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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011447
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】巻取り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/28 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
B65H75/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115303
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】505290531
【氏名又は名称】株式会社エアウィーヴ
(71)【出願人】
【識別番号】311013122
【氏名又は名称】株式会社シンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】水野 晃
(72)【発明者】
【氏名】河合 孝
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AA01
3F058AB01
3F058AC00
3F058BB17
3F058CA03
3F058DA04
3F058DB01
3F058HA03
3F058HB02
3F058HB07
(57)【要約】
【課題】巻取り作業の効率を向上させることが可能となる巻取り装置を提供する。
【解決手段】対象物を搬送路に載せて巻取り軸へ向けて搬送する搬送処理を行い、前記対象物の搬送方向先端部付近を前記巻取り軸に固定させ、当該巻取り軸を回転させて前記対象物を巻き取る巻取り装置であって、前記搬送路の少なくとも一部は、前記搬送処理の後に前記巻取り軸から離れるように移動する可動搬送路として形成される巻取り装置とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を搬送路に載せて巻取り軸へ向けて搬送する搬送処理を行い、前記対象物の搬送方向先端部付近を前記巻取り軸に固定させ、当該巻取り軸を回転させて前記対象物を巻き取る巻取り装置であって、
前記搬送路の少なくとも一部は、
前記搬送処理の後に前記巻取り軸から離れるように移動する可動搬送路として形成されることを特徴とする巻取り装置。
【請求項2】
前記可動搬送路は、前記対象物の巻取りが進むにつれて、当該対象物を前記巻取り軸に向けて押さえながら当該巻取り軸から離れるように移動することを特徴とする請求項1に記載の巻取り装置。
【請求項3】
前記巻取り軸は、前記可動搬送路の搬送方向側端部付近の上側に配置され、
前記可動搬送路は、前記搬送方向の逆方向側端部付近を回転軸とした回転により、前記巻取り軸から離れるように移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻取り装置。
【請求項4】
前記巻取り軸との間に隙間を形成する巻取りガイドが前記巻取り軸に固定され、
前記隙間に前記対象物を挿入させることにより、前記対象物の前記搬送方向先端部付近を前記巻取り軸に固定させることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の巻取り装置。
【請求項5】
前記対象物について前記巻取り軸への90度以上の巻き付けが可能となるように、前記隙間が形成されたことを特徴とする請求項4に記載の巻取り装置。
【請求項6】
前記巻取りガイドは、
第1板状部と、
前記第1板状部の一端部と90度をなす角度で一端部が接続される第2板状部と、
前記第2板状部の他端部と135度をなす角度で一端部が接続される第3板状部と、
前記第2板状部の他端部と135度をなす角度で一端部が接続される第4板状部と、
を有し、
前記第1板状部と前記第4板状部とは、前記第2板状部が延びる方向に対向し、
前記巻取り軸は、側面視で、円弧状部と、当該円弧状部の両端を結ぶ直線部と、を有し、
前記直線部が前記第1板状部の他端部付近の内面に固定されることで、前記巻取り軸は前記巻取りガイドと一体化されることを特徴とする請求項5に記載の巻取り装置。
【請求項7】
前記巻取り軸による前記対象物の巻取りは、前記対象物の搬送方向と逆方向の端部が前記巻取り軸の真上付近に位置するときに停止されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の巻取り装置。
