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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114424
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】乗り物
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20230809BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230809BHJP
【FI】
B60N2/07
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180416
(22)【出願日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/306,654
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
【テーマコード(参考)】
3B087
3D235
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3D235AA02
3D235BB17
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF12
3D235FF37
(57)【要約】
【課題】着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物用バッテリを搭載した乗り物を提供する。
【解決手段】乗り物Vは、乗り物の内部において乗り物フロア10と、乗り物フロアよりも下方位置に配置され、電力を供給する乗り物用バッテリ20と、乗り物フロアよりも上方位置に配置される乗り物用シート30とを備えている。乗り物用シート30は、着座者が着座するシートクッション31と、シートクッションを下方から支持するレール装置60(ベース部材)とを有している。レール装置60は、上下方向において乗り物用バッテリ20の少なくとも一部と重なる位置に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の内部に設けられる乗り物フロアと、
前記乗り物の内部に設けられ、前記乗り物フロアよりも下方位置に配置され、前記乗り物内において電力を供給する乗り物用バッテリと、
前記乗り物の内部に設けられ、前記乗り物フロアよりも上方位置に配置される乗り物用シートと、を備え、
前記乗り物用シートは、
着座者が着座するシートクッションと、
前記シートクッションを下方から支持するベース部材と、を有し、
前記ベース部材は、上下方向において前記乗り物用バッテリの少なくとも一部と重なる位置に配置されていることを特徴とする乗り物。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記乗り物フロア、前記乗り物用バッテリ又は乗り物本体に取り付けられ、前記シートクッションを前記乗り物の前後方向に移動させるレール装置であって、
前記レール装置は、前記乗り物の前後方向に延びているロアレールと、前記ロアレールに沿って移動可能に支持され、前記シートクッションとともに移動するアッパレールと、を有し、
前記アッパレールは、上下方向において前記乗り物用バッテリの少なくとも一部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗り物。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記乗り物用バッテリの上面に形成された収容凹部に収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物の前後方向に長尺に延びており、
左右の前記ベース部材は、それぞれ前記乗り物用バッテリの上面に形成された左右の前記収容凹部に収容されていることを特徴とする請求項3に記載の乗り物。
【請求項5】
前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物の前後方向に長尺に延びており、
前記収容凹部は、前記乗り物の幅方向において前記シートクッションよりも幅広となるように形成され、
左右の前記ベース部材は、前記収容凹部に収容されていることを特徴とする請求項3に記載の乗り物。
【請求項6】
前記乗り物用バッテリは、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向において複数の前記乗り物用バッテリの間に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物。
【請求項7】
前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物の前後方向に長尺に延びており、
