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特開2023-114510駐車支援装置、駐車支援システムおよび駐車支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114510
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】駐車支援装置、駐車支援システムおよび駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20230810BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230810BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230810BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230810BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20230810BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/09 F
G06Q50/10
G16Y10/40
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016836
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中西 英夫
(72)【発明者】
【氏名】片田 智章
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF13
5H181KK01
5H181KK06
5H181KK07
5H181KK08
5H181LL09
5L049CC13
(57)【要約】
【課題】自動運転車両と手動運転車両の両方が利用する駐車場における好適な駐車支援技術を提供する。
【解決手段】駐車支援装置200は、駐車スペースへの入庫を図る入庫車両が手動運転車両であるか、または自動運転車両AMであるかを検知する。駐車支援装置200は、駐車スペースからの出庫を図る手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、その手動出庫車両を検知する。駐車支援装置200は、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の自動運転車両AMに、入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する。駐車支援装置200は、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在する場合、入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援する装置であって、
前記駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知する第1検知部と、
前記駐車スペースからの出庫を図る前記手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、その手動出庫車両を検知する第2検知部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の前記自動運転車両に、前記入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する走行信号送信部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在する場合、前記入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する報知部と、
を備える駐車支援装置。
【請求項2】
駐車状況記憶部をさらに備え、
前記第1検知部は、前記入庫車両が、専用の駐車スペースにのみ駐車が許可される手動運転車両である特定車両の場合、そのことをさらに検知し、
前記駐車状況記憶部は、前記専用の駐車スペースの空き状況を記憶し、
前記報知部は、前記入庫車両が前記特定車両である場合、前記専用の駐車スペースの空き状況に応じて、前記特定車両の乗員に入庫可否を報知し、
前記走行信号送信部は、前記入庫車両が前記特定車両である場合、駐車済の前記自動運転車両に前記走行信号を送信しない、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記第1検知部は、前記入庫車両が旅客輸送車両である場合、そのことをさらに検知し、
前記報知部は、前記入庫車両が前記旅客輸送車両である場合、前記旅客輸送車両の乗員に前記駐車場への入場を許可する旨を報知し、
前記走行信号送信部は、前記入庫車両が前記旅客輸送車両である場合、駐車済の前記自動運転車両に前記走行信号を送信しない、
請求項1または2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援するシステムであって、
前記駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知する第1検知部と、
前記駐車スペースからの出庫を図る前記手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、そのことを検知する第2検知部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の前記自動運転車両に、前記入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する走行信号送信部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在する場合、前記入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する報知部と、
を備える駐車支援システム。
【請求項5】
複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援する方法であって、
