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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114487
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ネット体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/14 20060101AFI20230810BHJP
   D06C 7/02 20060101ALI20230810BHJP
   D04C 1/06 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
D01F8/14 B
D06C7/02
D04C1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016793
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 弘平
【テーマコード(参考)】
3B154
4L041
4L046
【Fターム(参考)】
3B154AB07
3B154AB19
3B154AB27
3B154BA32
3B154BA42
3B154BB12
3B154BC22
3B154CA42
3B154CA44
3B154DA18
4L041AA25
4L041BA21
4L041BC04
4L041BD01
4L041BD02
4L041BD03
4L041CA06
4L041CA10
4L041DD01
4L041DD05
4L046AA01
4L046AA24
4L046BA00
4L046BB00
(57)【要約】
【課題】重合体製の網地によってネット体を製造するときに、従来の製造方法をさらに改良して、簡単な手法によって同ネット体を製造できるようにする。
【解決手段】結晶性を有する重合体を用いて綴じ目状態の網地を製造し、得られた綴じ目状態の網地に張力を作用させて矩形状の開き目状態に保持しながら熱処理を施すことによって、網地を矩形状の開き目状態に固定化する。その際に、製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体が固化したあとで結晶化温度まで低下する前に、網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工する。あるいは、製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体を結晶化が生じないように急冷して固化させ、その後に網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性を有する重合体を用いて綴じ目状態の網地を製造し、得られた綴じ目状態の網地に張力を作用させて矩形状の開き目状態に保持しながら熱処理を施すことによって、前記網地を矩形状の開き目状態に固定化するに際し、前記製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体が固化したあとで結晶化ピーク温度まで低下する前に、前記網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工することを特徴とするネット体の製造方法。
【請求項2】
結晶性を有する重合体を用いて綴じ目状態の網地を製造し、得られた綴じ目状態の網地に張力を作用させて矩形状の開き目状態に保持しながら熱処理を施すことによって、前記網地を矩形状の開き目状態に固定化するに際し、前記製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体を急冷して固化させ、その後に前記網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工することを特徴とするネット体の製造方法。
【請求項3】
網地を構成する繊維として芯鞘複合繊維を用い、この芯鞘複合繊維として、芯部が熱処理時の温度では溶融しない高融点重合体にて構成されるとともに、鞘部が熱処理時の温度で溶融または軟化する低融点重合体にて構成されたものを用いることを特徴とする請求項1または2記載のネット体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネット体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質のネット体として金網が知られている。また、金網に近い剛性を有する硬質のネット体として、熱可塑性重合体製の網地にこの網地が開き目状態となる張力を付与しながら加熱することで、この網地を開き目状態で固定したものが、特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-181435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、熱可塑性重合体製の網地によってネット体を製造するときに、従来の製造方法をさらに改良して、簡単な手法によってそのネット体を製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため本発明のネット体の製造方法は、結晶性を有する重合体を用いて綴じ目状態の網地を製造し、得られた綴じ目状態の網地に張力を作用させて矩形状の開き目状態に保持しながら熱処理を施すことによって、前記網地を矩形状の開き目状態に固定化するに際し、前記製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体が固化したあとで結晶化温度まで低下する前に、前記網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工することを特徴とする。