複数の前記乗り物用バッテリのうち、所定の前記乗り物用バッテリは、前記乗り物の幅方向において左右の前記ベース部材の間に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の乗り物。
【請求項8】
前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物フロアよりも上方位置に配置され、
正面視において前記乗り物フロアと、左右の前記ベース部材と、前記シートクッションとによって囲まれた領域に空間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物。
【請求項9】
前記ベース部材は、前記乗り物フロア、前記乗り物用バッテリ又は乗り物本体に取り付けられ、前記シートクッションを前記乗り物の前後方向に移動させるレール装置であって、
前記レール装置は、前記乗り物フロアよりも下方位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物。
【請求項10】
前記乗り物用シートは、
前記シートクッション及びシートバックと、
前記シートクッションに対して前記シートバックを回動可能となるように連結するリクライニング装置と、を有し、
前記ベース部材は、前記乗り物フロア、前記乗り物用バッテリ又は乗り物本体に取り付けられ、前記シートクッションを前記乗り物の前後方向に移動させるレール装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物に係り、特に、乗り物用バッテリを備えた乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内部において車両フロアと、車両フロアよりも下方位置に配置され、車両内において電力を供給する車両用バッテリと、車両フロアよりも上方位置に配置される車両用シートとを備えた車両が知られている。
例えば、特許文献1には、車両フロアと、車両用バッテリと、車両用シートとを備えた電気自動車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-11262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような車両用バッテリを搭載した電気自動車では、車両バッテリが車両フロアの下方位置に配置される。そのため、一般的な自動車(エンジン自動車)と比較して車両フロア、車両用シートの高さ位置が上がってしまい、自動車の内部空間(キャビン)が狭くなることがあった。そうすると、着座者にとって自動車の内部空間が狭く感じる虞があった。
なお、自動車の空力特性に影響を与えるため、車両フロアの高さ位置に合わせて車両ルーフの高さ位置を上げる設計変更をすることは難しかった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、従来よりも着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗り物によれば、乗り物の内部に設けられる乗り物フロアと、前記乗り物の内部に設けられ、前記乗り物フロアよりも下方位置に配置され、前記乗り物内において電力を供給する乗り物用バッテリと、前記乗り物の内部に設けられ、前記乗り物フロアよりも上方位置に配置される乗り物用シートと、を備え、前記乗り物用シートは、着座者が着座するシートクッションと、前記シートクッションを下方から支持するベース部材と、を有し、前記ベース部材は、上下方向において前記乗り物用バッテリの少なくとも一部と重なる位置に配置されていること、により解決される。
上記構成により、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物を実現できる。
詳しく述べると、本発明の乗り物では、シートクッションを下方から支持するベース部材が、上下方向において乗り物用バッテリの少なくとも一部と重なる位置に配置される。つまりは、乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。
そのため、従来のように乗り物用シートが乗り物フロア及び乗り物用バッテリよりも上方位置にある乗り物と比較したときに、着座者が乗り物の内部空間を狭く感じることがなくなる(緩和される)。つまりは、従来よりも着座者が乗り物の内部空間内で快適に過ごすことができる。
【0007】
このとき、前記ベース部材は、前記乗り物フロア、前記乗り物用バッテリ又は乗り物本体に取り付けられ、前記シートクッションを前記乗り物の前後方向に移動させるレール装置であって、前記レール装置は、前記乗り物の前後方向に延びているロアレールと、前記ロアレールに沿って移動可能に支持され、前記シートクッションとともに移動するアッパレールと、を有し、前記アッパレールは、上下方向において前記乗り物用バッテリの少なくとも一部と重なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、レール装置を備えた乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者にとって乗り物の内部空間を狭く感じてしまうことが緩和される。
