(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011433
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】地中壁造成用充填材料
(51)【国際特許分類】
E02D 5/18 20060101AFI20230117BHJP
E02D 31/08 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
E02D5/18 102
E02D31/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115275
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英次
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竹史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 英典
【テーマコード(参考)】
2D049
【Fターム(参考)】
2D049EA07
2D049FB06
(57)【要約】
【解決課題】防振性が高く、且つ、地中壁の保持性及び長期安定性が高い地中壁造成用の充填材料を提供すること。
【解決手段】少なくとも、モンモリロナイト粒子と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物と、水と、を含有し、モンモリロナイト粒子の平板状結合物が、立体的三次元方向に繋がると共に、該水を保持する水分保持部を形成する三次元構造を有し、該水分保持部に水が保持されていること、該モンモリロナイト粒子の平板状結合物は、該モンモリロナイト粒子の側部が、該高分子化合物の分子鎖と結合することにより、複数の該モンモリロナイト粒子が、該高分子化合物を介して結合して、形成されていること、を特徴とする地中壁造成用充填材料。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、モンモリロナイト粒子と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物と、水と、を含有し、
モンモリロナイト粒子の平板状結合物が、立体的三次元方向に繋がると共に、該水を保持する水分保持部を形成する三次元構造を有し、該水分保持部に水が保持されていること、
該モンモリロナイト粒子の平板状結合物は、該モンモリロナイト粒子の側部が、該高分子化合物の分子鎖と結合することにより、複数の該モンモリロナイト粒子が、該高分子化合物を介して結合して、形成されていること、
を特徴とする地中壁造成用充填材料。
【請求項2】
前記三次元構造が、積層方向に積層されている層状部と、隣接する該層状部に繋がって架橋している架橋部と、からなり、
該層状部と該架橋部で囲まれることにより、前記水分保持部が形成されていること、
を特徴とする請求項1記載の地中壁造成用充填材料。
【請求項3】
前記分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物が、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体である直鎖型のアニオン性高分子化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の地中壁造成用充填材料。
【請求項4】
前記モンモリロナイト粒子に対する前記分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の質量比(高分子化合物/モンモリロナイト粒子)が、0.02~0.40であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の地中壁造成用充填材料。
【請求項5】
前記地中壁造成用充填材料中の水に対する前記モンモリロナイト粒子の質量比(モンモリロナイト粒子/地中壁造成用充填材料中の水)が、0.020~0.30であることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の地中壁造成用充填材料。
【請求項6】
前記地中壁造成用充填材料中の水に対する前記分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の質量比(高分子化合物/地中壁造成用充填材料中の水)が、0.0010~0.020であることを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の地中壁造成用充填材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤環境振動の伝搬経路対策において、振動遮断壁の造成に用いられる地中壁造成用の充填材料に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤環境振動の伝搬経路対策は、振動を遮断するために用いられ、振動が伝わる地盤に振動を遮断する地中壁を造成するものである。