【0006】
本発明の他のネット体の製造方法は、結晶性を有する重合体を用いて綴じ目状態の網地を製造し、得られた綴じ目状態の網地に張力を作用させて矩形状の開き目状態に保持しながら熱処理を施すことによって、前記網地を矩形状の開き目状態に固定化するに際し、前記製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体を急冷して固化させ、その後に前記網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工することを特徴とする。
【0007】
本発明のネット体の製造方法によると、網地を構成する繊維として芯鞘複合繊維を用い、この芯鞘複合繊維として、芯部が熱処理時の温度では溶融しない高融点重合体にて構成されるとともに、鞘部が熱処理時の温度で溶融または軟化する低融点重合体にて構成されたものを用いることが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体が固化したあとで結晶化ピーク温度まで低下する前に、網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工することで、また本発明によれば、製造された網地の重合体を溶融または軟化させるために加熱処理を行い、この加熱された重合体を急冷して固化させ、その後に網地に開き目のための張力を付与して開き目状態に加工することで、重合体が結晶化していない柔軟な状態で張力を付与して開き目状態に加工することができる。このため、簡単な手法によって処理が可能であるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の製造方法によって得られるネット体を例示する図である。
図2図1のネット体を製造するための、綴じ状態で製造された網地を例示する図である。
図3図2の網地に張力を付与して開き目状態としたときの様子を示す図である。
図4】本発明のネット体の製造方法を実施するための製造装置の一例を示す平面図である。
図5図4の製造装置の正面図である。
図6】本発明のネット体の製造方法を実施するための製造装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態の製造方法によって得られるネット体の一部分を例示するものである。このネット体は矩形状の開き目を有したものであり、ネット体自体は、熱可塑性重合体製の繊維にて構成された網地を熱処理することにより、繊維を形成する重合体を溶融または軟化させたうえで、これを冷却固化することによって、製造することができる。
【0011】
図2は、図1のネット体を製造するための網地の製造例を示す。図2に示すように、網地は、網目が開いていない綴じ目状態で製造される。このように綴じ目状態で製造される網地の例としては、無結節網や、ラッセル編により形成された網地などが挙げられる。この綴じ目状態の網地は、縦方向と横方向とを有する。そして綴じ目状態の網地は、縦方向に張力を付与してもほとんど変形しないが、横方向に張力を付与すると、図3に示すように綴じ目が開いて開き目となる。
【0012】
図3は、図2の網地に手作業で張力を付与した状態を示すものであって、開き目の形態が不揃いであるが、縦方向と横方向とにおいてそれぞれ機械的に均等に張力を付与することで、図1に示すような正確な矩形状に開き目を形成することが可能である。
【0013】
図3に示す状態の網地を熱処理することで、網地を構成する重合体製の繊維を溶融または軟化させ、その後に冷却固化させることで、図1に示すネット体を製造することができる。
【0014】
なお、図2および図3に示す網地は、多数の繊維にて構成された糸条を編み上げることによって形成されている。このため繊維同士の間に空隙を有し、このように空隙を有することで太めの編みあがり状態となっている。図2に示される網地は、その横方向の端縁部において糸条の配列方向に耳部が形成されており、この耳部は端縁部における糸条の配列方向に沿った斜め方向に形成されている。
【0015】
図3に示される開き目状態の網地を当該開き目状態に保持した状態で熱処理を施すことによって、図1に示されるネット体が製造される。なお、ネット体の製造時に繊維を構成する重合体を溶融または軟化させたうえで冷却固化させると、上述した繊維同士の間の空隙が消失し、そのために、図1に示すネット体を構成する線状体は、図2図3に示す網地を構成する糸条よりも細いものとなる。図1には、そのように細化した線条体が描写されている。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態のネット体の製造方法について説明する。第1の実施の形態では、結晶性を有する熱可塑性重合体を用いて綴じ目状態の網地を製造し、これに加熱処理を施した後、固化した重合体の結晶化すなわち硬質化が進む前に開き目状態となるように加工するものである。