【0008】
このとき、前記ベース部材は、前記乗り物用バッテリの上面に形成された収容凹部に収容されていると良い。
また、前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物の前後方向に長尺に延びており、左右の前記ベース部材は、それぞれ前記乗り物用バッテリの上面に形成された左右の前記収容凹部に収容されていると良い。
上記構成により、シンプルな構成で乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。また、乗り物用バッテリの容量を極力減らすことなく、乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。
【0009】
このとき、前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物の前後方向に長尺に延びており、前記収容凹部は、前記乗り物の幅方向において前記シートクッションよりも幅広となるように形成され、左右の前記ベース部材は、前記収容凹部に収容されていると良い。
上記構成により、幅広となるように形成された収容凹部内において左右のベース部材の配置を自由に設定することができる。
【0010】
このとき、前記乗り物用バッテリは、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて複数設けられ、前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向において複数の前記乗り物用バッテリの間に配置されていると良い。
また、前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物の前後方向に長尺に延びており、複数の前記乗り物用バッテリのうち、所定の前記乗り物用バッテリは、前記乗り物の幅方向において左右の前記ベース部材の間に配置されていると良い。
上記のように、ベース部材が乗り物用バッテリとは異なる位置に配置されるため、ベース部材が乗り物用バッテリ上に配置される場合と比較して、乗り物用バッテリに加わる荷重を減らすことができる。
【0011】
このとき、前記ベース部材は、前記乗り物の幅方向に間隔を空けて左右に設けられ、前記乗り物フロアよりも上方位置に配置され、正面視において前記乗り物フロアと、左右の前記ベース部材と、前記シートクッションとによって囲まれた領域に空間が形成されていると良い。
上記構成により、例えばシートクッションの下方位置に収容空間を形成することができる。また、上記空間を利用して、左右のベース部材の配置を自由に設定することもできる。
【0012】
このとき、前記ベース部材は、前記乗り物フロア、前記乗り物用バッテリ又は乗り物本体に取り付けられ、前記シートクッションを前記乗り物の前後方向に移動させるレール装置であって、前記レール装置は、前記乗り物フロアよりも下方位置に配置されていると良い。
上記のように、レール装置が乗り物フロアよりも下方位置に配置されるため、乗り物用シートの高さ位置をより下げることができる。
【0013】
このとき、前記乗り物用シートは、シートクッション及びシートバックを有する前記シートクッションと、前記シートクッションに対して前記シートバックを回動可能となるように連結するリクライニング装置と、を有し、前記ベース部材は、前記乗り物フロア、前記乗り物用バッテリ又は乗り物本体に取り付けられ、前記シートクッションを前記乗り物の前後方向に移動させるレール装置であると良い。
上記のように、乗り物用シートがリクライニング装置及びレール装置を備えていることで、乗り物の内部空間において着座者がより快適に過ごすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物を実現できる。
また本発明によれば、乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者にとって乗り物の内部空間を狭く感じてしまうことが緩和される。
また本発明によれば、シンプルな構成で、乗り物用バッテリの容量を極力減らすことなく、乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。
また本発明によれば、幅広となるように形成された収容凹部内において左右のベース部材の配置を自由に設定できる。
また本発明によれば、乗り物用バッテリに加わる荷重を減らすことができる。
また本発明によれば、例えばシートクッションの下方位置に収容空間を形成できる。
また本発明によれば、リクライニング装置及びレール装置を利用して、乗り物の内部空間において着座者がより快適に過ごすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の乗り物の側面図である。
図2】乗り物の平面図であって、乗り物の内部空間を示す図である。
図3】乗り物用シート(シートフレーム)の斜視図である。
図4】乗り物用バッテリ、乗り物用フロア、乗り物用シートの正面図である。
