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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114346
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016660
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天木 憲治
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP11
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR37
5H609RR48
5H609RR50
5H609RR52
5H609RR71
5H609RR72
(57)【要約】
【課題】構造を簡易化できる回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機は、筐体と、前記筐体に収容された固定子と、前記筐体に収容された回転子鉄心と、前記回転子鉄心が固定されたシャフトと、を有した回転子と、前記シャフトを前記筐体に対して回転可能に支持した軸受と、前記軸受を潤滑する潤滑油を貯留する油槽と、前記潤滑油を冷却する冷却部と、前記油槽と前記冷却部とを接続する第1配管部と、前記油槽の前記潤滑油に接触し、前記シャフトの回転に伴って回転することで前記油槽の前記潤滑油を前記冷却部へ前記第1配管部を通じて送る、回転部材と、前記油槽と前記冷却部との間に設けられ、前記潤滑油が前記冷却部から前記油槽へ流れることが可能な、第2配管部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容された固定子と、
前記筐体に収容された回転子鉄心と、前記回転子鉄心が固定されたシャフトと、を有した回転子と、
前記シャフトを前記筐体に対して回転可能に支持した軸受と、
前記軸受を潤滑する潤滑油を貯留する油槽と、
前記潤滑油を冷却する冷却部と、
前記油槽と前記冷却部とを接続する第1配管部と、
前記油槽の前記潤滑油に接触し、前記シャフトの回転に伴って回転することで前記油槽の前記潤滑油を前記冷却部へ前記第1配管部を通じて送る、回転部材と、
前記油槽と前記冷却部との間に設けられ、前記潤滑油が前記冷却部から前記油槽へ流れることが可能な、第2配管部と、
を備えた回転電機。
【請求項2】
前記回転部材は、前記シャフトの周方向に間隔を介して並べられた複数の羽根を有する、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記軸受は、第1軸受メタルと、前記第1軸受メタルに取り付けられる第2軸受メタルとを有し、前記第1軸受メタルと前記第2軸受メタルとの間に前記シャフトを支持し、
前記回転部材は、前記第1軸受メタルと前記第2軸受メタルとの間を通って円環状に延び、前記油槽の前記潤滑油に部分的に浸漬された、オイルリングを有し、
前記オイルリングは、前記シャフトに向く内周面と、前記内周面の反対側に位置する外周面と、を有し、前記外周面に複数の溝が設けられた、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1配管部は、前記シャフトの軸方向において前記回転部材が設けられている位置で前記油槽に接続された、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転子のシャフトを支持する軸受の潤滑油を冷却することにより軸受を冷却する冷却部を備えた回転電機が知られている。例えば、モータによって駆動するポンプが、潤滑油を循環させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-201516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転電機において、潤滑油の循環はポンプが行っていた。このため、従来の回転電機は、別途ポンプ用の電源が必要であり、構造が複雑になる傾向があった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、構造を簡易化できる回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の回転電機は、筐体と、前記筐体に収容された固定子と、前記筐体に収容された回転子鉄心と、前記回転子鉄心が固定されたシャフトと、を有した回転子と、前記シャフトを前記筐体に対して回転可能に支持した軸受と、前記軸受を潤滑する潤滑油を貯留する油槽と、前記潤滑油を冷却する冷却部と、前記油槽と前記冷却部とを接続する第1配管部と、前記油槽の前記潤滑油に接触し、前記シャフトの回転に伴って回転することで前記油槽の前記潤滑油を前記冷却部へ前記第1配管部を通じて送る、回転部材と、前記油槽と前記冷却部との間に設けられ、前記潤滑油が前記冷却部から前記油槽へ流れることが可能な、第2配管部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の回転電機によれば、構造を簡易化できる回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の回転電機の側面図である。