前記駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知し、
前記駐車スペースからの出庫を図る前記手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、そのことを検知し、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の前記自動運転車両に、前記入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信し、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在する場合、前記入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する、
ことをコンピュータが実行する駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に駐車支援装置、駐車支援システムおよび駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場に入場する支援対象車両が手動運転車両である場合に、支援対象車両の駐車スペースの利用を阻害している自動運転車両を移動させ、駐車可能な駐車スペースを支援対象車両に提供する駐車支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-28530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の駐車支援システムでは、自動運転車両は、乗員の意思にかかわらず、駐車後に来場する手動運転車両に応じて、当初の駐車スペースから別の位置へ移動させられ得る。そのため、自動運転車両の乗員によっては、意図せず車両が移動させられることを不快に感じ得る。また、駐車場側の都合で移動させられる場合であっても、当然、移動分の燃料や電気が消費される。したがって、自動運転車両の乗員は、そのような経済的負担を不快に感じ得る。
【0005】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、自動運転車両と手動運転車両の両方が利用する駐車場における好適な駐車支援技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の駐車支援装置は、複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援する装置であって、駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知する第1検知部と、駐車スペースからの出庫を図る手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、その手動出庫車両を検知する第2検知部と、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の自動運転車両に、入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する走行信号送信部と、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在する場合、入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する報知部とを備える。
【0007】
本開示の別の態様は、駐車支援システムである。この駐車支援システムは、複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援するシステムであって、駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知する第1検知部と、駐車スペースからの出庫を図る手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、そのことを検知する第2検知部と、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の自動運転車両に、入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する走行信号送信部と、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在する場合、入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する報知部とを備える。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、駐車支援方法である。この方法は、複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援する方法であって、駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知し、駐車スペースからの出庫を図る手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、そのことを検知し、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の自動運転車両に、入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信し、入庫車両が手動運転車両であり、かつ、手動出庫車両が存在する場合、入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知することをコンピュータが実行する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の技術によれば、自動運転車両と手動運転車両の両方が利用する駐車場における好適な駐車支援を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】駐車支援システムと駐車場の例を示す図である。
図2】駐車支援システムと駐車場の例を示す図である。
