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特開2023-11455接続型立体成型回路部品及び回路接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011455
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】接続型立体成型回路部品及び回路接続構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20230117BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H05K1/14 D
H05K1/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115329
(22)【出願日】2021-07-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592013174
【氏名又は名称】大英エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】米田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】杉田 直也
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】北郷 和英
【テーマコード(参考)】
5E338
5E344
【Fターム(参考)】
5E338AA05
5E338AA16
5E338BB61
5E338CD03
5E338EE32
5E344AA08
5E344AA12
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB10
5E344CC14
5E344DD07
5E344EE21
(57)【要約】
【課題】 部品の数を少なくし、かつ工程を簡素化できる接続型立体成型回路部品を提供する。
【解決手段】 回路形成された複数個の立体成型回路部品同士を、各立体成型回路部品に形成された係合部の雄部または雌部を介して電気的かつ力学的に接続し得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路形成された複数個の立体成型回路部品同士を、各立体成型回路部品に形成された係合部の雄部または雌部を介して電気的かつ力学的に接続し得ることを特徴とする接続型立体成型回路部品。
【請求項2】
前記立体成型回路部品が、部品実装し得ることを特徴とする請求項1に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項3】
前記立体成型回路部品同士は、少なくとも1つの係合部に形成された導体パターンを介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項4】
前記立体成型回路部品同士は、互いに離隔して配置されている複数の係合部の各々で形成される接続面を介して力学的に接続されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項5】
雌部として機能する前記立体成型回路部品の係合部が、抜き勾配を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項6】
前記係合部の雄部は、基準部から突起頂部まで突出する突起状の形状を有し、
前記雌部は、前記基準部から前記突起頂部に向かうに従って、前記雄部から離隔して傾斜している請求項4に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項7】
前記立体成型回路部品がブロック体である請求項1~6に記載のいずれか1項に記載の接続型立体成型回路部品。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数個の立体成型部品同士を接続できる接続型立体成型回路部品や立体成型回路接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプリント配線板を離隔した位置に配置しつつ、電気的に接続するためのプリント配線板接続構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-150161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したプリント配線板接続構造は、互いに別個の複数のプリント配線板を離隔して配置するためのスペーサを要した。さらに、複数のプリント配線板との間で電気的に接続するためのコネクタを要した。複数のプリント配線板を、スペーサを介して連結し、さらに、コネクタによって複数のプリント配線板を電気的に接続する必要があった。従前のプリント配線板接続構造は、複数のプリント配線板を構造的及び電気的に一体化するための部品を要するとともに、一体化するための工程をも要していた。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品の数を少なくし、かつ工程を簡素化できる接続型立体成型回路部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による接続型立体成型回路部品の特徴は、
回路形成された複数個の立体成型回路部品同士を、各立体成型回路部品に形成された係合部の雄部または雌部を介して電気的かつ力学的に接続し得る。
【発明の効果】
【0007】
部品の数を少なくし、かつ、工程を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す外側蓋面182からの斜視図である。
図2】本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す外側蓋面182からの斜視図である。
図3】本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す内側蓋面184からの斜視図である。
図4】本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す内側蓋面184からの斜視図である。
図5図1のA-A断面図である。
図6】筒部110の構成を示す拡大断面図である。
図7】突起部170の構成を示す拡大断面図である。
図8】連結可能立体構造ブロック体10-1と、連結可能立体構造ブロック体10-2とを連結する過程を示す断面図である。
図9】連結可能立体構造ブロック体10-1の突起部170の突起鉛直面部176に、連結可能立体構造ブロック体10-2の筒部110の筒部内側側面124が接続される状態を示す断面図である。
図10】1つの突起部170に形成された導体パターン200を示す正面図(a)と、筒部内側側面124の電気接続単位領域CU導体パターン200とを示す正面図(b)とである。
図11】突起部170の突起鉛直面部176に形成された非配線パターンと、筒部内側側面124(例えば、後述する電気接続単位領域CUなど)に形成された非配線パターンとが接触した状態を示す断面図である。
