IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 名久井 精司の特許一覧

<>
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図1
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図2
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図3
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図4
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図5
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図6
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図7
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図8
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図9
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図10
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図11
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図12
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図13
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図14
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図15
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図16
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図17
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図18
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図19
  • 特開-伸縮構造体及び折り畳みスタンド 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114468
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】伸縮構造体及び折り畳みスタンド
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/10 20060101AFI20230810BHJP
   A47F 5/11 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
A47F5/10 Z
A47F5/11
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016766
(22)【出願日】2022-02-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】717001695
【氏名又は名称】名久井 精司
(72)【発明者】
【氏名】名久井 精司
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA21
3B118BB04
3B118CA03
3B118DA24
3B118GA08
3B118GA22
3B118GA28
3B118GA29
3B118GA33
3B118GA37
(57)【要約】
【課題】筒状の構造体を、容易な構造、容易な操作で伸縮して高さ調整可能とし、再生可能な素材を使用した製作が可能な伸縮構造体を提供する。
【解決手段】すべての部材がシート材で形成され、突起したレバー3を有する筒状のスライド部1と、スライド部1が内部でスライドする筒状の収納部2とからなり、スライド部1に、レバー3を突出させスライド方向に対し垂直に移動可能とする孔1aが設けられ、収納部2に、レバー3を突出させスライドさせるスリット4が設けられ、スリット4の始点と終点とに、レバー3をスリット4の片側の外に移動させられる切り欠き4aが設けられ、レバー3が、自動的に切り欠き4a側に移動する弾性を持ち、レバー3がスライドされ、スライド部1が収納部2の外部で伸縮し、レバー3が切り欠き4aに移動することにより固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべての部材がシート材で形成され、突起したレバーを有する筒状のスライド部と、該スライド部が内部でスライドする筒状の収納部とからなり、該スライド部に、該レバーを突出させスライド方向に対し垂直に移動可能とする孔が設けられ、該収納部に、該レバーを突出させスライドさせるスリットが設けられ、該スリットの始点と終点とに、該レバーを該スリットの片側の外に移動させられる切り欠きが設けられ、該レバーが、自動的に該切り欠き側に移動する弾性を持つ伸縮構造体。
【請求項2】
請求項1の伸縮構造体において、前記スライド部に前記レバーに加え、前記切り欠きに移動しない固定されたレバーが、前記切り欠きの逆側に設けられ、二つのレバーが密着した状態で一本の前記スリットでスライドされる伸縮構造体。
【請求項3】
請求項1の伸縮構造体において、前記スライド部が、前記レバーを左右に対向して二つ有し、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた二本の前記スリットが設けられる伸縮構造体。
【請求項4】
請求項1の伸縮構造体において、前記スライド部が、前記レバーを左右近傍に二つ有し、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた一本あるいは二本の前記スリットが設けられる伸縮構造体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの伸縮構造体において、すべての部材が、シート材を重ねて形成することで強度が上げられる伸縮構造体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの伸縮構造体において、前記切り欠きが、始点と終点との間に、一箇所から複数箇所設けられる伸縮構造体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかの伸縮構造体において、前記スライド部と前記収納部とが、断面が三角以上の多角形の角筒状である伸縮構造体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかの伸縮構造体において、前記スライド部を前記収納部の内部だけで移動するものとし、該スライド部と同じ断面形状の柱状体を、該収納部の端部から挿入し、該スライド部に密着させてなる伸縮構造体。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかの伸縮構造体を支持脚として用いた折り畳みスタンドであって、下方向に伸縮する該支持脚と、該支持脚の前記収納部と互いの上部で接続されるスタンド本体と、該スタンド本体の下部を支点にして設けられ、該支持脚の前記スライド部に接続されて連動するアーム部とからなり、該支持脚の伸縮とともに、該収納部上部を支点にして開閉する折り畳みスタンド。
【請求項10】
請求項9の折り畳みスタンドにおいて、物品の差し替え可能な、物品によって異なる保持手段と、前記スタンド本体への着脱手段とにより、使用用途に応じて取り替え可能な、物品保持部材を有し、片手の容易な操作で開閉可能な折り畳みスタンド。
【請求項11】
請求項10の折り畳みスタンドにおいて、前記レバーが前記支持脚の側面に設けられ、前記スタンド本体の該支持脚側の左右に角柱が形成され、該角柱に前記物品保持部材が固定され、スタンド背面の部位の高さが均等になる折り畳みスタンド。
