(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114352
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】仕切り体
(51)【国際特許分類】
B65D 25/04 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
B65D25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016672
(22)【出願日】2022-02-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年9月14日に、トヨタ自動車九州株式会社宮田工場に製品を納入するときに使用した。令和3年10月1日に、トヨタ自動車株式会社上郷工場に製品を納入するときに使用した。令和3年10月1日に、ダイハツ工業株式会社滋賀第一工場に製品を納入するときに使用した。
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 忍
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AA03
3E062AB07
3E062AC02
3E062EA01
3E062EA07
3E062EB01
3E062EC03
3E062ED01
(57)【要約】
【課題】硬い物品が収容された場合であっても摩耗粉が発生することと物品が傷つくことを抑制すると共に、収容された物品をユーザが取り出すときにユーザの手を傷めることを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】仕切り体は、物品を収容可能な複数の収容体を備え、複数の前記収容体は、それぞれの開口部が上に向いた状態で側面部が連結され、それぞれが合成皮革の生地から作製されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能な複数の収容体を備える仕切り体であって、
複数の前記収容体は、それぞれの開口部が上に向いた状態で側面部が連結され、それぞれが合成皮革の生地から作製されている、仕切り体。
【請求項2】
請求項1に記載の仕切り体であって、
前記収容体は、展開されると十字形状を有する合成皮革の前記生地から作製され、十字形状の前記生地から前記開口部を有する袋状に形成されている、仕切り体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の仕切り体であって、
前記収容体の前記側面部は、本体部と、前記開口部において前記本体部から折り返されて前記本体部に貼り合わされている折返部とを備える、仕切り体。
【請求項4】
請求項3に記載の仕切り体であって、
前記折返部は、前記本体部から前記収容体の外側に折り返されている、仕切り体。
【請求項5】
請求項3または4に記載の仕切り体であって、
前記折返部は、ホットメルトにより前記本体部に貼り合わされている、仕切り体。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の仕切り体であって、
合成皮革の前記生地は、基材と、前記基材に塗布または貼り合わされた合成樹脂とを備え、
前記折返部の前記生地の前記基材が、前記本体部の前記生地の前記基材に貼り合わされている、仕切り体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の仕切り体であって、
前記収容体は、隣接する前記側面部と前記側面部とを繋ぐ角部を備え、
前記角部では、合成皮革の前記生地同士が超音波溶着により貼り合わされている、仕切り体。
【請求項8】
請求項7に記載の仕切り体であって、
合成皮革の前記生地は、基材と、前記基材に塗布または貼り合わされた合成樹脂とを備え、
前記角部では、合成皮革の前記生地の前記合成樹脂同士が貼り合わされている、仕切り体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、仕切り体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に仕切り板が開示されている。特許文献1の仕切り板は、板状の仕切り構成部を複数横並びに備えている。特許文献1の技術では、複数の仕切り板同士を結合させて複数の収容空間に区画している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、例えばアルミダイカスト製品等の硬い物品が収容空間に収容された場合に、硬い物品と仕切り板とが擦れることにより摩耗粉が発生することがある。また、硬い物品が仕切り板に衝突することにより物品が傷つくこともある。また、ユーザが収容空間から物品を取り出すときにユーザが仕切り板と接触することで手を傷めることがある。
【0005】
そこで本明細書は、硬い物品が収容された場合であっても摩耗粉が発生することと物品が傷つくことを抑制すると共に、収容された物品をユーザが取り出すときにユーザの手を傷めることを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する仕切り体は、物品を収容可能な複数の収容体を備え、複数の前記収容体は、それぞれの開口部が上に向いた状態で側面部が連結され、それぞれが合成皮革の生地から作製されている。
【0007】
この構成によれば、例えばアルミダイカスト製品等の硬い物品が収容体に収容された場合であっても、収容体が合成皮革の生地から作製されており対切削性に優れるので、摩耗粉が発生することを抑制することができる。また、収容体が衝撃吸収性に優れるので、収容体に収容された物品が傷つくことを抑制することができる。また、ユーザが収容体から物品を取り出すときにユーザの手を傷めることを抑制することができる。