図12】連結可能立体構造ブロック体10の筒部110の抜き勾配を示す断面図である。
図13】連結可能立体構造ブロック体20の外観を示す外側蓋面182-2からの斜視図(a)と、連結可能立体構造ブロック体20の外観を示す内側蓋面184-2からの斜視図(b)とである。
図14】連結可能立体構造ブロック体30の外観を示す外側からの斜視図(a)と、連結可能立体構造ブロック体30の外観を示す内側からの斜視図(b)とである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<<<本実施の形態の概要>>>>
<<第1の実施の態様>>
第1の実施の態様によれば、
回路形成された複数個の立体成型回路部品同士を、各立体成型回路部品に形成された係合部の雄部または雌部(例えば、後述する突起部170の突起鉛直面部176及び筒部110の筒部内側側面124など)を介して電気的かつ力学的に接続し得る(例えば、後述する突起鉛直面部176の導体パターン及び電気接続単位領域CUの導体パターンなど)ことを特徴とする接続型立体成型回路部品(例えば、後述する連結可能立体構造ブロック体10など)が提供される。
【0010】
<<第2の実施の態様>>
第2の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記立体成型回路部品が、部品実装し得る。
【0011】
<<第3の実施の態様>>
第3の実施の態様は、第1の実施の態様又は第2の実施の態様において、
前記立体成型回路部品同士は、少なくとも1つの係合部に形成された導体パターンを介して電気的に接続される。
【0012】
<<第4の実施の態様>>
第4の実施の態様は、第1の実施の態様~第3の実施の態様において、
前記立体成型回路部品同士は、互いに離隔して配置されている複数の係合部の各々で形成される接続面(例えば、後述する突起鉛直面部176の導体パターン及び電気接続単位領域CUの導体パターンなど)を介して力学的に接続される。
【0013】
<<第5の実施の態様>>
第5の実施の態様は、第1の実施の態様~第4の実施の態様において、
雌部として機能する前記立体成型回路部品の係合部が、抜き勾配(例えば、後述する角A)を有している。
【0014】
<<第6の実施の態様>>
第6の実施の態様は、第4の実施の態様において、
前記係合部の雄部(例えば、後述する突起部170など)は、基準部から突起頂部まで突出する突起状の形状を有し、
前記雌部(例えば、後述する電気接続単位領域CUなど)は、前記基準部から前記突起頂部に向かうに従って、前記雄部から離隔して傾斜している。
【0015】
<<第7の実施の態様>>
第7の実施の態様は、第1の実施の態様~第6の実施の態様において、
前記立体成型回路部品がブロック体である。
【0016】
<<<<<<実施の形態の詳細>>>>>>
プリント配線板を用いた従来の電子機器の製造工法では、プリント配線板を電子機器の筐体に収納したときに、プリント配線板と筐体との間にデッドスペースが生じていた。デッドスペースは、電子機器の筐体内部のスペースと、筐体に収納されるプリント配線板の形状が同一ではないことから、デッドスペースの発生が避けられないものであった。しかしながら、デッドスペースの存在は、電子機器の小型化を困難にしていた。
【0017】
また、配線板上に実装される電子部品は、個々に大きさが異なり、近年では、実装する個数も増加している。このため、プリント配線板の部品実装面積が不足してきている。
【0018】
上述した機能別に小さいプリント配線板を作製して組み合せる従来の工法は、コスト的な利点の可能性はある。しかしながら、配線板同士を組み合せるためには、別に固定部品が必要になる。さらに、デッドスペースや、電子部品からの発熱処理などをも解決することができない。
【0019】
このようなことから、デッドスペースを形成せず、かつ、電子機器の小型化も可能で、電子部品からの発熱にも対応できる構造が望まれていた。
【0020】
<<<<<連結可能立体構造ブロック体10>>>>>
<<<方向など>>>
連結可能立体構造ブロック体10に関する方向として、軸方向と、延在方向とを用いる。なお、延在とは、延びて存在することをいう。
【0021】
<軸方向CD(筒軸方向CD)>
軸方向CDとは、連結可能立体構造ブロック体10の筒部110の筒軸CAに沿った方向である。連結可能立体構造ブロック体10及び筒部110については、後で詳述する。
【0022】
<延在方向ED>
延在方向EDとは、軸方向CDに対して垂直な方向である。軸方向CDに対して垂直な方向は、第1の延在方向ED1及び第2の延在方向ED2である。延在方向EDは、第1の延在方向ED1及び第2の延在方向ED2を有する。第2の延在方向ED2は、第1の延在方向ED1に対して垂直な方向である。
【0023】
第1の延在方向ED1は、後述する長尺側面部132、134に沿った方向である。すなわち、第1の延在方向ED1は、軸方向CDに対して垂直な方向で、かつ、長尺側面部132、134に沿った方向である。
【0024】
第2の延在方向ED2は、後述する短尺側面部136、138に沿った方向である。すなわち、第2の延在方向ED2は、軸方向CDに対して垂直な方向で、かつ、短尺側面部136、138に沿った方向である。
【0025】
側面部が長尺、短尺の区別をすることができない場合には、いずれの方向を延在方向EDとしてもよい。
【0026】
<内側及び外側>
内側とは、後述する筐体100の筒部110(側面部132、134、136、138)に囲まれた空間や領域や、この空間や領域に向かう向きをいう。内側は、側面部132、134、136、138の表面(内表面、内側表面)の領域も含む。
【0027】
外側とは、筐体100の筒部110(側面部132、134、136、138)から離れる方向に延在する空間や領域や、この空間や領域に向かう向きをいう。外側は、側面部132、134、136、138の表面(外表面、外側表面)の領域も含む。
【0028】
<<<<連結可能立体構造ブロック体10の構成の概要>>>>
1つの連結可能立体構造ブロック体10は、電子回路を構成するための1つの電子回路ブロック(単位電子回路)として機能する。連結可能立体構造ブロック体10の筐体100(後述する)の表面に、導体パターン200(配線パターン)が形成される。導体パターン200や配線パターンについては後述する。電子部品を導体パターン200に電気的に接続して搭載することで、1つの連結可能立体構造ブロック体10を単位電子回路として機能させることができる。筐体100の表面に導体パターン200を一体に形成し、さらに、電子部品を導体パターン200に固定的かつ電気的に接続することで、導体パターン200と電子部品との双方を筐体100と一体化させることできる。
【0029】
連結可能立体構造ブロック体10には、所望する各種の導体パターン200を形成することができる。連結可能立体構造ブロック体10を単位電子回路として機能させることができる。複数の各種の連結可能立体構造ブロック体10を互いに構造的に連結することができる。構造的な連結に伴い、電気的にも接続する。複数の連結可能立体構造ブロック体10の構造的な連結により、複数の単位電子回路を電気的に接続することができる。複数の単位電子回路を組み合わせて連結することで、統合的に機能する電子回路を構成することができる。
