(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114391
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】管理システム、および管理方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230809BHJP
B66B 17/20 20060101ALI20230809BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
G05D1/02 P
B66B17/20 Z
B66B1/14 M
B66B1/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016737
(22)【出願日】2022-02-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F502
5H301
【Fターム(参考)】
3F502HC07
3F502JA09
5H301AA02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301KK02
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
5H301QQ02
(57)【要約】
【課題】エレベータによる自走型装置の移動の効率を向上させる。
【解決手段】管理システム100は、第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから第1行先階に自走型装置5が到着するまでの期間に第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付部111と、第2行先階への移動指示を受け付けたときの自走型装置5の位置、第1行先階、および第2行先階と、に少なくとも基づいて、第1行先階および第2行先階に移動する移動順序を決定する決定部511と、決定された移動順序にしたがって自走型装置5がエレベータ4を用いて移動するように自走型装置5を制御する移動制御部512と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理システムであって、
第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付部と、
前記第2行先階への移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定部と、
前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御部と、
を備えた管理システム。
【請求項2】
前記自走型装置が前記エレベータに乗車前である場合、
前記移動制御部は、
前記決定された移動順序における最初の行先階に向かうエレベータに乗車するように前記自走型装置を制御する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記受付部が前記第2行先階への移動指示を受け付けたとき、前記自走型装置が前記第1行先階に向かうエレベータに乗車前であり、かつ、前記第1行先階よりも前記第2行先階が前記自走型装置の位置に近い場合、
前記決定部は、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定する、
請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記決定部が、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定した場合であり、かつ、前記自走型装置の位置から前記第1行先階に向かう第1方向と前記第2行先階に向かう第2方向とが異なる場合、
前記移動制御部は、前記第1方向へ向かうエレベータの呼び登録を取り消し、前記第2方向へ向かうエレベータの呼び登録を行うよう前記自走型装置を制御する、
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記受付部が前記第2行先階への移動指示を受け付けたときに、前記自走型装置が前記第1行先階に向かうエレベータに乗車しており、かつ、前記自走型装置が乗車しているエレベータの移動方向において前記第1行先階よりも前記第2行先階が前記自走型装置の位置に近い場合、
前記決定部は、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記自走型装置は、前記第1行先階および前記第2行先階において、対象物の集荷および配送の少なくともいずれか一方を行う装置である、
請求項1から5の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記自走型装置と、管理サーバと、を含み、
前記管理サーバは、前記受付部を含み、
前記自走型装置は、前記決定部および前記移動制御部を含む、
請求項1から6の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項8】
エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理方法であって、
第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付ステップと、
前記第2行先階への移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定ステップと、
前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御ステップと、
を含む管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走型装置の移動を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被搬送物を、ユーザからのリクエストによって指示された出発地から、同リクエストによって指示された目的地まで、エレベータを利用して搬送する搬送ロボットの移動を制御する装置が記載されている。当該装置は、ユーザからのリクエストに応じて、被搬送物がある出発地まで搬送ロボットを移動させ、被搬送物を保持して目的地まで搬送させるよう、搬送ロボットおよびエレベータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置では、出発地および目的地がそれぞれ異なる複数のリクエストの各々に対応する場合、自走型装置を効率よく移動させる点で改善の余地がある。
【0005】
本発明の一態様は、上述の課題を解決するためになされたもので、エレベータによる自走型装置の移動効率を向上させる技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る管理システムは、エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理システムであって、第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付部と、前記第2行先階への移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定部と、前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御部と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る管理方法は、エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理方法であって、第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付ステップと、前記第2行先階への移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定ステップと、前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御ステップ、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、エレベータによる自走型装置の移動の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る管理システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る管理システムの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るエレベータ管理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るエレベータ制御装置およびエレベータの構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る管理方法の全体の流れの一例を示すフロー図である。
【
図6】本実施形態に係る移動順序決定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図7】本実施形態に係る移動制御処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図8】本実施形態に係る移動順序の具体例を示す模式図である。
【
図9】本実施形態に係る移動順序の他の具体例を示す模式図である。
【
図10】本実施形態に係る移動順序の他の具体例を示す模式図である。
【
図11】本実施形態に係る管理サーバが実行する処理の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
【
図12】本実施形態に係る自走型装置が実行する処理の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
【