図2図2は、本実施形態の回転電機の正面図である。
図3図3は、本実施形態の回転電機の模式的な断面図である。
図4図4は、本実施形態の回転電機の一部分を拡大した断面図である。
図5図5は、本実施形態の第1回転部材の平面図である。
図6図6は、本実施形態の軸受および第2回転部材の断面図である。
図7図7は、本実施形態の回転電機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る回転電機1を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
<実施形態>
図1は、本実施形態に係る回転電機1の側面図である。図2は、本実施形態の回転電機1の正面図である。回転電機1は、例えば、モータ又は発電機である。なお、回転電機1は、この例に限定されない。図2に示すように、回転電機1は、本体2と、冷却装置3と、軸受冷却装置4と、制御装置5と、を備える。
【0011】
回転電機1は、例えば、全閉形の回転電機である。このため、回転電機1の内部には、本体2と冷却装置3とに亘って、空気などの冷却用気体で満たされた閉空間が設けられている。
【0012】
図3は、本実施形態の回転電機1の模式的な断面図である。図4は、本実施形態の回転電機1の一部分を拡大した断面図である。図3に示すように、本体2は、筐体21と、回転子22と、固定子23と、二つの軸受24とを有する。また、図4に示すように、本体2は、二つの油槽25と、四つの第1回転部材26と、二つの第2回転部材27と、を有する。
【0013】
図3では、油槽25、第1回転部材26、および第2回転部材27の図示が省略されている。図4では、二つの第1回転部材26と、一つの第2回転部材27とが示される。第1回転部材26および第2回転部材27は、回転部材の一例である。
【0014】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、筐体21の長手方向および回転子22の回転中心軸Axの軸方向に沿う方向であり、前後方向とも称され得る。Y方向は、筐体21の短手方向および回転中心軸Axの軸方向と直交する方向に沿う方向であり、左右方向とも称され得る。Z方向は、筐体21の上下方向に沿う方向であり、上下方向とも称され得る。なお、本実施形態における前後左右上下のような方向を示す表現は、便宜上の呼称であり、回転電機1の位置、姿勢、及び使用態様を限定するものではない。
【0015】
図1~3に示すように、筐体21は、箱型に形成されている。筐体21は、回転子22の一部と固定子23と、を収容している。筐体21は、底壁21aと、天壁21bと、二つの端壁21c、21dと、二つの側壁21e、21fと、を有する。
【0016】
底壁21aおよび天壁21bは、いずれも、Z方向と直交する方向(X-Y平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに略平行に設けられている。底壁21aは、筐体21の下端部を構成し、天壁21bは、筐体21の上端部を構成している。
【0017】
端壁21cおよび端壁21dは、いずれも、X方向と直交する方向(Y-Z平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。端壁21cは、X方向の反対方向における底壁21aおよび天壁21bのそれぞれの端部の間に亘って設けられている。端壁21dは、X方向における底壁21aおよび天壁21bのそれぞれの端部の間に亘って設けられている。
【0018】
側壁21eおよび側壁21fは、いずれも、Y方向と直交する方向(X-Z平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。側壁21eは、Y方向における底壁21aおよび天壁21bのそれぞれの端部の間に亘って設けられている。側壁21fは、Y方向の反対方向における底壁21aおよび天壁21bのそれぞれの端部の間に亘って設けられている。
【0019】
図2に示すように、天壁21bには、冷却装置3が取り付けられている。また、側壁21eには、軸受冷却装置4が取り付けられている。また、側壁21fには、制御装置5が取り付けられている。すなわち、軸受冷却装置4と制御装置5とは、筐体21に対して互いに反対側に配置されている。言い換えると、軸受冷却装置4と制御装置5との間に筐体21が配置されている。
【0020】
図3に示すように、回転子22は、シャフト221と、回転子鉄心222と、を有する。シャフト221は、回転中心軸Ax回りに回転可能に二つの軸受24を介して筐体21に支持されている。言い換えると、二つの軸受24は、シャフト221を筐体21に対して回転可能に支持している。回転中心軸Axは、例えば、シャフト221の中心軸(中心線)である。なお、回転中心軸Axは、シャフト221の中心軸と異なっても良い。