【0030】
筐体100のみで従前のプリント配線板の役割を持たせることができる。配線や部品実装などは、筐体100を構成する各構成面(例えば、側面など)の表面及び裏面を利用できる。筐体100の全体の構成面を活用することでデッドスペースを低減できる。さらに、筐体100に搭載して電子部品からの発熱も、筐体を介して外部に排出することができる。
【0031】
<<<<連結可能立体構造ブロック体10の具体的な構成>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す外側蓋面182からの斜視図である。図2は、本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す外側蓋面182からの斜視図である。図3は、本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す内側蓋面184からの斜視図である。図4は、本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の外観を示す内側蓋面184からの斜視図である。図5は、図1のA-A断面図である。
【0032】
連結可能立体構造ブロック体10は、筐体100と導体パターン200とを含む。
【0033】
<<<筐体100>>>
筐体100は、立体基板を成型した後に、筐体100の表面に回路を形成し、その後、必要に応じて、部品実装部が開口するようにソルダーレジストを形成することができる。筐体100の成型材料としては、セラミック等の無機系材料や樹脂を用いた有機系材料が挙げられる。
【0034】
無機系材料としては、シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、ガラス粉末、非繊維状ガラス、ガラスファイバー、カーボン、カーボンファイバー、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華、窒化ケイ素、サイアロン、炭化ケイ素窒化アルミニウム等を好適に用いることができる。有機系材料としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。
【0035】
筐体100は、樹脂成型品からなり、樹脂成型品に回路が形成されてなるものが好ましい。筐体100は、重量が軽く成型が容易な熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。公知慣用の樹脂を用いることができるが、特に、筐体100は、電子部品をはんだで実装するので、耐熱性に優れたフッ素樹脂、ポリカーボネートポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、非晶ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー等のエンジニアリングプラスチックや、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂が好適である。
【0036】
筐体100は、複数種類ある。例えば、筐体100の種類には、形状や大きさや構造などを互いに異ならしめたものがある。後述するように、筐体100の表面に、導体パターン200が一体に形成される。導体パターン200を表面に一体に形成することで、筐体100は、プリント配線板(プリント配線体)として機能する。なお、後述するように、導体パターン200は、配線パターンと非配線パターンとを有する。
【0037】
電子回路が異なり、導体パターン200が異なる場合であっても、同じ形状、大きさ、構造の筐体100を流用できる場合がある。筐体100を流用することで、用意すべき筐体100の種類を抑えることができる。
【0038】
筐体100は、金型成型、切削成型又は3Dプリンターによる3Dプリンティング等により作製する。中でも、金型成型が一般的だが、金型の製造では、コストが嵩みやすく、小ロットや中ロットの生産では採算が取れない。専用の金型ではなく、共通の金型を数種類作製することで、コストの低減化を図ることができる。また、筐体100の種類を少なくすることで、製造工程での管理などの簡便化を図ることができる。導体パターン200については、後で詳述する。
【0039】
筐体100は、筒部110と突起部170とを含む。
【0040】
<<筒部110>>
筒部110は、中空構造を有する。筒部110は、一体に連続して形成される。筒部110は、筒部側面120を有する。筒部側面120は、筒部110の枠体(フレーム)として機能する。筒部110は、一の面(後述する開口OP)が開口された略直方体状の形状を有する。
【0041】
<筒部側面120>
筒部側面120は、筒部110の外形を画定する。筒部側面120は、筒部外側側面122及び筒部内側側面124を有する。筒部外側側面122及び筒部内側側面124の表面には、導体パターン200が形成される。
【0042】
筒部側面120は、角筒形状を有する。より具体的には、筒部側面120は、四角筒形状を有する。筒部110は、4つの側面部132、134、136、138を有する。4つの側面部132、134、136、138の囲繞によって筒部110が構成される。
【0043】
4つの側面部132、134、136、138は、2つの長尺側面部132、134及び2つの短尺側面部136、138である。2つの長尺側面部132、134は、互いに平行に向かい合う。2つの短尺側面部136、138は、互いに平行に向かい合う。2つの長尺側面部132、134及び2つの短尺側面部136、138の外側の全周に亘る4つの面によって、筒部外側側面122が構成される。2つの長尺側面部132、134及び2つの短尺側面部136、138の内側の全周に亘る4つの面によって、筒部内側側面124が構成される。
【0044】
側面部132、134、136、138の隣り合う2つの側面部のなす角は、直角である。
【0045】
<側面部厚みST>
4つの側面部(2つの長尺側面部132、134及び2つの短尺側面部136、138)は、所定の厚み(以下、側面部厚みSTと称する。)を有する。側面部厚みSTは、筒部外側側面122と筒部内側側面124との最短距離である。側面部厚みSTは、連結可能立体構造ブロック体に要求される強度などに応じて適宜に定めればよい。
【0046】
また、長尺側面部132、134の厚みST1及び短尺側面部136、138の厚みST2は、同じでも異なってもよい。同じである場合には、厚みST1及びST2は、側面部厚みSTと等しくなる。厚みST1、ST1及びST2は、連結可能立体構造ブロック体10として要求される強度などに応じて決めればよい。以下では、長尺側面部132、134の厚みST1及び短尺側面部136、138の厚みST2を、側面部厚みSTと総称する。
【0047】
<筒軸CA>
筒軸CAは、筒部側面120に平行に延在する仮想的な軸である。筒軸CAは、2つの長尺側面部132、134及び2つの短尺側面部136、138の全てに平行である。
