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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114425
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/16 20060101AFI20230809BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
B60N2/16
B60N2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182016
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】63/306,652
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】馬場 広
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA15
3B087BB02
3B087BB21
(57)【要約】
【課題】着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物シートを提供する。
【解決手段】乗り物用シートSは、シートクッション1と、シートクッションを下方から支持するレール装置50(ベース部材)と、シートクッション1及びレール装置50の上下方向の間に介在し、シートクッション1及びレール装置50を接続する接続リンク41、42(接続部材)とを備えている。接続リンク41、42の下方部分は、レール装置50に連結ブラケット60を介して取り付けられ、又はレール装置50に取り付けられている。接続リンク41、42の下端部は、レール装置50の上端部よりも下方に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
前記シートクッションを下方から支持するベース部材と、
前記シートクッション及び前記ベース部材の上下方向の間に介在し、前記シートクッション及び前記ベース部材を接続する接続部材と、を備え、
前記接続部材の下方部分は、前記ベース部材に連結ブラケットを介して取り付けられ、又は前記ベース部材に取り付けられ、
前記接続部材の下端部は、前記ベース部材の上端部よりも下方に配置されることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
前記ベース部材は、乗り物フロアに設けられ、前記乗り物フロアに対して前記シートクッションをシート前後方向に移動させるレール装置であって、
前記レール装置は、シート前後方向に延びているロアレールと、前記ロアレールに沿って移動可能に支持され、前記シートクッションとともに移動するアッパレールと、を有し、
前記接続部材の下方部分は、前記アッパレールに連結ブラケットを介して取り付けられ、又は前記アッパレールに取り付けられ、
前記接続部材の下端部は、前記アッパレールの上端部よりも下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項3】
前記接続部材は、前記ベース部材側に取り付けられるベース接続部を有し、
前記ベース接続部は、上下方向において前記ベース部材と重なる位置に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物用シート。
【請求項4】
前記ベース接続部は、シート幅方向において前記連結ブラケットの側面に取り付けられ、又は前記ベース部材の側面に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の乗り物用シート。
【請求項5】
前記接続部材は、前記ベース部材に前記連結ブラケットを介して取り付けられ、
前記ベース接続部と、前記連結ブラケットと、前記ベース部材とが上下方向において重なる位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載の乗り物用シート。
【請求項6】
前記連結ブラケットは、前記ベース部材の上面に取り付けられる上壁部と、前記上壁部のシート幅方向の内側部分から下方に延出する側壁部と、を有し、
前記ベース接続部は、前記連結ブラケットの前記側壁部に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の乗り物用シート。
【請求項7】
前記接続部材は、前記ベース部材に前記連結ブラケット及び第2連結ブラケットを介して取り付けられ、
前記連結ブラケットは、前記ベース部材に取り付けられ、
前記第2連結ブラケットは、前記連結ブラケットに取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の乗り物用シート。
【請求項8】
前記第2連結ブラケットは、前記連結ブラケットのシート幅方向の内側面に取り付けられ、前記連結ブラケットからシート幅方向の内側に張り出すように設けられ、
前記ベース接続部は、前記第2連結ブラケットの張り出し部分に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の乗り物用シート。
