(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114290
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】接合金物及びそれを用いた屋根構造
(51)【国際特許分類】
E04B 7/04 20060101AFI20230809BHJP
E04B 7/20 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
E04B7/04 A
E04B7/20 521B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016577
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514131098
【氏名又は名称】株式会社ハウスギア
(71)【出願人】
【識別番号】506050226
【氏名又は名称】株式会社マツザワ瓦店
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長津 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】久積 綾那
(72)【発明者】
【氏名】中安 誠明
(72)【発明者】
【氏名】山本 一成
(72)【発明者】
【氏名】松澤 考宏
(57)【要約】
【課題】接合部分のせん断性能を向上できる接合金物及びそれを用いた屋根構造を提供する。
【解決手段】屋根の横架材と垂木部材とを接合するための接合金物であって、互いに対向するように配置された第1及び第2横架材接合壁111,112、並びに第1及び第2横架材接合壁111,112の上端間を接続する横架材被壁113を有する横架材接合部11と、互いに対向するように配置された第1及び第2垂木部材接合壁121,122、並びに第1及び第2垂木部材接合壁121,122の下端間を接続する垂木部材受壁123を有し、横架材接合部11と一体に設けられた垂木部材接合部12とを備え、横架材被壁113の少なくとも一部と垂木部材受壁123とが同一平面上で一体に延在されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の横架材と垂木部材とを接合するための接合金物であって、
互いに対向するように配置された第1及び第2横架材接合壁、並びに前記第1及び第2横架材接合壁の上端間を接続する横架材被壁を有する横架材接合部と、
互いに対向するように配置された第1及び第2垂木部材接合壁、並びに前記第1及び第2垂木部材接合壁の下端間を接続する垂木部材受壁を有し、前記横架材接合部と一体に設けられた垂木部材接合部と
を備え、
前記第1及び第2横架材接合壁並びに前記横架材被壁によって形成される第1溝内に前記横架材が挿入され、前記横架材の上面に前記横架材被壁を被せた状態で前記横架材の側面に前記第1及び第2横架材接合壁が接合されるとともに、前記第1及び第2垂木部材接合壁並びに前記垂木部材受壁によって形成される第2溝内に前記垂木部材が挿入され、前記垂木部材の下面を前記垂木部材受壁で受けた状態で前記垂木部材の側面に前記第1及び第2垂木部材接合壁が接合されるように適合されており、
前記横架材被壁の少なくとも一部と前記垂木部材受壁とが同一平面上で一体に延在されている、
接合金物。
【請求項2】
前記横架材被壁は、前記第1及び第2横架材接合壁に直交する面に対して傾斜して延在された傾斜壁を有しており、
前記傾斜壁が前記垂木部材受壁と同一平面上で一体に延在されている、
請求項1に記載の接合金物。
【請求項3】
前記横架材被壁は、前記第1横架材接合壁の上端から前記第1横架材接合壁に直交する面に沿って延在された直交壁をさらに有しており、
前記傾斜壁は、前記直交壁の先端と前記第2横架材接合壁の上端との間に設けられている、
請求項2に記載の接合金物。
【請求項4】
前記垂木部材接合部は、前記第1及び第2横架材接合壁の離間方向に係る前記横架材接合部の少なくとも一方の外側に設けられており、
前記垂木部材受壁は、前記横架材被壁から前記離間方向に係る少なくとも一方に延出されている、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の接合金物。
【請求項5】
前記垂木部材受壁は、前記傾斜壁の下側の一端から延出されている、
請求項2又は3を引用する請求項4に記載の接合金物。
【請求項6】
前記垂木部材受壁は、前記第1及び第2垂木部材接合壁の下端間を接続する垂木部材受壁本体と、前記垂木部材受壁本体と前記横架材被壁とを接続する接続壁とを有しており、
前記接続壁の少なくとも一方の側部にはリブが設けられている、
請求項4又は5に記載の接合金物。
【請求項7】
前記垂木部材受壁は、前記第1及び第2垂木部材接合壁の下端間を接続する垂木部材受壁本体と、前記垂木部材受壁本体と前記横架材被壁とを接続する接続壁とを有しており、
前記接続壁の幅は、前記垂木部材受壁本体の幅よりも広い、
請求項4又は5に記載の接合金物。
【請求項8】
前記垂木部材接合部は、前記第1及び第2横架材接合壁の離間方向に係る前記横架材接合部の内側に設けられており、
前記横架材被壁の少なくとも一部が前記垂木部材受壁を兼ねている、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の接合金物。
【請求項9】
前記垂木部材受壁の側方には、前記第1溝に連通する切り欠きが設けられており、
前記横架材被壁は、前記第1及び第2横架材接合壁の少なくとも一方の上端から前記切り欠きに向かって延出されたリップ部を含む、
請求項8に記載の接合金物。
【請求項10】
前記第1及び第2横架材接合壁には、前記第1及び第2横架材接合壁の幅方向に互いに離間して配置され、前記横架材を貫通するボルトがそれぞれ通されるように適合された第1及び第2ボルト孔が設けられている、
請求項1から9までのいずれか1項に記載の接合金物。
