(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114441
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】車両用ドライブラインを構成するための方法
(51)【国際特許分類】
F16H 61/02 20060101AFI20230809BHJP
F16H 59/14 20060101ALI20230809BHJP
F16H 59/36 20060101ALI20230809BHJP
F16H 59/52 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
F16H61/02
F16H59/14
F16H59/36
F16H59/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023008807
(22)【出願日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】22155180.7
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】クラース・ピール
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552NA04
3J552NB08
3J552PA32
3J552QC08
3J552VB01W
3J552VB08W
3J552VB20W
3J552VD01W
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両用の適切なドライブラインを構築するためのコンピュータによって行われる方法に関する。
【解決手段】車両が行おうとする駆動動作を示すデータに基づいてドライブラインのための一組の基準作用点を特定するステップであって、各基準作用点は、ドライブラインのための意図された基準速度要求及び関連する意図された基準トルク要求に関連付けられるステップと、ドライブラインのための一組の臨界作用点を特定するステップであって、各臨界作用点は、意図された臨界速度要求及び関連する意図された臨界トルク要求に関連付けられ、意図された臨界トルク要求は、ドライブラインのための意図された平均トルク要求よりも大きいステップとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)用ドライブライン(12)を構成するためのコンピュータによって行われる方法であって、前記ドライブライン(12)は、推進動力を生成するために共に動作するように適合された複数のコンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)を備える、方法において、前記方法は、
-前記車両(10)が行おうとする駆動動作を示すデータに基づいて前記車両(10)のための一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})を特定するステップであって、各基準作用点(RWPi)は、前記車両(10)のための意図された基準速度要求及び関連する意図された基準トルク要求に関連付けられるステップと、
-前記車両(10)のための一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})を特定するステップであって、各臨界作用点(CWPj)は、意図された臨界速度要求及び関連する意図された臨界トルク要求に関連付けられ、前記意図された臨界トルク要求は、前記車両(10)のための意図された平均トルク要求よりも大きいステップと
を含み、
前記方法は、前記ドライブライン(12)に対して一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})を構築するステップであって、各ドライブラインモデル(DMk)は、前記ドライブライン(12)に含まれる前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)に対するコンポーネントエンティティの固有の選択を備え、前記一組のドライブラインモデルの各ドライブラインモデル(DMk)は、前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの他のドライブラインモデルと異なるステップを更に含み、
前記方法は、前記ドライブラインの前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)を前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの前記ドライブラインモデル(DMk)に対応する前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)に対する前記コンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、前記ドライブラインモデル(DMk)は、
-前記一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})の各臨界作用点(CWPj)に従って動作することができると特定され、
-前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデルの動作に関連するドライブラインモデル特定基準測度(RMk)であって、他のドライブラインモデルの少なくとも部分集合に関連するドライブラインモデル特定基準測度(RMk)よりも好ましいと解される、ドライブラインモデル特定基準測度(RMk)に関連付けられる、
ステップを更に含む、方法。
【請求項2】
前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})は、前記車両(10)の意図される動作時間の少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、更に好ましくは、少なくとも80%の駆動動作を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドライブラインモデル特定基準測度(RMk)は、前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデル(DMk)の動作に関連付けられるエネルギー消費を示し、前記方法は、前記ドライブラインの前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)について、前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの前記ドライブラインモデル(DMk)に対応する前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)に対する前記コンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、前記ドライブラインモデル(DMk)は、前記一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})の各臨界作用点(CWPj)に従って動作することができると特定された前