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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114482
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】光通信素子及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20230810BHJP
   H04B 10/114 20130101ALI20230810BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20230810BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G06K19/07 280
H04B10/114
H04B10/80 160
G06K19/07 090
G06K19/07 040
G06K7/10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016787
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】植木 智子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 豪
(72)【発明者】
【氏名】大島 章
(72)【発明者】
【氏名】青森 繁
(72)【発明者】
【氏名】由井 英臣
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA21
5K102AL23
5K102AL28
5K102AN02
5K102AN03
5K102PB02
5K102PH31
5K102PH35
5K102PH38
5K102RB02
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】光通信素子により消費される電力の光通信素子への給電に制約がある環境下においても使用することができる光通信素子を提供する。
【解決手段】光通信素子は、照射光を受けて光通信を行う光通信素子であって、前記照射光に含まれる第1の光を再帰性反射する再帰性反射器と、前記再帰性反射器に対向する光変調素子と、前記光変調素子の光透過率を制御して前記光変調素子に前記第1の光を識別情報で変調させる制御部と、前記第1の光とは異なり前記照射光に含まれる第2の光を電力に変換する発電部と、を備え、前記光変調素子及び前記制御部は、前記電力を消費して動作する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を受けて光通信を行う光通信素子であって、
前記照射光に含まれる第1の光を再帰性反射する再帰性反射器と、
前記再帰性反射器に対向する光変調素子と、
前記光変調素子の光透過率を制御して前記光変調素子に前記第1の光を識別情報で変調させる制御部と、
前記第1の光とは異なり前記照射光に含まれる第2の光を電力に変換する発電部と、を備え、
前記光変調素子及び前記制御部は、前記電力を消費して動作する光通信素子。
【請求項2】
前記発電部は太陽電池である請求項1に記載の光通信素子。
【請求項3】
前記光変調素子は、前記第1の光の光路上に配置される複数の応答領域を備え、
前記制御部は、前記複数の応答領域の光透過率を制御して前記複数の応答領域に前記第1の光を前記識別情報で変調させる
請求項1又は2に記載の光通信素子。
【請求項4】
前記光変調素子は、回転対称性を有しない識別領域を有する
請求項1から3までのいずれかに記載の光通信素子。
【請求項5】
前記再帰性反射器は、回転対称性を有しない識別領域を有する
請求項1から3までのいずれかに記載の光通信素子。
【請求項6】
前記光変調素子は、液晶表示素子を備える
請求項1から5までのいずれかに記載の光通信素子。
【請求項7】
前記光変調素子は、微小電気機械システムを備える
請求項1から6までのいずれかに記載の光通信素子。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかに記載の光通信素子と、
前記光通信素子に前記第1の光を照射する光源部と、前記光通信素子から前記光変調素子が前記第1の光を前記識別情報で変調することにより生成される変調光を受光する受光部と、を備えるリーダと、
を備える光通信システム。
【請求項9】
前記リーダは、前記第1の光を反射し前記光変調素子が前記第1の光を前記識別情報で変調することにより生成される変調光を透過させるハーフミラーを備え、
前記光源部の光軸及び前記受光部の光軸は、前記光通信素子と前記ハーフミラーとの間において一致する
請求項8に記載の光通信システム。
【請求項10】
各光通信素子が請求項1から9までのいずれかに記載の光通信素子である複数の光通信素子と、
前記複数の光通信素子を含む照射領域を有し前記各光通信素子に前記第1の光を照射する光源部と、前記複数の光通信素子を含む画角を有し前記各光通信素子から前記光変調素子が前記第1の光を前記識別情報で変調することにより得られる変調光を受光するカメラと、を備えるリーダと、
を備える光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光通信素子及び光通信システムに関する
【背景技術】
【0002】
光IDタグは、光IDタグの識別情報(ID情報)等を光通信によりリーダに送信する。当該光IDタグは、電力を消費して動作する。
【0003】
特許文献1に記載された照明光通信装置においては、端末側通信装置のCCRが、照明光を照明側通信装置に向けて反射する。また、端末側通信装置の光シャッタが、データにしたがって反射光のオンオフ制御を行うことにより変調された反射光を照明側通信装置へ送る(段落0043-0044)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-221747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ID情報等をリーダに送信する光IDタグは、電力を消費して動作する。しかし、当該電力の光IDタグへの給電に制約がある環境下に光IDタグを設置しなければならないことも多い。
【0006】