【請求項12】
請求項9または10の折り畳みスタンドにおいて、物品と前記物品保持部材との間に差し込まれる、物品に関する情報が表示できるシートを有する折り畳みスタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材で形成された伸縮構造体、及びそれを利用した折り畳みスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にテーブル等の家具の支持脚で、伸縮構造を持ち高さ調整可能なものは、金属やプラスチック等の硬質な素材のパイプ等を用い、外側のパイプと内側のパイプとで、内側のパイプを回転させることで伸縮や固定を行ったり、横からネジで止めて固定するものがほとんどである。
昨今では、段ボール製のベッド等の再生可能な素材を使用した家具なども作られており、段ボール等の硬質ではない素材でも十分な強度が得られることが認識されるようになってきた。また、紙管のように紙でありながら強度があり木材のかわりに使えるものもある。しかしこのような素材での伸縮構造は、横方向にスライドさせるものは考えられているが、通常のネジ等が使用できないため、高さ調整可能なものはあまり考えられていない。そのなかで、(特許文献1)では紙管を用いた伸縮構造の支持脚を持つ棚が提案されている。
【0003】
また、パネル等の板状の物品を立てて展示・掲示をする場合、物品をなるべく垂直に近い状態で立てるには、物品より小さいスタンドではスタンド本体より支持脚は長く、奥行きが出せなければならない。このようなスタンドでは、(特許文献2)で保持角度が変えられるスタンドが提案されている。
そして、よく使用されている一般的な紙スタンドは畳まれた状態からの組み立てが容易ではなく、パネル等の物品に接着し、再使用できない使い捨てのようなものであり、ブックスタンドのように本を差し替えるものの場合にはそのままでは使えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2821673
【特許文献2】実登3089481
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能な素材を使用した伸縮構造を持つものとして(特許文献1)は、ボルトとナットのような、スパイラル二重紙管を使用した伸縮構造としているが、そもそも、このスパイラル二重紙管を正確に製造するには専用の機材が必要になると思われ、費用もかかり製造は容易ではない。また、細かい調整はできるが、そのため左右同じ高さにするというような調整は難しくなる。
【0006】
(特許文献2)のスタンドでは、スタンド本体より支持脚が長くなるため、折り畳んだ状態でも大きなものとなり、組み立て、折り畳みも片手で容易にはできない。また、物品に接着するものであり物品の差し変えはできない。
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みて、筒状の構造体を、容易な構造、容易な操作で伸縮して高さ調整可能とし、再生可能な素材を使用した製作が可能な伸縮構造体を提供することを目的とする。また、この伸縮構造体を用いて容易に折り畳みできるスタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すべての部材がシート材で形成され、突起したレバーを有する筒状のスライド部と、該スライド部が内部でスライドする筒状の収納部とからなり、該スライド部に、該レバーを突出させスライド方向に対し垂直に移動可能とする孔が設けられ、該収納部に、該レバーを突出させスライドさせるスリットが設けられ、該スリットの始点と終点とに、該レバーを該スリットの片側の外に移動させられる切り欠きが設けられ、該レバーが、自動的に該切り欠き側に移動する弾性を持つ。ここでシート材とは段ボール、ボール紙等であり、シート材で形成されるものとして、シート材が巻かれた紙管も含む。
【0009】
前記スライド部に前記レバーに加え、前記切り欠きに移動しない固定されたレバーが、前記切り欠きの逆側に設けられ、二つのレバーが密着した状態で一本の前記スリットでスライドされる。
【0010】
前記スライド部が、前記レバーを左右に対向して二つ有し、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた二本の前記スリットが設けられる。
【0011】
前記スライド部が、前記レバーを左右近傍に二つ有し、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた一本あるいは二本の前記スリットが設けられる。
【0012】
すべての部材が、シート材を重ねて形成することで強度が上げられる。
【0013】
前記切り欠きが、始点と終点との間に、一箇所から複数箇所設けられる。
【0014】
前記スライド部と前記収納部とが、断面が三角以上の多角形の角筒状である。
【0015】
前記スライド部を前記収納部の内部だけで移動するものとし、該スライド部と同じ断面形状の柱状体を、該収納部の端部から挿入し、該スライド部に密着させてなる。
【0016】
伸縮構造体を支持脚として用いた折り畳みスタンドであって、下方向に伸縮する該支持脚と、該支持脚の前記収納部と互いの上部で接続されるスタンド本体と、該スタンド本体の下部を支点にして設けられ、該支持脚の前記スライド部に接続されて連動するアーム部とからなり、該支持脚の伸縮とともに、該収納部上部を支点にして開閉する。
【0017】
物品の差し替え可能な、物品によって異なる保持手段と、前記スタンド本体への着脱手段とにより、使用用途に応じて取り替え可能な、物品保持部材を有し、片手の容易な操作で開閉可能である。
【0018】
前記レバーが前記支持脚の側面に設けられ、前記スタンド本体の該支持脚側の左右に角柱が形成され、該角柱に前記物品保持部材が固定され、スタンド背面の部位の高さが均等になる。
【0019】
物品と前記物品保持部材との間に差し込まれる、物品に関する情報が表示できるシートを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、再生可能な素材を使用した筒状の構造体を、容易な構造、容易な操作で伸縮して高さ調整可能とした伸縮構造体とすることができる。また、この伸縮構造体を用いて容易に折り畳みできるスタンドが製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】伸縮構造体の形体例で、レバーが一つで、スリットが一本の場合の図であり、Aは伸縮方法を示す斜視図、Bはスライド部の上面図、Cはスライド部の斜視図。
図2】伸縮構造体の形体例で、レバーが一本で、スリットが一本の場合の展開図。
図3】伸縮構造体の形体例で、レバーが二つで、スリットが一本の場合の図であり、Aは伸縮方法を示す斜視図、Bはスライド部の上面図、Cはスライド部の斜視図。
図4】伸縮構造体の形体例で、レバーが二本で、スリットが一本の場合の展開図。
図5】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右に対向して二つの場合のスライド部のレバーの動きを示す図であり、Aはスライド部の上面図、Bはスライド部の斜視図。
図6】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右に対向して二つの場合の伸縮方法を示す斜視図。
図7】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右に対向して二つの場合の展開図。
図8】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右近傍に二つの場合のスライド部のレバーの動きを示す図であり、Aはスライド部の上面図、Bはスライド部の斜視図。
図9】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右近傍に二つの場合の伸縮方法を示す斜視図。
図10】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右近傍に二つの場合の展開図。
図11】スリットの切り欠きが、始点と終点との間に設けられた形体例の斜視図。
