(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114455
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】電磁部品、特にステータコアまたはロータコアを製造するための板金、および電磁部品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/147 20060101AFI20230809BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230809BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20230809BHJP
C09J 163/02 20060101ALI20230809BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20230809BHJP
H01F 3/02 20060101ALI20230809BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20230809BHJP
C22C 38/06 20060101ALI20230809BHJP
C22C 38/60 20060101ALI20230809BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20230809BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
H01F1/147 175
C09J11/06
C09J163/00
C09J163/02
C09J11/04
H01F3/02
C22C38/00 303U
C22C38/06
C22C38/60
H02K15/02 F
H01F41/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045210
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2021566573の分割
【原出願日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】102019113291.6
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514309479
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】THYSSENKRUPP STEEL EUROPE AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トバイアス レウィ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン マシャリッツァ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ハーゲット
(72)【発明者】
【氏名】マルコ タイツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルカー カーメン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ ベユム
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ウィートホフ
(57)【要約】
【課題】本発明は、電磁部品、特にステータコアまたはロータコアを製造するための板金であって、該板金が熱活性化接着剤の接着剤で被覆されている板金に関する。
【解決手段】前記接着剤は、固体樹脂形態のエポキシ樹脂60重量部、潜在的硬化剤0.5~15重量部、潜在的促進剤1~15重量部、を含む。さらに、本発明は、電磁部品の製造方法に関する。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁部品、特にステータコアまたはロータコアを製造するための板金であって、前記板金が、熱活性化された接着剤で覆われており、前記接着剤が、
固体樹脂形態のエポキシ樹脂 60重量部、
潜在的硬化剤 0.5~15重量部、
潜在的促進剤 1~15重量部
を含み、
前記接着剤による被覆が、前記板金の両面に適用され、1μmから20μmの間の厚さを有し、ここで、前記厚さは、両面の接着剤被覆の合計の厚さである、板金。
【請求項2】
前記接着剤が、1~10重量部の潜在的硬化剤、好ましくは2~5重量部の潜在的硬化剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の板金。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の板金。
【請求項4】
前記潜在的硬化剤が、ジシアンジアミド、イミダゾール、BF3アミン複合体またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の板金。
【請求項5】
前記接着剤が、1~10重量部の潜在的促進剤、好ましくは1~5重量部の潜在的促進剤、特に好ましくは2~5重量部の潜在的促進剤を含有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の板金。
【請求項6】
前記接着剤がさらに、ランプブラックおよび/または水溶性染料の群から選択された、0.2~8重量部の吸収性添加剤を含有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の板金。
【請求項7】
潜在的促進剤が、尿素誘導体を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の板金。
【請求項8】
前記尿素誘導体が、N,N-ジメチル尿素もしくはN,N'-ジメチル尿素、または2官能の尿素誘導体であり、好ましくは官能基として2つの尿素基を有するものであり、特に好ましくは、4,4'-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)、または前記の複数の混合物であることを特徴とする、請求項7に記載の板金。
【請求項9】
前記尿素誘導体として、非対称に置換された尿素が併せて使用されるか、または排他的に使用されることを特徴とする、請求項7または請求項8のいずれかに記載の板金。
【請求項10】
前記尿素誘導体が、以下の物質
【化1】
(ここで、Rは、水素または以下の基であり、
【化2】
式中、
nは、0または1、好ましくは1であり、
Xは、OまたはS、好ましくはOであり、
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシル基、アリール基またはアリールオキシル基であり、
R
4は、ハロゲン、水酸基、シアノで任意に置換されたアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アラルキル基であり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルで、特に好ましくはメチルであり、
R
5は、R
4と同様の基またはアルコキシル基であるか、R
5は任意にR
4と複素環を形成していてもよい)、
またはN,N-ジメチル-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、またはN,N-ジメチル-N'-(3-クロロ-4-メチルフェニル)尿素、またはN,N-ジメチル-N'-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)尿素、またはN, N-ジメチル-N'(3-クロロ-4-エチルフェニル)尿素、またはN,N-ジメチル-N'-(4-メチル-3-ニトロフェニル)尿素、またはN-(N'-3,4-ジクロロフェニルカルバモイル)モルホリン、またはN,N-ジメチル-N'(3-クロロ-4-メチルフェニル)チオ尿素であり、