本開示は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一形態は、光通信素子により消費される電力の光通信素子への給電に制約がある環境下においても使用することができる光通信素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態の光通信素子は、照射光を受けて光通信を行う光通信素子であって、前記照射光に含まれる第1の光を再帰性反射する再帰性反射器と、前記再帰性反射器に対向する光変調素子と、前記光変調素子の光透過率を制御して前記光変調素子に前記第1の光を識別情報で変調させる制御部と、前記第1の光とは異なり前記照射光に含まれる第2の光を電力に変換する発電部と、を備え、前記光変調素子及び前記制御部は、前記電力を消費して動作する。
【0008】
本開示の一形態の光通信システムは、上述した光通信素子と、前記光通信素子に前記第1の光を照射する光源部と、前記光通信素子から前記光変調素子が前記第1の光を前記識別情報で変調することにより生成される変調光を受光する受光部と、を備えるリーダと、を備える。
【0009】
本開示の他の一形態の光通信システムは、各光通信素子が上述した光通信素子である複数の光通信素子と、前記複数の光通信素子を含む照射領域を有し前記各光通信素子に前記第1の光を照射する光源部と、前記複数の光通信素子を含む画角を有し前記各光通信素子から前記光変調素子が前記第1の光を前記識別情報で変調することにより生成される変調光を受光するカメラと、を備えるリーダと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、光通信素子により消費される電力の光通信素子への給電に制約がある環境下においても使用することができる光通信素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の光通信システムを模式的に図示するブロック図である。
図2】第1実施形態の光通信素子に備えられる信号送信部を模式的に図示するブロック図である。
図3】第1実施形態の光通信システムの動作を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の光通信素子に備えられる光変調素子が第1の光を変調することにより生成される変調光の強度の時系列データを示すグラフである。
図5】第1実施形態の変形例の光通信素子に備えられる光変調素子が第1の光を変調することにより生成される変調光の強度の時系列データを示すグラフである。
図6】第2実施形態の光通信素子に備えられる信号送信部を模式的に図示する図である。
図7】第2実施形態の第1変形例の光通信素子に備えられる信号送信部を模式的に図示する図である。
図8】第2実施形態の第2変形例の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
図9】第2実施形態の第3変形例の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
図10】第2実施形態の第3変形例の光通信素子に備えられる光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
図11】第2実施形態の第4変形例の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
図12】第2実施形態の第4変形例の光通信素子に備えられる光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
図13A】第2実施形態の第5変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。
図13B】第2実施形態の第5変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板を模式的に図示する図である。
図14】第2実施形態の第5変形例の光通信素子に備えられる光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
図15】第2実施形態の第6変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。
図16A】第2実施形態の第7変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。
図16B】第2実施形態の第7変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板を模式的に図示する図である。
図17】第2実施形態の第7変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
図18A】第3実施形態の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。
図18B】第3実施形態の光通信素子に備えられる再帰性反射板を模式的に図示する図である。
図19】第3実施形態の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
図20】第4実施形態の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
図21A】第5実施形態の光通信素子に備えられる応答領域の光透過率に付与される、90°の回転について回転対称性を有しないパターンの例を模式的に図示する図である。
図21B】第5実施形態の光通信素子に備えられる応答領域の光透過率に付与される、90°の回転について回転対称性を有しないパターンの例を模式的に図示する図である。
図22】第5実施形態の光通信素子に備えられる応答領域の光透過率に、90°の回転について回転対称性を有しないパターンが付与されるタイミングを説明する図である。
図23】第6実施形態の光通信システムにおける照射光の照射範囲及びカメラの画角を模式的に図示する図である。
図24】第7実施形態の光通信システムを模式的に図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
1 第1実施形態
1.1 光通信システム
図1は、第1実施形態の光通信システムを模式的に図示するブロック図である。
【0014】