【0017】
綴じ目状態の網地を構成するための繊維を形成する重合体としては、結晶性を有するものであれば、任意のものを使用することができる。重合体製の繊維の形態も任意である。なかでも繊維の形態として、芯鞘複合繊維であって、芯部が熱処理時の温度では溶融しない高融点重合体にて構成されるとともに、鞘部が熱処理時の温度で溶融または軟化する低融点重合体にて構成されたものを用いることが好適である。このような芯鞘複合繊維を用いると、熱処理の際に芯部の高融点重合体は溶融せずに繊維形態を維持し、このためネット体の形態を確実に保持することができる。その一方で、低融点重合体は熱処理時に確実に溶融または軟化したうえで冷却固化するため、所要の剛性を有したネット体を製造することができる。芯鞘複合繊維を用いる場合は、鞘部の低融点重合体を加熱処理により溶融または軟化させた後、固化した低融点重合体が、結晶化温度に至る前に、網地に張力を付与して開き目状態に加工する。
【0018】
このような芯鞘複合繊維を形成するための重合体は、任意のものを用いることができる。なかでも、芯部がポリエステル重合体であり、鞘部がそれよりも融点の低い共重合ポリエステル重合体であることが、所要の性能のネット体を得るうえで好適である。
【0019】
図4および図5は、第1の実施の形態の製造方法に用いることができる製造装置の例を示す。図4は平面図、図5は正面図である。すなわち、図4および図5には、網地11を用いてネット体12を製造する様子が示されている。網地11およびネット体12は、矢印Aが示す水平方向に走行しながら処理を受ける。上述のように網地11には縦方向と横方向とがあるが、網地11は矢印Aが示す縦方向に走行される。
【0020】
すなわち、図外の製網機にて製造された綴じ目状態の網地11は、縦方向に張力を受けながら熱処理装置13に通されて加熱処理され、網地11を構成する繊維を形成する重合体の溶融軟化温度以上の温度に加熱される。繊維が上述の芯鞘複合繊維である場合には、鞘部の融点または軟化点以上かつ芯部の融点以下の温度に加熱される。この状態の網地11は、図示のように熱処理装置13から送り出される。そのときの網地11は、綴じ目状態である。
【0021】
図示の装置では、熱処理装置13に続いて、目開き装置14が設けられている。この目開き装置14は、網地11の横方向における一方の端部に接する一方走行体15と、網地11の横方向における他方の端部に接する他方走行体16とを備える。走行体の例としては、ローラや無端ベルトなどを挙げることができる。これらの走行体15、16は、網地11の縦方向および横方向に対して斜めとなる方向に走行するようにされており、これらの走行体15、16から作用する摩擦力によって、網地11に縦方向の張力を付与しながら、同時に網地11に横方向の張力を付与することで、網地11を横方向に目開きすることができるようになっている。詳細には、図5に示すように、各走行体15、16ごとに、それぞれ一対の走行要素で網地11の端部を挟み込んで張力を付与するように構成されている。このため、目開き装置14を通過した網地は、目開き状態の網地17となる。
【0022】
この場合において、網地11を目開き装置14に通すときには、熱処理装置13から供給される網地11は、繊維を形成する重合体が、固化はしているが、まだ結晶化ピーク温度までは温度低下していない状態、すなわち繊維を形成する重合体の結晶化ピーク温度以上の状態となるようにする。
【0023】
すると、重合体は、固化はしているものの、結晶化による硬化する前の段階であるため、柔軟に変形することが可能であり、容易に目開きを行うことができる。目開き状態の網地17は、目開き装置14を通過した後に冷却されて、その形態を保持することができる。
【0024】
加熱処理によって網地の熱可塑性重合体を溶融または軟化させた後、張力を付与して開き目の状態にする加工において、連続工程で行う場合は、処理速度5~25m/分程度で行うのがよい。特に処理速度が5m/分未満となると、溶融または軟化後に固化した重合体において徐々に結晶化が進行する恐れがあり、開き目の状態にする加工を容易におこないにくくなる。また、加熱処理と張力付与による開き目の状態にする加工とは、連続ではなくバッチ処理であってもよい。バッチ処理の場合、溶融または軟化するための熱処理装置から、次工程の開き目の状態にする装置への運搬時において、結晶化が徐々に進行しないように、雰囲気温度や次工程までの時間に配慮し、例えば、雰囲気温度を約40℃とし、熱処理工程終了から開き目加工開始までの所要時間を約30秒程度とするとよい。
【0025】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態のネット体の製造方法について説明する。第2の実施の形態では、結晶性を有する熱可塑性重合体を用いて綴じ目状態の網地を製造し、これに加熱処理を施した後、結晶化が起こらないように急冷して固化し、その重合体が結晶化していない状態すなわち重合体が硬化していない状態で開き目状態となるように加工するものである。
【0026】