【請求項8】
前記搬送路は、前記対象物を搬送方向へ送る送りローラを有し、
前記送りローラの回転速度は、前記巻取り軸の回転速度より低速であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の巻取り装置。
【請求項9】
前記対象物は、フィラメント3次元結合体から形成されるクッション体であることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の巻取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、羽毛布団などの寝具を梱包するために寝具を巻き取る巻取り装置が開発されている。このような巻取り装置の一例は、特許文献1に開示される。
【0003】
特許文献1の巻取り装置では、折り曲げて重ねた寝具の折り曲げ個所を円陣状に配置される複数本の保持棒からなる巻取り用回転部材の中の保持棒の一つに引っ掛けて、巻取り用回転部材を回転させることで、寝具を中空状に巻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-151400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の巻取り装置では、使用者が最初に寝具を保持棒に引っ掛ける必要がある。そのため、例えば多数の寝具を逐次巻き取る作業を行う際には、作業効率等の面で問題となる虞がある。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑み、巻取り作業の効率を向上させることが可能となる巻取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る巻取り装置は、対象物を搬送路に載せて巻取り軸へ向けて搬送する搬送処理を行い、前記対象物の搬送方向先端部付近を前記巻取り軸に固定させ、当該巻取り軸を回転させて前記対象物を巻き取る巻取り装置であって、前記搬送路の少なくとも一部は、前記搬送処理の後に前記巻取り軸から離れるように移動する可動搬送路として形成される構成とする。本構成によれば、巻取り作業の効率を向上させることが可能となる。
【0008】
また、上記構成としてより具体的には、前記可動搬送路は、前記対象物の巻取りが進むにつれて、当該対象物を前記巻取り軸に向けて押さえながら当該巻取り軸から離れるように移動する構成としてもよい。また上記構成において、前記巻取り軸は、前記可動搬送路の搬送方向側端部付近の上側に配置され、前記可動搬送路は、前記搬送方向の逆方向側端部付近を回転軸とした回転により、前記巻取り軸から離れるように移動する構成としてもよい。
【0009】
また上記構成において、前記巻取り軸との間に隙間を形成する巻取りガイドが前記巻取り軸に固定され、前記隙間に前記対象物を挿入させることにより、前記対象物の前記搬送方向先端部付近を前記巻取り軸に固定させる構成としてもよい。また上記構成において、前記対象物について前記巻取り軸への90度以上の巻き付けが可能となるように、前記隙間が形成された構成としてもよい。
【0010】
また上記構成において、前記巻取りガイドは、第1板状部と、前記第1板状部の一端部と90度をなす角度で一端部が接続される第2板状部と、前記第2板状部の他端部と135度をなす角度で一端部が接続される第3板状部と、前記第2板状部の他端部と135度をなす角度で一端部が接続される第4板状部と、を有し、前記第1板状部と前記第4板状部とは、前記第2板状部が延びる方向に対向し、前記巻取り軸は、側面視で、円弧状部と、当該円弧状部の両端を結ぶ直線部と、を有し、前記直線部が前記第1板状部の他端部付近の内面に固定されることで、前記巻取り軸は前記巻取りガイドと一体化される構成としてもよい。
【0011】
また上記構成において、前記巻取り軸による前記対象物の巻取りは、前記対象物の搬送方向と逆方向の端部が前記巻取り軸の真上付近に位置するときに停止される構成としてもよい。
【0012】
また上記構成において、前記搬送路は、前記対象物を搬送方向へ送る送りローラを有し、前記送りローラの回転速度は、前記巻取り軸の回転速度より低速である構成としてもよい。また上記構成において、前記対象物は、フィラメント3次元結合体から形成されるクッション体である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る巻取り装置によれば、巻取り作業の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の例示的な実施形態に係る巻取り装置の略右側から視た斜視図である。