【0003】
振動を遮断する地中壁の造成方法としては、例えば、特許文献1には、地盤改良域と隣接する既設構造物又は周辺地盤との間に変位吸収用の変位吸収杭を設け、地盤改良に伴う地盤変位や振動を抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、地盤環境振動の伝搬経路対策の地中壁造成用の充填材料には、防振性が要求され、この防振性は、振動が伝わる地盤と振動遮断壁の波動インピーダンス(密度×伝搬速度)の比αに支配される。α<1.0は混合土または泥水壁・発泡壁などであり、α>1.0はソイルセメントや鋼矢板などの剛性壁である。そして、α<<1.0又はα>>1.0で防振性が大きい。また、地中壁の保持性も要求され、また、長期的な安定性が高いことが必要である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に用いられている変位吸収用の変位吸収杭では、防振性が低く、また、長期安定性が不十分であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、防振性が高く、且つ、地中壁の保持性及び長期安定性が高い地中壁造成用の充填材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は、以下の本発明によって、解決される。
すなわち、本発明(1)は、少なくとも、モンモリロナイト粒子と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物と、水と、を含有し、
モンモリロナイト粒子の平板状結合物が、三次元方向に繋がると共に、該水を保持する水分保持部を形成する三次元構造を有し、該水分保持部に水が保持されていること、
該モンモリロナイト粒子の平板状結合物は、該モンモリロナイト粒子の側部が、該高分子化合物の分子鎖と結合することにより、複数の該モンモリロナイト粒子が、該高分子化合物を介して結合して、形成されていること、
を特徴とする地中壁造成用充填材料。
【0009】
また、本発明(2)は、前記三次元構造が、積層方向に積層されている層状部と、隣接する該層状部に繋がって架橋している架橋部と、からなり、
該層状部と該架橋部で囲まれることにより、前記水分保持部が形成されていること、
を特徴とする(1)の地中壁造成用充填材料を提供するものである。
【0010】
また、本発明(3)は、前記分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物が、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体である直鎖型のアニオン性高分子材料であることを特徴とする(1)又は(2)の地中壁造成用充填材料を提供するものである。
【0011】
また、本発明(4)は、前記モンモリロナイト粒子に対する前記分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の質量比(高分子化合物/モンモリロナイト粒子)が、0.02~0.40であることを特徴とする(1)~(3)いずれかの地中壁造成用充填材料を提供するものである。
【0012】
また、本発明(5)は、前記地中壁造成用充填材料中の水に対する前記モンモリロナイト粒子の質量比(モンモリロナイト粒子/地中壁造成用充填材料中の水)が、0.020~0.30であることを特徴とする(1)~(4)いずれかの地中壁造成用充填材料を提供するものである。
【0013】
また、本発明(6)は、前記地中壁造成用充填材料中の水に対する前記分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の質量比(高分子化合物/地中壁造成用充填材料中の水)が、0.0010~0.020であることを特徴とする(1)~(5)いずれかの地中壁造成用充填材料を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、防振性が高く、且つ、地中壁の保持性及び長期安定性が高い地中壁造成用の充填材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の地中壁造成用充填材料の構造を説明するための模式的な断面図である。
【
図2】モンモリロナイト粒子の平板状結合物を説明するための模式図である。
【
図3】実施例1の地中壁造成用充填材料の断面のSEM写真(2000倍)である。
【
図4】実施例1の地中壁造成用充填材料の断面のSEM写真(3000倍)である。
【
図5】ベンダーエレメント試験機を示す模式的なフロー図である。
【
図6】孔壁保持性試験を行う様子を示す模式図である。
【
図8】実施例2の振動低減性評価の結果を示すグラフである。
【
