(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114520
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】端末装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 1/72454 20210101AFI20230810BHJP
H04B 7/0404 20170101ALI20230810BHJP
H04B 17/00 20150101ALI20230810BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230810BHJP
【FI】
H04M1/72454
H04B7/0404
H04B17/00 Z
H04W16/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016855
(22)【出願日】2022-02-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】飯島 賢一
(72)【発明者】
【氏名】竹花 秀一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 重人
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝尚
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067FF16
5K067KK02
5K127AA02
5K127BA03
5K127CB22
5K127JA15
5K127JA23
(57)【要約】
【課題】通信品質に関する情報を適切に表示する端末装置及び表示制御方法等の提供。
【解決手段】基地局と通信を行う通信部と、基地局との通信における通信品質を表す指標情報を求める通信品質検出部と、指標情報に基づいて、通信品質を表すオブジェクトの表示処理を行う表示処理部と、を含み、通信品質検出部は、基地局との通信の安定度に基づいて、指標情報を求める。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と通信を行う通信部と、
前記基地局との前記通信における通信品質を表す指標情報を求める通信品質検出部と、
前記指標情報に基づいて、前記通信品質を表すオブジェクトの表示処理を行う表示処理部と、
を含み、
前記通信品質検出部は、
前記基地局との前記通信の安定度に基づいて、前記指標情報を求める端末装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記通信部は、
ビームフォーミングを用いて前記基地局との前記通信を行い、
前記通信品質検出部は、
前記ビームフォーミングにおけるビームの切り替わりに基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記通信品質検出部は、
所定期間における前記ビームの切り替わり回数が閾値以上である場合、前記切り替わり回数が閾値未満である場合に比べて前記安定度が低いと判定する端末装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記閾値は、前記基地局との前記通信に用いられる電波の周波数に応じて設定される端末装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか一項において、
前記通信部は、
前記基地局への電波の送信、または、前記基地局からの電波の受信に用いる前記ビームの切り替え制御を行い、
前記通信品質検出部は、
前記通信部における前記ビームの切り替わり頻度に基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記通信部は、
複数のアンテナを含み、前記複数のアンテナのうち、前記ビームフォーミングに用いるアンテナである使用アンテナを切り替え、
前記通信品質検出部は、
前記使用アンテナの切り替わりに基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記通信部は、
前記ビームフォーミングにおける前記ビームを形成するアンテナを含み、
前記アンテナは、
複数のエレメントを有し、
前記通信品質検出部は、
前記複数のエレメントのうち、使用されるエレメントの数に基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項8】
請求項2乃至4の何れか一項において、
前記通信部は、
前記基地局からの前記ビームを受信し、
前記通信品質検出部は、
前記通信部が受信する前記基地局からの前記ビームの切り替わり頻度に基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記通信品質検出部は、
前記通信部が受信する前記基地局からの前記ビームが切り替わった場合に、切り替え前のビーム方向と切り替え後のビーム方向とに基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項において、
前記通信部は、
複数の候補基地局の中から前記通信を行う前記基地局を選択し、
前記通信品質検出部は、
前記基地局の切り替わり頻度に基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項において、
前記通信部は、
前記基地局との間で参照信号の送信または受信を行い、
前記通信品質検出部は、
前記参照信号の電波強度または電波品質に基づいて品質レベルを求め、前記品質レベルを前記安定度に基づいて補正することによって、前記指標情報を求める端末装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記通信品質検出部は、
前記参照信号の前記電波強度または前記電波品質の変動度合いに基づいて、前記安定度を判定する端末装置。
【請求項13】
端末装置と基地局との通信における通信品質を表す指標情報を求めるステップと、
前記指標情報に基づいて、前記通信品質を表すオブジェクトの表示処理を行うステップと、
を含み、
前記端末装置と前記基地局との前記通信の安定度に基づいて、前記指標情報を求める表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及び表示制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信品質を表す情報を端末装置に表示する手法が知られている。例えば移動通信網を用いた通信において、移動局の受信レベルをユーザーが把握するために、当該移動局の表示画面にアンテナピクトが表示される。例えば特許文献1には、自端末装置の電波環境の状態を表す電波状態情報と、自端末装置の通信の混雑状態を表す混雑状態情報とに基づいて通信品質に関する表示を制御する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電波強度や電波品質が短時間で頻繁に、あるいは急激に変化する場合、当該変化が適切にアンテナピクトに反映されないおそれがある。
【0005】
本開示のいくつかの態様によれば、通信品質に関する情報を適切に表示する端末装置及び表示制御方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、基地局と通信を行う通信部と、前記基地局との前記通信における通信品質を表す指標情報を求める通信品質検出部と、前記指標情報に基づいて、前記通信品質を表すオブジェクトの表示処理を行う表示処理部と、を含み、前記通信品質検出部は、前記基地局との前記通信の安定度に基づいて、前記指標情報を求める端末装置に関係する。
【0007】