図5】第2施形態の乗り物の内部空間を示す図である。
図6】乗り物用バッテリ、乗り物用フロア、乗り物用シートの正面図である。
図7】第3施形態の乗り物の内部空間を示す図である。
図8】乗り物用バッテリ、乗り物用フロア、乗り物用シートの正面図である。
図9】第4施形態の乗り物の内部空間を示す図である。
図10】乗り物用バッテリ、乗り物用フロア、乗り物用シートの正面図である。
図11】第5施形態の乗り物の内部空間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について、図1図11を参照して説明する。
本実施形態は、乗り物フロアと、乗り物フロアよりも下方位置に配置される乗り物用バッテリと、乗り物フロアよりも上方位置に配置される乗り物用シートとを備え、乗り物用シートのベース部材が上下方向において乗り物用バッテリの少なくとも一部と重なる位置に配置されることを主な特徴とする乗り物に関するものである。
なお、「乗り物の前後方向」とは、乗り物の通常走行時の前後方向を意味する。また、「乗り物の幅方向の内側」とは、乗り物用ドアに対して乗り物の室内側(車内側)を意味し、「乗り物の幅方向の外側」とは、乗り物用ドアに対して乗り物の室外側(車外側)を意味する。
【0017】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態の乗り物V1について、図1図4に基づいて説明する。
乗り物V1は、図1に示すように、例えば車両(自動車)であって、乗り物V1の前後方向に三列の乗り物用シート30を備えた電動車両(電気自動車)である。なお、乗り物V1は、一列、二列又は四列以上の乗り物用シート30を備えた車両であっても良い。
【0018】
乗り物V1は、図1に示すように、乗り物本体1と、乗り物本体1の内部にそれぞれ取り付けられる乗り物フロア10と、乗り物用バッテリ20と、乗り物用シート30と、を備えている。
乗り物本体1は、車体に相当し、乗り物V1の側壁を形成する側壁部2と、乗り物V1の天井を形成する天壁部3と、乗り物V1の底壁を形成する底壁部4と、前壁部5と、後壁部6と、を備えている。
【0019】
乗り物フロア10は、図1図2図4に示すように、乗り物用シート30や乗り物用内装部材を取り付けるための車体フロアであって、乗り物本体1の底壁部4よりもやや上方に配置されている。
乗り物V1の内部において乗り物フロア10、側壁部2、天壁部3、前壁部5及び後壁部6によって囲まれた領域が、乗り物V1のキャビン(内部空間)となる。乗り物V1の走行中に乗員はキャビン内で過ごすことになる。
なお、乗り物用内装部材としては、例えば照明装置やスクリーン装置等が挙げられる。
【0020】
乗り物フロア10の表面には、図4に示すように、乗り物V1の幅方向に所定の間隔を空けてスリット状の貫通穴11が形成されている。複数の貫通穴11は、それぞれ乗り物V1の前後方向に長尺に延びている。
また、乗り物フロア10の表面において貫通穴11の縁部には、貫通穴11の一部を埋めるための隙間埋め部材12が取り付けられる。隙間埋め部材12は、可撓性(弾性)を有する部材であって、乗り物フロア10から貫通穴11を通じて異物が入り込まないようにするために取り付けられる。
【0021】
乗り物用バッテリ20は、車載用バッテリに相当し、乗り物V1の内部において乗り物V1の駆動装置、各種の電気装置(電装装置)、制御装置及び乗り物用シート30と電気的に接続され、これら装置に電力を供給する比較的大型なバッテリである。
乗り物用バッテリ20は、図1図2図4に示すように、乗り物V1の底壁部4上に取り付けられ、乗り物フロア10よりも下方位置に配置されている。
乗り物用バッテリ20の上面には、乗り物V1の幅方向に所定の間隔を空けて収容凹部21(凹部)が形成されている。複数の収容凹部21は、それぞれ乗り物V1の前後方向に長尺に延びている。
【0022】
乗り物用シート30は、図1図4に示すように、車両用シートであって、乗り物フロア10及び乗り物用バッテリ20よりも上方位置に配置されている。
乗り物用シート30は、シートクッション31、シートバック32及びヘッドレスト33を有するシート本体と、乗り物フロア10に対してシート本体を前後方向に移動させるレール装置60と、乗り物フロア10に対してシート本体を昇降させるハイトリンク装置70と、シートクッション31に対してシートバック32を回動可能に連結するリクライニング装置80と、を備えている。
【0023】
シートクッション31は、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となるクッションフレーム40と、クッションフレーム40に載置されるパッド材31aと、クッションフレーム40及びパッド材31aを被覆する表皮材31bと、を備えている。
シートバック32は、着座者を後方から支持する背もたれ部であって、バックフレーム50と、パッド材32aと、表皮材32bと、を備えている。
ヘッドレスト33は、着座者の頭を後方から支持する頭部である。
【0024】