図13】本実施形態に係る自走型装置が実行する他の処理の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
【
図14】本実施形態に係る自走型装置が実行する他の処理の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
【
図15】本実施形態に係る自走型装置の移動が効率化される具体例および比較例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態に係る管理システム100について、詳細に説明する。
【0011】
<管理システム100の構成>
管理システム100の全体構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る管理システム100の全体構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、管理システム100は、管理サーバ1と、エレベータ管理装置2と、エレベータ制御装置3と、エレベータ4と、自走型装置5とを含む。なお、
図1には、エレベータ制御装置3、エレベータ4、および自走型装置5をそれぞれ1つずつ示しているが、各装置の個数は1に限定されない。以下では、各装置の個数が1ずつである例について説明し、少なくとも何れかの装置の個数が複数である態様については、末尾に変形例として後述する。また、管理システム100は、少なくとも管理サーバ1と、自走型装置5とを含んでいればよい。例えば、エレベータ管理装置2、エレベータ制御装置3およびエレベータ4は、管理システム100の外部に備えられていてもよい。
【0012】
(エレベータ4を利用した自走型装置5の移動)
管理システム100は、エレベータ4を利用した自走型装置5の移動を管理するシステムである。エレベータ4は、複数階床を有する建物に設けられ、自走型装置5は、当該建物内に配備されている。管理システム100は、自走型装置5に対する行先階への移動指示を受け付け、当該移動指示に応じて自走型装置5を移動させる。移動指示は、利用者によって入力されてもよいし、他の装置から入力されてもよい。管理システム100は、複数の荷物配達依頼を受け付け可能である。複数の移動指示のうち少なくとも1つは、他の移動指示とは異なるタイミングで受け付けられ得る。
【0013】
ここで、自走型装置5は、エレベータ4の乗場において「乗場呼び登録」を行う機能と、エレベータ4のかご41内において「かご呼び登録」を行う機能とを有する。また、エレベータ管理装置2は、「乗場呼び登録」に対応する機能と、「かご呼び登録」に対応する機能とを有する。自走型装置5は、乗場呼び登録により乗場に到着したエレベータ4に乗車し、かご呼び登録により到着した行先階にてエレベータ4から降車する。このようにして、自走型装置5は、エレベータ4を利用して複数階床間を移動する。
【0014】
乗場呼び登録は、乗場のある出発階から移動方向(上方向または下方向)へ向かうエレベータ4を呼ぶことを指す。エレベータ管理装置2は、乗場呼び登録を受け付けると、当該出発階から当該移動方向へ向かうようエレベータ4の運行を制御する。なお、乗場呼び登録は、特許請求の範囲に記載した「呼び登録」の一例である。例えば、自走型装置5は、エレベータ4の乗場に設置された乗場登録装置(図示せず)に対して移動方向を示す情報を入力することにより、乗場呼び登録を行ってもよい。この場合、乗場登録装置は、入力操作に応じた乗場呼び登録情報を、エレベータ管理装置2に送信する。乗場呼び登録情報は、出発階(この場合、乗場登録装置が設置された階)を示す情報と、移動方向を示す情報とを含む。また、例えば、自走型装置5は、乗場呼び登録情報をエレベータ管理装置2に送信することにより、乗場呼び登録を行ってもよい。エレベータ管理装置2は、乗場登録装置または自走型装置5から乗場呼び登録情報を受信することにより、乗場呼び登録を受け付ける。以下では、乗場呼び登録における移動方向Xを特に区別して当該乗場呼び登録を説明する場合には、「移動方向Xの乗場呼び登録」と記載することもある。
【0015】
かご呼び登録は、エレベータ4のかご41内で行先階を登録することを指す。エレベータ管理装置2は、かご呼び登録を受け付けると、当該行先階に停止するようエレベータ4の運行を制御する。なお、かご呼び登録は、特許請求の範囲に記載した「行先階を登録」することの一例である。例えば、自走型装置5は、エレベータ4の運転制御盤40に対して行先階を示す情報を入力することにより、かご呼び登録を行ってもよい。この場合、運転制御盤40は、入力操作に応じたかご呼び登録情報を、エレベータ制御装置3を介してエレベータ管理装置2に送信する。かご呼び登録情報は、行先階を示す情報を含む。また、例えば、自走型装置5は、かご呼び登録情報をエレベータ管理装置2に送信することにより、かご呼び登録を行ってもよい。エレベータ管理装置2は、運転制御盤40または自走型装置5からかご呼び登録情報を受信することにより、かご呼び登録を受け付ける。以下では、かご呼び登録における行先階Yを特に区別して当該かご呼び登録を説明する場合には、「行先階Yのかご呼び登録」と記載することもある。
【0016】
(管理システム100の機能的な構成)
管理システム100の機能的な構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、管理システム100の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、管理システム100は、少なくとも、受付部111と、決定部511と、移動制御部512とを含む。本実施形態では、受付部111が管理サーバ1に配置され、決定部511および移動制御部512が自走型装置5に配置される。
【0017】
(管理サーバ1の構成)
管理サーバ1は、自走型装置5の移動を管理する装置である。管理サーバ1は、プロセッサ、メモリおよびネットワークインタフェースを含むコンピュータを用いて構成される。管理サーバ1の機能的な構成について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、管理サーバ1は、制御部110と、記憶部120と、通信部130とを含む。
【0018】
制御部110は、プロセッサによって構成される。制御部110は、管理サーバ1が備える各機能を実現するようコンピュータの各部を制御する。制御部110は、受付部111を含む。
【0019】
受付部111は、第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから第1行先階に自走型装置が到着するまでの期間に第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付ける。また、受付部111は、第1行先階および第2行先階を示す情報を自走型装置5に送信する。受付部111の詳細については、後述する「管理方法S10の流れ」において説明する。
【0020】
記憶部120は、メモリによって構成される。記憶部120は、制御部110によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部110が実行する各種処理において利用されるデータなどを記憶する。
【0021】
通信部130は、ネットワークインタフェースによって構成される。通信部130は、建物内に敷設された施設内ネットワークに接続する。施設内ネットワークは、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。制御部110は、通信部130を介して、エレベータ管理装置2、および自走型装置5との間で通信を行う。
【0022】
(自走型装置5の構成)
自走型装置5は、自走機能を備える多機能装置である。自走型装置5は、自律走行あるいは自立歩行が可能なロボットであってもよい。前述したように、自走型装置5は、「乗場呼び登録」および「かご呼び登録」を行うことにより、エレベータ4を利用して行先階に移動する。換言すると、自走型装置5は、エレベータ4に対して行先階を登録可能な装置の一例である。
【0023】
自走型装置5は、プロセッサ、メモリおよびネットワークインタフェースを含むコンピュータを搭載する。自走型装置5の機能的な構成について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、自走型装置5は、制御部510と、記憶部520と、通信部530と、移動機構540とを含む。
【0024】
制御部510は、プロセッサによって構成される。制御部510は、自走型装置5が備える各機能を実現するようコンピュータの各部および移動機構540を制御する。制御部510は、決定部511と、移動制御部512とを含む。
【0025】
決定部511は、第2行先階への移動指示を受け付けたときの自走型装置5の位置、第1行先階、および第2行先階と、に少なくとも基づいて、第1行先階および第2行先階に移動する移動順序を決定する。移動制御部512は、決定された移動順序にしたがって自走型装置5がエレベータ4を用いて移動するように自走型装置5を制御する。これらの各部の詳細については、後述する「管理方法S10の流れ」において説明する。
【0026】
記憶部520は、メモリによって構成される。記憶部520は、制御部510によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部510が実行する各種処理において利用されるデータなどを記憶する。
【0027】
通信部530は、ネットワークインタフェースによって構成される。通信部530は、建物内に敷設された施設内ネットワークに接続する。施設内ネットワークについては、前述した通りである。制御部510は、通信部530を介して、エレベータ管理装置2との間で通信を行う。
【0028】
移動機構540は、自走型装置5本体を移動させるための機構である。移動機構540は、車輪、キャタピラ、および歩行用の脚等であってもよいが、これらに限られない。
【0029】
(エレベータ管理装置2の構成)