【請求項9】
前記ベース部材は、乗り物フロアに設けられ、前記乗り物フロアに対して前記シートクッションをシート前後方向に移動させるレール装置であって、
前記レール装置は、シート前後方向に延びているロアレールと、前記ロアレールに沿って移動可能に支持され、前記シートクッションとともに移動するアッパレールと、を有し、
前記接続部材は、前記ロアレールよりもシート幅方向の内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項10】
前記接続部材は、前記ベース部材に対して前記シートクッションを昇降可能に接続する接続リンクであって、
前記接続リンクは、シート幅方向に屈曲した屈曲形状を有し、
前記接続リンクは、前記シートクッション側に取り付けられるクッション接続部と、前記クッション接続部よりもシート幅方向の内側に配置され、前記ベース部材側に取り付けられるベース接続部と、を有していることを特徴とする請求項9に記載の乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに係り、特に、シートクッションと、シートクッションを支持するベース部材と、シートクッション及びベース部材を接続する接続部材とを備えた乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内部において車両フロアと、車両フロアよりも下方位置に配置され、車両内において電力を供給する車両用バッテリと、車両フロアよりも上方位置に配置される車両用シートとを備えた車両が知られている。
例えば、特許文献1には、車両フロアと、車両用バッテリと、車両用シートとを備えた電気自動車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-11262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような車両用バッテリを搭載した電気自動車では、車両バッテリが車両フロアの下方位置に配置される。そのため、一般的な自動車(エンジン自動車)と比較して車両フロア、車両用シートの高さ位置が高くなってしまい、自動車の内部空間(キャビン)が狭くなることがあった。そうすると、着座者にとって自動車の内部空間が狭く感じる虞があった。
なお、自動車の空力特性に影響を与えるため、車両フロアの高さ位置に合わせて車両ルーフの高さ位置を上げる設計変更をすることは難しかった。
【0005】
また、電気自動車に限られず、一般的な自動車(エンジン自動車)においても、自動車の内部空間を広く確保することが求められていた。つまりは、着座者が自動車の内部空間内で快適に過ごせることが求められていた。そのため、乗り物用シートの形状、構成を工夫することが求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来よりも着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、シートクッションと、前記シートクッションを下方から支持するベース部材と、前記シートクッション及び前記ベース部材の上下方向の間に介在し、前記シートクッション及び前記ベース部材を接続する接続部材と、を備え、前記接続部材の下方部分は、前記ベース部材に連結ブラケットを介して取り付けられ、又は前記ベース部材に取り付けられ、前記接続部材の下端部は、前記ベース部材の上端部よりも下方に配置されること、により解決される。
上記構成により、着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物シートを実現できる。
詳しく述べると、本発明の乗り物用シートでは、シートクッション及びベース部材を接続する接続部材の下端部が、ベース部材の上端部よりも下方に配置される。そうすることで、従来の乗り物用シートのように、接続部材(例えば接続リンク)がベース部材(例えばレール装置)に連結ブラケットを介して取り付けられ、接続部材の下端部がベース部材の上端部よりも上方に配置されるものと比較して、シートクッションの高さ位置を下げることができる。つまりは、接続部材の位置を下げることで、シートクッションの高さ位置を下げることができる。
そのため、従来の乗り物用シートと比較したときに、着座者が乗り物の内部空間を狭く感じることがなくなる(緩和される)。そして、従来よりも着座者が乗り物の内部空間内で快適に過ごすことができる。
【0008】
このとき、前記ベース部材は、乗り物フロアに設けられ、前記乗り物フロアに対して前記シートクッションをシート前後方向に移動させるレール装置であって、前記レール装置は、シート前後方向に延びているロアレールと、前記ロアレールに沿って移動可能に支持され、前記シートクッションとともに移動するアッパレールと、を有し、前記接続部材の下方部分は、前記アッパレールに連結ブラケットを介して取り付けられ、又は前記アッパレールに取り付けられ、前記接続部材の下端部は、前記アッパレールの上端部よりも下方に配置されると良い。