図3】駐車支援システムと駐車場の例を示す図である。
図4】駐車支援システムと駐車場の例を示す図である。
図5】第1実施例の駐車支援システムの構成を示す図である。
図6】第1実施例の駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
図7】第2実施例の駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
図8】第3実施例の駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(Integrated Circuit)(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。ここではICあるいはLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)もしくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array)(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録されてもよいし、コンピュータが読み取り可能なRAM(Random Access Memory)などの一時的記憶媒体に記録されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体もしくは記憶媒体に供給されてもよい。
【0013】
<第1実施例>
まず、図1図4を参照して、第1実施例の駐車支援システム10の構成と基本的な駐車支援処理を説明する。第1実施例の駐車支援システム10の構成と基本的な駐車支援処理は、上記特許文献1に記載された技術を適用して実現されてよい。
【0014】
図1は、駐車支援システムと駐車場の例を示す。駐車支援システム10は、無線通信網を介して接続された、移動体100と駐車支援装置200とを備える。移動体100は、駐車場Pの上空を移動しつつ、駐車場Pにおける車両自体の挙動や車両周辺の人体等を検知する。駐車支援装置200は、駐車場Pにおける手動運転車両MMと自動運転車両AMの駐車スペースPeへの入庫を支援する情報処理装置である。駐車場Pは、ショッピングモールSMに併設され、複数台分の駐車スペースPeを備える。駐車スペースPeは、A列、B列の2列用意され、それぞれの列に複数並べて区画されている。以下の説明において駐車スペースPeを区別する場合には、例えばA列3の駐車スペースPe、B列9の駐車スペースPeなどと称する。
【0015】
第1実施例の移動体100は、無人航空機、いわゆるドローンである。移動体100は、駐車場Pに設置済みのランドマークなどを利用した現在位置の特定が可能である。移動体100は、車両周辺の人体や物体を検知する検知装置、具体的にはカメラ148を備える。移動体100は、空中を飛行してカメラ148によって撮像された撮像画像を駐車支援装置200へ逐次送信する。
【0016】
例えば、移動体100は、駐車スペースPeの空き状態の他、進入口Piからの車両進入の様子、駐車スペースPeに駐車(入庫)済みの車両への歩行者(手動運転車両運転者MMh)の接近・乗り込みの様子などを撮像し、その撮像画像を駐車支援装置200へ送信する。また、移動体100は、駐車場Pへの自動入庫や駐車場Pからの自動出庫の対象となる自動運転車両AMからの入出庫要求を受信し、その受信した入出庫要求を、撮像画像とともに、或いは個別に駐車支援装置200へ送信する。移動体100の台数は、駐車場規模によって規定でき、図1に示す駐車場Pよりも多数台の車両駐車が可能な駐車場についての駐車支援システム10であれば、複数台の移動体100を用いるようにしてもよい。
【0017】
駐車支援装置200は、移動体100から受信した撮像画像や自動運転車両AMからの入出庫要求等に基づいて、駐車支援処理を実行する。駐車支援処理は、(1)支援対象車両が手動運転車両MMであるか自動運転車両AMであるかの検知、(2)自動運転車両AMおよび手動運転車両MMの入庫対象となる駐車スペースPeの特定、(3)特定した駐車スペースPeまでの自動運転車両AMについての入庫経路の作成、(4)駐車スペースPeに駐車済み自動運転車両AMの出庫経路の作成、(5)作成した入出庫経路の走行信号の送信等を行う。駐車支援装置200が備える機能の詳細は後述する。
【0018】
自動運転車両AMは、運転手の車両操作に基づいた走行と、外部からの走行信号に従った自動走行とが可能な車両である。そして、自動走行を図るため、自動運転車両AMは、入庫要求および出庫要求を送信する機能と、駐車支援装置200が作成した入庫経路や出庫経路の走行信号を取得して、取得した経路にしたがって自動走行する機能とを備える。自動運転車両AMは、駐車支援装置200から取得した入庫経路・出庫経路にしたがって、駐車場内を自動走行する。
【0019】
自動走行は、自動運転車両AMに運転者が搭乗している場合(有人自動走行とも呼ぶ)と、自動運転車両AMに運転者が搭乗していない場合(無人自動走行とも呼ぶ)の両方を含む。駐車場内の自動走行にあたって、自動運転車両AMは、外部道路S1から内部道路S2に進入し、内部道路S2の乗員昇降エリアAMwpで自動運転車両運転者AMhと他の乗員を降ろした後、自動走行にて駐車場Pの駐車スペースPeに入庫する。また、自動運転車両AMは、自動走行にて駐車スペースPeから退出口Poを経て出庫した後に乗員昇降エリアAMwpに到着し、自動運転車両運転者AMhの運転席への乗り込み後、自動運転車両運転者AMhの車両操作により施設外に走行する。こうした自動走行に際し、自動運転車両AMは、入庫要求や出庫要求を出力する。
【0020】
手動運転車両MMは、運転手自身の車両操作により走行する車両であり、手動運転車両運転者MMhの車両操作により進入口Piから駐車場Pに進入し、車両未駐車の駐車スペースPe(空き駐車スペースPe)に入庫する。出庫の際、手動運転車両MMは、手動運転車両運転者MMhの運転席への乗り込みとその後の車両操作により、退出口Poから施設外に走行する。
【0021】
図2も、駐車支援システムと駐車場の例を示す。駐車支援システム10では、全ての駐車スペースPeが駐車済みとなった場合、駐車スペースPe以外に自動運転車両AMを駐車(入庫)できるとする駐車状況判別により、自動運転車両AMを更に駐車(入庫)できる。例えば、図2に示すように、A列およびB列の総ての駐車スペースPeに車両が入庫済みであっても、駐車スペースPeの手前の走行スペースに自動運転車両AMを駐車するようにできる。