エレベータ管理装置2は、エレベータ制御装置3を介してエレベータ4を管理する装置である。前述したように、エレベータ管理装置2は、乗場呼び登録に対応する機能、およびかご呼び登録に対応する機能を備える。エレベータ管理装置2は、プロセッサ、メモリおよびネットワークインタフェースを含むコンピュータを用いて構成される。エレベータ管理装置2の機能的な構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、エレベータ管理装置2の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、エレベータ管理装置2は、制御部210と、記憶部220と、通信部230とを含む。
【0030】
制御部210は、プロセッサによって構成される。制御部210は、エレベータ管理装置2が備える各機能を実現するようコンピュータの各部を制御する。制御部210は、登録受付部211と、運行制御部212とを含む。
【0031】
登録受付部211は、乗場呼び登録、および、かご呼び登録を受け付ける。運行制御部212は、受け付けた乗場呼び登録、および、かご呼び登録に基づいて、エレベータ4の運行を制御する。また、制御部210は、エレベータ4の運転を統括的に管理する。
【0032】
記憶部220は、メモリによって構成される。記憶部220は、制御部210によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部210が実行する各種処理において利用されるデータなどを記憶する。
【0033】
通信部230は、ネットワークインタフェースによって構成される。通信部230は、建物内に敷設された施設内ネットワークに接続する。施設内ネットワークについては前述した通りである。制御部210は、通信部230を介して、管理サーバ1、およびエレベータ制御装置3との間で通信を行う。
【0034】
(エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成)
エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成の一例を示す図である。
【0035】
エレベータ4は、自走型装置5を乗車させるかご41、かご41の昇降を制御する運転制御盤40、および、各階の乗場に設けられている扉42を備えている。
【0036】
エレベータ制御装置3は、エレベータ4と通信可能に接続されているコンピュータである。エレベータ制御装置3は、エレベータ4の運転を制御する。エレベータ制御装置3は、制御部30を備えている。制御部30は、プロセッサによって構成される。また、制御部30は、エレベータ制御装置3が備える各機能を実現するようコンピュータの各部を制御する。
【0037】
制御部30は、指示取得部31、運転状況管理部32、および扉開閉制御部33を備えている。
【0038】
指示取得部31は、エレベータ管理装置2からの各種指示を取得する。指示取得部31が取得する指示としては、停止階設定指示、行先階設定指示、停止階変更指示、行先階変更指示、扉42の開閉指示などが挙げられる。
【0039】
運転状況管理部32は、エレベータ4のかご41の位置、運転状況、各階の乗場の扉42の開閉状況などを示す各情報を、運転制御盤40から取得する。
【0040】
扉開閉制御部33は、エレベータ管理装置2からの指示に応じて、指定された階の乗場の扉42の開閉を制御する。例えば、扉開閉制御部33は、エレベータ4に対して、指定された階の乗場のエレベータ4の扉42を開状態で保持させたり、該開状態の保持を解除させたりすることが可能である。
【0041】
<管理方法S10の流れ>
(管理方法S10の全体の流れ)
以上のように構成された管理システム100が実行する管理方法S10の流れについて、
図5を参照して説明する。
図5は、管理方法S10全体の流れの一例を示すフロー図である。
図5に示すように、管理方法S10は、ステップS1~S8を含む。
【0042】
ステップS1において、管理サーバ1の受付部111は、第1行先階への移動指示を受け付ける。例えば、受付部111は、ユーザ端末(不図示)に入力された移動指示情報を、当該ユーザ端末から受信することにより、当該移動指示を受け付けてもよい。移動指示情報は、第1行先階を示す情報を含む。また、例えば、受付部111は、他の装置(不図示)により生成された移動指示情報を、当該他の装置から受信することにより、当該移動指示を受け付けてもよい。また、受付部111は、当該移動指示の受け付けに応じて、第1行先階を示す情報を、自走型装置5に送信する。
【0043】
ステップS2において、自走型装置5の決定部511は、第1行先階を示す情報を受信すると、現在の目的階を第1行先階と決定する。ここで、現在の目的階とは、自走型装置5が現在向かうべき階であり、第1行先階または第2行先階である。換言すると、現在の目的階は、決定部511が直近で決定した移動順序における最初の階である。
【0044】
また、ステップS2において、移動制御部512は、現在の目的階である第1行先階への移動を開始するよう、自装置を制御する。具体的には、移動制御部512は、出発階から第1方向への乗場呼び登録を行う。ここで、第1方向とは、自走型装置5の位置を含む出発階から第1行先階へ向かう方向であり、上方向または下方向である。換言すると、移動制御部512は、出発階を示す情報と、第1方向を示す情報とを含む乗場呼び登録情報を、エレベータ管理装置2に対して送信する。また、移動制御部512は、第1方向の乗場呼び登録後、当該乗場呼び登録に応じたエレベータ4への乗車、第1行先階のかご呼び登録、および、第1行先階でのエレベータ4からの降車、等を行うよう、自走型装置5の移動を制御する。ただし、これらの移動制御が完了する前または後の任意の時点で、次のステップS3が実行される可能性がある。
【0045】
ステップS3において、管理サーバ1の受付部111は、第2行先階への移動指示を受け付ける。例えば、受付部111は、上述したユーザ端末または他の装置から移動指示情報を受信することにより、当該移動指示を受け付ける。移動指示情報は、第2行先階を示す情報を含む。また、受付部111は、当該移動指示の受け付けに応じて、第2行先階を示す情報を、自走型装置5に送信する。
【0046】
ステップS4において、自走型装置5の決定部511は、第2行先階への移動指示の受付が、自装置が第1行先階に到着する前であるか否かを判断する。
【0047】
ここで、ステップS2において第1行先階への移動を開始した後、当ステップの実行時点において、自走型装置5の状況は、第1行先階に向かうエレベータ4への乗車前、乗車中、および、第1行先階に到着した後、の何れかである。そこで、例えば、決定部511は、第2行先階を示す情報を受信すると、自走型装置5の状況が、第1行先階に向かうエレベータ4への乗車前、または、乗車中である場合に、Yesと判断してもよい。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS7が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS5が実行される。
【0048】
換言すると、管理サーバ1の受付部111は、第1行先階への移動指示(ステップS1)、および、当該移動指示を受け付けてから第1行先階に自走型装置5が到着するまでの期間(ステップS3およびステップS4でYes)に、第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付ける(ステップS3)。つまり、ステップS1~S4は、特許請求の範囲に記載した受付ステップの一例である。
【0049】
ステップS5において、決定部511は、第2行先階への移動指示を受け付けたときの自走型装置5の位置、第1行先階、および第2行先階と、に少なくとも基づいて、第1行先階および第2行先階に移動する移動順序を決定する。ステップS5は、特許請求の範囲に記載した決定ステップの一例である。当ステップの詳細については図面を変えて後述する。
【0050】
ステップS6において、移動制御部512は、ステップS5で決定された移動順序にしたがって自走型装置5がエレベータ4を用いて移動するように、自走型装置5を制御する。ステップS6は、特許請求の範囲に記載した移動制御ステップの一例である。当ステップの詳細については図面を変えて後述する。
【0051】
また、ステップS4でNoと判断された場合、自走型装置5は、既に第1行先階に到着した後である。この場合、ステップS7が実行される。
【0052】
ステップS7において、移動制御部512は、第2行先階への移動を開始するよう、自装置を制御する。具体的には、移動制御部512は、出発階から第2方向への乗場呼び登録を行う。ここで、第2方向とは、到着した第1行先階から第2行先階へ向かう方向であり、上方向または下方向である。換言すると、移動制御部512は、出発階を示す情報と、第2方向を示す情報とを含む乗場呼び登録情報を、エレベータ管理装置2に対して送信する。
【0053】
ステップS8は、ステップS6、またはS7の後に実行される。ステップS8において、移動制御部512は、現在の目的階を新たな第1行先階として、ステップS4からの処理を繰り返す。これにより、管理システム100は、2つの移動指示に限らず、3以上の移動指示を順次受け付ける場合にも、自走型装置5を効率よく移動させることができる。
【0054】
(移動順序決定処理の流れ)
ステップS5における移動順序決定処理の流れについて、
図6を参照して説明する。
図6は、移動順序決定処理の流れの一例を示すフロー図である。
図6に示すように、移動順序決定処理は、ステップS31~S37を含む。
【0055】
ステップS31において、決定部511は、自走型装置5が、第1行先階に向かうエレベータ4に乗車前であるか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS35が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS32が実行される。
【0056】