図2】本発明の例示的な実施形態に係る巻取り装置の略左側から視た斜視図である。
図3】本発明の例示的な実施形態に係る巻取り装置の略前側から視た斜視図である。
図4】巻取り装置における可動搬送路周辺の構成を示す要部側面断面図である。
図5】巻取りガイドおよび巻取り軸の左右方向側面視での側面図である。
図6】巻取り装置における袋セット治具周辺の構成を示す要部拡大図である。
図7】巻取り装置における袋セット治具の構成を主に示す要部拡大図である。
図8】巻取り装置における右側面上方から視た要部拡大図である。
図9】巻取り装置による処理工程の一例に関するフローチャートである。
図10】巻取り装置の電気的構成を示すブロック図である。
図11】搬送処理の途中状態を示す模式的な側面図である。
図12】搬送処理の完了状態を示す模式的な側面図である。
図13】巻取り処理の途中状態を示す模式的な側面図である。
図14図13の状態からさらに巻取りが進んだ状態を示す模式的な側面図である。
図15】巻取り処理の完了状態を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態について各図面を参照しながら説明する。なお、図面において、左右方向をX方向として左側をX1、右側をX2として示し、前後方向をY方向として前側をY1、後側をY2として示し、上下方向をZ方向として上側をZ1、下側をZ2として示す。巻取り装置の使用時には、巻取り装置が載置される床面側が下側(Z2側)となる。
【0016】
<巻取り装置の全体構成>
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る巻取り装置1の略右側から視た斜視図、図2は、巻取り装置1の略左側から視た斜視図、図3は、巻取り装置1の略前側から視た斜視図である。
【0017】
巻取り装置1は、ワーク(対象物)の一例としての寝具を巻き取るための装置である。特にここでは、寝具は、ベッドマットレスなどに用いられるクッション体としている。より具体的には、当該クッション体は、熱可塑性樹脂からなるフィラメントを3次元的に融着結合させて得られるフィラメント3次元結合体(立体網状構造体)から形成されており、可撓性を有した略板状体となっている。なお、フィラメント3次元結合体については、例えば特開2020-26586号公報に開示されているように公知であるため、ここではその詳述は省く。
【0018】
巻取り装置1は、搬送ローラ2と、一対の送りローラ3と、左側板4と、右側板5と、一対の送りワークセンサ6と、一対の投入ガイド7と、可動搬送路8と、巻取り軸9と、巻取りガイド10と、ガイドローラ11と、排出シリンダ12と、送りローラ駆動機構13と、巻取り軸駆動機構14と、袋セット治具15と、巻取り軸サポータ16と、下部フレーム17と、一対のエアシリンダ18と、排出バー19と、巻取りワークセンサ20と、を備えている。
【0019】
複数の搬送ローラ2と、一対の送りローラ3と、可動搬送路8は、搬送路50を構成する。搬送路50は、ワークを図1および図2において矢印で示す搬送方向A(前方)に搬送するための通路である。
【0020】
複数の搬送ローラ2は、各々が左右方向(軸方向)に延びる回転軸周りに回転自在となっており、後側から前側にかけて並べられる。各々の搬送ローラ2は、左側板4と右側板5に挟まれて配置される。
【0021】
一対の送りローラ3は、具体的には、上側送りローラ3Aと、下側送りローラ3Bとからなる。下側送りローラ3Bは、複数の搬送ローラ2のうちの最も前側の搬送ローラ2の前側に隣接して配置される(後述する図4)。上側送りローラ3Aは、下側送りローラ3Bの上側に配置される。上側送りローラ3Aと下側送りローラ3Bとの間には、ワークを挿入するために隙間SSが設けられる(図4)。一対の送りローラ3は、送りローラ駆動機構13によって軸方向に延びる回転軸周りに回転駆動される。送りローラ駆動機構13には、装置右側面に設けられる送りモータ131と、装置左側面に設けられるギアボックス132が含まれる。なお、送りモータ131と送りローラ3の間にはクラッチが設けられており、このクラッチを切り離すことにより、後述する送りローラ3の空転が可能となる。
【0022】
一対の送りワークセンサ6は、具体的には、左側ワークセンサ6Aと、右側ワークセンサ6Bとからなる。送りワークセンサ6は、一対の送りローラ3直近手前の位置である搬送開始位置にワークが位置することを検知するセンサである。一対の投入ガイド7は、左側ガイド7Aと右側ガイド7Bとで構成され、各ガイド7A,7Bは、それぞれ左右方向において互いに逆方向に搬送ローラ2上をスライド可能である。すなわち、各ガイド7A,7Bは、互いに左右方向に近づいたり離れたりすることができ、そのスライド位置はワークの幅に合わせて調整できる。ワークは、投入ガイド7に左右から挟まれてガイドされて搬送される。
