(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114392
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20230809BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20230809BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02B27/01
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016738
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】591182112
【氏名又は名称】NSウエスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】森田 敏治
(72)【発明者】
【氏名】高見 卓
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA17
2H199DA27
2H199DA42
3D344AA03
3D344AA19
3D344AA21
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】製品コストの上昇を抑えつつケースに反射する光の影響を低減可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置7は、車両1のウインドシールド3下方に搭載され、運転席5前方に設定された情報表示部3aに向けて表示光Lを投影して車両情報を表示する。ヘッドアップディスプレイ装置7は、表示光Lを出射可能な出射部10と、出射部10を収容するケース7aと、を備え、上部ケース8の上面8aには、出射部10から出射された表示光Lをケース7aの外側へと出射可能に上方に開口する出射口8bと、ケース7a外側から上部ケース8の上面8aに向かって入射する光を情報表示部3aを除く領域へと反射可能に設定された第1側面部13aを有する錐体状の突起部13が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドシールド下方に搭載され、運転席前方に設定された情報表示部に向けて表示光を投影して車両情報を表示するよう構成されたヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示光を出射可能な出射部と、当該出射部を収容するケースと、を備え、
該ケースには、前記出射部から出射された表示光を前記ケースの外側へと出射可能に上方に開口する出射口と、該出射口の周囲に位置し且つ当該出射口を形成する開口形成面とが設けられ、
該開口形成面には、前記ケース外側から前記開口形成面に向かって入射する光を前記情報表示部を除く領域へと反射可能に設定された側面部を有する錐体状の突起部が設けられていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記突起部は、角錐形状をなしていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記開口形成面は、矩形状をなしており、
前記突起部は、四角錐形状をなし、かつ、複数設けられ、
前記各突起部は、前記開口形成面において平面状に並ぶように隣接配列されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記ケースは、樹脂材により一体成形され、
前記開口形成面は、前記出射口に向かって下傾するとともに前記突起部が設けられた傾斜面部を有し、
前記突起部における前記側面部の前記出射口側の領域は、前記出射口の開口方向と同一方向に延びるか、或いは、前記出射口から次第に離れるように延びる形状をなしていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記突起部の高さは、0.2mm以下に設定されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両速度等の車両運転に関する車両情報を投影可能なヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の運転席前方に車両速度等の車両運転に関する情報を投影可能なヘッドアップディスプレイ装置が知られている。該ヘッドアップディスプレイ装置は、ケース内部に表示光を出射可能な出射部が収容されており、該出射部から出射された表示光をケース内部に配設された平面鏡や凹面鏡に反射させた後、ケース上部に形成された出射口からウインドシールドやコンバイナといった情報表示領域に向けて投影するようになっている。情報表示領域に投影された表示光は、運転席に着座したドライバーの目元に届くことで、ドライバーが車両速度等の車両情報を視認できるようになっている。
【0003】
ところで、ヘッドアップディスプレイ装置は、車両のウインドシールドの下方に搭載されていることから、ケース上部には、ウインドシールドを透過した太陽光等の外光が入射するようになる。この太陽光等の外光がケース上部において反射すると、当該反射した光が情報表示領域に映り込んでしまう。