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの少なくとも複数のドライブラインモデルよりも低いエネルギー消費に関連付けられるステップを含み、好ましくは、前記方法は、前記ドライブラインの前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)を前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの前記ドライブラインモデル(DMk)に対応する前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)に対する前記コンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、前記ドライブラインモデル(DMk)は、前記一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})の各臨界作用点(CWPj)に従って動作することができると特定された前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちのドライブラインモデルの中で最も低いエネルギー消費に関連付けられるステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドライブラインモデル特定基準測度(RMk)は、前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデル(DMk)に関連付けられるコストを示し、前記方法は、前記ドライブラインの前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)について、前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの前記ドライブラインモデル(DMk)に対応する前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)に対する前記コンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、前記ドライブラインモデル(DMk)は、前記一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})の各臨界作用点(CWPj)に従って動作することができると特定された前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの少なくとも複数のドライブラインモデルよりも低いコストに関連付けられるステップを含み、好ましくは、前記方法は、前記ドライブラインの前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)を前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちの前記ドライブラインモデル(DMk)に対応する前記コンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)に対する前記コンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、前記ドライブラインモデル(DMk)は、前記一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})の各臨界作用点(CWPj)に従って動作することができると特定された前記一組のドライブラインモデル({DM1,....,DMp})のうちのドライブラインモデルの中で最も低いコストに関連付けられるステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ドライブラインモデル(DMk)に関連付けられる前記コストは、
-前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデル(DMk)の動作に関連付けられるエネルギー消費のコストと、
-前記ドライブラインモデル(DMk)の製造に関連付けられるコストと
の合計を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデルの動作に関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度(RMk)を特定する前記ステップは、各基準作用点(RWPi)を前記車両(10)が行おうとする駆動動作を示すデータに基づいて予測発生頻度(fi)に関連付けることを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデル(DMk)の動作に関連付けられる前記ドライブラインモデル特定基準測度(DMk)は、前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)に対して、
-前記基準作用点(RWPi)に関連付けられるドライブラインモデル特定基準サブ測度(RMk,i)を特定し、
-ドライブラインモデル特定基準サブ測度積(fiRMk,i)を得るために、前記ドライブラインモデル特定基準サブ測度(RMk,i)に対して関連付けられる予測発生頻度(fi)を乗じる
ステップであって、前記ドライブラインモデル特定基準測度(RMk)は、前記ドライブラインモデル特定基準サブ測度積(fiRMk,i)の合計であるステップを行うことによって特定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ドライブラインモデル特定基準サブ測度(RMk,i)は、前記基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデル(DMk)の動作に関連付けられるエネルギー消費を示す、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドライブラインモデル特定基準サブ測度(RMk,i)は、前記基準作用点(RWPi)における前記ドライブラインモデル(DMk)の動作に関連付けられるコストを示す、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
