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特開2023-114561構内交換機、構内交換プログラム、及び構内交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114561
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】構内交換機、構内交換プログラム、及び構内交換方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20230810BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
H04Q3/58 106
H04M3/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016939
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】春名 伸昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 潤
【テーマコード(参考)】
5K049
5K201
【Fターム(参考)】
5K049BB04
5K049EE02
5K049FF01
5K049FF11
5K049FF15
5K049FF32
5K049JJ02
5K049KK02
5K049KK12
5K201BC12
5K201BC30
5K201BD03
5K201BD04
5K201CB01
5K201CB05
5K201CB08
5K201CB16
5K201EA08
5K201EC03
5K201EF09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な手段で、複数同時着信された各端末の状況を相互に認識する構内交換機を提供する。
【解決手段】内線端末に接続される構内交換機1であって、内線端末の発着信履歴情報15を保持する記憶部13と、所定の外線番号からの着信に対して複数の内線端末に着信させる制御を行う着信管理手段11と、外線番号に記号及び又は数字を付加した仮想的な電話番号を生成する発番号可変仮想手段12と、を備える。着信管理手段11は、発着信履歴情報15を参照し、複数の内線端末に着信させた外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できなかった場合、発番号可変仮想手段12を用いて生成した第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の内線端末に電話発信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内線端末に接続される構内交換機であって、
前記内線端末の発着信履歴情報を保持する記憶手段と、
所定の外線番号からの着信に対して複数の前記内線端末に着信させる制御を行う着信管理手段と、
前記外線番号に記号及び又は数字を付加した仮想的な電話番号を生成する発番号可変仮想手段とを有し、
前記着信管理手段は、前記発着信履歴情報を参照し、複数の前記内線端末に着信させた前記外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できなかった場合、前記発番号可変仮想手段を用いて生成した第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信する
ことを特徴とする構内交換機。
【請求項2】
前記着信管理手段は、前記第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信した後、前記発着信履歴情報を参照し、複数の前記内線端末に着信させた前記外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できた場合、前記発番号可変仮想手段を用いて生成した第2の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信することを特徴とする請求項1に記載の構内交換機。
【請求項3】
前記第1の仮想的な電話番号は、前記外線番号の先頭に*を付加した番号であり、前記第2の仮想的な電話番号は、前記外線番号の先頭に♯を付加した番号であることを特徴とする請求項2に記載の構内交換機。
【請求項4】
前記第1の仮想的な電話番号又は前記第2の仮想的な電話番号を用いて行う電話発信は、呼制御要求後、即座に呼を切断する発信であることを特徴とする請求項2又は3に記載の構内交換機。
【請求項5】
前記着信管理手段は、前記外線番号からの着信に対して複数の前記内線端末に同時に着信させるマルチリンギングの着信方式の場合のみ、前記第1の仮想的な電話番号及び又は前記第2の仮想的な電話番号による電話発信を行うことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の構内交換機。
【請求項6】
内線端末に接続される構内交換機に搭載されるコンピュータを、