【0004】
これを回避するために、例えば、特許文献1のヘッドアップディスプレイ装置では、太陽光等の外光の反射を抑制可能な低反射シートをケース上部の出射口周りに貼り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように、ケース上部に低反射シートを貼り付けると、部品点数や組立工数が増加して製品コストが上昇してしまうおそれがある。
【0007】
また、例えば、時間帯や季節に応じて変化する太陽の位置や車両の操舵状態等により、太陽に対する車両の向く方向、つまり、車両のウインドシールドの下方に搭載されたヘッドアップディスプレイ装置の向きが変わると、ケース上部に入射する太陽光の入射角度が様々に変化するので、様々な角度から入射する太陽光がケース上部において反射する場合であっても、その反射した光がウインドシールド等に映り込んでしまうのを防ぎたいという要求もある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製品コストの上昇を抑えつつケースに反射する光の影響を低減可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、ケースに錐体状の突起部を設けてケース外側から当該ケースに向かって入射する光の反射方向を変更させるようにしたことを特徴とする。
【0010】
具体的には、車両のウインドシールド下方に搭載され、運転席前方に設定された情報表示部に向けて表示光を投影して車両情報を表示するよう構成されたヘッドアップディスプレイ装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明では、前記表示光を出射可能な出射部と、当該出射部を収容するケースと、を備え、該ケースには、前記出射部から出射された表示光を前記ケースの外側へと出射可能に上方に開口する出射口と、該出射口の周囲に位置し且つ当該出射口を形成する開口形成面とが設けられ、該開口形成面には、前記ケース外側から前記開口形成面に向かって入射する光を前記情報表示部を除く領域へと反射可能に設定された側面部を有する錐体状の突起部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、前記突起部は、角錐形状をなしていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、前記開口形成面は、矩形状をなしており、前記突起部は、四角錐形状をなし、かつ、複数設けられ、前記各突起部は、前記開口形成面において平面状に並ぶように隣接配列されていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記ケースは、樹脂材により一体成形され、前記開口形成面は、前記出射口に向かって下傾するとともに前記突起部が設けられた傾斜面部を有し、前記突起部における前記側面部の前記出射口側の領域は、前記出射口の開口方向と同一方向に延びるか、或いは、前記出射口から次第に離れるように延びる形状をなしていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記突起部の高さは、0.2mm以下に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明では、ヘッドアップディスプレイ装置が車両のウインドシールドの下方に搭載された場合において、太陽光等の外光が様々な角度でヘッドアップディスプレイ装置のケースに向かって入射したとしても、外光が各突起部の側面部に当たった後、情報表示部に向かう方向とは異なる方向に反射して向かうようになる。これにより、ケースに向かって入射する外光が間接的に或いは直接的にヘッドアップディスプレイ装置の上方にある情報表示部に向けて反射されてしまい、当該情報表示部に映り込んでしまうといったことを防ぐことができる。また、ケースの出射口周りに特許文献1の如き低反射シートを貼り付ける必要が無くなるので、ヘッドアップディスプレイ装置の製品コストの上昇を抑えることができる。
【0017】
第2の発明では、各突起部の側面部が複数の平面を組み合わせたものになるので、該側面部を曲面で構成したものよりも外光を適切な方向に確実に反射させることが可能となる。これにより、ケースにおいて反射した外光が情報表示部に映り込んでしまうのを確実に防ぐことができる。
【0018】
第3の発明では、例えば、複数の突起部をケースの出射口周りにおいて隙間なく配設することが可能となる。これにより、ケースの出射口周りにおいて反射する外光が情報表示部にさらに向かい難くなり、ケースに反射した外光が情報表示部に映り込んでしまうのをより確実に防ぐことができる。
【0019】
第4の発明では、金型を用いてケースを樹脂材で一体成形する場合において、型抜き方向を出射口の開口方向に設定すると、突起部の成形部分にアンダーカットが発生しなくなるので、突起部を成形するための専用のスライド型を設ける必要が無くなって金型の構造がシンプルになり、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0020】