上記構成により、レール装置を備えた乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者にとって乗り物の内部空間を狭く感じてしまうことが緩和される。
【0009】
このとき、前記接続部材は、前記ベース部材側に取り付けられるベース接続部を有し、前記ベース接続部は、上下方向において前記ベース部材と重なる位置に配置されると良い。
上記構成により、接続部材の高さ位置をより下げることができ、シートクッションの高さ位置をより下げることができる。
【0010】
このとき、前記ベース接続部は、シート幅方向において前記連結ブラケットの側面に取り付けられ、又は前記ベース部材の側面に取り付けられると良い。
上記構成により、接続部材及びベース部材をコンパクトに配置することができる。
【0011】
このとき、前記接続部材は、前記ベース部材に前記連結ブラケットを介して取り付けられ、前記ベース接続部と、前記連結ブラケットと、前記ベース部材とが上下方向において重なる位置に配置されると良い。
また、前記連結ブラケットは、前記ベース部材の上面に取り付けられる上壁部と、前記上壁部のシート幅方向の内側部分から下方に延出する側壁部と、を有し、前記ベース接続部は、前記連結ブラケットの前記側壁部に取り付けられると良い。
上記のように連結ブラケットを備えることで、接続部材及びベース部材を容易に組み付けることができる。
【0012】
このとき、前記接続部材は、前記ベース部材に前記連結ブラケット及び第2連結ブラケットを介して取り付けられ、前記連結ブラケットは、前記ベース部材に取り付けられ、前記第2連結ブラケットは、前記連結ブラケットに取り付けられると良い。
また、前記第2連結ブラケットは、前記連結ブラケットのシート幅方向の内側面に取り付けられ、前記連結ブラケットからシート幅方向の内側に張り出すように設けられ、前記ベース接続部は、前記第2連結ブラケットの張り出し部分に取り付けられると良い。
上記のように連結ブラケット及び第2連結ブラケットを備えていることで、接続部材及びベース部材をより強固に組み付けることができる。
【0013】
このとき、前記ベース部材は、乗り物フロアに設けられ、前記乗り物フロアに対して前記シートクッションをシート前後方向に移動させるレール装置であって、前記レール装置は、シート前後方向に延びているロアレールと、前記ロアレールに沿って移動可能に支持され、前記シートクッションとともに移動するアッパレールと、を有し、前記接続部材は、前記ロアレールよりもシート幅方向の内側に配置されると良い。
上記構成により、ロアレール、アッパレール及び接続部材をコンパクトに配置することができる。
【0014】
このとき、前記接続部材は、前記ベース部材に対して前記シートクッションを昇降可能に接続する接続リンクであって、前記接続リンクは、シート幅方向に屈曲した屈曲形状を有し、前記接続リンクは、前記シートクッション側に取り付けられるクッション接続部と、前記クッション接続部よりもシート幅方向の内側に配置され、前記ベース部材側に取り付けられるベース接続部と、を有していると良い。
上記構成により、シートクッションを昇降可能な接続リンクを備えた乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者にとって乗り物の内部空間を狭く感じてしまうことが緩和される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、着座者が乗り物の内部空間(キャビン)内で快適に過ごすことが可能な乗り物シートを実現できる。
また本発明によれば、従来よりもシートクッションの高さ位置を下げることができ、着座者が乗り物の内部空間を狭く感じることがなくなる(緩和される)。
また本発明によれば、レール装置を備えた乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。
また本発明によれば、接続部材及びベース部材をコンパクトに配置できる。
また本発明によれば、接続部材及びベース部材を容易に組み付けることができる。
また本発明によれば、接続部材及びベース部材をより強固に組み付けることができる。
また本発明によれば、シートクッションを昇降可能な接続リンクを備えた乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の乗り物用シートの斜視図である。
図2】シートフレーム、レール装置、ハイトリンク装置の斜視図である。
図3】シート後方から見たときのレール装置、接続リンク、クッションフレームの斜視図である。
図4】レール装置、接続リンク、クッションフレームの背面図である。
図5】連結ブラケットの斜視図である。
図6】第2連結ブラケットの斜視図である。
図7】乗り物用シート(接続リンク)の変形例1である。
図8A】乗り物用シート(連結ブラケット)の変形例2である。
図8B】乗り物用シート(連結ブラケット)の変形例2である。
図9A】乗り物用シート(着座センサ)の変形例3である。
図9B】着座センサの位置を説明する図である。
図10】乗り物用シート(前方連結パイプ)の変形例4である。
図11】乗り物用シート(連結ブラケット)の変形例5である。
図12】乗り物用シート(連結ブラケット)の変形例6である。
