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特開2023-114541半導体製造装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114541
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016891
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】布谷 伸仁
(72)【発明者】
【氏名】藤村 一夫
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA09
5F131EB02
5F131EB52
5F131EB57
5F131EC33
5F131EC73
5F131EC77
(57)【要約】
【課題】半導体装置の製造歩留まりを向上させる半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体製造装置は、第1、第2ステージと、ウェーハ周縁部を保持する周縁保持部と、を備える。前記第1ステージは、樹脂シート上に貼り付けられたウェーハの中央部を、前記樹脂シートを介して支持する。前記ウェーハの前記中央部は、前記樹脂シート上において、前記中央部を囲む周縁部から分離されている。前記第2ステージは、前記第1ステージを囲み、前記樹脂シートの前記第1ステージの外側に位置する外周部は、前記第2ステージに固定される。前記第2ステージは、前記第1ステージに対して相対的に移動可能であり、前記樹脂シートの前記外周部に前記第1ステージの外縁から斜め下方に向かう方向の張力を与える。前記第1および第2ステージは、前記周縁保持部に固定された前記ウェーハの前記周縁部から前記張力により前記樹脂シートを剥離するように相対的に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シート上に貼り付けられたウェーハであって、中央部と前記中央部を囲む周縁部とが分離されたウェーハの前記中央部を、前記樹脂シートを介して支持する第1ステージと、
前記ウェーハの前記周縁部を保持する周縁保持部と、
前記第1ステージを囲み、前記樹脂シートの前記第1ステージの外側に位置する外周部が固定される第2ステージであって、前記樹脂シートの前記外周部に前記第1ステージの外縁から斜め下方に向かう方向の張力を与えるように前記第1ステージに対して相対的に移動可能である第2ステージと、
を備え、
前記第1および第2ステージは、前記周縁保持部に固定された前記ウェーハの前記周縁部から前記張力により前記樹脂シートを剥離するように相対的に移動する半導体製造装置。
【請求項2】
前記ウェーハの前記周縁部から前記樹脂シートを剥離する間、前記周縁保持部は、前記周縁部の上面が前記ウェーハの中央部の上面と同じレベルもしくは前記中央部の前記上面よりも下のレベルになるように、前記周縁部を保持する請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記ウェーハの前記周縁部と前記樹脂シートとの間に挿入される剥離刃をさらに備える請求項1または2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記ウェーハの前記周縁部は、前記第2ステージ上に載置された後、前記周縁部の上面が前記中央部の上面よりも高くならない位置に前記周縁保持部により保持される請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記周縁保持部は、前記ウェーハの前記周縁部上に接する吸着部を有する請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記周縁保持部は、前記ウェーハの前記周縁部の外縁を把持する請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記ウェーハの前記中央部は、前記樹脂シートを介して、前記第1ステージ上に吸着される請求項1乃至6のいずれか1つに記載の半導体製造装置。
【請求項8】
複数の半導体素子が設けられた中央部を有するウェーハを、前記中央部を囲む周縁部を残して薄膜化し、
前記ウェーハを貼り付けた樹脂シート上において、前記ウェーハの前記中央部と前記周縁部とを分離し、
前記ウェーハの前記中央部を支持するステージ上に、前記ウェーハを貼り付けた樹脂シートを載置し、
前記ステージの外側に位置する前記樹脂シートの外周部上に貼り付けられた前記ウェーハの前記周縁部を、周縁保持部により保持しながら、前記樹脂シートから剥離した後、前記周縁保持部を移動させることにより、前記周縁部を前記ステージから離れた位置に移動させ、
前記ウェーハの前記中央部を、前記複数の半導体素子のそれぞれを含む複数の半導体チップに分割する、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記周縁保持部は、前記ウェーハの前記周縁部を前記樹脂シートから剥離する間、前記ウェーハの前記中央部の上面と前記周縁部の上面とが同じレベルに位置するように、前記周縁部を保持する請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