図1に図示されるように、第1実施形態の光通信システム1は、リーダ11及び光通信素子12を備える。第1実施形態においては、光通信システム1は、光給電タグシステムであり、光通信素子12は、光給電タグである。
【0015】
リーダ11は、光通信素子12に照射光Lを照射する。光通信素子12は、照射された照射光Lに含まれる第1の光L1を再帰性反射し、第1の光L1を光通信素子12の識別情報(ID情報)で変調する。また、光通信素子12は、照射された照射光Lに含まれる第2の光L2を電力に変換し、当該電力を消費して動作する。リーダ11は、第1の光L1を再帰性反射及び変調することにより生成される反射光(変調光)L1rを受光し、受光した反射光(変調光)L1rからID情報を復調する。
【0016】
照射光L、第1の光L1、第2の光L2及び反射光(変調光)L1rの波長は制限されない。このため、照射光L、第1の光L1、第2の光L2及び反射光(変調光)L1rは、赤外光、可視光及び紫外光のいずれであってもよい。
【0017】
第1実施形態においては、光通信素子12が変調光L1rを発する光源を備えなくてもよい。このため、光通信素子12により消費される電力が小さくなる。このため、当該電力の光通信素子12への給電に制約がある環境下においても光通信素子12を使用することができる。
【0018】
第1実施形態においては、光通信素子12により消費される電力をリーダ11から光通信素子12に光給電することができる。このため、当該電力の光通信素子12への給電に制約がある環境下においても光通信素子12を使用することができる。例えば、当該電力を光通信素子12に伝送するケーブルを設置することが困難である場合、当該電力を光通信素子12に給電する電池を光通信素子12に内蔵することが困難である場合、当該電池の交換が困難である場合等においても、光通信素子12を使用することができる。
【0019】
1.2 リーダ
図1に図示されるように、リーダ11は、操作部21、表示部22、光源部23、信号受信部24及び制御部25を備える。
【0020】
操作部21は、ユーザの操作を受け付ける。操作部21は、ボタン、スライダ、ダイヤル、タッチパネル等である。
【0021】
表示部22は、情報を表示する。表示部22は、ディスプレイ等である。
【0022】
光源部23は、光通信素子12に照射光Lを照射する。光源部23は、発光ダイオード等である。
【0023】
信号受信部24は、受光部31を備える。受光部31は、光通信素子12から反射光(変調光)L1rを受光し、受光した反射光(変調光)L1rの強さに応じた信号を出力する。受光部31は、カメラ、フォトダイオード、フォトレジスタ等である。リーダ11と光通信素子12との間で反射光(変調光)L1rにより行われる通信がシリアル通信である場合は、受光部31が、単一のフォトダイオード、単一のフォトレジスタ等の単一のセンサであってもよい。受光部31は、光源部23に近接して配置される。これにより、受光部31は、第1の光L1を再帰性反射することにより生成される反射光(変調光)L1rを効率的に受光することができる。
【0024】
制御部25は、プロセッサ、メモリ及びストレージを備える。ストレージには、制御プログラムがインストールされる。プロセッサは、ストレージからメモリにロードされた制御プログラムを実行する。これにより、制御部25は、操作部21によりユーザの操作が受け付けられた場合に、光源部23を制御して光源部23に照射光Lを照射させる。また、制御部25は、受光部31により反射光(変調光)L1rが受光された場合に、受光された反射光(変調光)L1rからID情報を復調し、表示部22を制御して表示部22に復調したID情報を表示させる。反射光(変調光)L1rからID情報が復調される際には、受光部31により出力された信号に処理が行われてID情報が取得される。制御部25の機能の一部がハードウェアにより実装されてもよい。
【0025】
1.3 光通信素子
図1に図示されるように、光通信素子12は、発電部41、信号送信部42及び制御部43を備える。
【0026】
発電部41は、第2の光L2を電力に変換して電力を発電し、発電した電力を信号送信部42及び制御部43に給電する。発電部41は、太陽電池等である。発電部41は、電力を給電する電源部の一例である。このため、発電した電力を給電する発電部41が、他の種類の電源を含んでいてもよい。例えば、発電した電力を給電する発電部41が、一次電池又は二次電池を含んでいてもよい。
【0027】
信号送信部42は、発電部41により発電された電力を消費して動作する。信号送信部42は、第1の光L1を再帰性反射し、第1の光L1をID情報で変調する。
【0028】
制御部43は、発電部41により発電された電力を消費して動作する。制御部43は、プロセッサ、メモリ及びストレージを備える。ストレージには、制御プログラムがインストールされる。プロセッサは、ストレージからメモリにロードされた制御プログラムを実行する。これにより、制御部43は、信号送信部42を制御して信号送信部42に第1の光L1をID情報で変調させる。制御部43の機能の一部がハードウェアにより実装されてもよい。
【0029】
光通信素子12が、発電部41により発電された電力を一時的に貯蔵するキャパシタ又は蓄電池を備えてもよい。
【0030】
光通信素子12がセンサ値を出力するセンサを備えてもよい。光通信素子12が当該センサを備える場合は、制御部43が、信号送信部42に第1の光L1を当該センサ値で変調させてもよい。これにより、リーダ11は、当該センサ値を得ることができる。当該センサは、温度センサ、湿度センサ等であり、当該センサ値は、温度値、湿度値等である。したがって、光通信素子12は、光給電センサを兼ねてもよい。
【0031】
図2は、第1実施形態の光通信素子に備えられる信号送信部を模式的に図示するブロック図である。
【0032】
図2に図示されるように、信号送信部42は、再帰性反射板51及び光変調素子53を備える。第1実施形態においては、光変調素子53は、光シャッタ、光変調器等である。
【0033】
再帰性反射板51は、第1の光L1を再帰性反射する。再帰性反射板51は、板状の形状を有する再帰性反射器である。再帰性反射板51が、板状の形状以外の形状を有する再帰性反射器に置き換えられてもよい。
【0034】