【0022】
図2のように自動運転車両AMを駐車支援(入庫支援)する際に全ての駐車スペースPeが入庫済みであれば、新たに入庫要求を送信した自動運転車両AMの駐車位置を、図2のようにA列4,5の手前の走行スペース、B列4,5の手前の走行スペース、B列7,8の手前の走行スペース、B列9,10の手前の走行スペースのように決定する。そして、決定した駐車位置まで乗員昇降エリアAMwpから自動運転車両AMを自動走行させる入庫経路を作成し、その作成した入庫経路を自動運転車両AMに送信する。これにより、駐車スペースPeの手前の走行スペースへの自動運転車両AMの自動走行がなされる。
【0023】
図3も、駐車支援システムと駐車場の例を示す。駐車支援装置200は、支援対象車両STM(手動運転車両MM)の入庫を支援すべく、駐車スペースに駐車済みの自動運転車両AMのうち、例えば、駐車場Pへの入場のために進入口Piに到達した支援対象車両STM(手動運転車両MM)に最も近いA列8の駐車スペースPeに駐車している自動運転車両AM(支援補助車両SHM)に走行信号を送信する。つまり、A列8の駐車スペースPeへの支援対象車両STMの入庫に支障を及ぼさない利用可能位置までA列8の駐車スペースPeから走行する走行経路の走行信号を駐車支援装置200が作成し、その作成した走行経路を、A列8の駐車スペースPeに駐車済みの自動運転車両AMに走行信号として送信する。
【0024】
この走行信号を受けたA列8の駐車スペースPeに駐車済みの支援補助車両SHM(自動運転車両AM)は、図3に示すように、A列8の駐車スペースPeから出庫し、A列6とA列7の駐車スペースPe手前の走行スペースや、A列1とA列2の駐車スペースPe手前の走行スペース、B列1とB列2の駐車スペースPe手前の走行スペースといった利用可能位置まで自動走行して、停車する。
【0025】
図4も、駐車支援システムと駐車場の例を示す。図3に関連して説明した支援補助車両SHMの移動によりA列8の駐車スペースPeが空くので、駐車支援装置200は、支援対象車両STMの手動運転車両運転者MMhに対して、入庫可能な駐車スペースPeを報知する。手動運転車両運転者MMhは、支援対象車両STMを空いた駐車スペースPeに移動させる。
【0026】
このような駐車支援システム10では、自動運転車両AMは、乗員の意思にかかわらず、駐車後に来場する手動運転車両MMに応じて、当初の駐車スペースから別の位置へ移動させられ得る。そのため、自動運転車両AMの乗員によっては、意図せず車両が移動させられることを不快に感じ得る。また、駐車場側の都合で移動させられる場合にも、その移動分の燃料や電気が消費される。したがって、自動運転車両AMの乗員は、そのような経済的負担を不快に感じ得る。
【0027】
そこで、第1実施例の駐車支援システム10では、駐車場Pが満車であり、かつ、いずれかの手動運転車両MMがすぐに出庫することが推測される場合には、例外として、駐車中の自動運転車両AMを移動させない。すぐに出庫する手動運転車両MMが駐車していた駐車スペースPeに、駐車場Pに新たに入場する手動運転車両MMを入庫させることができるからである。
【0028】
図5は、第1実施例の駐車支援システム10の構成を示す。既述したように、駐車支援システム10は、1台以上の自動運転車両AMと、移動体100と、駐車支援装置200とを備える。これらの装置は、駐車場Pに設けられた無線LAN等を含む通信網12を介して接続される。
【0029】
図5は、自動運転車両AM、移動体100、駐車支援装置200それぞれの機能ブロックを示すブロック図を含む。本開示のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU・メモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0030】
自動運転車両AMは、通信部160と自動運転制御部162を備える。通信部160は、通信網12を介して駐車支援装置200と通信する。通信部160は、駐車支援装置200から送信された走行信号を受信する。自動運転制御部162は、駐車支援装置200から送信された走行信号に基づいて、自動運転車両AMの走行(挙動)を制御する。例えば、自動運転制御部162は、駐車支援装置200から送信された走行信号が示す経路を辿るよう自動運転車両AMの速度および舵角を調整する。
【0031】
移動体100は、通信部102とカメラ148とを備える。カメラ148は、駐車スペースPeに入庫しようとする車両や、駐車スペースPeから出庫しようとする車両、駐車スペースPeの空き状況等を撮影する。通信部102は、通信網12を介して駐車支援装置200と通信する。通信部102は、カメラ148による撮像画像を駐車支援装置200へ送信する。
【0032】
駐車支援装置200は、制御部202、記憶部204、通信部206を備える。制御部202は、各種データ処理を実行する。記憶部204は、制御部202により参照または更新されるデータを記憶する。通信部206は、通信網12を介して外部装置と通信する。制御部202は、通信部206を介して、自動運転車両AMおよび移動体100とデータを送受信する。なお、図5では、駐車支援装置200が備える複数の機能ブロックのうち主に手動運転車両MMに対する入庫支援に関連する機能ブロックを示している。
【0033】
駐車状況記憶部208は、駐車場Pにおける複数の駐車スペースPeそれぞれの駐車状況を示す情報(以下「駐車状況情報」とも呼ぶ。)を記憶する。駐車状況情報は、駐車スペースPeが駐車済か否かを示す情報であり、駐車済の場合には駐車した車両が自動運転車両AMであるか、手動運転車両MMであるかを示す情報を含む。駐車状況情報は、駐車スペースPeの満空状況を示す情報とも言え、駐車スペースPeの入庫状況を示す情報とも言える。
【0034】