図13A】乗り物用シート(フロア補強部材)の変形例7である。
図13B】乗り物用シート(フロア補強部材)の変形例7である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について、図1図13Bを参照して説明する。
本実施形態は、シートクッションと、シートクッションを下方から支持するベース部材と、シートクッション及びベース部材を接続する接続部材とを備え、接続部材の下方部分がベース部材に連結ブラケットを介して取り付けられ、又はベース部材に取り付けられ、接続部材の下端部がベース部材の上端部よりも下方に配置されることを主な特徴とする乗り物用シートに関するものである。
なお、乗り物用シートのシートバック(ヘッドレスト)に対して着座者が着座する側がシート前方側となる。
【0018】
本実施形態の乗り物用シートSは、図1図2に示すように、車両用シートであって、シートクッション1、シートバック2及びヘッドレスト3を有するシート本体と、シートクッション1に対してシートバック2を回動可能に連結するリクライニング装置30と、車体フロアに対してシート本体を昇降可能に連結するハイトリンク装置40と、車体フロアに対してシート本体を前後移動可能に支持するレール装置50と、を備えている。
また、乗り物用シートSは、図2に示すように、ハイトリンク装置40及びレール装置50を連結する連結ブラケット60、第2連結ブラケット70をさらに備えている。
【0019】
シートクッション1は、図1図2に示すように、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となるクッションフレーム10と、クッションフレーム10上に載置されるパッド材1aと、クッションフレーム10及びパッド材1aを被覆する表皮材1bと、を備えている。
シートバック2は、着座者を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となるバックフレーム20と、パッド材2aと、表皮材2bと、から主に構成されている。
ヘッドレスト3は、着座者の頭を後方から支持する頭部である。
【0020】
クッションフレーム10は、図2に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるサイドフレーム11と、各サイドフレーム11の前方部分に架設される板状のパンフレーム12と、各サイドフレーム11の後方部分を連結する後方連結パイプ13と、を備えている。
なお、クッションフレーム10は、パンフレーム12及び後方連結パイプ13に掛け止めされ、シート前後方向に延びる支持プレートをさらに備えている。
【0021】
サイドフレーム11は、シート前後方向に長尺な板状フレームである。
サイドフレーム11の後方部分にはリクライニング装置30が取り付けられており、サイドフレーム11の下方部分にはハイトリンク装置40を介してレール装置50が取り付けられている。
【0022】
バックフレーム20は、図2に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム21と、各バックサイドフレーム21の上端部分を連結する上部フレーム22と、各バックサイドフレーム21の下端部分を連結する下部フレーム23と、を備えている。
なお、バックフレーム20は、各バックサイドフレーム21にそれぞれ掛け止めされ、シート幅方向に延びる支持プレートをさらに備えている。
【0023】
バックサイドフレーム21は、上下方向に延びており、横断面略C字形状からなる板状フレームである。
バックサイドフレーム21の下端部分が、リクライニング装置30を介してサイドフレーム11の後端部分と連結されている。
【0024】
リクライニング装置30は、図2に示すように、クッションフレーム10に対してバックフレーム20を回動可能に連結するとともに、バックフレーム20をロックすることが可能な装置である。
リクライニング装置30は、バックフレーム20を回動させるときに駆動するリクライニング本体31と、回動軸32と、バックフレーム20を回動軸32を中心として前方回転させるように付勢する渦巻きバネ33と、バックフレーム20のロック状態を解除するために操作される操作レバーと、を備えている。
【0025】
リクライニング本体31は、公知なロック機構を有し、バックフレーム20の状態を、クッションフレーム10に対して固定された「ロック状態」と、クッションフレーム10に対して回動可能な「ロック解除状態」との間で切り替えることが可能である。
回動軸32は、シート幅方向においてバックフレーム20側とクッションフレーム10側とに軸支される。渦巻きバネ33は、その一端部がバックフレーム20側に係止され、他端部がクッションフレーム10側に係止されている。
【0026】
ハイトリンク装置40は、図2図4に示すように、上下方向においてクッションフレーム10とレール装置50の間に取り付けられる。
ハイトリンク装置40は、左右の第1接続リンク41と、第1接続リンク41よりも後方に配置される左右の第2接続リンク42と、シート本体の昇降動作を規制するブレーキユニット43と、ブレーキユニット43の規制状態を解除するための操作レバーと、を備えている。