前記ウェーハの前記周縁部と前記樹脂シートの間に剥離刃を挿入し、前記周縁部から前記樹脂シートを剥離する請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第2ステージを前記第1ステージに対して下方に移動させ、前記樹脂シートを前記ウェーハの周縁部から剥離させる請求項8乃至10のいずれか1つに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造過程において、複数の半導体素子が設けられたウェーハの中央部を、周縁部を残して薄膜化する製造方法が用いられる場合がある。このようなウェーハを用いる製造過程では、最終的に周縁部を除去し、残された中央部をダイシングすることにより、複数の半導体チップを形成することが一般的である。しかしながら、周縁部を除去する過程において、薄膜化された中央部にクラック等が生じると、半導体チップの収率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-170822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、半導体装置の製造歩留まりを向上させる半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体製造装置は、第1ステージと、第2ステージと、ウェーハ周縁部を保持する周縁保持部と、を備える。前記第1ステージは、樹脂シート上に貼り付けられたウェーハの中央部を、前記樹脂シートを介して支持する。前記ウェーハの前記中央部は、前記樹脂シート上において、前記中央部を囲む周縁部から分離されている。前記第2ステージは、前記第1ステージを囲む。前記樹脂シートの前記第1ステージの外側に位置する外周部は、前記第2ステージに固定される。前記第2ステージは、前記第1ステージに対して相対的に移動可能であり、前記樹脂シートの前記外周部に前記第1ステージの外縁から斜め下方に向かう方向の張力を与える。前記第1および第2ステージは、前記周縁保持部に固定された前記ウェーハの前記周縁部から前記張力により前記樹脂シートを剥離するように相対的に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体製造装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体ウェーハを示す模式図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
図4】実施形態に係る半導体製造装置の動作を示す模式断面図である。
図5】実施形態の変形例に係る半導体製造装置の動作を示す模式断面図である。
図6】実施形態の別の変形例に係る半導体製造装置を示す模式断面図である。
図7】実施形態の他の変形例に係る半導体製造装置を示す模式断面図である。
図8】比較例に係る半導体製造装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体製造装置1を示す模式断面図である。半導体製造装置1は、薄膜化された中央部10aと、中央部10aを囲む周縁部10bと、を含む半導体ウェーハ10(図2参照)から周縁部10bを除去する。半導体製造装置1により処理される半導体ウェーハ10は、樹脂シート13上に貼り付けられる。周縁部10bは、樹脂シート13上において、中央部10aから切り離されている。
【0010】
図1に示すように、半導体製造装置1は、第1ステージ20と、第2ステージ30と、周縁保持部40と、を備える。第1ステージ20は、樹脂シート13を介して、半導体ウェーハ10の中央部10aを支持する。第2ステージ30は、第1ステージ20の周りに設けられる。第2ステージ30は、例えば、円形の第1ステージ20を囲むリング状に設けられる。周縁保持部40は、半導体ウェーハ10の周縁部10bを保持する。
【0011】
半導体ウェーハ10の表面に平行な平面視において、樹脂シート13の第1ステージ20の外側に位置する外周部は、第2ステージ30に固定される。樹脂シート13の外周は、例えば、金属リング15に固定される。樹脂シート13は、例えば、第2ステージ30上に金属リング15を固定することにより、第2ステージ30に固定される。
【0012】
第2ステージ30は、第1ステージ20に対して相対的に移動可能であり、樹脂シート13の外周部に、第1ステージ20の外縁から斜め下方に向かう方向の張力を与える。第1ステージ20および第2ステージ30は、例えば、上下に、相対的に移動することにより、樹脂シート13に張力を与え、周縁保持部40に固定された半導体ウェーハ10の周縁部10bから樹脂シート13を剥離する。
【0013】
第1ステージ20は、例えば、樹脂シート13を真空吸着するための空洞23および吸着孔25を有する。吸着孔25は、第1ステージ20の上面から空洞23に連通するように設けられる。半導体ウェーハ10の中央部10aは、例えば、図示しない真空ポンプにより空洞23の内部を減圧し、吸着孔25を介して第1ステージ20の上面に載置された樹脂シート13を吸着することにより、第1ステージ20上に固定される。
【0014】