推進動力を生成するために共に動作するように適合された前記複数のコンポーネントタイプ(18,18’,20,22,24,30)は、以下のコンポーネントタイプ、すなわち、推進ユニット、ギアボックス、リアアクスル、及び1つ又は複数の車輪の1つ又は複数を含む、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記車両(10)のための前記意図された基準速度要求と意図された平均速度要求との間の比率は、前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)に対して0.6-1.4の範囲内、好ましくは、0.8-1.2の範囲内にある、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記車両(10)のための前記意図された臨界トルク要求と意図された平均トルク要求との間の比率は、前記一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})の各臨界作用点(CWPj)に対して少なくとも2、好ましくは、少なくとも3である、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)は、前記ドライブライン(12)を備えるように適合された前記車両(10)の少なくなとも意図された速度及び意図された積載荷重を含む情報に基づいて特定される、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})の各基準作用点(RWPi)は、前記ドライブライン(12)に対する単一動作条件を有する、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記一組の基準作用点({RWP1,....,RWPm})は、7つ未満、好ましくは、5つ未満、更に好ましくは、3つ未満の基準作用点(RWPi)から成る、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記一組の臨界作用点({CWP1,....,CWPn})は、7つ未満、好ましくは、5つ未満、更に好ましくは、3つ未満の臨界作用点(CWPj)から成る、請求項1~15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記車両(10)は、地上車、好ましくは、トラックのような商用の地上車である、請求項1~16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
コンピュータプログラムであって、コンピュータで実行された時に請求項1~17のいずれかの方法を行うためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【請求項19】
コンピュータプログロムを保持するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータで実行された時に請求項1~17のいずれかの方法を行うためのプログラムコード手段を含む、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドライブラインを構築するためのコンピュータによって行われる方法に関する。また、本発明は、プログラムコード手段を含むコンピュータプログラムに関する。加えて、本発明は、コンピュータ可読媒体に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス、及び建設機械のような大型車に適用可能である。本発明は、トラックに関して説明するが、この特定の車両に制限されず、他の車両、例えば、連結式ハウラー、バックホーローダー、及びボートのような航洋船に用いられてもよい。
【背景技術】
【0003】
車両は、一般的に、車両が望み通りに推進されることを確実にするために、ドライブラインを備え付けている。ドライブラインは、一般的に、推進動力を生成するために共に動作するように適合された複数の異なるコンポーネントタイプを備える。殆どの場合、車両のドライブライン及びその動作は、比較的大きなコストを伴う。そのような状況にもかかわらず、車両のドライブラインは、多くの場合、車両サプライヤーによって提供される1つ又は複数の標準的なドライブラインから選択される。
【0004】
上記に鑑み、車両用の適切なドライブラインを特定する方法を改良することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、車両用ドライブラインを構成するために行われる方法であって、この方法によって適切なドライブラインが得られる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0007】
すなわち、本発明は、車両用ドライブラインを構成するためのコンピュータによって行われる方法に関する。ドライブラインは、推進動力を生成するために共に動作するように適合された複数のコンポーネントタイプを備える。
【0008】
この方法は、
-車両が行おうとする駆動動作を示すデータに基づいてドライブラインのための一組の基準作用点(reference working points)を特定するステップであって、各基準作用点は、ドライブラインのための意図された基準速度要求及び関連する意図された基準トルク要求に関連付けられるステップと、
-ドライブラインのための一組の臨界作用点(critical working points)を特定するステップであって、各臨界作用点は、意図された臨界速度要求及び関連する意図された臨界トルク要求に関連付けられ、意図された臨界トルク要求は、ドライブラインのための意図された平均トルク要求よりも大きいステップと
を含む。
【0009】
また、この方法は、ドライブラインに対して一組のドライブラインモデルを構築するステップを更に含む。各ドライブラインモデルは、ドライブラインに含まれるコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択を備え、一組のドライブラインモデルの各ドライブラインモデルは、一組のドライブラインモデルのうちの他のドライブラインモデルと異なる。
【0010】
この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルは、
-一組の臨界作用点の各臨界作用点に従って動作することができると特定され、
―一組の基準作用点の各基準作用点におけるドライブラインモデルの動作に関連するドライブラインモデル特定基準測度(specific reference measure)であって、他のドライブラインモデルの少なくとも部分集合に関連するドライブラインモデル特定基準測度よりも好ましいと解されるドライブラインモデル特定基準測度に関連付けられたものである、
ステップを更に含む。
【0011】
本発明による方法は、ドライブラインがそのドライブラインのための基準作用点に対して適切であるのみならず、一組の臨界作用点の各臨界作用点に従って動作することもできるように構成され得ることを意味している。
【0012】
従って、本発明による方法を用いることによって、臨界動作要求に適合することができると共に比較的一般的な動作条件下においても適切に動作することができるドライブラインを得ることが可能である。すなわち、臨界動作要求のみに適合することを目的とするドライブライン又は比較的標準的な動作条件下においてのみ望ましく動作することを目的とするドライブラインを構成するのに代わって、本発明による方法は、上記の要求の両方に対処するドライブラインが得られることを意味している。
【0013】
任意選択的に、一組の基準作用点は、車両の意図される動作時間の少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、更に好ましくは、少なくとも80%の駆動動作を表す。従って、一組の基準作用点は、車両の意図される動作時間の比較的大部分を表すことができる。
【0014】