本開示の他の態様は、端末装置と基地局との通信における通信品質を表す指標情報を求めるステップと、前記指標情報に基づいて、前記通信品質を表すオブジェクトの表示処理を行うステップと、を含み、前記端末装置と前記基地局との前記通信の安定度に基づいて、前記指標情報を求める表示制御方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】アンテナの構成例及びビームフォーミングを説明する図。
【
図5】ビームペアの切り替え処理を説明するフローチャート。
【
図6】アンテナピクトの表示処理を説明するフローチャート。
【
図7】安定度の判定処理を説明するフローチャート。
【
図9】電波強度、ビームの切り替わり、及びアンテナピクトの関係例を示す図。
【
図11】電波強度の瞬時値、平均値及び変動量と、アンテナピクトの関係例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.システム構成例
図1は、本実施形態に係る端末装置100を含む通信システム10の構成を示す図である。通信システム10は、端末装置100と基地局200を含む。ただし通信システム10の構成は
図1に限定されず、一部の構成を省略する、他の構成を追加する等の種々の変形実施が可能である。例えば通信システム10は、基地局200と接続されるコアネットワークを含んでもよい。
【0011】
端末装置100と基地局200は、所定の通信方式に従った無線通信を行う。ここでの通信方式は、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)において規定された無線通信方式であってもよく、具体的には第5世代移動通信システム(5GS:5G System)を用いた無線通信方式である。ただし本実施形態における通信方式は5GSを用いた方式には限定されず、これを発展させた規格等、他の方式であってもよい。また本実施形態における通信方式は、LTE(Long Term Evolution)や3G等の移動通信方式を含んでもよい。
【0012】
端末装置100は、例えば5GSにおけるUE(User Equipment)として機能する機器である。端末装置100は、狭義にはSA(Stand Alone)方式の通信が可能なUEであってもよい。端末装置100は、例えばスマートフォンであるが、他の態様の装置が用いられてもよい。
【0013】
基地局200は、例えば、5GSにおけるNR基地局(gNB)であってもよい。NR基地局である基地局200は、不図示のコアネットワークと接続される。ここでのコアネットワークは、例えば5Gコアネットワークである。
【0014】
図2は、端末装置100の構成例を示す図である。端末装置100は、処理部110、通信部120、表示部130、記憶部140を含んでもよい。ただし端末装置100の構成は
図2に限定されず、一部の構成を省略する、他の構成を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0015】
処理部110は、端末装置100における種々の処理を実行する。本実施形態の処理部110は、下記のハードウェアによって構成される。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、ハードウェアは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子によって構成できる。1又は複数の回路装置は例えばIC(Integrated Circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等である。1又は複数の回路素子は例えば抵抗、キャパシター等である。
【0016】
また処理部110は、下記のプロセッサによって実現されてもよい。本実施形態の端末装置100は、情報を記憶するメモリと、メモリに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサと、を含む。情報は、例えばプログラムと各種のデータ等である。プロセッサは、ハードウェアを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサを用いることが可能である。メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリはコンピュータによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサが実行することによって、処理部110の機能が処理として実現される。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
【0017】
通信部120は、ネットワークを介した通信を行うためのインターフェイスであり、例えばアンテナAT、RF(radio frequency)回路、及びベースバンド回路を含む。アンテナATの構成例については
図4を用いて後述する。通信部120は、例えば処理部110の制御に従って動作する。また通信部120は、処理部110とは異なる通信制御用のプロセッサを含んでもよい。
【0018】
通信部120は、例えば3GPPによって標準化された5GSに従った移動通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信部120は、5Gに対応した基地局200と通信を行う。
【0019】
表示部130は、種々の情報を表示するインターフェイスであり、液晶ディスプレイであってもよいし、有機ELディスプレイであってもよいし、他の方式のディスプレイであってもよい。
【0020】
記憶部140は、処理部110のワーク領域であって、種々の情報を記憶する。記憶部140は、種々のメモリによって実現が可能であり、メモリは、SRAM、DRAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、磁気記憶装置であってもよいし、光学式記憶装置であってもよい。
【0021】
また端末装置100は、
図2に不図示の操作部を含んでもよい。操作部は、端末装置100に設けられるボタン等であってもよいし、表示部130と一体として構成されるタッチパネルであってもよい。
【0022】
また
図2に示すように、処理部110は、通信品質検出部111と、表示処理部113を含んでもよい。
【0023】
通信品質検出部111は、通信部120と基地局200との通信における通信品質を表す指標情報を求める。指標情報とは、通信品質の高低を表す情報である。例えば通信部120は、基地局200との間で参照信号の送信または受信を行ってもよい。通信品質検出部111は、当該参照信号に基づいて、指標情報を求める。
【0024】
例えば通信品質は、通信部120が基地局200から受信する参照信号の品質を表し、指標情報は参照信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)や、RSRQに基づいて求められる情報であってもよい。
【0025】
例えば通信品質検出部111は、SS-RSRQ(Synchronization Signal-Reference Signal Received Quality)を検出する処理を行う。また通信品質検出部111は、CSI-RSRQ(Channel State Information- Reference Signal Received Quality)を検出する処理を行ってもよい。SS-RSRQ及びCSI-RSRQは、5GSにおける物理層の評価に用いられる指標である。SS-RSRQ及びCSI-RSRQは、例えばdB等を単位とする数値データである。SS-RSRQ、CSI-RSRQについては公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