【0027】
第1接続リンク41は、接続部材に相当し、シート幅方向に屈曲した屈曲形状を有し、サイドフレーム11と連結ブラケット60を接続している。
第1接続リンク41は、上下方向に長尺なリンク本体部41aと、サイドフレーム11に接続されるクッション接続部41bと、クッション接続部41bよりもシート幅方向の内側に配置され、連結ブラケット60に接続されるベース接続部41cと、を有している。
なお、図3に示すように、第1接続リンク41の外縁部分には、補強フランジ41d(補強部)が形成されている。補強フランジ41dは、クッション接続部41bの位置からベース接続部41cの位置まで延びている。
【0028】
第2接続リンク42は、接続部材に相当し、シート幅方向に屈曲した屈曲形状を有し、後方連結パイプ13と第2連結ブラケット70を接続している。
第2接続リンク42は、上下方向に長尺なリンク本体部42aと、後方連結パイプ13に接続されるクッション接続部42bと、クッション接続部42bよりもシート幅方向の内側に配置され、第2連結ブラケット70に接続されるベース接続部42cと、を有している。
【0029】
ハイトリンク装置40の操作レバーが操作されると、第2接続リンク42(左側の第2接続リンク42)が駆動リンクとなって回動し、右側の第2接続リンク42、左右の第1接続リンク41も回動する。これによって、シート本体が昇降し、シート高さが調整されることになる。
【0030】
レール装置50は、図2図4に示すように、シート本体を下方から支持するベース部材に相当し、上下方向においてシート本体と車体フロアの間に配置され、車体フロアの上面に固定されている。
レール装置50は、シート前後方向に延びる左右のロアレール51と、ロアレール51に沿って摺動可能に支持され、シートクッション1とともに移動する左右のアッパレール52と、ロアレール51に対してアッパレール52を摺動不能にロックするロック部材と、当該ロック部材のロック状態を解除するためのレール操作レバー53と、を備えている。
【0031】
ロアレール51は、長尺な中空体からなり、シート幅方向に間隔を空けて左右に配置されている。ロアレール51の内部には、シート前後方向に沿って断面略凸形状の収容空間が形成されている。
アッパレール52は、ロアレール51の収容空間内に挿入された状態でロアレール51に沿ってスライド移動する長尺体である。図4に示すように、アッパレール52の上端部が連結ブラケット60(第2連結ブラケット70)を介してクッションフレーム10側に連結されている。
【0032】
連結ブラケット60は、図2図5に示すように、シート前後方向に長尺な縦断面逆L字形状の板状部材からなり、アッパレール52と接続リンク41、42を連結する部材である。
連結ブラケット60は、図4図5に示すように、アッパレール52の上面に取り付けられる上壁部61と、上壁部61のシート幅方向の内側部分から下方に延出し、接続リンク41、42に取り付けられる側壁部62と、を備えている。
また、連結ブラケット60は、上壁部61及び側壁部62の境界部分に設けられ、上壁部61よりも上方に突出する上方屈曲部63と、上壁部61のシート幅方向の外側端部に設けられる補強フランジ64(補強部)と、上壁部61及び側壁部62それぞれの後端部に設けられる第2補強フランジ65(第2補強部)と、をさらに備えている。
【0033】
上壁部61は、図3図4に示すように、アッパレール52の上面に取り付けボルトを用いて取り付けられる。
側壁部62は、第1回動軸66を介して第1接続リンク41と接続される。また、側壁部62は、第2回動軸67及び第2連結ブラケット70を介して第2接続リンク42と接続される。
【0034】
第2連結ブラケット70は、図3図5図6に示すように、連結ブラケット60(側壁部62)の内側面に取り付けられる板状の補強ブラケットであって、第2接続リンク42(駆動リンク)と接続される。
第2連結ブラケット70は、連結ブラケット60の内側面に取り付けられる左右の固定部71と、左右の固定部71を連結し、左右の固定部71よりもシート幅方向の内側に張り出すように設けられる張り出し部72と、を備えている。
張り出し部72は、第2回動軸67を介して第2接続リンク42と接続される。
【0035】
上記構成において、図3図4に示すように、接続リンク41、42の下端部は、アッパレール52の上端部よりも下方に配置される。
詳しく述べると、接続リンク41、42のベース接続部41c、42cは、連結ブラケット60(第2連結ブラケット70)の内側面に取り付けられる。そして、ベース接続部41c、42cと、連結ブラケット60と、第2連結ブラケット70と、レール装置50(アッパレール52)とが上下方向において重なる位置に配置される。
そうすることで、接続リンク41、42の高さ位置を下げることができ、シートクッション1の高さ位置を下げることができる。そして、着座者が車両の内部空間内で快適に過ごすことができる。
【0036】
上記構成において、図4に示すように、接続リンク41、42は、シート幅方向の内側に屈曲した屈曲形状を有しており、ロアレール51及びアッパレール52よりもシート幅方向の内側に配置される。