【0048】
筒部110の筒軸CAに沿った長さ(いわゆる筒体の高さ)は問わない。筒部110は、高さが長尺な筒状形状でも短尺な筒状形状でもよい。筒軸CAに垂直な筒部110の断面は、略長方形状を有する。
【0049】
<リブ130>
筒部内側側面124は、少なくとも1本のリブ130を有する。長尺側面部132、134の筒部内側側面124や、短尺側面部136、138の筒部内側側面124は、少なくとも1本のリブ130を有する。長尺側面部132、134又は短尺側面部136、138のいずれ一方の筒部内側側面124のみにリブ130が設けられてもよい。
【0050】
リブ130は、軸方向CDに沿って形成されている。リブ130は、筒部110の内側に向かって突出する。複数のリブ130が設けられている場合には、隣り合うリブ130は、離隔して配置される。隣り合うリブ130の間の領域や、リブ130と隣り合う筒部内側側面124との間の領域が、後述する電気接続単位領域CU(図5に示す四角い破線の領域など)として機能する。
【0051】
<突起端部142及び開口端部144>
筒部110は、軸方向CDに沿って互いに離隔した突起端部142及び開口端部144を有する。突起端部142は、後述する突起部170が設けられる端部である。突起部170は、筒部110から離れる方向に突出して突起端部142に設けられる。
【0052】
開口端部144は、開口OPを有する。前述したように、筒部110は、中空である。2つの長尺側面部132、134及び2つの短尺側面部136、138の端部(端辺)で囲繞された領域によって、開口OPが形成される。すなわち、2つの長尺側面部132、134及び2つの短尺側面部136、138の端部(端辺)によって開口端部144が画定される。筐体100において、開口端部144が、突起部170から最も離隔した部分である。
【0053】
<<突起部170>>
突起部170は、筒部110から離隔する方向に突出する。突起部170は、筒部110に固定されて一体に設けられる。突起部170は、中実構造を有する。突起部170は、弾性変形することができる。弾性変形の程度は、筐体100を構成する樹脂の種類によって定まる。
【0054】
突起部170は、三角柱状を有する。突起部170は、2つの突起側面部172A及び172Bと、突起底面部174と、突起鉛直面部176と、突起傾斜面部178とを有する。突起部170は、2つの突起側面部172A及び172Bに対して垂直で、かつ、突起底面部174、突起鉛直面部176、突起傾斜面部178と平行な突起部柱軸PAを有する。
【0055】
2つの突起側面部172A及び172Bは、互いに向かい合う略直角三角形状を有する。突起部170は、横設されている。突起部柱軸PAの方向は、延在方向EDと平行である。突起部柱軸PAの方向は、軸方向CDに対して垂直である。
【0056】
2つの突起側面部172A及び172Bの間が、突起側面部172A及び172Bの各辺よりも長く、突起部170は、長尺な形状を有する。突起底面部174、突起鉛直面部176、突起傾斜面部178は、長方形状を有する。
【0057】
突起底面部174は、突起端部142に面して設けられる。突起底面部174は、突起端部142に固定的に設けられている。突起部170は、筒部110に一体に形成される。
【0058】
突起鉛直面部176は、筒部側面120(筒部外側側面122及び筒部内側側面124)と平行である。突起鉛直面部176は、突起底面部174に対して略垂直に設けられている。突起鉛直面部176は、後述するように(図12参照)、抜き勾配を含んで筒部側面と略平行に設けられていればよい。
【0059】
<保持確保部160>
突起端部142は、筒部側面120(筒部外側側面122及び筒部内側側面124)と突起鉛直面部176との間に、保持確保部160を有する。保持確保部160は、軸方向CDに対して垂直である。保持確保部160は、筒部側面120(筒部外側側面122及び筒部内側側面124)から内側に突起鉛直面部176に向かって形成される。保持確保部160は、筒部側面120(筒部外側側面122及び筒部内側側面124)と突起鉛直面部176とを離隔させる領域を確保する。
【0060】
保持確保部160の幅HW(長さ)(図7参照)は、側面部厚みSTと同じである。保持確保部160によって、筒部側面120と突起鉛直面部176との間にいわゆる段差が形成される。保持確保部160によって、他の連結可能立体構造ブロック体10の筒部側面120の筒部内側側面124を、突起鉛直面部176に安定して保持するための領域を確保することができる。他の連結可能立体構造ブロック体10の筒部側面120の筒部内側側面124を、突起鉛直面部176に安定させかつ密着させて配置することができる。
【0061】
突起傾斜面部178は、突起鉛直面部176に対して斜めに設けられている。突起傾斜面部178は、三角形(2つの突起側面部172A及び172B)の斜辺をなす面である。
【0062】
<突起頂部179>
突起頂部179は、突起鉛直面部176と突起傾斜面部178とが交差する端部(端辺)である。突起頂部179は、筒部110から最も離隔した部分である。突起頂部179は、筐体100において、開口端部144から最も離隔した部分である。
【0063】
突起部170の弾性変形により、突起鉛直面部176及び突起傾斜面部178は、撓む。突起鉛直面部176及び突起傾斜面部178の撓みにより、突起頂部179は、軸方向CDに対して垂直な方向(延在方向ED)に変位できる。
【0064】
<突起部170の配置・数・向き>
少なくとも1つの突起部170が突起端部142に設けられる。
【0065】
図1図5に示すように、4つの突起部170が、長尺側面部132と長尺側面部134との双方に沿って、合計で8つの突起部170が突起端部142に配置される。長尺側面部132に配置された4つの突起部170と、長尺側面部134に配置された4つの突起部170と、突起端部142において、互いに向かい合って配置される。これらの8つの突起部170の突起鉛直面部176の法線は、長尺側面部132又は134の法線と一致する。
【0066】
同様に、2つの突起部170が、短尺側面部136と短尺側面部138との双方に沿って、合計で4つの突起部170が突起端部142に配置される。短尺側面部136に配置された4つの突起部170と、短尺側面部138に配置された4つの突起部170と、突起端部142において、互いに向かい合って配置される。これらの8つの突起部170の突起鉛直面部176の法線は、短尺側面部136又は138の法線と一致する。
【0067】
<<蓋部180>>
筐体100は、筒部110及び突起部170のほかに蓋部180を含むことができる。蓋部180は、突起端部142の少なくとも一部を覆う。図1図5図8などに示すように、蓋部180は、突起端部142の全体を覆って、突起端部142を閉塞してもよい。これに対して、蓋部180は、突起端部142の一部を貫通する貫通孔(後述する)を有してもよい。筐体100は、筒部110と一体に連続して形成される。
【0068】