図12】スライド部と収納部が多角形の場合の形体例で、Aは三角形の斜視図、Bは六角形の斜視図。
図13】折り畳みスタンドの形体例の伸縮方法を示す斜視図。
図14】折り畳みスタンドの形体例の伸縮方法を示す側面図。
図15】折り畳みスタンドの形体例で、Aはスタンド本体左右が角柱状に形成された斜視図、Bは角柱にパネル用の物品保持部材が固定された側面図、Bは角柱に本用の物品保持部材が固定された側面図。
図16】本用の物品保持部材の形体例の組み立て図。
図17】折り畳みスタンドのパネル用の物品保持部材の形体例の使用図で、Aは側面図、Bは正面図。
図18】折り畳みスタンドの本用の物品保持部材の形体例の使用図で、Aは側面図、Bは小さな本の場合の正面図、Cは大きな本の場合の正面図。
図19】物品保持部材を商品などの物品の展示台とした形体例で、Aは側面図、Bは正面図、Cは物品に関する情報が表示できるシートに底面を設けた斜視図。
図20】物品保持部材を固定した折り畳みスタンドを重ねて保存した場合の側面図で、Aはパネル用、Bは本用で別の着脱手段、Cはパネル用、本用、展示台を混ぜた場合。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の伸縮構造体は、段ボール、ボール紙等の再生可能な素材のシート材を使用し、型抜き、筋付け等の加工がされ、折りにより容易に組み立てられる。
基本的な構造は図1Aのように、筒状のスライド部1に設けられたレバー3が、筒状の収納部2に設けられたスリット4でスライドされることで、スライド部1が収納部2の内部をスライドし片端が出入りし伸縮する。
なお、元からスライド部1の片端が収納部2から出ている状態で、収納部2の内部でのスライドによって、その分伸縮する形態としてもよい。
また、スライド部1を収納部2の内部だけで移動するものとし、スライド部1と同じ断面形状の柱状体を収納部2の端部から挿入しスライド部1に密着させることにより、伸縮構造を持たない柱状体を伸縮構造体にすることができる。この場合、テーブルなどの脚の下端に取り付けると高さ調整が可能になる。
【0023】
図1B、Cのように、スライド部1には側面に孔1aが設けられるが、面の幅が大きい場合は面の左右中央でもいいが、図のように小さい場合は角に設けると無理なく組み立てられる。その孔1aから突出するようにレバー3が設けられる。レバー3は孔1a内で左右に移動可能な状態だが、3a、bの折りによる弾性で片側に固定される。
図1Aのように、収納部2にはレバー3が突出しスライドされるスリット4が設けられ、スリット4の始点と終点にはスリット4の外側にレバー3が移動し固定される切り欠き4aが設けられ、レバー3を切り欠き4aから移動させ、スライドすることでスライド部1が収納部2から出入りして伸縮する。そして、レバー3はスリット4の始点と終点では弾性により自動的に切り欠き4a側に移動して固定される。
【0024】
この形態の場合は、図1Aのスリット4のある面の左の面に親指をあて、人差し指でレバー3を移動させスライドする。この際、下げるときは上部、上げるときは下部に指を当てて操作する。なお、スリット4、レバー3を左の面に反転した状態で設け、親指でレバー3を操作してもよい。
図2はそれぞれの部材の展開図で、スライド部1は折り目で折り左右両端を重ねて接着するが、接着前にレバー3を折ったものを中に入れ、図1Bのような形で孔1aから突出させておく。そして収納部2も同じように接着前にスライド部1を中に入れ、レバー3をスリット4の切り欠き4aから突出させておく。レバー3はスライド部1の内部に入る部分を突起した形状にすることで、孔1aより大きくなり接着しなくても内部から出ることなく固定される。
【0025】
図1の基本的な構造に、図3のようにスライド部1に固定されたレバー1bを設けることもできる。この場合、固定されたレバー1bと孔1a内で移動するレバー3とを親指と人差し指で挟んでスライドする。収納部2に指をあてることなくスライドできる。
固定されたレバー1bは図4のように、スライド部1のシート材の左右両端の接着する面を利用し、レバー3と同様に二重にし強度を持たせるとよい。
このような、移動するレバー3一つとスリット4一本の形態は、収納部2が細い場合に適した構造である。
【0026】
収納部2が図1、3の伸縮構造体より大きくなる場合は、二つの移動するレバー3をスライド部1の対向する面にそれぞれ設け、これに合わせて収納部2に二本のスリット4を設けることができる。
図5のように、スライド部1の対向する面にそれぞれ孔1aを二つ設け、元は1つの部材で両側が弾性を持つように折られたレバー3を、二つの孔1aからそれぞれ突出するように設け、それぞれ突出した二つのレバー3は、それぞれの孔1aの内側で弾性により固定され一直線に近い形になる。レバー3を手前側に移動させるには、両側のレバー3の先端を親指と人差し指で挟む。単に挟むだけでレバー3の中間の折り目3cが折れ、自動的に手前側に移動し、離すと元に戻る。
図6のように、収納部2にはレバー3に合わせて二本のスリット4を対向する面に設け、レバー3が固定される側に切り欠き4aを設ける。レバー3を挟んでスリット4側に移動させスライドする。始点と終点では指を離せば弾性により自動的に切り欠き4a側に移動し固定される。
【0027】
この場合スライド部1は、図5Aのように背面中央で両側共に折り返し、図7のように、折り返す両側の面の先端に突起1dを設け、折り返した先の正面となる面に嵌入孔1eを設け、嵌入孔1eに両側の突起1dを嵌入し、折り返された二つの面を接着して内部を二分割するような形態とする。
そして、両側の折り返しの面には孔1aより高さが小さい切り欠き1cを設け、レバー3の中間には切り欠き3dを設け、中間の折り目3cを切り欠き1cに嵌める。これによりレバー3は中間の折り目3cでスライド部1の二分割の部分に固定され、折り目3cは二分割の部分で折れ、レバー3を左右均等に可動させることができる。
【0028】
収納部2がさらに大きなものになると、レバー3を両側から挟みにくくなる。このような場合には、二つのレバー3をスライド部1の一面の左右近傍に設け、これに合わせて収納部2に二本のスリット4を設けることができる。
図8のように、スライド部1は図5と同様に内部を二分割するような形態とし、折り返した先の面に孔1aを左右近傍に二つ設け、元は1つの部材で両側が弾性を持つように折られたレバー3を、二つの孔1aからそれぞれ突出するように設け、突出した二つのレバー3は弾性により左右に開いた状態で固定され、二つのレバー3を指で挟み中央に寄せることでスリット4でスライドする状態になる。
図9のように、収納部2はレバー3に合わせて二本のスリット4を一面の左右近傍に設け、それぞれのレバー3が固定される側に切り欠き4aを設け、左右対称のスリット4とする。
レバー3は図10のように、スライド部1の内部に入る部分3f、gを突起させることで、中間部3eの両側が切り欠きになり、スライド部1の切り欠き1cに嵌める。これにより、内部に入る部分3f、gは内部に固定され、内部は左右に二分割されているので、孔1aは左右二つをつなげて一つにもできる。これと同様に収納部2の二本のスリット4も中央をつなげて一本にもできる。左右幅に余裕がない場合などにはこのようにできる。
【0029】
図11は、収納部2のスリット4の切り欠き4aを、始点と終点の間にも設けた例で、
これにより伸縮を多段階にできる。この場合、スリット4のある面は収納部2のシート材の左右両端の接着する面を利用し、レバー3と同様に二重にし強度を持たせることもできる。
また、図12のように、四角形だけでなく三角形以上の多角形にもできる。この場合、三角形では一面にレバー3を一つとしても、二つとしてもよく、図12Aのように二面に二つのレバー3を対向して設けてもよい。図12Bのように六角形で一面の幅が小さくなる場合には、前述のように二本のスリット4を一本にしてもよい。
【0030】
このように、本発明の伸縮構造体は、様々な大きさ、形態に応じて設計可能である。レバー3の形態などは、スライド部1の内部に接着されてもよく、図で示した形態に限らず、内部に固定され、弾性を持って可動するものであればよい。
なお、図には構造をわかりやすくするために入れていないが、スライド部1の上部と下部、収納部2の上部に断面形状を維持するために蓋を設けるとよい。別部材でもよいし、側面の一面を延長して設けてもよい。これにより、全体の形態をしっかり維持できる。
