(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114494
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】渦流ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 5/00 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
F04D5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016803
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】都築 亮
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB55
3H130BA08C
3H130BA13C
3H130CB01
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA06C
3H130EB00C
(57)【要約】
【課題】騒音の小さい、品質の良い渦流ポンプを提供する。
【解決手段】インペラ7と、インペラ7を内包するポンプケーシング3と、モータ2を備えた渦流ポンプ1であって、インペラ7は、複数の羽根7fを有する円環形状の羽根部7aと、モータ2の回転軸12が挿通される挿通孔7dを有するボス部7bと、ボス部7bの外周から外方の羽根部7aの内周に延びる複数の連結部7cと、を有し、連結部7cの回転軸方向の寸法は、回転方向の両端部における先端側ほど小さいことを特徴とし、インペラ回転時に、水泡の発生を抑制できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラと、
前記インペラを内包するポンプケーシングと、
前記インペラを回転させるモータを備えた渦流ポンプであって、
前記インペラは、
複数の羽根を有する円環形状の羽根部と、
前記モータの回転軸が挿通される挿通孔を有するボス部と、
前記ボス部の外周から外方の前記羽根部の内周に延びる複数の連結部と、を有し、
前記連結部の回転軸方向の寸法は、回転方向の両端部における先端側ほど小さい流線形であることを特徴とする渦流ポンプ。
【請求項2】
隣り合った前記連結部の間の隙間の寸法は、前記モータの前記回転軸側から前記羽根部側に向かうにつれて徐々に大きくなることを特徴とする請求項1に記載の渦流ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦流ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーシングカバーとケーシングライナーとに挟まれた領域の中でモータの回転軸に接続された円盤形状のインペラを回転させて、吸込口から吸い込んだ水を吐出口から吐出させる渦流ポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来渦流ポンプ101はポンプケーシング102とモータ103を備えており、ポンプケーシング102に内包されるように配置されたインペラ104に回転軸を通してモータ103の動力が伝わり、インペラ014が回転して水流を生み出す構造である。この際、インペラ104には、インペラ104表裏の圧力差によるインペラ104の変動を防ぐために中央部に円形状の穴105が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の渦流ポンプのインペラにおいては、インペラ表裏の圧力差によるインペラの変動を防ぐために中央部に円形状の穴を設けているが、回転すると微小な水泡が発生し、水切り音がするという課題を有している。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、水切り音が軽減され、騒音の小さい渦流ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明の一態様に係る渦流ポンプは、インペラと、前記インペラを内包するポンプケーシングと、インペラを回転させるモータを備えた渦流ポンプであって、前記インペラは、複数の羽根を有する円環形状の羽根部と、前記モータの回転軸が挿通される挿通孔を有するボス部と、前記ボス部の外周から外方の前記羽根部の内周に延びる複数の連結部と、を有し、前記連結部の回転軸方向の寸法は、回転方向の両端部における先端側ほど小さい流線形であることを特徴としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、品質の良い渦流ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1の渦流ポンプの分解斜視図
【