第5の発明では、突起部がドライバー等の肉眼において認識困難な高さになるので、ドライバー等の視界に突起部が入るのを回避してドライバー等における車両前方の意匠面の満足感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の前部を示す左側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置から表示光を出射している状態を示す左側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の上部ケースを示す平面図である。
【
図4】比較例に係るヘッドアップディスプレイ装置の上部ケースの上面に外光が反射している状態を示す左側面図である。
【
図5】
図3に係る第3傾斜壁の一部を拡大した図である。
【
図6】第3傾斜壁及び突起部を左前側から視た際の形状を示す図である。
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0023】
なお、本実施形態では、
図1、
図2及び
図4の紙面上側を車両後側とする一方、紙面下側を車両前側とし、紙面右側を車両下側とする一方、紙面左側を車両上側とする。また、
図3の紙面上側を車両左側とする一方、紙面下側を車両右側とし、紙面右側を車両前側とする一方、紙面左側を車両後側とする。さらに、
図5及び
図7の紙面上側を車両上側とする一方、紙面下側を車両下側とし、紙面右側を車両左側とする一方、紙面左側を車両右側とする。加えて、
図6の紙面上側を車両上側とする一方、紙面下側を車両下側とし、紙面右側を車両左後側とする一方、紙面左側を車両右前側とする。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両1の前部を示す。該車両1は、例えば、5人乗りの四輪車であって、エンジンルームを覆うボンネット2と、ウインドシールド3と、車室Rの上方を覆うルーフ4と、が前方から順に設けられている。
【0025】
車室Rの内部におけるウインドシールド3の後方には、運転席5が設けられ、ドライバーDは、運転席5に着座した状態でハンドル等を用いて車両1の運転操作をすることが可能となっている。
【0026】
また、車室Rの内部におけるウインドシールド3の下方には、車両速度計などの計器が備え付けられたダッシュボード6が設けられ、該ダッシュボード6の上面には、ヘッドアップディスプレイ装置7が埋め込まれている。
【0027】
ヘッドアップディスプレイ装置7は、ウインドシールド3に設定された情報表示部3aに表示光Lを投影することで、車両速度等の車両運転に関する車両情報を表示可能に構成されている。
【0028】
また、ヘッドアップディスプレイ装置7は、
図2に示すように、樹脂材により成形されたケース7aを備え、該ケース7aは、略上半部分を構成する上部ケース8と、略下半部分を構成する下部ケース9とを有している。
【0029】
上部ケース8の上面8aには、上方に開口する出射口8bが設けられている。該出射口8bには、光を透過させることが可能な透明フィルムからなる透明カバー14が出射口8bを覆うように被せられている。
【0030】
上部ケース8は、
図3に示すように、平面視で矩形枠状をなしており、かつ、前後方向に対向配置された前壁8c及び後壁8dと、前壁8c及び後壁8dの各左側端部同士を前後方向に連結する左壁8eと、前壁8c及び後壁8dの各右側端部同士を前後方向に連結する右壁8fと、を備えている。
【0031】
後壁8dには、当該後壁8dの前端から出射口8bを塞ぐように前方に向かって延びるとともに、前方に行くにしたがって下方に位置する第1傾斜面8gを有する第1傾斜壁8hが連結されている。
【0032】
左壁8eには、当該左壁8eの右端から出射口8bを塞ぐように右方に向かって延びるともに、右方に行くにしたがって下方に位置する第2傾斜面8iを有する第2傾斜壁8jが連結されている。
【0033】
後壁8d及び左壁8eの間には、当該後壁8d及び左壁8eを繋ぐ連結部8kが設けられ、該連結部8kには、当該連結部8kの右前端から出射口8bを塞ぐように右前方に延びるとともに、右前方に行くにしたがって下方に位置する、つまり、出射口8bに向かって下傾する第3傾斜面8mを有する第3傾斜壁8nが連結されている。
【0034】
該第3傾斜壁8nは、平面視で矩形状をなしており、第1傾斜壁8hと第2傾斜壁8jとの間を連結するように構成されている。
【0035】
なお、本実施形態では、前壁8c、後壁8d、左壁8e、及び、右壁8fの上面、並びに、第1傾斜面8g、第2傾斜面8i、及び、第3傾斜面8mが上部ケース8の上面8aを構成し、該上部ケース8の上面8aが特許請求の範囲における開口形成面に相当する。
【0036】
また、ケース7aの内部には、
図2に示すように、出射部10と、平面鏡11と、凹面鏡12とが下方から順に配設されている。
【0037】
出射部10は、車両1のコントローラや各種センサ等から取得する車両速度等の車両運転に関する車両情報を数字や図形等の画像に変換するとともに、当該変換した画像を表す表示光Lを生成して後方上側へと出射するように構成されている。