前記尿素誘導体は、好ましくは4,4'-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)であり、
または、これらの2つ、3つまたはそれ以上の混合物であることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の板金。
【請求項11】
前記尿素誘導体の粒子が、1μm~30μmの平均粒径を有する、請求項7~10のいずれか一項に記載の板金。
【請求項12】
前記接着剤による被覆が、合計の厚さが2μmから8μmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の板金。
【請求項13】
前記接着剤による被覆が、合計の厚さが4μmから6μmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の板金。
【請求項14】
前記接着剤による被覆は、第1の板金表面を第1の厚さで部分的に覆う第1の被覆と、第2の板金表面を第2の厚さで部分的に覆う第2の被覆からなり、第1の厚さは好ましくは第2の厚さの1.5倍以上、特に好ましくは2倍であることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の板金。
【請求項15】
前記板金と前記接着剤層の間に絶縁ワニス層が配置されており、および/または前記接着剤層と反対側の面に絶縁ワニスのみが配置されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の板金。
【請求項16】
前記板金が電気鋼ストリップ、特に非結晶化電気鋼ストリップであるか、または非結晶化電気鋼ストリップから分離されていることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の板金。
【請求項17】
Feおよび不可避の不純物に加えて、
0.1~3.50 Si、
0.01~1.60 Al、
0.07~0.65 Mn、
任意選択的に0.25までのP、
の成分からなる(すべてのデータは重量%で表示)か;
好ましくは、Feおよび不可避の不純物に加えて、
2.3~3.40 Si、
0.3 ~1.1 Al、
0.07~0.250のMn、
任意選択的に0.030までのP、
の成分からなる(すべてのデータは重量%である)、
請求項16に記載の板金。
【請求項18】
前記板金が、軟磁性の金属材料であり、例えば、Feおよび不可避の不純物に加えて、以下の成分(すべてのデータは重量%で表示):
0.1~4.0のSi、
0.01~2.60のAl、
0.07~3.0のMn、
任意選択的に0.5までのP、
任意選択的に0.015までのB、
任意選択的に0.2までのSb、
任意選択的に0.01までのZn、
任意選択的に5までのCr、
任意選択的に5までのNi、
任意選択的に0.25までのV、
任意選択的に0.5までのSn、
任意選択的に0.01までのAs、
任意選択的に0.3までのNb、
任意選択的に0.5までのW、
任意選択的に0.85までのZr、
任意選択的に0.2までのMo、
任意選択的に1.0までのCu、
任意選択的に0.5までのTi、
任意選択的に0.5までのC、
任意選択的に0.01までのCe、
からなることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の板金。
【請求項19】
前記板金が、0.05mm~2.5mm、好ましくは0.15mm~0.4mmの厚さを持ち、さらに接着剤で被覆されている、請求項16~18のいずれか一項に記載の板金。
【請求項20】
前記板金がサンドイッチであるか、または片面または両面が音響的に減衰する機能層で覆われた板金である、請求項16~19のいずれか一項に記載の板金。
【請求項21】
前記板金の片面または両面が化学ベースとしてアクリレートを有する音響減衰機能層で覆われており、前記音響減衰機能層に前記接着剤被覆が直接接続されている、請求項15~19のいずれか一項に記載の板金。
【請求項22】
前記板金が、P1.0;50Hzで0.7~7W/kgの範囲、P1.5;50Hzで1.8~15W/kgの範囲の特定のコア損失を有し、および/または1.45T~1.71Tまでの範囲のJ2500および1.6T~1.8Tまでの範囲のJ5000における分極を有し、好ましくは、P1.0;50Hzで1.0~1.5W/kgの範囲、P1.5;50Hzで2.2~3.3W/kgの範囲の特定のコア損失を有し、および/または1.47T~1.57Tまでの範囲のJ2500および1.58T~1.65Tまでの範囲のJ5000における分極を有する、非方向性電気ストリップである、請求項15から21のいずれか一項に記載の板金。
【請求項23】
室温での長手方向の降伏強度が310~600MPa、最大引張強度が400~640MPa、破断点伸びA80が7~32%である、請求項15から22のいずれか一項に記載の板金。
【請求項24】
電磁部品、特に電気機械用の板金コアを製造する方法であって、板金コアが好ましくはステータコアまたはロータコアのいずれかである方法であって、以下のステップ:
A)請求項1~23のいずれか一項に記載の、接着剤被覆を備えた板金、または接着剤被覆を備えた複数の板金を提供するステップ、
B)前記板金を、パンチングツール、赤外線を出力する手段、および押し出しパンチを備えたインラインシステムに搬送するステップ、
C)ステータラメラまたはロータラメラとして設計された成形品を、ステップAで提供された板金からパンチングツールで打ち抜くステップ、
D)ステップCで形成された成形部品の接着剤被覆を活性化するために、赤外線を出力する手段によって赤外線を照射するステップ、
D)押し出しパンチを用いて成形品を押し出すステップ、
E)成形部品を位置決め領域に位置合わせおよび/または角度合わせして配置するステップ、
F)位置決め領域に所望の数の成形品が集まるまで、C)からE)のステップを繰り返すステップ、
を含み、
-第1成形品の表面にパンチング方向に照射される少なくとも1つの上部ランプ、および
-パンチングツールの反対側にある第2成形品の表面にパンチング方向に逆らって照射する少なくとも1つの下部ランプを備えている、
方法。
【請求項25】
部品の製造はインラインプロセスで行われ、パンチングツールと押し出しパンチは同じプレスの一部であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
所望の数の成形部品の最後の成形部品を位置決めした後、ステップFの下流の圧縮ステップによって得られた部品を、最後に均等な面圧で圧縮することを特徴とする、請求項24~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ステップC~Eを、少なくとも80/分、好ましくは120/分~300/分のストローク速度で行うことを特徴とする、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
電磁部品、特に電気機械用の板金コアを製造する方法であって、板金コアが好ましくはステータコアまたはロータコアのいずれかである方法であって、以下のステップ:
A)請求項1から23のいずれか一項に記載の、接着剤被覆を備えた板金、または接着剤被覆を備えた複数の板金を提供するステップ、
B)ステップAで提供された板金から、多数のラメラ、特にステータラメラまたはロータラメラとして設計された成形部品を、パンチングツールでパンチングするステップ、
C)前記成形部品を、位置合わせおよび/または角度合わせをして重ね合わせるステップ、
D)重ね合わせた成形部品をプレスするステップ、
E)重ね合わせた成形部品を所定の温度で所定の時間加熱するステップ、
F)任意付加的に行われるステップであって、所望の数の成形部品の最後の成形部品を位置決めした後、ステップEの下流にある圧縮ステップによって得られた部品を、成形部品の表面に垂直な方向に端部で均等な面圧で圧縮するステップ、
を含む方法。
【請求項29】