前記内線端末の発着信履歴情報を保持する記憶手段と、
所定の外線番号からの着信に対して複数の前記内線端末に着信させる制御を行う着信管理手段と、
前記外線番号に記号及び又は数字を付加した仮想的な電話番号を生成する発番号可変仮想手段として機能させ、
前記着信管理手段は、前記発着信履歴情報を参照し、複数の前記内線端末に着信させた前記外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できなかった場合、前記発番号可変仮想手段を用いて生成した第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信する
ことを特徴とする構内交換プログラム。
【請求項7】
内線端末に接続される構内交換機に使用する構内交換方法であって、
記憶手段、着信管理手段、及び発番号可変仮想手段を有し、
前記記憶手段は、前記内線端末の発着信履歴情報を保持し、
前記着信管理手段は、所定の外線番号からの着信に対して複数の前記内線端末に着信させる制御を行い、
前記発番号可変仮想手段は、前記外線番号に記号及び又は数字を付加した仮想的な電話番号を生成し、
さらに、前記着信管理手段は、前記発着信履歴情報を参照し、複数の前記内線端末に着信させた前記外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できなかった場合、前記発番号可変仮想手段を用いて生成した第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信する
ことを特徴とする構内交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内交換機、構内交換プログラム、及び構内交換方法に関し、例えば、複数の電話機を同時に着信させる機能(以下、「複数同時着信機能」と呼ぶ)を備える構内交換機(PBX(Private Branch eXchange))に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
一般に、企業内で使われている構内交換機においては、複数同時着信機能が利用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
複数同時着信機能を利用する場合、同時着信するための番号を設定し、その番号に着信があると、構内交換機は、事前に設定された複数の電話機に呼を着信させる。そして、構内交換機は、着信後に最初にオフフックとなった電話機と発信元との間で通話を可能とする。この際、応答しなかった電話機の着信鳴動は止まる。ここで、全ての電話機(応答しなかった電話機を含む全ての電話機)に呼が着信しているため、全ての電話機に着信履歴が残ることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-056827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の複数同時着信機能を利用する場合、全ての電話機の利用者が会社に出社して、誰かが応答したことがその場で分かれば問題は生じないが、一方、全ての利用者が同一の場所に存在せず、当該着信に対して誰かが応答したかどうかが分からない場合に問題が生じる。
【0006】
即ち、誰も応答していないのに重要な電話に対して誰も折り返さない状況や、誰かが応答して用件は完了したのに複数の人が折り返す状況が発生する可能性がある。上述の状況は、会社に行かずに自宅等で作業を行う勤務形態(リモートワーク、テレワーク)が普及する昨今においては、発生する可能性はさらに高まっている。
【0007】
上記問題に対して、例えば、発着信履歴機能を備える構内交換機(構内交換システム)であれば、発着信履歴から着信した呼の状況(誰かが折り返したか等)を確認すれば、状況を把握できる。しかしながら、発着信履歴機能は、PC(Personal Computer)等を使用して専用の管理画面にアクセスして確認するものであり、認証等を含めて確認するまでに手間が掛かる。また、上述の発着信履歴機能は、通常、権限を有する者でなければ、閲覧できない機能のため、上記問題に対して利用するのに適切とは言えない。
【0008】
また、上記問題に対して、例えば、上述の特許文献1に記載の技術のように、全ての電話端末の発信履歴を共有させることは考えられる。しかしながら、全ての電話端末の発信履歴を共有させる場合、交換機と電話端末との間で発信履歴を同期させる処理等新たな仕組みを作り込む必要がある。また、昨今、交換機が取り扱う電話機の種類が増えて昔ながらの固定電話機の他に、内線電話機、FMC(Fixed Mobile Convergence)端末、内線スマートフォン、タブレット端末等があり、これらの端末(電話機)と交換機との発信履歴共有のためのインタフェースを端末ごとに用意する必要がある。新たな機能の搭載のための余計な作りこみは、新たな不具合を発生させる温床にもなるため、慎重になるべきである。
【0009】