図9】比較例1の振動低減性評価の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の地中壁造成用充填材料は、少なくとも、モンモリロナイト粒子と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物と、水と、を含有し、
モンモリロナイト粒子の平板状結合物が、三次元方向に繋がると共に、該水を保持する水分保持部を形成する三次元構造を有し、該水分保持部に水が保持されていること、
該モンモリロナイト粒子の平板状結合物は、該モンモリロナイト粒子の側部が、該高分子化合物の分子鎖と結合することにより、複数の該モンモリロナイト粒子が、該高分子化合物を介して結合して、形成されていること、
を特徴とする地中壁造成用充填材料である。
【0017】
図1及び
図2を参照して、本発明の地中壁造成用充填材料を説明する。
図1は、本発明の地中壁造成用充填材料の構造を説明するための模式的な断面図である。
図2は、モンモリロナイト粒子の結合物を説明するための模式図である。
図1中、地中壁造成用充填材料1は、モンモリロナイト粒子の平板状結合物2と、モンモリロナイト粒子の平板状結合物2により形成されている水分保持部3に保持されている水(図示しない。)を有する。この地中壁造成用充填材料1では、モンモリロナイト粒子の平板状結合物2は、三次元方向に繋がる構造を有しており、積層方向に積層されている層状部5と、隣接する層状部5を繋ぎ架橋している架橋部6と、からなり、層状部5に、架橋部6が繋がる三次元構造を有している。言い換えると、隣接する層状部5と層状部5の間に、架橋部6が積層方向に広がって架橋して繋がることにより、隣接する層状部5と層状部5の間を支え、水が保持される間隙が保たれると共に、層状部5と層状部5の間の間隙が架橋部6で区切られることで、水分保持部3が形成されている。そして、隣接する層状部5と架橋部6とで水分保持部3が形成されており、水分保持部3に、水が保持されている。なお、
図1では、作図の都合上、水の記載を省略した。
【0018】
図2中、モンモリロナイト粒子の平板状結合物2は、モンモリロナイト粒子11と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物12と、により形成されている。モンモリロナイト粒子11は、平板部がマイナスの電荷を、側部がプラスの電荷を帯びており、平板状のモンモリロナイト粒子11の周辺部を囲むように、プラスの電荷が存在している。それに対して、高分子化合物12は、分子鎖中にアニオン性官能基を有しているので、分子鎖に沿って、マイナスの電荷が点在している。そして、モンモリロナイト粒子11の側部が、高分子化合物12の分子鎖と静電気的に結合して、複数のモンモリロナイト粒子11が、高分子化合物12を介して結合することにより、モンモリロナイト粒子の平板状結合物2を形成している。このとき、モンモリロナイト粒子11の結合により、平板状の結合物が形成される。よって、モンモリロナイト粒子の平板状結合物2は、モンモリロナイト粒子の結合物であり、且つ、平板状の形状を有している。なお、
図2では、モンモリロナイト粒子11が、一方向にのみ連なって結合している例を示しているが、実際は、二次元方向に連なって結合している。そして、上述したように、平板状のモンモリロナイト粒子の結合物2は、地中壁造成用充填材料1中では、三次元方向に広がっている。
【0019】
本発明の地中壁造成用充填材料は、少なくとも、モンモリロナイト粒子と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物と、水と、を含有する。
【0020】
モンモリロナイト粒子は、複数のモンモリロナイト単位結晶が、層状に重なったものである。このモンモリロナイト単位結晶は、ケイ素原子と酸素原子により形成される四面体がシート状に連なった四面体シートと、アルミニウム原子と水酸基の八面体がシート状に連なった八面体シートと、からなっており、1枚の八面体シートが2枚の四面体シートに挟まれたサンドウィッチ構造を有している。
【0021】
モンモリロナイト粒子は、平板状の形状であり、径が5~10μm程度である。
【0022】
モンモリロナイト単位結晶は、ベントナイト、酸性白土等の主成分である。ベントナイトは、凝灰岩の一種であり、熱変遷、応力変遷を長時間受けて、科学的に変化したモンモリロナイトを主成分とした岩石である。本発明の地中壁造成用充填材料のモンモリロナイト粒子の原料としては、ベントナイトが好ましい。そして、本発明の地中壁造成用充填材料の原料としては、ベントナイトを粉砕し、粉末状にされたものが好適に用いられる。
【0023】