【0031】
また、大きな荷重がかかる場合、特に荷重がかかるレバー3が固定される切り欠き4aは強度が必要になるが、収納部2は一枚のシート材を巻くように形成されるので、シート材を二重、三重と重ねて巻くように形成して強度を上げるとよい。スライド部1とレバー3もシート材を二重、三重と重ねて形成してもよい。また、全ての部材を同一のシート材としなくてもよく、厚みを変えたり、元から二重のものの使用もできる。このように様々な方法で、再生可能な素材のシート剤でも強固な構造体とすることができる。
なお、スライド部1、収納部2に紙管を使用して強度を上げることもできる。この場合、孔1aを開けたスライド部1を、スリット4を開けた収納部2に挿入した後に、レバー3を孔1aから挿入し、一部分をスライド部1内部に接着等で固定する。レバー3の折りはこれに合わせて調整する。紙管は丸紙管でも角紙管でもよい。しかし、孔を開けるなど製造は容易ではなく、高強度の紙管はリサイクルしにくいという問題がある。
【0032】
本発明の伸縮構造体は、折り畳みスタンドの支持脚としても使用できる。図13、14は、伸縮構造体を支持脚とした折り畳みスタンドの基本的な構造、折り畳み方法を示している。
この例では、伸縮構造体は全体を薄くできるレバー3を二つ対向に設けたもので、収納部2とスタンド本体5は、収納部2の上部とスタンド本体5の上部5aとで繋がり、上部5aの折りを支点として開閉する。スタンド本体5には、本体下部に支点6aを持つアーム部6が設けられ、その先端はスライド部1に接続され、接続部分6bは折りにより自在に角度がつけられスライド部1と連動する。
収納部2とスタンド本体5は、一枚のシート材から形成することができ、アーム部6はスタンド本体5から抜いて折られたものである。アーム部6とスライド部1を接続するため、収納部2のスタンド本体5側の面にスリットを設ける、あるいは、接続部分6bより下部を全面開けるなどして、アーム部6がスライド部1に接続され連動できるようにする。また、収納部2のスタンド本体5側の面は、スタンドを閉じた状態でアーム部6が収まるようスライド部1との距離をとるため、シート材が二重となる接着面とする。
なお、収納部2、スタンド本体5とアーム部6は、別々の部材として、それぞれを接続してもよい。支持脚は、前述の伸縮構造体のいずれの形態としてもよい。
【0033】
これにより、レバー3をスライドさせ、支持脚を伸ばすと、アーム部6が連動して起き上がり、上部5aを支点として、支持脚とスタンド本体5が開き、レバー3が終点で固定されると、アーム部6により開きが固定されてスタンドとなる。支持脚がスタンド本体5より長くなることで、スタンド本体5は垂直に近い角度になり、支持脚はそれを支える角度となる。また、図11のようにスリット4の切り欠き4aを、始点と終点の間にも設けると角度の調整ができる。
開閉はレバー3の操作だけで、片手で容易にでき、何度も折り畳みできる。また、支持脚は筒状で荷重にも強く、支持脚の形態によって厚みを薄くすることもできる。
【0034】
物品の保持は、スタンド本体5に直接着ける。あるいは、スタンド本体5の下端を延長して保持部を形成して保持することができる。しかし、これでは保持手段が固定され保持できる物品が限られてしまう。そこで、保持手段を変えて様々な物品を保持できるように、物品の保持部は別の部材とし、スタンドに着脱可能で、容易に取り替えられるものにする。
図15は、物品の保持部を別の部材とした形態例で、スタンド本体5は図15Aのように、左右両端に角柱7を形成することにより、スタンド本体5の反りを抑え、荷重にも強くする。レバー3を挟みにくい場合は、両側の角柱7に切り欠きを設けスペースを開ける。そして、物品保持部材8が着脱可能な突起7aなど、着脱可能とする部位を設ける。
物品保持部材8は、図15Bのように、下部に特許第6735991号の図14、15のようなフレーム8aを設け、パネルなどの物品を保持できるようにしたり、図15Cのように、下部に本などの物品を置けるような台座8bを設けたり、別の部材とすることで保持の方法を変えることができる。両方とも背面に突起7aが嵌入される孔8dを有する着脱部8cが設けられ、スタンド本体5に着脱可能となる。
なお、物品保持部材8の着脱手段はこれに限らず、特許第6973760号の図5、6のようにもできる。図20Bはこの固定部の突起を二ヶ所にした例。
【0035】
図16は、下部を本などの物品を置けるような台座8bとした物品保持部材8の形態例で、一枚のシート材の折りにより組み立てられる。
物品保持部材8の下部の台座8bは、下端の突起8eを台座8bの始点のスリット8gに差し込むだけで形成され、物品保持部材8の上部と台座8bとの角度を、スタンドが開かれた状態で直角として、物品の荷重と物品保持部材8上部の傾きにより物品を保持する。台座8b上面には、二つの突起8eの間に設けられた切り欠きにより、始点部分にスリット8fが形成される。
物品保持部材8には、着脱部8cが背面方向に折られて設けられ、そのため開きができてしまう。物品保持部材8の上部はパネルなどの大きな物品では隠れてしまうが、小さな本などの物品では露出するものであり、着脱部8cによる開きも露出してしまう。これを隠すため、物品保持部材8の上端を延長し、延長部分の先端に突起を設け、延長部分を折り畳み、台座8bにできるスリット8fに、先端の突起を差し込んで固定する。または、図のように別の部材のシート9として差し込む。
【0036】
図17は、図15Bの下部をフレーム8aとした物品保持部材8に、パネル10を立てた状態であり、パネル10が倒れないようにこのようなフレームで固定させる。パネル10によりスタンドは隠れ、下部のフレームのみが見える状態になり、パネルの表示の妨げにならない最低限の部材の露出で、パネルの差し替えも容易なものとなる。
厚いパネルやフレームが付けられたパネルや、額縁が付けられた絵や写真などの物品の場合は、このようなフレームではなく、その厚みに合わせた、あるいは、それ以上の奥行きの台座8bとして前面上部に、スタンド本体5の角柱7の突起7aのような突起を設けて、この突起で物品を固定して保持してもよい。
【0037】
図18は、図15Cの下部を台座8bとした物品保持部材8に、本を立てた状態であり、本は重さがあるため置くだけで固定される。図18Aのように台座8bより大きい本12で多少はみ出ていても置くことができる。
図18Bのように小さい本11の場合、前述のように着脱部8cによる開きを隠す必要があるが、店舗などで使用の場合、物品保持部材8の前面に別部材のシート9を差し込み、ただ隠すだけでなく、シート9に物品に関する情報の表示ができる。シート9の突起を物品保持部材8のスリット8fに差し込むだけなので、図18Cのように大きい本12で物品保持部材8が隠れてしまう場合でも、本からはみ出すような形態にもできる。
【0038】
図19は、下部の台座8bの奥行きを大きくし、商品などの物品13の展示台として使用できるようにした状態であり、シート9を使用し商品情報などの訴求ができる。
シート9は、図19Cのように底面を設け、底面にも情報の表示ができる。また、商品などの物品13が台座8bより大きく多少はみ出ていても、シート9の底面をそれより大きくして隠すこともできる。上部も物品保持部材8より大きく、自由な形にできる。
【0039】
また、このスタンドは容易に折り畳みができ、物品に接着しないため何度でも使用できる。そのため、使用していない時の保管が問題となる。一般的な紙スタンドでは一度折って組み立てると、畳んでも元のように平らにならずかさばってしまうが、このスタンドはスタンド背面の部位の高さを均等にすることで、安定した状態で、重ねて保管できる。
図20Aのように、物品保持部材の着脱部8cと収納部2の高さを合わせ、全体の高さを均等にしたり、図20Bのように、角柱7と収納部2の高さを合わせ、着脱部8cに突起を設け、角柱7に設けた孔に差し込み固定する。どちらも収納部2の高さに合わせることで、最低限の高さになる。これにより、物品保持部材8を着けたままでも、がたつくことなく、安定した状態で保管でき、図20Cのように、異なる物品保持部材8でも重ねることができる。箱などに立てて入れておくにも、重なっているので入れやすい。
なお、物品保持部材を着けずに保管する場合は、図20Bのような形態、あるいは、図20Aで収納部2の幅を広げ、角柱7のレバー3近傍に切り欠きを設けるとよい。