クッションフレーム40は、図3図4に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるサイドフレーム41と、各サイドフレーム41の前端部分に架設される板状のパンフレーム42と、各サイドフレーム41の前方部分を連結する前方連結パイプ43と、各サイドフレーム41の後方部分を連結する後方連結パイプ44と、前方連結パイプ43及び後方連結パイプ44に掛け止めされ、シート前後方向に延びている支持プレート45(受圧プレート)と、を備えている。
【0025】
サイドフレーム41は、シート前後方向に長尺な板状フレームである。
サイドフレーム41の後方部分にはリクライニング装置80が取り付けられており、サイドフレーム41の下方部分にはハイトリンク装置70を介してレール装置60が取り付けられている。
【0026】
レール装置60は、図2図4に示すように、シート本体を下方から支持するベース部材に相当し、上下方向においてシート本体と乗り物用バッテリ20の間に配置され、乗り物用バッテリ20の上面に固定されている。
レール装置60は、図4に示すように、貫通穴11を介して乗り物フロア10を貫通するように配置されている。
詳しく述べると、乗り物フロア10のうち、貫通穴11が形成された部分の縁部分には、左右の隙間埋め部材12が取り付けられている。そのため、レール装置60(アッパレール62)は、左右の隙間埋め部材12によって挟まれるように配置される。
【0027】
レール装置60は、前後方向に延びる左右のロアレール61と、ロアレール61に沿って摺動可能に支持され、シート本体とともに移動する左右のアッパレール62と、ロアレール61に対してアッパレール62を摺動不能にロックするロック部材と、当該ロック部材のロック状態を解除するためのレール操作レバー63と、を備えている。
また、レール装置60は、アッパレール62の上面に取り付けられ、アッパレール62及びハイトリンク装置70(接続リンク71、72)を連結する連結ブラケット64をさらに備えている。
【0028】
ロアレール61は、乗り物フロア10よりも下方位置に配置され、乗り物用バッテリ20の上面に取り付けられている。
詳しく述べると、ロアレール61は、乗り物用バッテリ20の収容凹部21に収容されており、収容凹部21に固定されている。例えば、ロアレール61は、収容凹部21に収容された状態で上方からボルト締結されている。
アッパレール62は、乗り物フロア10よりも下方位置に配置され、ロアレール61に取り付けられている。アッパレール62の一部(上端部)は、乗り物フロア10よりもやや上方に突出している。
なお、アッパレール62の全体が乗り物フロア10よりも下方に配置されていても良い。
【0029】
連結ブラケット64は、縦断面略L字形状のブラケットであって、乗り物V1の前後方向に長尺に延びている。
連結ブラケット64は、アッパレール62の上面に取り付けられる底壁部と、底壁部の幅方向の内側端部から上方に突出し、後述の接続リンク71、72に取り付けられる側壁部と、を有している。
【0030】
上記構成において、図4に示すように、レール装置60は、上下方向において乗り物用バッテリ20の一部(上方部分)と重なる位置に配置されている。
詳しく述べると、ロアレール61が上下方向において乗り物用バッテリ20の一部(上方部分)と重なる位置に配置される。また、アッパレール62の一部(下端部)が上下方向において乗り物用バッテリ20の一部(上端部)と重なる位置に配置される。
そうすることで、乗り物用シート30の高さ位置を下げることができ、乗り物V1のキャビンを広く確保することができる。つまりは、着座者がキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0031】
ハイトリンク装置70は、図3図4に示すように、上下方向においてレール装置60とクッションフレーム40の間に取り付けられる。
ハイトリンク装置70は、左右の第1接続リンク71と、第1接続リンク71よりも後方に配置される左右の第2接続リンク72と、シート本体の昇降動作を規制するブレーキユニット73と、ブレーキユニット73の規制状態を解除するための操作レバーと、を備えている。
【0032】
第1接続リンク71は、前方連結パイプ43と連結ブラケット64を接続している。第2接続リンク72は、後方連結パイプ44と連結ブラケット64を接続している。
上記操作レバーが操作されると、第2接続リンク72(左側の第2接続リンク72)が駆動リンクとなって回動し、右側の第2接続リンク72、左右の第1接続リンク71も回動する。これによって、シート本体が昇降し、シート高さが調整されることになる。
【0033】
リクライニング装置80は、図3に示すように、クッションフレーム40に対してバックフレーム50を回動可能に連結するとともに、バックフレーム50をロックすることが可能な装置である。
リクライニング装置80は、バックフレーム50を回動させるときに駆動するリクライニング本体81と、回動軸82と、バックフレーム50を回動軸82を中心として前方回転させるように付勢する渦巻きバネ83と、バックフレーム50のロック状態を解除するために操作される操作レバーと、を備えている。