そのため、簡易な手段で、複数同時着信された各端末の状況(誰かが応答したか、未応答の着信に対して誰かが折り返したか等)を相互に認識できる構内交換機、構内交換プログラム、及び構内交換方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、内線端末に接続される構内交換機であって、(1)前記内線端末の発着信履歴情報を保持する記憶手段と、(2)所定の外線番号からの着信に対して複数の前記内線端末に着信させる制御を行う着信管理手段と、(3)前記外線番号に記号及び又は数字を付加した仮想的な電話番号を生成する発番号可変仮想手段とを有し、(4)前記着信管理手段は、前記発着信履歴情報を参照し、複数の前記内線端末に着信させた前記外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できなかった場合、前記発番号可変仮想手段を用いて生成した第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の構内交換プログラムは、内線端末に接続される構内交換機に搭載されるコンピュータを、(1)前記内線端末の発着信履歴情報を保持する記憶手段と、(2)所定の外線番号からの着信に対して複数の前記内線端末に着信させる制御を行う着信管理手段と、(3)前記外線番号に記号及び又は数字を付加した仮想的な電話番号を生成する発番号可変仮想手段として機能させ、(4)前記着信管理手段は、前記発着信履歴情報を参照し、複数の前記内線端末に着信させた前記外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できなかった場合、前記発番号可変仮想手段を用いて生成した第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信することを特徴とする。
【0012】
第3の本発明は、内線端末に接続される構内交換機に使用する構内交換方法であって、記憶手段、着信管理手段、及び発番号可変仮想手段を有し、(1)前記記憶手段は、前記内線端末の発着信履歴情報を保持し、(2)前記着信管理手段は、所定の外線番号からの着信に対して複数の前記内線端末に着信させる制御を行い、(3)前記発番号可変仮想手段は、前記外線番号に記号及び又は数字を付加した仮想的な電話番号を生成し、(4)さらに、前記着信管理手段は、前記発着信履歴情報を参照し、複数の前記内線端末に着信させた前記外線番号からの着信に対して応答した情報が確認できなかった場合、前記発番号可変仮想手段を用いて生成した第1の仮想的な電話番号を用いて、複数の前記内線端末に電話発信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な手段で、複数同時着信された各端末の状況(誰かが応答したか、未応答の着信に対して誰かが折り返したか等)を相互に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る構内交換機の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る外線着信先管理データの一例を示す説明図である。
図3】実施形態に係る発着信履歴データの一例を示す説明図である。
図4】実施形態に係る構内交換機における同時着信(マルチリンギング)処理のイメージを示す説明図である。
図5】実施形態に係る構内交換機の特徴動作(着信方式がマルチリンギングの際の動作)を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る携帯端末(スマートフォン等)に表示する発着信履歴画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る構内交換機、構内交換プログラム、及び構内交換方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(A-1)実施形態の構成
(A-1-1)構内交換機1の詳細構成
図1は、実施形態に係る構内交換機の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、構内交換機1は、交換部10と、内線収容部20と、内線端末25(25-1~25-n)と、携帯収容部30と、携帯端末35(35-1~35-m)と、外線収容部40とを有する。
【0018】
構内交換機1は、すべてハードウェア的に構成(例えば、専用の半導体チップを用いて構成)するようにしても良いし、通信インタフェース以外の一部または全部についてソフトウェア的に構成するようにしても良い。
【0019】
なお、以下では、説明を簡易とするため、内線端末25-1~25-nを区別して説明する必要性が存在しない場合は、単に内線端末25と記載して説明する。携帯端末35(35-1~35-m)も同様とする。また、内線端末25と携帯端末35とをまとめて単に「内線端末」と呼ぶこともある。
【0020】