図2】同渦流ポンプのポンプケーシングとインペラの概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る渦流ポンプは、インペラと、前記インペラを内包するポンプケーシングと、前記インペラを回転させるモータを備えた渦流ポンプであって、前記インペラは、複数の羽根を有する円環形状の羽根部と、前記モータの回転軸が挿通される挿通孔を有するボス部と、前記ボス部の外周から外方の前記羽根部の内周に延びる複数の連結部と、を有し、前記連結部の回転軸方向の寸法は、回転方向の両端部における先端側ほど小さい流線形であることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、インペラ回転時に、抵抗の少ない流線形とすることで水泡の発生が抑制され、水切り音が軽減されて騒音を低減でき、品質の良いポンプを提供することができる。
【0012】
また、隣り合った連結部の間の隙間の寸法は、羽根部側からモータの回転軸側に向かうにつれて徐々に小さくなる構成としても良い。
【0013】
この構成によれば、流速の早い外側ほど隙間の寸法を大きくすることで、渦の発生が減り、損失が少なく、品質の良いポンプを提供することができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1および
図2に、本発明の実施の形態1の渦流ポンプを示す。
【0016】
図1および
図2に示すように、渦流ポンプ1はモータ2とポンプケーシング3を備えている。
【0017】
ポンプケーシング3は吸込口4および吐出口5を備えている。吸込口4は、液体を渦流ポンプ1内に吸い込む入口であり、吐出口5は、液体を渦流ポンプ1から吐き出す出口である。
【0018】
モータ2は回転軸12を備えている。回転軸12の一端の突出部分にインペラ7が固定される。インペラ7はポンプケーシング3に内包されるように配置される。
【0019】
モータ2の動力は回転軸12を介してインペラ7に伝わり、インペラ7が回転する。インペラ7が回転することで、吸込口4から吸い込まれた水(液体)は吐出口5から吐き出される。
【0020】
ポンプケーシング3はケーシングライナー6を備えている。ケーシングライナー6はポンプケーシング3内部に流路を形成する部品である。
【0021】
ポンプケーシング3の下部には、ケーシングカバー8が取り付けられている。ケーシングカバー8はケーシングライナー6と共にポンプケーシング3内部に流路を形成する。
【0022】
インペラ7が固定されている回転軸12の一端とは反対側において、回転軸12の他端の突出部分に冷却ファン11を備えている。ファンカバー10は、モータ2に固定され、冷却ファン11を覆う。
【0023】
モータ2頂部に端子カバー9を備えている。端子カバー9はモータ2に固定されている。
【0024】
図5は、
図4におけるA―Aでの断面図である。
図3、
図4、
図5に示すように、インペラ7は、ボス部7bと、連結部7cと、羽根部7aと、を有している。
【0025】
ボス部7bは、モータ21の回転軸12が挿通される挿通孔7dを有する筒形状である。
【0026】
連結部7cは、ボス部7bの外周から外方の円環形状である羽根部7aの内周に延びる肉厚の板形状である。連結部7cの回転方向の寸法は、モータ2の回転軸側から羽根部7a側に向かうにつれて徐々に大きくなる。連結部7cは、ボス部7bの外周から3つ延びている。連結部7cは、羽根部7aにおける回転軸方向から見ると略扇形状であり、隣り合った連結部7cと連結部7cとの間には、隙間7hを有する。
【0027】
羽根部7aは、円環形状である円環部分7eと、円環部分7eの外周にから外方に突出した多数の羽根7fとを有する。なお、ボス部7bと、連結部7cと、円環部分7eと、羽根7fと、は一体に形成されている。
【0028】
図5に示すように、本実施の形態では、インペラ7の連結部7cの回転軸方向の寸法を、回転方向の両端部における先端側ほど小さい流線形13とすることで、インペラ7回転時に水泡の発生を抑制できる。具体的には、連結部7cの回転方向における前端部は、曲面形状であり、連結部7cの回転方向における後端部は、尖った形状である。このため、水切り音が軽減されて騒音を低減でき、品質の良いポンプを提供することができる。
【0029】
また、隙間7hは、羽根部7aにおける回転軸方向から見ると、隣り合った連結部7cの間の隙間7hの寸法が、モータ2の回転軸側から羽根部7a側に向かうにつれて徐々に大きくなる略扇形状である。隣り合った連結部7cの間の隙間7hの寸法を、モータ2の回転軸側から羽根部7a側に向かうにつれて徐々に大きくすることで、流速の早い外側羽根部7a側における渦の発生を低減できる。
【0030】
このため、損失が少なく、品質の良いポンプを提供することができる。
【0031】
以上、本発明に係る渦流ポンプについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る渦流ポンプは、インペラ回転時の水泡の発生を抑制することで、水切り音が軽減されて騒音の小さい渦流ポンプとして有効である。
【符号の説明】
【0033】
1 渦流ポンプ
2 モータ
3 ポンプケーシング
4 吸込口
5 吐出口
6 ケーシングライナー
7 インペラ
7a 羽根部
7b ボス部
7c 連結部
7d 挿通孔
7e 円環部分
7f 羽根
7h 隙間
8 ケーシングカバー
9 端子カバー
10 ファンカバー
11 冷却ファン
12 回転軸