【0040】
本発明の折り畳みスタンドは、様々な保持手段を持つ物品保持部材8を着脱可能なため、パネルの差し替えができたり、ブックスタンドとして様々な大きさの本を立てたり、商品などを展示したりすることができる。さらに、物品に関する情報の表示もできる。
また、特許第6973760号の壁掛け具の物品が固定されるシートを、特許第6735991号の図11のようなフレームにし、物品保持部材8としてスタンドを取り付けることで、パネルのような物品を壁掛け、スタンド両用にできる。これにより、場所によって展示方法を変えることができる。開閉が片手で容易にできるため、物品の差し替えなどのために一時的に立てておくということもできる。
このように、様々な物品、用途、場所に対応でき、ただ立るだけのスタンド以上の効果が得られる。
【符号の説明】
【0041】
1 スライド部
1a スライド部の孔
1b スライド部に固定されたレバー
1c スライド部の折り返し部分の切り欠き
1d スライド部の折り返し部分の突起
1e スライド部の正面の嵌合孔
2 収納部2
3 レバー
3a レバーの折り
3b レバーの折り
3c レバーの中間の折り目
3d レバーの中間の切り欠き
3e レバーの中間部
3f レバーのスライド部の内部に入る部分
3g レバーのスライド部の内部に入る部分
4 スリット
4a スリットの切り欠き
5 スタンド本体
5a スタンド本体の上部
6 アーム部
6a アーム部の支点
6b アーム部のスライド部との接続部分
7 スタンド本体の左右両端の角柱
7a スタンド本体の左右両端の角柱の突起
8 物品保持部材
8a 物品保持部材のフレーム
8b 物品保持部材の台座
8c 物品保持部材の着脱部
8d 物品保持部材の着脱部の嵌合孔
8e 物品保持部材の台座の突起
8f 物品保持部材の台座上面のスリット
8g 物品保持部材の台座の始点のスリット
9 物品に関する情報が表示できるシート
9a 物品に関する情報が表示できるシートの突起
10 パネル
11 小さい本
12 大きい本
13 商品などの物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2022-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべての部材が厚紙のシート材から組み立てられ、突起したレバーを有する角筒状のスライド部と、該スライド部が内部でスライドする角筒状の収納部とからなり、該スライド部に、該レバーを突出させスライド方向に対し垂直に移動可能とする孔が設けられ、該収納部に、該レバーを突出させスライドさせるスリットが設けられ、該スリットの始点と終点とに、該レバーを該スリットの片側の外に移動させられる切り欠きが設けられ、該レバーが、該シート材の折りにより自動的に該切り欠き側に移動する弾性を持つ伸縮構造体。
【請求項2】
請求項1の伸縮構造体において、前記スライド部に前記レバーに加え、前記切り欠きに移動しない固定されたレバーが、前記切り欠きの逆側に設けられ、二つのレバーが密着した状態で一本の前記スリットでスライドされる伸縮構造体。
【請求項3】
請求項1の伸縮構造体において、前記スライド部が、内部で二分割された形態で、分割部分を挟んで前記レバーを左右の面に対向して二つ有し、該レバーが該分割部分に設けられた切り欠きで固定され、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた二本の前記スリットが設けられ、該レバーが、一直線のような形態で左右に突出している状態から、左右中央の折り目で折れることにより、左右ともに該スリット側に移動する伸縮構造体。
【請求項4】
請求項1の伸縮構造体において、前記スライド部が、内部で二分割された形態で、分割部分を挟んで前記レバーを左右近傍に二つ有し、該レバーが該分割部分に設けられた切り欠きで固定され、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた一本あるいは二本の前記スリットが設けられ、該レバーが、該分割部分の切り欠きに接する部分の折りにより弾性を有する伸縮構造体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの伸縮構造体において、すべての部材が、シート材を折る、重ねる、だけで、多重に重ねられた状態で組み立てられ、強度が上げられる伸縮構造体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの伸縮構造体において、前記スライド部を前記収納部の内部だけで移動するものとし、該スライド部と同じ断面形状の柱状体を、該収納部の端部から挿入し、該スライド部に密着させることにより、該柱状体に伸縮構造を持たせることができる伸縮構造体。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかの伸縮構造体を支持脚として用いた折り畳みスタンドであって、すべての部材が厚紙のシート材から組み立てられ、下方向に伸縮する該支持脚と、該支持脚の前記収納部と互いの上部で接続されるスタンド本体と、該スタンド本体の下部を支点にして設けられ、該支持脚の前記スライド部に接続されて連動するアーム部とからなり、該支持脚の伸縮とともに、該収納部上部を支点にして開閉し、閉じた状態では、該支持脚が該スタンド本体の天地内に収まり固定される折り畳みスタンド。
【請求項8】
請求項の折り畳みスタンドにおいて、物品の差し替え可能な、物品によって異なる保持手段と、前記スタンド本体への着脱手段とにより、使用用途に応じて取り替え可能な、物品保持部材を有し、該物品保持部材が厚紙のシート材から組み立てられ、該物品保持部材が着けられた状態で、片手での前記レバーの操作で開閉可能な折り畳みスタンド。
【請求項9】
請求項の折り畳みスタンドにおいて、物品と前記物品保持部材との間に差し込まれる、物品に関する情報を表示したシートを有し、該シートの端部、あるいは、該シートを二つ折りにした折り部に突起が設けられ、該突起が挿入され該シートが固定される孔が、該物品保持部材下部に形成される台座上面の始点部分に設けられる折り畳みスタンド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材で形成された伸縮構造体、及びそれを利用した折り畳みスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にテーブル等の家具の支持脚で、伸縮構造を持ち高さ調整可能なものは、金属やプラスチック等の硬質な素材のパイプ等を用い、外側のパイプと内側のパイプとで、内側のパイプを回転させることで伸縮や固定を行ったり、横からネジで止めて固定するものがほとんどである。
昨今では、段ボール製のベッド等の再生可能な素材を使用した家具なども作られており、段ボール等の硬質ではない素材でも十分な強度が得られることが認識されるようになってきた。また、紙管のように紙でありながら強度があり木材のかわりに使えるものもある。しかしこのような素材での伸縮構造は、横方向にスライドさせるものは考えられているが、通常のネジ等が使用できないため、高さ調整可能なものはあまり考えられていない。そのなかで、(特許文献1)では紙管を用いた伸縮構造の支持脚を持つ棚が提案されている。
【0003】
また、パネル等の板状の物品を立てて展示・掲示をする場合、物品をなるべく垂直に近い状態で立てるには、物品より小さいスタンドではスタンド本体より支持脚は長く、奥行きが出せなければならない。このようなスタンドでは、(特許文献2)で保持角度が変えられるスタンドが提案されている。
そして、よく使用されている一般的な紙スタンドは畳まれた状態からの組み立てが容易ではなく、パネル等の物品に接着し、再使用できない使い捨てのようなものであり、ブックスタンドのように本を差し替えるものの場合にはそのままでは使えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2821673
【特許文献2】実登3089481
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能な素材を使用した伸縮構造を持つものとして(特許文献1)は、ボルトとナットのような、スパイラル二重紙管を使用した伸縮構造としているが、そもそも、このスパイラル二重紙管を正確に製造するには専用の機材が必要になると思われ、費用もかかり製造は容易ではない。また、細かい調整はできるが、そのため左右同じ高さにするというような調整は難しくなる。