【請求項11】
前記第1及び第2垂木部材接合壁には、前記垂木部材を貫通するボルトが通されるように適合された第3ボルト孔が設けられている、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の接合金物。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の接合金物と、
前記接合金物によって接合された横架材及び垂木部材と
を備える、
屋根構造。
【請求項13】
前記横架材及び垂木部材の少なくとも一方には、ボルトが通される貫通孔が予め設けられている、
請求項10又は11を引用する請求項12に記載の屋根構造。
【請求項14】
前記垂木部材は、野地板及び屋根材とともにユニット化された屋根パネルユニットの一部を構成している、
請求項12又は13に記載の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根の横架材と垂木部材とを接合するための接合金物及びそれを用いた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の接合金物としては、例えば下記の特許文献1に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来構成では、屋根の横架材と垂木部材とをL型金物によって接合している。L型金物の各片は、横架材及び垂木部材の側面にそれぞれ接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来構成では、L型金物の各片が横架材及び垂木部材の側面にそれぞれ接合されているだけなので、地震等の振動を受けた際、特に金物の屈曲部分の角度が減る方向に関しての角度保持能力が低く、接合部分のせん断性能に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、接合部分のせん断性能を向上できる接合金物及びそれを用いた屋根構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る接合金物は、一実施形態において、屋根の横架材と垂木部材とを接合するための接合金物であって、互いに対向するように配置された第1及び第2横架材接合壁、並びに第1及び第2横架材接合壁の上端間を接続する横架材被壁を有する横架材接合部と、互いに対向するように配置された第1及び第2垂木部材接合壁、並びに第1及び第2垂木部材接合壁の下端間を接続する垂木部材受壁を有し、横架材接合部と一体に設けられた垂木部材接合部とを備え、第1及び第2横架材接合壁並びに横架材被壁によって形成される第1溝内に横架材が挿入され、横架材の上面に横架材被壁を被せた状態で横架材の側面に第1及び第2横架材接合壁が接合されるとともに、第1及び第2垂木部材接合壁並びに垂木部材受壁によって形成される第2溝内に垂木部材が挿入され、垂木部材の下面を垂木部材受壁で受けた状態で垂木部材の側面に第1及び第2垂木部材接合壁が接合されるように適合されており、横架材被壁の少なくとも一部と垂木部材受壁とが同一平面上で一体に延在されている。
【0007】
本発明に係る屋根構造は、一実施形態において、上述の接合金物と、接合金物によって接合された横架材及び垂木部材とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の接合金物及びそれを用いた屋根構造の一実施形態によれば、横架材被壁の少なくとも一部と垂木部材受壁とが同一平面上で一体に延在されているので、地震等の振動を受けた際、横架材被壁の少なくとも一部及び垂木部材受壁の面内剛性及び耐力を利用して振動に抵抗でき、接合部材間の角度をより確実に保持でき、接合部分のせん断性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1による接合金物を示す斜視図である。
【
図2】
図1の接合金物を含む屋根構造を示す側面図である。
【
図4】
図3の垂木部材を含む屋根パネルユニットを示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態2による接合金物を示す斜視図である。
【
図6】
図5の接合金物を含む屋根構造を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施の形態3による接合金物を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態4による接合金物を示す斜視図である。
【
図10】
図9の接合金物を含む屋根構造を示す側面図である。
【
図12】本発明の実施の形態5による接合金物を示す斜視図である。
【
図13】
図12の接合金物を含む屋根構造を示す側面図である。
【
図15】本発明の実施の形態6による接合金物を示す斜視図である。
【
図16】
図15の接合金物を含む屋根構造を示す側面図である。
【
図18】本発明の実施の形態7による接合金物を示す斜視図である。
【
図19】
図18の接合金物を含む屋根構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による接合金物1を示す斜視図である。
図1に示す接合金物1は、屋根の横架材と垂木部材とを接合するための部材である。屋根の横架材及び垂木部材については、後に図を用いて説明する。本実施の形態の接合金物1は、1枚の板状部材の成形品である。板状部材は、鋼等の金属板であり得る。しかしながら、溶接等により全体として一体とされていれば、接合金物1の一部が他の部分とは別個の部材により構成されていてもよい。
【0012】
以下、幅方向1w、奥行方向1d及び高さ方向1hとの用語を用いて接合金物1の各部の構成を説明することがある。奥行方向1dに関連して奥及び手前との用語を用い、高さ方向1hに関連して上及び下との用語を用いることもある。これら幅方向1w、奥行方向1d及び高さ方向1hは、互いに直交する方向であってよい。これら幅方向1w、奥行方向1d及び高さ方向1hとの用語は、