光変調素子53は、第1の光L1の光路上に配置され、例えば、再帰性反射板51の反射面上に配置されて再帰性反射板51に対向する。光変調素子53は、発電部41により発電された電力を消費して動作する。光変調素子53の光透過率は、光変調素子53が開となる最大光透過率と、光変調素子53が閉となる最小光透過率と、の間で切り替えることができる。このため、光変調素子53は、第1の光L1を変調して反射光(変調光)L1rを点滅させることができる。光変調素子53は、液晶表示素子、微小電気機械システム(MEMS)等である。光変調素子53が液晶表示素子又はMEMSである場合は、光変調素子53が反射光(変調光)L1rを効率的に透過させることができる。液晶表示素子は、高分子分散型液晶(PDLC)を含む液晶パネル等である。
【0035】
再帰性反射板51により再帰性反射されて再帰性反射板51から出射する出射波OWの伝搬経路は、再帰性反射板51に入射する入射波IWの伝搬経路に一致する。これにより、リーダ11に反射光(変調光)L1rを効率的に届けることができる。これにより、リーダ11は、リーダ11から光通信素子12までの距離が長い場合であっても、ID情報を得ることができる。また、照射光Lの強度が弱い場合であっても、ID情報を得ることができる。したがって、リーダ11の消費電力を抑制することができる。
【0036】
制御部43は、発電部41により発電された電力を消費して動作する。制御部43は、光変調素子53の光透過率を制御して光変調素子53に第1の光L1をID情報で変調させる。これにより、ID情報を光通信素子12からリーダ11へ反射光(変調光)L1rにより送信することができる。リーダ11と光通信素子12との間で反射光(変調光)L1rにより行われる通信は、シリアル通信である。
【0037】
1.4 光通信システムの動作
図3は、第1実施形態の光通信システムの動作を示すフローチャートである。
【0038】
リーダ11は、図3に示されるステップS101からS104までを実行する。光通信素子12は、図3に示されるステップS111からS115までを実行する。
【0039】
ステップS101においては、制御部25が、光源部23が照射光Lを光通信素子12に照射することを開始するように光源部23を制御する。
【0040】
ステップS111においては、照射光Lを光通信素子12に照射することが開始されるのに同期して、発電部41が、第2の光L2を電力に変換することを開始して発電を開始する。これにより、光通信素子12は、起動する。
【0041】
光通信素子12は、リーダ11から電力が光給電されるのに応答して起動する。このため、リーダ11は、ID情報が必要となった場合に照射光Lを光通信素子12に照射することにより、光通信素子12を起動させてID情報を得ることができる。
【0042】
続くステップS112においては、制御部43が、メモリ又はストレージからID情報を読み取る。
【0043】
続くステップS113においては、制御部43が、ID情報に応じた信号を生成する。
【0044】
続くステップS114においては、制御部43が、生成した信号にしたがって光変調素子53を駆動する。これにより、信号送信部42は、当該信号を送信する。
【0045】
ステップS102においては、受光部31が、反射光(変調光)L1rを受光する。これにより、信号受信部24は、送信された信号を受信する。また、制御部25が、反射光(変調光)L1rからID情報を復調する。
【0046】
続くステップS103においては、制御部25が、光源部23が照射光Lを光通信素子12に照射することを停止するように光源部23を制御する。
【0047】
ステップS115においては、照射光Lを光通信素子12に照射することが停止されるのに同期して、発電部41が、第2の光L2を電力に変換することを停止して発電を停止する。
【0048】
ステップS104においては、制御部25が、表示部22がID情報を表示するように表示部22を制御する。
【0049】
1.5 変調光の強度の時間変化
図4は、第1実施形態の光通信素子に備えられる光変調素子が第1の光を変調することにより生成される変調光の強度の時系列データを示すグラフである。図4においては、時刻が横軸にとられており、変調光の強度が縦軸にとられている。
【0050】
上述したように、光変調素子53の光透過率は、最大光透過率と最小光透過率との間で切り替えることができる。このため、図4に示されるように、第1の光L1を変調することにより生成される反射光(変調光)L1rの強度は、光変調素子53の光透過率が最大光透過率である場合の最大階調MAXと、光変調素子53の光透過率が最小光透過率である場合の最小階調MINと、の間で切り替えることができる。最大階調MAXは、ビット値が1であることを示し、最小階調MINは、ビット値が0であることを示す。
【0051】
取得すべき情報を含む時系列データの始まりは、光源部23が光通信素子12に照射光Lを照射することを開始してから初めて反射光(変調光)L1rの強度が変化した時点T0とする。
【0052】
図5は、第1実施形態の変形例の光通信素子に備えられる光変調素子が第1の光を変調することにより生成される変調光の強度の時系列データを示すグラフである。図5においては、時刻が横軸にとられており、変調光の強度が縦軸にとられている。
【0053】
第1実施形態の変形例においては、光変調素子53の透過率を、最大光透過率と、最小光透過率と、最小光透過率と最大光透過率との間の中間光透過率と、の間で切り替えることができる。また、制御部43は、最大光透過率と最小光透過率と中間光透過率との間で光変調素子53の光透過率を切り替えて、図5に示されるように、光変調素子53に、最大階調MAX、最小階調MIN及び最大階調MAXと最小階調MINとの間の中間階調INTを有する反射光(変調光)L1rを生成させる。これにより、光通信素子12からリーダ11に送信されるデータの量を増やすことができる。複数の中間光透過率が存在してもよく、複数の中間階調INTが存在してもよい。
【0054】
2 第2実施形態
以下では、第2実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第2実施形態においても採用される。
【0055】
図6は、第2実施形態の光通信素子に備えられる信号送信部を模式的に図示する図である。
【0056】