蓋部180は、外側蓋面182及び内側蓋面184を有する。外側蓋面182の法線は、筒部110の外側に向かう。内側蓋面184の法線は、筒部110の内側に向かう。外側蓋面182及び内側蓋面184には、導体パターン200が形成される。導体パターン200の形成により、外側蓋面182及び内側蓋面184には、導体パターン200に応じた電子部品が載置される。
【0069】
なお、電子回路の構成に応じて、外側蓋面182及び内側蓋面184のいずれか一方のみに、導体パターン200を形成し、電子部品を載置してもよい。
【0070】
<<<導体パターン200(配線パターン)>>>
導体パターン200は、導電体によって形成される。導電体の種類は、樹脂の種類や、伝導率や、耐久性などに応じて適宜に定めることができる。
【0071】
導体パターン200は、筐体100の表面に一体に形成される。導体パターン200は、筐体100の表面に密着して導電性を維持できるものであればよい。
【0072】
筐体100の表面に導体パターン200を形成する方法は、既知の手法を用いることができ、目的に応じて適宜選択すればよい。特に、連結可能立体構造ブロック体10においては、筐体100の材料である成形用樹脂に非導電性金属錯体を分散させ、この成形用樹脂を用いて立体基板を成形した後に、レーザー光線を導体パターン200の形状に合わせて照射して金属核を生じさせ、その後、めっきを施して導体パターン200を形成することが好ましい。
【0073】
非導電性金属錯体の中心金属としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)等を挙げることができる。
【0074】
レーザー光線は、上記非導電性金属錯体に照射することにより、金属を放出させることができるものであれば、特に制限はない。レーザー光線の波長としては、例えば、248nm、308nm、355nm、532nm、1064nmおよび10600nmを用いることができる。
【0075】
導体パターン200は、配線パターンと非配線パターンとを有する。
【0076】
<配線パターン>
配線パターンは、電気的接続を形成するためのパターンである。配線パターンは、はんだ付けなどによって、電子部品が接続されて電子回路を構成するためのパターンである。配線パターンは、連結可能立体構造ブロック体10を電子回路として機能させるためのパターンである。
【0077】
配線パターンが形成された筐体100は、プリント配線板(PWB(printed wiring board))として機能する。配線パターンに電子部品が取り付けられた筐体は、プリント回路板(PCB(printed circuit board))として機能する。電子部品は、受動部品、能動部品のいずれでもよい。電子部品の種類や数や配置などは、機能させるべき電子回路に応じて決定される。
【0078】
配線パターンは、所定の厚み(配線パターン厚み)と、幅(導体幅)とを有する。
【0079】
<非配線パターン>
非配線パターンは、電気的接続を形成せず、電子回路を構成しないパターンである。非配線パターンは、筐体100の厚みや強度を向上させるために形成されたり、筐体100の位置を決めるためのアライメントマークとして形成されたりする。
【0080】
非配線パターン200は、所定の厚み(非配線パターン厚み)と、所定の大きさとを有する。
【0081】
配線パターン厚みと非配線パターン厚みとは、同じであるのが好ましい。配線パターンと非配線パターンとが並設された箇所において、連結可能立体構造ブロック体10の連結時において、配線パターンに加わる押圧力と、非配線パターンに加わる押圧力とを均等に分散させることができる。詳細については、後述する。
【0082】
<<導体パターン200の配置>>
前述したように、筐体100は、筒部110と突起部170とを含む。また、筐体100は、蓋部180も含む。筒部110は、側面部132、134、136、138の筒部外側側面122及び筒部内側側面124の8個の構成面を含む。突起部170は、突起鉛直面部176及び突起傾斜面部178の2個の構成面を含む。蓋部180は、外側蓋面182及び内側蓋面184の2個の構成面を含む。このように、筐体100は、これらの12個の構成面を含む。導体パターン200は、連結可能立体構造ブロック体10に必要とされる電子回路に応じて、筐体100の12個の構成面に形成される。
【0083】
導体パターン200は、電位回路の機能に応じて複数個からなる。導体パターン200は、孤立導体パターン及び跨設導体パターンがある。孤立導体パターンは、一の構成面のみに形成される導体パターンである。跨設導体パターンは、一の構成面と他の構成面とに跨って形成される導体パターンである。跨設導体パターンは、電子回路を構成するために連続的に形成されていればよい。跨設導体パターンが跨る構成面の数は、複数であればよい。例えば、跨設導体パターンは、一の構成面から、隣接する他の構成面に跨ったり、一の構成面から、裏側の他の構成面に跨ったりする。跨設導体パターンが経由(迂回)する構成面の数は、問わない。
【0084】
具体的には、孤立導体パターンとして、側面部132の筒部外側側面122のみに形成される導体パターンがある。また、跨設導体パターンとして、側面部132の筒部外側側面122から、突起部170の突起鉛直面部176及び突起傾斜面部178を経て、蓋部180の内側蓋面184に至る導体パターンがある。さらに、跨設導体パターンとして、側面部132の筒部外側側面122から開口端部144を経て裏側の側面部132の筒部内側側面124に至る導体パターンがある。跨設導体パターンとして、側面部132の筒部外側側面122から、蓋部180の外側蓋面182に至る導体パターンなどもある。
【0085】
また、跨設導体パターンは、長尺側面部132の筒部外側側面122から、隣接する短尺側面部136の筒部外側側面122に至る導体パターンでもよい。跨設導体パターンは、長尺側面部132の筒部内側側面124から、隣接する短尺側面部136の筒部内側側面124に至る導体パターンでもよい。
【0086】
<<筒部内側側面124の開口端部144の近傍に形成される導体パターン>>
図6は、本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の開口端部接続用導体パターン210の構成を示す断面図である。なお、図6では、明瞭のため、導体パターン200の厚みを厚く示した。
【0087】
筒部内側側面124の開口端部144の近傍に形成される導体パターン(開口端部接続用導体パターン210と称する。)は、導体パターン200の一部分として筒部内側側面124に形成される。開口端部接続用導体パターン210は、軸方向CDに沿って長尺な形状を有する。
【0088】
開口端部接続用導体パターン210は、導体パターン200の一部分であり、便宜的に開口端部接続用導体パターン210として抽出した領域である。導体パターン200は、一体に連続して形成されている。開口端部接続用導体パターン210は、後述する突起部接続用導体パターン220との電気的接触を形成するための領域である。
【0089】
図6(a)に示すように、開口端部接続用導体パターン210は、筒部外側側面122から開口端部144を経て筒部内側側面124に形成される導体パターン200の一部分とすることができる。筒部外側側面122の導体パターン200は、外側蓋面182の導体パターン200と一体に連続して形成される。