分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物は、分子鎖中にアニオン性の官能基を有し、モンモリロナイト粒子の側部と静電気的に結合できるものであれば、特に制限されない。分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリルアミド2-メチルプロパンスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸等の単独重合物、あるいは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリルアミド2-メチルプロパンスルフォン酸、ビニルスルフォン酸及びスチレンスルフォン酸のうちの1種以上とアクリルアミドとの共重合物等が挙げられる。これらのうち、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物としては、アクリル酸とアクリルアミドとの共重合物である直鎖型のアニオン性高分子化合物が好ましい。
【0024】
分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の分子量は、特に制限されないが、好ましくは200万以上、1000万以下である。分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物は、イオン化度が0~100モル%のアクリル系高分子からなる粉末状と分散粒子径が100μm以下の油中水型エマルジョン形態のものである。なお、高分子化合物の分子量は、特公昭34-10644号公報などに記載の公知の方法で製造することができる。
【0025】
分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物は、上記特許文献1で用いられている高吸水性高分子とは異なる。高吸水性高分子は、一般に、吸水力(量)が、水中で自重の100倍~1000倍とされているが、本発明の地中壁造成用充填材料で用いられる分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物は、自重の100倍~1000倍の水を吸水するような吸水性はない。また、本発明の地中壁造成用充填材料で用いられる分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物は、凝集性を有しているが、上記特許文献1で用いられている高吸水性高分子は、凝集性を有していない。また、上記特許文献1で用いられている高吸水性高分子は、三次元架橋構造を有しているが、本発明の地中壁造成用充填材料で用いられる分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物は、三次元架橋構造は有しておらず、鎖状の分子構造を有している。
【0026】
本発明の地中壁造成用充填材料は、水を含有している。水は、モンモリロナイト粒子の平板状結合体が繋がる間隙中に存在し、間隙の大きさを保持するために添加される。
【0027】
本発明の地中壁造成用充填材料中、モンモリロナイト粒子に対する分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の質量比(高分子化合物/モンモリロナイト粒子)は、好ましくは0.020~0.40、特に好ましくは0.040~0.20である。モンモリロナイト粒子に対する高分子化合物の質量比(高分子化合物/モンモリロナイト粒子)が上記範囲にあることにより、モンモリナイト粒子の平板上結合物が作成でき、地中壁の保持性能を得ることができる。
【0028】
本発明の地中壁造成用充填材料中、水(地中壁造成用充填材料中の水分)に対するモンモリロナイト粒子の質量比(モンモリロナイト粒子/水)は、好ましくは0.020~0.30、特に好ましくは0.040~0.20である。水に対するモンモリロナイト粒子の質量比(モンモリロナイト粒子/水)が、上記範囲にあることにより、充填材料が施工可能な硬さとなる。
【0029】
本発明の地中壁造成用充填材料中、水(地中壁造成用充填材料中の水分)に対する高分子化合物の質量比(高分子化合物/水)は、好ましくは0.0010~0.020、特に好ましくは0.0020~0.012である。水に対する高分子化合物の質量比(高分子化合物/水)が、上記範囲にあることにより、充填材料が施工可能な硬さとなる。
【0030】
本発明の地中壁造成用充填材料は、上記以外に、適宜、地中壁造成用充填材料に用いられる他の成分を含有することができる。本発明の地中壁造成用充填材料に適宜含有される他の成分としては、例えば、例えば、ポリカルボン酸塩アニオン系界面活性剤等の分散剤が挙げられる。
【0031】
本発明の地中壁造成用充填材料は、モンモリロナイト粒子が結合することにより形成されているモンモリロナイト粒子の平板状結合物を有する。モンモリロナイト粒子の平板状結合物は、形状が平板状であり、且つ、三次元方向に繋がっている。なお、三次元方向に繋がるとは、二次元方向に広がった平板状のものが層状に重なった構造ではなく、二次元方向に広がる平板状の結合物の側部が、他の二次元方向に広がる平板状の結合物の平坦部に繋がっている構造を指す。
【0032】