【0038】
平面鏡11は、出射部10の後方上側の位置に配設されており、該出射部10から出射された表示光Lを前方上側へと反射させるようになっている。
【0039】
凹面鏡12は、出射部10の上方かつ平面鏡11の前方上側の位置に配設されており、平面鏡11にて反射した表示光Lをウインドシールド3の情報表示部3aに向けて反射させるようになっている。
【0040】
凹面鏡12において反射した表示光Lは、透明カバー14を透過しつつ出射口8bからケース7aの外部に出射され、ウインドシールド3の情報表示部3aにて反射した後、ドライバーDの目元に届くようになっている。表示光LがドライバーDの目元に届くと、ドライバーDは、ウインドシールド3の前方に現れる虚像Vを知覚することで、該虚像Vから車両情報を得られるようになっている。これにより、ドライバーDは、車両1の運転操作を行う際、ダッシュボード6における車両速度計等の計器を直接視認する場合に比べて視線移動を少なくしつつ車両速度等の車両運転に関する車両情報を把握することが可能となっている。
【0041】
ここで、太陽Sから太陽光SLが降り注ぐ昼の時間帯において車両1が使用される場合には、
図4に示すように、太陽光SLがウインドシールド3を透過して、ヘッドアップディスプレイ装置7に向かって入射するようになる。その入射した太陽光SLは、透明カバー14を透過しつつ上部ケース8の出射口8bを通過して、第3傾斜面8mに当たり、該第3傾斜面8mが凹面鏡12に向けて太陽光SLを反射する。すると、凹面鏡12は、第3傾斜面8mからの太陽光SLをウインドシールド3の情報表示部3aに向けて反射するようになるので、情報表示部3aにて反射した太陽光SLがドライバーDの目元に届き、該ドライバーDが情報表示部3aにおける太陽光SLの映り込みを認識してしまうおそれがある。
【0042】
これに対して、本実施形態では、第3傾斜壁8nの第3傾斜面8mには、
図5に示すように、当該第3傾斜面8mにおいて平面状に並ぶように複数の突起部13が隣接配列されている。
【0043】
各突起部13は、斜錐体状(
図6参照)、かつ、四角錐形状をなしている。そして、該各突起部13には、上方を向く第1側面部13a、前方を向く第2側面部13b、左方を向く第3側面部13c、及び、右方を向く第4側面部13dがそれぞれ設けられ、各第1側面部13a~各第4側面部13dが第3傾斜面8mに向かって入射する太陽光SLを情報表示部3aを除く領域へと反射可能に構成されている。
【0044】
また、各突起部13における第1側面部13a~第4側面部13dの出射口8b側の領域、つまり、第2側面部13bは、
図6に示すように、第3傾斜壁8nの前方に位置する出射口8bから上方に行くにつれて次第に離れるように延びる形状をなしている。
【0045】
さらに、各突起部13の高さHは、約0.2mmに設定されているとともに、隣接する突起部13間のピッチPは、約1mmに設定されている。
【0046】
ここで、上部ケース8が本実施形態に係る突起部13を備えない場合には、太陽光SLが第3傾斜面8mに当たり、
図5の破線で示すように、凹面鏡12のある方向に向けて太陽光SLを反射させてしまうので、
図4に示すように、凹面鏡12に反射した光によってウインドシールド3の情報表示部3aの映り込みが発生するおそれがある。
【0047】
一方、上部ケース8が本実施形態に係る突起部13を備える場合には、太陽光SLが第3傾斜面8mに到達せず、例えば、
図5の実線で示すように、第1側面部13aに当たることで、凹面鏡12とは異なる方向に太陽光SLを反射させることが可能となる。つまり、情報表示部3aを除く領域へと太陽光SLを反射可能となるので、凹面鏡12を介してウインドシールド3の情報表示部3aにおいて映り込みが発生するのを回避できる。また、上部ケース8が各突起部13を備えることにより、太陽光SLの反射を抑制するために、上部ケース8の表面に艶消しなどの塗装を行う必要が無くなるので、該塗装に伴う製品コストの上昇も抑えることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ヘッドアップディスプレイ装置7が車両1のウインドシールド3の下方に搭載された場合において、太陽光SL等の外光が様々な角度でヘッドアップディスプレイ装置7のケース7aに向かって入射したとしても、外光が各突起部13の側面部(
図5における第1側面部13a~第4側面部13dの少なくとも一つ)に当たった後、情報表示部3aに向かう方向とは異なる方向に反射して向かうようになる。これにより、ケース7aに向かって入射する外光が間接的に或いは直接的にヘッドアップディスプレイ装置7の上方にある情報表示部3aに向けて反射されてしまい、当該情報表示部3aに映り込んでしまうといったことを防ぐことができる。また、ケース7aの出射口8b周りに特許文献1の如き低反射シートを貼り付ける必要が無くなるので、ヘッドアップディスプレイ装置7の製品コストの上昇を抑えることができる。
【0049】