前記所定の時間が10分から60分の間、好ましくは10分から40分の間であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
所定の温度が100℃から200℃の間、好ましくは100℃から150℃の間である、請求項28または請求項29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
請求項1~23のいずれか一項に記載の板金の複数の成形品を含む、電気部品または電気機械用の板金コア。
【請求項32】
ステータコアとして、またはロータコアとして設計された、請求項31に記載の板金コア。
【請求項33】
請求項32に記載のステータコアおよび/またはロータコアを有する電気機械、特に電気モーター。
【請求項34】
乗用車、トラック、電動二輪車、小型電気自動車、航空機またはドローン用の電気モーターとして設計された、請求項33に記載の電気機械。
【請求項35】
請求項31に記載の電気部品を有する電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁部品、特にステータコアまたはロータコアを製造するための板金に関する。本発明はまた、電磁部品、特に電気機械、特に電気モーター用のステータコアまたはロータコアを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モーターなどの電気機械の動作モードは、古くから知られている。特に、「電気自動車」という流行語で知られている、個別の乗客輸送において電気モーターの使用が増加していることに照らすと、電気モーターの重要性は増し続けている。すべての電気モーターの実質的な構成要素は、ステータとロータであり、「ステータ」という用語はモーターの静止部分を意味し、「ロータ」という用語はモーターの可動部分を意味する。
【0003】
電気モーターを提供する際の1つの課題は、経済的に合理的な努力の一環として、電気モーターの効率、例えば、体積あたりの提供電力および/または効率係数を増加させることである。
【0004】
効率的な電気モーターを提供するための1つの概念は、ステータおよび/またはロータ、あるいはステータおよび/またはロータの一部をいわゆるステータコアまたはロータコアとして製造することである。この場合、前記構成要素は、個々のいわゆるラメラから、ラメラコアとしても知られる板金コアとして組み立てられる。「ラメラ」という用語は、例えば打ち抜きによって電磁鋼板または電気鋼ストリップから除去された成形部品を意味する。ラメラコアは、多数の薄いラメラから構成されており、これらのラメラは一緒に積み重ねられ、部分的または好ましくは完全に互いに電気的に絶縁されている。そのような目的のために、例えば、いわゆる絶縁クラスに分類される、いわゆる電気絶縁ワニスの使用が実務上知られている。
【0005】
このような板金コアの製造は、ラメラを製造し、ラメラを相互接続するステップを常に含む。接続は、接続後、ラメラが部分的に、好ましくは完全に、互いに電気的に絶縁されるように確立されることが好ましく、これは、好ましくは、2つの隣接するラメラが電気的に相互接続されないことを意味する。
【0006】
個々のラメラは、例えば、パンチングによって製造することができる。板金コアを形成するための打ち抜かれたラメラの接続は、様々な既知の方法、例えば、ねじ込み、クリップの適用、溶接、またはパンチスタッキングによって達成することができる。しかしながら、接続プロセス中に発生する機械的作用のために、当業者に知られているこれらの製造方法のそれぞれは、接続後に優勢となる完成した板金コアの電磁特性への悪影響を伴う。特に、先行技術に従って生成された接続において避けられない機械的応力は、少なくともある程度、板金コア内の磁気特性および磁力線の進路に悪影響を及ぼし得る。例えば、そこから生成される電気モーターの効率に直接悪影響を及ぼす。スタンプされたスタッキングや溶接などの、一部の接続プロセスで発生する2つ以上のラメラ間の電気接続は、追加の損失をもたらす。
【0007】
ラメラへの機械的影響の悪影響を低減し、同時にラメラ間の良好な絶縁を達成するための好都合なオプションは、接続手段として接着剤を使用することである。これらの接着剤システムは、電気絶縁ワニスと同様の絶縁特性も備えている。
【0008】
当業者に知られている手順は、いわゆるベーキングワニスの使用である。打ち抜かれた電磁鋼板を接着するためのベーキングワニスの使用は、例えば、DE 38 29 068 C1(特許文献1)に記載されている。ベーキングワニスを使用するための1つの手順は、板金、特に板金ストリップの被覆、それに続く板金からの個々のラメラの打ち抜き、個々のラメラの互いに整列された位置決め、およびそれに続く、定義された期間および定義された温度での、結果物であるシートスタックの熱処理である。多くの場合、ラメラは、例えば、端面に、好ましくは均一な表面力で、板金コアの軸方向に、板金コアの内部に向けて力を加えることによって、熱処理中に互いに押し付けられる。典型的な反応温度は摂氏150度から摂氏250度であり、ベーキングワニスが反応する典型的な時間は30から150分であり、その後の冷却段階を経るが、例えば、部品に設定されているコア温度は、ベーキングワニスプロセスの過程に影響を与えるため、正確なパラメータは使用する特定のベーキングワニスと存在する特定の形状に当然依存する。ステータコアおよび/またはロータコアの優れた電磁特性は、一般にこの手順を使用して達成できる。しかしながら、手順に時間がかかるために、ベーキングワニスの使用が連続的な大量生産に適していないか、少なくとも最適ではないことが直ちに明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許発明第3829068号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
説明された構成の背景に対して、本発明の目的は、機械化された生産環境において、板金コア、すなわち、特にステータコアまたはロータコアを効率的に生産するための前提条件を作成することである。
【0011】
さらに、効率をさらに向上させたいという要望を背景に、電磁エネルギーの機械的エネルギーへの変換を改善した電磁部品および電気機械を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、電気部品、特にステータコアまたはロータコアを製造するための板金によって達成される。
【0013】
「板金」という用語は、一般に、金属材料で作られた圧延製品を意味し、軽いゲージの金属シートまたは厚いゲージの金属シートに加えて、特に、金属ストリップ、金属ストリップまたは金属シート、例えば、軟磁性材料、鋼ストリップまたは電気鋼ストリップでできている製品をも意味する。板金を製造する他の方法を任意選択で使用することができる。
【0014】
板金は、熱活性化接着剤の接着剤カバーで覆われている。接着剤は以下を含む:
60重量部のその固体樹脂形態に基づくエポキシ樹脂、
0.5~15重量部の潜在的硬化剤、
1~15重量部の潜在的促進剤。
【0015】
接着剤は、好ましくは1~10重量部の潜在的硬化剤、特に好ましくは2~5重量部の潜在的硬化剤を有する。
【0016】
「潜在的硬化剤」という用語は、エポキシ樹脂を硬化させるために使用されるが、特に化学的および/または熱エネルギーを供給することによって硬化のために活性化されなければならない物質を意味する。潜在的硬化剤は、例えば、粉末形態の固体として接着剤に添加される。
【0017】
「潜在的促進剤」という用語は、潜在的硬化剤によるエポキシ樹脂の硬化を促進する物質を意味する。促進剤に関連する属性「潜在的」は、促進剤がその機能を果たすために、化学的および/または熱エネルギーによっても事前に活性化されなければならないという事実に関連している。潜在的促進剤は、例えば、粉末形態の固体として接着剤に添加される。
【0018】