周縁保持部40は、例えば、第1ステージ20および第2ステージ30の上方に設けられる。周縁保持部40は、例えば、半導体ウェーハ10の周縁部10bに接する吸着部43を含む。吸着部43は、例えば、周縁部10bの上面に接し、周縁部10bを真空吸着する。
【0015】
周縁部10bは、第1ステージ20上に載置された半導体ウェーハ10の中央部10aの上面に対し、例えば、周縁部10bの上面が同じレベル、もしくは、中央部10aの上面のレベルよりも下に位置するように保持される。
【0016】
図8は、比較例に係る半導体製造装置を示す部分断面図である。この例では、半導体ウェーハ10の周縁部10bを除去するために、上方に移動させる過程を表している。このように、半導体ウェーハ10の周縁部10bが、樹脂シート13から完全に剥離されていない状態で、周縁部10bの上面が、中央部10aの上面よりも高いレベルに位置すると、樹脂シート13の外周部が持ち上げられ、第1ステージ20の外縁において、樹脂シート13が捲れ上がる。このため、第1ステージ20の上に吸着された半導体ウェーハ10の中央部10aに第1ステージ20から分離させる応力LFが加わり、中央部10aの端にクラック等を生じさせる。
【0017】
実施形態に係る半導体製造装置1では、例えば、樹脂シート13が周縁部10bから完全に剥離されるまで、周縁保持部40により、周縁部10bの上面を中央部10aの上面と同じレベル、もしくは、中央部10aの上面よりも低いレベルに保持する。これにより、第1ステージ20の外縁における樹脂シート13の捲れ上がりを防ぎ、中央部10aの端におけるクラック等の発生を回避することができる。
【0018】
図2は、実施形態に係る半導体ウェーハ10を示す模式図である。半導体ウェーハ10は、円形の中央部10aと、中央部10aを囲むリング状の周縁部10bと、を含む。半導体ウェーハ10は、樹脂シート13の上に貼り付けられ、周縁部10bは、例えば、ダイシングブレードを用いて、中央部10aから切り離される。樹脂シート13の外周は、金属リング15に固定される。
【0019】
半導体ウェーハ10は、例えば、周縁部10bを残して裏面側を研削することにより、薄膜化される。中央部10aは、例えば、100マイクロメートル(μm)以下の厚さに薄膜化される。周縁部10bは、例えば、300μmの厚さを有する。樹脂シート13は、半導体ウェーハ10の裏面側に貼り付けられる。
【0020】
次に、図3(a)~(e)を参照して、実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図3(a)~(e)は、実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
【0021】
図3(a)に示すように、半導体ウェーハ10の表面側10fに、複数の半導体素子17を形成する。半導体ウェーハ10は、例えば、シリコンウェーハである。半導体素子17は、例えば、MOSFETもしくはダイオードである。
【0022】
図3(b)に示すように、半導体ウェーハ10の裏面側10gを、例えば、研削し、周縁部10bを残して薄膜化する。薄膜化される中央部10aは、複数の半導体素子17を含む。
【0023】
図3(c)に示すように、図示しない樹脂シート13上において、半導体ウェーハ10を切断し、中央部10aから周縁部10bを切り離す。半導体ウェーハ10は、例えば、ダイヤモンドブレードを用いて切断される。
【0024】
図3(d)に示すように、半導体ウェーハ10の中央部10aの周りから周縁部10bを除去する。実施形態に係る半導体製造装置1は、この過程において使用される。
【0025】
図3(e)に示すように、半導体ウェーハ10の中央部10aを複数の半導体チップ50に分断する。半導体チップ50は、それぞれ、半導体素子17を含む。半導体ウェーハ10の中央部10aは、例えば、ダイシングブレードにより切断される。また、レーザーダイサーを用いて、半導体ウェーハ10の中央部10aを切断しても良い。
【0026】
図4(a)~(c)は、実施形態に係る半導体製造装置1の動作を示す模式断面図である。半導体ウェーハ10は、金属リング15に保持された樹脂シート13上に貼り付けられた状態で処理される(図2参照)。半導体ウェーハ10の周縁部10bは、中央部10aから切り離されている。
【0027】
図4(a)に示すように、半導体ウェーハ10は、樹脂シート13を介して、第1ステージ20上および第2ステージ30上に載置される。半導体ウェーハ10の中央部10aは、第1ステージ20の上に載置される。周縁部10bは、第2ステージ30の上に載置される。周縁保持部40は、吸着部43が周縁部10bの上面に接するように配置される。金属リング15は、第2ステージ30上に固定される。金属リング15は、例えば、真空吸着により第2ステージ30上に固定される。
【0028】
第1ステージ20は、例えば、空洞23に連通する吸着孔25を有する。中央部10aは、樹脂シート13を介して、第1ステージ20上に真空吸着され、固定される。周縁部10bは、樹脂シート13の第1ステージ20の外側に位置する外周部上に位置する。周縁部10bは、例えば、周縁保持部40に吸着され、固定される。周縁保持部40は、周縁部10bの上面が中央部10aの上面と同じレベル、もしくは、それよりも低いレベルに位置するように、周縁部10bを保持する。