【0090】
図6(b)に示すように、開口端部接続用導体パターン210は、内側蓋面184から連続して筒部内側側面124に形成される導体パターン200の一部分とすることができる。筒部内側側面124の導体パターン200は、内側蓋面184の導体パターン200と一体に連続して形成される。
【0091】
図6(c)に示すように、開口端部接続用導体パターン210は、筒部外側側面122から開口端部144を経て筒部内側側面124に形成される導体パターン200の一部分とすることができる。筒部外側側面122の導体パターン200は、外側蓋面182の導体パターン200と一体に連続して形成される。筒部内側側面124の導体パターン200は、内側蓋面184の導体パターン200と一体に連続して形成される。
【0092】
<<突起部170の突起鉛直面部176に形成される導体パターン>>
図7は、本実施の形態による連結可能立体構造ブロック体10の突起部接続用導体パターン220の構成を示す断面図である。なお、図7では、明瞭のため、導体パターン200の厚みを厚く示した。
【0093】
突起部170の突起鉛直面部176に形成される導体パターン(突起部接続用導体パターン220と称する。)は、導体パターン200の一部分として突起鉛直面部176に形成される。突起部接続用導体パターン220は、軸方向CDに沿って長尺な形状を有する。
【0094】
突起部接続用導体パターン220も、導体パターン200の一部分であり、便宜的に突起部接続用導体パターン220として抽出した領域である。導体パターン200は、一体に連続して形成されている。突起部接続用導体パターン220は、前述した開口端部接続用導体パターン210との電気的接触を形成するための領域である。
【0095】
図7(a)に示すように、突起部接続用導体パターン220は、突起傾斜面部178から突起頂部179を経て突起鉛直面部176に形成される導体パターン200の一部分とすることができる。突起鉛直面部176の導体パターン200は、保持確保部160の導体パターン200を経て、筒部外側側面122の導体パターン200と一体に連続して形成される。
【0096】
図7(b)に示すように、突起部接続用導体パターン220は、外側蓋面182から、突起傾斜面部178及び突起頂部179を経て、突起鉛直面部176に形成される導体パターン200の一部分とすることができる。突起鉛直面部176の導体パターン200は、外側蓋面182の導体パターン200と、突起傾斜面部178の導体パターン200と、突起頂部179の導体パターン200とを一体に連続して形成される。
【0097】
図7(c)に示すように、突起部接続用導体パターン220は、外側蓋面182から、突起傾斜面部178、突起頂部179、突起鉛直面部176、保持確保部160を経て、筒部外側側面122に形成される導体パターン200の一部分とすることができる。突起鉛直面部176の導体パターン200は、外側蓋面182の導体パターン200と、突起傾斜面部178の導体パターン200と、突起頂部179の導体パターン200と、突起鉛直面部176の導体パターン200と、保持確保部160の導体パターン200とを一体に連続して形成される。
【0098】
このように、導体パターン200の一部である開口端部接続用導体パターン210及び突起部接続用導体パターン220は、接続端子として機能する。開口端部接続用導体パターン210及び突起部接続用導体パターン220は、導体パターン200の一部であり、一般的な別体の接続端子を電気的に接続することなく、導体パターン200の一部を接続端子として活用することができる。別体の接続端子を準備して接続する必要がなくなり、製造工程を簡略化したり、コストを低減化したりできる。
【0099】
<<<<連結可能立体構造ブロック体10の接続構造>>>>
少なくとも2つの連結可能立体構造ブロック体10を直列に連結することにより、電気的接続を形成することができる。図8(a)は、2つの連結可能立体構造ブロック体10-1及び10-2を連結する前の状態を示すA-A断面図である。図8(b)は、2つの連結可能立体構造ブロック体10-1及び10-2を連結した状態を示すA-A断面図である。図9は、2つの連結可能立体構造ブロック体10-1及び10-2を連結する過程の状態を示す拡大断面図である。なお、図9でも、明瞭のため、導体パターン200の厚みを厚く示した。
【0100】
連結可能立体構造ブロック体10-1及び10-2は、前述した連結可能立体構造ブロック体10と同じであり、区別するために10-1及び10-2と符号を付した。
【0101】
図8(a)に示すように、連結可能立体構造ブロック体10-1の保持確保部160が、連結可能立体構造ブロック体10-2の開口端部144と向かい合うようにして、連結可能立体構造ブロック体10-1と連結可能立体構造ブロック体10-2とを近づける(図8(a)の白い矢印参照)。
【0102】
図9に示すように、連結可能立体構造ブロック体10-1の突起部170の突起鉛直面部176に形成された導体パターン200と、連結可能立体構造ブロック体10-2の筒部110の筒部内側側面124に形成された導体パターン200とが接触した状態となる。連結可能立体構造ブロック体10-1又は連結可能立体構造ブロック体10-2の移動により、突起鉛直面部176の導体パターン200と、筒部内側側面124の導体パターン200とは、接触を維持しつつ変位する(図9の白い矢印参照)。
【0103】
図8(b)に示すように、連結可能立体構造ブロック体10-1の保持確保部160が、連結可能立体構造ブロック体10-2の開口端部144と接触するように、連結可能立体構造ブロック体10-1と連結可能立体構造ブロック体10-2とを配置する。これにより、連結可能立体構造ブロック体10-2の筒部内側側面124が、連結可能立体構造ブロック体10-1の突起鉛直面部176と接触する。この接触により、連結可能立体構造ブロック体10-2の筒部内側側面124の導体パターン200と、連結可能立体構造ブロック体10-1の突起鉛直面部176の導体パターン200とが電気的に接続される。この接続により、連結可能立体構造ブロック体10-1の電子回路と、連結可能立体構造ブロック体10-2の電子回路とが、回路として機能する。
【0104】
<<<突起部170の突起鉛直面部176と電気接続単位領域CUとの電気的接続>>>
図10(a)は、1つの突起部170に形成された導体パターン200を示す正面図である。図10(a)では、4個の導体パターン200を区別するために、200-1、200-2、200-3、200-4と異なる符号を付した。同様に、4個の突起部接続用導体パターン220を区別するために、220-1、220-2、220-3、220-4と異なる符号を付した。
【0105】
図10(b)は、筒部内側側面124の1つの電気接続単位領域CUに形成された導体パターン200を示す正面図である。図10(b)では、4個の導体パターン200を区別するために、200A、200B、200C、200Dと異なる符号を付した。同様に、4個の開口端部接続用導体パターン210を区別するために、210A、210B、210C、210Dと異なる符号を付した。
【0106】