また、各突起部13の側面部が複数の平面(第1側面部13a~第4側面部13d)を組み合わせたものになるので、該側面部を曲面で構成したものよりも外光を適切な方向に確実に反射させることが可能となる。これにより、ケース7aにおいて反射した外光が情報表示部3aに映り込んでしまうのを確実に防ぐことができるので、該情報表示部3aに反射してドライバーDの目に届く光の輝度を下げることが可能となる。
【0050】
また、例えば、複数の突起部13をケース7aの出射口8b周りに設けられた第3傾斜面8mにおいて隙間なく配設することが可能となる。これにより、ケース7aの第3傾斜面8mにおいて反射する外光が情報表示部3aにさらに向かい難くなり、ケース7aに反射した外光が情報表示部3aに映り込んでしまうのをより確実に防ぐことができる。
【0051】
また、各突起部13における第1側面部13a~第4側面部13dの出射口8b側の領域、つまり、第2側面部13bは、第3傾斜壁8nの前方に位置する出射口8bから上方に行くにつれて次第に離れるように延びる形状をなしているので、金型を用いて上部ケース8を樹脂材で一体成形する場合において、型抜き方向を出射口8bの開口方向に設定すると、突起部13の成形部分にアンダーカットが発生しなくなる。したがって、突起部13を成形するための専用のスライド型を設ける必要が無くなって金型の構造がシンプルになり、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0052】
また、各突起部13の高さが約0.2mmに設定されているので、突起部13がドライバーD等の肉眼において認識困難な高さになり、ドライバーD等の視界に突起部13が入るのを回避してドライバーD等における車両前方の意匠面の満足感を高めることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、突起部13が第3傾斜面8mにのみ設けられていたが、該第3傾斜面8m以外の上部ケース8の上面8a、つまり、前壁8c、後壁8d、左壁8e、及び、右壁8fの上面、並びに、第1傾斜面8g、及び、第2傾斜面8iに突起部13を設けるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、突起部13が斜錐体状かつ四角錐形状としていたが、
図7に示すように、正四角錐形状としてもよく、或いは、三角錐形状や円錐形状などの錐体状で構成してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、突起部13における第1側面部13a~第4側面部13dの出射口8b側の領域、つまり、第2側面部13bは、第3傾斜壁8nの前方に位置する出射口8bから上方に行くにつれて次第に離れるように延びる形状をなしていたが、出射口8bの開口方向と同一方向に延びるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、各突起部13の高さHが約0.2mmに設定されていたが、ドライバーDの肉眼で認識困難な大きさである0.25mm以下において適宜設定してもよい。なお、ドライバーDの肉眼で認識困難な大きさという観点では、各突起部13の高さHはより低い方が好ましいが、太陽光SLを適切に反射するという観点では、各突起部13の高さHはより高い方が好ましい。したがって、各突起部13の高さHは、0.1~0.25mmの範囲に設定するのが好ましく、さらに、0.175~0.225mmの範囲に設定するのが特に好ましい。
【0057】
また、本実施形態では、隣接する突起部13間のピッチPが約1mmに設定されていたが、例えば、0.5~1.5mmの範囲内において適宜設定するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、各突起部13には太陽光SLなどの外光の反射を抑制するための艶消しなどの塗装を行っていないが、各突起部13に艶消しなどの塗装を行うようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、突起部13が複数設けられる例について説明したが、突起部13が1つのみ設けられるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、太陽光SLの入射の例について説明したが、太陽光SL以外の外光が入射する場合にも適用可能である。
【0061】
また、本実施形態では、情報表示部3aをウインドシールド3に設定していたが、コンバイナに向けて表示光を出射する形式のヘッドアップディスプレイ装置の場合は、情報表示部をコンバイナに設定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、車両速度等の車両運転に関する車両情報を投影可能なヘッドアップディスプレイ装置に適している。
【符号の説明】
【0063】
1 車両
3 ウインドシールド
3a 情報表示部
5 運転席
7 ヘッドアップディスプレイ装置
7a ケース
8b 出射口
8a 上面(開口形成面)
8m 第3傾斜面(傾斜面部)
13 突起部
13a 第1側面部(側面部)
13b 第2側面部(側面部、側面部の出射口側の領域)
13c 第3側面部(側面部)
13d 第4側面部(側面部)