【0023】
可動搬送路8は、一対の送りローラ3より前側に配置され、前後方向に延びる。可動搬送路8は、自身の後端部(搬送方向の逆方向側端部)付近に位置する軸方向に延びる回転軸周りに回転自在である。可動搬送路8のより詳細な構成については、後述する。
【0024】
巻取り軸9は、搬送路8の上側に配置される。巻取り軸9は、巻取り軸駆動機構14により軸方向に延びる回転軸周りに回転駆動される。巻取り軸駆動機構14には、装置右側面に設けられる巻取りモータ141が含まれる。巻取り軸9は、ワークを巻き取るための部材である。
【0025】
巻取りガイド10は、巻取り軸9の周面に固定され、左右方向側面視で折り曲げられた形状の板状部材である(図4)。巻取りガイド10は、巻取り軸9の軸方向全体にわたって延びる。巻取りガイド10は、ワークの搬送方向先端部の挿入をガイドして、当該搬送方向先端部付近を巻取り軸9に固定するための部材である。
【0026】
複数のガイドローラ11は、各々が軸方向に延びる回転軸周りに回転可能であり、左右方向側面視で巻取り軸9および巻取りガイド10の周囲に円弧状に配置される(図4)。ガイドローラ11は、ワークを巻き取るときにワークの巻き数が多くなった場合に、ワークと接触してワークをガイドするものである。
【0027】
巻取りワークセンサ20は、搬送されるワークの搬送方向先端部が巻取りガイド10内部の所定位置に位置することを検知するためのセンサである。
【0028】
左右一対のエアシリンダ18は、下部フレーム17に固定される。エアシリンダ18は、可動搬送路8と接続される。エアシリンダ18が駆動中は、可動搬送路8は水平位置よりも上側に起立可能である。エアシリンダ18の駆動停止中は、可動搬送路8は水平位置で停止される。
【0029】
巻取り軸サポータ16は、巻取り軸9を支持する。なお、後述するように、巻取り軸サポータ16は、巻取り軸9により巻き取られたワークを左側に排出する際には、ワークの排出を妨げないように下側へ移動するよう駆動される。
【0030】
袋セット治具15は、ワークを収納するための収納袋を巻取り装置1に固定するための治具であり、装置左側面に設けられる。
【0031】
排出シリンダ12は、排出バー19を左右方向(軸方向)に移動させることが可能である。排出バー19を左側に移動させることで、巻取り軸9により巻き取られたワークが袋セット治具15に固定された収納袋内部に排出される。
【0032】
なお、下部フレーム17は、下端部の四隅にキャスター17Aを有している。これにより、巻取り装置1を例えば使用者が押して移動させることが可能である。
【0033】
<可動搬送路の構成>
図4は、巻取り装置1における可動搬送路8周辺の構成を示す要部側面断面図である。図4に示すように、可動搬送路8は、4つの可動ローラ81Aと、1つの固定ローラ81Bと、を有している。
【0034】
なお、後述の図6に示すように、可動搬送路8は、前後方向に延びるフレーム82を有しており、可動ローラ81Aは、フレーム82により左右方向に挟まれて配置され、フレーム82により保持される。可動ローラ81Aは、前後方向に並べられる。
【0035】
図4に示すように、下側送りローラ3Bの前方には隣接して1つの搬送ローラ2が配置される。そして、搬送ローラ2の前方に隣接して固定ローラ81Bが配置される。固定ローラ81Bの前方に4つの可動ローラ81Aが配置される。
【0036】
固定ローラ81Bは、軸方向に延びる回転軸周りに回転自在である。固定ローラ81Bの位置は、固定される。可動ローラ81Aとフレーム82は、一体的に上記固定ローラ81Bの回転軸周りに回転自在である。すなわち、可動ローラ81Aは、上下に移動可能である。
【0037】
図4に示すように、巻取り軸9は、可動搬送路8の前端部付近の上側に配置される。また、図4に示すように、フレーム82の前側下端部には、エアシリンダ18が接続される。
【0038】
<巻取りガイドの構成>
図5は、巻取りガイド10および巻取り軸9の左右方向側面視での側面図である。図5に示すように、巻取りガイド10は、左右方向側面視で折り曲げられた形状を有する板状部材であり、第1板状部101と、第2板状部102と、第3板状部103と、第4板状部104と、を一体として有する。
【0039】