制御部202は、駐車状況更新部210、入庫車両検知部212、手動出庫車両検知部214、支援補助車両検知部215、経路作成部216、走行信号送信部218、報知部220を備える。これら複数の機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムが、駐車支援装置200のストレージにインストールされてもよい。駐車支援装置200のプロセッサ(CPU等)は、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0035】
駐車状況更新部210は、移動体100から送信された撮像画像に基づいて、駐車状況記憶部208に記憶された駐車状況情報を更新する。例えば、駐車状況更新部210は、或る駐車スペースPeに自動運転車両AMが入庫した場合、その駐車スペースPeに自動運転車両AMが入庫したことを示す情報を駐車状況情報に反映する。また、駐車状況更新部210は、或る駐車スペースPeに手動運転車両MMが入庫した場合、その駐車スペースPeに手動運転車両MMが入庫したことを示す情報を駐車状況情報に反映する。駐車状況更新部210は、上記特許文献1に記載された技術等、公知技術を用いて駐車状況情報を更新してもよい。
【0036】
入庫車両検知部212は、第1検知部として、駐車スペースPeへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両MMであるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両AMであるかを検知する。
【0037】
手動出庫車両検知部214は、第2検知部として、駐車スペースPeからの出庫を図る手動運転車両MM(以下「手動出庫車両」とも呼ぶ。)が存在する場合、その手動出庫車両を検知する。手動出庫車両は、短時間のうちに駐車スペースPeの外に出ることが想定される手動運転車両MMとも言える。
【0038】
支援補助車両検知部215は、駐車状況記憶部208に記憶された駐車状況情報を参照して、駐車スペースPeに駐車済(入庫済)の自動運転車両AMを支援補助車両SHMとして検知する。図3に関連して説明したように、支援補助車両SHMは、支援対象車両STM(手動運転車両MM)が駐車スペースPeに入庫できるように、駐車スペースPeから代替の駐車位置(駐車スペースPeの手前の走行スペース)に移動させる車両である。
【0039】
経路作成部216は、(1)移動体100から送信された撮像画像が示す支援対象車両の位置と、(2)上記撮像画像が示す駐車場Pの通路の空き状況と、(3)駐車状況記憶部208に記憶された駐車スペースPeの駐車状況とに基づいて、自動運転車両AMが進むべき経路を作成する。例えば、経路作成部216は、支援補助車両SHMの移動経路を作成する。
【0040】
走行信号送信部218は、入庫車両が手動運転車両MMであり、かつ、手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の自動運転車両AMに、入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する。報知部220は、入庫車両が手動運転車両MMであり、かつ、手動出庫車両が存在する場合、入庫車両の乗員(例えば手動運転車両運転者MMh)に入庫可能の旨を報知する。
【0041】
以上の構成による駐車支援装置200の動作を説明する。
図6は、第1実施例の駐車支援装置200の動作を示すフローチャートである。図6は、手動運転車両MMに対する入庫支援処理を示しており、駐車支援装置200は、図6の処理を繰り返し実行する。図6には不図示だが、駐車支援装置200の駐車状況更新部210は、移動体100から逐次送信された撮像画像に基づいて、駐車状況記憶部208に記憶された複数の駐車スペースPeの空き状況を逐次更新する。
【0042】
駐車支援装置200の入庫車両検知部212は、移動体100から逐次送信された撮像画像に基づいて、駐車場Pの進入口Piに達した車両(支援対象車両STM)が、自動運転車両AMであるか、手動運転車両MMであるかを判別する(S10)。入庫車両検知部212は、上記特許文献1に記載された技術等、公知技術を用いてS10の判別を実行してもよい。例えば、入庫車両検知部212は、支援対象車両STMの外観(例えば自動運転車両AMの特徴的な外観を有するか否か)に基づいて、支援対象車両STMが自動運転車両AMか手動運転車両MMかを判別してもよい。支援対象車両STMが自動運転車両AMである場合(S11のN)、S12以降の処理をスキップして本図の処理を終了する。
【0043】
支援対象車両STMが手動運転車両MMであり(S11のY)、かつ、駐車場P内の駐車スペースPeに空きがある場合(言い換えれば未入庫の駐車スペースPeが存在する場合)(S12のY)、駐車支援装置200の報知部220は、進入口Piの近くに設置された図示しないスピーカーや文字列表示機器と言った報知機器を用いて、支援対象車両STMの手動運転車両運転者MMhに入庫可能な駐車スペースPeの情報(例えば位置や経路)を報知する(S13)。例えば、図1のような車両駐車状況であれば、A列4,A列8,B列3,B列4,B列8の駐車スペースPeが入庫可能である旨を一般車両運転手MMhに報知する。
【0044】
なお、支援対象車両STMが、外部からの音声信号または画像信号等を受信可能なカーナビゲーション装置を備えていれば、駐車支援装置200の報知部220は、支援対象車両STMのカーナビゲーション装置に、入庫可能な駐車スペースPeを示す音声信号または画像信号を送信して、入庫可能な駐車スペースPeを報知してもよい。
【0045】
その後、駐車支援装置200の駐車状況更新部210は、移動体100から送信された撮像画像に基づいて、いずれの駐車スペースPeに支援対象車両STM(手動運転車両MM)が入庫したかを確認する(S14)。駐車支援装置200の駐車状況更新部210は、空いている駐車スペースPeに支援対象車両STMが入庫すれば、駐車状況記憶部208に記憶された駐車状況情報を、当該駐車スペースPeに手動運転車両MMが入庫済であるよう更新する(S15)。
【0046】
支援対象車両STMが手動運転車両MMであり、かつ、駐車場P内の駐車スペースPeに空きがない場合(言い換えれば全ての駐車スペースPeが駐車済である場合)(S12のN)、駐車支援装置200の手動出庫車両検知部214は、移動体100から送信された撮像画像に基づいて、駐車スペースPeから出庫しようとする手動運転車両MM(手動出庫車両)が存在するか否かを検知する(S16)。
【0047】