上記の組成物は、特定の重量部で固体として存在する成分の混合物であって、適切な液体との分散液および/または溶液中で、接着剤カバーを形成することができる接着剤になる接着剤混合物を形成するものに関する。使用可能な状態で、すなわち被覆に適した形態で、特定の成分を有する接着剤は、好ましくは、分散媒体中の上記組成物の分散液として、特に水性分散液として存在する。
【0019】
板金は熱活性化接着剤で作られた接着剤カバーを備えているため、接着剤で覆われた板金は、電磁部品、特にステータコアまたはロータコアの柔軟に適応可能な製造プロセスの予備製品として使用される。接着剤は最初に熱的に活性化されなければならないので、接着剤機能は、例えばパンチングによってラメラが板金から除去された後の所望の時点でまたは所望の方法ステップで実行することができる。活性化後の短い期間内に、化学的硬化反応中にそれらが一緒に接着されるように、ラメラは活性化後に一緒にされなければならない(任意選択で、好ましくは、プレスおよび/またはその後の圧縮プロセスにおいて部分的または全表面圧力下で)。これは、欠陥がなく、剥離がなく、幾何学的に正確で、機械的に安定したコアを作成する唯一の方法である。
【0020】
本発明による接着剤組成物の場合、板金は、例えば、0.5秒から1秒の短い活性化時間と、わずか数秒の短い硬化時間を持つ表面を有する。これらの特性は、比較的高い耐熱性と比較的高い絶縁性およびエージング能力と密接に関連している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1a】
図1aは、室温で保管した試料に対するせん断値試験結果を示す。
【
図1b】
図1bは、40℃で保管した試料に対するせん断値試験結果を示す。
【
図2a】
図2aは、電気モーター用の板金コアを製造する方法の例を示す。
【
図2b】
図2bは、既知のベーキングワニスプロセスと同様の製造プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に従って使用される接着剤中に存在するエポキシ樹脂は、2つ以上のエポキシ基を有する1つ以上のエポキシ樹脂成分を含み、そのうちの少なくとも1つのエポキシ樹脂は、摂氏50度を超える軟化点を有することが好ましい。
【0023】
エポキシ樹脂は、脂肪族、脂環式または芳香族エポキシ樹脂であり得る。脂肪族エポキシ樹脂は、脂肪族基と少なくとも2つのエポキシ樹脂基の両方を担持する成分を含む。
【0024】
脂肪族エポキシ樹脂の例は、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジメチルペンタンジオキシド、ブタジエンジオキシド、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルであり得る。
【0025】
脂環式エポキシ樹脂は、例えば、3-シクロヘキセニルメチル-3-シクロヘキシルカルボキシレートジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルアルキル-3 '、4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3'、4'-エポキシ-o-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキシド、1,2-エポキシ-6-(2,3-エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、である。
【0026】
芳香族エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、ビフェノールエポキシ樹脂、4,4'-ビフェノリンエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンジオキシド、2-グリシジルフェニルグリシジルエーテル、テトラグリシジルメチレンジアニリンである。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂である。
【0028】
使用される潜在的硬化剤は、好ましくは摂氏80度から摂氏200度の範囲の温度で接着剤のエポキシ樹脂と硬化反応に入る物質または物質の混合物である。
【0029】
硬化剤は、ジシアンジアミド、アジリジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾリン、イミダゾール、o-トリルビグアニド、環状アミジン、有機ヘキサフルオロアンチモネートまたはヘキサフルオロホスフェート化合物またはBF3アミン錯体を含むことができる。化合物は、個別にまたは組み合わせて使用することができる。
【0030】
例としては、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-ウンデシルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチル-4'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-2,4-ジアミノ-6-[2"メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、(1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジル)イミダゾリウムクロリド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-1,3,5-トリアジンイソシアニン酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-1,3,5-トリアジンイソシアニン酸付加物、1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ノニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-フェニル-1 3,5-トリアジン、2,4-ジメトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジメトキシ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジメチル-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4-ジメチルアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4-エトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4-エチル-6メトキシ-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4-メチル-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン、2-エチルアミノ-4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、1-o-トリルビグアニドが挙げられる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、促進剤は、尿素誘導体および/またはイミダゾールを含む。
【0032】
本発明による接着剤組成物はまた、さらなる成分を含むことができる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、硬化剤は、ジシアンジアミド、イミダゾール、BF3アミン錯体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0034】
一実施形態では、接着剤は、1から10重量部の潜在的促進剤、好ましくは1から5重量部の潜在的促進剤、特に好ましくは2から5重量部の潜在的促進剤、非常に特に好ましくは2から4重量部の潜在的促進剤を含むことができる。
【0035】
別の好ましい実施形態では、接着剤はさらに0.2から8重量部、好ましくは0.2~4重量部の吸収添加剤を有する。このさらなる概念に従って提供することができる吸収添加剤は、ランプブラックのグループおよび/または水溶性染料のグループから選択される。