ステップS32において、決定部511は、第1行先階よりも第2行先階が自走型装置の位置に近いか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS34が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS33が実行される。
【0057】
ステップS33において、決定部511は、第1行先階より先に第2行先階へ移動するように移動順序を決定する。例えば、決定部511は、現在の目的階を、第1行先階から第2行先階に変更してもよい。
【0058】
換言すると、受付部111が第2行先階への移動指示を受け付けたとき、自走型装置5が第1行先階に向かうエレベータ4に乗車前であり(ステップS31でYes)、かつ、第1行先階よりも第2行先階が自走型装置5の位置に近い場合(ステップS32でYes)、決定部511は、第1行先階より先に第2行先階へ移動するように移動順序を決定する(ステップS33)。
【0059】
ステップS33の具体例について、
図8を参照して説明する。
図8は、移動順序の具体例を示す模式図である。具体例C101に示すように、自走型装置5はエレベータ4に乗車前である。このとき、第1行先階(7F)よりも第2行先階(6F)が自走型装置5の位置(3F)に近い。そこで、決定部511は、第1行先階(7F)より先に第2行先階(6F)へ移動するように移動順序を決定する。
【0060】
また、具体例C102に示すように、自走型装置5はエレベータ4に乗車前である。このとき、第1行先階(7F)よりも第2行先階(1F)が自走型装置5の位置(3F)に近い。そこで、決定部511は、第1行先階(7F)より先に第2行先階(1F)へ移動するように移動順序を決定する。
【0061】
一方、
図6のステップS32でNoと判断された場合、ステップS34が実行される。ステップS34において、決定部511は、第2行先階より先に第1行先階へ移動するように移動順序を決定する。例えば、決定部511は、現在の目的階を、第1行先階のままを変更しなくてよい。
【0062】
ステップS34の具体例について、
図9を参照して説明する。
図9は、移動順序の具体例を示す模式図である。具体例C201に示すように、自走型装置5はエレベータ4に乗車前である。このとき、第1行先階(7F)よりも第2行先階(8F)が自走型装置5の位置(3F)から遠い。そこで、決定部511は、第2行先階(8F)より先に第1行先階(7F)へ移動するように移動順序を決定する。
【0063】
また、具体例C202に示すように、自走型装置5はエレベータ4に乗車前である。このとき、第1行先階(7F)よりも第2行先階(1F)が自走型装置5の位置(5F)から遠い。そこで、決定部511は、第2行先階(1F)より先に第1行先階(7F)へ移動するように移動順序を決定する。
【0064】
また、
図6のステップS31でNoと判断された場合、自走型装置5は、第1行先階に向かうエレベータ4に乗車中である。この場合、ステップS35が実行される。ステップS35において、決定部511は、自走型装置5が乗車しているエレベータ4の移動方向において第1行先階よりも第2行先階が自走型装置の位置に近いか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS37が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS36が実行される。
【0065】
ステップS36において、決定部511は、第1行先階より先に第2行先階へ移動するように移動順序を決定する。例えば、決定部511は、現在の目的階を、第1行先階から第2行先階に変更してもよい。
【0066】
換言すると、受付部111が第2行先階への移動指示を受け付けたときに、自走型装置5が第1行先階に向かうエレベータ4に乗車しており(ステップS31でNo)、かつ、自走型装置5が乗車しているエレベータ4の移動方向において第1行先階よりも第2行先階が自走型装置5の位置に近い場合(ステップS35でYes)、決定部511は、第1行先階より先に第2行先階へ移動するように移動順序を決定する(ステップS36)。
【0067】
ステップS36の具体例について、
図10を参照して説明する。
図10は、移動順序の具体例を示す模式図である。具体例C301に示すように、自走型装置5はエレベータ4に乗車中である。このとき、エレベータ4の移動方向d1において、第1行先階(7F)よりも第2行先階(6F)が自走型装置5の位置(3Fと4Fの間)に近い。そこで、決定部511は、第1行先階(7F)より先に第2行先階(6F)へ移動するように移動順序を決定する。
【0068】
一方、
図6のステップS35でNoと判断された場合、ステップS37が実行される。ステップS37において、決定部511は、第2行先階より先に第1行先階へ移動するように移動順序を決定する。例えば、決定部511は、現在の目的階を、第1行先階のままを変更しなくてよい。
【0069】
ステップS37の具体例について、
図10を参照して説明する。具体例C302に示すように、自走型装置5はエレベータ4に乗車中である。このとき、第1行先階(7F)よりも第2行先階(1F)が自走型装置5の位置(3Fと4Fの間)に近いものの、第2行先階(1F)は、エレベータ4の移動方向d1に含まれない。そこで、決定部511は、第2行先階(1F)より先に第1行先階(7F)へ移動するように移動順序を決定する。
【0070】
(移動制御処理の流れ)
ステップS6における移動制御処理の流れについて、
図7を参照して説明する。
図7は、移動制御処理の流れの一例を示すフロー図である。
図7に示すように、移動制御処理は、ステップS41~S47、S51~S54を含む。
【0071】
ステップS41において、移動制御部512は、自走型装置5が、第1行先階に向かうエレベータ4に乗車前であるか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS51が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS32が実行される。
【0072】
ステップS42において、移動制御部512は、「第1行先階より先に第2行先階へ移動する」よう移動順序が決定されたか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS47が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS43が実行される。
【0073】
ステップS43において、移動制御部512は、自走型装置5の位置から第1行先階に向かう第1方向と、第2行先階に向かう第2方向とが異なるか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS46が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS44が実行される。
【0074】
ステップS44において、移動制御部512は、ステップS2で行った、第1方向の乗場呼び登録を取り消す。具体的には、例えば、移動制御部512は、乗場呼び登録の取消を依頼する乗場呼び取消情報を、エレベータ管理装置2に送信する。これは、現在の目的階が第1行先階から第2行先階に変更されたことにより、第2方向とは異なる第1方向のエレベータ4に乗車しても、第2行先階に向かうことができないためである。
【0075】
ステップS45において、移動制御部512は、第2方向の乗場呼び登録を行う。つまり、移動制御部512は、決定された移動順序における最初の行先階(ここでは、第2行先階)に向かうエレベータ4に乗車するよう、自走型装置5を制御する。
【0076】
換言すると、決定部511が第1行先階より先に第2行先階へ移動するように移動順序を決定した場合であり(ステップS42でYes)、かつ、自走型装置5の位置から第1行先階に向かう第1方向と、第2行先階に向かう第2方向とが異なる場合(ステップS43でYes)、移動制御部512は、第1方向へ向かうエレベータの呼び登録を取り消し(ステップS44)、第2方向へ向かうエレベータの呼び登録を行うよう自走型装置5を制御する(ステップS45)。
【0077】
ステップS44、S45の具体例について、
図8を参照して説明する。前述したように、具体例C102では、第1行先階(7F)より先に第2行先階(1F)へ移動するように移動順序が決定されている。このとき、自走型装置の位置(3F)から第1行先階(7F)に向かう第1方向d1と、第2行先階(1F)に向かう第2方向d2とは異なる。そこで、移動制御部512は、第1方向d1の乗場呼び登録を取り消し、第2方向d2の乗場呼び登録を行う。
【0078】
一方、ステップS43においてNoと判断された場合、ステップS44、S45は実行されない。つまり、ステップS2で行われた、第1方向の乗場呼び登録がそのまま維持される。これは、現在の目的階が第1行先階から第2行先階に変更されても、第1方向および第2方向が同一であれば、第1方向のエレベータ4に乗車して第2行先階に向かうことが可能なためである。つまり、移動制御部512は、決定された移動順序における最初の行先階(ここでは、第1行先階)に向かうエレベータ4に乗車するよう、自走型装置5を制御する。
【0079】
ステップS44、S45が実行されない場合の具体例について、
図8を参照して説明する。前述したように、具体例C101では、第1行先階(7F)より先に第2行先階(6F)へ移動するように移動順序が決定されている。このとき、自走型装置の位置(3F)から第1行先階(7F)に向かう第1方向d1と、第2行先階(6F)に向かう第2方向d2とは同一である。そこで、移動制御部512は、第1方向d1の乗場呼び登録を取り消さず、当該乗場呼び登録に応じたエレベータ4に自走型装置5を乗車させて、第2行先階(6F)に移動するよう制御する。
【0080】
図7のステップS46において、移動制御部512は、第2行先階、第1行先階の順に移動するよう自装置の制御を開始する。なお、第2行先階への移動中(現在の目的階が第2行先階の状態)、または、第2行先階へ到着後の第1行先階への移動中(現在の目的階が第1行先階の状態)において、新たな移動指示が受け付けられる可能性がある。その場合、前述したように、ステップS8において現在の目的階を新たな第1行先階とし、新たな移動指示が示す行先階を新たな第2行先階として、ステップS4からの処理が繰り返される。