第1板状部101は、一端部を第2板状部102の一端部と接続され、第2板状部102とのなす角度は90度である。第2板状部102は、他端部を第3板状部103の一端部と接続され、第3板状部103とのなす角度は135度である。第3板状部103は、他端部を第4板状部104の一端部と接続され、第4板状部104とのなす角度は135度である。第1板状部101と第4板状部104とは、第2板状部102が延びる方向に対向する。
【0040】
巻取り軸9は、左右方向側面視で直径Dの円弧状部9Aと、当該円弧状部9Aの両端を結ぶ直線部9Bを有する。直線部9Bが第1板状部101の他端部付近の内面に固定されることで、巻取り軸9は巻取りガイド10と一体化される。
【0041】
巻取りガイド10と巻取り軸9との間には、隙間Sが形成される。隙間Sの開口部SAから隙間S内部へワークを挿入することが可能となっている。図5に示すように、隙間Sは、左右方向側面視で、巻取り軸9の回転軸位置(円弧状部9Aの中心位置)と開口部SAの外端とを結ぶ線分L1を上記回転軸位置周りに90度だけ回転した線分L2の位置より奥側まで開口部SAから延びる。これにより、ワークを巻取り軸9に上記回転軸周りに90度以上巻き付けることが可能である。従って、ワークを巻取り軸9に強固に固定できる。なお、本実施形態の巻取りガイド10は、巻取り軸9の軸方向全体に亘って延びた形態となっているが、ワークの固定が適切になされる限り、他の形態が採用されても良い。例えば、巻取りガイド10を爪状の形態(左右方向側面視では図5と同じ形状であるが、巻取り軸9の軸方向に短くされた形状)として、例えば巻取り軸9の軸方向両端部のみに設けてもよい。
【0042】
<袋セット治具の構成>
図6は、巻取り装置1における袋セット治具15周辺の構成を示す要部拡大図である。袋セット治具15は、フランジ151と、袋把持部15A~15Cと、を有する。
【0043】
フランジ151は、左側板4の外面に取り付けられる。フランジ151の開口部151Aは、巻取り軸9の左側に配置され、巻取り軸9と左右方向に対向する。
【0044】
フランジ151の外周端付近には、フランジ151の左右方向に延びる中心軸周りに袋把持部15A~15Cが等間隔に配置される。袋把持部15A~15Cは、各々、ヒンジによって開閉自在である。袋把持部15A~15Cが開状態では、フランジ151と袋把持部15A~15Cとの間に収納袋を挿入するスペースがある(図6の袋把持部15B,15Cが開状態)。袋把持部15A~15Cが閉状態では、フランジ151と袋把持部15A~15Cとの間にほぼ隙間がない状態となり、フランジ151と袋把持部15A~15Cとの間で収納袋を把持することができる(図6の袋把持部15Aは閉状態)。
【0045】
これにより、袋把持部15A~15Cを開状態として、収納袋をフランジ151に取り付け、袋把持部15A~15Cを閉状態とすれば、収納袋を巻取り装置1に固定できる。
【0046】
<排出機構の構成>
図7は、巻取り装置1における袋セット治具15の構成を主に示す要部拡大図である。また、図8は、巻取り装置1における右側面から視た要部拡大図である。排出シリンダ12(図8)により左右方向に移動可能な排出バー19は、図7および図8に示す状態では、図7の紙面奥側の初期位置に位置している。排出バー19は、初期位置の状態では巻取り軸9により巻き取られたワークよりも右側(図7の紙面奥側)に位置する。排出バー19は、初期位置より左側(図7の紙面手前側)に移動することで、巻き取られたワークを袋セット治具15側へ押し出す。これにより、ワークは袋セット治具15にセットされた収納袋に収納される。
【0047】
<巻取り装置の処理工程>
次に、本実施形態に係る巻取り装置1により行われる処理工程について、図9に示すフローチャートに沿って説明する。ここで、図10は、本実施形態に係る巻取り装置1の電気的構成を示すブロック図である。図10に示すように、巻取り装置1は、各部を制御する制御部30を有する。
【0048】
図9に示すフローチャートの処理が開始されると、まずステップS1で、制御部30は、送りワークセンサ6A,6Bでワークが検知されているか否かを判定する。検知されていない間は(ステップS1のNO)、ステップS1を繰り返す。
【0049】
ここで、作業者が略板状のワークを搬送ローラ2上にセットして、送りモータ3側へワークを搬送方向に押し、ワークの搬送方向先端部が送りローラ3直近手前の搬送開始位置に到達すると、送りワークセンサ6A,6Bによりワークが検知される(ステップS1のYES)。すると、ステップS2に進み、制御部30は、袋セット治具15に収納袋がセットされているか否かを判定する。
【0050】