【0036】
吸収添加剤という用語は、熱放射を吸収する物質を意味する。熱放射を吸収する物質は、特に、電磁放射によって、特に赤外線波長範囲、好ましくは近赤外線波長範囲の光を照射することによって、接着剤の熱活性化が行われる方法のより効率的な使用を可能にするという利点に関連している。
【0037】
接着剤は、好ましくは、当業者に知られている1つまたは複数の絶縁添加剤を含み、「絶縁添加剤」という用語は、接着剤の電気抵抗を増加させるために特別に提供される添加剤を指す。絶縁添加剤は、接着剤に1から10重量部、好ましくは1から5重量部の量で含まれ得る。
【0038】
接着剤に含まれる潜在的促進剤は、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、さらにより好ましくは完全に尿素誘導体からなる。
【0039】
特に好ましくは、尿素誘導体は、N、N-ジメチル尿素またはN、N'-ジメチル尿素、または、好ましくは官能基として2つの尿素基を有する二官能性尿素誘導体であり、非常に特に好ましくは4,4'-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)、または上記のいくつかの混合物である。
【0040】
接着剤に含まれる潜在的促進剤は、好ましくは少なくとも50重量%の、より好ましくは少なくとも90重量%の、さらにより好ましくは少なくとも98重量%の、特に好ましくは完全に4,4'-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)からなる。
【0041】
別の方法として、少なくとも1つ、好ましくは2つ、特に好ましくは3つの水素原子が、互いに独立して、アルキル基および/またはフェニル基によって置換された尿素誘導体が本発明に従って使用され、これらは順にさらに置換されていてもよい。アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはブチル、好ましくはメチルである。フェニル基はフェニルであるか、または深く置換されたものであり、好ましくは4位にあり、また好ましくは上記のアルキルのクール1としてである。さらなる代替において、本発明の意味の範囲内で、二官能性尿素誘導体は、2つの官能基を有する上記の誘導体として示される。グループのポイントは、材料特性、特に官能基反応に対する化合物の反応挙動を大きく決定する原子のグループである。さらに、本発明に従って使用される尿素誘導体は、ハロゲンを含まない。別の方法として、本発明に従って使用される尿素誘導体は、官能基として2つの尿素誘導体を有する。結果として、エポキシ樹脂は、架橋剤としてのジシアナミドの存在なしに有利に硬化させることができる。
【0042】
別の方法として、非対称に置換された尿素も尿素誘導体として併せて使用されるか、または、排他的に使用される。
【0043】
さらなる代替案では、前述の2つ、3つ、またはそれ以上の混合物が使用される。
【0044】
尿素誘導体としては、以下の物質
【0045】
【0046】
(ここで、R:水素または以下に示す基であり、
【0047】
【0048】
式中、
nは、0または1、好ましくは1であり、
Xは、OまたはS、好ましくはOであり、
R1、R2およびR3は、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシル基、アリール基またはアリールオキシル基であり、
R4は、ハロゲン、ヒドロキシルまたはシアノで任意に置換されたアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アラルキル基であり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、特に好ましくはメチルであり、
R5は、R4と同様の基またはアルコキシル基であるか、R5はR4と共に複素環を形成していてもよい)、
またはN、N-ジメチル-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素またはN、N-ジメチル-N'-(3-クロロ-4-メチルフェニル)尿素またはN、N-ジメチル-N'-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)尿素またはN、N-ジメチル-N'(3-クロロ-4-エチルフェニル)尿素またはN、N-ジメチル-N'-(4-メチル-3-ニトロフェニル)尿素またはN-(N'-3,4-ジクロロフェニルカルバモイル)モルホリンまたはN、N-ジメチル-N'(3-クロロ-4-メチルフェニル)チオ尿素、が提供されることができ、そして、尿素誘導体は、好ましくは、4,4'-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)である。
【0049】
または、尿素誘導体は、前述の2つ、3つ、またはそれ以上の混合物である。そのような混合物は、好ましくは、少なくとも、10%、25%、好ましくは50%、60%、70%、80%または90%の4,4'-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)を含む。これらの尿素誘導体の利点は、GB 1293142Aに起因するものであり、本発明者らは、そのような誘導体が電磁部品の製造に優れて使用できることを見出した。
【0050】
尿素誘導体はまた、複数の前述の尿素誘導体の混合物であり得る。
【0051】
尿素誘導体の平均粒子径(算術平均)は、好ましくは1マイクロメートルから30マイクロメートルの間である。
【0052】
接着剤カバーは、片面または両面の板金に適用できる。両面に接着剤カバーが適用される場合、カバーの厚さは同じでもよいが、異なる厚さを提供することもできる。
【0053】
板金への接着剤の塗布は、既知の方法、特にコイルコーティング(ロールツーロール)によって行うことができる。
【0054】
接着剤カバーの好ましい厚さ、すなわち、片面接着剤の場合は片面の被覆の厚さ、または両面接着剤被覆の場合は両側の接着剤カバーの全体の厚さは、1マイクロメートルから20マイクロメートル、好ましくは2マイクロメートルから10マイクロメートルの間である。トータルの厚さは4から8マイクロメートルの間が特に好ましい。
【0055】
片面で行われる板金の接着剤被覆は、装置の点でより製造が簡単である。両側の板金の接着剤被覆は、次に、板金で作られた個々のラメラが重ね合わされるとき、接着面が接着面上に配置されるという利点があり、これにより、接着が改善され、そのため電磁成分のより高い機械的安定性が達成される。これは試験によって確認されており、以下に示されている。
【0056】
第1の板金表面の第1の部分被覆および第2の厚さを有する第2の板金表面の第2の部分被覆は、特に好ましくは、第1の厚さが第2の被覆の厚さの少なくとも1.5倍、好ましくは2倍になるように、互いに適合される。このような構成では、第1の厚さが優れた絶縁性を担っているため、接着ギャップのリスクはほとんど無視でき、2つのうちの薄い方、つまり第2の厚さで適用された第2の部分被覆は、優れた接着性を生み出すのに実質的に役立つ。
【0057】
両方のカバーの合計の厚さが4から6マイクロメートルの間である両面カバーが非常に特に好ましい。製造された例が示すように、そのような薄い被覆厚さは、それらの高い反応性のために、本発明に従ってまたは本発明の開発に従って使用される接着剤で可能である。既知のベーキングワニス接着剤は、通常、6マイクロメートルを超えるカバーの厚さが必要とされる(例えば、両面へのベーキングワニスでは、各面に5μm)。これは、部品、特にステータまたはロータが、ベーキングワニス法によって製造された部品よりも著しく高い鉄充填率を有する本発明またはそれらの開発による板金から製造できるという利点をもたらす。その利点は、その部品を備えた電気機械の効率が幾分高くなることである。しかしながら、合計1から20マイクロメートル、好ましくは2から8マイクロメートルの間の接着剤被覆を提供することができる。