【0021】
以下の説明では、便宜上、回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向が定義されている。軸方向は、回転中心軸Axに沿う方向である。径方向は、回転中心軸Axと直交する方向である。周方向は、回転中心軸Axまわりの方向である。
【0022】
回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向は、シャフト221の軸方向、径方向、および周方向と同じである。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、軸方向、径方向、および周方向は、回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向、すなわちシャフト221の軸方向、径方向、および周方向である。
【0023】
シャフト221は、端壁21cおよび端壁21dを貫通するように、X方向に延びている。シャフト221のうち軸方向の両端部221a、221bの間の部分は、筐体21に収容されている。一方、シャフト221の軸方向の両端部221a、221bは、筐体21から外部に突出している。
【0024】
一方の端部221aは、例えば、結合対象(不図示)と結合される。また、他方の端部221bには、外扇(不図示)が固定されている。外扇は、例えば外扇カバーに覆われ、シャフト221と一体に回転する。
【0025】
回転子鉄心222は、シャフト221のうち軸方向の両端部221a、221bの間の部分に固定されている。このため、回転子鉄心222は、筐体21に収容されている。回転子鉄心222は、シャフト221と一体に回転する。
【0026】
シャフト221における二つの軸受24と回転子鉄心222とのそれぞれの間には、内扇28が固定されている。内扇28は、シャフト221と一体に回転し、閉空間において冷却用気体を循環させる。
【0027】
図4に示すように、シャフト221は、軸部221cと、被装着部221dとを有する。軸部221c及び被装着部221dのそれぞれは、シャフト221の一部である。軸部221cに、例えば、内扇28が取り付けられる。被装着部221dは、軸受24に支持される。
【0028】
被装着部221dは、例えば、軸部221cが径方向に縮小した部分である。すなわち、被装着部221dの直径は、軸部221cの直径よりも短い。なお、被装着部221dの直径が、軸部221cの直径より長くても良い。
【0029】
図3に示すように、固定子23は、筐体21に収容されている。固定子23は、固定子鉄心231と、固定子巻線232と、を有する。固定子鉄心231は、筐体21に固定されている。固定子鉄心231は、径方向における回転子鉄心222の外側に位置し、回転子鉄心222を囲む円筒状に形成されている。固定子巻線232は、軸方向に延びるように固定子鉄心231の内周部231aに形成された複数のスロット(不図示)内を貫通して、当該固定子鉄心231に固定されている。
【0030】
軸受24は、例えば、すべり軸受であり、潤滑油によって潤滑される。二つの軸受24は、二つの端壁21c、21dに設けられている。すなわち、シャフト221では、回転子鉄心222は、軸方向において二つの軸受24の間に位置している。
【0031】
図4に示すように、各軸受24は、第1軸受メタル241と、第2軸受メタル242と、を有する。本実施形態において、第1軸受メタル241と第2軸受メタル242とは、異なる部品であり、分離可能である。なお、軸受24は、この例に限られない。
【0032】
第1軸受メタル241は、第2軸受メタル242の上方に位置する。また、第1軸受メタル241の少なくとも一部が、シャフト221の被装着部221dの上方に位置する。第1軸受メタル241は、内周面241aを有する。
【0033】
第1軸受メタル241の内周面241aは、被装着部221dの外周面に面する。内周面241aの直径は、例えば、被装着部221dの直径よりも僅かに大きい。内周面241aは、被装着部221dを支持することが可能である。
【0034】
第1軸受メタル241には、溝241bが設けられている。溝241bは、第1軸受メタル241の内周面241aからシャフト221の径方向外側に向かって凹み、シャフト221の周方向に延びている。
【0035】
第2軸受メタル242の少なくとも一部が、シャフト221の被装着部221dの下方に位置する。第2軸受メタル242は、内周面242aを有する。内周面242aは、被装着部221dの外周面に面する。
【0036】
第2軸受メタル242の内周面242aの直径は、例えば、被装着部221dの直径よりも僅かに大きい。例えば、第2軸受メタル242の内周面242aの直径は、第1軸受メタル241の内周面241aの直径と略等しい。また、内周面241a,242aは、回転中心軸Axまわりに同心状に配置されている。
【0037】