【0081】
また、ステップS42においてNoと判断された場合、ステップS47が実行される。ステップS47において、移動制御部512は、第1行先階、第2行先階の順に移動するよう制御を開始する。なお、第1行先階への移動中(現在の目的階が第1行先階の状態)、または、第1行先階へ到着後の第2行先階への移動中(現在の目的階が第2行先階の状態)において、新たな移動指示が受け付けられる可能性がある。その場合、前述したように、ステップS8において現在の目的階を新たな第1行先階とし、新たな移動指示が示す行先階を新たな第2行先階として、ステップS4からの処理が繰り返される。
【0082】
また、ステップS41においてNoと判断された場合、自走型装置5は、第1行先階に向かうエレベータ4に乗車中である。また、自走型装置5は、乗車後、第1行先階のかご呼び登録を行ったものとする。この場合、ステップS51が実行される。ステップS51において、移動制御部512は、「第1行先階より先に第2行先階へ移動する」よう移動順序が決定されたか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS54が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS52が実行される。
【0083】
ステップS52において、移動制御部512は、第2行先階のかご呼び登録を行う。なお、当ステップにおいて、移動制御部512は、第1行先階のかご呼び登録を取り消してもよい。これにより、エレベータ4の運行効率が向上する可能性がある。ただし、移動制御部512は、第1行先階より近い第2行先階で自走型装置5を降車させるよう制御する予定であるため、第1行先階のかご呼び登録を必ずしも取り消さなくてよい。
【0084】
ステップS53において、移動制御部512は、第2行先階、第1行先階の順に移動するよう制御を開始する。当ステップの詳細は、ステップS46で説明した通りである。
【0085】
また、ステップS51でNoと判断された場合、ステップS54が実行される。ステップS54において、移動制御部512は、第1行先階、第2行先階の順に移動するよう制御を開始する。当ステップの詳細は、ステップS47で説明した通りである。
【0086】
<集配ロボットの適用例>
以上説明した管理システム100において、自走型装置5として集配ロボットを適用する適用例について説明する。本適用例では、自走型装置5は、第1行先階および第2行先階において、対象物の集荷および配送の少なくともいずれか一方を行う装置である。以下では、対象物を「荷物」とも記載する。また、集荷および配送の少なくとも何れか一方を行うことを、「集配する」とも記載する。自走型装置5は、荷物配達依頼に応じて、荷物を集配するためにエレベータ4を利用して移動する。荷物配達依頼は、上述した移動指示の一例である。荷物配達依頼を示す情報は、少なくとも集荷階を示す情報を含む。ある荷物配達依頼に含まれる集荷階は、他の荷物配達依頼に含まれる集荷階と同一であってもよいし、異なっていてもよい。本適用例では、配達階は、所定の階である。集荷階は、荷物配達依頼の受け付け状況に応じて、上述した第1行先階または第2行先階の一例となり得る。
【0087】
この場合、管理システム100は、上述した管理方法S10を実現する詳細な処理の一例として、以下の処理S100~S400を実行する。
【0088】
(管理サーバ1の処理)
管理サーバ1が実行する処理S100の流れについて、
図11を参照して説明する。
図11は、管理サーバ1が実行する処理S100の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
図11に示すように、処理S100は、ステップS101~S103を含む。管理サーバ1は、ステップS101~S103を繰り返し実行する。
【0089】
ステップS101において、受付部111は、新規の荷物配達依頼を示す情報を受信する。荷物配達依頼を示す情報は、荷物を集荷すべき集荷階を示す情報を含む。
【0090】
ステップS102において、受付部111は、荷物配達依頼が示す集荷階をf_newとする。
【0091】
ステップS103において、受付部111は、自走型装置5に、集荷階f_newを送信する。
【0092】
(自走型装置5の処理)
自走型装置5が実行する処理S200~S400の流れについて、
図12~
図14を参照して説明する。
【0093】
図12は、自走型装置5が実行する処理S200の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
図12に示すように、処理S200は、ステップS201~S202を含む。自走型装置5は、ステップS201~S202を繰り返し実行する。
【0094】
ステップS201において、決定部511は、管理サーバ1から集荷階f_newを受信したか否かを判断する。当ステップは、Yesと判断されるまで繰り返される。当ステップでYesと判断されると、次のステップS202が実行される。
【0095】
ステップS202において、決定部511は、集荷階リストDestList()に、集荷階f_newを追加する。
【0096】
図13は、自走型装置5が実行する処理S300の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
図13に示すように、処理S300は、ステップS301~S310を含む。自走型装置5は、エレベータ4の乗車前において、ステップS301~S310を繰り返し実行する。
【0097】
ステップS301において、決定部511は、集荷階リストDestList()に集荷階が含まれるか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS309が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS302が実行される。
【0098】
ステップS302において、決定部511は、集荷階リストDestList()に含まれる集荷階のうち自走型装置5の位置(以降、現在階と記載)から一番近い階を、目的階flとして決定する。本適用例では、目的階は、集荷階リストDestList()に含まれる集荷階のうち、次に向かうべき集荷階を指す。
【0099】
なお、ステップS302の時点では、前回決定された目的階flに向かう方向の乗場呼び登録が行われている。ここで、前述したように、自走型装置5は処理S300を繰り返し実行しており、「前回決定された目的階fl」とは、前回実行された処理S300のS302において決定された目的階flを指す。そこで、前回の決定された目的階flを「現在の目的階fl_now」と称し、今回のステップS302において決定した目的階flを「新たな目的階fl」と称して、これらを区別する。
【0100】
新たな目的階flが現在の目的階fl_nowと異なる場合、ステップS302の処理は、
図6に示したステップS33を実現する処理の一例となる。また、この場合、新たな目的階flは、上述した第2行先階の一例である。また、現在の目的階fl_nowは、上述した第1行先階の一例である。つまり、この場合、第1行先階よりも先に第2行先階に移動するよう移動順序が決定される。
【0101】
一方、新たな目的階flが現在の目的階fl_nowと同一である場合、ステップS302の処理は、
図6に示したステップS34を実現する処理の一例となる。また、この場合、現在の目的階fl_now(すなわち、新たな目的階fl)は、上述した第1行先階の一例である。また、現在の目的階fl_nowに相当する集荷階よりも後に集荷階リストDestList()に追加された集荷階は、上述した第2行先階の一例である。つまり、この場合、第2行先階よりも先に第1行先階に移動するよう移動順序が決定される。
【0102】
ステップS303において、移動制御部512は、新たな目的階flが自走型装置5の位置(以降、現在階とも記載する)より上であるか否かを判断する。当ステップにおいてYesと判断した場合、ステップS304が実行される。ステップS304において、移動制御部512は、移動方向dirとして「上方向」を決定する。当ステップにおいてNoと判断した場合、ステップS305が実行される。ステップS305において、移動制御部512は、移動方向dirとして「下方向」を決定する。ここで、当ステップの時点では、自走型装置5は、前回決定された移動方向dirのエレベータ4に乗車する予定である。なお、「前回決定された移動方向dir」とは、前回実行された処理S300のS304またはS305において決定された移動方向dirを指す。そこで、「前回決定された移動方向dir」を「現在の移動方向dir_now」と称し、今回決定した移動方向dirを「新たな移動方向dir」と称して、これらを区別する。
【0103】
ステップS306において、移動制御部512は、現在階を示す情報、および新たな移動方向dirを示す情報を含む乗場呼び登録情報を、エレベータ管理装置2に送信する。なお、新たな目的階flが現在の目的階fl_nowと同一である場合、移動制御部512は、当ステップの処理を省略可能である。また、新たな移動方向dirが現在の移動方向dir_nowと同一である場合も、移動制御部512は、当ステップの処理を省略可能である。ただし、新たな移動方向dirが現在の移動方向dir_nowと異なる場合、移動制御部512は、現在の移動方向dir_nowの乗場呼び登録を取り消し、新たな移動方向dirの乗場呼び登録を行う。当ステップの処理は、
図7に示したステップS42~S47を実現する処理の一例となる。
【0104】
ステップS307において、移動制御部512は、新たな移動方向dirのエレベータ4が現在階に到着したか否かを判断する。当ステップは、Yesと判断されるまで繰り返される。当ステップでYesと判断されると、次のステップS308が実行される。
【0105】