袋セット治具15に収納袋がセットされているかは、例えば、袋把持部15A~15Cがすべて閉状態になっているかを確認すればよい。制御部30は、収納袋がセットされていない間は(ステップS2のNO)、ステップS2を繰り返す。
【0051】
制御部30により収納袋がセットされていると判定された場合は(ステップS2のYES)、ステップS3に進み、制御部30は、エアシリンダ18の駆動を開始させる。これにより、ステップS4のように、可動搬送路8が水平姿勢より起立する。このとき、図11に模式図を示すように、巻取りガイド10は、開口部SAが下側となるように初期位置の姿勢をとっている。そして、可動搬送路8は、巻取りガイド10の第4板状部104と接触するまで固定ローラ81Bの回転軸J1周りに回転して水平姿勢(図11の破線)より起立する。起立した後、後述するステップS10が行われるまで、可動搬送路8はエアシリンダ18の作用により、概ね一定の力で上方へ付勢され続ける。
【0052】
その後、ステップS5で、制御部30は、送りモータ131を駆動開始させることで、送りローラ3(上側送りローラ3A,下側送りローラ3B)の駆動を開始させる。すると、ワークの搬送方向先端部が一対の送りローラ3間の隙間SS(図4)に引き込まれ、ワークの搬送方向への搬送処理が開始される。
【0053】
これにより、図11に示すように、ワークWは、搬送方向Aに搬送され、ワークWの搬送方向先端部T1は、図11に示す搬送ローラ2から可動搬送路8の固定ローラ81B、可動ローラ81Aの順に各ローラ上を通過する。
【0054】
そして、ワークWの搬送方向先端部T1は、巻取りガイド10と巻取り軸9との間の隙間Sにおける開口部SAから内部へ入り込む。そして、図12に示すように、ワークWの搬送方向先端部T1は、先述した線分L1(図10)から巻取り軸9の回転軸J2周りに90度だけ回転させた線分L2よりもさらに回転させた所定位置Pに到達する。これにより、図12に示すように、ワークWの搬送方向先端部T1付近の巻取り軸9への90度以上の巻き付けが可能となる。なお、所定位置Pの具体的な位置は、ワークWの搬送方向先端部T1が隙間Sから意図せずに逸脱することがない範囲で、任意に設定され得る。
【0055】
ステップS5の後、ステップS6で、制御部30は、巻取りワークセンサ20でワークが検知されているか否かを判定しており、図12に示すようにワークWの搬送方向先端部T1が所定位置Pに到達すると、巻取りワークセンサ20によりワークWが検知される。なお、図8に、巻取りワークセンサ20が示される。
【0056】
巻取りワークセンサ20でワークが検知されると(ステップS6のYES)、ステップS7に進み、制御部30は、送りモータ131の駆動を停止させることで、送りローラ3の駆動を停止させる。これにより、ワークの搬送処理は停止される。
【0057】
その後、ステップS8に進み、制御部30は、巻取りモータ141の駆動を開始させ、巻取り軸9の駆動を開始させる。これにより、巻取り軸9は、左側面から視て右回りに回転軸J2周りの回転を開始する。このとき、制御部30は、送りモータ131(すなわち送りローラ3)を空転させる。なお、これに限らず、制御部30は、送りローラ3の回転速度を巻取り軸9の回転速度より低速となるように制御してもよい。これにより、ワークを搬送方向に引っ張りつつ搬送することができ、ワークの弛み等をより十分に抑えることができる。
【0058】
ステップS8により、図13に示すように、ワークWは、巻取り軸9および巻取りガイド10の周りに巻き付けられる。このとき、図13に示すように、ワークWの巻取りが進むにつれて、巻き取られたワークWは径方向寸法が徐々に大きくなり、その分、先述したエアシリンダ18による付勢に逆らって可動搬送路8を下方へ押さえるように作用する。このとき、可動搬送路8がエアシリンダ18によりワークWを巻取り軸9側に向けて押さえながら(付勢を与えながら)、巻取り軸9から離れるように移動すると見ることもできる。
【0059】
そのため可動搬送路8は、ワークWを概ね一定の力で支えながら、徐々に下降することになる。図13では、図12での可動搬送路8の位置(破線)から実線の位置まで可動搬送路8が回転軸J1周りに回転して移動したことを示している。これにより、ワークWを可動搬送路8により支持しつつ巻取りできるので、ワークWが垂れ下がって巻取りが不安定となることを回避しつつ、巻取りを継続することが可能となる。
【0060】
図14は、図13からさらに巻取りが進んだ状態を示し、可動搬送路8は、図13の状態での位置(破線)からさらに実線の位置まで移動している(下降している)。
【0061】