第2軸受メタル242の内周面242aは、シャフト221の被装着部221dを支持することが可能である。被装着部221dは、第1軸受メタル241の内周面241aと第2軸受メタル242の内周面242aとの間に配置される。
【0038】
第2軸受メタル242は、第1軸受メタル241に取り付けられる。これにより、被装着部221dは、第1軸受メタル241と第2軸受メタル242に挟まれることで支持される。すなわち、各軸受24は、第1軸受メタル241と第2軸受メタル242との間にシャフト221を支持している。
【0039】
図1に示すように、二つの油槽25は、対応する軸受24の周りにおいて、二つの端壁21c、21dに取り付けられている。各油槽25には、各軸受24を潤滑する潤滑油Fを貯留するための空間が設けられている。
【0040】
図4に示すように、各油槽25は、例えば、二つの第1貯留空間251と、第2貯留空間252とを有する。第1貯留空間251及び第2貯留空間252に、潤滑油Fが貯留されている。二つの第1貯留空間251と第2貯留空間252とは、互いに連通されている。このため、油槽25において、潤滑油Fは、第1貯留空間251と第2貯留空間252との間で移動可能である。
【0041】
第1貯留空間251は、シャフト221の軸部221cの下方に設けられる。第2貯留空間252は、シャフト221の軸方向において、二つの第1貯留空間251の間に位置している。第2貯留空間252は、シャフト221の被装着部221dと、軸受24と、の下方に設けられる。
【0042】
図5は、本実施形態の第1回転部材26の平面図である。図5に示すように、各第1回転部材26は、装着環261と、複数の羽根262とを有する。なお、第1回転部材26は、この例に限られない。
【0043】
装着環261は、円環状に形成される。図4に示すように、装着環261は、シャフト221の軸部221cの外周面に装着される。これにより、第1回転部材26は、軸部221cに取り付けられる。二つの第1回転部材26は、シャフト221の回転に伴って回転する。なお、第1回転部材26は、シャフト221と一体であっても良い。
【0044】
図5に示すように、複数の羽根262は、装着環261の外周面から径方向外側に突出している。複数の羽根262は、シャフト221の周方向に間隔を介して並べられている。各羽根262は、軸方向に延びる板状に形成されている。なお、各羽根262の形状は、この例に限られない。
【0045】
図4に示すように、二つの第1回転部材26は、シャフト221の軸方向においてお互いに間隔を空けて位置する。シャフト221の軸方向において、第1回転部材26の位置と、二つの第1貯留空間251の位置とは、略一致する。二つの第1回転部材26の一部は、対応する第1貯留空間251に収容される。
【0046】
複数の羽根262の一部は、第1貯留空間251に貯留された潤滑油Fに部分的に浸漬されている。なお、各羽根262の突出する長さは、各羽根262が第1貯留空間251に貯留された潤滑油Fに部分的に浸漬される長さであれば適宜変更されても良い。
【0047】
図6は、本実施形態の軸受24および第2回転部材27の、図4のF6-F6線上における断面図である。図4、6に示すように、第2回転部材27は、オイルリング271を有する。オイルリング271は、軸受24に取り付けられる。このため、オイルリング271は、シャフト221の軸方向において二つの第1回転部材26の間に位置する。オイルリング271は、軸受24の一部であっても良い。
【0048】
オイルリング271は、円環状に形成される。オイルリング271は、シャフト221の被装着部221dの周りに配置されている。オイルリング271は、内周面271aと、外周面271bと、を有する。
【0049】
内周面271aは、シャフト221の被装着部221dに向く。内周面271aの直径は、被装着部221dの外径よりも大きい。外周面271bは、当該内周面271aの反対側に位置する。
【0050】
外周面271bには、当該外周面271bから径方向内側に凹んだ複数の溝272が周方向に間隔を介して設けられている。複数の溝272は、シャフト221の周方向に間隔を介して並べられている。各溝272の深さは、潤滑油Fが付着可能なように設定される。
【0051】
オイルリング271は、各軸受24にシャフト221が支持された状態において、軸受24の第1軸受メタル241と第2軸受メタル242との間の隙間Sを通って円環状に延びている。オイルリング271の中心は、回転中心軸Axから偏心している。
【0052】
オイルリング271の上部は、第1軸受メタル241に覆われるとともに、第1軸受メタル241の溝241bに回転可能に嵌まっている。オイルリング271は、被装着部221dに吊り下げられ、被装着部221dの頂上付近に支持される。よって、オイルリング271は、シャフト221の回転に伴って回転する。
【0053】
オイルリング271の上部以外の部分は、第1軸受メタル241の溝241bから外部に露出している。図4に示すように、オイルリング271の下部は、各油槽25の第2貯留空間252に貯留された潤滑油Fに部分的に浸漬されている。このため、オイルリング271の下部に設けられた溝272に、潤滑油Fが入り込む。