【0006】
(特許文献2)のスタンドでは、スタンド本体より支持脚が長くなるため、折り畳んだ状態でも大きなものとなり、組み立て、折り畳みも片手で容易にはできない。また、物品に接着するものであり物品の差し変えはできない。
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みて、筒状の構造体を、容易な構造、容易な操作で伸縮して高さ調整可能とし、再生可能な素材を使用した製作が可能な伸縮構造体を提供することを目的とする。また、この伸縮構造体を用いて容易に折り畳みできるスタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すべての部材が厚紙のシート材から組み立てられ、突起したレバーを有する角筒状のスライド部と、該スライド部が内部でスライドする角筒状の収納部とからなり、該スライド部に、該レバーを突出させスライド方向に対し垂直に移動可能とする孔が設けられ、該収納部に、該レバーを突出させスライドさせるスリットが設けられ、該スリットの始点と終点とに、該レバーを該スリットの片側の外に移動させられる切り欠きが設けられ、該レバーが、該シート材の折りにより自動的に該切り欠き側に移動する弾性を持つ。ここでシート材とは段ボール、ボール紙等であ
【0009】
前記スライド部に前記レバーに加え、前記切り欠きに移動しない固定されたレバーが、前記切り欠きの逆側に設けられ、二つのレバーが密着した状態で一本の前記スリットでスライドされる。
【0010】
前記スライド部が、内部で二分割された形態で、分割部分を挟んで前記レバーを左右の面に対向して二つ有し、該レバーが該分割部分に設けられた切り欠きで固定され、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた二本の前記スリットが設けられ、該レバーが、一直線のような形態で左右に突出している状態から、左右中央の折り目で折れることにより、左右ともに該スリット側に移動する
【0011】
前記スライド部が、内部で二分割された形態で、分割部分を挟んで前記レバーを左右近傍に二つ有し、該レバーが該分割部分に設けられた切り欠きで固定され、前記収納部に、左右の該レバーに合わせた一本あるいは二本の前記スリットが設けられ、該レバーが、該分割部分の切り欠きに接する部分の折りにより弾性を有する
【0012】
すべての部材が、シート材を折る、重ねる、だけで、多重に重ねられた状態で組み立てられ、強度が上げられる。
【0013】
前記スライド部を前記収納部の内部だけで移動するものとし、該スライド部と同じ断面形状の柱状体を、該収納部の端部から挿入し、該スライド部に密着させることにより、該柱状体に伸縮構造を持たせることができる
【0014】
伸縮構造体を支持脚として用いた折り畳みスタンドであって、すべての部材が厚紙のシート材から組み立てられ、下方向に伸縮する該支持脚と、該支持脚の前記収納部と互いの上部で接続されるスタンド本体と、該スタンド本体の下部を支点にして設けられ、該支持脚の前記スライド部に接続されて連動するアーム部とからなり、該支持脚の伸縮とともに、該収納部上部を支点にして開閉し、閉じた状態では、該支持脚が該スタンド本体の天地内に収まり固定される
【0015】
物品の差し替え可能な、物品によって異なる保持手段と、前記スタンド本体への着脱手段とにより、使用用途に応じて取り替え可能な、物品保持部材を有し、該物品保持部材が厚紙のシート材から組み立てられ、該物品保持部材が着けられた状態で、片手での前記レバーの操作で開閉可能である。
【0016】
物品と前記物品保持部材との間に差し込まれる、物品に関する情報を表示したシートを有し、該シートの端部、あるいは、該シートを二つ折りにした折り部に突起が設けられ、該突起が挿入され該シートが固定される孔が、該物品保持部材下部に形成される台座上面の始点部分に設けられる
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、再生可能な素材を使用した筒状の構造体を、容易な構造、容易な操作で伸縮して高さ調整可能とした伸縮構造体とすることができる。また、この伸縮構造体を用いて容易に折り畳みできるスタンドが製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】伸縮構造体の形体例で、レバーが一つで、スリットが一本の場合の図であり、Aは伸縮方法を示す斜視図、Bはスライド部の上面図、Cはスライド部の斜視図。
図2】伸縮構造体の形体例で、レバーが一本で、スリットが一本の場合の展開図。
図3】伸縮構造体の形体例で、レバーが二つで、スリットが一本の場合の図であり、Aは伸縮方法を示す斜視図、Bはスライド部の上面図、Cはスライド部の斜視図。
図4】伸縮構造体の形体例で、レバーが二本で、スリットが一本の場合の展開図。
図5】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右に対向して二つの場合のスライド部のレバーの動きを示す図であり、Aはスライド部の上面図、Bはスライド部の斜視図。
図6】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右に対向して二つの場合の伸縮方法を示す斜視図。
図7】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右に対向して二つの場合の展開図。
図8】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右近傍に二つの場合のスライド部のレバーの動きを示す図であり、Aはスライド部の上面図、Bはスライド部の斜視図。
図9】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右近傍に二つの場合の伸縮方法を示す斜視図。
図10】伸縮構造体の形体例で、レバーが左右近傍に二つの場合の展開図。
図11】スリットの切り欠きが、始点と終点との間に設けられた形体例の斜視図。
図12】スライド部と収納部が多角形の場合の形体例で、Aは三角形の斜視図、Bは六角形の斜視図。
図13】折り畳みスタンドの形体例の伸縮方法を示す斜視図。
図14】折り畳みスタンドの形体例の伸縮方法を示す側面図。
図15】折り畳みスタンドの形体例で、Aはスタンド本体左右が角柱状に形成された斜視図、Bは角柱にパネル用の物品保持部材が固定された側面図、Bは角柱に本用の物品保持部材が固定された側面図。
図16】本用の物品保持部材の形体例の組み立て図。
図17】折り畳みスタンドのパネル用の物品保持部材の形体例の使用図で、Aは側面図、Bは正面図。
図18】折り畳みスタンドの本用の物品保持部材の形体例の使用図で、Aは側面図、Bは小さな本の場合の正面図、Cは大きな本の場合の正面図。
図19】物品保持部材を商品などの物品の展示台とした形体例で、Aは側面図、Bは正面図、Cは物品に関する情報が表示できるシートに底面を設けた斜視図。
図20】物品保持部材を固定した折り畳みスタンドを重ねて保存した場合の側面図で、Aはパネル用、Bは本用で別の着脱手段、Cはパネル用、本用、展示台を混ぜた場合。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の伸縮構造体は、段ボール、ボール紙等の再生可能な素材のシート材を使用し、型抜き、筋付け等の加工がされ、折りにより容易に組み立てられる。
基本的な構造は図1Aのように、筒状のスライド部1に設けられたレバー3が、筒状の収納部2に設けられたスリット4でスライドされることで、スライド部1が収納部2の内部をスライドし片端が出入りし伸縮する。
なお、元からスライド部1の片端が収納部2から出ている状態で、収納部2の内部でのスライドによって、その分伸縮する形態としてもよい。
また、スライド部1を収納部2の内部だけで移動するものとし、スライド部1と同じ断面形状の柱状体を収納部2の端部から挿入しスライド部1に密着させることにより、伸縮構造を持たない柱状体を伸縮構造体にすることができる。この場合、テーブルなどの脚の下端に取り付けると高さ調整が可能になる。