【0008】
前記収容体は、展開されると十字形状を有する合成皮革の前記生地から作製され、十字形状の前記生地から前記開口部を有する袋状に形成されてもよい。
【0009】
この構成によれば、仕切り体が例えば容器に収容された状態であっても、収容体に収容された物品が容器の底面部に接触することを抑制することができる。
【0010】
前記収容体の前記側面部は、本体部と、前記開口部において前記本体部から折り返されて前記本体部に貼り合わされている折返部とを備えてもいてよい。
【0011】
この構成によれば、折返部により収容体の開口部付近の強度を高めることができる。
【0012】
前記折返部は、前記本体部から前記収容体の外側に折り返されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、ユーザが収容体から物品を取り出すときに、折返部に物品が引っ掛かることを回避することができる。
【0014】
前記折返部は、ホットメルトにより前記本体部に貼り合わされていてもよい。
【0015】
この構成によれば、折返部と本体部とを強固に貼り合わせることができる。
【0016】
前記合成皮革の前記生地は、基材と、前記基材に塗布または貼り合わされた合成樹脂とを備えていてもよい。前記折返部の前記生地の前記基材が、前記本体部の前記生地の前記基材に貼り合わされていてもよい。
【0017】
この構成によれば、折返部と本体部とをより強固に貼り合わせることができる。
【0018】
前記収容体は、隣接する前記側面部と前記側面部とを繋ぐ角部を備えていてもよい。前記角部では、合成皮革の前記生地同士が超音波溶着により貼り合わされていてもよい。
【0019】
この構成によれば、収容体の角部の強度を高めることができる。
【0020】
合成皮革の前記生地は、基材と、前記基材に塗布または貼り合わされた合成樹脂とを備えていてもよい。前記角部では、合成皮革の前記生地の前記合成樹脂同士が貼り合わされていてもよい。
【0021】
この構成によれば、角部において合成皮革の生地同士を強固に貼り合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施例の仕切り体10について図面を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、仕切り体10は、複数の収容体2を備えている。この仕切り体10は、例えば、輸送用のプラスチック容器9に収容された状態で使用される。なお、
図1および
図2は、理解を容易にするために容器9と仕切り体10の一部を除去して示している。
【0024】
複数の収容体2は、それぞれの開口部20が上を向いた状態で並べて配置されている。本実施例では、10個の収容体2が2行5列の行列状に配置されている。縦方向(行方向)または横方向(列方向)に隣接する収容体2は、互いに連結されている。隣接する収容体2は、例えば、接着剤、接着テープ、面ファスナー等により連結される。それぞれの収容体2は、物品Mを収容可能に構成されている。物品Mは、例えば、アルミダイカスト製品のEGRバルブといった自動車部品等であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
個別の収容体2について説明する。
図3に示すように、収容体2は、底面部24と、側面部22と、開口部20とを備えている。底面部24は、収容体2に収容される物品Mを支持する。側面部22は、底面部24の周縁部に繋がっており、上に向かって延びている。側面部22は、収容体2に収容される物品Mを取り囲む。開口部20は、側面部22の上端部において上に向かって開口している。
【0026】
収容体2は、合成皮革の生地3から作製されている。合成皮革の生地3は、基材32に、合成樹脂34を塗布または貼り合わせてなる。基材32は、編製体、織物、不織布などから選ばれる基布からなる。合成樹脂34は、ポリウレタン樹脂やボリ塩化ビニールを用いることができる。収容体2は、合成皮革の生地3の基材32側が収容体2の外側を向き、生地3の合成樹脂34側が収容体2の内側を向くように作製されている。
【0027】
収容体2の側面部22は、本体部25と、本体部25から折り返されている折返部26とを備えている。本体部25は、収容体2の底面部24の周縁部から上に向かって延びている。折返部26は、本体部25の上端部から収容体2の外側に折り返されている。折返部26は、側面部22を構成する合成皮革の生地3が開口部20において折り返されることにより構成されている。折返部26の下端263は、側面部22の高さ方向の中間位置Pよりも上側に位置している。折返部26の高さh26は、例えば、側面部22の高さh22の半分(1/2)以下である。折返部26の高さh26は、側面部22の高さh22の1/3以下であってもよい。
【0028】
折返部26は、本体部25に貼り合わされている。折返部26の裏面262が本体部25の外面252に貼り合わされている。折返部26の裏面262と、本体部25の外面252とは、共に合成皮革の生地3の基材32から構成されている。折返部26は、例えば、ホットメルトにより本体部25に貼り合わされている。ホットメルトは、ホットメルト接着剤を用いた接着方法である。ホットメルト接着剤は、常温では固定であって、加熱されると液体になり、冷却されると再び固体になる接着剤である。折返部26は、複数か所(例えば、2か所)の接着部60において本体部25に貼り合わされている。複数か所の接着部60においてホットメルト接着剤が用いられている。