図1における接合金物1の向きに基づいて説明のために定義されたものであり、必ずしも接合金物1の使用態様を限定するものではない。これら幅方向1w、奥行方向1d及び高さ方向1hのそれぞれを、より一般的に第1方向、第2方向及び第3方向と呼んでもよい。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の接合金物1は、横架材接合部11と垂木部材接合部12とを有している。横架材接合部11は、横架材に接合されることが意図された部分である。垂木部材接合部12は、垂木部材に接合されることが意図された部分である。垂木部材接合部12は、横架材接合部11と一体に設けられている。横架材接合部11が横架材に接合されるとともに、垂木部材接合部12が垂木部材に接合されることで、接合金物1を介して横架材及び垂木部材が互いに接合され得る。
【0014】
<横架材接合部について>
横架材接合部11は、互いに対向するように配置された第1及び第2横架材接合壁111,112と、これら第1及び第2横架材接合壁111,112の上端間を接続する横架材被壁113とを有している。
【0015】
第1及び第2横架材接合壁111,112は、接合金物1の幅方向1w及び高さ方向1hにそれぞれ延在された壁部であり、接合金物1の奥行方向1dに互いに離間して配置されている。第1及び第2横架材接合壁111,112は、互いに平行に延在されていてよい。
図1において、奥行方向1dに係る奥側に第1横架材接合壁111が配置されており、奥行方向1dに係る手前側に第2横架材接合壁112が配置されている。
【0016】
第2横架材接合壁112の高さは、第1横架材接合壁111の高さよりも低くされている。第1及び第2横架材接合壁111,112の下端を水平面上に載置したとき、第2横架材接合壁112の上端は第1横架材接合壁111の上端よりも下に位置する。
【0017】
第2横架材接合壁112は、幅方向1wに互いに離間して配置された一対の部分壁112a,112bを有している。部分壁112a,112bの間には切り欠き112cが設けられている。幅方向1wに係る切り欠き112cの幅は、同方向に係る後述の垂木部材受壁123(接続壁123b)の幅と一致しているか又はその幅よりも広くてよい。
【0018】
第1及び第2横架材接合壁111,112には、幅方向1wに互いに離間して配置された第1及び第2ボルト孔114,115が設けられている。幅方向1wは、第1及び第2横架材接合壁111,112の幅方向と同義である。後に図を用いて説明するように、これら第1及び第2ボルト孔114,115は、横架材を貫通するボルトがそれぞれ通されるように適合されている。
【0019】
第1ボルト孔114は、第1横架材接合壁111に設けられた第1開口114aと、その第1開口114aと同軸に配置されるとともに第2横架材接合壁112に設けられた第2開口114bとを有している。第1及び第2開口114a,114bの形状は、
図1に示すように異なっていてもよいし、同じであってもよい。同様に、第2ボルト孔115は、第1横架材接合壁111に設けられた第3開口115aと、その第3開口115aと同軸に配置されるとともに第2横架材接合壁112に設けられた第4開口115bとを有している。第3及び第4開口115a,115bの形状は、
図1に示すように異なっていてもよいし、同じであってもよい。第2横架材接合壁112に設けられた第2開口114bと第4開口115bとは、互いに異なる部分壁112a,112bにそれぞれ設けられることができる。
【0020】
幅方向1wに係る第1及び第2ボルト孔114,115の中心位置間の距離は、第1及び第2横架材接合壁111,112の全幅の50%以上に設定されている。第1及び第2横架材接合壁111,112の全幅は、幅方向1wに係る後述の第1溝116の全長と理解してもよい。幅方向1wに関して、第1ボルト孔114と第2ボルト孔115との間に垂木部材接合部12が配置されている。
【0021】
横架材被壁113は、全体として接合金物1の幅方向1w及び奥行方向1dに延在された壁部であり、上述のように第1及び第2横架材接合壁111,112の上端間を接続している。
【0022】
本実施の形態の横架材被壁113は、第1横架材接合壁111の上端から第1横架材接合壁111に直交する面に沿って延在された直交壁113aと、直交壁113aの先端と第2横架材接合壁112の上端との間に設けられ、直交壁113aに対して傾斜して延在された傾斜壁113bとを有している。
【0023】
上述のように第2横架材接合壁112の上端は第1横架材接合壁111の上端よりも下方に位置しており、傾斜壁113bは第2横架材接合壁112に向かうにつれて下がるように傾斜されている。傾斜壁113bは、上側の一端113b1(奥行方向1dに係る直交壁113a側の一端)と、下側の一端113b2(奥行方向1dに係る第2横架材接合壁112側の一端)とを有している。直交壁113aに対する傾斜壁113bの傾斜角度は、水平に対する垂木部材の傾斜角度に応じて決定される。すなわち、傾斜壁113bの傾斜角度が異なる複数の接合金物1が準備されてよく、屋根の勾配に応じた傾斜角度の接合金物1が選定されて使用されてよい。
【0024】
第1及び第2横架材接合壁111,112並びに横架材被壁113は、全体として断面コ字形に配置されており、全体として第1溝116を形成している。第1溝116は、幅方向1wに延びているとともに下向きに開口している。後に図を用いて説明するように、接合金物1は、第1溝116内に横架材が挿入され、横架材の上面に横架材被壁113を被せた状態で横架材の側面に第1及び第2横架材接合壁111,112が接合されるように適合されている。
【0025】
<垂木部材接合部について>
垂木部材接合部12は、互いに対向するように配置された第1及び第2垂木部材接合壁121,122と、これら第1及び第2垂木部材接合壁121,122の下端間を接続する垂木部材受壁123とを有している。