例えば、手動出庫車両検知部214は、移動体100による撮像画像を解析して、(1)駐車中の手動運転車両MMに手動運転車両運転者MMhが乗り込んだことを検知したこと、(2)駐車中の手動運転車両MMが動き出したことを検知したこと、(3)駐車中の手動運転車両MMにおいてウインカーまたはテールランプが作動したことのうち1つが満たされた場合、もしくは複数個の組み合わせが満たされた場合、その手動運転車両MMを手動出庫車両として検知してもよい。
【0048】
手動出庫車両が存在しなければ(S17のN)、駐車支援装置200の支援補助車両検知部215は、駐車スペースPeに駐車済の自動運転車両AMがあれば、その自動運転車両AMを支援補助車両SHMとして検知する。支援補助車両SHMが検知された場合(S18のY)、駐車支援装置200の経路作成部216は、支援補助車両SHMの出庫経路を作成する。支援補助車両SHMの出庫経路は、支援補助車両SHMのそれまでの駐車スペースPeから代替の駐車スペース(例えば駐車スペースPeの手前の走行スペース)への移動経路であってもよい。
【0049】
例えば、図3に示すように、支援補助車両検知部215は、駐車スペースPeに駐車済みの自動運転車両AMのうち、駐車場Pの進入口Piに到達した支援対象車両STM(手動運転車両MM)に最も近いA列8の駐車スペースPeに駐車している自動運転車両AMを支援補助車両SHMとして検知してもよい。経路作成部216は、A列8の駐車スペースPeへの支援対象車両STMの入庫に支障を及ぼさない利用可能位置までA列8の駐車スペースPeから走行する経路を、支援補助車両SHMの走行経路として作成してもよい。
【0050】
駐車支援装置200の走行信号送信部218は、経路作成部216により作成された支援補助車両SHMの出庫経路を示す走行信号を支援補助車両SHMへ送信する(S19)。支援補助車両SHM(自動運転車両AM)の自動運転制御部162は、駐車支援装置200から送信された走行信号にしたがって走行を開始し、支援補助車両SHMは駐車スペースPeの外に移動する。
【0051】
以降、S13の処理に進む。駐車支援装置200の報知部220は、それまで支援補助車両SHMが駐車していた駐車スペースPeを入庫可能な駐車スペースPeとして支援対象車両STMの手動運転車両運転者MMhに報知する。これにより、図4に示したような支援対象車両STM(手動運転車両MM)に対する駐車支援が実現される。
【0052】
支援補助車両SHMが未検知の場合であり、言い換えれば、駐車スペースPeに駐車済の自動運転車両AMがなければ(S18のN)、駐車支援装置200の報知部220は、現在は入庫が不可な旨を支援対象車両STMの手動運転車両運転者MMhに報知する(S20)。
【0053】
駐車場P内の駐車スペースPeに空きがなく、かつ、手動出庫車両が存在すれば(S17のY)、S13の処理に進む。駐車支援装置200の報知部220は、手動出庫車両が出庫しようとする駐車スペースPe(言い換えれば手動出庫車両がそれまで入庫していた駐車スペースPe)を入庫可能な駐車スペースPeとして支援対象車両STMの手動運転車両運転者MMhに報知する。
【0054】
第1実施例の駐車支援装置200によると、駐車場Pが満車の場合に、支援対象車両STM(手動運転車両MM)の駐車支援のために駐車済の自動運転車両AMを移動させる頻度を低減する。これにより、駐車場Pを利用する自動運転車両AMの乗員に不快感を抱かせる可能性を低減できる。
【0055】
<第2実施例>
本開示の第2実施例について、第1実施例と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。第2実施例の特徴は、第1実施例の特徴および変形例の特徴と任意の組合せが可能であることはもちろんである。
【0056】
特定の種類の車両(例えば福祉車両や大型車両)は、駐車場において通常の駐車スペースには駐車できず、専用の駐車スペースにのみ駐車が許可される。福祉車両は、例えば、身体の不自由な人や高齢者が使いやすいように工夫が施された車両である。大型車両は、例えば、大型バスである。以下、専用の駐車スペースにのみ駐車が許可される手動運転車両MMを「特定車両」とも呼ぶ。
【0057】
上記特許文献1の駐車支援システムでは、支援対象車両STM(手動運転車両MM)が特定車両か否かを考慮せずに駐車スペースへの入庫支援を行う。そのため、上記特許文献1の駐車支援システムでは、支援対象車両STM(手動運転車両MM)が特定車両である場合に、通常の駐車スペースに入庫するよう特定車両を誘導してしまう虞がある。
【0058】
そこで、第2実施例の駐車支援システム10では、駐車場Pに新たに入場しようとする手動運転車両MM(すなわち支援対象車両STM)が特定車両の場合、(1)駐車中の自動運転車両AMを例外的に移動させず、かつ、(2)特定車両の専用駐車スペースの空き状況のみを考慮して、特定車両を入庫させるか否かを判断する。
【0059】
第2実施例の駐車支援システム10は、第1実施例の駐車支援システム10と同様の構成である。また、第2実施例の駐車支援装置200は、第1実施例の駐車支援装置200と同様の機能ブロックを備える。
【0060】
第2実施例の駐車支援装置200において、駐車状況記憶部208に記憶される駐車状況情報は、駐車場Pにおける特定車両の専用駐車スペースの空き状況(例えば特定車両が入庫済か否か)を示す情報を含む。駐車状況更新部210は、移動体100から送信された撮像画像(例えば特定車両の専用駐車スペースを写した画像)に基づいて、特定車両の専用駐車スペースの空き状況を検出し、駐車状況記憶部208に記憶された駐車状況情報を更新する。
【0061】
図7は、第2実施例の駐車支援装置200の動作を示すフローチャートである。図7のS30とS31の処理は、図6(第1実施例)のS10とS11の処理と同様である。ただし、S30では、駐車支援装置200の入庫車両検知部212は、支援対象車両STMが手動運転車両MMの場合、支援対象車両STMが特定車両(例えば福祉車両または大型車両)か否かをさらに検知する。
【0062】