モンモリロナイト粒子の平板状結合物が形成する三次元構造としては、積層方向に積層されている層状部と、隣接する層状部を繋ぎ架橋する架橋部と、からなり、隣接する層状部と架橋部で、水分保持部が形成されている構造が好ましい。このような三次元構造では、隣接する層状部と層状部の間に、架橋部が積層方向に広がって架橋して繋がることにより、隣接する層状部と層状部の間を支え、水が保持される間隙が保たれると共に、層状部と層状部の間の間隙が架橋部で区切られることで、水分保持部が形成されている。
【0033】
また、本発明の地中壁造成用充填材料では、モンモリロナイト粒子の平板状結合物により形成される水分保持部に、水が保持されることにより、水が、本発明の地中壁造成用充填材料に保持されている。
【0034】
本発明の地中壁造成用充填材料において、モンモリロナイト粒子の平板状結合物は、モンモリロナイト粒子と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物と、からなる。そして、モンモリロナイト粒子の側部に存在するプラスの電荷と、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の分子鎖に点在するマイナスの電荷とにより、モンモリロナイト粒子の側部が、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の分子鎖と、静電気的に結合する。このことにより、複数のモンモリロナイト粒子が、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物を介して結合し、モンモリロナイト粒子の平板状結合物を形成している。例えば、
図3及び
図4には、モンモリロナイト粒子の平板状結合物から、高分子化合物の分子鎖が延びていることが観察されることから、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の作用により、モンモリロナイト粒子が平板状に結合していることがわかる。
【0035】
本発明の地中壁造成用充填材料は、道路、鉄道などの交通振動、工場などの機械振動、建設工事等の際に生じる建設作業振動が、周辺地盤に伝播するのを防ぐために設けられる振動遮断壁の造成用材料である。振動遮断壁は、振動発生源と隣接地や周辺地盤との間に設けられる。そのため、本発明の地中壁造成用充填材料は、振動発生源と隣接地や周辺地盤との間の地盤に打設される。
【0036】
本発明の地中壁造成用充填材料は、防振性が高い。地中壁造成用充填材料の防振性は、波動インピーダンス比αによって把握される。波動インピーダンス比αは、一様な媒質Aの中に異なった媒質B(振動遮断壁)を設けた場合の媒質Aの波動インピーダンス(密度×伝播速度)に対する媒質B(振動遮断壁)の波動インピーダンス(密度×伝播速度)の比であり、下記式(1):
波動インピーダンス比α=(ρ2V2)/(ρ1V1) (1)
(式中、ρ1は媒質Aの密度(t/m3)であり、ρ2は媒質Bの密度(t/m3)であり、V1は媒質AのS波の伝播速度(m/秒)であり、V2は媒質BのS波の伝播速度(m/秒)である。)
で求められる。そして、式(1)において、本発明の地中壁造成用充填材料(媒質B)は、ρ1が1.8t/m3、V1が100m/秒の地盤(媒質A)の波動インピーダンス(ρ1V1)に対する波動インピーダンス(ρ2V2(ρ2:本発明の地中壁造成用充填材料の密度、V2:本発明の地中壁造成用充填材のS波の伝播速度))の比αで、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。地中壁造成用充填材料の波動インピーダンス比αが上記範囲にあることにより、防振性が高くなる。一方、地中壁造成用充填材料の波動インピーダンス比αが上記範囲未満だと、防振性が低くなる。
【0037】
本発明の地中壁造成用充填材料のS波の伝播速度は、好ましくは30m/秒以下、より好ましくは15m/秒以下である。そして、本発明の地中壁造成用充填材料は、S波を伝播させないことが、特に好ましい。本発明において、媒質(振動遮断壁又は地盤)のS波の伝播速度は、
図5に示すベンダーエレメント試験機を用いて測定される。
図5は、媒質振動遮断壁又は地盤のS波の伝播速度を測定するためのベンダーエレメント試験機を示す模式的なフロー図である。
図5中、ベンダーエレメント試験機20は、測定対象の媒質21が充填される試験容器27と、測定対象の媒質21の送信側に設けられる送信用ベンダーエレメント22と、測定対象の媒質21の受信側に設けられる受信用ベンダーエレメント23と、送信用ベンダーエレメント22に送信する試験波を発生させる信号発生器25と、信号発生器25で発生させた信号を増幅する増幅器24と、受信用ベンダーエレメント23で受信した受信波を測定する波形測定器26と、を有する。ベンダーエレメント試験機20では、増幅器24は送信用ベンダーエレメント22に、信号発生器25は増幅器24に、波形測定器26は受信用ベンダーエレメント23に、電気的に繋がっており、また、増幅器24の後且つ送信用ベンダーエレメント22の前の位置と、波形測定器26が、電気的に繋がっている。そして、増幅器24の試験波は、送信用ベンダーエレメント22に送信されると共に、波形測定器26に、入力されるようになっている。ベンダーエレメント試験機20を用いる伝播速度の測定であるが、媒質21に30kN/m