第2実施形態においては、図6に図示されるように、光変調素子53が、複数の応答領域61,62,63及び64を備える。「応答領域」は、制御部43による制御に応答して変化する光透過率を有する領域をいう。例えば、液晶パネルの「応答領域」は、液晶パネルのセグメントである。複数の応答領域61,62,63及び64は、第1の光L1の光路上に配置され、第1の光L1に含まれる光線L11,L12,L13及びL14の光路上にそれぞれ配置される。応答領域61,62,63及び64の各々の光透過率は、応答領域61,62,63及び64の各々が開となる最大光透過率と、応答領域61,62,63及び64の各々が閉となる最小光透過率と、の間で切り替えることができる。このため、応答領域61,62,63及び64は、第1の光L1を変調し、第1の光L1に含まれる光線L11,L12,L13及びL14をそれぞれ変調することができる。応答領域61,62,63及び64の光透過率は、独立して切り替えることができる。このため、応答領域61,62,63及び64は、第1の光L1に含まれる光線L11,L12,L13及びL14を独立して変調することができる。応答領域61,62,63及び64の各々は、正方形状の形状を有し、応答領域61,62,63及び64は、マトリクス状に配列される。応答領域61,62,63及び64の各々が正方形状の形状以外の形状を有してもよく、応答領域61,62,63及び64が非マトリクス状に配列されてもよい。光変調素子53が、4個の応答領域61,62,63及び64に代えて、3個以下又は5個以上の応答領域を備えてもよい。その一例が後述する第2変形例及び第4変形例である。
【0057】
また、第2実施形態においては、制御部43が、応答領域61,62,63及び64の光透過率を制御して、応答領域61,62,63及び64に、第1の光L1をID情報で変調させ、第1の光L1に含まれる光線L11,L12,L13及びL14をID情報で変調させる。
【0058】
また、第2実施形態においては、受光部31は、カメラ、複数のフォトダイオード、複数のフォトレジスタ等である。カメラ、複数のフォトダイオード、複数のフォトレジスタ等に備えられる複数のセンサは、2次元アレイを構成し、第1の光L1に含まれる光線L11,L12,L13及びL14を変調することにより生成される変調光の強さに応じた信号をそれぞれ出力する。
【0059】
第2実施形態においては、ID情報を光通信素子12からリーダ11へ第1の光L1に含まれる光線L11,L12,L13及びL14を変調することにより生成される変調光により並行して送信することができる。このため、リーダ11と光通信素子12との間で反射光(変調光)L1rにより行われる通信は、パラレル通信である。
【0060】
図7は、第2実施形態の第1変形例の光通信素子に備えられる信号送信部を模式的に図示する図である。
【0061】
第2実施形態の第1変形例においては、図7に図示されるように、応答領域61,62,63及び64が、一列に配列される。また、受光部31は、複数のフォトダイオード、複数のフォトレジスタ等である。複数のフォトダイオード、複数のフォトレジスタ等に備えられる複数のセンサは、ラインセンサを構成する。
【0062】
図8は、第2実施形態の第2変形例の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
【0063】
第2実施形態の第2変形例においては、図8に図示されるように、光変調素子53が、7個の応答領域61,62,63,64,65,66及び67を備える。7個の応答領域61,62,63,64,65,66及び67の各々は、六角形状の形状を有し、7個の応答領域61,62,63,64,65,66及び67は、ハニカム状に配列される。
【0064】
図9は、第2実施形態の第3変形例の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
【0065】
第2実施形態の第3変形例においては、図9に図示されるように、応答領域61,62,63及び64からなる領域が、矩形状の平面形状を有する領域のひとつの角の付近を直線で除去して得られる領域である。これにより、応答領域61,62,63及び64からなる領域は、90°の回転Rについて対称性を有さず応答領域61,62,63及び64を互いに識別することを可能にする識別領域を構成する。90°の回転Rは、光変調素子53の光軸と平行をなす回転軸の周りの回転である。90°の回転Rが90°と異なる角度の回転であってもよい。
【0066】
図10は、第2実施形態の第3変形例の光通信素子に備えられる光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
【0067】
図10に図示されるように、90°の回転Rが行われる前において、応答領域61が、角の付近を除去することにより形成される除去部53aに沿って配置され、応答領域62が、応答領域61の右側に配置され、応答領域63が、応答領域61の下側に配置され、応答領域64が、応答領域62の下側に配置される場合を考える。この場合は、90°の回転Rが行われた後においても、除去部53aに沿って配置される応答領域61を特定することができる。このため、応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。これにより、リーダ11は、除去部53aから応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。このため、ID情報の復調に支障が生じない。
【0068】
図11は、第2実施形態の第4変形例の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
【0069】
第2実施形態の第4変形例においては、図11に図示されるように、光変調素子53が、9個の応答領域61,62,63,64,65,66,67,68及び69を備える。また、9個の応答領域61,62,63,64,65,66,67,68及び69からなる領域が、円状の平面形状を有する領域の円弧の付近を直線で除去して得られる領域である。これにより、応答領域61,62,63,64,65,66,67,68及び69からなる領域は、90°の回転Rについて回転対称性を有さず応答領域61,62,63,64,65,66,67,68及び69を互いに識別することを可能にする識別領域を構成する。
【0070】
図12は、第2実施形態の第4変形例の光通信素子に備えられる光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
【0071】