ステップS308において、移動制御部512は、到着したエレベータ4内に移動するよう、自走型装置5を制御する。
【0106】
また、ステップS301でNoと判断された場合、集荷階リストDestList()に集荷階が含まれていない。この場合、ステップS309が実行される。ステップS309において、決定部511は、「ピックアップ完了フラグ」がTrueであるか否かを判断する。ここで、「ピックアップ完了フラグ」は、初期値がFalseのフラグであり、後述する処理S400において所定条件を満たした場合にTrueとなる。当ステップでNoと判断された場合、ステップS301からの処理が繰り返される。これにより、自走型装置5は、集荷階リストDestList()に集荷階が追加されるまで待機し、新たな集荷階の追加に応じて移動する。
【0107】
一方、ステップS309でYesと判断された場合、自走型装置5は、複数の荷物集荷依頼に応じた荷物の集荷を完了した状態である。この場合、ステップS310が実行される。ステップS310において、決定部511は、配達階を、新たな目的階flとして決定する。以降、ステップS303からの処理が繰り返される。これにより、自走型装置5は、配達階に向かうエレベータ4に乗車し、配達階で降車して、これまでに集荷した荷物を配達することができる。
【0108】
図14は、自走型装置5が実行する処理S400の具体的な流れの一例を説明するフロー図である。
図14に示すように、処理S400は、ステップS401~S414を含む。自走型装置5は、エレベータ4に乗車中において、ステップS401~S414を繰り返し実行する。
【0109】
ステップS401において、決定部511は、集荷階リストDestList()が更新されたか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS408が実行される。当ステップでYesと判断された場合、次のステップS402が実行される。
【0110】
ステップS402において、決定部511は、自走型装置5が乗車しているエレベータ4の移動方向dir(上方向または下方向)を取得する。
【0111】
ステップS403において、決定部511は、集荷階リストDestList()に含まれる集荷階のうち、エレベータ4の移動方向dirにおいて自走型装置5の位置(換言すると、かご41の位置)に一番近い集荷階を、目的階flとして決定する。
【0112】
ここで、ステップS403の時点では、前回決定された目的階flのかご呼び登録が行われている。ここで、前述したように、自走型装置5は処理S400を繰り返し実行しており、「前回決定された目的階fl」とは、前回実行された処理S400のS403において決定された目的階flを指す。そこで、「前回決定された目的階fl」を「現在の目的階fl_now」と称し、今回決定した目的階flを「新たな目的階fl」と称して、これらを区別する。
【0113】
ステップS404において、決定部511は、移動方向dirにおいて、新たな目的階flが、現在の目的階fl_nowより近いか否かを判断する。具体的には、決定部511は、移動方向dirが上方向であれば、fl<fl_nowであるか否かを判断する。また、決定部511は、移動方向dirが下方向であれば、fl>fl_nowであるか否かを判断する。ステップS404でNoと判断された場合、後述するステップS408が実行される。ステップS404でYesと判断された場合、次のステップS405が実行される。
【0114】
ここで、ステップS404でYesと判断された場合、ステップS402~S404は、
図6に示したステップS36を実現する処理の一例となる。この場合、新たな目的階flは、上述した第2行先階の一例である。また、現在の目的階fl_nowは、上述した第1行先階の一例である。つまり、この場合、第1行先階よりも先に第2行先階に移動するよう移動順序が決定される。
【0115】
ステップS405において、移動制御部512は、新たな目的階flのかご呼び登録を行う。具体的には、移動制御部512は、新たな目的階flを示す情報を含むかご呼び登録情報を、エレベータ管理装置2に送信する。なお、このとき、移動制御部512は、現在の目的階fl_nowのかご呼び登録を取り消してもよい。当ステップは、
図7に示したステップS52を実現する処理の一例である。
【0116】
ステップS406において、移動制御部512は、現在の目的階を、fl_nowからflに変更する。
【0117】
ステップS407において、移動制御部512は、「ピックアップ完了フラグ」をfalseとする。これは、集荷階である現在の目的階flにまだ到着していないため、荷物の集荷が完了していないからである。この後、後述するステップS408が実行される。
【0118】
また、ステップS404でNoと判断された場合、新たな目的階flは、現在の目的階fl_nowと同一であるか、または、新たな目的階flは、現在の目的階fl_nowより遠い。この場合も、後述するステップS408が実行される。
【0119】
なお、ステップS404でNoと判断された場合、ステップS402~S404の各処理は、
図6に示したステップS37を実現する処理の一例となる。この場合、現在の目的階fl_nowは、上述した第1行先階の一例である。また、現在の目的階fl_nowに相当する集荷階よりも後に集荷階リストDestList()に追加された集荷階は、上述した第2行先階の一例である。つまり、この場合、第2行先階よりも先に第1行先階に移動するよう移動順序が決定される。
【0120】
ステップS408において、移動制御部512は、現在の目的階flに到着したか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、ステップS401からの処理が繰り返される。これにより、自走型装置5が乗車中のエレベータ4が現在の目的階flに到着するまでの間、現在の目的階flは、DestList()の更新に応じて変更される可能性がある。
【0121】
一方、ステップS408においてYesと判断された場合、ステップS409が実行される。ステップS409において、移動制御部512は、エレベータ4が到着した到着階が配達階であるか否かを判断する。当ステップでYesと判断された場合、後述するステップS414が実行される。当ステップでNoと判断された場合、次のステップS410が実行される。
【0122】
ステップS410において、決定部511は、集荷階リストDestList()から、現在の目的階flに相当する集荷階を削除する。
【0123】
ステップS411において、決定部511は、集荷階リストDestList()が空であるか否かを判断する。当ステップでNoと判断された場合、後述するステップS413が実行される。当ステップでYesと判断された場合、これまでに受け付けられた荷物受付依頼に対応する全ての集荷階への移動が完了したことになる。この場合、次のステップS412が実行される。
【0124】
ステップS412において、決定部511は、「ピックアップ完了フラグ」をTrueに設定する。
【0125】
ステップS412に続いて、または、ステップS411でNoと判断された場合、ステップS413が実行される。ステップS413において、移動制御部512は、エレベータ4から降車するよう自走型装置5を制御する。自走型装置5は、エレベータ4から降車して荷物の集荷を行う。
【0126】
その後、「ピックアップ完了フラグ」がTrueである場合、前述した処理S300において、配達階を新たな目的階flとしての乗場呼び登録が行われる。また、「ピックアップ完了フラグ」がFalseである場合、前述した処理S300において、次の集荷階を新たな目的階flとしての乗場呼び登録が行われる。
【0127】
また、ステップS409でYesと判断された場合、自走型装置5は配達階に到着している。この場合、ステップS414が実行される。ステップS414において、決定部511は、「ピックアップ完了フラグ」をfalseにする。その後、ステップS413が実行される。これにより、自走型装置5は、配達階で降車し、これまでに集荷した荷物を配達する。その後、「ピックアップ完了フラグ」がfalseであることにより、前述した処理S300において、自走型装置5は、集荷階リストDestList()に集荷階が追加されるまで待機し、新たな集荷階の追加に応じて移動する。
【0128】
(本適用例による移動の効率化)
本適用例により自走型装置5の移動が効率化される具体例について、
図15を参照して説明する。
図15は、自走型装置5の移動が効率化される具体例および比較例を示す模式図である。
【0129】
まず、管理システム100を用いない比較例C401について説明する。ステップG11において、1階から4階への荷物配達依頼が受け付けられる。次に、ステップG12において、自走型装置は、当該荷物配達依頼に応じて1Fに移動して荷物を集荷し、4Fに向かうために上方向の乗場呼び登録を行う。自走型装置5がエレベータに乗車する前、または、乗車中に、ステップG13において、8階から4階への荷物配達依頼が受け付けられる。
【0130】
この場合、比較例C401では、自走型装置は、ステップG11およびG13における2つの荷物配達依頼に対して受付順に対応する。すなわち、自走型装置は、4Fで降車し、1階で集荷した荷物を配達する。その後、ステップG14において、自走型装置は、次の荷物配達依頼に対応するため、集荷階である8Fに向かう上方向のエレベータに乗車する。次に、ステップG15において、自走型装置は、8Fで降車して荷物を集荷し、配達階である4Fへ向かう下方向のエレベータに乗車する。
【0131】
次に、管理システム100の具体例C402について説明する。ステップG21~G23において、管理システム100は、比較例C401のG11~G13と同様に動作するが、その後の動作が異なる。ステップG24において、自走型装置5は、現在の目的階を4Fから8Fに変更する。つまり、自走型装置5は、1Fで集荷した荷物を保持したまま、4Fで降車せずに8Fまでエレベータ4に乗車する。ステップG25において、自走型装置5は、8Fで降車して荷物を集荷し、4Fへ向かう下方向のエレベータ4に乗車する。