2の圧力をかけた状態で、信号発生器25で発生させ、増幅器24で増幅させた試験波(周波数:2~60Hz)を、送信用ベンダーエレメント22に送信し、媒質21を透過させ、透過波を受信用ベンダーエレメント23で受信し、透過波と増幅器26から直接入力される試験波とを、波形測定器で測定する。次いで、得られた透過波と試験波の位相差より、送信用ベンダーエレメント22から受信用ベンダーエレメント23までの透過波の伝播時間tを求める。そして、透過波の伝播時間tと、送信用ベンダーエレメント22と受信用ベンダーエレメント23の間隔hより、「V=h/t」の計算式にて、媒質の透過波の伝播速度Vを算出する。
【0038】
本発明の地中壁造成用充填材料は、地中壁の保持性が高い。地中壁の保持性は、孔壁保持性試験により把握される。本発明における孔壁保持性試験の試験方法について、
図6を用いて説明する。
図6中、(A)は、孔壁保持性試験用の試験容器を示す模式的な斜視図であり、(B)は、(A)に示す試験容器に仕切り板を設置した様子を示す模式的な斜視図であり、(C)は、仕切り板を設置した試験容器の試験材料充填部と砂層充填部に、それぞれ、試験材料と湿潤砂を充填した様子を示す模式的な正面図である。孔壁保持性試験を行う方法であるが、先ず、(A)に示す透明材料からなる試験容器31に、(B)に示すように、仕切り板32を設置し、(C)に示すように、試験材料充填部33に試験材料35を、砂層充填部34に湿潤砂36を、それぞれ充填する。次いで、仕切り板32を、垂直方向に緩やかに引き上げ、試験容器31から抜き去る。次いで、試験材料35の壁の保持性を観察する。壁の保持性の評価は、試験材料35層を正面から観察したときに、試験材料35層の下から20%位置における仕切り板引き抜き後の試験材料35層の幅が、仕切り板の引き抜き前の試験材料35層の幅に対し、90%以上保持されている場合を、壁の保持性「〇」とし、一方、80%未満である場合を、壁の保持性「×」とする。例えば、
図7に、試験結果の一例を示す。
図7は、試験結果を示す写真であり、(A)は、斜め上方からの観察結果であり、(B)は、正面からの観察結果である。
図7の(A)及び(B)の左の試験材料は、仕切り板を引き抜いても、試験材料層の下から20%位置の幅はほとんど変化しておらず、壁の保持性は「〇」と判断される。一方、
図7の(A)及び(B)の中央及び右の試験材料は、仕切り板を引き抜いた後に、試験材料層の下から20%位置の幅が非常に小さくなっており、壁の保持性は「×」と判断される。なお、孔壁保持性試験において、試験材料充填部33の幅41は、15.7~16.7cmであり、砂層充填部34の幅42は、15.7~16.7cmであり、試験材料充填部33及び砂層充填部34の奥行43は、16.0~18.5cmであり、試験材料35層の高さ44及び湿潤砂36層の高さ45は、18.5cmである。
【0039】
本発明の地中壁造成用充填材料は、地中壁の長期安定性が高い。本発明の地中壁造成用充填材料において、モンモリロナイト粒子同士を結合させている分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子は、吸水性が低い高分子であるので、打設対象地盤中にカルシウムイオン、ナトリウムイオン等の陽イオンが存在しても、打設後に地中壁造成用充填材料中の水が、外に排出され難い。そのため、本発明の地中壁造成用充填材料は、打設対象地盤に打設後の長期安定性が高くなる。一方、特許文献1の変位吸収用の変位吸収杭では、高吸水性高分子(SAP)が用いられているため、打設対象地盤中にカルシウムイオン、ナトリウムイオン等の陽イオンが存在していると、変位吸収杭に含侵されている水が、外に排出される。特許文献1の段落番号0026には「ここで、強制排水剤は、変位吸収杭に含侵されている水を強制的に排出する塩化カルシウム、塩化ナトリウムなどの塩である。作用的には、例えば、ポリアクリル酸塩系SAPが水を吸収すると、イオンを電離するが、強制排水剤の水溶液である強制排水剤溶液を外からかけると、分子内外のイオン濃度は外では濃く、内では薄くなるため、浸透圧により水が内から外へでていく現象を応用する。なお、強制排水剤としては、塩化マグネシウム、塩化アルミニウムでも差し支えない。」との記載があり、高吸水性高分子が用いられている変位吸収杭においては、外、すなわち、打設対象地盤中に、カルシウムイオン、ナトリウムイオン等の陽イオンが存在していると、内部に含侵されている水が外に排出されることが記載されている。
【0040】
本発明の地中壁造成用充填材料を製造する方法は、特に制限されず、如何なる製造方法で製造されたものであってもよい。以下に、本発明の地中壁造成用充填材料を製造する方法の一例を示すが、本発明は当該方法により製造されたものに限定されない。
【0041】