【0034】
リクライニング本体81は、公知なロック機構を有し、バックフレーム50の状態を、クッションフレーム40に対して固定されたロック状態と、クッションフレーム40に対して回動可能なロック解除状態との間で切り替えることが可能である。
回動軸82は、シート幅方向においてバックフレーム50側とクッションフレーム40側とに軸支される。渦巻きバネ83は、その一端部がバックフレーム50側に係止され、他端部がクッションフレーム40側に係止されている。
【0035】
上記構成により、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、従来よりも乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者が乗り物のキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の乗り物V2について、図5図6に基づいて説明する。
なお、上述の乗り物V1と重複する内容については説明を省略する。
【0037】
乗り物V2は、乗り物本体101と、乗り物フロア110と、乗り物用バッテリ120と、乗り物用シート130と、を備えている。
乗り物本体101は、底壁部104を備えている。
乗り物フロア110の表面には、乗り物V2の幅方向に間隔を空けてスリット状の貫通穴111が形成される。
【0038】
乗り物用バッテリ120は、乗り物V2の底壁部104上に取り付けられ、乗り物フロア110よりも下方位置に配置されている。
乗り物用バッテリ120は、乗り物V2の幅方向に間隔を空けて複数並ぶように配置されている。互いに隣り合う乗り物用バッテリ120の間には、所定の隙間121が形成されている。
【0039】
乗り物用シート130は、乗り物フロア110及び乗り物用バッテリ120よりも上方位置に配置されている。
乗り物用シート130は、シートクッション131と、レール装置160と、を備えている。
【0040】
レール装置160は、上下方向においてシートクッション131と乗り物本体101(底壁部104)の間に配置され、底壁部104の上面に取り付けられる。
また、レール装置160は、乗り物V2の幅方向において複数の乗り物用バッテリ120の間に配置されている。すなわち、レール装置160は隙間121に配置されている。
レール装置160は、ロアレール161と、アッパレール162と、連結ブラケット164と、支持ブラケット165と、を備えている。
【0041】
ロアレール161は、乗り物本体101(底壁部104)上に固定された支持ブラケット165の上面に取り付けられている。
ロアレール161、支持ブラケット165は、乗り物フロア110よりも下方位置に配置され、上下方向において乗り物用バッテリ120と重なる位置に配置されている。
アッパレール162は乗り物フロア110よりも下方位置に配置され、アッパレール162の一部(上端部)が乗り物フロア110よりもやや上方に突出している。
【0042】
上記構成であっても、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、従来よりも乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者が乗り物のキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0043】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の乗り物V3について、図7図8に基づいて説明する。
なお、上述の乗り物V1、V2と重複する内容については説明を省略する。
【0044】
乗り物V3は、乗り物本体201と、乗り物フロア210と、乗り物用バッテリ220と、乗り物用シート230と、を備えている。
乗り物用バッテリ220は、乗り物V3の底壁部204上に取り付けられ、乗り物フロア210よりも下方位置に配置されている。
乗り物用バッテリ220は、乗り物V3の幅方向に間隔を空けて複数配置されている。複数の乗り物用バッテリ220の間には、隙間221が形成される。隙間221は、乗り物用シート230よりも幅広となるように形成されている。
乗り物用シート230は、シートクッション231と、レール装置260と、を備えている。
【0045】
レール装置260は、上下方向においてシートクッション231と乗り物本体201(底壁部204)の間に配置され、底壁部204の上面に取り付けられる。
また、レール装置260は、乗り物V3の幅方向において複数の乗り物用バッテリ220の間に配置されている。すなわち、レール装置260は隙間221に配置されている。
レール装置260は、ロアレール261と、アッパレール262と、連結ブラケット264と、支持ブラケット265と、を備えている。
【0046】
ロアレール261は、乗り物本体201(底壁部104)上に固定された支持ブラケット265の上面に取り付けられている。
ロアレール261、支持ブラケット265は、乗り物フロア110よりも下方位置に配置され、上下方向において乗り物用バッテリ220と重なる位置に配置されている。