【0132】
このように、比較例C401では、自走型装置のエレベータの乗車回数が3である(ステップG12、G14、G15)。これに対して、管理システム100の具体例C402では、自走型装置5のエレベータ4の乗車回数が2(ステップG24、G25)である。したがって、2つの荷物配達依頼を同様の状況で受け付けた場合(ステップG11~G13、G21~G23)において、具体例C402は、比較例C401に対して移動効率が良い。
【0133】
<本実施形態の効果>
本実施形態に係る管理システム100および管理方法S10によれば、第1行先階への移動指示を受け付けてから第1行先階に自走型装置5が到着するまでの期間に第2行先階への移動指示を受け付けた場合、第2行先階への移動指示を受け付けたときの自走型装置5の位置、第1行先階、および第2行先階、に少なくとも基づいて、自走型装置5の移動順序を決定する。そして、管理システム100は、決定した移動順序にしたがって自走型装置5がエレベータ4を用いて移動するように自走型装置を制御する。
【0134】
ここで、仮に移動指示を受け付けた順に自走型装置5を移動させると、自走型装置5の位置、第1行先階、および第2行先階の位置関係を考慮していないので、自走型装置5の移動効率が良いとは言えない。本実施形態は、第1行先階および第2行先階のうち、自走型装置5がエレベータ4に乗車する前であれば近い方に向かうエレベータ4に乗車させ、乗車中であればエレベータ4の移動方向において近い方に先に移動させる。これにより、例えば、自走型装置5のエレベータ4への乗車期間を低減することができる。また、複数の移動指示に2以上の同じ行先階が含まれる場合、自走型装置5のエレベータ4への乗車回数を低減することができる。このように、本実施形態は、移動指示を受け付けた順序に従って移動させる場合と比べて、エレベータによる自走型装置の移動の効率を向上させることができる。
【0135】
また、本実施形態は、自走型装置5がエレベータ4に乗車する前において、第1行先階より先に第2行先階に移動することを決定し、かつ、自走型装置5の位置から第1行先階へ向かう第1方向と第2行先階へ向かう第2方向とが異なる場合、第1方向の乗場呼び登録を取り消し、第2方向の乗場呼び登録を行う。これにより、自走型装置5の移動を効率化させるために、エレベータ4を効率よく運行させることができる。
【0136】
〔変形例1〕
上述した実施形態は、エレベータ管理装置2が「乗場呼び登録」および「かご呼び登録」を受け付ける機能を有する例について説明した。これに限らず、本実施形態は、エレベータ4が「乗場行先階登録」を受け付ける機能を有する場合にも適用可能である。乗場行先階登録は、出発階から行先階まで移動するためのエレベータ4の割当を依頼することを指す。この場合、例えば、自走型装置5は、エレベータ4の各階の乗場に設置された乗場行先階登録装置(図示せず)に対して行先階を入力する操作を行うことにより、乗場行先階登録を行ってもよい。この場合、乗場行先階登録装置は、入力操作に応じた乗場行先階登録情報を、エレベータ管理装置2に送信する。乗場行先階登録情報は、出発階を示す情報(この場合、乗場行先階登録装置が設置された階)と、入力された行先階を示す情報とを含む。また、例えば、自走型装置5は、エレベータ管理装置2に対して、乗場行先階登録情報を送信することにより、乗場行先階登録を行ってもよい。エレベータ管理装置2は、受け付けた乗場行先階登録に応じて、出発階から行先階までエレベータ4を運行するよう制御する。
【0137】
本変形例では、
図5のステップS2において、自走型装置5は、第1方向の乗場呼び登録を行う代わりに、自装置の現在の位置(出発階)から第1行先階への乗場行先階登録を行う。また、ステップS7において、自走型装置5は、第2方向の乗場呼び登録を行う代わりに、自装置の現在の位置(出発階)から第2行先階への乗場行先階登録を行う。
【0138】
また、
図7のステップS43の実行は不要となる。また、ステップS44において、自走型装置5は、第1方向の乗場呼び登録を取り消す代わりに、第1行先階への乗場行先階登録を取り消す。また、ステップS45において、自走型装置は、第2方向の乗場呼び登録を行う代わりに、第2行先階への乗場行先階登録を行う。つまり、本変形例では、自走型装置5は、第1方向および第2方向が同じか否かに関わらず、第1行先階への乗場行先階登録を取り消し、第2行先階への乗場行先階登録を行う。また、ステップS52において、第2行先階のかご呼び登録を行う代わりに、第2行先階への乗場行先階登録を行う。
【0139】
このように変形した場合であっても、本変形例は、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0140】
〔変形例2〕
上述した実施形態では、自走型装置5として、複数の集荷階で集荷した荷物を同一の配達階に届ける集配ロボットを適用する例について説明した。これに限らず、自走型装置5は、(i)同一の集荷階で集荷した荷物を複数の配達階に配達する集配ロボット、または、(ii)集荷階および配達階の複数のペアを受け付けて配達を行う集配ロボット、であってもよい。また、自走型装置5は、集配ロボットに限らず、その他の自走機能を有する多機能装置であってもよい。例えば、自走型装置5は、移動指示が示す行先階に移動して作業(例えば、清掃など)を行う作業ロボットであってもよいが、これに限られない。
【0141】
〔変形例3〕
また、上述した実施形態では、自走型装置5が、エレベータ4から第1行先階または第2行先階において一旦降車するものとして説明した。例えば、自走型装置5が集配ロボットである適用例では、自走型装置5が、集荷階でエレベータ4から降車して荷物を集荷し、配達階でエレベータ4から降車して荷物を配達していた。これに限らず、自走型装置5は、第1行先階および第2行先階においてエレベータ4から降車しなくてもよい。例えば、自走型装置5が集配ロボットである適用例では、乗場に存在する作業者または作業装置が、エレベータ4内の自走型装置5に対して荷物を揚げ降ろししてもよい。これにより、自走型装置5は、第1行先階または第2行先階においてエレベータ4を乗り換えなくてよいという利点がある。
【0142】
〔変形例4〕
また、上述した実施形態では、エレベータ管理装置2は、1つのエレベータ4を管理対象とする例について説明した。これに限らず、エレベータ管理装置2は、複数のエレベータ4を管理対象としてもよい。この場合、管理システム100は、エレベータ制御装置3およびエレベータ4のペアを複数含んでいてもよい。エレベータ管理装置2は、各エレベータ4に対応するエレベータ制御装置3を介して、当該エレベータ4を制御する。また、エレベータ管理装置2は、乗場呼び登録(または乗場行先階登録)に応じて、複数のエレベータ4のうち割り当て可能な候補から最適号機を決定し、最適号機の運行を制御する。
【0143】
このように変形した場合であっても、本変形例は、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0144】
〔変形例5〕
また、上述した実施形態では、管理サーバ1は、1つの自走型装置5を管理対象とする例について説明した。これに限らず、管理サーバ1は、複数の自走型装置5を管理対象としてもよい。この場合、管理サーバ1は、移動指示が示す情報(第1行先階または第2行先階)を、複数の自走型装置5のうち何れかに送信する。例えば、管理サーバ1は、各自走型装置5が有する未完了の行先階の数に基づいて、移動指示が示す情報を送信する自走型装置5を決定してもよい。また、例えば、管理サーバ1は、各自走型装置5の位置に基づいて、移動指示が示す情報を送信する自走型装置5を決定してもよい。これに限らず、管理サーバ1は、その他の条件、機械学習モデル等を参照して、移動指示が示す情報を送信する自走型装置5を決定してもよいし、ランダムに決定してもよい。
【0145】
このように変形した場合であっても、本変形例は、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0146】
〔変形例6〕
また、上述した実施形態では、管理サーバ1が受付部111を有し、自走型装置5が決定部511および移動制御部512を有する例について説明した。ただし、管理システム100において、これらの機能ブロックの一部または全部は、上述した装置に配置されることに限定されない。例えば、管理サーバ1が、受付部111、決定部511、および移動制御部512を有していてもよい。この場合、自走型装置5の制御部510は、管理サーバ1の移動制御部512の制御のもとに、移動機構540を動作させるよう制御してもよい。また、例えば、管理サーバ1が受付部111および決定部511を有し、自走型装置5が移動制御部512を有していてもよい。この場合、自走型装置5の移動制御部512は、管理サーバ1の決定部511から受信する移動順序にしたがって、自装置の移動を制御してもよい。また、例えば、管理システム100は、管理サーバ1を備えていなくてもよい。この場合、自走型装置5が、受付部111、決定部511、および移動制御部512を有していてもよい。また、この場合、自走型装置5は、エレベータ管理装置2とも通信可能に接続される。
【0147】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る管理システムは、エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理システムであって、第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付部と、前記第2行先階への移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定部と、前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御部と、を備える。
【0148】