図12に図示されるように、90°の回転Rが行われる前において、応答領域62が、円弧の付近を除去することにより形成される除去部53aに沿って配置され、応答領域61が、応答領域62の左側に配置され、応答領域63が、応答領域62の右側に配置され、応答領域64,65及び66が応答領域61,62及び63の下側にそれぞれ配置され、応答領域67,68及び69が応答領域64,65及び66の下側にそれぞれ配置される。この場合は、90°の回転Rが行われた後においても、除去部53aに沿って配置される応答領域62を特定することができる。このため、応答領域61,62,63,64,65,66,67,68及び69を互いに識別することができる。これにより、リーダ11は、除去部53aから応答領域61,62,63,64,65,66,67,68及び69を互いに識別することができる。このため、ID情報の復調に支障が生じない。回転非対称を形成するのに、応答領域または再帰性反射器を一部除去した例を示したが、それ以外の形成方法として、応答領域あるいは再帰性反射器に印を付与する(シールを貼る、ペンでマーキングする)といった方法でもよい。
【0072】
図13Aは、第2実施形態の第5変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。図13Bは、第2実施形態の第5変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板を模式的に図示する図である。
【0073】
第2実施形態の第5変形例においては、図13A及び図13Bに図示されるように、再帰性反射板51が、矩形状の平面形状を有する領域のひとつの角の付近を直線で除去して得られる領域である。これにより、再帰性反射板51は、90°の回転Rについて回転対称性を有さず応答領域61,62,63及び64を互いに識別することを可能にする識別領域を構成する。
【0074】
図14は、第2実施形態の第5変形例の光通信素子に備えられる光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
【0075】
図14に図示されるように、90°の回転Rが行われる前において、応答領域62が、角の付近を除去することにより形成される除去部51aに沿って配置され、応答領域61が、応答領域62の左側に配置され、応答領域63が、応答領域61の下側に配置され、応答領域64が、応答領域62の下側に配置される場合を考える。この場合は、90°の回転Rが行われた後においても、除去部51aに沿って配置される応答領域62を特定することができる。このため、応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。これにより、リーダ11は、除去部51aから応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。このため、ID情報の復調に支障が生じない。
【0076】
図15は、第2実施形態の第6変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。
【0077】
第2実施形態の第6変形例においては、図15に図示されるように、再帰性反射板51が、応答領域61,62,63及び64からなる領域の平面形状より大きい平面形状を有する。それ以外の点については、第2実施形態の第6変形例は、第2実施形態の第5変形例と同様である。
【0078】
図16Aは、第2実施形態の第7変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。図16Bは、第2実施形態の第7変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板を模式的に図示する図である。
【0079】
第2実施形態の第7変形例においては、図16Aに図示されるように、再帰性反射板51が、応答領域61,62,63及び64の平面形状より大きい平面形状を有する。このため、図16A及び図16Bに図示されるように、再帰性反射板51は、応答領域61,62,63及び64に重なる第1の領域71及び応答領域61,62,63及び64からはみ出して応答領域61,62,63及び64に重ならない第2の領域72を有する。応答領域61,62,63及び64は、90°の回転Rについて回転対称性を有する。しかし、第2の領域72は、90°の回転Rについて回転対称性を有しない。このため、第2の領域72は、90°の回転Rについて対称性を有さず応答領域61,62,63及び64を互いに識別することを可能にする識別領域を構成する。したがって、第2実施形態の第7変形例においては、90°の回転Rが行われても、応答領域61,62,63及び64と第2の領域72との位置関係から応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。90°の回転Rは、光変調素子53の光軸と平行をなす回転軸の周りの回転である。90°の回転Rが90°と異なる角度の回転であってもよい。
【0080】
第2実施形態の第7変形例においては、第1の領域71は、4個の辺を有する長方形状の平面形状を有する。また、第2の領域72は、当該4個の辺に含まれる2個の辺に沿って配置される。当該2個の辺は、互いに隣接している。第2の領域72は、当該2個の辺が交わる頂点に沿う位置において屈曲する。第2の領域72が、当該4個の辺に含まれる1個又は3個の辺に沿って配置されてもよい。
【0081】
図17は、第2実施形態の第7変形例の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び 光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
【0082】
図17に図示されるように、90°の回転Rが行われる前において、応答領域61が、第2の領域72が屈曲する位置に沿って配置され、応答領域62が、応答領域61の右側に配置され、応答領域63が、応答領域61の下側に配置され、応答領域64が、応答領域62の下側に配置される場合を考える。この場合は、90°の回転Rが行われた後においても、第2の領域72が屈曲する位置に沿って配置される応答領域61を特定することができる。このため、応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。
【0083】
