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  • 特開-バスバー位置決め構造及び電気機器 図1
  • 特開-バスバー位置決め構造及び電気機器 図2
  • 特開-バスバー位置決め構造及び電気機器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114518
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】バスバー位置決め構造及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230810BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016851
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和宏
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA24
5H770HA02Y
5H770QA06
5H770QA14
5H770QA28
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】電気機器を組み立てる際のバスバーと電気部品との干渉を回避して電気機器の組み立て性の向上を図ること。
【解決手段】バスバー位置決め構造1は、半導体モジュール3の端子部31におけるバスバー4の配置を位置決めする位置決め部10を有する。位置決め部10は、絶縁性の樹脂の成型により、バスバー4の端面41と当接する当接部11と、バスバー4の側面42からバスバー4を係止する一対の係止部12とを、一体的に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品の端子部に接続されるバスバーの位置決め構造であって、
前記端子部における前記バスバーの配置を位置決めする位置決め部を有し、
前記位置決め部は、
前記バスバーの端面と当接する当接部と、
前記バスバーの側面から当該バスバーを係止する一対の係止部と、
を備えたことを特徴とするバスバー位置決め構造。
【請求項2】
前記バスバーの端面が前記当接部に当接すると当該バスバーの締結孔が前記端子部の締結孔と会合することを特徴とする請求項1に記載のバスバー位置決め構造。
【請求項3】
前記一対の係止部には、前記バスバーの上方向への抜けを防止する反し部が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載のバスバー位置決め構造。
【請求項4】
前記反し部は、前記一対の係止部の上端付近にて、前記バスバーの長手方向の縁部に沿って配され、当該バスバーの幅方向に対向して突設されたことを特徴とする請求項3に記載のバスバー位置決め構造。
【請求項5】
前記バスバーは、当該バスバーの電流を検出する電流センサの貫通孔に挿通されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のバスバー位置決め構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のバスバー位置決め構造を備えたことを特徴とする電気機器。
【請求項7】
電力変換装置であることを特徴とする請求項6に記載の電気機器。
【請求項8】
前記電気部品は、前記電力変換装置の半導体モジュールであることを特徴とする請求項7に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置等の電気機器のバスバー位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置は、複数のスイッチング素子のオンオフ動作により直流電力を交流電力に変換する。例えば、特許文献1のインバータ装置は、スイッチング素子を備えた半導体モジュールの交流出力端子とインバー装置の出力端子とを接続する電線の代わりにバスバーを備える。前記インバータ装置の出力電流は前記バスバーが挿通される貫通孔を有する電流センサにより検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2013/031291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に例示されたインバータ装置2の組立工程において、半導体モジュール3へのバスバー4の取り付けはバスバー4の位置決めがなされない状態で行われる。このとき、半導体モジュール3の端子部31へのバスバー4の締結過程でバスバー4が同図の矢印方向に動き、バスバー4と端子部31との接触面積の低下に伴う電流密度の低減により、バスバー4の損失が増加してバスバー4の発熱が生じやすくなるおそれがある。また、バスバー4への電流センサ5の組付け時に例えば同図の部位Pにてバスバー4とこれが挿通される電流センサ5の検出部51(貫通孔53)の内面との干渉が生じやすくなり、インバータ装置2の組み立て作業の障害となる。
【0005】
本発明は、以上の事情を鑑み、電気機器を組み立てる際のバスバーと電気部品との干渉を回避して電気機器の組み立て性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の一態様は、電気部品の端子部に接続されるバスバーの位置決め構造であって、前記端子部における前記バスバーの配置を位置決めする位置決め部を有し、前記位置決め部は、前記バスバーの端面と当接する当接部と、前記バスバーの側面から当該バスバーを係止する一対の係止部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様は、前記バスバー位置決め構造において、前記バスバーの端面が前記当接部に当接すると当該バスバーの締結孔が前記端子部の締結孔と会合する。
【0008】