上記構成により、管理システムは、第1行先階への移動指示を受け付けてから第1行先階に自走型装置が到着するまでの期間に第2行先階への移動指示を受け付けた場合、第2行先階への移動指示を受け付けたときの自走型装置の位置、第1行先階、および第2行先階と、に少なくとも基づいて、自走型装置の移動順序を決定する。そして、管理システムは、決定した移動順序にしたがって自走型装置がエレベータを用いて移動するように自走型装置を制御する。これにより、管理システムは、移動指示を受け付けた順序に従って移動させる場合と比べて、エレベータによる自走型装置の移動の効率を向上させることができる。
【0149】
本発明の態様2に係る管理システムは、上記態様1において、前記自走型装置が前記エレベータに乗車前である場合、前記移動制御部は、前記決定された移動順序における最初の行先階に向かうエレベータに乗車するように前記自走型装置を制御する構成であってもよい。
【0150】
上記構成により、決定した移動順序にしたがって自走型装置が移動するようエレベータに乗車させることができる。その結果、エレベータによる自走型装置の移動の効率を向上させることができる。
【0151】
本発明の態様3に係る管理システムは、上記態様1または2において、前記受付部が前記第2行先階への移動指示を受け付けたとき、前記自走型装置が前記第1行先階に向かうエレベータに乗車前であり、かつ、前記第1行先階よりも前記第2行先階が前記自走型装置の位置に近い場合、前記決定部は、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定する構成であってもよい。
【0152】
上記構成により、第1行先階および第2行先階のうち、自走型装置の位置から近い方の行先階に移動するエレベータに、自走型装置を乗車させることができる。その結果、エレベータによる自走型装置の移動の効率を向上させることができる。
【0153】
本発明の態様4に係る管理システムは、上記態様3において、前記決定部が、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定した場合であり、かつ、前記自走型装置の位置から前記第1行先階に向かう第1方向と前記第2行先階に向かう第2方向とが異なる場合、前記移動制御部は、前記第1方向へ向かうエレベータの呼び登録を取り消し、前記第2方向へ向かうエレベータの呼び登録を行うよう前記自走型装置を制御する構成であってもよい。
【0154】
上記構成により、まずは第2行先階に向かうよう、自走型装置を移動させることができる。
【0155】
本発明の態様5に係る管理システムは、上記態様1から4のいずれか1つにおいて、前記受付部が前記第2行先階への移動指示を受け付けたときに、前記自走型装置が前記第1行先階に向かうエレベータに乗車しており、かつ、前記自走型装置が乗車しているエレベータの移動方向において前記第1行先階よりも前記第2行先階が前記自走型装置の位置に近い場合、前記決定部は、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定する構成であってもよい。
【0156】
上記構成により、自走型装置が乗車しているエレベータの移動方向において現在位置から近い方の行先階から順に、自走型装置を移動させることができる。その結果、自走型装置を効率よく移動させることができる。
【0157】
本発明の態様6に係る管理システムは、上記態様1から5のいずれか1つにおいて、前記自走型装置は、前記第1行先階および前記第2行先階において、対象物の集荷および配送の少なくともいずれか一方を行う装置である構成であってもよい。
【0158】
上記構成により、対象物を集配すべき行先階への移動指示を随時受け付ける場合において、自走型装置を効率よく移動させることができる。
【0159】
本発明の態様7に係る管理システムは、上記態様1から6のいずれか1つにおいて、前記自走型装置と、管理サーバと、を含み、前記管理サーバは、前記受付部を含み、前記自走型装置は、前記決定部および前記移動制御部を含む構成であってもよい。
【0160】
上記構成により、態様1と同様の効果を奏する。
【0161】
本発明の態様8に係る管理方法は、エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理方法であって、第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付ステップと、前記第2行先階への移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定ステップと、前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御ステップと、を含む。
【0162】
上記構成により、態様1と同様の効果を奏する。
【0163】
〔ソフトウェアによる実現例〕
管理サーバ1、および自走型装置5(以下、各「装置」と呼ぶ)の機能は、当該各装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該各装置の各制御ブロック(特に制御部110、制御部510に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0164】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0165】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0166】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0167】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0168】
100 管理システム
1 管理サーバ
2 エレベータ管理装置
3 エレベータ制御装置
4 エレベータ
5 自走型装置
30、110、210、510 制御部
120、220、520 記憶部
130、230、530 通信部
540 移動機構
111 受付部
211 登録受付部
212 運行制御部
511 決定部
31 指示取得部
32 運転状況管理部
33 扉開閉制御部
40 運転制御盤
41 かご
42 扉
512 移動制御部
【手続補正書】
【提出日】2023-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理システムであって、
第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付部と、
前記第2行先階への移動指示を受け付けたときに前記自走型装置が前記エレベータに乗車前であるか否かに応じて、当該移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定部と、
前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御部と、
を備えた管理システム。
【請求項2】
前記自走型装置が前記エレベータに乗車前である場合、
前記移動制御部は、
前記決定された移動順序における最初の行先階に向かうエレベータに乗車するように前記自走型装置を制御する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記受付部が前記第2行先階への移動指示を受け付けたとき、前記自走型装置が前記第1行先階に向かうエレベータに乗車前であり、かつ、前記第1行先階よりも前記第2行先階が前記自走型装置の位置に近い場合、
前記決定部は、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定する、
請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記決定部が、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定した場合であり、かつ、前記自走型装置の位置から前記第1行先階に向かう第1方向と前記第2行先階に向かう第2方向とが異なる場合、
前記移動制御部は、前記第1方向へ向かうエレベータの呼び登録を取り消し、前記第2方向へ向かうエレベータの呼び登録を行うよう前記自走型装置を制御する、
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記受付部が前記第2行先階への移動指示を受け付けたときに、前記自走型装置が前記第1行先階に向かうエレベータに乗車しており、かつ、前記自走型装置が乗車しているエレベータの移動方向において前記第1行先階よりも前記第2行先階が前記自走型装置の位置に近い場合、
前記決定部は、前記第1行先階より先に前記第2行先階へ移動するように前記移動順序を決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記自走型装置は、前記第1行先階および前記第2行先階において、対象物の集荷および配送の少なくともいずれか一方を行う装置である、
請求項1から5の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記自走型装置と、管理サーバと、を含み、
前記管理サーバは、前記受付部を含み、
前記自走型装置は、前記決定部および前記移動制御部を含む、
請求項1から6の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項8】
エレベータに対して行先階を登録可能な自走型装置の移動を管理する管理方法であって、
第1行先階への移動指示、および、当該移動指示を受け付けてから前記第1行先階に前記自走型装置が到着するまでの期間に前記第1行先階と異なる第2行先階への移動指示を受け付け可能な受付ステップと、
前記第2行先階への移動指示を受け付けたときに前記自走型装置が前記エレベータに乗車前であるか否かに応じて、当該移動指示を受け付けたときの前記自走型装置の位置、前記第1行先階、および前記第2行先階と、に少なくとも基づいて、前記第1行先階および前記第2行先階に移動する移動順序を決定する決定ステップと、
前記決定された移動順序にしたがって前記自走型装置が前記エレベータを用いて移動するように前記自走型装置を制御する移動制御ステップと、
を含む管理方法。