光通信素子12に照射光Lが照射された場合は、第2の領域72は、応答領域61,62,63及び64の光透過率にかかわらず、照射光Lに含まれる一部の光線を常に反射する。このため、リーダ11は、応答領域61,62,63及び64の光透過率にかかわらず、第2の領域72により反射された一部の光線を常に受光することができる。これにより、リーダ11は、応答領域61,62,63及び64と第2の領域72との位置関係から応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。このため、ID情報の復調に支障が生じない。
【0084】
受信系列の1ビット目、2ビット目、3ビット目及び4ビット目のビット値は、例えば、応答領域61,62,63及び64の光透過率を切り替えることにより、それぞれ変化させることができる。
【0085】
第2実施形態及び第2実施形態の第1変形例から第7変形例までにおいても、第1実施形態の変形例と同じく、制御部43が、最大光透過率と最小光透過率と中間光透過率との間で応答領域61,62,63及び64の各々の光透過率を切り替えて、光変調素子53に最大階調MAX、最小階調MIN及び中間階調INTを有する変調光を生成させてもよい。回転非対称を形成するのに、応答領域または再帰性反射器を一部除去した例を示したが、それ以外の形成方法として、応答領域あるいは再帰性反射器に印を付与する(シールを貼る、ペンでマーキングする)といった方法でもよい。
【0086】
3 第3実施形態
以下では、第3実施形態が第2実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第2実施形態において採用される構成と同様の構成が第3実施形態においても採用される。
【0087】
図18Aは、第3実施形態の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子を模式的に図示する図である。図18Bは、第3実施形態の光通信素子に備えられる再帰性反射板を模式的に図示する図である。図19は、第3実施形態の光通信素子に備えられる再帰性反射板及び光変調素子の、90°の回転による変化を模式的に図示する図である。
【0088】
第3実施形態においては、図18A及び図18Bに図示されるように、再帰性反射板51が、第1の部分51P及び第2の部分52Qを備える。第1の部分51Pは、応答領域61,62,63及び64に重なる。第2の部分52Qは、応答領域61,62,63及び64に重ならず、第1の部分51Pから分離している。応答領域61,62,63及び64は、90°の回転Rについて回転対称性を有する。しかし、第2の部分52Qは、90°の回転Rについて回転対称性を有さず応答領域61,62,63及び64を互いに識別することを可能にする識別領域を構成する。したがって、第3実施形態においては、図19に図示されるように、90°の回転Rが行われても、応答領域61,62,63及び64からなる領域と第2の部分52Qとの位置関係から応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。
【0089】
第3実施形態においては、第1の部分51Pは、4個の頂点を有する長方形状の平面形状を有する。また、第2の部分52Qは、当該4個の頂点に含まれる3個の頂点に沿って配置される。第2の部分52Qが、当該4個の頂点に含まれる2個の頂点に沿って配置されてもよい。当該2個の頂点は、互いに隣接している。第2の部分52Qが、当該4個の頂点に含まれる1個の頂点に沿って配置されてもよい。
【0090】
光通信素子12に照射光Lが照射された場合は、第2の部分52Qは、応答領域61,62,63及び64の光透過率にかかわらず、照射光Lに含まれる一部の光線を常に反射する。このため、リーダ11は、応答領域61,62,63及び64の光透過率にかかわらず、第2の部分52Qにより反射された一部の光線を常に受光することができる。これにより、リーダ11は、応答領域61,62,63及び64と第2の部分52Qとの位置関係から応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。このため、ID情報の復調に支障が生じない。
【0091】
4 第4実施形態
以下では、第4実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第4実施形態においても採用される。
【0092】
図20は、第4実施形態の光通信素子に備えられる光変調素子を模式的に図示する図である。
【0093】
第4実施形態においては、図20に図示されるように、光変調素子53が、複数の応答領域61,62及び63及び他の応答領域70を備える。応答領域61,62及び63は、第1の光L1の光路上に配置され、第1の光L1に含まれる光線L11,L12及びL13の光路上にそれぞれ配置される。他の応答領域70は、第1の光L1に含まれる、光線L11,L12及びL13以外の他の光線L19の光路上に配置される。応答領域61,62及び63の各々の光透過率は、応答領域61,62及び63の各々が開となる最大光透過率と、応答領域61,62及び63の各々が閉となる最小光透過率と、の間で切り替えることができる。このため、応答領域61,62及び63は、第1の光L1に含まれる光線L11,L12及びL13をそれぞれ変調することができる。応答領域61,62及び63の光透過率は、独立して切り替えることができる。このため、応答領域61,62及び63は、第1の光L1に含まれる光線L11,L12及びL13を独立して変調することができる。他の応答領域70の透過率も、最大光透過率と、最小光透過率と、の間で切り替えることができる。しかし、他の応答領域70は、他の光線L19を変調せず、他の応答領域70の光透過率は、一定に維持される。
【0094】
また、第4実施形態においては、制御部43が、応答領域61,62及び63の光透過率を制御して応答領域61,62及び63に第1の光L1に含まれる光線L11,L12及びL13をID情報で変調させる。
【0095】
また、第4実施形態においては、応答領域61,62及び63並びに他の応答領域70からなる領域は、90°の回転Rについて回転対称性を有する。しかし、応答領域61,62及び63からなる領域は、90°の回転Rについて回転対称性を有さず応答領域61,62,63及び64を互いに識別することを可能にする識別領域を構成する。
【0096】