図1図2及び図10(a)に示すように、突起部170の各々の突起鉛直面部176には、複数の導体パターン200が形成されている。例えば、突起鉛直面部176には、3個又は4個の導体パターン200が形成されている。なお、前述したように、導体パターン200には、配線パターン厚みと非配線パターンとの双方がある。突起鉛直面部176には、配線パターンと非配線パターンとが混在しても形成されても、いずれか一方のみが形成されてもよい。配線パターンの場合には、導体パターン200の一部は、突起部接続用導体パターン220である。なお、簡便のため、図10(a)では、4個の導体パターン200は、全て配線パターンであるとして示した。
【0107】
図3図4及び図10(b)に示すように、電気接続単位領域CUの各々には、複数の導体パターン200が形成されている。例えば、電気接続単位領域CUには、3個又は4個の導体パターン200が形成されている。電気接続単位領域CUにも、配線パターンと非配線パターンとが混在しても形成されても、いずれか一方のみが形成されてもよい。配線パターンの場合には、導体パターン200の一部は、開口端部接続用導体パターン210である。なお、簡便のため、図10(b)では、4個の導体パターン200は、全て配線パターンであるとして示した。
【0108】
2つの連結可能立体構造ブロック体10-1及び10-2が連結されると(図8(b)参照)、突起部170の突起鉛直面部176と電気接続単位領域CUとが向かい合う。
【0109】
突起鉛直面部176と電気接続単位領域CUとが向かい合うことで、突起鉛直面部176の導体パターン200-1と電気接続単位領域CUの導体パターン200Dとが向かい合い、突起鉛直面部176の導体パターン200-2と電気接続単位領域CUの導体パターン200Cとが向かい合い、突起鉛直面部176の導体パターン200-3と電気接続単位領域CUの導体パターン200Bとが向かい合い、突起鉛直面部176の導体パターン200-4と電気接続単位領域CUの導体パターン200Aとが向かい合う。
【0110】
すなわち、突起部接続用導体パターン220-1と開口端部接続用導体パターン210Dとが、電気的に接続され、突起部接続用導体パターン220-2と開口端部接続用導体パターン210Cとが、電気的に接続され、突起部接続用導体パターン220-3と開口端部接続用導体パターン210Bとが、電気的に接続され、突起部接続用導体パターン220-4と開口端部接続用導体パターン210Aとが、電気的に接続される。
【0111】
このように、1つの突起部170と1つの電気接続単位領域CUとが向かい合うことにより、複数の箇所(3か所又は4か所など)で電気的接続が形成される。
【0112】
<<<連結可能立体構造ブロック体10の構成及び機能>>>
筐体100の筒部110の側面部132、134、136、138の各々は、筒部外側側面122及び筒部内側側面124を有する。側面部132、134、136、138の筒部外側側面122及び筒部内側側面124の双方の構成面には、導体パターン200(配線パターン)が直接に形成される。構成面の各々には、電子部品が配置される。筐体100を立体構造にすることで、電子回路を構成するための導体パターン200を延在させて形成する領域を筐体100に直接に確保することができる。筐体100を立体構造にすることで、電子部品を配置するための実装領域を筐体100に直接に確保することができる。
【0113】
筐体100に直接に電子部品を配置するので、プリント配線板などを別個に用意する必要なく、電子部品を実装できる。連結可能立体構造ブロック体10の製造工程を簡略化できる。プリント配線板などを配置するための空間を不要にし、デッドスペースが生じないようにして、連結可能立体構造ブロック体10を小型化することができる。
【0114】
また、プリント配線板同士を電気的に接続するためのコネクタ及びハーネスケーブルを配置するための空間を省くことができ、連結可能立体構造ブロック体10をさらに小型化することができる。
【0115】
電子部品を配置するための筐体100の実装領域は、延在するので、筐体100の実装領域を電子部品から発せられる熱を逃がすためのヒートシンクとして機能させることができる。
【0116】
導体パターン200を筒部内側側面124に一体に形成し、導体パターン200の一部を接続端子とすることで、筒部110をメス側のコネクタとして機能させることができる。
【0117】
突起部170を突出するように筐体100に一体に形成し、導体パターン200を突起部170に一体に形成し、導体パターン200の一部を接続端子とすることで、突起部170をオス側のコネクタとして機能させることができる。
【0118】
筐体100として、筒部110と突起部170と蓋部180とを一体に立体的に形成した。さらに、筒部110と突起部170と蓋部180との構成面に導体パターンを一体に形成した。プリント配線体と、オス側のコネクタと、メス側のコネクタとを一体に形成することができる。
【0119】
一の連結可能立体構造ブロック体10の筒部110に、他の連結可能立体構造ブロック体10の突起部170を係合することで、一の連結可能立体構造ブロック体10と他の連結可能立体構造ブロック体10とを直列に連結することができる。複数の連結可能立体構造ブロック体10の連結により、連結可能立体構造ブロック体10の接続構造を提供することができる。
【0120】
複数の連結可能立体構造ブロック体10を連結することで、統合的に機能する電子回路を構成する場合に、一の連結可能立体構造ブロック体10が故障したときに、故障した連結可能立体構造ブロック体10のみを交換すればよく、修理やメンテナンスの作業を簡便にできる。その他、交換を要する電子部品に連結可能立体構造ブロック体10を用いることができる。
【0121】
一の連結可能立体構造ブロック体10と、他の連結可能立体構造ブロック体10との連結により、他の連結可能立体構造ブロック体10の突起部170を一の連結可能立体構造ブロック体10の筒部110に収納することができ、電気的接続状態を保護することができる。
【0122】
一の連結可能立体構造ブロック体10と、他の連結可能立体構造ブロック体10との連結により、一の連結可能立体構造ブロック体10を他の連結可能立体構造ブロック体10で覆うことで、シールドすることができ、ノイズの影響を低減させることができる。
【0123】
<<<非配線パターン同士の対向>>>
図11は、突起部170の突起鉛直面部176に形成された非配線パターンと、筒部内側側面124(電気接続単位領域CU)に形成された非配線パターンとが接触した状態を示す断面図である。なお、図11でも、明瞭のため、導体パターン200の厚みを厚く示した。
【0124】
前述したように、突起鉛直面部176に形成される導体パターン200と、電気接続単位領域CUに形成される導体パターン200とは、非配線パターンであってもよい。連結可能立体構造ブロック体10-1と、連結可能立体構造ブロック体10-2とが連結されたときには、図11に示すように、突起部170の非配線パターンと、電気接続単位領域CUの非配線パターンとが接触する場合もある。
【0125】