アッパレール262は乗り物フロア210よりも下方位置に配置され、アッパレール262の一部(上端部)が乗り物フロア210よりもやや上方に突出している。
【0047】
上記構成であっても、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、従来よりも乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者が乗り物のキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0048】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の乗り物V4について、図9図10に基づいて説明する。
なお、上述の乗り物V1~V3と重複する内容については説明を省略する。
【0049】
乗り物V4は、乗り物本体301と、乗り物フロア310と、乗り物用バッテリ320と、乗り物用シート330と、を備えている。
乗り物フロア310の上面には、乗り物用シート330よりも幅広となる収容凹部311(凹部)が形成されている。収容凹部311は、乗り物V1の前後方向に長尺に延びている。
【0050】
乗り物用バッテリ320は、乗り物V3の底壁部304上に取り付けられ、乗り物フロア310よりも下方位置に配置されている。
乗り物用バッテリ320の上面には、乗り物用シート330よりも幅広となる収容凹部321(凹部)が形成されている。収容凹部321は、乗り物V1の前後方向に長尺に延びている。
なお、図10に示すように、乗り物用バッテリ320の表面と収容凹部321との段差面は、傾斜面322となっている。
【0051】
乗り物用シート330は、乗り物フロア310よりも上方に配置されている。
乗り物用シート330は、シートクッション331と、レール装置360と、着座者に向けて空気を吹き出すブロア装置390と、を備えている。
【0052】
シートクッション331の骨格となるクッションフレーム340は、左右のサイドフレーム341と、前方連結パイプ343と、後方連結パイプ344と、前方連結パイプ43及び後方連結パイプ344に掛け止めされる支持プレート345と、を備えている。
支持プレート345の底面には、ブロア装置390(ブロア本体391)が取り付けられている。
【0053】
レール装置360は、乗り物フロア310の上面に取り付けられる。
詳しく述べると、レール装置260は、乗り物フロア310の収容凹部311に収容されており、かつ、乗り物用バッテリ320の収容凹部321に収容されている。
レール装置360は、ロアレール361と、アッパレール362と、連結ブラケット364と、を備えている。
【0054】
ブロア装置390は、ブロア本体391と、ブロア本体391及び不図示の制御装置を電気的に接続するハーネス392と、を備えている。
ブロア本体391は、支持プレート345の幅方向の一端部の底面に取り付けられている。
ハーネス392は、支持プレート345の底面に沿って延びている。詳しく述べると、ハーネス392は、ブロア本体391からシート幅方向に延びて、支持プレート345の幅方向の他端部に沿って前後方向にさらに延びている。
【0055】
上記構成において、図10に示すように、正面視において乗り物フロア310と、左右のレール装置360と、シートクッション331とによって囲まれた領域には、所定の大きさの空間Sが形成されている。
そうすることで、空間Sを利用してブロア本体391を配置することや、ハーネス392を配策することができる。また、シートクッション331の下方位置において空間Sを収容空間として利用できる。また、空間Sを利用して左右のレール装置360の配置を自由に設定できる。
【0056】
上記構成であっても、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、従来よりも乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者が乗り物のキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0057】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態の乗り物V5について、図11に基づいて説明する。
なお、上述の乗り物V1~V4と重複する内容については説明を省略する。
【0058】
乗り物V5は、乗り物本体401と、乗り物フロア410と、乗り物用バッテリ420と、乗り物用シート430と、を備えている。
乗り物フロア410は、乗り物用バッテリ420よりも上方に配置されている。
乗り物用シート430は、乗り物フロア410よりも上方に配置されている。
【0059】
乗り物用シート430は、シートクッション431、シートバック432及びヘッドレスト433を有するシート本体と、乗り物本体401(天壁部403)に対してシート本体を前後方向に移動させるレール装置460と、乗り物本体401(側壁部402)に対してシート本体を前後方向に移動させる補助レール装置470と、を備えている。