加熱処理を施した網地を急冷する手法は、任意である。また急冷した綴じ目状態の網地を開き目状態に加工するための手法も任意である。図6は、そのための加工装置20の一例を示す。この加工装置20は、固定部材21と荷重印加部材22とを備え、熱処理後に繊維構成重合体の結晶化が生じないように急冷された網地を必要なサイズにカットした綴じ目の網地11の横方向の一端を固定部材21によってクランプするとともに、網地11の横方向の他端を荷重印加部材22によってクランプしたうえで、荷重印加部材22によって網地11に横方向の荷重を印加するものである。このように荷重を印加することで目開き状態の網地17が形成されるため、その状態で繊維を構成する重合体のガラス転移点以上の温度に加熱することで、網地17を目開き状態とすることができる。これによってネット体12が製造される。その後に熱セットを行うことで、目開き状態に固定することができる。
【実施例0027】
次に、本発明について実施例に基づき説明する。また、実施例において、結晶化ビーク温度およびガラス転移点は、以下の方法により求めた。
【0028】
(1)結晶化ピーク温度、ガラス転移点:
原糸(繊維)10mgを量りとり、パーキングエルマー社製の示差走査型熱量計DSC-7型を用いて測定した。測定は1度目の昇温(昇温速度20℃/分、到達温度200℃)、1度目の降温(降温速度320℃/分、到達温度-50℃)を行った。その後に再昇温(昇温速度20℃/分、到達温度200℃)時の結晶化ピーク温度並びにガラス転移点を測定した。
【0029】
(実施例1)
芯部にポリエチレンテレフタレート(融点256℃)を配するとともに、鞘部に共重合ポリエステル(融点160℃、結晶化ピーク温度約90℃)を配した芯鞘複合繊維(ユニチカ社製「メルセット」、1670T192fil-CM27)を25本合わせて、S-80T/mで合撚しながらボビンに捲き取った。捲き取られた糸条を用いて、無結節網地を綴じ目状態で編網した。
【0030】
図4および図5に示す製造装置を用いて、上記により得られた綴じ目状態の網地11を熱処理装置13に通して、190℃、4分間の熱処理を行った。熱処理装置13の入り口と出口とにおける網地11の送り速度比は、入り口の速度を1.00としたときに出口の速度が1.02となるように設定した。
【0031】
熱処理装置13から出てきた綴じ目状態の無結節網地11の表面温度は180℃であった。
【0032】
熱処理後の網地11をいったん冷やすことなく、連続して、処理速度10m/分として、160℃未満かつ芯鞘複合繊維の鞘部の重合体の結晶化ピーク温度(118℃)以上の温度である125℃以上の表面温度を保ったまま、図4および図5に示す製造装置により目を開く処理を行って、目開き状態の網地17すなわちネット体12を得た。
【0033】
(比較例1)
実施例1と比べて、熱処理装置13から出てきた網地11を室温の雰囲気下で常温まで冷却したうえで、図4および図5に示す目開き装置14により目を開く処理を行うように変更した。そして、それ以外は実施例1と同様として、ネット体12を得た。
【0034】
(比較例2)
実施例1と比べて、熱処理装置13の設定温度を220℃とし、目開き装置14における目開き処理の際の網地11の表面温度が160℃以上となるようにした。そして、それ以外は実施例1と同様として、ネット体12を得た。
【0035】
実施例1では、芯鞘複合繊維の鞘部を構成する重合体は、熱処理装置13において流動化され、その後に熱処理装置13から出て冷却されることで固化されていたものの、結晶化は進んでおらず、柔軟で、変形し得る状態であった。そのため、目開き装置14において、無結節網の目が閉じた状態から、この目を均一に開くことができた。
【0036】
これに対し、比較例1では、芯鞘複合繊維の鞘部を構成する重合体の結晶化が進んでおり、網地11の全体が剛直になっていた。このため、目開き装置14の負荷が高く、目を均一に開くことができなかった。
【0037】
比較例2では、芯鞘複合繊維の鞘部を構成する重合体が目開き処理の際にまだ固化していなかった。そのため、目開き装置14において目を開くことは可能であったが、溶融状態の重合体が目開き装置14に付着した状態で固化し、作業を安定的に進めることができなかった。
【0038】
(実施例2)
無結節網である網地11が熱処理装置13から出てくるまでの処理は、実施例1と同じとした。続いて、実施例1とは相違して、熱処理装置13から出てきた網地11に、温度10℃、露点0℃の冷風を吹き付けて、この網地11を急冷した。急冷後の網地11を所要のサイズにカットしたうえで、図6に示す加工装置20にセットし、芯鞘複合繊維の鞘部を構成する重合体のガラス転移点(30℃)以上の温度である40℃以上の環境下で、荷重印加部材22により負荷を掛けることで、目を開く処理を行った。その後に熱セット処理を行うことで、ネット体を得た。
【0039】
(比較例3)
実施例2と比べて、熱処理装置13から出てきた網地11を室温の雰囲気下で常温まで冷却したうえで、図6に示す加工装置20により目を開く処理を行うように変更した。そして、それ以外は実施例2と同様として、ネット体を得た。
【0040】
実施例2では、加工装置20にセットされた無結節網である網地11は、急冷により芯鞘複合繊維の鞘部を構成する重合体の結晶化が進んでいない状態とされたうえで目開きのための加工に供されたため、同重合体のガラス転移点以上の温度の環境下で加工することにより容易に変形して、目を開くことができた。
【0041】
一方、比較例3では、網地11の芯鞘複合繊維の鞘部を構成する重合体の結晶化が進んでいたため、ガラス転移点以上の温度の環境下で加工装置20における加工に供しても変形せず、したがって目を開くことができなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6