例えば、入庫車両検知部212は、特定車両としての福祉車両および大型車両を識別するためのラベル等の画像データや、サイズ等の基準データを予め記憶してもよい。入庫車両検知部212は、移動体100による撮像画像をもとに、支援対象車両STMから、車椅子マーク(国際シンボルマークとも言える)のラベル、身体障害者標識のラベルまたは聴覚障害者マークのラベルを検出した場合、支援対象車両STMが福祉車両であると判定してもよい。また、入庫車両検知部212は、移動体100による撮像画像をもとに、支援対象車両STMのサイズを計測し、そのサイズが大型車両を規定する基準値(閾値)以上である場合、支援対象車両STMが大型車両であると判定してもよい。
【0063】
支援対象車両STM(手動運転車両MM)が特定車両である場合(S32のY)、駐車支援装置200の報知部220は、駐車状況記憶部208に記憶された駐車状況情報に基づいて、特定車両の専用駐車スペースに空きがあるか否かを判定する。特定車両の専用駐車スペースに空きがある場合(S33のY)、S35に進み、報知部220は、空いた専用駐車スペースを入庫可能な駐車スペースとして支援対象車両STM(特定車両)の手動運転車両運転者MMhに報知する。一方、特定車両の専用駐車スペースに空きがない場合(S33のN)、S42に進み、報知部220は、現在は入庫が不可な旨を支援対象車両STM(特定車両)の手動運転車両運転者MMhに報知する。
【0064】
支援対象車両STM(手動運転車両MM)が特定車両でなければ(S32のN)、S34以降の処理を実行する。S34以降の処理は、図6(第1実施例)のS12以降の処理と同じであるため説明を省略する。図7に示すように、支援対象車両STMが特定車両の場合、駐車支援装置200の走行信号送信部218は、駐車済の自動運転車両AMに対して駐車スペースPeから移動させるための走行信号を送信しない。
【0065】
第2実施例の駐車支援装置200によると、支援対象車両STMの駐車支援のために駐車済の自動運転車両AMを移動させる頻度を一層低減できる。また、第2実施例の駐車支援装置200によると、特定車両を不適切な駐車スペースに誘導してしまうことを防止できる。
【0066】
<第3実施例>
本開示の第3実施例について、第1実施例と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。第3実施例の特徴は、上記各実施例の特徴および変形例の特徴と任意の組合せが可能であることはもちろんである。
【0067】
旅客輸送車両が駐車場に入場する場合、旅客輸送車両自体は駐車スペースPeに入庫せず、旅客輸送車両の乗客が敷地内で乗り降りできればよいケースがある。しかし、上記特許文献1の駐車支援システムでは、支援対象車両STM(手動運転車両MM)が旅客輸送車両か否かを考慮せずに駐車スペースへの入庫支援を行う。そのため、上記特許文献1の駐車支援システムでは、旅客輸送車両が乗客を降ろすために駐車場Pに入場する場合であっても、駐車済の自動運転車両AMの移動が発生し、または、旅客輸送車両が駐車場Pへ入場することを禁止する。
【0068】
そこで、第3実施例の駐車支援システム10は、駐車場に入場する支援対象車両STM(手動運転車両MM)が旅客輸送車両の場合には、駐車中の自動運転車両AMを移動させず、その旅客輸送車両の乗員(運転者)に入場可を知らせる。第3実施例の旅客輸送車両は、タクシーとする。
【0069】
第3実施例の駐車支援システム10は、第1実施例の駐車支援システム10と同様の構成である。また、第3実施例の駐車支援装置200は、第1実施例の駐車支援装置200と同様の機能ブロックを備える。
【0070】
図8は、第3実施例の駐車支援装置200の動作を示すフローチャートである。図8のS50~S52の処理は、図6(第1実施例)のS10~S12と同じであるため説明を省略する。ただし、S50では、駐車支援装置200の入庫車両検知部212は、入庫車両(支援対象車両STM)がタクシーである場合、そのことをさらに検知する。
【0071】
例えば、入庫車両検知部212は、タクシーの特徴を示す行灯やナンバープレート等の特徴データを予め記憶してもよい。入庫車両検知部212は、移動体100による撮像画像に基づいて、その撮像画像に写る支援対象車両STMからタクシーの特徴データを検出した場合、支援対象車両STMがタクシーであると判定してもよい。
【0072】
支援対象車両STMがタクシーである場合(S53のY)、駐車支援装置200の報知部220は、駐車場Pへの入場を許可するが、駐車スペースPeに入庫不可であることを示す情報を支援対象車両STMの手動運転車両運転者MMh(典型的にはタクシードライバー)へ報知する(S54)。支援対象車両STMがタクシーでなければ(S53のN)、S58に進み、駐車支援装置200の入庫車両検知部212は、手動出庫車両の有無を検知する。
【0073】
図8のS55以降の処理は、図6(第1実施例)のS13以降の処理と同じであるため説明を省略する。図8に示すように、支援対象車両STMがタクシーの場合、駐車支援装置200の走行信号送信部218は、駐車済の自動運転車両AMに対して駐車スペースPeから移動させるための走行信号を送信しない。
【0074】
第3実施例の駐車支援装置200によると、支援対象車両STMの駐車支援のために駐車済の自動運転車両AMを移動させる頻度を一層低減できる。また、第3実施例の駐車支援装置200によると、支援対象車両STMの駐車場Pの利用目的を考慮して、支援対象車両STMとしての旅客輸送車両を駐車場Pに適切に入場させることができる。
【0075】
以上、本開示を第1~第3実施例をもとに説明した。これらの実施例は例示であり、実施例の各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0076】
変形例を説明する。上述した各実施例では、駐車支援装置200の入庫車両検知部212は、移動体100による撮像画像に基づいて、入庫車両の種類を検知した。変形例として、入庫車両検知部212は、移動体100による撮像画像に代えて、または移動体100による撮像画像とともに、駐車場Pに設置された1つ以上の固定カメラによる撮像画像に基づいて、入庫車両の種類を検知してもよい。
【0077】
別の変形例を説明する。上述した各実施例では、駐車支援装置200の手動出庫車両検知部214は、移動体100による撮像画像に基づいて、手動出庫車両を検知した。変形例として、手動出庫車両検知部214は、移動体100による撮像画像に代えて、または移動体100による撮像画像とともに、駐車場Pに設置された1つ以上の固定カメラによる撮像画像に基づいて、手動出庫車両を検知してもよい。また、手動出庫車両検知部214は、駐車場Pに設置された精算機で駐車券を用いた駐車料金の精算処理が実行された場合に、駐車料金が精算された手動運転車両MMを手動出庫車両として検知してもよい。