【0029】
折返部26の表面261は、合成皮革の生地3の合成樹脂34から構成される。折返部26の表面261は、収容体2の外側を向いている。複数の収容体2が連結される状態では、隣接する収容体2、2のそれぞれの折返部26の表面261同士が連結される。隣接する折返部26、26の表面261同士が、例えば、接着剤、接着テープ、面ファスナー等により連結される。
【0030】
図4に示すように、収容体2は、複数(例えば、4個)の角部28を備えている。角部28は、隣接する側面部22、22を繋いでいる。角部28は、隣接する側面部22、22から延びる生地3同士が貼り合わされることにより構成されている。角部28では、合成皮革の生地3の合成樹脂34同士が、例えば、超音波溶着により貼り合わされている。超音波溶着は、超音波を用いて熱可塑性樹脂を接着する方法であり、熱可塑性樹脂を加圧しながら超音波による振動を与えることにより熱可塑性樹脂を溶融させて接着する。
【0031】
次に、収容体2の作製について説明する。
図5は、収容体2の展開図である。収容体2は、展開されると十字形状を有している。収容体2は、十字形状の合成皮革の生地3から作製される。十字形状の生地3は、中央部40と、中央部40から上下左右に突出する複数の第1突出部42と、複数の第1突出部42のそれぞれから突出する複数の第2突出部44とを備えている。また、生地3は、各第1突出部42から側方に突出する一対の貼合部(第1貼合部50aおよび第2貼合部50b)を備えている。
【0032】
合成皮革の生地3の中央部40は、収容体2の底面部24(
図1-
図4参照)を構成する。生地3の第1突出部42は、収容体2の側面部22の本体部25を構成する。生地3の第2突出部44は、収容体2の側面部22の折返部26を構成する。生地3の貼合部50a、50bは、収容体2の角部28を構成する。収容体2は、十字形状の生地3が袋状に組み上げられることにより形成される。合成皮革の生地3が袋状に組み上げられた状態では、隣接する第1突出部42、42から突出する第1貼合部50aと第2貼合部50bとが超音波溶着により貼り合わされる。また、収容体2が形成された状態では、生地3の第2突出部44が収容体2の外側に折り返されて第1突出部42に貼り合わされる。
【0033】
図1および
図2に示すように、仕切り体10は、複数の収容体2を取り囲む複数の支持体7を更に備えている。それぞれの支持体7は、複数の収容体2の側面部22に貼り合わされている。複数の支持体7のうち、いくつかの支持体7は、複数の収容体2と輸送用の容器9との間に配置されている。また、他のいくつかの支持体7は、隣接する収容体2、2の間に配置されている。変形例では、支持体7は、隣接する収容体2、2の間に配置されず、複数の収容体2と容器9との間だけに配置されていてもよい。複数の支持体7は、複数の収容体2に貼り合わされることにより複数の収容体2を支持している。それぞれの支持体7は、例えば、発泡ポリエチレンの生地から作製されている。
【0034】
(効果)
以上、実施例の仕切り体10について説明した。以上の説明から明らかなように、仕切り体10は、物品Mを収容可能な複数の収容体2を備え、複数の収容体2は、それぞれの開口部20が上に向いた状態で側面部22が連結され、それぞれが合成皮革の生地3から作製されている。
【0035】
この構成によれば、例えばアルミダイカスト製品等の硬い物品Mが収容体2に収容された場合であっても、収容体2が合成皮革の生地3から作製されていることにより対切削性に優れるので、摩耗粉が発生することを抑制することができる。また、収容体2が衝撃吸収性に優れるので、収容体2に収容された物品Mが傷つくことを抑制することができる。また、ユーザが収容体2から物品Mを取り出すときにユーザの手が仕切り板と接触することで手を傷めることを抑制することができる。
【0036】
収容体2は、展開されると十字形状を有する生地3から袋状に形成されている。この構成によれば、仕切り体10が例えば容器9に収容された状態であっても、収容体2に収容された物品Mが容器9の底面部に接触することを抑制することができる。
【0037】
収容体2の側面部22は、本体部25と、開口部20において本体部25から折り返されて本体部25に貼り合わされている折返部26とを備えている。この構成によれば、折返部26により収容体2の開口部20付近の強度を高めることができる。折返部26は、本体部25から収容体2の外側に折り返されている。この構成によれば、ユーザが収容体2から物品Mを取り出すときに、物品Mが折返部26に引っ掛かることを回避することができる。
【0038】
折返部26は、ホットメルトにより本体部25に貼り合わされている。この構成によれば、折返部26と本体部25とを強固に貼り合わせることができる。また、折返部26の生地3の基材32が、本体部25の生地3の基材32に貼り合わされている。この構成によれば、折返部26と本体部25とをより強固に貼り合わせることができる。
【0039】
収容体2の角部28では、合成皮革の生地3同士が超音波溶着により貼り合わされている。この構成によれば、収容体2の角部28の強度を高めることができる。また、角部28では、生地3の合成樹脂34同士が貼り合わされている。この構成によれば、角部28において生地3同士を強固に貼り合わせることができる。
【0040】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0041】
2:収容体、3:生地、7:支持体、10:仕切り体、20:開口部、22:側面部、24:底面部、25:本体部、26:折返部、28:角部、32:基材、34:合成樹脂、40:中央部、42:第1突出部、44:第2突出部、50a:第1貼合部、50b:第2貼合部