本発明の地中壁造成用充填材料を製造する方法としては、例えば、ベントナイト粉末と、分散剤を溶解させた調整水を混合し、撹拌する第一工程と、第一工程を行い得られる混合物(1)に、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物を混合し、撹拌する第二工程と、を有する地中壁造成用充填材料の製造方法が挙げられる。
【0042】
第一工程に係るベントナイト粉末は、ベントナイトを、例えば、5~10μmに粉砕したものである。第一工程に係る分散剤は、本発明の地中壁造成用充填材料に係る分散剤と同様である。第一工程では、予め、分散剤を調整水に溶解させて、分散剤を溶解させた調整水を調製し、ベントナイト粉末に、分散剤を溶解させた調整水を混合し、例えば、60~120秒間撹拌する。分散剤を溶解させた調整水中の分散剤の含有量は、適宜選択されるが、分散剤の含有率は好ましくは0.1~1.0質量%である。第一工程において、ベントナイト粉末と分散剤を溶解させた調整水の混合量は、調整水(分散剤を除く。)に対するベントナイト粉末の質量比(ベントナイト粉末/調整水)が、好ましくは0.020~0.30、特に好ましくは0.040~0.20となる混合量である。
【0043】
第二工程に係る分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物は、本発明の地中壁造成用充填材料に係る分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物と同様である。第二工程では、第一工程を行い得られる混合物(1)に、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物を混合し、例えば、60~360秒間撹拌する。第二工程において、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の混合量は、第一工程で混合した分散剤を溶解させた調整水中の水分量に対する高分子化合物の質量比(高分子化合物/地中壁造成用充填材料中の水)が、好ましくは0.0010~0.020、特に好ましくは0.0020~0.012となる混合量である。また、高分子化合物の混合量は、ベントナイト粉末に対する分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物の質量比(高分子化合物/モンモリロナイト粒子)が、好ましくは0.020~0.40、特に好ましくは0.040~0.20となる混合量である。
【0044】
そして、上記本発明の地中壁造成用充填材料を製造する方法を行うことにより、本発明の地中壁造成用充填材料が得られる。
【0045】
本発明の地中壁造成用充填材料は、適宜の方法により調製された後、地中壁を形成させる地盤中に打設される。
【0046】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明にそれに限定されるものではない。
【実施例0047】
(実施例1)
(第一工程)
水928.9gに、分散剤(種類ポリカルボン酸塩アニオン系界面活性剤)2gを溶解させて、分散剤を溶解させた調整水を調製した。
次いで、ベントナイト粉末(ホージュン社製、乾式フルイ(53μm)残分10.0%以下)150gに、分散剤を溶解させた調整水の全量を混合し、120秒間撹拌し、混合物(1)を得た。
(第二工程)
アクリル酸とアクリルアミドの共重合物(ハイモ株式会社製、商品名SAVE-SP工法用添加剤 L1号)10gを、上記で得た混合物(1)に混合し、300秒間撹拌し、地中壁造成用充填材料を得た。
次いで、得られた地中壁造成用充填材料のSEM観察を行い、SEM写真を得た。その結果を
図3(2000倍)及び
図4(3000倍)に示す。
【0048】
なお、第二工程で用いたアクリル酸とアクリルアミドの共重合物(ハイモ株式会社製、商品名SAVE-SP工法用添加剤 L1号)は、分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子化合物である。
【0049】
<評価方法>
(走査型電子顕微鏡観察(SEM))
試料を1瞬間凍結、2フリーズドライ、3乾燥試料の切片採取の手順で前処理した。
次いで、走査型電子顕微鏡(JSM-IT500HR、日本電子株式会社製)を用いて、(信号SED、入射電圧3.0kV、WD50.0mm、倍率:2000倍及び3000倍)の条件で、測定した。
【0050】
(密度の測定)
湿潤密度は、試料の質量mをそれぞれの方法で求めた体積Vで除して求められる。なお、地中壁造成用充填材料は自立しないため、通常の土の湿潤密度試験では求められない。
【0051】
(S波伝播速度の測定)
図5に示すベンダーエレメント試験機を用いて行った。
ベンダーエレメント試験機20の試験容器27に、試験材料を充填した。次いで、試験材料に30kN/m