また通信品質検出部111は、RSRP(Reference Signal Received Power)やRSSI(Received Signal Strength Indicator)等を検出してもよく、指標情報の算出に用いられる情報は種々の変形実施が可能である。
【0027】
また、参照信号は端末装置100から基地局200に送信される信号であってもよい。例えば参照信号は、基地局200が上りリンクの電波強度等を判定するためのSRS(Sounding Reference Signal)等であってもよい。
【0028】
例えば通信品質検出部111は、RSRQの値に基づいて、指標情報として品質レベルを求める処理を行ってもよい。例えば通信品質検出部111は、あらかじめRSRQが取り得る数値範囲をN個(Nは2以上の整数)に区分しておき、現在のRSRQがいずれの数値範囲に属するかに応じて品質レベルを特定する。例えば
図9を用いて後述するように、N=6であって、品質レベルはレベル0~レベル5の6段階を含んでもよい。ここではレベル0がRSRQの値が小さく(通信品質が低く)、レベル5がRSRQの値が大きい(通信品質が高い)。また通信品質検出部111は、参照信号を受信できない場合、品質レベルが「圏外」であると判定してもよい。上記レベル0は参照信号を受信できているため、圏外の方がより通信品質が低い状態を表す。以下、指標情報が品質レベルである例を示すが、指標情報はdB等の単位を用いて表現される数値データであってもよい。
【0029】
表示処理部113は、通信品質検出部111が求めた指標情報に基づいて、通信品質を表すオブジェクトの表示処理を行う。例えば表示処理部113は、品質レベルを表すピクトグラムを、表示部130に表示する処理を行ってもよい。以下、品質レベルを表すピクトグラムをアンテナピクトとも表記する。例えばアンテナピクトは、5つの棒状のオブジェクトを含んでもよい。表示処理部113は、品質レベルがn(nは0以上5以下の整数)である場合に、左からn本のオブジェクトの表示態様を第1態様に設定し、且つ、残りの5-n本のオブジェクトの表示態様を第1態様とは異なる第2態様に設定する処理を行う。第1態様とは、例えば棒状のオブジェクトを所定色で塗りつぶした状態で表示する態様を表す。第2態様とは、棒状のオブジェクトを白抜きで表示する態様、または非表示とする態様を表す。ただし、本実施形態では第1態様と第2態様が識別可能な態様であればよく、具体的な表示態様はこれに限定されない。またアンテナピクトの形状等についても種々の変形実施が可能である。
【0030】
本実施形態の通信品質検出部111は、基地局200との通信の安定度に基づいて、指標情報を求めてもよい。例えば上述した参照信号に基づいて品質レベルを求めた後、当該品質レベルを安定度に基づいて補正し、補正後の品質レベルを指標情報としてもよい。
【0031】
本実施形態の手法によれば、通信品質の程度を表示する際に、通信の安定度が考慮されるため、表示されるオブジェクト(アンテナピクト)を実際の通信品質に近づけることが可能になる。
【0032】
例えば、5GSでは28GHz帯や39GHz帯等、従来の3GやLTEに比べて使用する電波の周波数が高くなっている。周波数の高い電波は直進性が高く、障害物の影響を受けやすいため、端末装置100の向きや端末装置100の周囲に存在する物体の状況に応じて、通信に用いている電波の状況が頻繁に、あるいは急激に変化する可能性がある。
【0033】
例えば通信品質検出部111が所与の長さを有する第1期間内で複数回RSRQを取得し、その平均値に基づいて品質レベルを算出する場合を考える。この場合、通信品質に影響を与える程度に電波状況が悪化したとしても、当該悪化が上記第1期間に比べて短い時間で回復した場合、RSRQの低下は一時的なものとなるため、平均値に与える影響が小さい。結果として品質レベルの値は低下せず、表示されるアンテナピクトの本数も維持される。しかし、短期的な電波状況の悪化が通信品質に影響を与えることも十分考えられる。特に5GSでは、eMBB(enhanced Mobile Broadband)やURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)等の要求があるため、電波状況の悪化が短時間であっても通信品質への影響が大きい。
【0034】
これに対して、本実施形態の手法では通信の安定度が考慮されるため、上述した一時的な電波状況の変化等を指標情報及びアンテナピクトに反映させることが可能になる。結果として、端末装置100のユーザーがアンテナピクトから把握する通信品質と、実際の通信品質の乖離を抑制することが可能になる。
【0035】
ここでの安定度は、第1実施形態及び第2実施形態において後述するように、ビームフォーミングにおけるビームの切り替わりに基づいて求められてもよい。また安定度は、第3実施形態において後述するように、参照信号の電波強度等の変動度合いに基づいて求められてもよい。また安定度は、第4実施形態において後述するように、基地局200の切り替わり(ハンドオーバー)に基づいて求められてもよい。具体的な処理については、各実施形態において後述する。
【0036】
また本実施形態の手法は、表示制御方法に適用できる。表示制御方法は、端末装置100と基地局200との通信における通信品質を表す指標情報を求めるステップと、指標情報に基づいて、通信品質を表すオブジェクトの表示処理を行うステップと、を含む。指標情報を求めるステップにおいて、端末装置100と基地局200との通信の安定度に基づいて、指標情報が求められる。
【0037】
また、本実施形態の端末装置100が行う処理の一部又は全部は、プログラムによって実現されてもよい。本実施形態に係るプログラムは、例えばコンピュータによって読み取り可能な媒体である非一時的な情報記憶装置(情報記憶媒体)に格納できる。情報記憶装置は、例えば光ディスク、メモリーカード、HDD、或いは半導体メモリなどによって実現できる。半導体メモリは例えばROMである。端末装置100の処理部110は、情報記憶装置に格納されるプログラムに基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶装置は、処理部110としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶する。コンピュータは、入力装置、処理部、記憶部、出力部を備える装置である。具体的には本実施形態に係るプログラムは、
図5~
図7等を用いて後述する各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0038】
2.第1実施形態
本実施形態では、通信品質検出部111は、ビームフォーミングにおけるビームの切り替わりに基づいて、安定度を判定する。これにより、ビームの切り替わりが通信品質へ与える影響を、適切にアンテナピクトの表示に反映させることが可能になる。
【0039】
ビームフォーミングが用いられる場合、通信に用いられるビームの切り替わりが発生する可能性があり、その発生頻度は電波の周波数が高いほど高くなりやすい。例えば現在のビームにおけるRSRP等が低下した場合、よりRSRPの値が大きいビームへの切り替えが行われる。ビームの切り替わり時には、データ通信パスの切り替えが生じるため、データ送受信が停止する期間が発生してしまう。結果として、通信品質が低下することになり、特に5GSではeMMCやURLLC等の要求があるため一時的な送受信の停止でも影響が大きい。しかしビームの切り替え時間は、アンテナピクトの更新間隔に比べて短いため、上述したようにRSRQの落ち込みは一時的なものとなり、RSRP等に基づいて算出される品質レベルは変化しない可能性がある。その点、本実施形態ではこのようなビームの切り替わりを指標情報に反映できるため、より正確なアンテナピクトの表示が可能になる。以下、処理の詳細について説明する。
【0040】
図3は本実施形態における端末装置100と基地局200の通信を表す模式図である。端末装置100の通信部120は、ビームフォーミングを用いて基地局200との通信を行う。より具体的には、