そうすることで、ロアレール51、アッパレール52及び接続リンク41、42をコンパクトに配置できる。
【0037】
上記構成において、図4に示すように、連結ブラケット60は、上方屈曲部63を備えている。
そうすることで、連結ブラケット60を補強できる。また、第1接続リンク41との接触面積、第2連結ブラケット70との接触面積を増やすことができ、第1接続リンク41及び第2連結ブラケット70との組み付け強度を高めることができる。
【0038】
上記構成において、図4に示すように、接続リンク41、42は、シート幅方向において連結ブラケット60の上方屈曲部63から離れるように内側に屈曲している。
また、サイドフレーム11は、シート幅方方向において上方屈曲部63よりも内側に配置されている。
そうすることで、接続リンク41、42と連結ブラケット60の干渉を抑制することができる。また、サイドフレーム11と連結ブラケット60の干渉を抑制できる。
【0039】
上記構成により、乗り物用バッテリを搭載した乗り物において、従来よりも乗り物用シートの高さ位置を下げることができる。そのため、着座者が乗り物のキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0040】
<変形例1>
次に、乗り物用シートSの変形例1について、図7に基づいて説明する。
なお、上述の乗り物用シートSと重複する内容については説明を省略する(以下同じ)。
【0041】
変形例1の乗り物用シートSでは、接続リンク41、42がシート幅方向に長尺に屈曲した屈曲形状を有している。詳しく述べると、接続リンク41、42のリンク本体部41a、42aがシート幅方向に長尺に延びている。
そして、サイドフレーム11がレール装置50及び連結ブラケット60よりもシート幅方向の外側に配置される。
そうすることで、シートクッション1の内部空間R(収容空間)を広くすることができる。そのため、内部空間Rを利用してブロア装置のような可動装置やハーネスを比較的自由に配置することができる。
【0042】
<変形例2>
次に、乗り物用シートSの変形例2について、図8A、Bに基づいて説明する。
変形例2の乗り物用シートSでは、ハイトリンク装置40(接続リンク41、42)、レール装置50(ロアレール51、アッパレール52)の設計に応じて連結ブラケット60の形状を変更したものとなっている。
図8Aでは、連結ブラケット60が上方屈曲部63を有さない形状となっている。つまりは、連結ブラケット60が、上壁部61と、上壁部61の内側端部から連続して下方に延出する側壁部62とを有する形状となっている。
また、図8Bでは、連結ブラケット60の上方屈曲部63がより上方に突出した形状となっている。つまりは、上方屈曲部63が、連結ブラケット60の上端部に対応する高さ位置まで突出している。
【0043】
図8Aに示す連結ブラケット60であれば、連結ブラケット60の形状をシンプルにすることができ、また、他の構成部品との干渉を抑制することができる。
図8Bに示す連結ブラケット60であれば、第1接続リンク41との接触面積、第2連結ブラケット70との接触面積をより増やすことができ、これらの組み付け強度をより高めることができる。
【0044】
<変形例3>
次に、乗り物用シートSの変形例3について、図9A、Bに基づいて説明する。
変形例3の乗り物用シートSでは、乗員が乗り物用シートSに着座していることを検出する着座センサ80をさらに備えている。
着座センサ80は、シートウェイトセンサとも称され、不図示の制御装置と接続されている。着座センサ80は、乗員が着座していることを検出したときに検出信号を制御装置に送信する。
【0045】
着座センサ80は、上下方向においてレール装置50(アッパレール52)及び連結ブラケット60の間に取り付けられ、シート前後方向に間隔を空けて複数配置されている。
図9Bに示すように、着座センサ80は、シート前後方向において接続リンク41、42と重なる位置に配置されている。そうすることで、着座センサ80の検出感度(検出精度)を高めることができる。
また、図9Bに示すように、着座センサ80は、シート前後方向において接続リンク41、42とは重ならない位置に配置されている。そうすることで、着座センサ80を自由に配置できる。
【0046】
<変形例4>
次に、乗り物用シートSの変形例4について、図10に基づいて説明する。
変形例4の乗り物用シートSでは、クッションフレーム10が前方連結パイプ14をさらに備えている。
前方連結パイプ14は、左右の第1接続リンク41(リンク本体部41a)を連結する連結フレームである。そうすることで、左右の第1接続リンク41の連結強度を高めることができる。
なお、前方連結パイプ14は、乗り物が外部から衝撃を受けたときに(外部から衝突されたときに)着座者が沈み込んでしまう現象(いわゆるサブマリン現象)を防止する機能も果たす。
【0047】
<変形例5>
次に、乗り物用シートSの変形例5について、図11に基づいて説明する。
変形例5の乗り物用シートSでは、連結ブラケット60が前方連結ブラケット60Aと、後方連結ブラケット60Bとに分かれている。
前方連結ブラケット60Aは、第1接続リンク41とアッパレール52の前方部分とを接続している。