任意選択的に、ドライブラインモデル特定基準測度は、一組の基準作用点の各基準作用点におけるドライブラインモデルの動作に関連付けられるエネルギー消費を示し、この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルは、一組の臨界作用点内の各臨界作用点に従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデルのうちの少なくとも複数のドライブラインモデルよりも低いエネルギー消費に関連付けられるステップを含む。
【0015】
これは、適度に低いエネルギー消費をもたらすドライブライン構成が得られることを意味している。
【0016】
好ましくは、この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルは、一組の臨界作用点の各臨界作用点に従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルの中で最も低いエネルギー消費に関連付けられるステップを含む。これも、適度に低いエネルギー消費をもたらすドライブライン構成が得られることを意味している。
【0017】
任意選択的に、ドライブラインモデル特定基準測度は、一組の基準作用点の各基準作用点におけるドライブラインモデルに関連付けられるコストを示し、この方法は、ドライブラインのコンポ―ネントタイプについて、一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルは、一組の臨界作用点の各臨界作用点に従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデルのうちの少なくとも複数のドライブラインモデルよりも低いコストに関連付けられるステップを含む。
【0018】
これは、車両に関連する適度に低いコストをもたらすドライブライン構成が得られることを意味している。
【0019】
好ましくは、この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルは、一組の臨界作用点の各臨界作用点に従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインの中で最も小さいコストに関連付けられるステップを含む。これも、車両に関連する適度に低いコストをもたらすドライブライン構成が得られることを意味している。
【0020】
任意選択的に、ドライブラインモデルに関連付けられるコストは、
-一組の基準作用点の各基準作用点におけるドライブラインモデルの動作に関連付けられるエネルギー消費のコストと、
-ドライブラインモデルの製造に関連付けられるコストと
の合計を含む。
【0021】
ドライブラインモデルに関連付けられるコストを特定するために前述したようにコストの合計を用いることは、この方法がドライブラインを備える車両を購入しかつ動作させるための適度に低い総コストをもたらすドライブライン構成が得られることを意味している。例えば、前述したようなコストの合計を用いることは、少なくともいくつかの場合において、製造コストが比較的高価なドライブラインであっても、もしそのエネルギー消費が他のより安価なドライブライン構成よりも低いなら、そのドライブラインを用いる方が有益な場合もあることを意味している。これは、もしドライブラインを備える車両がその寿命に達するまでに頻繁に用いられることが予想されるなら、更に当てはまることとなる。
【0022】
任意選択的に、一組の基準作用点のうちの各基準作用点におけるドライブラインモデルの動作に関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度を特定するステップは、各基準作用点を車両が行おうとする駆動動作を示すデータに基づいて予測発生頻度に関連付けることを含む。
【0023】
これによって、構成されるドライブラインを備えるように適合された車両の意図される動作を比較的正確に表すことが可能である。
【0024】
任意選択的に、一組の基準作用点のうちの各基準作用点におけるドライブラインモデルの動作に関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度は、一組の基準作用点のうちの各基準作用点に対して、
-基準作用点に関連付けられるドライブラインモデル特定基準サブ測度を特定し、
-ドライブラインモデル特定基準サブ測度積を得るために、ドライブラインモデル特定基準サブ測度に対して関連付けられる予測発生頻度を乗じる
ステップであって、ドライブラインモデル特定基準測度は、ドライブラインモデル特定基準サブ測度積の合計であるステップを行うことによって特定される。
【0025】
任意選択的に、ドライブラインモデル特定基準サブ測度は、基準作用点におけるドライブラインモデルの動作に関連付けられるエネルギー消費を示す。
【0026】
任意選択的に、ドライブラインモデル特定基準サブ測度は、基準作用点におけるドライブラインモデルの動作に関連付けられるコストを示す。
【0027】
任意選択的に、推進動力を生成するために共に動作するように適合された複数のコンポーネントタイプは、以下のコンポーネントタイプ、すなわち、推進ユニット、ギアボックス、リアアクスル、及び1つ又は複数の車輪の1つ又は複数を含む。
【0028】
任意選択的に、ドライブラインのための意図された基準速度要求と意図された平均速度要求との間の比率は、一組の基準作用点の各基準作用点に対して0.6-1.4の範囲内、好ましくは、0.8-1.2の範囲内にある。
【0029】
任意選択的に、ドライブラインのための意図された臨界トルク要求と意図された平均トルク要求との間の比率は、一組の臨界作用点の各臨界作用点に対して少なくとも2、好ましくは、少なくとも3である。
【0030】
任意選択的に、一組の基準作用点の各基準作用点は、ドライブラインを備えるように適合された車両の少なくとも意図された速度及び意図された積載荷重を含む情報に基づいて特定される。
【0031】
任意選択的に、一組の基準作用点の各基準作用点は、ドライブラインのための単一動作条件を有する。これは、ドライブラインモデル特定基準測度が、時間効率の良い方法によって、例えば、一組の基準作用点の各基準作用点に対して静止分析アプローチを用いて特定され得ることを意味している。
【0032】
任意選択的に、一組の基準作用点は、7つ未満、好ましくは、5つ未満、更に好ましくは、3つ未満の基準作用点から成る。
【0033】
任意選択的に、一組の臨界作用点は、7つ未満、好ましくは、5つ未満、更に好ましくは、3つ未満の臨界作用点から成る。
【0034】
任意選択的に、車両は、地上車、好ましくは、トラックのような商用の地上車である。
【0035】
本発明の第2の態様は、コンピュータプログラムであって、コンピュータで実行された時に本発明の第1の態様の方法を行うためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0036】
本発明の第3の態様は、コンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体であって、コンピュータプログラムは、コンピュータで実行された時に本発明の第1の態様の方法を行うためのプログラムコード手段を備える、コンピュータ可読媒体に関する。
【0037】
本発明の更なる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属請求項に開示される。
【0038】
