やポンプ数の削減をすることができ、ビルトイン・タイプとして工事を簡略化することが出来た。
【0036】
次に、この実施形態の浄化処理装置の使用状態を説明する。
この浄化処理装置では、被処理物を流動性加熱媒体で熱分解する熱分解槽1を有するので、被処理物(COD 約30,000ppmの高濃度廃液)の水分を蒸発させると共に含有有機物等をメタンなどの低級炭化水素やその他気化成分に変化させ、また被処理物(廃プラスチックの粉砕片)の炭素樹脂骨格を分断してメタンなどの低級炭化水素やその他気化成分に変化させることが出来た。
【0037】
また、熱分解槽1で発生した気化成分を供給する浄化槽2を有するので、気化した水蒸気やメタンなどの低級炭化水素その他気化成分を槽内に取り込むことが出来た(浄化槽2は排ガススクラバー槽として機能した)。
そして、前記浄化槽2では気化成分を活性炭流動床21と活性炭固定床22とで処理するようにしたので、気化成分中に熱分解しそこなった残留有機成分や硫化水素などの異物成分が含まれても、これらを活性炭流動床21や活性炭固定床22の活性炭で吸着濾過して浄化することが出来た。
【0038】
さらに、活性炭流動床21と活性炭固定床22とを有するので、気化成分中の残留有機成分や異物成分を活性炭流動床21で大きく吸着処理し、活性炭固定床22で細かく吸着濾過して浄化槽2の処理水を高度に清浄化することができ、被処理物を清浄に処理することが出来た。
【0039】
(実施形態2)
次に、実施形態2を上記実施形態との相違点を中心に説明する。
図2に示すように、この浄化処理装置は、熱分解槽1で発生した気化成分は、コンプレッサー・エア(CP Air)により浄化槽2へと供給するようにした。
また、熱分解槽1で気化せず流動性加熱媒体上に残留した炭化物や無機成分は、最終 コンプレッサー・エア(CP Air)で装置外に排出するようにした。
【0040】
さらに、熱分解槽1を昇温するための上方に向かう熱風通路4を設けるようにした。したがって、熱風発生器Bの炎の先端が熱分解槽1の下方に当たりにくく熱的衝撃を緩和することが出来た。
そして、前記熱風通路4の外周をタンクにして水(クーラントになる)を満たすことにより熱風の流路を外部空間から熱的に遮断(水中埋込みインナータイプ)して不測の事態(装置外部への温度の流出)からの安全性を担保することが出来た。
【0041】
その上、前記熱風通路4を略L字状とするようにした。したがって、熱風発生器の熱風を略L字状の部分(耐熱・耐火レンガを配する)に当てて風速を一旦減衰させて上向流とすることができ熱分解槽1の下方への熱的衝撃を緩和することが出来た。
さらに、熱風通路4の熱風を、この装置を出てから耐熱性Si-C製の羽根を有する送風機(装置外部の熱風流路中のシロッコファン)を用いてもとに戻して循環させるようにした。このように、熱風通路4の熱風を外部の循環ラインCLを通して循環するようにしたので、使用済みの熱風を再利用することにより排ガスの廃熱利用をして省エネを図ることが出来た。
【0042】
また、熱分解槽1で活性炭の再生をするようにした。すなわち、活性炭流動床21と活性炭固定床22の活性炭を抜き出し、吸着した汚れ成分(有機物等)を熱分解すると共に賦活・再生して浄化槽2で再利用するようにした。
一方、浄化槽2では、オゾンの電気分解により生成した活性ラジカル種(・O)の強い酸化性により、浄化槽2中の使用済み活性炭の吸着汚れ成分に対して分解作用を及ぼして浄化していった。
さらに、前記浄化槽2の下方にタンクTを形成するようにした。したがって、活性炭流動床21や活性炭固定床22からの処理水を配管やポンプなしでタンクTに移動させることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0043】
被処理物を清浄に処理することができることによって、種々の浄化処理装置の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 熱分解槽
2 浄化槽
4 熱風通路
21 活性炭流動床
22 活性炭固定床
E 電解機構
CL 熱風の循環ライン
L 供給ライン
T タンク
図1
図2