【0020】
図1B、Cのように、スライド部1には側面に孔1aが設けられるが、面の幅が大きい場合は面の左右中央でもいいが、図のように小さい場合は角に設けると無理なく組み立てられる。その孔1aから突出するようにレバー3が設けられる。レバー3は孔1a内で左右に移動可能な状態だが、3a、bの折りによる弾性で片側に固定される。
図1Aのように、収納部2にはレバー3が突出しスライドされるスリット4が設けられ、スリット4の始点と終点にはスリット4の外側にレバー3が移動し固定される切り欠き4aが設けられ、レバー3を切り欠き4aから移動させ、スライドすることでスライド部1が収納部2から出入りして伸縮する。そして、レバー3はスリット4の始点と終点では弾性により自動的に切り欠き4a側に移動して固定される。
【0021】
この形態の場合は、図1Aのスリット4のある面の左の面に親指をあて、人差し指でレバー3を移動させスライドする。この際、下げるときは上部、上げるときは下部に指を当てて操作する。なお、スリット4、レバー3を左の面に反転した状態で設け、親指でレバー3を操作してもよい。
図2はそれぞれの部材の展開図で、スライド部1は折り目で折り左右両端を重ねて接着するが、接着前にレバー3を折ったものを中に入れ、図1Bのような形で孔1aから突出させておく。そして収納部2も同じように接着前にスライド部1を中に入れ、レバー3をスリット4の切り欠き4aから突出させておく。レバー3はスライド部1の内部に入る部分を突起した形状にすることで、孔1aより大きくなり接着しなくても内部から出ることなく固定される。
【0022】
図1の基本的な構造に、図3のようにスライド部1に固定されたレバー1bを設けることもできる。この場合、固定されたレバー1bと孔1a内で移動するレバー3とを親指と人差し指で挟んでスライドする。収納部2に指をあてることなくスライドできる。
固定されたレバー1bは図4のように、スライド部1のシート材の左右両端の接着する面を利用し、レバー3と同様に二重にし強度を持たせるとよい。
このような、移動するレバー3一つとスリット4一本の形態は、収納部2が細い場合に適した構造である。
【0023】
収納部2が図1、3の伸縮構造体より大きくなる場合は、二つの移動するレバー3をスライド部1の対向する面にそれぞれ設け、これに合わせて収納部2に二本のスリット4を設けることができる。
図5のように、スライド部1の対向する面にそれぞれ孔1aを二つ設け、元は1つの部材で両側が弾性を持つように折られたレバー3を、二つの孔1aからそれぞれ突出するように設け、それぞれ突出した二つのレバー3は、それぞれの孔1aの内側で弾性により固定され一直線に近い形になる。レバー3を手前側に移動させるには、両側のレバー3の先端を親指と人差し指で挟む。単に挟むだけでレバー3の中間の折り目3cが折れ、自動的に手前側に移動し、離すと元に戻る。
図6のように、収納部2にはレバー3に合わせて二本のスリット4を対向する面に設け、レバー3が固定される側に切り欠き4aを設ける。レバー3を挟んでスリット4側に移動させスライドする。始点と終点では指を離せば弾性により自動的に切り欠き4a側に移動し固定される。
【0024】
この場合スライド部1は、図5Aのように背面中央で両側共に折り返し、図7のように、折り返す両側の面の先端に突起1dを設け、折り返した先の正面となる面に嵌入孔1eを設け、嵌入孔1eに両側の突起1dを嵌入し、折り返された二つの面を接着して内部を二分割するような形態とする。
そして、両側の折り返しの面には孔1aより高さが小さい切り欠き1cを設け、レバー3の中間には切り欠き3dを設け、中間の折り目3cを切り欠き1cに嵌める。これによりレバー3は中間の折り目3cでスライド部1の二分割の部分に固定され、折り目3cは二分割の部分で折れ、レバー3を左右均等に可動させることができる。
【0025】
収納部2がさらに大きなものになると、レバー3を両側から挟みにくくなる。このような場合には、二つのレバー3をスライド部1の一面の左右近傍に設け、これに合わせて収納部2に二本のスリット4を設けることができる。
図8のように、スライド部1は図5と同様に内部を二分割するような形態とし、折り返した先の面に孔1aを左右近傍に二つ設け、元は1つの部材で両側が弾性を持つように折られたレバー3を、二つの孔1aからそれぞれ突出するように設け、突出した二つのレバー3は弾性により左右に開いた状態で固定され、二つのレバー3を指で挟み中央に寄せることでスリット4でスライドする状態になる。
図9のように、収納部2はレバー3に合わせて二本のスリット4を一面の左右近傍に設け、それぞれのレバー3が固定される側に切り欠き4aを設け、左右対称のスリット4とする。
レバー3は図10のように、スライド部1の内部に入る部分3f、gを突起させることで、中間部3eの両側が切り欠きになり、スライド部1の切り欠き1cに嵌める。これにより、内部に入る部分3f、gは内部に固定され、内部は左右に二分割されているので、孔1aは左右二つをつなげて一つにもできる。これと同様に収納部2の二本のスリット4も中央をつなげて一本にもできる。左右幅に余裕がない場合などにはこのようにできる。
【0026】
図11は、収納部2のスリット4の切り欠き4aを、始点と終点の間にも設けた例で、
これにより伸縮を多段階にできる。この場合、スリット4のある面は収納部2のシート材の左右両端の接着する面を利用し、レバー3と同様に二重にし強度を持たせることもできる。
また、図12のように、四角形だけでなく三角形以上の多角形にもできる。この場合、三角形では一面にレバー3を一つとしても、二つとしてもよく、図12Aのように二面に二つのレバー3を対向して設けてもよい。図12Bのように六角形で一面の幅が小さくなる場合には、前述のように二本のスリット4を一本にしてもよい。
【0027】
このように、本発明の伸縮構造体は、様々な大きさ、形態に応じて設計可能である。レバー3の形態などは、スライド部1の内部に接着されてもよく、図で示した形態に限らず、内部に固定され、弾性を持って可動するものであればよい。
なお、図には構造をわかりやすくするために入れていないが、スライド部1の上部と下部、収納部2の上部に断面形状を維持するために蓋を設けるとよい。別部材でもよいし、側面の一面を延長して設けてもよい。これにより、全体の形態をしっかり維持できる。
【0028】
また、大きな荷重がかかる場合、特に荷重がかかるレバー3が固定される切り欠き4aは強度が必要になるが、収納部2は一枚のシート材を巻くように形成されるので、シート材を二重、三重と重ねて巻くように形成して強度を上げるとよい。スライド部1とレバー3もシート材を二重、三重と重ねて形成してもよい。また、全ての部材を同一のシート材としなくてもよく、厚みを変えたり、元から二重のものの使用もできる。このように様々な方法で、再生可能な素材のシートでも強固な構造体とすることができる。
なお、スライド部1、収納部2に紙管を使用して強度を上げることもできる。この場合、孔1aを開けたスライド部1を、スリット4を開けた収納部2に挿入した後に、レバー3を孔1aから挿入し、一部分をスライド部1内部に接着等で固定する。レバー3の折りはこれに合わせて調整する。紙管は丸紙管でも角紙管でもよい。しかし、孔を開けるなど製造は容易ではなく、高強度の紙管はリサイクルしにくいという問題がある。
【0029】
本発明の伸縮構造体は、折り畳みスタンドの支持脚としても使用できる。図13、14は、伸縮構造体を支持脚とした折り畳みスタンドの基本的な構造、折り畳み方法を示している。
この例では、伸縮構造体は全体を薄くできるレバー3を二つ対向に設けたもので、収納部2とスタンド本体5は、収納部2の上部とスタンド本体5の上部5aとで繋がり、上部5aの折りを支点として開閉する。スタンド本体5には、本体下部に支点6aを持つアーム部6が設けられ、その先端はスライド部1に接続され、接続部分6bは折りにより自在に角度がつけられスライド部1と連動する。
収納部2とスタンド本体5は、一枚のシート材から形成することができ、アーム部6はスタンド本体5から抜いて折られたものである。アーム部6とスライド部1を接続するため、収納部2のスタンド本体5側の面にスリットを設ける、あるいは、接続部分6bより下部を全面開けるなどして、アーム部6がスライド部1に接続され連動できるようにする。また、収納部2のスタンド本体5側の面は、スタンドを閉じた状態でアーム部6が収まるようスライド部1との距離をとるため、シート材が二重となる接着面とする。