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図3】本発明の方法の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、車両10の略側面図である。車両10は、その車両を推進するように適合されたドライブライン12を備える。
図1に示されるように、車両10は、一組の車輪14,16,18を備える。
図1の車両は、地上車である。実際には、
図1の車両10は、商用の地上車の例と解され得るトラックである。しかしながら、本発明による方法は、他の形式の車両、例えば、ボート(図示せず)のためのドライブラインに対して用いられ得る。
【0041】
図2は、(
図1に示されない)車両のドライブライン12の実施例の略上面図である。
図2に示されるドライブライン12の実施例は、推進ユニット20、ギアボックス22、リアアクスル24、及び1つ又は複数の車輪18,18’を備える。
【0042】
単なる例にすぎないが、推進ユニット20は、内燃エンジンを備えるか又は内燃エンジンによって構成され得る。しかしながら、推進ユニットは、電気モータを備えるか又は電気モータから構成されてもよいし、又は内燃エンジン及び電気モータを備えるハイブリッド推進アセンブリを備えるか又はハイブリッド推進アセンブリから構成され得る。
【0043】
図2の実施例では、推進ユニット20は、ギアボックス22に機械的に接続される。単なる例にすぎないが、
図2に示されるように、推進ユニット20は、クラッチ26を介してギアボックス26に機械的に接続されてもよい。
【0044】
ギアボックス22は、リアアクスル24に機械的に接続される。
図2の実施例では、ギアボックス22は、プロペラシャフト28に接続され、プロペラシャフト28は、最終ギアアセンブリ30を介してリアアクスル24に接続される。単なる例にすぎないが、最終ギアアセンブリ30は、差動装置(図示せず)から構成されてもよい。
【0045】
リアアクスル24は、1つ又は複数の車輪18,18’に接続される。
図2の実施例では、リアアクスル24は、2つの車輪18,18’に固定して接続される。しかしながら、他の実例では、リアアクスル24は、3つ以上の車輪18,18’に接続されてもよい。単なる例にすぎないが、ドライブライン12の実例では、リアアクスル24は、4つの車輪(図示せず)に接続されてもよい。
【0046】
また、
図2のドライブラインの実施例は、単一のリアアクスル24を有する。しかしながら、ドライブライン12の他の実施例は、更に多くのアクスル、例えば、1つ又は複数のフロントアクスル(
図2に示さず)又は1つ又は複数の追加的なリアアクスル(
図2に示さず)であって、各々が推進ユニット20によって推進される、更に多くのアクスルを備えてもよい。代替的に、ドライブライン12の実施例は、複数のアクスル(図示せず)及び複数の推進ユニット(図示せず)を備えることができ、各推進ユニットが複数のアクスルの1つ又は複数を推進するように適合される。
【0047】
前述のドライブライン12の実施例に関わらず、ドライブライン12は、推進動力を生成するために共に動作するように適合された複数のコンポーネントタイプを備える。
図2を再び参照すると、これらのコンポーネントタイプとして、例えば、推進ユニット20、ギアボックス22、リアアクスル24、及び1つ又は複数の車輪18,18’が挙げられる。これらのコンポーネントタイプの各々に対して、1つ又は複数の異なるコンポーネントエンティティを選択することができる。例えば、コンポ―ネントタイプの例として推進ユニット20を挙げるなら、種々の最大動力能力を有する種々の推進ユニットエンティティをドライブライン12の推進ユニットとして用いることができる。ドライブライン12の一部を形成する他のコンポ―ネントタイプに対しても同様である。
【0048】
上記の説明から理解されるように、種々のコンポーネントエンティティの組合せを有する複数の種々のドライブライン構成を生成することが可能である。従って、意図された車両10に適切な、特に、車両10の意図された動作に適切なドライブライン構成を特定することが望ましい。
【0049】
従って、本発明は、車両10用ドライブライン12を構成するためのコンピュータ32によって行われる方法に関する。前述したように、ドライブラインは、推進動力を生成するために共に動作するように適合された複数のコンポーネントタイプ18,18’,20,22,24,30を備える。
【0050】
この目的を達成するために、
図3を参照されたい。
図3は、コンピュータ32の一実施形態を概略的に示すと共に、本発明による方法の一実施形態のためのフローチャートを示す。
図3のフローチャートは、本発明の方法の一実施形態を例示することのみを意図するにすぎないこと、及び他の方法の実施形態が追加的な特徴を備え、
図3に示されるのと別の順序で方法の特徴を実施してもよいことに留意されたい。
【0051】
従って、本発明による方法の一実施形態は、車両が行おうとする駆動動作を示すデータに基づいてドライブライン12のための一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}を特定する特徴S10を含む。各基準作用点RWPiは、車両10の意図された基準速度要求及び関連する意図された基準トルク要求に関連付けられる。
【0052】
単なる例にすぎないが、車両10の意図された基準速度要求及び関連する意図された基準トルク要求は、ドライブライン12の一部を形成する1つ又は複数の車輪18,18’の意図された基準速度要求及び関連する意図された基準トルク要求に関連付けられてもよいし又は等しくてもよい。
【0053】
非制限的な例として、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiは、ドライブライン12を備えるように適合された車両10の少なくとも意図された速度及び意図された積載荷重を含む情報に基づいて特定されてもよい。従って、単なる例にすぎないが、基準作用点RWPiは、以下の条件、すなわち、「車両がその最大積載量のある割合の荷物を積んである速度で駆動される条件」に基いて特定されてもよい。上記の条件の一例として、例えば、以下の条件、すなわち、「車両が最大積載量の80%の荷物を積んで70km/hの速度で駆動される条件」が挙げられる。
【0054】
一般的に、各基準作用点RWPiは、ドライブライン12を備える車両10がいかに動作されることを意図されるかを示す情報に基づいて特定されてもよい。例えば、もしドライブライン12を備える車両10が既存の車両(図示せず)を取り換えることが意図されるなら、関連する基準作用点RWPiは、例えば、既存の車両によって又は既存の車両から収集されたデータ、例えば、既存の車両の速度及び積載荷重に関するデータを用いて生成されてもよい。
【0055】
基準作用点は、好ましくは、車両の標準的な動作条件、すなわち、車両が比較的頻繁に動作することが予想される動作条件に関連付けられてもよい。従って、単なる例にすぎないが、ドライブラインのための意図された基準速度要求と意図された平均速度要求との間の比率は、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiに対して0.6-1.4の範囲内、好ましくは、0.8-1.2の範囲内にあり得る。
【0056】