図3に示すように、通信部120は、基地局200との通信に用いるビームの切り替え制御を行ってもよい。ビームフォーミングとは、電波を特定の方向に送信する手法、及び、特定の方向からの電波を受信する手法を表す。
【0041】
図4は、通信部120に含まれるアンテナATの構成例を示す図である。アンテナATは、アレイ状に配置される複数のアンテナエレメントを含む。
図4では直線上に配置される4つのアンテナエレメントAE1~AE4を例示しているが、アンテナエレメントの数及び配置はこれに限定されない。
【0042】
例えば、位相器を用いてアンテナエレメントAE1~AE4に供給される信号の位相を調整することによって、
図4の破線に示す位置において、4つのアンテナエレメントAE1~AE4から送信された電波の位相が揃う例を考える。これにより電波に指向性が生じ、例えば
図4の矢印で示した方向を中心に電波が送信される。当然、電波の送信方向は
図4の例に限定されず、アンテナエレメントAE1~AE4のそれぞれに対応する信号の位相や振幅を調整することにより、指向性を制御することが可能である。なおビームフォーミングにはアナログ方式、デジタル方式、ハイブリッド方式等が知られており、本実施形態ではこれらの方式を広く適用可能である。なおビームフォーミングについては公知の手法であるため、詳細な説明は省略する。
【0043】
またアンテナATは、アンテナエレメントAE1~AE4が受信したそれぞれ信号の位相及び振幅を調整した上で足し合わせる制御を行うことによって、電波の受信における指向性を制御してもよい。このようにすれば、特定の方向からの電波の受信電波強度を高くすることが可能になる。このように本実施形態では、送信側と受信側の両方でビームが用いられてもよい。以下、送信側のビームを送信ビームとも表記し、受信側のビームを受信ビームとも表記する。
【0044】
また本実施形態の基地局200も、端末装置100と同様に、ビームフォーミングを実行可能なアンテナを含んでもよい。即ち、本実施形態では、端末装置100と基地局200の一方の機器が送信ビームを用いて電波を送信し、他方の機器が受信ビームを用いて当該電波を受信してもよい。例えば第1実施形態では、端末装置100の受信ビームに基づく処理を説明する。また後述する第2実施形態では、基地局200の送信ビームに基づく処理を説明する。ただし、本開示の手法はこれに限定されず、端末装置100の送信ビームや基地局200の受信ビームを用いた処理が行われることも妨げられない。
【0045】
図5は、ビームフォーミングを用いた端末装置100と基地局200の接続確立、及び、その後のビームの切り替え処理を説明するフローチャートである。例えば
図5に示す処理の開始前には、端末装置100と基地局200の通信が確立されていないものとする。
【0046】
まずステップS101において、基地局200はbeam sweepingによって、同期信号を送信する。beam sweepingとは、同期信号(SS:Synchronization Signal)と報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)を1つの単位として、同一方向の送信ビームで送信し、順次ビーム方向を切り替えて送信する構成を表す。これにより通信距離を伸ばしつつ、セル内の広い領域をカバーすることが可能になる。この際、基地局200は、ビームを受信するUEにSSB(SS/PBCH Block)のインデックスを通知する。
【0047】
ステップS102において、端末装置100は報知チャネルに基づいて報知情報を取得し、ランダムアクセスを行うことによって、通信を確立する。例えば端末装置100は、ステップS101において基地局200が送信した複数のビームのうち、最も受信電波強度(例えばSS-RSRP)の高いビームを選択し、当該ビームに基づく初期アクセスを行う。
【0048】
この際、端末装置100は、複数の受信ビームを用いて基地局200からの参照信号を受信してもよい。例えば、端末装置100はそれぞれ指向性の異なる複数の受信ビームを切り替え可能であってもよい。以下、端末装置100が切り替え可能なビームの本数が6本である例について説明するが、具体的な数はこれに限定されない。この場合、端末装置100は、基地局200が送信した1つのビームに対して、6通りの受信ビームを用いて参照信号を受信することによって、6通りの受信電波強度を求める。
【0049】
ステップS103において、基地局200側のビームに応じて、端末装置100の受信ビームフォーミングの設定が行われる。例えば端末装置100は、基地局200が送信した複数のビームのそれぞれに対して、当該ビームを受信するための受信ビームを1つ選択することによって、基地局200の送信ビームと端末装置100の受信ビームを対応付けたビームペアを記憶する。
【0050】
例えば、端末装置100の通信部120が、基地局200が送信するm(mは2以上の整数)個のビームを受信できた場合、処理部110は、当該m個のビームのそれぞれについて、6個の受信ビームで受信した場合の6通りの受信電波強度を求めることによって、合計6×m通りの受信電波強度を求めてもよい。そして処理部110は、基地局200からのm個のビームのそれぞれに対して、6個の受信ビームのうち、最も受信電波強度の高い受信ビームを対応付けることによって、m個のビームペアを作成してもよい。
【0051】
さらにステップS103において、処理部110は、m個のビームペアのうち、最も受信電波強度の高いペアを、端末装置100と基地局200の通信に使用するビームペアとして決定する。なお、処理部110は、通信部120を介して各ビームに関する受信電波強度を基地局200に送信する処理を行い、基地局200がビームペアの設定や通信に使用するビームペアの決定を行ってもよい。また、
図5ではステップS102とS103を分けて説明しているが、通信確立の過程でステップS103の処理が実行されてもよい。
【0052】
ステップS104において、端末装置100は、通信部120と基地局200の間の通信で使用しているビームペアの電波強度が所与の強度閾値以下であるかを判定する。電波強度は例えば基地局200からのビームの端末装置100における受信電波強度である。
【0053】
電波強度が強度閾値以下である場合(ステップS104でYes)、ステップS105において、処理部110は、ビームペアを切り替える処理を行う。例えば端末装置100はステップS105において、各ペアに対応する受信電波強度を求め、そのうちの最も電波強度の高いペアを切り替え先のビームペアとして特定してもよい。ステップS105の処理によって、ビームペアが切り替えられるため、基地局200からのビームを受信する端末装置100の受信ビームも切り替えられる。
【0054】
電波強度が所定より大きい場合(ステップS104でNo)、ステップS105の処理は省略され、現在のペアが通信に継続使用される。
【0055】
ステップS105の処理後、または、ステップS104でNoの場合、ステップS104に戻り処理が継続される。即ち、端末装置100または基地局200は、継続的にペアの切り替え要否を判定し、切り替えが必要な場合、その時点での電波強度が相対的に高いビームペアに切り替える処理を行う。なお
図5では省略しているが、端末装置100及び基地局200は、SSBの受信タイミング等においてビームペアの設定を更新する処理を実行してもよい。
【0056】
図6は、処理部110における処理を説明するフローチャートである。
図6は、アンテナピクトを1回表示する処理、換言すれば、アンテナピクトを1回更新する処理に対応する。
図6に示す処理は、例えば所定の間隔で定期的に実行される。
【0057】
ステップS201において、通信品質検出部111は参照信号の電波強度を求める。例えばステップS201の処理は、