後方連結ブラケット60Bは、第2接続リンク42(第2連結ブラケット70)とアッパレール52の後方部分とを接続している。
上記構成により、連結ブラケット60を軽量化することができる。
【0048】
<変形例6>
次に、乗り物用シートSの変形例6について、図12に基づいて説明する。
変形例6の乗り物用シートSでは、第2連結ブラケット70を不要の構成としている。言い換えれば、連結ブラケット60が、第2連結ブラケットと一体化された形状となっている。
具体的には、連結ブラケット60の側壁部62が、シート幅方向の内側に一部張り出すように形成されている。そして、側壁部62の張り出し部62aが、第2接続リンク42と接続されている。
上記構成により、部品点数を極力減らすことができる。
【0049】
<変形例7>
次に、乗り物用シートSの変形例7について、図13A、Bに基づいて説明する。
変形例7の乗り物用シートSでは、電気自動車用のシートであって、乗り物フロアV1の上面に板状のフロア補強部材V2を介して取り付けられている。
具体的には、図13Aに示すように、レール装置50(ロアレール51)がフロア補強部材V2の上面に取り付けられている。そうすることで、乗り物用シートSを強固に組み付けることができる。
なお、乗り物Vにおいて乗り物用シートS及び乗り物フロアV1よりも下方位置には乗り物用バッテリV3(リチウムバッテリ)が配置されている。
【0050】
また、図13Bでは、フロア補強部材V2の上面にシート幅方向に間隔を空けて収容凹部V2aが形成されている。乗り物用シートS(レール装置50)は、収容凹部V2aに収容されている。
そうすることで、乗り物用シートの高さ位置を下げることができ、着座者が乗り物のキャビン内で快適に過ごすことができる。
【0051】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、図2図4に示すように、乗り物用シートSがレール装置50を備えており、シートクッション1がレール装置50によって下方から支持されているが、特に限定されるものではない。
例えば、乗り物用シートSが、レール装置50の代わりに、車体フロア上に固定されたベース部材(ベースブラケット)を備えていても良い。すなわち、シートクッション1がベースブラケットによって下方から支持されても良い。
【0052】
上記実施形態では、図2図4に示すように、乗り物用シートSがリクライニング装置30、ハイトリンク装置40を備えているが、特に限定されない。すなわち、乗り物用シートSがリクライニング装置30、ハイトリンク装置40を備えていなくても良い。
その場合には、乗り物用シートSが、接続リンク41、42の代わりに、シートクッション1及びベース部材を接続する接続部材を備えていると良い。
【0053】
上記実施形態では、図3図4に示すように、接続リンク41、42の下方部分が、レール装置50に連結ブラケット60を介して取り付けられているが、特に限定されない。
例えば、接続リンク41、42の下方部分が、レール装置50(アッパレール52)の側面に直接取り付けられても良い。
そのような構成であっても、接続リンク41、42の高さ位置を下げることができ、シート本体の高さ位置を下げることができる。
【0054】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる乗り物用シートについて説明したが、特に限定されることなく、電車、バス等の乗り物用シートのほか、飛行機、船等の乗り物用シートとしても利用することができる。
【0055】
本実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
S 乗り物用シート(車両用シート)
1 シートクッション
1a、2a パッド材
1b、2b 表皮材
2 シートバック
3ヘッドレスト
10 クッションフレーム
11 サイドフレーム
12 パンフレーム
13 後方連結パイプ(後方連結フレーム)
14 前方連結パイプ(前方連結フレーム)
20 バックフレーム
21 バックサイドフレーム
22 上部フレーム
23 下部フレーム
30 リクライニング装置
31 リクライニング本体
32 回動軸
33 渦巻きバネ
40 ハイトリンク装置
41 第1接続リンク(接続部材)
41a リンク本体部
41b クッション接続部
41c ベース接続部
41d 補強フランジ
42 第2接続リンク(接続部材)
42a リンク本体部
42b クッション接続部
42c ベース接続部
43 ブレーキユニット
50 レール装置(ベース部材)
51 ロアレール
52 アッパレール
53 レール操作レバー
60 連結ブラケット
60A 前方連結ブラケット
60B 後方連結ブラケット
61 上壁部
62 側壁部
62a 張り出し部
63 上方屈曲部
64 補強フランジ
65 第2補強フランジ
66 第1回動軸
67 第2回動軸
70 第2連結ブラケット
71 固定部
72 張り出し部
80 着座センサ
R 内部空間
V 乗り物(車両)
V1 乗り物フロア(車体フロア)
V2 フロア補強部材
V2a 収容凹部
V3 乗り物用バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B