【0054】
なお、本実施形態では、各油槽25において、二つの第1回転部材26と、第2回転部材27と、がシャフト221に取り付けられている。しかしながら、例えば、回転電機1は、二つの第1回転部材26と第2回転部材27とのうち一つがシャフト221に取り付けられていても良い。
【0055】
図1に示すように、冷却装置3は、筐体21の天壁21bに重ねられて当該天壁21bに固定されている。冷却装置3は、筐体21内の冷却用気体と筐体21外の空気である外気との間で熱交換をすることにより、回転子22および固定子23を冷却する。外扇は、冷却装置3を通過するように外気を流す。
【0056】
図7は、本実施形態の回転電機1の構成を示す図である。図7に示すように、軸受冷却装置4は、筐体41と、冷却部42と、AC/DCコンバータ43と、第1配管部44と、第2配管部45と、連結部46と、フランジ47と、結合具48と、を有する。言い換えると、回転電機1は、筐体41と、冷却部42と、AC/DCコンバータ43と、第1配管部44と、第2配管部45と、二つの連結部46とを有する。
【0057】
筐体41は、箱型に形成されており、冷却部42と、AC/DCコンバータ43と、を収容している。筐体41は、本体2の筐体21の側壁21eにボルト等の結合具によって着脱可能に固定されている。
【0058】
冷却部42は、当該冷却部42を通過する潤滑油Fを冷却する。冷却部42は、例えば、潤滑油Fが通過する熱交換器と、ファンと、を有し、熱交換器外の空気(外気)との間で熱交換されることで冷却される。ファンは、熱交換器の表面に沿って空気が流れるように送風を行う。AC/DCコンバータ43は、冷却部42のファンに電力を供給する。
【0059】
第1配管部44は、管44a、44bを有する。管44aは、油槽25から延びている。管44bは、冷却部42から延びている。管44a、44bは、連結部46において互いを着脱可能に連結されている。第1配管部44は、各油槽25と冷却部42との間に亘って設けられている。すなわち、第1配管部44は、各油槽25と冷却部42とを接続している。
【0060】
図4に示すように、第1配管部44の入口44cは、各油槽25における一方の第1貯留空間251と連通している。すなわち、第1配管部44は、シャフト221の軸方向において第1回転部材26が設けられている位置で油槽25に接続されている。
【0061】
図7に示すように、第2配管部45は、管45a、45bを有する。管45aは、油槽25から延びている。管45bは、冷却部42から延びている。管45a、45bは、連結部46において互いに着脱可能に連結されている。第2配管部45は、各油槽25と冷却部42との間に亘って設けられている。すなわち、第2配管部45は、各油槽25と冷却部42との間に設けられ、各油槽25と冷却部42とを接続している。
【0062】
冷却部42で冷却された潤滑油Fは、第2配管部45を、冷却部42から各油槽25へ流れることが可能である。第2配管部45の出口45cは、各軸受24の上方において油槽25の内部の空間に連通している。このため、油槽25において、潤滑油Fは、軸受24の上方から当該軸受24と第1貯留空間251と第2貯留空間252とに供給される。
【0063】
連結部46は、第1配管部44の管44aと管44bの間と、第2配管部45の管45aと管45bの間と、にそれぞれ設けられる。連結部46は、フランジ47と、結合具48とを有する。
【0064】
フランジ47は、第1配管部44の管44a、44bの一方の端部と、第2配管部45の管45a、45bの一方の端部と、にそれぞれ設けられている。結合具48は、二つのフランジ47を結合するボルト等である。
【0065】
制御装置5は、回転電機1の回転動作の制御および軸受冷却装置4の制御を行う。例えば、制御装置5は、基板と、当該基板に搭載されたマイコンなどの種々の電子部品と、を有する。制御装置5は、軸受冷却装置4および固定子23に電気的に接続されている。
【0066】
回転電機1が稼働することで、シャフト221の回転に伴って、当該シャフト221に取り付けられている二つの第1回転部材26と、第2回転部材27と、が回転する。回転する第1回転部材26の複数の羽根262は、第1貯留空間251に貯留された潤滑油Fを昇圧する。また、回転する第2回転部材27の複数の溝272は、第2貯留空間252に貯留された潤滑油Fを昇圧する。
【0067】
第1貯留空間251および第2貯留空間252で昇圧された潤滑油Fは、第1配管部44の入口44cから冷却部42へ送られる。言い換えると、各第1回転部材26および第2回転部材27は、各油槽25の潤滑油Fに接触し、シャフト221の回転に伴って回転することで各油槽25の潤滑油Fを冷却部42へ第1配管部44を通じて送る。この時、複数の羽根262および溝272に付着した潤滑油Fは、シャフト221の頂上付近で拭い落とされる。拭い落とされた潤滑油Fは、シャフト221と軸受24との間に入り込んで、この部分を潤滑する。
【0068】