図5を用いて上述した処理と同様の処理であってもよい。即ち、通信部120は、基地局200から送信される複数のビームのそれぞれについて、複数の受信ビームを用いて受信を行うことによって複数の受信電波強度を求めてもよい。この際、通信部120は最適な基地局200のビームID(SSB)と電波強度を対にして、基地局200に通知してもよい。通信品質検出部111は、通信に用いるビームペアの受信電波強度を、ステップS201以降で用いる受信電波強度として採用する。例えば通信品質検出部111は、以上の処理を第1期間内において定期的に実行する。
【0058】
ステップS202において、ステップS201において求められた電波強度に基づいて、品質レベルを判定する。例えば通信品質検出部111は、第1期間において求められた複数のRSRQの平均値を求め、当該平均値と規定の数値範囲を比較することによって、品質レベルがレベル0~レベル5のいずれに該当するかを判定する。なお通信部120が参照信号を受信できなかった場合、通信品質検出部111は、品質レベルが「圏外」であると判定してもよい。
【0059】
ステップS203において、通信品質検出部111は、通信部120と基地局200の間の通信の安定度を判定する。本実施形態では上述したように、通信部120が基地局200との通信に用いるビームの切り替わり頻度に基づいて安定度の判定が行われる。より具体的には、通信品質検出部111は、端末装置100の受信ビームの切り替わり頻度に基づいて安定度の判定を行ってもよい。
【0060】
図7は、
図6のステップS203に示した安定度の判定処理を説明するフローチャートである。まずステップS301において、通信品質検出部111は、所定期間でのビームIDの切り替わり回数を判定する。具体的には、
図5のステップS104及びS105を用いて上述したように、通信部120では定期的に参照信号の受信電波強度が判定され、判定結果に基づいてビームペアの切り替え処理が実行される。通信品質検出部111は、所定期間において実行された
図5に示した処理の結果に基づいて、端末装置100が通信に用いるビーム(狭義には受信ビーム)の切り替わり回数を判定する。例えば通信品質検出部111は、ステップS105の処理によって端末装置100の受信ビームが変化した場合に、不図示のカウンタのカウントアップ処理を行い、所定期間でのカウント結果を切り替わり回数としてもよい。例えば当該カウンタは、所定期間が経過した場合にリセットされる。またカウンタは、端末装置100が圏外となった場合にリセットされてもよい。また
図9を用いて後述するように、切り替わり回数をカウントする期間(
図9に示す長さTの期間)は、開始タイミングを少しずつずらしながら重複して設定されてもよい。よって各期間での切り替わり回数を並列にカウントするため、カウンタは複数であってもよい。その他、切り替わり回数のカウント手法については種々の変形実施が可能である。またここでの切り替わり回数は、例えば
図5のステップS104でYesと判定された回数に対応してもよい。
【0061】
ステップS302において、通信品質検出部111は、切り替わり回数が閾値以上であるかを判定する。切り替わり回数が閾値以上である場合(ステップS302でYes)、ステップS303において、通信品質検出部111は、安定度が低いと判定する。一方、切り替わり回数が閾値未満である場合(ステップS302でNo)、ステップS304において、通信品質検出部111は、安定度が高いと判定する。
【0062】
即ち、本実施形態の手法では、通信部120は、基地局200との通信に用いるビームの切り替え制御を行い、通信品質検出部111は、通信部120におけるビームの切り替わり頻度に基づいて、安定度を判定してもよい。基地局200との通信に用いるビームとは、例えば基地局200からの電波を受信する受信ビームであるが、基地局200への電波の送信に用いられる送信ビームであることも妨げられない。上述したように、ビームの切り替わりによって通信品質が変動するが、本実施形態の手法によればビームの切り替わり頻度に基づいて安定度を判定できるため、当該通信品質の変動を指標情報に反映させることが可能になる。
【0063】
特にステップS302-S304に示したように、通信品質検出部111は、所定期間におけるビームの切り替わり回数が閾値以上である場合、切り替わり回数が閾値未満である場合に比べて安定度が低いと判定してもよい。ここでの所定期間は、例えば指標情報の算出対象となる期間(上記第1期間)と同じ長さの期間であってもよいし、異なる長さの期間であってもよい。このようにすれば、容易な判定により、ビームフォーミングに応じた安定度を判定することが可能になる。
【0064】
図6に戻って説明を続ける。ステップS203において
図7に示す処理が実行されることによって、判定結果として安定度の高低が求められる。その後、ステップS204において、通信品質検出部111は、安定度が所定以下であるかを判定する。ここでは、安定度が「高い」と「低い」の2段階である例を考慮しているため、ステップS204の処理は、安定度が低いか否かの判定に相当する。ただし、安定度が3段階以上で判定されてもよい。
【0065】
安定度が所定以下である場合(ステップS204でYes)、ステップS205において、通信品質検出部111は、ステップS202で求めた品質レベルを引き下げる処理を行う。例えば、通信品質検出部111は、品質レベルを1段階引き下げる処理を実行してもよい。例えばステップS202で算出された品質レベルがレベル3である場合、ステップS205において品質レベルがレベル2に変更される。なお、元の品質レベルがレベル0である場合、品質レベルをそのままとしてもよいし、マイナス1という便宜上の品質レベルを設定してもよい。
【0066】
このように、通信品質検出部111は、参照信号の電波強度または電波品質に基づいて品質レベルを求め(S202)、品質レベルを安定度に基づいて補正することによって(S204~S205)、指標情報を求めてもよい。参照信号の電波強度または電波品質に基づく品質レベルは、従来手法においてもアンテナピクトの表示に広く用いられているため、容易な処理によって安定度を考慮した指標情報を求めることが可能になる。
【0067】
ただし、安定度に基づいて指標情報を求める手法はこれに限定されない。例えば安定度が3段階以上で評価される場合、安定度に基づいて、参照信号の電波強度または電波品質に基づく品質レベルをそのまま用いるか、1段階引き下げるか、2段階引き下げるかが判定されてもよい。また、安定度に基づく引き下げ段階は3段階以上であってもよい。また安定度が高い場合、参照信号の電波強度または電波品質に基づく品質レベルに対して、品質レベルを高くする補正処理が行われてもよい。
【0068】
また参照信号の電波強度または電波品質に基づく品質レベルを求める処理と、当該品質レベルを安定度に基づいて補正する処理が順次行われるものには限定されない。例えば通信品質検出部111は、安定度と、参照信号の電波強度または電波品質と、を変数とする所与の関数に基づいて、指標情報を求めてもよい。その他、電波強度等と安定度に基づいて指標情報を求める手法は種々の変形実施が可能である。
【0069】
ステップS206において、表示処理部113は、通信品質検出部111によって求められた指標情報に基づいて、アンテナピクトの表示処理を行う。
【0070】
図8は、比較例における参照信号の電波強度とアンテナピクトの関係例を示す図である。
図8における横軸は時間を表す。
図8の下段が参照信号に対応し、縦軸は参照信号の電波強度を表す。
図8の上段がアンテナピクトに対応する。
図8に示すように、電波強度は6個の範囲に区分されており、それぞれが品質レベルのレベル0~レベル5に対応する。
【0071】
図8のうちの期間t1では、電波強度の値がレベル3に対応する範囲となる。よってアンテナピクトとして、3本の棒状のオブジェクトが第1態様で表示され、2本のオブジェクトが第2態様で表示される。
【0072】