2の圧力をかけた状態で、信号発生器25で試験波(周波数:2~60Hz)を発生させ、増幅器24で増幅させ、送信用ベンダーエレメント22に送信して、試験材料を透過させ、透過波を受信用ベンダーエレメント23で受信し、試験材料の透過波と増幅器24から直接入力される試験波とを、波形測定器で測定した。次いで、得られた透過波と試験波の位相差より、送信用ベンダーエレメント22から受信用ベンダーエレメント23までの透過波の伝播時間tを求めた。そして、透過波の伝播時間tと、送信用ベンダーエレメント22と受信用ベンダーエレメント23の間隔hより、「V=h/t」の計算式にて、試験試料の透過波の伝播速度V
2を算出した。
また、ρ
1が1.6t/m
3、V
1が100m/秒の地盤(媒質A)の波動インピーダンス(ρ
1V
1)に対する試験材料(媒質B)の波動インピーダンス(ρ
2V
2(ρ
2:試験材料の密度、V
2:試験材料のS波の伝播速度))の比を、下記式(1):
波動インピーダンス比α=(ρ
2V
2)/(ρ
1V
1) (1)
(式中、ρ
1は媒質Aの密度(t/m
3)であり、ρ
2は媒質Bの密度(t/m
3)であり、V
1は媒質AのS波の伝播速度(m/秒)であり、V
2は媒質BのS波の伝播速度(m/秒)である。)
の計算式で、算出した。
なお、試験試料のS波伝播速度の測定において、試験試料の防振性が高いために、透過波が観察されなかった場合は、伝播速度V
2は「0(測定不能)」と、波動インピーダンス比αは「0」とする。
【0052】
(孔壁保持性試験)
図6に示す試験容器及び仕切り板を用いて、孔壁保持性試験を行った。
試験容器31に、仕切り板32を設置し、試験材料充填部33に試験材料35を、砂層充填部34に、乾燥状態の砂(宇部珪砂6号、土粒子の密度ρs2.634g/cm
3、細粒分含有率1.1%)を相対密度Dr=50%(充填密度ρd=1.452g/cm
3)で充填した。その後、砂の底面から注水し飽和させる。次いで、仕切り板32を、垂直方向に緩やかに引き上げ、試験容器31から抜き去った。次いで、試験材料の壁の保持性を観察した。
壁の保持性の評価は、試験材料層を正面から観察したときに、試験材料層の下から20%位置における仕切り板引き抜き後の試験材料層の幅が、仕切り板の引き抜き前の試験材料層の幅に対し、90%以上である場合を、壁の保持性「〇」とし、80%未満である場合を、壁の保持性「×」とした。
【0053】
(実施例2)
各配合材の混合量を、表1に示す通りとすること以外は、実施例1と同様に行い、S波伝播速度の測定、孔壁保持性試験を行った。その結果を表1に示す
【0054】
(比較例1)
水1000gに、高吸水性樹脂10g(ハイモ社製、商品名ハイモサブ300)を混合し、120秒間撹拌した。アクリル酸とアクリルアミドの共重合物(ハイモ株式会社製、商品名SAVE-SP工法用添加剤 L1号)5gを、上記で得た混合物に混合し、注入処理液を作成した。山砂に注入率60%で注入処理液を混合し、混合材料を得た。
S波伝播速度の測定試験を行った。その結果を表1に示す。
【0055】
(比較例2)
水960.0gに、ベントナイト粉末(ホージュン社製、乾式フルイ残分10.0%以下(53μm))100gを混合し、120秒間撹拌した。
次いで、孔壁保持性試験を行った。その結果を表1及び
図7に示す。
【0056】
【0057】
表中、高分子化合物Aは、アクリル酸とアクリルアミドの共重合物を指す。
【0058】
(参考例1)
水を試験試料として、孔壁保持性試験を行った。その結果を
図7に示す。
【0059】
なお、
図7中、(A)及び(B)の左の写真が実施例2の結果であり、中央の写真が比較例2の結果であり、右の写真が参考例1の結果である。
【0060】
実施例1及び実施例2の地中壁造成用充填材料は、モンモリロナイト粒子同士を結合させている分子鎖中にアニオン性官能基を有する高分子が、吸水性が低い高分子であるので、打設対象地盤中にカルシウムイオン、ナトリウムイオン等の陽イオンが存在しても、打設後に地中壁造成用充填材料中の水が、外に排出され難いので、実施例1及び実施例2の地中壁造成用充填材料は、長期安定性が高いことが、技術常識より明らかである。
一方、比較例1の変位吸収杭では、高吸水性高分子(SAP)が用いられているため、打設対象地盤中にカルシウムイオン、ナトリウムイオン等の陽イオンが存在していると、変位吸収杭に含侵されている水が、外に排出されるので、比較例1の変位吸収杭用充填材料は、長期安定性が低いことは、技術常識より明らかである。
【0061】
(振動低減性評価)
振動遮断壁の打設対象地盤に、実施例2で製造した地中壁造成用充填材料及び比較例1で製造した変位吸収杭用充填材料を用いて振動遮蔽壁を形成させて、バイブロ(鉛直振動機)で加振して、振動低減性評価を行った。
先ず、試験材料を打設して、幅7.6m×厚み0.5m×深さ5.5mの振動遮蔽壁を形成させた。次いで、打設から1ヶ月経過後に、振動遮断壁から2mの位置においてバイブロを地表面で加振し、加振位置から振動遮断壁を挟み、3m、5m及び10mの位置の振動計測を行った。その結果を、
図8(実施例2)及び
図9(比較例1)に示す。