そして、ステップS9で、制御部30は、巻取りモータ141の駆動を停止させることで、巻取り軸9の駆動を停止させる。この停止タイミングは、例えば、図15に示すように、ワークWの搬送方向と逆方向の端部T2が、巻取り軸9の真上付近に位置するタイミングとすることが好ましい。仮に、巻取り停止状態で、図15に示すよりも巻取り軸9が左方向に回転した状態であると、端部T2付近がワークWよりはがれた状態となってしまい、後述の収納袋への排出処理の際に収納しにくくなる。
【0062】
巻取り停止タイミングを端部T2が巻取り軸9の真上付近に位置するタイミングとするには、例えば、端部T2を不図示のセンサより検知してもよい。または、制御部30が送りワークセンサ6A,6BによりワークWを検知しなくなったと判定してから、時間計測を開始し、所定時間が経過したら巻取り軸9の駆動を停止させてもよい。
【0063】
ステップS9で巻取り処理が停止すると、ステップS10で制御部30は、エアシリンダ18の駆動を停止させることで、可動搬送路8を水平姿勢まで下降させる。そして、ステップS11に進み、制御部30は、排出シリンダ12を駆動させることで、排出バー19を初期位置から左方向へ移動させる。これにより、ワークが排出バー19により袋セット治具15側へ押し出され、ワークが収納袋に収納される。なお、排出バー19によりワークを排出する際には、巻取り軸サポータ16は予め下側へ移動するように駆動され、ワークの排出を妨げないようにする。
【0064】
そして、ステップS1に戻る。以降でのステップS2で収納袋がセットされているかの判定は、袋セット治具15の袋把持部15A~15Cが一旦、開状態とされてから閉状態となっていることを確認することが好ましい。単に閉状態となっているかだけでは、新たな収納袋でなく前回の収納袋がセットされている可能性があるからである。
【0065】
ステップS11の後、作業者が新たな収納袋をセットしてから、新たなワークWを搬送路50にセットして送りローラ3側へ押し出せば、ステップS3に進み、搬送処理が開始されることになる。
【0066】
このように本実施形態に係る巻取り装置1によれば、ワークの搬送処理、巻取り処理、および排出処理まで自動的に行うことが可能である。そのため、ワークを巻き取ってコンパクトにした上で、これを収納袋へ収納するという一連の作業を非常に効率よく行うことができ、ワークが大量にある場合でも、当該作業の効率を大幅に向上させることができる。
【0067】
<その他>
上述したとおり巻取り装置1は、ワークを搬送路50に載せて巻取り軸9へ向けて搬送する搬送処理を行い、ワークの搬送方向先端部付近を巻取り軸9に固定させ、巻取り軸9を回転させてワークを巻き取る巻取り装置であって、搬送路50の一部は、当該搬送処理の後に巻取り軸9から離れるように移動する可動搬送路8として形成されている。そのため搬送路50は、ワークを搬送して巻取り軸9への固定を容易としながらも、巻取り軸9から離れるように移動することでワークの巻取りを阻害しないようになっている。このように巻取り装置1は、巻取り作業の効率を向上させることが可能となるように工夫されている。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えば寝具等を巻き取る巻取り装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 巻取り装置
2 搬送ローラ
3 送りローラ
3A 上側送りローラ
3B 下側送りローラ
4 左側板
5 右側板
6 送りワークセンサ
6A 左側ワークセンサ
6B 右側ワークセンサ
7 投入ガイド
8 可動搬送路
9 巻取り軸
9A 円弧状
9B 直線部
10 巻取りガイド
11 ガイドローラ
12 排出シリンダ
13 送りローラ駆動機構
14 巻取り軸駆動機構
15 袋セット治具
15A 袋把持部
15A~15C 袋把持部
16 巻取り軸サポータ
17 下部フレーム
17A キャスター
18 エアシリンダ
19 排出バー
20 巻取りワークセンサ
30 制御部
50 搬送路
81A 可動ローラ
81B 固定ローラ
82 フレーム
101 第1板状部
102 第2板状部
103 第3板状部
104 第4板状部
131 送りモータ
132 ギアボックス
141 巻取りモータ
151 フランジ
151A 開口部
A 搬送方向
D 直径
J1 回転軸
J2 回転軸
L1 線分
L2 線分
P 所定位置
S 隙間
SA 開口部
SS 隙間
T1 搬送方向先端部
T2 端部
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図12
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図15