基準作用点を車両の標準的な動作条件に関連付ける概念を示す他の非制限的な例として、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}は、車両10の意図された動作時間の少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、更に好ましくは、少なくとも80%の駆動動作を表し得る。
【0057】
単なる例にすぎないが、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiは、ドライブラインのための単一動作条件を有し得る。従って、各基準作用点RWPiは、車両10の意図された基準速度要求及び関連する意図された基準トルク要求によって十分に表されることとなる。しかしながら、本発明の実施形態は、ある範囲の意図された基準速度要求を表す少なくとも1つの基準作用点RWPiを用いてもよいことも考えられる。単なる例にすぎないが、このようなある範囲の意図された基準速度要求は、速度要求分布(図示せず)として表され得る。
【0058】
また、非制限的な例として、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPn}は、7つ未満、好ましくは、5つ未満、更に好ましくは、3つ未満の基準作用点RWPiから成り得る。
【0059】
本発明の方法の実施形態は、ドライブライン12のための一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}を特定する特徴S12を更に含み、各臨界作用点CWPjは、意図された臨界速度要求及び関連する意図された臨界トルク要求に関連付けられる。意図された臨界トルク要求は、ドライブラインのための意図された平均トルク要求よりも大きい。
【0060】
その名前が示すように、臨界作用点CWPjは、ドライブライン12に作用されるが頻繁に作用されるとは予想されないドライブライン12の動作点を表し得る。単なる例にすぎないが、ドライブラインのための意図された臨界トルク要求と意図された平均トルク要求との間の比率は、一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに対して少なくとも2、好ましくは、少なくとも3である。
【0061】
非制限的な例として、一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}は、7つ未満、好ましくは、5つ未満、更に好ましくは、3つ未満の臨界作用点CWPjから成り得る。
【0062】
単なる例にすぎないが、臨界作用点CWPjは、車両10の予期される条件、例えば、予期される臨界条件に応じて特定され得る。
【0063】
単なる例にすぎないが、臨界作用点CWPjは、以下の条件、すなわち、「車両がその最大積載量のある割合の荷物を積んである傾斜角を有する坂をある速度で駆動される条件」に基いて特定されてもよい。上記の条件の例として、例えば、以下の条件、すなわち、「車両がその最大積載量の80%の荷物を積んで4%の傾斜角を有する坂を40km/hの速度で駆動される条件」が挙げられる。
【0064】
他の非制限的な例として、臨界作用点CWPjは、以下の条件、すなわち、「車両がその最大積載量のある割合の荷物を積んで平地をある加速度で走行する条件」に基いて特定されてもよい。上記の条件の例として、例えば、以下の条件、すなわち、「車両がその最大積載量の80%の荷物を積んで平地を2.5m/s2の加速度で走行する条件」が挙げられる。
【0065】
臨界作用点CWPjの更なる非制限的な例は、始動性基準に関連付けられてもよい。すなわち、ドライブライン12を備える車両10の条件が静止から移動に変化する時、クラッチ26が熱負荷を受けることがあるので、臨界作用点CWPjは、車両を始動させるための意図された臨界トルク要求がクラッチ26又はドライブライン12の他のコンポーネントに過剰な熱負荷を与えないように決められてもよい。
【0066】
上記の説明から理解されるように、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}及び一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}のそれぞれは、複数の異なる方法によって特定されてもよい。しかしながら、これらの作用点の組がどのように特定されるかに関わらず、本発明の方法の実施形態は、ドライブライン12に対して一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}を構築する特徴S14を含む。各ドライブラインモデルDMkは、ドライブライン12に含まれるコンポーネントタイプ18,18’,20,22,24,30に対する複数のコンポーネントエンティティの固有の選択を含み、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}の各ドライブラインモデルDMkは、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちの他のドライブラインモデルと異なる。換言すれば、各ドライブラインモデルDMkは、コンポーネントタイプ18,18’,20,22,24,30に対するコンポーネントエンティティの固有の組合せを有する。
【0067】
また、本発明の実施形態は、ドライブライン12のコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるようにと設定する特徴S16であって、ドライブラインモデルDMkは、
-一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができると特定され、
-一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkの動作に関連するドライブラインモデル特定基準測度RMkであって、他のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}の少なくとも部分集合に関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度RMよりも好ましいと解されるドライブラインモデル特定基準測度RMkに関連付けられたものである、特徴S16を含む。
【0068】
特徴S16は、
図3において特徴S14に続く手順として示されているが、特徴S14及び特徴S16は、本発明の方法の実施形態において複数の異なる手法によって実施されてもよいことに留意されたい。
【0069】
図3の例にも示される第1の非制限的な実施例では、一組のドライブラインモデル{DM
1,....,DM
p}が最初に生成され得る。更に、一組のドライブラインモデル{DM
1,....,DM
p}の各ドライブラインモデルDM
kに対して、
-該ドライブラインモデルDM
kが一組の臨界作用点{CWP
1,....,CWP
n}の各臨界作用点CWP
jに従って動作することができるかどうかが特定され、
-一組の基準作用点{RWP
1,....,RWP
m}の各基準作用点RWP
iにおける該ドライブラインモデルDM
kの動作に関連するドライブラインモデル特定基準測度DM
kが特定され得る。
【0070】