また期間t2では、電波強度の値がレベル4に対応する範囲となる。よってアンテナピクトとして、4本の棒状のオブジェクトが第1態様で表示され、1本のオブジェクトが第2態様で表示される。
【0073】
これ以降も同様であり、期間t3ではレベル5、期間t4ではレベル4、期間t5ではレベル3、期間t6ではレベル2に相当するアンテナピクトが表示される。
【0074】
ただし、
図8の例において、期間t4及びt5ではその他の期間に比べて電波強度の変動が激しい。これは例えば、端末装置100の位置姿勢が変化する、あるいは遮蔽物が存在することによって端末装置100のビームが頻繁に変更されている場合に対応する。ただし、
図8の例から分かるとおり、比較例ではこの変動がアンテナピクトに反映されない。
【0075】
図9は本実施形態の手法における参照信号の電波強度、ビームID、及びアンテナピクトの関係例を示す図である。
図9における横軸は時間を表す。また
図9の中段が電波強度に対応し、縦軸は参照信号の電波強度を表す。品質レベルの設定については
図8と同様である。
図9の下段がビームIDに対応し、縦軸に示す1~6がそれぞれビームIDを表す。ここでは、端末装置100が使用するビームがID1~ID6の6通りに変更可能である例を示している。
図9の上段がアンテナピクトに対応する。
【0076】
期間t1~t3については、端末装置100が使用するビームのIDはID1から変化していない。よって期間t1~t3では安定度が高いと判定されるため(ステップS304、且つステップS204でNo)、電波強度から求められた品質レベルであるレベル3、レベル4、レベル5がアンテナピクトの表示に用いられる。なおここではステップS302における閾値が3であるものとする。ただし、閾値の設定は種々の変形実施が可能である。
【0077】
一方、期間t4では、下段に示すようにビームIDが頻繁に変更されている。例えば通信品質検出部111は、
図9に示す長さTの期間を所定期間として、当該所定期間におけるビームの切り替わり回数を判定してもよい。なお、ここでは
図8に示すように、所定期間を少しずつずらしながら設定する例、換言すれば、ある所定期間と次の所定期間の一部が重複する例を示している。ただし所定期間の設定は変形実施が可能であり、ある所定期間の終点が、次の所定期間の始点となる等、他の設定が行われてもよい。
【0078】
図9の例では、タイミングtaを終点とする長さTの所定期間において、ビームIDはID1からID4、ID4からID5、ID5からID4へと3回変化している。よって通信品質検出部111は、所定期間におけるビームの切り替わり回数が閾値以上であり、安定度が低いと判定し(ステップS303、且つステップS204でYes)、品質レベルを引き下げる。例えばタイミングtaでは電波強度に対応する品質レベルがレベル4であるため、品質レベルは1段階低いレベル3に補正される。これにより、
図9のA1に示したように、アンテナピクトは左から3本のオブジェクトが第1態様に設定され、2本のオブジェクトが第2態様に設定される。即ち、電波強度自体はレベル4相当の強度を維持していたとしても、ビーム切り替わりによる通信品質低下を加味して、アンテナピクトはレベル3相当の表示が行われる。
【0079】
これ以降も同様であり、タイミングtbを終点とする長さTの所定期間まで、所定期間でのビーム切り替わり回数が3回以上である状態が維持される。そのため、期間t4のうち、タイミングta以降の期間ではレベル3相当のアンテナピクトが表示される。また期間t5のうち、タイミングtb以前の期間では電波強度に対応する品質レベルから1段階低いレベル2相当のアンテナピクトが表示される(A2)。タイミングtb以降では所定期間でのビーム切り替わり回数が閾値未満となるため、
図8と同様の表示が行われる。
【0080】
なお、
図9においては安定度に基づいて引き下げられたレベルに対応する棒状のオブジェクトが第2態様に設定される例を示した。例えばA1に示すピクトグラムは、左から4本目のオブジェクトが第2態様に設定されるため、レベル3に対応するピクトグラムと同様の表示が行われる。ただし本実施形態の表示手法はこれに限定されない。例えば安定度に基づいて引き下げられたレベルに対応する棒状のオブジェクトは、第1態様及び第2態様のいずれとも異なる第3態様に設定されてもよい。例えば、第1態様は黒く塗りつぶす態様であり、第2態様が白抜きで表示する態様であり、第3態様はグレーで塗りつぶす態様である。このようにすれば、安定度が低下していることをユーザーにわかりやすく提示することが可能になる。あるいは、ピクトグラム自体の表示は変えずに「不安定」等の別のオブジェクトをアンテナピクトの近傍に表示してもよく、安定度を表示する手法は種々の変形実施が可能である。
【0081】
以上のように、本実施形態では端末装置100が基地局200との通信に使用するビームの切り替わり頻度に基づいて安定度が判定される。本実施形態の手法によれば、ビーム切り替わりに基づく通信品質の低下を適切にアンテナピクトに反映できる。例えば
図9に示した期間t7は、端末装置100の回転や遮蔽物によってビームの切り替えが頻発した期間を表している。
図9に示したように、本実施形態の手法では期間t7に対応する期間、具体的にはタイミングtaからタイミングtbまでの期間において、適切なアンテナピクトを表示することが可能になる。
【0082】
なお
図7のステップS302~S304で示した安定度の判定に用いる閾値は、基地局200との通信に用いられる電波の周波数に応じて設定されてもよい。例えば、電波の周波数が高くなるほど、直進性が高くなるため、ビームの切り替わり頻度が高くなりやすい。そのため、周波数によらず同じ閾値を用いた場合、高い周波数において切り替わり回数が閾値を超える可能性が高くなり、過剰に安定度が低く判定される可能性がある。例えば、ピクトグラムを表示する期間の多くにおいて切り替わり回数が閾値を超えてしまい、安定度の変動を指標情報に反映しにくくなる。その点、周波数が高い場合、低い場合に比べて大きい閾値を用いることによって、安定度の高低を適切に判定することが可能になる。あるいは、周波数が高い場合、低い場合に比べて設定する閾値の数を増やすことによって、安定度の判断結果を多段階にしてもよい。このようにしても、周波数の高い電波を用いる場合に、安定度を適切に判定することが可能になる。
【0083】
また通信部120は、複数のアンテナATを含み、複数のアンテナATのうち、ビームフォーミングに用いるアンテナである使用アンテナを切り替えてもよい。例えば第1アンテナがビームを送受信する範囲と、第2アンテナがビームを送受信する範囲を分けることによって、より広い範囲において電波を送受信することが可能になる。この場合、通信品質検出部111は、使用アンテナの切り替わりに基づいて、安定度を判定してもよい。
【0084】
使用アンテナの切り替わりも通信パスの変更になるため、通信品質の悪化につながる。よって使用アンテナの切り替え有無や頻度に基づいて安定度を判定することによって、より実際の通信品質に合致した指標情報を求めることが可能になる。
【0085】
また通信部120は、ビームフォーミングにおけるビームを形成するアンテナATを含み、当該アンテナATは、
図4に示したように複数のエレメントを有してもよい。複数のエレメントとは、例えばアンテナエレメントAE1~AE4である。この場合、通信品質検出部111は、複数のエレメントのうち、使用されるエレメントの数に基づいて、安定度を判定してもよい。
【0086】
図4に示したように、各エレメントの位相と振幅を制御することによって、ビームの強度、指向性、電波の広がりを制御できる。そしてより多くのエレメントを用いることによって、より細かい制御を実現できる。
【0087】
例えば、使用するエレメントの数を増やした場合、より指向性が高くなる分、電波の広がりは狭くなる。そのため、通信部120は、通信品質が悪化した場合に、エレメントの数を減らすことによって電波が対象に届きやすくする、あるいは電波を受信しやすくする場合がある。また端末装置100の本体やアンテナATが高温になった場合にも、通信部120は使用するエレメントの数を減らす場合がある。即ち、エレメント数の減少は通信品質の悪化と関連する。