【0026】
第1及び第2垂木部材接合壁121,122は、第1及び第2横架材接合壁111,112の延在面と交わる面に沿って延在された壁部である。好ましくは、第1及び第2垂木部材接合壁121,122は、第1及び第2横架材接合壁111,112の延在面と直交する面に沿って延在されている。本実施の形態の第1及び第2垂木部材接合壁121,122は、接合金物1の奥行方向1d及び高さ方向1hにそれぞれ延在されており、接合金物1の幅方向1wに互いに離間して配置されている。第1及び第2垂木部材接合壁121,122は、互いに平行に延在されていてよい。
【0027】
第1及び第2垂木部材接合壁121,122には、第3ボルト孔124が設けられている。後に図を用いて説明するように、第3ボルト孔124は、垂木部材を貫通するボルトが通されるように適合されている。第3ボルト孔124は、第1垂木部材接合壁121に設けられた第5開口124aと、その第5開口124aと同軸に配置されるとともに第2垂木部材接合壁122に設けられた第6開口124bとを有している。
【0028】
垂木部材受壁123は、全体として接合金物1の幅方向1w及び奥行方向1dに延在された壁部であり、上述のように第1及び第2垂木部材接合壁121,122の下端間を接続している。
【0029】
垂木部材受壁123は、横架材被壁113の少なくとも一部と同一平面上で一体に延在されている。本実施の形態の垂木部材受壁123は、横架材被壁113の傾斜壁113bと同一平面上で一体に延在されている。
【0030】
本実施の形態の垂木部材接合部12は、奥行方向1dに係る横架材接合部11の外側に設けられている。奥行方向1dは、第1及び第2横架材接合壁111,112の離間方向と同義である。垂木部材受壁123は、横架材被壁113から奥行方向1dに係る一方に延出されている。より具体的には、垂木部材受壁123は、幅方向1wにおける横架材被壁113の中央部において、傾斜壁113bと同一面をなすように傾斜壁113bの下側の一端113b2から奥行方向1dに係る手前側に延出されている。垂木部材受壁123は、傾斜壁113bと同様に直交壁113aに対して傾斜して延在されている。垂木部材受壁123は、第2横架材接合壁112から離れるにつれて下がるように傾斜されている。
【0031】
垂木部材受壁123は、第1及び第2垂木部材接合壁121,122の下端間を接続する垂木部材受壁本体123aと、垂木部材受壁本体123aと横架材被壁113とを接続する接続壁123bとを有している。奥行方向1dに係る接続壁123bの長さは、奥行方向1dに係る手前側に配置された第2垂木部材接合壁122の高さ以上に設定されている。換言すると、部分壁112a,112bと第1及び第2垂木部材接合壁121,122とを曲げ戻し、部分壁112a,112b、垂木部材受壁123並びに第1及び第2垂木部材接合壁121,122を同一平面上に位置させたとき、部分壁112a,112bの先端よりも先に第1及び第2垂木部材接合壁121,122が位置されていてよい。
【0032】
第1及び第2垂木部材接合壁121,122並びに垂木部材受壁123は、全体として断面コ字形に配置されており、全体として第2溝125を形成している。高さ方向1hに沿って接合金物1を見たとき、第2溝125は第1溝116の延在方向と交わる方向に延在されている。好ましくは、高さ方向1hに沿って接合金物1を見たとき、第2溝125は第1溝116の延在方向と直交する方向に延在されている。また、第2溝125は、高さ方向1hに関して第1溝116と逆向きに開口している。本実施の形態の第2溝125は、奥行方向1dに延びているとともに上向きに開口している。後に図を用いて説明するように、接合金物1は、第2溝125内に垂木部材が挿入され、垂木部材の下面を垂木部材受壁123で受けた状態で垂木部材の側面に第1及び第2垂木部材接合壁121,122が接合されるように適合されている。
【0033】
次に、
図2は
図1の接合金物1を含む屋根構造を示す側面図であり、
図3は
図2の屋根構造を示す平面図である。
図2及び
図3に示すように、本実施の形態1による屋根構造は、上述の接合金物1と、その接合金物1によって接合された横架材2及び垂木部材3とを備えている。
【0034】
屋根は、例えば木造家屋等の木造構造物の一部を構成し得る。横架材2及び垂木部材3は、全体として断面矩形の長手状部材である。
図3のように鉛直方向に沿って横架材2及び垂木部材3を見たとき、横架材2及び垂木部材3はそれぞれの長手方向2a,3aが互いに交わるように配置されている。好ましくは、横架材2の長手方向2aは、垂木部材3の長手方向3aに直交する。横架材2及び垂木部材3は、典型的には木製の部材であるが、例えば角形鋼管等の金属製の部材であってもよい。横架材2は、例えば軒桁又は母屋等の水平方向に延在された部材であり得る。垂木部材3は、横架材2の上方に配置されている。
図2及び
図3には示していないが、垂木部材3の上部には、例えば野地板、防水シート及び屋根材(瓦等)等の他の部材が配置され得る。
【0035】
図2に特に表れているように、本実施の形態の垂木部材3は水平方向に対して傾斜して延在されている。より具体的には、垂木部材3は、長手方向3aに係る一端が他端よりも上方に位置するように傾斜して延在されている。上方に位置する垂木部材3の一端は屋根の棟側に位置し、下方に位置する垂木部材3の他端は屋根の軒側に位置することができる。水平方向に対する垂木部材3の傾斜角度は屋根毎に異なる場合がある。
【0036】
横架材2の上部には、垂木部材3の下部が挿入され得る切欠部20が設けられている。切欠部20は、水平に対する垂木部材3の傾斜角度に合わせて横架材2の上部の角の一部を面取りしたかのような窪みである。切欠部20は、横架材2の全長に亘って形成されていてもよい。図示の形態では、横架材2の幅方向(横架材2の長手方向2aに直交する方向)に係る切欠部20の幅20wは、横架材2の全幅よりも狭くされている。