【0058】
さらなる代替案では、絶縁ワニス層が板金と接着剤層との間に配置され、および/または絶縁ワニスのみが接着剤層の反対側に配置される。
【0059】
板金は、特に好ましくは、いわゆるNO電気鋼とも呼ばれる非方向性電気鋼ストリップとして設計されるか、またはそのようなものから分離されており、非方向性電磁鋼ストリップは、Feと不可避な不純物に加えて、以下の要素を含む(すべてのデータは重量%である):
0.1~3.50 Si、
0.01~1.60 Al、
0.07~0.65 Mn、
任意選択的に0.25までのPを含む。
言うまでもなく、すべての合金成分と不純物の合計は100重量%である。
【0060】
以下の条件が特に好ましい(すべてのデータは重量%である):
2.3~3.40 Si、
0.3~1.1 Al、
0.07~0.250 Mn、
任意選択的に0.030までのP、残りのFeおよび避けられない不純物を含む。
言うまでもなく、すべての合金成分と不純物の合計は100重量%である。
【0061】
非方向性電磁鋼ストリップまたは非方向性電磁鋼板は、好ましくは、DIN EN60404-2に従って決定されたP1.0; 0.7~7 W/ kgの範囲で50HzおよびP1.5;1.8~15 W/ kgの範囲で50Hzにおける特定のコア損失、および/または1.45T~1.71Tの範囲のJ2500および1.6T~1.8Tの範囲のJ5000における分極を有する。
【0062】
より好ましい実施形態では、非方向性電磁鋼ストリップまたは非方向性電磁鋼板は、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0;0.8~3.5 W/ kgの範囲で50HzおよびP1.5;1.9~8.0 W/ kgの範囲で50Hzにおける特定のコア損失、および/または1.47T~1.71Tの範囲のJ2500および1.58T~1.80Tの範囲のJ5000における分極を有する。
【0063】
さらに好ましい実施形態では、非方向性電磁鋼ストリップまたは非方向性電磁鋼板は、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0; 1.0~1.5 W/ kgの範囲で50HzおよびP1.5;2.2~3.3 W/ kgの範囲で50Hzにおける特定のコア損失、および/または1.47T~1.57Tの範囲のJ2500および1.58T~1.65Tの範囲のJ5000における分極を有する。
【0064】
非方向性電磁鋼ストリップまたは非方向性電磁鋼板は、好ましくは、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0; 8~120 W/ kgの範囲で400HzおよびP1.5; 18~360 W/ kgの範囲で400Hzにおける特定のコア損失、および/または1.45Tから1.75Tの範囲のJ2500および1.45Tから1.85Tの範囲のJ5000および1.50から1.95Tの範囲のJ10,000における分極を有する。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、材料は、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0;10~25 W / kgの範囲で400HzおよびP1.5; 25~49 W / kgの範囲で400Hzにおける特定のコア損失、および/または1.45Tから1.75Tの範囲のJ2500および1.45Tから1.85Tの範囲のJ5000および1.50から1.95Tの範囲のJ10,000における分極を有する。
【0066】
非方向性電磁鋼ストリップまたは非方向性鋼板は、好ましくは、標準的な通常の条件下で、190から610MPaの長手方向の降伏点および310から740MPaの最大引張強度を有し、そしてDIN EN ISO 6892-1に従って測定された6~48%の最小破断点伸びA80、および100~250の硬度Hv5を有する。
【0067】
特に好ましい実施形態では、材料は、室温での長手方向の降伏強度が310から600MPaであり、最大引張強度が400から640MPaであり、DIN EN ISO 6892-1に従って測定された破断点伸びA80が7から32%であり、130~250の硬度Hv5を有する。
【0068】
この材料は、好ましくは、P1.0; 5~17%の範囲で400Hzにおける異方性を有する。
【0069】
あるいは、以下の合金成分を有する軟磁性材料で作られた板金を提供することができる;
鉄、鉄に加えて、不可避の不純物からなる(全てのデータは重量%である):
0.1~4.0 のSi、
0.01~2.60 のAl、
0.07~3.0 のMn、
任意選択的に0.5までのP、
任意選択的に0.015までのB、
任意選択的に0.2までのSb、
任意選択的に0.01までのZn、
任意選択的に5までのCr、
任意選択的に5までのNi、
任意選択的に0.25までのV、
任意選択的に0.5までのSn、
任意選択的に0.01までのAs、
任意選択的に0.3までのNb、
任意選択的に0.5までのW、
任意選択的に0.85までのZr、
任意選択的に最大0.2までのMo、
任意選択的に1.0までのCu、
任意選択的に0.5までのTi、
任意選択的に0.5までのC、
任意選択的に0.01までのCe。
【0070】
厚さが0.05から2.5mmの間の板金、特に電磁鋼ストリップが適切であり、好適に使用され、厚さは0.1から1.0mmの間が好ましい。0.15~0.4mmの厚さが特に好ましい。
【0071】
あるいは、板金は、例えば上記の電気ストリップの1つからなる板金層と、例えば音響減衰機能層(例えば、ボンダルE)を備えた1つまたは複数の追加の層とからなる多層複合材料(サンドイッチ)であり得る。さらに、板金はまた、音響減衰機能層(例えば、セミボンダルE)で片面または両側を覆うことができ、その結果、記載された接着剤システムは、音響減衰機能層(例えば、化学ベースアクリレート)に直接接続する。エポキシ樹脂システムは良好な適合性を有することが当技術分野で知られている。
【0072】
あるいは、板金は、一方の側に音響減衰機能層を有し、反対側の板金側に本発明に従って使用される接着剤層を有することができる。
【0073】
試験の結果、本発明またはそのさらなる開発の1つによる優れた方法で板金を提供することにより、接着剤の最高の反応性で実施される板金ラメラの接合が可能になり、さらに、一度に多数の部品を使用する線形製造プロセスにおいても、板金コアの製造が可能な適切な方法を提供できるという利点があることがわかった。上記の試験は、例として以下に示されている。
【0074】
本発明により提供される板金の場合、開発者の知識によれば、さらなる処理のために調製された出発材料が初めて提供されたので、電気モーター用の板金コアの特に有利な製造が可能である。これは、インライン法、すなわち連続処理法、およびオフライン法、すなわちベーキングワニスボンディングに基づく方法の両方で高い経済効率で使用することができる。
【0075】
この特に有利な特性の組み合わせに加えて、驚くべきことに、本発明に従って提供される板金はまた、長期間安定であることが見出された。これは、特に、特に板金コアのインライン生産の可能性と組み合わせて、本発明に従って提供される板金は、長期安定性のため、自動車産業における典型的な生産プロセスへの統合のための基本要件を満たすことを意味する。なぜなら、長期安定性は、一方では、少なくとも数週間までの長期間の保管を可能とし、また、温度の安定性により、ジャストインタイムの配送、これは通常、真夏の非強化トラックでも実行され、長期間にわたって少なくとも摂氏40度の温度に耐えることができなければないものであるが、このような意味での処理も可能とするからである。
【0076】
本発明に従って提供される板金の別の利点は、それらが機械的に安定である、すなわち、特に、冒頭で述べたベーキングワニス法から以前に使用された接着剤と比較して、接着剤がプレスされたときに寸法的に安定したままであるということである。
【0077】