【0088】
よって本実施形態では、通信品質検出部111は、通信に使用されるアンテナエレメントの数が減少した場合、安定度が低いと判定し、品質レベルを下げる補正処理を行ってもよい。通信品質検出部111は、時間経過、または、使用されるアンテナエレメントの数の増加に基づいて、品質レベルを下げる補正処理を終了する。このようにすれば、アンテナエレメントに基づいて適切なアンテナピクトを表示することが可能になる。
【0089】
なおビームの切り替わりに加えて、使用アンテナ及びエレメント数の少なくとも一方を用いる場合、これらの複数の情報をどのように組み合わせるかは種々考えられる。例えば通信品質検出部111は、ビームの切り替わり、使用アンテナ、及びエレメント数のそれぞれを表す情報を変数とする関数に基づいて安定度を求めてもよい。あるいは、それぞれの情報から品質レベルの補正値を求め、各補正値を用いて品質レベルを補正してもよい。その他、具体的な処理内容は種々の変形実施が可能である。
【0090】
また以上では、端末装置100の受信ビームを用いた制御について説明したが、本開示の手法はこれに限定されない。例えば、通信品質検出部111は、端末装置100の送信ビームの切り替わり頻度に基づいて安定度を判定してもよい。
【0091】
例えば、通信部120は複数のビームを基地局200に対して送信する。基地局200は、端末装置100から送信された各ビームの受信品質を求める。例えば基地局200は、各ビームの受信電波強度を求めてもよい。さらに処理部110は、通信部120を介して各ビームの受信電波強度を表す情報を基地局200から受信し、各ビームの基地局200での受信電波強度に基づいて、基地局200との通信に用いる送信ビームを特定する。例えば処理部110は、基地局200での受信電波強度が最も高いビームを送信ビームとして決定してもよい。また基地局200が受信電波強度に基づいて端末装置100の送信ビームを決定し、当該送信ビームの使用を端末装置100に指示してもよい。
【0092】
また基地局200は、現在使用している端末装置100の送信ビームの受信電波強度が所与の強度閾値以下であるかを判定する。受信電波強度が強度閾値以下である場合、再度、複数のビームの基地局200での受信電波強度を判定し、受信電波強度が最も高いビームを通信に用いるビームとして決定する。受信電波強度が強度閾値より大きい場合、現在の送信ビームを用いた通信を継続しつつ、定期的に受信電波強度の判定を繰り返す。このようにすれば、受信電波強度に基づいて端末装置100の送信ビームを適切に更新することが可能になる。よって通信品質検出部111は、所定期間における端末装置100の送信ビームの切り替わり回数と閾値を比較することによって、安定度を判定できる。
【0093】
また以上では、基地局200も通信にビームを用いる例について説明したがこれには限定されない。例えば、基地局200は、端末装置100の送信ビームに対して、受信ビームを用いずに電波を受信してもよい。また基地局200は指向性のない電波を送信し(ビームを用いずに電波を送信し)、端末装置100は、受信ビームを用いて当該電波を受信してもよい。
【0094】
3.第2実施形態
図10は本実施形態における端末装置100と基地局200の通信を表す模式図である。端末装置100の通信部120は、ビームフォーミングを用いて基地局200との通信を行う。より具体的には、
図10に示すように、基地局200は、端末装置100を含むUEとの通信に用いるビームの切り替え制御を行ってもよい。狭義には、基地局200は送信ビームの切り替え制御を行ってもよい。
【0095】
例えば基地局200は、
図4に示した例のように複数のアンテナエレメントを有するアンテナを含み、各アンテナエレメントにおける位相及び振幅を制御することによって、ビームの送受信を行う。
【0096】
ビームフォーミングを用いた端末装置100と基地局200の接続確立、及び、その後のビームの切り替え処理については、第1実施形態において上述した
図5と同様である。即ち、基地局200はbeam sweepingを行い(ステップS101)、端末装置100が複数の受信ビームを用いて参照信号を受信することによって、ビームペアを設定するとともに、通信に利用するビームペアを決定する(ステップS102,S103)。その後、定期的に使用中のビームペアの電波強度を判定し(S104)、必要に応じてビームペアの切り替え処理が実行される(ステップS105)。
【0097】
またアンテナピクトの表示処理についても、第1実施形態において上述した
図6と同様である。即ち、ステップS201において、通信品質検出部111は参照信号の電波強度を求める。ステップS202において、通信品質検出部111は、品質レベルを判定する。ステップS203において、通信品質検出部111は、通信部120と基地局200の間の通信の安定度を判定する。
【0098】
第2実施形態における安定度の判定処理は、
図7に示した例と同様である。ただし、ステップS301において、通信品質検出部111は、通信部120が受信する基地局200の送信ビームのビームIDの切り替わり回数を判定する点が第1実施形態と異なる。なお、通信部120が受信する基地局200のビームIDとは、端末装置100がサービングするビームIDと言い換えてもよい。ここでの切り替わり回数は、例えば
図5に示した処理において、ステップS104でYesと判定された回数に対応してもよい。
【0099】
ステップS302以降の処理は第1実施形態と同様であり、ステップS302において、通信品質検出部111は、ビームIDの切り替わり回数が閾値以上であるかを判定する。切り替わり回数が閾値以上である場合(ステップS302でYes)、ステップS303において、通信品質検出部111は、安定度が低いと判定する。一方、切り替わり回数が閾値未満である場合(ステップS302でNo)、ステップS304において、通信品質検出部111は、安定度が高いと判定する。
【0100】
このように本実施形態の通信部120は、基地局200からのビームを受信し、通信品質検出部111は、通信部120が受信する基地局200からのビームの切り替わり頻度に基づいて、安定度を判定する。基地局200からのビームが切り替わる場合も、通信パスの変更が発生するため、通信品質が低下する。本実施形態の手法によれば、ビームの切り替わりによる通信品質の変動をアンテナピクトに反映させることが可能になる。
【0101】
安定度の判定処理が実行された後、
図6のステップS204において、通信品質検出部111は、安定度が所定以下であるかを判定する。安定度が所定以下である場合(ステップS204でYes)、ステップS205において、通信品質検出部111は、ステップS202で求めた品質レベルを引き下げる処理を行う。ステップS206において、表示処理部113は、通信品質検出部111によって求められた指標情報に基づいて、アンテナピクトの表示処理を行う。なお具体的な表示処理については、
図9下段の縦軸が「UEがサービングしている基地局(gNB)のビームID」に変更される点を除いて、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0102】
なお通信品質検出部111は、通信部120が受信する基地局200からのビームが切り替わった場合に、切り替え前のビーム方向と切り替え後のビーム方向とに基づいて、安定度を判定してもよい。
【0103】