【0037】
本実施の形態の横架材2の長手方向2aに係る切欠部20の長さ20Lは、同方向に係る垂木部材3の幅3wよりも広く設定されている。
図3に表れているように、切欠部20の長さ20Lは同方向に係る接合金物1の幅1wよりも広く設定されている。切欠部20の側壁によって接合金物1の位置を決めることができるように、切欠部20の長さ20Lは接合金物1の幅1wと同程度であることが好ましい。切欠部20の長さ20Lは、接合金物1の幅1wの103%以上、120%以下とすることができる。なお、接合金物1の幅1w(横架材接合部11の幅)は、垂木部材3の幅3wよりも広い。垂木部材3の幅3wは、第1及び第2垂木部材接合壁121,122の内面間距離と等しい。
【0038】
図2に示すように、切欠部20が設けられている位置において、横架材2の上面21は、横架材2の第1側面221に対して直交して延在する直交面21aと、直交面21aに対して傾斜して延在する傾斜面21bとを有している。傾斜面21bは、直交面21aの先端と横架材2の第2側面222の上端とを接続している。傾斜面21bは、切欠部20の底面を構成している。第2側面222は、横架材2の幅方向に関して第1側面221とは逆側の面である。第2側面222の上端は、第1側面221の上端及び直交面21aよりも下方に位置している。傾斜面21bは、第2側面222に向かうにつれて下がるように傾斜している。傾斜面21bは、垂木部材3の下面31と平行に延在され得る。すなわち、直交面21aに対する傾斜面21bの傾斜角度は、水平に対する垂木部材3の傾斜角度に応じて設定されている。
【0039】
接合金物1は、横架材被壁113の傾斜壁113bが切欠部20内に収まるように横架材2の上に配置されている。また、接合金物1は、横架材2と垂木部材3との間に介在されるように配置されている。接合金物1は、横架材2及び垂木部材3を接合している。図に示すように、第1溝116内に横架材2が挿入され、横架材2の上面21に横架材被壁113を被せた状態で横架材2の側面221,222に第1及び第2横架材接合壁111,112が接合されている。また、第2溝125内に垂木部材3が挿入され、垂木部材3の下面31を垂木部材受壁123で受けた状態で垂木部材3の側面32,33に第1及び第2垂木部材接合壁121,122が接合されている。
【0040】
本実施の形態の屋根構造では、横架材2を貫通する第1及び第2ボルト41,42が第1及び第2横架材接合壁111,112の第1及び第2ボルト孔114,115(
図1参照)にそれぞれ通されることで、第1及び第2横架材接合壁111,112が横架材2の側面221,222に接合されている。同様に、垂木部材3を貫通する第3ボルト43が第1及び第2垂木部材接合壁121,122の第3ボルト孔124(
図1参照)に通されることで、第1及び第2垂木部材接合壁121,122が垂木部材3の側面32,33に接合されている。第1~第3ボルト41~43を通しボルトと呼んでもよい。第1~第3ボルト41~43の先端にはナット41a~43aが取り付けられ得る。
【0041】
横架材2及び垂木部材3の少なくとも一方には、第1~第3ボルト41~43が通される貫通孔が予め設けられていることが好ましい。換言すると、貫通孔は、第1~第3ボルト41~43が通される前に形成されていることが好ましい。貫通孔は、構造物の建築現場で形成されてもよいが、工場において予め形成されていることが好ましい。特に、垂木部材3に貫通孔が予め設けられていることが好ましい。本実施の形態では横架材2及び垂木部材3の両方に貫通孔が予め設けられている。
【0042】
しかしながら、横架材2の側面221,222に対する第1及び第2横架材接合壁111,112の接合方法、並びに垂木部材3の側面32,33に対する第1及び第2垂木部材接合壁121,122の接合方法は任意であり、例えばねじ又はラグスクリューボルト等の他の緊結部材が用いられてもよい。他の緊結部材が用いられる場合、その緊結部材が用いられる部位では、貫通孔が予め設けられていなくてもよい。
【0043】
次に、
図4は
図3の垂木部材3を含む屋根パネルユニット5を示す斜視図である。垂木部材3は単体の部材であってもよいが、本実施の形態の垂木部材3は、野地板50及び屋根材51とともにユニット化された屋根パネルユニット5の一部を構成している。屋根パネルユニット5は、防水シート52等の他の部材も含んでいてよい。説明のために
図4では一部の構成を切り欠いた状態で示している。
【0044】
垂木部材3は、クレーン等により屋根パネルユニット5の全体とともに吊り上げられて横架材2の上方に配置されることができる。垂木部材3が横架材2の上方に配置される前に、接合金物1の横架材接合部11を横架材2に接合しておくことができる。そして、横架材2に接合された接合金物1の第2溝125内に挿入されるように垂木部材3を配置することができる。
【0045】
本実施の形態のような接合金物1及びそれを用いた屋根構造では、横架材被壁113の少なくとも一部と垂木部材受壁123とが同一平面上で一体に延在されているので、地震等の振動を受けた際、横架材被壁113の少なくとも一部及び垂木部材受壁123の面内剛性及び耐力を利用して振動に抵抗できる。このため、従来のL型金物と比較して、接合部材間の角度をより確実に保持でき、接合部分のせん断性能を向上できる。
【0046】
また、横架材被壁113の傾斜壁113bが垂木部材受壁123と同一平面上で一体に延在されているので、垂木部材3が水平に対して傾斜して配置される屋根においても、より確実に接合部分のせん断性能を向上できる。
【0047】
また、横架材被壁113が直交壁113aをさらに有するので、横架材接合部11の剛性を向上でき、より確実に接合部分のせん断性能を向上できる。
【0048】
また、垂木部材受壁123が横架材被壁113から延出されているので、横架材被壁113の少なくとも一部と垂木部材受壁123とを別個に設けることができる。これにより、振動の抵抗に利用できる面内剛性及び耐力を多く確保でき、より確実に接合部分のせん断性能を向上できる。