以下の例が示すように、その接着は温度安定である。従来のベーキングワニスシステムとは対照的に、プレス中の接着剤システムからのいわゆる絞り出しは起こらないか、または非常に少ない程度でしか起こらない。
【0078】
板金のターゲットを絞った組み合わせにより、電気自動車で使用するために特別に選択された板金と特別に選択された接着剤組成物のさらなる開発において、特に自動車産業において、これまで知られていなかった特性の組み合わせ、すなわち大規模な産業における板金コアと電磁部品の可能性が提供される。これは、本発明の実施を委託された当業者に、以前は知られていなかった柔軟性を提供する。
【0079】
例えば、電磁的、機械的、および熱的な機械設計、異なる板金を選択する可能性、ラメラ設計の構築の自由度の向上、および可能なコンポーネントの公差と媒体および/または熱ガイダンスに関する利点などの利点が考えられる。部品と機械の製造(例えば、コンパクトでソリッドな部品を扱う場合)および機械加工の面でも、さらなる利点がある。本発明またはその開発の1つによる板金の1つを備えた電気機械におけるさらなる利点は、より高い性能および効率、より小さな必要な設置スペース、より良い幾何学的特性(例えば、特に一定の表面圧力で、ストップに対する再圧縮によって達成することができ、電磁部品のより優れた寸法安定性という利点がある。)、そして設計によっては音響上の利点がある。
【0080】
本発明の別の態様は、電磁部品を製造するための方法に関する。特に、電気機械、好ましくは電気モーター用の板金コアを電磁部品として提供することができる。板金コアは、好ましくは、ステータコアまたはロータコアのいずれかであり、すなわち、それは、ステータまたはステータの一部またはロータまたはロータの一部である。
【0081】
この方法は、以下のステップを有する:
A)第1のステップにおいて、本発明またはその開発の1つによる板金が提供される。板金は、例えば、板金ストリップから分離された電磁鋼ストリップまたはプリント回路基板であり得る。
B)板金はインラインシステムに搬送される。インラインシステムには、少なくとも次のステーション:パンチングツール、赤外線を出力する手段、および押し出しパンチ、を有する。
【0082】
「インラインシステム」という用語は、いくつかの処理ステーション、すなわち少なくとも上記のものが所定の順序で配置され、インラインシステムに供給される板金、例えば電磁鋼ストリップが所定のステーションで自動的かつ順次処理されることを意味する。
【0083】
打ち抜き工具は、1つ、好ましくは2つ以上、例えば4つのラメラが板金から打ち抜かれる工具である。ステップC)において、ラメラは、好ましくは、多数の接続ウェブ、例えば3つの接続ウェブが、関連する打ち抜かれたラメラとインラインシステムで最初に輸送された板金との間に残り、打ち抜かれたラメラがまだ板金の不可欠な部分であるように、パンチングツールを使用して打ち抜かれる。これは、インラインシステムを介して、板金、特に金属ストリップと一緒にラメラをさらに搬送できるようにするために使用される。
【0084】
上記の文脈において、「ラメラ」という用語は、板金からそれを切り出すことによって得られる成形部品、特にパンチングによって得られる成形部品を意味する。
【0085】
好ましい代替案では、電磁部品、好ましくはロータコアは、従来のスタッキングプロセス、例えば、スタンプスタッキングによって製造され、さらなる電磁部品、好ましくは、従来に製造されたステータコアと同じ電気機械用のステータコアは、上記の本発明による方法を使用して製造される。これは、例えば、組み合わせた方法で、または順次に行うことができる。応力緩和焼鈍または再結晶焼鈍、任意選択でさらに被覆工程、活性化工程および/または検査工程は、好ましくは、包装の前に実施することができる。この文脈での活性化ステップは、使用される接着剤の活性化を意味する。
【0086】
赤外線放射を放出するための手段は、特に、NIRエミッター、すなわち、NIR波長スペクトル、すなわち、780nmから3μmの間の波長の電磁放射を放出するように設計されたランプとして設計することができる。
【0087】
好ましい方法では、成形部品は近赤外波長域で照射され、好ましくは0.8マイクロメートルから1.2マイクロメートルが使用され、特に好ましくは、0.85マイクロメートルから0.9マイクロメートルの間の波長の近赤外放射で発光力の最大値が達成される。活性化(照射)は、結合に利用できる(アクティブである)覆われた表面の領域でのみ行われる。残りの領域は、必要な領域のみをアクティブにするためにスクリーンで遮られる。全体の高さに達したときの個々の板金コアの分離は、個々のラメラを過剰に活性化することによって行われ、その結果、それらは反応性を示さなくなり、したがって結合しなくなる。
【0088】
さらに、前述のように、インラインシステムは押し出しパンチを有する。この押し出しパンチは、板金表面に垂直に力を加えることにより、1つまたは複数のウェブを板金から分離することによって、1つまたは複数のウェブによって板金、特に金属ストリップにまだ接続されているラメラを順次分離するパンチである。そして、好ましくは同じプロセスステップで、ラメラは板金の下に配置された受容装置に運ばれ、そこでラメラが回収される。
【0089】
インラインシステム内で、電気部品、特にステータラメラまたはロータラメラとして設計された成形部品は、ステップA)で提供される板金からパンチングツールを用いて打ち抜かれる。1つのウェブまたは複数、特に3つのウェブは、好ましくは成形部品のさらなる輸送のために板金への十分な接続を有する。
【0090】
D)次に、ステップC)で形成された成形品の接着剤被覆は、接着剤被覆を活性化するために、赤外線放射を出力するための手段によって赤外線放射で照射される。換言すれば、接着剤の活性化温度として摂氏100度から摂氏250度の間が十分であるところ、例えば5から10キロワットの間の放出電力で0.5から1秒の間の期間照射することによって、活性化に十分な温度が板金および特に接着剤にもたらされる。
【0091】
成形部品は、押し出しパンチで押し出され、好ましくは同じ動きで、成形部品は、位置決め領域が配置されている受容装置に導入される。位置決め領域は、既にそこに存在する成形部品に対して位置決め領域に入る成形部品を位置決めおよび/または角度合わせするために使用され、その結果、最終的に、整列され、活性化接着剤が提供される成形部品のスタックが得られる。
【0092】
位置決め領域は、例えば、円筒管であり、これは、押し出し後、成形部品が重力によって成形部品の既存のスタックに落下するように、成形部品の搬送面の下にある。成形部品の位置合わせは、例えば、成形部品の断面に実質的に対応し、意図された位置決めで位置合わせされる側面断面を有する円筒形の中空管として設計された位置決め領域を通して行われる。
【0093】
ステップC)からE)は、所望の数の成形部品が位置決め領域にあり、成形部品のスタックを形成するまで、必要に応じて繰り返される。パンチングツールと押し出しパンチは、特に好ましくは同じプレスの一部であり、パンチングと押し出しプロセスが高度に同期しているという利点がある。
【0094】
赤外線放射を出力するための手段は、特に好ましくは、パンチングツールと押し出しパンチとの間に配置され、第1の板金表面に打ち抜き方向に向けられている少なくとも1つの上部ランプと、パンチングツールが配置されている板金の反対側に配置され、打ち抜き方向に対して向けられている少なくとも1つの下部ランプを有するか、または少なくとも1つの上部ランプと少なくとも1つの下部ランプの両方を有する。ラメラ表面でのランプの位置合わせは、必ずしも直角である必要はないが、別の角度で実行することもできる。
【0095】
特に、上部ランプと下部ランプが存在する場合、接着剤の活性化は、第1および反対側の第2の板金側の両方で特に適切な方法で可能であり、板金同士の優れた接着が期待できるという有利な結果をもたらす。
【0096】