端末装置100と基地局200のいずれにおいても、機器内でのアンテナATの配置は既知である。そのため、端末装置100や基地局200を基準としたときの各ビームの相対的な送信方向(以下、相対方向と記載)を求めることは容易である。これに対して絶対的な送信方向(以下、絶対方向と記載。例えば絶対方位や水平面に対する仰俯角等)を考えた場合、端末装置100は位置姿勢が変化しやすいため、相対方向と絶対方向の対応付けが容易でない。例えば同じID1のビームであっても、その絶対方向は端末装置100の位置姿勢に応じて大きく変化しうる。これに対して、基地局200は位置姿勢が大きく変化しないと考えられるため相対方向と絶対方向の対応付けが容易である。例えば、基地局200がID1のビームを送信する場合、当該ビームの絶対方向は固定的である。即ち、基地局200の送信ビームを考慮する場合、IDの変化に基づいて、送信ビームの絶対的な送信方向の変化を容易に判定することが可能である。
【0104】
またビームの絶対方向の変動の大小は、端末装置100と基地局200の間の通信状態の変動の大きさを反映する。例えば端末装置100側の状況が変化したとしても、その変化度合いが小さければ、通信に適したビームの絶対方向は大きく変化しないと考えられる。例えば、端末装置100が受信する基地局200からのビームが変化したとしても、切り替え後のビームは切り替え前のビームの近傍のビームとなる。逆に言えば、ビーム方向が大きく変化した場合、端末装置100と基地局200との通信状況が大きく変化しており、通信の安定度が低いと考えられる。
【0105】
よって本実施形態の通信品質検出部111は、基地局200の送信ビームに基づいて、ビーム方向の変化が大きいほど安定度が低いと判定してもよい。これにより、通信品質の変化をより反映した指標情報を求めることが可能になる。結果として、実際の通信品質に合致したアンテナピクトを表示することが可能になる。
【0106】
なおビームの切り替わりに加えて、ビーム方向の変化度合いを用いる場合、これらをどのように組み合わせるかは種々考えられる。例えば通信品質検出部111は、ビームの切り替わり、及びビーム方向の変化度合いのそれぞれを表す情報を変数とする関数に基づいて安定度を求めてもよい。あるいは、それぞれの情報から品質レベルの補正値を求め、各補正値を用いて品質レベルを補正してもよい。その他、具体的な処理内容は種々の変形実施が可能である。
【0107】
以上では、基地局200の送信ビームを用いた制御について説明したが、本開示の手法はこれに限定されない。例えば、通信品質検出部111は、基地局200の受信ビームの切り替わり頻度に基づいて安定度を判定してもよい。また以上では、端末装置100も通信にビームを用いる例について説明したがこれには限定されない。例えば、端末装置100は、基地局200の送信ビームに対して、受信ビームを用いずに電波を受信してもよい。また端末装置100は指向性のない電波を送信し(ビームを用いずに電波を送信し)、基地局200は、受信ビームを用いて当該電波を受信してもよい。
【0108】
4.第3実施形態
本開示における安定度は、ビームフォーミングに基づいて求められるものには限定されない。例えば通信品質検出部111は、参照信号の電波強度または電波品質の変動度合いに基づいて、安定度を判定してもよい。例えば通信品質検出部111は、補正前の品質レベルを求める処理だけでなく、当該品質レベルを補正する際にも参照信号の電波強度等を用いてもよい。
【0109】
図11は、アンテナピクト、参照信号の電波強度、電波強度の平均値、電波強度の変動量の関係例を示す図である。
図11の横軸は時間を表す。なお横軸の数値は所与の単位時間を1と表現したものであり、単位は秒に限定されない。また
図11では、電波強度のうち、品質レベルがレベル2~レベル4の3段階に相当する一部を図示している。
【0110】
図11に示すように、参照信号の電波強度は-90dBの近傍で推移しており、t=40からt=70の範囲ではその値が大きく変動している。しかし10単位時間ごとに瞬時値の平均値を求めた場合、その値はほぼ-90dBとなる。例えばt=50での平均値は、t=40とt=50の間の10単位時間で取得された複数の瞬時値の平均となる。この範囲では、レベル2との境界に近い-100dB程度までの落ち込み等を含む変動が見られるが、平均値には変動が反映されない。他の区間についても同様であり、平均値をそのまま表示に用いた場合、アンテナピクトは全区間においてレベル3に対応する表示となる。
【0111】
しかしt=40からt=70の範囲では通信が安定しておらず、通信品質はそれ以外の区間に比べて低い。よって本実施形態では、電波強度の変動度合いが安定度として求められてもよい。例えば電波強度の変動度合いとして、
図11に示すように10単位時間で取得された複数の瞬時値の標準偏差が求められてもよい。ただし、変動度合いは標準偏差に限定されず、他の情報が用いられてもよい。例えば所定期間における最大値と最小値の差分等に基づいて変動量が求められてもよい。
【0112】
図11に示す例では、t=50,60,70の3タイミングにおいて算出される標準偏差が大きい。そのため、例えば標準偏差の閾値として2が設定されている場合、上記3タイミングにおいて標準偏差が閾値以上となるため、安定度が低いと判定される。それ以外のタイミングでは、標準偏差は閾値未満であるため、安定度が高いと判定される。
【0113】
通信品質検出部111は、安定度が低いと判定された場合に、品質レベルを低くする補正処理を行う。例えばC1,C2,C3に示すように、t=50,60,70の3タイミングに対応するピクトグラムは、本来のレベル3よりも低い、レベル2に相当する表示が行われる。このように、参照信号の電波強度に基づいて安定度を判定し、当該安定度をアンテナピクトの表示に反映させることによって、実際の通信品質に合致したアンテナピクトを表示することが可能になる。
【0114】
5.第4実施形態
通信部120は、複数の候補基地局の中から通信を行う基地局200を選択してもよい。通信品質検出部111は、基地局200の切り替わり頻度に基づいて、安定度を判定してもよい。
【0115】
図12は、複数の候補基地局の1つである基地局200aに対応するセルであるセルCE1と、複数の候補基地局の1つである基地局200bに対応するセルであるセルCE2と、端末装置100の位置関係を例示する図である。なお、ここでは2つの候補基地局を例示したが、候補基地局の数は3以上であってもよい。
【0116】
図12に示すように、端末装置100は、複数の候補基地局からの電波を受信できる場合があり、それぞれの電波強度に基づいて通信対象である基地局200を切り替えるハンドオーバー制御を実行する。
図12に示すようにセルCE1及びセルCE2の境界付近に端末装置100が位置する場合等には、通信対象である基地局200の切り替えが頻繁に発生する場合もある。
【0117】
通信対象である基地局200が変化すれば通信パスも変化するため、基地局200の切り替わりは通信品質を低下させる要因となる。よって通信品質検出部111が基地局200の切り替わり頻度に基づいて安定度を判定することによって、基地局200の切り替わりに伴う通信品質の低下をピクトグラムに反映させることが可能になる。
【0118】
例えば通信品質検出部111は、単位時間あたりの基地局200の切り替わり回数が閾値以上である場合に安定度が低いと判定し、閾値未満である場合に安定度が高いと判定してもよい。基地局200の切り替えはビームフォーミングを用いない場合にも利用できるため、例えば周波数が相対的に低い電波を用いる場合にも、安定度を加味したピクトグラム表示を行うことが可能になる。
【0119】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また端末装置等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0120】
10…通信システム、100…端末装置、110…処理部、111…通信品質検出部、113…表示処理部、120…通信部、130…表示部、140…記憶部、200,200a,200b…基地局、AE1~AE4…アンテナエレメント、AT…アンテナ、CE1,CE2…セル、T…(所定期間の)長さ、t1~t7…期間、ta,tb…タイミング