【0049】
また、
図1に示す形態のように垂木部材受壁123が傾斜壁113bの下側の一端113b2から延出されることで、垂木部材受壁123が傾斜壁113bの上側の一端113b1から延出される場合と比較して、垂木部材受壁123を短くすることができる。これにより、振動を受けた際の垂木部材受壁123の局所的な変形を抑え、より確実に接合部分のせん断性能を向上できる。
【0050】
また、第1及び第2横架材接合壁111,112の幅方向に互いに離間して配置され、横架材2を貫通する第1及び第2ボルト41,42がそれぞれ通されるように適合された第1及び第2ボルト孔114,115が第1及び第2横架材接合壁111,112に設けられているので、第1及び第2ボルト41,42により第1及び第2横架材接合壁111,112を横架材2に容易に接合することができる。また、第1及び第2横架材接合壁111,112の幅方向に第1及び第2ボルト孔114,115が離間して配置されているので、振動を受けた際に横架材被壁113が回転することを抑えることができ、より確実に接合部分のせん断性能を向上できる。さらに、接合作業時に下からの目視により施工状態を確認することが可能となる。
【0051】
また、垂木部材3を貫通する第3ボルト43が通されるように適合された第3ボルト孔124が第1及び第2垂木部材接合壁121,122に設けられているので、第3ボルト43により第1及び第2垂木部材接合壁121,122を垂木部材3に容易に接合することができる。また、いくつかの第3ボルト43を垂木部材3に差し込み、それらの第3ボルト43を垂木部材3の仮止めとして利用することにより、垂木部材3を吊り上げるクレーンの時間的拘束を減らして施工効率を高めることができる。さらに、接合作業時に下からの目視により施工状態を確認することが可能となる。
【0052】
また、横架材2及び垂木部材3の少なくとも一方に第1~第3ボルト41~43が通される貫通孔が予め設けられているので、横架材2及び垂木部材3を配置する位置の精度を向上できる、精度が高い構造を実現できる。特に、垂木部材3に第3ボルト43が通される貫通孔が予め設けられていることで、垂木部材3を吊り上げるクレーンの時間的拘束を減らして施工効率を高めることができる。さらに、接合作業時に下からの目視により施工状態を確認することが可能となる。
【0053】
また、野地板50及び屋根材51とともにユニット化された屋根パネルユニット5の一部を垂木部材3が構成していてもよい。垂木部材3が屋根パネルユニット5の一部を構成しているとき、下からの目視により施工状態を確認することが可能となる点は特に有用である。
【0054】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2による接合金物1を示す斜視図であり、
図6は
図5の接合金物を含む屋根構造を示す側面図であり、
図7は
図6の屋根構造を示す平面図である。実施の形態1では、横架材被壁113が直交壁113a及び傾斜壁113bを有するように説明した。しかしながら、
図5~
図7に示すように、直交壁113aが省略されて、横架材被壁113の全体が傾斜壁113bによって構成されてもよい。このとき、横架材被壁113の全体が垂木部材受壁123と同一平面上で一体に延在されてよい。また、実施の形態1では、切欠部20の幅20wが横架材2の全幅よりも狭くされ、横架材2の上面21が直交面21aを有するように説明したが、横架材2の上部の形状は適宜変更可能である。本実施の形態2の接合金物1を用いる場合、切欠部20の幅20wが横架材2の全幅と一致され、切欠部20の位置において横架材2の上面21が傾斜面21bのみによって構成されてもよい。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0055】
このように、直交壁113aが省略されて、横架材被壁113の全体が傾斜壁113bによって構成されてもよい。
【0056】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3による接合金物1を示す斜視図である。
図8に示すように、垂木部材受壁123の接続壁123bの少なくとも一方の側部にリブ126を設けることもできる。
図8に示す形態では接続壁123bの両側の側部にリブ126が設けられている。しかしながら、リブ126は片側の側部のみに設けられてもよい。
【0057】
リブ126は、接続壁123bの延在面と交わる方向に接続壁123bの側部から突出されている。リブ126は、接続壁123bの延在面と直交していることが好ましい。図示の形態では、リブ126は、接続壁123bの全長(奥行方向1dに関して、傾斜壁113b側に位置する接続壁123bの基端と、垂木部材受壁本体123a側に位置する接続壁123bの先端との間の全域)に渡って延在されている。しかしながら、リブ126は、接続壁123bの全長の一部のみに設けられていてもよい。また、リブ126は、接続壁123bの全長に一続きに設けられることに代えて、接続壁123bの長さ方向(奥行方向1d)に離間して設けられた複数の部分リブを有していてもよい。リブ126の高さは、第1及び第2垂木部材接合壁121,122の高さよりも低い。リブ126は、接続壁123bから側方に突出された突出片を折り曲げることで形成することができる。第2横架材接合壁112の部分壁112a,112bの間に設けられた切り欠き112cの幅は、突出片の分だけ接続壁123bの幅よりも広くすることができる。その他の構成は実施の形態1,2と同様である。
【0058】
このように、垂木部材受壁123の接続壁123bの少なくとも一方の側部にリブ126が設けられることで、振動を受けた際の垂木部材受壁123の局所的な変形をより確実に抑えることができ、接合部分のせん断性能をさらに向上できる。
【0059】
実施の形態4.