冷却部42を通過した潤滑油Fは、冷却されて第2配管部45の出口45cから排出される。第2配管部45の出口45cから排出された潤滑油Fは、各軸受24に供給されて当該軸受24を潤滑するとともに冷却する。
【0069】
各軸受24に供給された潤滑油Fは、流れ落ちて各油槽25の第1貯留空間251および第2貯留空間252に貯留される。以降、同様な手順で潤滑油Fは、各油槽25と冷却部42とを循環する。
【0070】
以上のように、本実施形態の回転電機1は、筐体21と、回転子22と、固定子23と、軸受24と、油槽25と、第1回転部材26と、第2回転部材27と、冷却部42と、第1配管部44と、第2配管部45と、を備える。回転子22は、筐体21に収容された回転子鉄心222と、回転子鉄心222が固定されたシャフト221と、を有する。固定子23は、筐体21に収容されている。軸受24は、シャフト221を筐体21に対して回転可能に支持する。油槽25は、軸受24を潤滑する潤滑油Fを貯留する。冷却部42は、潤滑油Fを冷却する。第1配管部44は、油槽25と冷却部42とを接続する。第1回転部材26および第2回転部材27は、油槽25の潤滑油Fに接触し、シャフト221の回転に伴って回転することで油槽25の潤滑油Fを冷却部42へ第1配管部44を通じて送る。第2配管部45は、油槽25と冷却部42との間に設けられる。潤滑油Fは、冷却部42から油槽25へ第2配管部45を流れることが可能である。
【0071】
稼働中の回転電機1では、シャフト221の回転に伴って当該シャフト221に設けられた第1回転部材26および第2回転部材27が回転している。油槽25に貯留されている潤滑油Fは、回転している第1回転部材26および第2回転部材27によって第1配管部44から送り出され、冷却部42を通過して第2配管部45から油槽25に戻される。第2配管部45から戻された潤滑油Fは、油槽25に貯留される。以降、潤滑油Fは、冷却部42で冷却されながら油槽25と冷却部42とを循環する。
【0072】
これにより、回転電機1は、潤滑油Fを循環させるためのポンプを設けずとも潤滑油Fを冷却することができる。従って、回転電機1の構造は簡易化される。また、回転電機1は、潤滑油Fを循環させるためのポンプが不要なため、コストを削減することができる。
【0073】
また、本実施形態では、第1回転部材26は、シャフト221の周方向に間隔を介して並べられた複数の羽根262を有する。これにより、第1回転部材26は、油槽25に貯留されている潤滑油Fを第1配管部44から送り出し易くなる。従って、潤滑油Fは、油槽25と冷却部42とを循環し易くなる。よって、第1回転部材26は、潤滑油Fをさらに冷却し易くする。
【0074】
また、本実施形態では、軸受24は、第1軸受メタル241と、第2軸受メタル242と、を有し、第1軸受メタル241と第2軸受メタル242との間にシャフト221を支持する。第2軸受メタル242は、第1軸受メタル241に取り付けられる。第2回転部材27は、オイルリング271を有する。オイルリング271は、第1軸受メタル241と第2軸受メタル242との間を通って円環状に延び、油槽25の潤滑油Fに部分的に浸漬されている。また、オイルリング271は、シャフト221に向く内周面271aと、内周面271aの反対側に位置する外周面271bと、を有し、外周面271bに複数の溝272が設けられている。
【0075】
稼働中の回転電機1では、シャフト221の回転に伴って第1回転部材26だけでなく、オイルリング271も回転する。潤滑油Fは、オイルリング271の外周面271bに設けられた複数の溝272によって掻き揚げられ、第1軸受メタル241および第2軸受メタル242とシャフト221との間を潤滑する。これにより、軸受24は、潤滑油Fによって冷却され易くなる。また、すべり軸受である軸受24に設けられるオイルリング271が潤滑油Fを送り出すため、回転電機1は、部品点数の増加を抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態では、第1配管部44は、シャフト221の軸方向において、第1回転部材26が設けられている位置で油槽25に接続されている。油槽25に貯留されている潤滑油Fが第1配管部44から第2配管部45までを循環する場合、第1配管部44から送り出される潤滑油Fは、第1回転部材26に近いほど当該第1回転部材26からの圧力を受けやすい。これにより、第1回転部材26は、第1配管部44から潤滑油Fを送り出し易くなる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…回転電機、21…筐体、22…回転子、221…シャフト、222…回転子鉄心、23…固定子、24…軸受、241…第1軸受メタル、242…第2軸受メタル、25…油槽、26…第1回転部材(回転部材)、262…羽根、27…第2回転部材(回転部材)、271…オイルリング、271a…内周面、271b…外周面、272…溝、42…冷却部、44…第1配管部、45…第2配管部、F…潤滑油。
図1
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図7