その後、一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができると特定されたドライブラインモデルDMg,....,DMlのためのドライブラインモデル特定基準測度RMg, ....,RMlが評価され、好ましい、任意選択的に最も好ましいモデル特定基準測度DMkが特定され、そこから関連するドライブラインモデルDMkが特定されることとなる。
【0071】
上記の実施例の代替例として、すなわち、第2の非制限的な実施例では、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}が最初に生成され得る。更に、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}の各ドライブラインモデルDMkに対して、以下のステップ、すなわち、
-該ドライブラインモデルDMkが一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができるかどうかを特定するステップ、及び
-該ドライブラインモデルDMkが一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができると特定された場合にのみ、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkの動作に関連するドライブラインモデル特定基準測度RMkを特定するステップ、
が行われる。
【0072】
その後、ドライブラインモデル特定基準測度RMg,....,RMl(第2の実施例では、ドライブラインモデル特定基準測度は、該ドライブラインモデルが前述の臨界作用点の要求に適合することが見出された場合にのみ特定されることに留意されたい)が評価され、好ましい、任意選択的に、最も好ましいモデル特定基準測度RMkが特定され、それから、関連付けられるドライブラインモデルDMkが特定される。
【0073】
第3の非制限的な実施例では、完全な組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}が必ずしも最初に生成される必要がない。代わって、第3の実施例では、1つ又は複数の当初のドライブラインモデルDMkが生成され、これらの当初のドライブラインモデルDMkのそれぞれに対して、以下のステップ、すなわち、
-該ドライブラインモデルDMkが一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができるかどうかを特定するステップ、及び
-一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおける該ドライブラインモデルDMkの動作に関連するドライブラインモデル特定基準測度RMkを特定するステップ
が行われる。
【0074】
第3の実施例では、ドライブラインモデル特定基準測度RMkは、関連付けられるドライブラインモデルDMkが前述したように(前述の第2の実施例におけるように)臨界作用点の要求に適合することが見出された場合に特定され得る。代替的に、ドライブラインモデル特定基準測度RMkは、(前述の第1の実施例におけるように)各ドライブラインモデルDMkに対して特定されてもよい。
【0075】
ドライブラインモデル特定基準測度RMkがいかに得られるかとは関係なく、第3の実施例は、(前述したようにドライブラインモデル特定基準測度RMk及び臨界作用点の要求に関して)ドライブライン12に対して適切な候補と考えられる少なくとも1つのドライブラインモデルDMkを特定してもよい。その後、少なくとも1つのドライブラインモデルDMkに対して、代替的なドライブラインモデルDM’kが生成されてもよく、1つ又は複数のコンポーネントエンティティの固有の選択が、適切な候補DMkと比較して変更される。代替的なドライブラインモデルDM’kは、その後、前述したようなドライブラインモデル特定基準測度RM’k及び臨界作用点の要求に関して評価される。もし代替的なドライブラインモデルDM’kがドライブライン12に対して適切な候補と考えられた少なくとも1つのドライブラインモデルDMkよりも好ましいと解されたなら、代替的なドライブラインモデルDM’kが、ドライブライン12に対して適切な候補と考えられた少なくとも1つのドライブラインモデルDMkと入れ替わることとなる。
【0076】
上記の手順は、適切なドライブラインモデルDMkが特定されるまで継続され得る。単なる例にすぎないが、第3の実施例による上記の手順は、適切な候補DMkに関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度RMkと代替的なドライブラインモデルDM’kに関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度RM’kとの差が特定の閾範囲内に入るまで継続され得る。単なる例にすぎないが、第3の実施例による上記の手順は、適切な候補DMkに関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度RMkと代替的なドライブラインモデルDM’kに関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度RM’kとの差の絶対値が所定の閾値よりも低くなるまで継続され得る。
【0077】
上記の説明から理解されるように、特徴S14及びS16は、複数の異なる手法によって実施されてもよく、上記の3つの実施例は、単なる例として示されているにすぎない。前述の3つの実施例のそれぞれの部分は、特徴S14及びS16の更なる代替的な実施例を形成するために組み合わされてもよいことも考えられる。
【0078】
以下、ドライブラインモデル特定基準測度RMkの種々の例を用いる本発明の方法の実施形態について説明する。
【0079】
第1の実施形態によれば、ドライブラインモデル特定基準測度RMkは、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkの動作に関連付けられるエネルギー消費であり得る。また、第1の実施形態による方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルDMkは、一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちの少なくとも複数のドライブラインモデルよりも低いエネルギー消費に関連付けられるステップを含む。
【0080】
換言すれば、上記の第1の実施形態によれば、この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルが適度に低いエネルギー消費に関連付けられるステップを含み得る。
【0081】
前述の方法の第1の実施形態は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルDMkが得られる最小のエネルギー消費に関連付けられるステップを必ずしも含む必要がないことに留意されたい。代わって、この方法の第1の実施形態は、得られる最小のエネルギー消費よりも大きいエネルギー消費に関連付けられるドライブラインモデルDMkを用いてもよい。
【0082】