図9は本発明の実施の形態4による接合金物1を示す斜視図であり、
図10は
図9の接合金物1を含む屋根構造を示す側面図であり、
図11は
図10の屋根構造を示す平面図である。実施の形態1では、垂木部材受壁123は傾斜壁113bの下側の一端113b2から延出されるように説明した。しかしながら、
図9~
図11に示すように、垂木部材受壁123は傾斜壁113bの上側の一端113b1から延出されてもよい。本実施の形態4の垂木部材受壁123は、傾斜壁113bと同一面をなすように傾斜壁113bの上側の一端113b1から奥行方向1dに係る奥側に延出されている。
【0060】
特に
図9に表れているように、垂木部材受壁123の接続壁123bの幅を垂木部材受壁本体123aの幅よりも広くすることができる。実施の形態1~3のように垂木部材受壁123が傾斜壁113bの下側の一端113b2から延出されている場合も同様である。接続壁123bの幅は、接続壁123bの延在方向に沿って一様であってもよいが、接続壁123bの延在方向に沿って変化されてもよい。本実施の形態では、垂木部材受壁本体123a側の先端から傾斜壁113b側の基端に向かうにつれて接続壁123bの幅が徐々に広くされている。接続壁123bの先端の幅は垂木部材受壁本体123aの幅と一致されている。接続壁123bの幅は連続的に変化されてもよいし、段階的に変化されてもよい。接続壁123bの幅が連続的に変化されるとき、接続壁123bの側端は接続壁123bの延在方向に対して傾斜して延在される(
図9参照)。
【0061】
第1横架材接合壁111は、幅方向1wに互いに離間して配置された一対の部分壁111a,111bを有している。部分壁111a,111bの間には切り欠き111cが設けられている。幅方向1wに係る切り欠き111cの幅は、同方向に係る垂木部材受壁123の幅よりも広くされている。しかしながら、接続壁123bの幅が垂木部材受壁本体123aの幅と一致されているような場合には、切り欠き111cの幅が垂木部材受壁123の幅と一致していてもよい。第2横架材接合壁112には切り欠き112cが設けられていなくてよい。
【0062】
本実施の形態の垂木部材受壁123の接続壁123bの長さは、奥行方向1dに係る直交壁113aの長さ(L1)に高さ方向1hに係る第1横架材接合壁111の長さ(L2)を加えた長さ(L1+L2)以上に設定されている。換言すると、直交壁113a、部分壁111a,111b並びに第1及び第2垂木部材接合壁121,122を曲げ戻し、直交壁113a、部分壁111a,111b、垂木部材受壁123並びに第1及び第2垂木部材接合壁121,122を同一平面上に位置させたとき、部分壁111a,111bの先端よりも先に第1及び第2垂木部材接合壁121,122が位置されていてよい。その他の構成は実施の形態1~3と同様である。
【0063】
このように、傾斜壁113bの上側の一端113b1から垂木部材受壁123が延出されてもよい。
【0064】
また、垂木部材受壁123の接続壁123bの幅を垂木部材受壁本体123aの幅よりも広くすることができる。接続壁123bの幅が垂木部材受壁本体123aの幅より広いことで、接続壁123bの幅が垂木部材受壁本体123aの幅と同じ場合と比較して、接続壁123bの剛性を向上できる。これにより、振動を受けた際の垂木部材受壁123の局所的な変形をより確実に抑えることができ、接合部分のせん断性能をさらに向上できる。
【0065】
実施の形態5.
図12は本発明の実施の形態5による接合金物1を示す斜視図であり、
図13は
図12の接合金物1を含む屋根構造を示す側面図であり、
図14は
図13の屋根構造を示す平面図である。
図12~
図14に示すように、傾斜壁113bの両側の一端113b1,113b2から垂木部材受壁123がそれぞれ延出されてもよい。すなわち、垂木部材受壁123は、横架材被壁113から第1及び第2垂木部材接合壁121,122の離間方向(奥行方向1d)に係る少なくとも一方に延出されていてよい。その他は、実施の形態1~4と同様である。
【0066】
実施の形態6.