なお、収納部2、スタンド本体5とアーム部6は、別々の部材として、それぞれを接続してもよい。支持脚は、前述の伸縮構造体のいずれの形態としてもよい。
【0030】
これにより、レバー3をスライドさせ、支持脚を伸ばすと、アーム部6が連動して起き上がり、上部5aを支点として、支持脚とスタンド本体5が開き、レバー3が終点で固定されると、アーム部6により開きが固定されてスタンドとなる。支持脚がスタンド本体5より長くなることで、スタンド本体5は垂直に近い角度になり、支持脚はそれを支える角度となる。また、図11のようにスリット4の切り欠き4aを、始点と終点の間にも設けると角度の調整ができる。
開閉はレバー3の操作だけで、片手で容易にでき、何度も折り畳みできる。また、支持脚は筒状で荷重にも強く、支持脚の形態によって厚みを薄くすることもできる。
【0031】
物品の保持は、スタンド本体5に直接着ける。あるいは、スタンド本体5の下端を延長して保持部を形成して保持することができる。しかし、これでは保持手段が固定され保持できる物品が限られてしまう。そこで、保持手段を変えて様々な物品を保持できるように、物品の保持部は別の部材とし、スタンドに着脱可能で、容易に取り替えられるものにする。
図15は、物品の保持部を別の部材とした形態例で、スタンド本体5は図15Aのように、左右両端に角柱7を形成することにより、スタンド本体5の反りを抑え、荷重にも強くする。レバー3を挟みにくい場合は、両側の角柱7に切り欠きを設けスペースを開ける。そして、物品保持部材8が着脱可能な突起7aなど、着脱可能とする部位を設ける。
物品保持部材8は、図15Bのように、下部に特許第6735991号の図14、15のようなフレーム8aを設け、パネルなどの物品を保持できるようにしたり、図15Cのように、下部に本などの物品を置けるような台座8bを設けたり、別の部材とすることで保持の方法を変えることができる。両方とも背面に突起7aが嵌入される孔8dを有する着脱部8cが設けられ、スタンド本体5に着脱可能となる。
なお、物品保持部材8の着脱手段はこれに限らず、特許第6973760号の図5、6のようにもできる。図20Bはこの固定部の突起を二ヶ所にした例。
【0032】
図16は、下部を本などの物品を置けるような台座8bとした物品保持部材8の形態例で、一枚のシート材の折りにより組み立てられる。
物品保持部材8の下部の台座8bは、下端の突起8eを台座8bの始点のスリット8gに差し込むだけで形成され、物品保持部材8の上部と台座8bとの角度を、スタンドが開かれた状態で直角として、物品の荷重と物品保持部材8上部の傾きにより物品を保持する。台座8b上面には、二つの突起8eの間に設けられた切り欠きにより、始点部分にスリット8fが形成される。
物品保持部材8には、着脱部8cが背面方向に折られて設けられ、そのため開きができてしまう。物品保持部材8の上部はパネルなどの大きな物品では隠れてしまうが、小さな本などの物品では露出するものであり、着脱部8cによる開きも露出してしまう。これを隠すため、物品保持部材8の上端を延長し、延長部分の先端に突起を設け、延長部分を折り畳み、台座8bにできるスリット8fに、先端の突起を差し込んで固定する。または、図のように別の部材のシート9として差し込む。
【0033】
図17は、図15Bの下部をフレーム8aとした物品保持部材8に、パネル10を立てた状態であり、パネル10が倒れないようにこのようなフレームで固定させる。パネル10によりスタンドは隠れ、下部のフレームのみが見える状態になり、パネルの表示の妨げにならない最低限の部材の露出で、パネルの差し替えも容易なものとなる。
厚いパネルやフレームが付けられたパネルや、額縁が付けられた絵や写真などの物品の場合は、このようなフレームではなく、その厚みに合わせた、あるいは、それ以上の奥行きの台座8bとして前面上部に、スタンド本体5の角柱7の突起7aのような突起を設けて、この突起で物品を固定して保持してもよい。
【0034】
図18は、図15Cの下部を台座8bとした物品保持部材8に、本を立てた状態であり、本は重さがあるため置くだけで固定される。図18Aのように台座8bより大きい本12で多少はみ出ていても置くことができる。
図18Bのように小さい本11の場合、前述のように着脱部8cによる開きを隠す必要があるが、店舗などで使用の場合、物品保持部材8の前面に別部材のシート9を差し込み、ただ隠すだけでなく、シート9に物品に関する情報の表示ができる。シート9の突起を物品保持部材8のスリット8fに差し込むだけなので、図18Cのように大きい本12で物品保持部材8が隠れてしまう場合でも、本からはみ出すような形態にもできる。
【0035】
図19は、下部の台座8bの奥行きを大きくし、商品などの物品13の展示台として使用できるようにした状態であり、シート9を使用し商品情報などの訴求ができる。
シート9は、図19Cのように底面を設け、底面にも情報の表示ができる。また、商品などの物品13が台座8bより大きく多少はみ出ていても、シート9の底面をそれより大きくして隠すこともできる。上部も物品保持部材8より大きく、自由な形にできる。
【0036】
また、このスタンドは容易に折り畳みができ、物品に接着しないため何度でも使用できる。そのため、使用していない時の保管が問題となる。一般的な紙スタンドでは一度折って組み立てると、畳んでも元のように平らにならずかさばってしまうが、このスタンドはスタンド背面の部位の高さを均等にすることで、安定した状態で、重ねて保管できる。
図20Aのように、物品保持部材の着脱部8cと収納部2の高さを合わせ、全体の高さを均等にしたり、図20Bのように、角柱7と収納部2の高さを合わせ、着脱部8cに突起を設け、角柱7に設けた孔に差し込み固定する。どちらも収納部2の高さに合わせることで、最低限の高さになる。これにより、物品保持部材8を着けたままでも、がたつくことなく、安定した状態で保管でき、図20Cのように、異なる物品保持部材8でも重ねることができる。箱などに立てて入れておくにも、重なっているので入れやすい。
なお、物品保持部材を着けずに保管する場合は、図20Bのような形態、あるいは、図20Aで収納部2の幅を広げ、角柱7のレバー3近傍に切り欠きを設けるとよい。
【0037】
本発明の折り畳みスタンドは、様々な保持手段を持つ物品保持部材8を着脱可能なため、パネルの差し替えができたり、ブックスタンドとして様々な大きさの本を立てたり、商品などを展示したりすることができる。さらに、物品に関する情報の表示もできる。
また、特許第6973760号の壁掛け具の物品が固定されるシートを、特許第6735991号の図11のようなフレームにし、物品保持部材8としてスタンドを取り付けることで、パネルのような物品を壁掛け、スタンド両用にできる。これにより、場所によって展示方法を変えることができる。開閉が片手で容易にできるため、物品の差し替えなどのために一時的に立てておくということもできる。
このように、様々な物品、用途、場所に対応でき、ただ立るだけのスタンド以上の効果が得られる。
【符号の説明】
【0038】
1 スライド部
1a スライド部の孔
1b スライド部に固定されたレバー
1c スライド部の折り返し部分の切り欠き
1d スライド部の折り返し部分の突起
1e スライド部の正面の嵌合孔
2 収納部2
3 レバー
3a レバーの折り
3b レバーの折り
3c レバーの中間の折り目
3d レバーの中間の切り欠き
3e レバーの中間部
3f レバーのスライド部の内部に入る部分
3g レバーのスライド部の内部に入る部分
4 スリット
4a スリットの切り欠き
5 スタンド本体
5a スタンド本体の上部
6 アーム部
6a アーム部の支点
6b アーム部のスライド部との接続部分
7 スタンド本体の左右両端の角柱
7a スタンド本体の左右両端の角柱の突起
8 物品保持部材
8a 物品保持部材のフレーム
8b 物品保持部材の台座
8c 物品保持部材の着脱部
8d 物品保持部材の着脱部の嵌合孔
8e 物品保持部材の台座の突起
8f 物品保持部材の台座上面のスリット
8g 物品保持部材の台座の始点のスリット
9 物品に関する情報が表示できるシート
9a 物品に関する情報が表示できるシートの突起
10 パネル
11 小さい本
12 大きい本
13 商品などの物品