1つの突起部170及び1つの電気接続単位領域CUには、複数の導体パターン200が形成される。導体パターン200に非配線パターンが含まれる場合がある。配線パターン厚みと非配線パターン厚みとを同じ厚みにするのが好ましい。同じ厚みにすることで、突起部170及び電気接続単位領域CUにおいて配線パターンと非配線パターンとが混在して並設された場合であっても、接触により配線パターン同士に加わる押圧力と非配線パターン同士に加わる押圧力とを等しくできる。さらに、押圧力を均等に分散させることができる。
【0126】
<<<抜き勾配>>>
図12は、連結可能立体構造ブロック体10の筒部110の抜き勾配を示す断面図である。なお、図12でも、明瞭のため、導体パターン200の厚みを厚く示した。
【0127】
筒部110の筒部側面120の2つの長尺側面部132、134は、突起端部142から開口端部144に向かうに従って互いに離隔するのが好ましい。同様に、2つの短尺側面部136、138も、突起端部142から開口端部144に向かうに従って互いに離隔するのが好ましい。すなわち、開口端部144における筒部110の断面の大きさを、突起端部142における筒部110の断面の大きさよりも大きくできる。ここで、断面は、筒軸CAに垂直な面に沿った断面である。
【0128】
長尺側面部132、134及び短尺側面部136、138は、垂直に対して傾斜して形成される。この傾斜が、抜き勾配である。図12では、抜き勾配として、垂直から角度Aだけ傾斜した例を示す。
【0129】
このように、側面部を傾けて構成することで、連結可能立体構造ブロック体10-1と、連結可能立体構造ブロック体10-2との着脱を円滑にすることができる。また、連結可能立体構造ブロック体10を金型で成型するときに、連結可能立体構造ブロック体10を金型から円滑に抜き出すことができる。
【0130】
また、突起部170の突起鉛直面部176と水平面(保持確保部160や蓋部180)とのなす角Bと、抜き勾配Aとの関係は、90度-A≦Bを満たすのが好ましい。このようにすることで、連結可能立体構造ブロック体10-1と、連結可能立体構造ブロック体10-2との着脱をより円滑にできる。
【0131】
<<<<他の構造等>>>>
図13(a)は、連結可能立体構造ブロック体20の外観を示す外側蓋面182-2からの斜視図である。図13(b)は、連結可能立体構造ブロック体20の外観を示す内側蓋面184-2からの斜視図である。図13(a)及び(b)において、連結可能立体構造ブロック体10と同様の構成には、同一の符号を付した。
【0132】
図13(a)及び(b)に示すように、連結可能立体構造ブロック体20は、筒軸CAに垂直な筒部110-2の断面は、正方形状を有する。
【0133】
連結可能立体構造ブロック体20は、蓋部180-2を有する。蓋部180-2は、外側蓋面182-2及び内側蓋面184-2を有する。図13(a)に示すように、外側蓋面182-2には、導体パターン200は形成されていない。図13(b)に示すように、内側蓋面184-2には、導体パターン200が形成されている。導体パターン200は、所望される電子回路に応じて形成すればよい。
【0134】
図14(a)は、連結可能立体構造ブロック体30の外観を示す外側からの斜視図である。図14(b)は、連結可能立体構造ブロック体30の外観を示す内側からの斜視図である。図14(a)及び(b)において、連結可能立体構造ブロック体10と同様の構成には、同一の符号を付した。
【0135】
図14(a)及び(b)に示すように、連結可能立体構造ブロック体30は、筒軸CAに垂直な筒部110-3の断面は、正方形状を有する。
【0136】
連結可能立体構造ブロック体30は、蓋部180-3を有する。蓋部180-2は、貫通孔186-3を有する。直列に連結する他の連結可能立体構造ブロック体30の構成に応じて、貫通孔186-3を設けることにより、適切に複数の連結可能立体構造ブロック体30を連結することができる。
【0137】
<<<<その他>>>>
前述した例では、角筒形状を有する連結可能立体構造ブロック体を示したが、三角筒、五角筒などの複数角の筒状体や、円筒体や、楕円筒体などの形状にすることができる。表面に導体パターンを形成し、電子部品を搭載し、連結できる構造を有すればよい。
【0138】
前述した例では、複数の連結可能立体構造ブロック体を直列に連結する構成を示したが、並列に連結したり、直列と並列とを混在させて連結したりするように構成してもよい。
【0139】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0140】
10、10-1、10-2、20、30 連結可能立体構造ブロック体
100 筐体
110 筒部
120 筒部側面
122 筒部外側側面
124 筒部内側側面124
132、134、136、138 側面部
170 突起部
180 蓋部
200 導体パターン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄部を有する第1の端部と前記第1の端部から離隔し開口により雌部を構成する第2の端部とを有し、かつ、回路形成された立体成型回路部品であって、
第1の前記立体成型回路部品の前記第1の端部の雄部と、前記第1の前記立体成型回路部品とは異なる第2の前記立体成型回路部品の前記第2の端部の雌部と、の係合により電気的かつ力学的に接続し得ることを特徴とする接続型立体成型回路部品。
【請求項2】
前記立体成型回路部品が、部品実装し得ることを特徴とする請求項1に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項3】
前記立体成型回路部品同士は、少なくとも1つの雄部と前記雄部に係合可能な雌部とによって構成される係合部に形成された導体パターンを介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項4】
前記立体成型回路部品同士は、互いに離隔して配置されている複数の係合部の各々で形成される接続面を介して力学的に接続されることを特徴とする請求項に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項5】
雌部として機能する前記立体成型回路部品の係合部が、抜き勾配を有していることを特徴とする請求項に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項6】
前記係合部の雄部は、基準部から突起頂部まで突出する突起状の形状を有し、
前記雌部は、前記基準部から前記突起頂部に向かうに従って、前記雄部から離隔して傾斜している請求項4に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項7】
前記立体成型回路部品がブロック体である請求項1~6に記載のいずれか1項に記載の接続型立体成型回路部品。
【請求項8】
雄部を有する第1の端部と前記第1の端部から離隔し開口により雌部を構成する第2の端部とを有し、かつ、回路形成された立体成型回路部品を用いた回路接続構造であって、
第1の前記立体成型回路部品の前記第1の端部の雄部と、前記第1の前記立体成型回路部品とは異なる第2の前記立体成型回路部品の前記第2の端部の雌部と、の係合により電気的かつ力学的に接続し得る回路接続構造。