図15は本発明の実施の形態6による接合金物1を示す斜視図であり、
図16は
図15の接合金物1を含む屋根構造を示す側面図であり、
図17は
図16の屋根構造を示す平面図である。実施の形態1~5では接合対象である垂木部材3が水平に対して傾斜して配置される態様について説明した。しかしながら、屋根によっては垂木部材3が水平に延在される場合もある。
図15~
図17に示す本実施の形態6の接合金物1は、水平に延在される垂木部材3と横架材2とを接合するように適合されたものである。
【0067】
本実施の形態6の横架材被壁113は、第1横架材接合壁111に直交する面に沿って延在された直交壁113aが第1横架材接合壁111の上端と第2横架材接合壁112の上端とを接続している。すなわち、実施の形態1~5で説明した傾斜壁113bが省略されており、横架材被壁113の全体が直交壁113aによって構成されている。第2横架材接合壁112の上端は、第1横架材接合壁111の上端と同じ高さに配置されている。
【0068】
本実施の形態6の垂木部材受壁123は、直交壁113aと同一平面上で一体に延在されている。より具体的には、垂木部材受壁123は、幅方向1wにおける横架材被壁113の中央部において、直交壁113aの一端から奥行方向1dに係る手前側に延出されている。垂木部材受壁123は、横架材被壁113の全体と同一平面上で一体に延在されている。
【0069】
図16及び
図17に示すように、垂木部材3は、接合金物1を介して横架材2の上部に載置されている。実施の形態1で説明した切欠部20は省略されている。その他の構成は実施の形態1~5と同様である。
【0070】
このように、垂木部材受壁123が直交壁113aと同一平面上で一体に延在されていてもよい。
【0071】
実施の形態7.
図18は本発明の実施の形態7による接合金物1を示す斜視図であり、
図19は
図18の接合金物1を含む屋根構造を示す側面図であり、
図20は
図19の屋根構造を示す平面図である。実施の形態1~6では、第1及び第2横架材接合壁111,112の離間方向(奥行方向1d)に係る横架材接合部11の外側に垂木部材接合部12が設けられているように説明した。しかしながら、
図18~
図20に示すように、第1及び第2横架材接合壁111,112の離間方向に係る横架材接合部11の内側に垂木部材接合部12が設けられていてもよい。
【0072】
横架材接合部11の内側に垂木部材接合部12が設けられるとき、横架材被壁113の少なくとも一部が垂木部材受壁123を兼ねることができる。図示の形態では、横架材接合部11の傾斜壁113bの一部が垂木部材受壁123を兼ねている。より具体的には、幅方向1wに係る傾斜壁113bの中央部において、上側の一端113b1から所定長さの範囲において傾斜壁113bが垂木部材受壁123を兼ねている。以下、傾斜壁113bの垂木部材受壁123を兼ねている部分を単に垂木部材受壁123と呼ぶことがある。図示の形態では、奥行方向1dに係る垂木部材受壁123の長さは奥行方向1dに係る傾斜壁113bの全長よりも短くされている。しかしながら、奥行方向1dに係る垂木部材受壁123の長さは奥行方向1dに係る傾斜壁113bの全長であってもよい。
【0073】
垂木部材受壁123の側方には、第1溝116に連通する切り欠き61が設けられている。図示の形態では、垂木部材受壁123の両側に切り欠き61が設けられており、切り欠き61の部分の板材が切り起こされることで第1及び第2垂木部材接合壁121,122が形成されている。しかしながら、垂木部材受壁123の片側のみに切り欠き61が形成されていてもよい。換言すると、幅方向1wに係る片側に偏って垂木部材受壁123が配置されてもよい。
【0074】
横架材被壁113は、第1及び第2横架材接合壁111,112の少なくとも一方の上端から切り欠き61に向かって延出されたリップ部62を含むことができる。本実施の形態の横架材被壁113は、第1横架材接合壁111の上端から延出された第1リップ部621(直交壁113a)と、第2横架材接合壁112の上端から延出された第2リップ部622とを含んでいる。垂木部材受壁123は、第1リップ部621の先端と第2リップ部622の先端との間を接続していると理解してもよい。
【0075】
しかしながら、第1及び第2リップ部621,622の少なくとも一方が省略され、第1及び第2横架材接合壁111,112の少なくとも一方の上端から垂木部材受壁123が直接的に延出されていてもよい。その他の構成は実施の形態1~6と同様である。
【0076】
このように、横架材接合部11の内側に垂木部材接合部12が設けられ、横架材被壁113の少なくとも一部が垂木部材受壁123を兼ねてもよい。
【0077】
また、横架材被壁113がリップ部62を含むことにより、リップ部62が省略された形態と比較して横架材接合部11の剛性を向上できる。リップ部62を含む構成は、横架材被壁113が垂木部材受壁123を兼ねる構成において特に有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 :接合金物
11 :横架材接合部
111 :第1横架材接合壁
112 :第2横架材接合壁
113 :横架材被壁
113a :直交壁
113b :傾斜壁
114 :第1ボルト孔
115 :第2ボルト孔
116 :第1溝
12 :垂木部材接合部
121 :第1垂木部材接合壁
122 :第2垂木部材接合壁
123 :垂木部材受壁
123a :垂木部材受壁本体
123b :接続壁
124 :第3ボルト孔
125 :第2溝
126 :リブ
2 :横架材
3 :垂木部材
5 :屋根パネルユニット
50 :野地板
51 :屋根材
41 :第1ボルト(ボルト)
42 :第2ボルト(ボルト)
43 :第3ボルト(ボルト)
61 :切り欠き
62 :リップ部