しかしながら、この方法の第1の実施形態の変更例では、この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のうちのドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルDMkは、一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルDMkの中で最小のエネルギー消費に関連付けられるステップを含む。
【0083】
前述の方法の第1の実施形態又は方法の第1の実施形態の変更例は、前述の特徴S14及びS16の第1、第2、及び第3の実施例のいずれか1つ及び第1、第2、及び第3の実施例のいずれかの組合せを用いて実施されてもよいことに留意されたい。
【0084】
第2の実施形態によれば、ドライブラインモデル特定基準測度RMkは、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkに関連付けられるコストであってもよい。また、第2の実施形態による方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポ―ネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルDMkは、一組の臨界作用点の各臨界作用点に従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちの少なくとも複数のドライブラインモデルよりも低いコストに関連付けられるステップを含んでもよい。
【0085】
換言すれば、前述の第2の実施形態によれば、この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデルのうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルDMkが適度に低いコストに関連付けられるステップを含んでもよい。
【0086】
前述の方法の第2の実施形態は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルDMkが得られる最低のコストに関連付けられるステップを必ずしも含む必要がないことに留意されたい。代わって、この方法の第2の実施形態は、得られる最小コストよりも大きいコストに関連付けられるドライブラインモデルDMkを用いてもよい。
【0087】
しかしながら、この方法の第2の実施形態の変更例では、この方法は、ドライブラインのコンポーネントタイプについて、一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルDMkに対応するコンポ―ネントタイプに対するコンポーネントエンティティの固有の選択と等しくなるように設定するステップであって、該ドライブラインモデルDMkは、一組の臨界作用点{CWP1,....,CWPn}の各臨界作用点CWPjに従って動作することができると特定された一組のドライブラインモデル{DM1,....,DMp}のうちのドライブラインモデルの中で最も低いコストに関連付けられるステップを含む。
【0088】
前述したこの方法の第2の実施形態又はこの方法の第2の実施形態の変更例は、前述の特徴S14及びS16の第1、第2、及び第3の実施例のいずれか1つ及び第1、第2、及び第3の実施例のどのような組合せを用いて実施されてもよいことに留意されたい。
【0089】
ドライブラインモデルDMkに関連付けられるコストに関して、このコストは、例えば、
-一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルの動作に関連付けられるエネルギー消費のコストと、
-ドライブラインモデルDMkの製造に関連付けられるコストと
の合計を含み得る。
【0090】
従って、ドライブラインモデルDMkに関連付けられるコストは、作用点RWPiに依存する第1の部分と、作用点RWPiに依存しない第2の部分とを含むことができる。単なる例にすぎないが、ドライブラインモデルDMkの製造に関連付けられるコストは、ドライブラインモデルDMkに対応するコンポーネントタイプに対する各コンポーネントエンティティを購入及び/又は製造するためのコスト、並びにドライブライン12を形成するためにコンポーネントエンティティを組み立てるためのコストを含んでもよい。また、この方法の実施形態では、ドライブラインモデルDMkに関連付けられるコストは、点検及び保守のコスト及び場合によってはリサイクルコストを含んでもよいことに留意されたい。
【0091】
ドライブラインモデル特定基準測度RMkが何を指すかに関わらず、すなわち、エネルギー消費又はコストのいずれを指すかに関わらず、この方法の実施形態では、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkの動作に関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度RMkを特定する特徴は、各基準作用点RWPiを車両が行おうとする駆動動作を示すデータに基づいて予測発生頻度fiに関連付けることを含んでもよい。
【0092】
単なる例にすぎないが、予測発生頻度fiは、ドライブライン12がドライブライン12の全動作時間に対する基準作用点RWPiにおいて動作すると予測される時間の百分率で表されてもよい。他の代替例として、予測発生頻度fiは、ドライブライン12が一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}における動作時間の合計に対する基準作用点RWPiにおいて動作すると予想される時間の百分率で表されてもよい。
【0093】
非制限的な例として、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkの動作に関連付けられるドライブラインモデル特定基準測度RMkは、一組の基準作用点{RWP1,....,RWPm}の各基準作用点RWPiに対して、以下のステップ、すなわち、
-基準作用点RWP1に関連付けられるドライブラインモデル特定基準サブ測度RMk,iを特定し、
-ドライブラインモデル特定基準サブ測度積fiRMk,iを得るために、ドライブラインモデル特定基準サブ測度RMk,iに対して関連する予測発生頻度fiを乗じる、
ステップであって、ドライブラインモデル特定基準測度RMkは、ドライブラインモデル特定基準サブ測度積fiRMk,jの合計であるステップを行うことによって特定される。
【0094】
上記の例は、ドライブラインモデル特定基準測度RMkがエネルギー消費を示す実施形態及びドライブラインモデル特定基準測度RMkがコストを示す実施形態に対して用いられ得る。従って、ドライブラインモデル特定基準サブ測度RMk,iは、基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkの動作に関連付けられるエネルギー消費を示し得る。代替的に、ドライブラインモデル特定基準サブ測度RMk,iは、基準作用点RWPiにおけるドライブラインモデルDMkの動作に関連付けられるコストを示し得る。
【0095】
本発明は、記載かつ図示された実施例に制限されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、多くの変更及び修正が添付の請求項の範囲内においてなされ得ることを認識するだろう。
【外国語明細書】