光通信素子12に照射光Lが照射された場合は、他の応答領域70は、応答領域61,62及び63の光透過率にかかわらず、常に一定に維持される光透過率を有する。このため、リーダ11は、応答領域61,62及び63の光透過率にかかわらず、他の応答領域70により透過された一部の光線を常に受光することができる。これにより、リーダ11は、応答領域61,62及び63と他の応答領域70との位置関係から応答領域61,62及び63を互いに識別することができる。このため、ID情報の復調に支障が生じない。
【0097】
5 第5実施形態
以下では、第5実施形態が第2実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第2実施形態において採用される構成と同様の構成が第5実施形態においても採用される。
【0098】
第5実施形態においては、応答領域61,62,63及び64が、90°の回転について回転対称性を有する。
【0099】
また、第5実施形態においては、制御部43が、応答領域61,62,63及び64の光透過率を制御して応答領域61,62,63及び64の光透過率に90°の回転について回転対称性を有しないパターンを付与する。
【0100】
図21A及び図21Bは、第5実施形態の光通信素子に備えられる応答領域の光透過率に付与される、90°の回転について回転対称性を有しないパターンの例を模式的に図示する図である。図21A及び図21Bにおいては、応答領域にハッチングが付されていないことは、当該応答領域の光透過率が最大光透過率であることを意味し、応答領域にハッチングが付されていることは、当該応答領域の光透過率が最小光透過率であることを意味する。
【0101】
90°の回転について回転対称性を有するパターン81の第1の例は、図21Aに図示されるように、1個の応答領域61の光透過率が最小光透過率であり残余の3個の応答領域62,63及び64の光透過率が最大光透過率であるパターンである。また、90°の回転について回転対称性を有するパターン81の第2の例は、図21Bに図示されるように、1個の応答領域61の光透過率が最大光透過率であり残余の3個の応答領域62,63及び64の光透過率が最小光透過率であるパターンである。
【0102】
第5実施形態においては、90°の回転について回転対称性を有するパターン81により、応答領域61,62,63及び64を互いに識別することができる。したがって、第5実施形態においては、パターン81により、応答領域61,62,63及び64を互いに識別することを可能にする識別領域が構成される。
【0103】
図22は、第5実施形態の光通信素子に備えられる応答領域の光透過率に、90°の回転について回転対称性を有しないパターンが付与されるタイミングを説明する図である。
【0104】
第5実施形態においては、図22に図示されるように、最初に、90°の回転について回転対称性を有しないパターン81が応答領域61,62,63及び64の光透過率に付与され、続いて、情報を送信するためのパターン82が応答領域61,62,63及び64の光透過率に付与される。パターン81が応答領域61,62,63及び64の光透過率に定期的に付与されてもよい。この場合は、パターン82が応答領域61,62,63及び64の光透過率に付与される途中でパターン81が応答領域61,62,63及び64の光透過率に付与されてもよい。
【0105】
6 第6実施形態
以下では、第6実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第6実施形態においても採用される。
【0106】
図23は、第6実施形態の光通信システムにおける照射光の照射範囲及びカメラの画角を模式的に図示する図である。
【0107】
第6実施形態においては、光通信システム1が、複数の光通信素子12を備える。複数の光通信素子12の各々は、第2実施形態の第7変形例の光通信素子である。複数の光通信素子12の各々が、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第2実施形態の第7変形例以外の変形例、第3実施形態、第4実施形態又は第5実施形態の光通信素子であってもよい。
【0108】
また、第6実施形態においては、図23に図示されるように、光源部23が、複数の光通信素子12を含む照射領域91を有し、各光通信素子12に照射光Lを照射する。
【0109】
また、第6実施形態においては、受光部31は、カメラである。当該カメラは、複数の光通信素子12を含む画角92を有し、各光通信素子12から反射光(変調光)L1rを受光する。
【0110】
第6実施形態においては、リーダ11が、カメラの画角92に含まれる複数の光通信素子12から複数の光通信素子12のID情報を同時に取得することができる。
【0111】
7 第7実施形態
以下では、第7実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成が第7実施形態においても採用される。
【0112】
図24は、第7実施形態の光通信システムを模式的に図示するブロック図である。
【0113】
第7実施形態においては、図24に図示されるように、リーダ11が、ハーフミラー27を備える。
【0114】
ハーフミラー27は、第1の光L1及び第2の光L2を含む照射光Lを反射し、反射光(変調光)L1rを透過させる。光源部23の光軸及び受光部31の光軸は、光通信素子12とハーフミラー27との間において一致する。これにより、光源部23及び受光部31は、疑似的に同軸上に配置される。
【0115】
第7実施形態においては、小さな発散角しか有しない反射光(変調光)L1rを受光部31が効率的に受光することができる。これにより、リーダ11から光通信素子12までの距離が長い場合であっても、リーダ11がID情報を得ることができる。
【0116】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 光通信システム、11 リーダ、12 光通信素子、21 操作部、22 表示部、23 光源部、24 信号受信部、25 制御部、27 ハーフミラー、31 受光部、41 発電部、42 信号送信部、43 制御部、51,52 再帰性反射板、53 光変調素子、61,62,63,64,66,67,68,69,70 応答領域、91 照射領域、92 画角、L 照射光、L1 第1の光、L2 第2の光

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24