この方法の特に好ましい展開によれば、最後の成形部品を所望の数の成形部品で位置決めした後、得られた板金コアが続いて圧縮される。圧縮工程は、板金コアの軸方向に端面に均一な表面圧力をかけて板金コアの軸方向にシート金属コアを圧縮することによって実行される。圧縮により、個々の成形部品間で接着結合が特に良好に生成され、板金コアの寿命に貢献する。下流の圧縮工程は、好ましくは、プレスの外側の下流の圧縮ステーションで行われる。しかしながら、代替的に、圧縮ステップはまた、好ましくは部分的または完全に、パンチングツール内の押し出しパンチの圧力によって実行され得る。
【0097】
ステップC)からE)は、少なくとも毎分80、好ましくは少なくとも毎分100、特に好ましくは毎分少なくとも120のストローク速度、および/または毎分1000まで、好ましくは毎分300まで、特に好ましくは毎分220までのストローク速度で実施されるのが好ましい。これは、ストローク速度に対応する多数の成形部品が1分以内に位置決め領域に導入されることを意味する。
【0098】
別の方法は、1つまたは複数の板金、好ましくは電磁鋼ストリップを提供した後、ステップA)で提供された板金からのいくつかの成形部品が、ステップB)でパンチングツールに打ち抜かれることを提供する。その後、成形部品の位置合わせおよび/または角度合わせの重ね合わせが実行され、これらの成形部品は、例えばオーブンとして設計することができる別個のステーションでプレスされ、所定の時間、所定の時間または所定の温度範囲の温度まで加熱される。この手順は、冒頭で説明したベーキングワニス法で知られている手順と非常に似ているが、使用する出発材料、具体的には冒頭で述べた材料の1つが異なる。冒頭に述べた材料でのみ、一方では長い保管時間を達成することができると同時に、1つのあたりの特定の数の完成した板金パッケージを備えた板金コアの提供を達成することができる。その結果、大量生産におけるこの方法の良好な使用が期待できる。
【0099】
所定の時間は、好ましくは10分から60分の間、特に好ましくは10分から40分の間である。本発明に従って使用される最初に言及された板金の場合、この時間は、完成した板金コアを得るのに完全に十分である。所定の温度は、特に好ましくは、摂氏100度から摂氏200度の間、特に摂氏100度から摂氏150度の間である。例えば、実験室でのテストでは、摂氏120度の指定温度と30分の指定期間でサンプルの製造に成功している。この例はまた、従来のベーキングワニス法と比較した本発明による方法の利点の1つを示しており、従来のベーキングワニス法では、より高温とより長時間の両方が一般的であり、例えば、摂氏190度で60分間アニーリングする。その理由は、以前に使用された接着剤よりも大幅に反応性の高い接着剤を板金に提供することが可能になったためである。実際に必要な接合パラメータ(時間/圧力および温度)への主な影響は、例えば、コンポーネントに設定されたコア温度が接合方法の過程に影響を与えるため、特に、与えられた形状に依存する。
【0100】
板金コアの縁は、板金コアの縁または側面上の接着性残留物を除去するために、前記コアを製造するための方法に従って洗浄することができる。洗浄は、化学的および/または機械的に行うことができる。
【0101】
接着剤層の強度を高めるために、接着剤カバー内に無機および/または有機繊維を配置するための準備をすることができる。
【実施例0102】
実施例
本発明による板金の例および本発明による方法に対するその有利な挙動は、実施された試験の結果である。
次のサンプルが作成された:
材料コード1.0816(EN 10027-2に準拠)を有する電気鋼ストリップM800-50A(EN 10027-1に準拠)から作られたプリント回板、厚さ0.5 mm、長さx幅:200 x 150mm。
サンプル0、1、2、および3を作成した。サンプル0、1および2は比較サンプルであり、それらは本発明に従わない接着剤で覆われている。
サンプル3は、本発明によるサンプルである。
生成されたサンプルは、上記のタイプのプリント回路基板であり、次のパラメータに従って塗布ローラーを使用して接着剤で覆われている:
【0103】
【0104】
層の厚さ
サンプル0:第1面:6 μm、第2面0 μm、
サンプル1:第1面:6 μm、第2面0 μm、
サンプル2:第1面:4 μm、第2面2 μm、
サンプル3:第1面:4 μm、第2面2 μm。
【0105】
各サンプルタイプから複数の試料を作成した。長期安定性をテストするために、2つの同一のサンプルから18個のサンドイッチ構造を作成した。
【0106】
同じタイプの2つのサンプルを、プレート面積200mm×200mm、表面圧力3N/mm
2のプレートプレスを使用して接着し、120°Cに加熱して120°Cで30分間保持することによりオーブンで接着剤を活性化した。次に、8つのサンプルをオーブンに入れ、40℃で保管した。毎週サンプルを採取し、せん断値試験を行った (DIN EN 1465に基づく)。さらに、室温で保管した試料に対して毎週せん断値試験を実施した。試験結果を
図1aおよび1bに示す。
【0107】
この結果から、室温で、本発明に従って使用される組成物は、参照サンプルであるサンプル0、サンプル1およびサンプル2よりも優れたせん断値を有することがわかる。6週間後に試験されたサンプル0では、せん断値が大幅に減少し、8週間後、サンプル0のせん断値は0であった。
【0108】
摂氏40度で保管すると、遅くとも1週間後に参照サンプル0のせん断値が0になる。つまり、このサンプルは摂氏40度での保管安定性がない。2週間後、サンプル1とサンプル2の7.0N/mm2を超える良好なせん断値は、ほとんど変化していないが、3週間の保管後に著しく劣化し始めた。
【0109】
いずれの場合も、表面の両面が覆われているサンプル2のせん断値は、表面の片面が覆われているサンプル1のせん断値よりも高い。
【0110】
特に、サンプル3は、摂氏40度の保管で4週間後も、良好なせん断値は変わらず、保存安定性が最も優れていることがわかった。入手できた唯一のサンプルは、摂氏40度で4週間保管した後でも、良好なせん断値が変わらないプリント回路基板サンドイッチであった。出願時、試験はまだ係属中であった。
【0111】
さらに、完成したサンドイッチについて試験を実施し、それらを試験温度まで加熱し、次にそれらを短時間加熱保持した後、せん断値試験も行った。
【0112】
【0113】
結果は、サンプル2とサンプル3の両方が、機械的安定性を失うことなく、特定の期間にわたって200°Cまでの高温に耐えることができることを示している。特に、サンプル3のせん断値は比較サンプル2のせん断値よりも大幅に高いことがわかった。
【0114】
サンプル0を基準として温度試験を行ったところ、150℃に加熱した後、約0.90N/mm2のせん断値が得られたことが示された。したがって、サンプル3に基づいて、本発明による板金は、既知の板金と比較して、より温度安定性のある板金コアの製造に適していることが見出された。
【0115】
電気モーター用の板金コアを製造する方法の第1の実施形態の例を
図2aに示す。すでにプラスチック材料で覆われている板金が、特に非方向性電磁鋼ストリップ1として提供される。これはインラインシステムに運ばれる。第1のステーションでは、いくつかの押し出しパンチ4によって、ローターラメラまたはステーターラメラとして設計された成形部品2が押し出される。後続のステーションでは、成形部品は、赤外線放射5を出力するためのNIRエミッターとして設計された手段によって照明され、結果として生じる加熱により、成形部品の接着剤カバーが活性化される。次に、成形部品は、押し出しパンチ6で押し出され、位置決め領域に集められて、位置配向および/または角度の様式でスタック3を形成する。最後に、圧縮ステーションで、接着剤が硬化し、完成した板金コアを除去できるようになるまで、圧縮ラム7による圧縮が行われる。
【0116】
図2bは、既知のベーキングワニスプロセスと同様の製造プロセスである。
図2bの方法は、特に、接着剤被覆が活性化される前に、成形部品2が押し出され、スタック3が形成されるという点で、
図2aの方法とは異なる。接着剤は、オーブン8で、例えば摂氏100度から200度の間の温度で最終的に活性化されるのみであり、同時にサンプルはスタンプ7によって圧縮される。