【0060】
レール装置460は、天壁部403に固定される固定レール461と、固定レール461に沿って前後方向に摺動する移動レール462と、移動レール462及びシートバック432を連結する連結部材463と、シートクッション431の底面に取り付けられ、乗り物フロア410に沿って摺動するボール部464(キャスタ部)と、を備えている。
補助レール装置470は、側壁部402に固定される固定レール471と、固定レール471に沿って前後方向に摺動する移動レール472と、移動レール472及びシートクッション431を連結する連結部材473と、を備えている。
【0061】
上記構成であれば、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、乗り物用シートを好適に移動させることができる。そのため、着座者が乗り物のキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0062】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、図5に示すように、乗り物用シート30がレール装置60を備えており、シートクッション31がレール装置60によって下方から支持されているが、特に限定されるものではない。
例えば、乗り物用シート30が、レール装置60の代わりに、乗り物用バッテリ20上に固定されるベース部材(ベースブラケット)を備えていても良い。
【0063】
上記実施形態では、図5に示すように、乗り物用シート30がハイトリンク装置70、リクライニング装置80を備えているが、特に限定されない。すなわち、乗り物用シート30がハイトリンク装置70、リクライニング装置80を備えていなくても良い。
【0064】
上記実施形態では、具体例として自動車について説明したが、特に限定されることなく、電車、バス等の乗り物のほか、飛行機、船等の乗り物としても利用することができる。
【0065】
上記実施形態では、主として本発明に係る乗り物に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
<第1実施形態>
V1 乗り物(車両)
1 乗り物本体(車体)
2 側壁部
3 天井部
4 底壁部
5 前壁部
6 後壁部
10 乗り物フロア(車両フロア)
11 貫通穴
12 隙間埋め部材
20 乗り物用バッテリ(車載用バッテリ)
21 収容凹部(凹部)
30 乗り物用シート(車両用シート)
31 シートクッション
31a パッド材
31b 表皮材
32 シートバック
32a パッド材
32b 表皮材
33 ヘッドレスト
40 クッションフレーム
41 サイドフレーム
42 パンフレーム
43 前方連結パイプ(前方連結フレーム)
44 後方連結パイプ(後方連結フレーム)
45 支持プレート(受圧プレート)
50 バックフレーム
60 レール装置(ベース部材)
61 ロアレール
62 アッパレール
63 レール操作レバー
64 連結ブラケット
70 ハイトリンク装置
71 第1接続リンク
72 第2接続リンク
73 ブレーキユニット
80 リクライニング装置
81 リクライニング本体
82 回動軸
83 渦巻バネ
<第2実施形態>
V2 乗り物
101 乗り物本体
104 底壁部
110 乗り物フロア
111 貫通穴
120 乗り物用バッテリ
121 隙間
130 乗り物用シート
131 シートクッション
160 レール装置(ベース部材)
161 ロアレール
162 アッパレール
164 連結ブラケット
165 支持ブラケット
<第3実施形態>
V3 乗り物
201 乗り物本体
204 底壁部
210 乗り物フロア
220 乗り物用バッテリ
221 隙間
230 乗り物用シート
231 シートクッション
260 レール装置(ベース部材)
261 ロアレール
262 アッパレール
264 連結ブラケット
265 支持ブラケット
<第4実施形態>
V4 乗り物
301 乗り物本体
304 底壁部
310 乗り物フロア
311 収容凹部
320 乗り物用バッテリ
321 収容凹部
330 乗り物用シート
331 シートクッション
340 クッションフレーム
341 サイドフレーム
343 前方連結パイプ
344 後方連結パイプ
345 支持プレート
360 レール装置(ベース部材)
361 ロアレール
362 アッパレール
364 連結ブラケット
390 ブロア装置
391 ブロア本体
392 ハーネス
S 空間
<第5実施形態>
V5 乗り物
401 乗り物本体
402 側壁部
403 天壁部
410 乗り物フロア
420 乗り物用バッテリ
430 乗り物用シート
431 シートクッション
432 シートバック
433 ヘッドレスト
460 レール装置(ベース部材)
461 固定レール
462 移動レール
463 連結部材
464 ボール部
470 補助レール装置
471 固定レール
472 移動レール
473 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11