【0078】
さらに別の変形例を説明する。上述した各実施例に係る駐車支援装置200の機能は、複数の装置に亘って実装されてもよい。すなわち、各実施例に係る駐車支援装置200の処理は、複数の装置が連携するシステムにより実現されてもよい。例えば、各実施例に係る駐車支援装置200の機能の一部は、移動体100に実装されてもよい。
【0079】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0080】
実施例および変形例に記載の技術は、以下の各項目に記載の態様によって特定されてもよい。
[項目1]
複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援する装置であって、
前記駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知する第1検知部と、
前記駐車スペースからの出庫を図る前記手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、その手動出庫車両を検知する第2検知部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の前記自動運転車両に、前記入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する走行信号送信部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在する場合、前記入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する報知部と、
を備える駐車支援装置。
この駐車支援装置によると、駐車場が満車の場合の入庫車両の駐車支援のために、駐車済の自動運転車両を移動させる頻度を低減し、駐車場を利用する自動運転車両の乗員に不快感を抱かせる可能性を低減できる。
[項目2]
駐車状況記憶部をさらに備え、
前記第1検知部は、前記入庫車両が、専用の駐車スペースにのみ駐車が許可される手動運転車両である特定車両の場合、そのことをさらに検知し、
前記駐車状況記憶部は、前記専用の駐車スペースの空き状況を記憶し、
前記報知部は、前記入庫車両が前記特定車両である場合、前記専用の駐車スペースの空き状況に応じて、前記特定車両の乗員に入庫可否を報知し、
前記走行信号送信部は、前記入庫車両が前記特定車両である場合、駐車済の前記自動運転車両に前記走行信号を送信しない、
項目1に記載の駐車支援装置。
この駐車支援装置によると、入庫車両の駐車支援のために、駐車済の自動運転車両を移動させる頻度を一層低減でき、また、特定車両を不適切な駐車スペースに誘導してしまうことを防止できる。
[項目3]
前記第1検知部は、前記入庫車両が旅客輸送車両である場合、そのことをさらに検知し、
前記報知部は、前記入庫車両が前記旅客輸送車両である場合、前記旅客輸送車両の乗員に前記駐車場への入場を許可する旨を報知し、
前記走行信号送信部は、前記入庫車両が前記旅客輸送車両である場合、駐車済の前記自動運転車両に前記走行信号を送信しない、
項目1または2に記載の駐車支援装置。
この駐車支援装置によると、入庫車両の駐車支援のために、駐車済の自動運転車両を移動させる頻度を一層低減でき、また、入庫車両の駐車場の利用目的を考慮して、駐車場に入庫車両(ここでは旅客輸送車両)を適切に入場させることができる。
[項目4]
複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援するシステムであって、
前記駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知する第1検知部と、
前記駐車スペースからの出庫を図る前記手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、そのことを検知する第2検知部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の前記自動運転車両に、前記入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信する走行信号送信部と、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在する場合、前記入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する報知部と、
を備える駐車支援システム。
この駐車支援システムによると、項目1の駐車支援装置と同様の効果を奏する。
[項目5]
複数台の駐車スペースを備える駐車場における駐車を支援する方法であって、
前記駐車スペースへの入庫を図る車両である入庫車両が、乗員の操作により走行する手動運転車両であるか、または、外部からの走行信号にしたがった自動走行が可能な自動運転車両であるかを検知し、
前記駐車スペースからの出庫を図る前記手動運転車両である手動出庫車両が存在する場合、そのことを検知し、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在しない場合、駐車済の前記自動運転車両に、前記入庫車両の入庫を可能とする利用可能位置まで走行させる走行信号を送信し、
前記入庫車両が前記手動運転車両であり、かつ、前記手動出庫車両が存在する場合、前記入庫車両の乗員に入庫可能の旨を報知する、
ことをコンピュータが実行する駐車支援方法。
この駐車支援方法によると、項目1の駐車支援装置と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0081】
10 駐車支援システム、 200 駐車支援装置、 208 駐車状況記憶部、 210 駐車状況更新部、 212 入庫車両検知部、 214 手動出庫車両検知部、 218 走行信号送信部、 220 報知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8