【0029】
図4(b)に示すように、第1ステージ20に対して、第2ステージ30を下方に移動させる。これにより、樹脂シート13の外周部には、半導体ウェーハ10の周縁部10bから斜め下方に向かう張力Feが加えられる。樹脂シート13と周縁部10bとの間の粘着力が張力Feよりも小さければ、周縁保持部40に固定された周縁部10bから樹脂シート13を剥離することができる。
【0030】
張力Feは、樹脂シート13の引っ張り弾性率に依存する。半導体ウェーハ10と樹脂シート13との間の粘着材および樹脂シート13には、例えば、粘着力が張力Feよりも小さくなる材料をそれぞれ用いることが好ましい。また、樹脂シート13として、紫外剥離型粘着シートを用いても良い。すなわち、樹脂シート13を介して周縁部10bの裏面側に紫外光を照射し、周縁部10bと樹脂シート13との間の粘着力を低下させることが可能な粘着シートを用いても良い。
【0031】
周縁保持部40は、周縁部10bの裏面から樹脂シート13を剥離する間、周縁部10bの上面が中央部10aの上面と同じレベルに位置するか、中央部10aの上面よりも下に位置するように、周縁部10bを保持することが好ましい。
【0032】
図4(c)に示すように、半導体ウェーハ10の周縁部10bの裏面から樹脂シート13を剥離した後、第1ステージ20の外縁から斜め下方に向かう張力Feが樹脂シート13に加わるように、第2ステージ30をさらに下方に移動させることが好ましい。これにより、第1ステージ20の外縁における樹脂シート13の捲れ上がりを防ぎ、中央部10aに応力が加わることを回避できる(図8参照)。周縁保持部40は、周縁部10bを保持した状態で上方に移動し、樹脂シート13上の中央部10aの周りから周縁部10bを除去する。
【0033】
図5(a)~(c)は、実施形態の変形例に係る半導体製造装置2の動作を示す模式断面図である。半導体製造装置2は、半導体ウェーハ10の周縁部10bから樹脂シート13を剥離するための剥離刃19をさらに備える。
【0034】
図5(a)に示すように、第1ステージ20および第2ステージ30の上方に、樹脂シート13を介して半導体ウェーハ10を載置した後、第2ステージ30を下方に移動させることにより、樹脂シート13の外周部に張力Feを加える。
【0035】
この例でも、半導体ウェーハ10の中央部10aは、第1ステージ20上に載置される。周縁部10bは、周縁保持部40により、第2ステージ30の上方に保持される。また、周縁保持部40は、周縁部10bの上面が中央部10aの上面と同じレベル、もしくは、それよりも低いレベルに位置するように、周縁部10bを保持する。
【0036】
図5(b)に示すように、剥離刃19を半導体ウェーハ10の周縁部10bと樹脂シート13との間に挿入し、樹脂シート13を周縁部10bから剥離する。剥離刃19は、例えば、第1ステージ20の外縁に沿って回転移動し、周縁部10bの全体を樹脂シート13から分離する。この間、周縁保持部40は、周縁部10bの上面が中央部10aの上面と同じレベルに位置するか、中央部10aの上面よりも下に位置するように、周縁部10bを保持する。
【0037】
図5(c)に示すように、半導体ウェーハ10の周縁部10bの裏面から樹脂シート13を剥離した後、第1ステージ20の外縁から斜め下方に向かう張力Feが樹脂シート13に加わるように、第2ステージ30をさらに下方に移動させることが好ましい。これにより、周縁保持部40が中央部10aの周りから周縁部10bを除去する際に、第1ステージ20の外縁における樹脂シート13の捲れ上がりを防ぐことができる。
【0038】
図6は、実施形態の別の変形例に係る半導体製造装置3を示す模式断面図である。半導体製造装置3は、周縁保持部40に代えて、周縁保持部60を備える。
【0039】
図6に示すように、周縁保持部60は、例えば、2つの保持アーム63を有する。保持アーム63は、半導体ウェーハ10の周縁部10bを挟み込むように移動し、周縁部10bを所定のレベルに保持する。半導体製造装置3は、例えば、図4(a)~(c)に示す動作により、半導体ウェーハ10の周縁部10bを除去する。
【0040】
図7は、実施形態の別の変形例に係る半導体製造装置4を示す模式断面図である。半導体製造装置4では、第1ステージ20は、空洞23および吸着孔25に代えて、吸着部材27を有する。吸着部材27は、例えば、多孔質のセラミックである。吸着部材27は、第1ステージ20の樹脂シート13を吸着する面内に埋め込まれる。半導体製造装置4では、所謂、ポーラスチャック方式を用いて樹脂シート13を吸着する。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1、2、3、4…半導体製造装置、 10…半導体ウェーハ、 10a…中央部、 10b…周縁部、 10f…表面側、 10g…裏面側、 13…樹脂シート、 15…金属リング、 17…半導体素子、 19…剥離刃、 20…第1ステージ、 23…空洞、 25…吸着孔、 27…吸着部材、 30…第2ステージ、 40、60…周縁保持部、 43…吸着部、 50…半導体チップ、 63…保持アーム、 Fe…張力、 LF…応力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8