本発明の一態様は、前記バスバー位置決め構造において、前記一対の係止部には、前記バスバーの上方向への抜けを防止する反し部が設けられる。
【0009】
本発明の一態様は、前記バスバー位置決め構造において、前記反し部は、前記一対の係止部の上端付近にて、前記バスバーの長手方向の縁部に沿って配され、当該バスバーの幅方向に対向して突設される。
【0010】
本発明の一態様は、前記バスバー位置決め構造において、前記バスバーは、当該バスバーの電流を検出する電流センサの貫通孔に挿通される。
【0011】
本発明の一態様は、上記のバスバー位置決め構造を備えた電気機器である。
【0012】
本発明の一態様は、前記電気機器が電力変換装置である。
【0013】
本発明の一態様は、前記電気機器において、前記電気部品は、前記電力変換装置の半導体モジュールである。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、電気機器を組み立てる際のバスバーと電気部品との干渉が回避され、電気機器の組み立て性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一態様であるバスバー位置決め構造の平面図。
図2図1のA―A断面図
図3】従来のバスバーの取り付け状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1に示された本発明の一態様であるバスバー位置決め構造1は、電気機器の一態様である電力変換装置、例えば、インバータ装置2に適用される。
【0018】
バスバー位置決め構造1は、インバータ装置2の電気部品の一つである半導体モジュール3の端子部31に接続されるバスバー4の位置決めを可能とする。
【0019】
すなわち、バスバー位置決め構造1は、半導体モジュール3の端子部31におけるバスバー4の配置を位置決めする位置決め部10を有する。
【0020】
位置決め部10は、絶縁性の樹脂の成型により、バスバー4の端面41と当接する当接部11と、バスバー4の側面42からバスバー4を係止する一対の係止部12とを、一体的に備える。
【0021】
当接部11は、バスバー4の端面41が当接部11に当接するとバスバー4の締結孔40が端子部31の締結孔30と会合するように端子部31に設けられる。
【0022】
一対の係止部12には、バスバー4の上方向への抜けを防止する反し部13が設けられる。反し部13は、図1,2に示したように、係止部12の上端付近にて、バスバー4の長手方向の縁部43に沿って配され、バスバー4の幅方向に対向して突設される。
【0023】
バスバー4には、バスバー4の電流を検出する電流センサ5が付帯される。電流センサ5は、貫通式を採用し、通電時のバスバー4から発する磁界を検出する検出部51と、前記磁界に基づきバスバー4の電流値を計測する測定部52と、検出部51にてバスバー4が挿通される貫通孔53と、を有する。
【0024】
同図を参照してバスバー4の取り付け手順の一例について説明する。
【0025】
位置決め部10において係止部12と反し部13とから形成された挿入口14にバスバー4の端面41が挿入されて当接部11に当接する。このとき、バスバー4の締結孔40が端子部31の締結孔30と会合してバスバー4が端子部31上に配置される。次いで、このバスバー4の締結孔40及び端子部31の締結孔30に図示省略の締結具が螺着されることで、半導体モジュール3の端子部31にバスバー4が接続固定される。この端子部31に固定されたバスバー4は電流センサ5の検出部51(貫通孔53)に挿通される。
【0026】
以上のバスバー位置決め構造1によれば、半導体モジュール3の端子部31に位置決め部10が設けられたことで、端子部31におけるバスバー4の配置の位置決めが容易となる。そして、この位置決めにより、バスバー4と電流センサ5の検出部51との干渉が解消されるので、バスバー4と検出部51との間で一定のクリアランスが確保される。
【0027】
特に、位置決め部10の当接部11に当接したバスバー4が一対の係止部12により係止されることで、端子部31上の所定位置におけるバスバー4の係止が可能となる。また、バスバー4の端面41が当接部11に当接するとバスバー4の締結孔40が端子部31の締結孔30と会合するので、端子部31とバスバー4との締結の作業効率が高まる。
【0028】
さらに、係止部12に反し部13が設けられたことで、バスバー4の上方向への抜けを防止できる。特に、係止部12の上端付近にて反し部13がバスバー4の長手方向の縁部に沿って設けられ且つバスバー4の幅方向に対向して突設されたことで、インバータ装置2の振動によるバスバー4の緩み及び脱落を抑制できる。
【0029】
したがって、バスバー位置決め構造1によれば、端子部31におけるバスバー4の組付け誤差が低減し、端子部31とバスバー4との接触面積の低下に伴う損失増加が抑制されると共に、バスバー4への電流センサ5の検出部51の組付け作業が容易となる。
【0030】
以上のように、バスバー位置決め構造1によれば、インバータ装置2を組み立てる際のバスバー4と電流センサ5(検出部51)との干渉が回避され、インバータ装置2の組み立て性の向上が図られる。
【0031】
尚、本発明は、インバータ装置2以外のDC/DCコンバータに例示される半導体モジュール3とバスバー4を備えた電力変換装置の全般にも適用できる。また、電流センサ5以外のフェアライトコアに例示されるバスバー4を挿通可能な電気部品の全般にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1…バスバー位置決め構造、10…位置決め部、11…当接部、12…係止部、13…反し部、14…挿入口
2…インバータ装置
3…半導体モジュール、30…締結孔、31…端子部
4…バスバー、40…締結孔、41…端面、42…側面
5…電流センサ、51…検出部、52…測定部、53…貫通孔
P…部位
図1
図2
図3