構内交換機1は、内線端末25-1~25-n及び携帯端末35-1~35-mを収容している。なお、携帯端末35-1~35-mは、内線端末25と同様に内線電話が利用可能であり、携帯網60を介して、構内交換機1に収容される。ここで、収容とは、接続、識別がなされることである。つまり、構内交換機1は、内線端末25-1~25-n及び携帯端末35-1~35-mの各々と接続し各々を識別している。また、構内交換機1は、公衆網50(外部の公衆加入者電話網)を収容している。なお、構内交換機1の収容における接続とは、所定の通信プロトコルに基づいて疎通することであって、識別とは、通信プロトコルに基づいて端末種別や回線種別を識別することである。以下、構内交換機1内の各構成の説明を行う。
【0021】
交換部10は、着信管理手段としての同時着信管理部11と、発番号可変仮想内線部12と、記憶部13とを有する。
【0022】
交換部10は、構内交換機1内の各部を統括的に制御することにより、外部の公衆網50と内線端末25又は携帯端末35との間の呼接続、及び内線端末25と、携帯端末35との間の呼接続、内線端末25相互間又は携帯端末35相互間の呼接続を制御するものである。
【0023】
同時着信管理部11は、接続要求があった呼について着信させる内線端末(着信先)を決定するものである。この実施形態では、同時着信管理部11は、後述する外線着信先管理データ14に基づいて、着信方式(個別着信、順次着信、マルチリンギング)及び着信先を決定する。また、同時着信管理部11は、外部からの着信(マルチリンギング方式)に対して誰も応答しなかった(不応答の)場合、発番号可変仮想内線部12を用いて、不応答の旨をマルチリンギング対象の各内線端末に通知する。そして、同時着信管理部11は、その後、誰かが折り返した場合には、発番号可変仮想内線部12を用いて、誰かが折り返した旨をマルチリンギング対象の各内線端末に通知する。
【0024】
発番号可変仮想内線部12は、マルチリンギング対象の各内線端末に通知する仮想的な電話番号を生成するものである。この実施形態では、マルチリンギング方式の外線に対して誰も応答しなかった旨は、「*」+「発信者情報(外線番号)」の仮想的な電話番号で表現される。また、マルチリンギング方式の外線に対して誰かが折り返した旨は、「♯」+「発信者情報(外線番号)」の仮想的な電話番号で表現される。上述の仮想的な電話番号が構内交換機1から各内線端末に発信(所謂ワン切り)されることにより、この仮想的な電話番号の着信履歴が各内線端末に残ることになる。そして、各内線端末を保持するユーザが、この仮想的な電話番号の着信履歴を確認することにより、外部から着信した呼の状況を把握できる。
【0025】
記憶部13は、構内交換機1が収容する内線電話機(内線端末25、携帯端末35)等に関するデータを記憶するものであり、後述する外線着信先管理データ14及び発着信履歴データ15を有する。
【0026】
内線収容部20は、複数の内線端末25-1~25-nを収容するものである。ここで、内線収容部20が収容する内線端末25は、一般的に使用される多機能電話機に限定されるものでは無く、例えば、音声の入出力機能を備える通信端末(専用のアプリケーションがインストールされるPC等)でも良い。
【0027】
携帯収容部30は、携帯網60を介して、複数の携帯端末35-1~35-mを収容するものである。ここで、携帯収容部30が収容する携帯端末35は、携帯キャリア提供のFMC端末に限らず、例えば、携帯網60にアクセス可能な音声の入出力機能を備える通信端末(専用のアプリケーションがインストールされたスマートフォン、従来型携帯端末、タブレット等)でも良い。
【0028】
外線収容部40は、外部の公衆網50との間の回線を収容するものである。
【0029】
(A-1-2)外線着信先管理データ14及び発着信履歴データ15の詳細構成
外線着信先管理データ14は、各外線番号に対して、どのような着信方式で、どの内線端末に着信させるかを管理するデータ(テーブル)である。図2は、実施形態に係る外線着信先管理データの一例を示す説明図である。
【0030】
外線着信先管理データ14は、公衆網50に接続される電話端末から着信する着信先の外線番号を示す「外線番号」と、着信した外線番号に対する着信方式を示す「着信方式」と、着信方式に基づき着信する内線番号を示す「着信先内線番号」との項目を備える。
【0031】
図2では、4つの外線番号(03-2222-2222~03-2222-2225)のデータ(実施形態の説明のためだけの架空の番号)が示されているが、外線着信先管理データ14で管理するデータ数は特に限定されるものでは無い。
【0032】
また、図2では、着信方式は、3種類(1台だけの内線端末に着信させる個別着信、複数台の内線端末に同時に着信させるマルチリンギング、複数台の内線端末を時間差を付けて順番に着信させる順次着信)だけ示されているが、これに限定されるものでは無い。なお、図2で示されている着信先内線番号(1000、1001、…、1303、1305)は、図1の内線端末25-1~25-n及び携帯端末35-1~35-mの各それぞれと1対1で対応する。
【0033】
例えば、同時着信管理部11は、公衆網50を介して、03-2222-2222の外線番号を着信先とする呼接続要求があった場合、外線着信先管理データ14を参照して、内線番号が「1000」、「1001」、「1002」、「1003」、「1010」、「1012」に該当する内線端末(内線端末25-1~25-n及び又は携帯端末35-1~35-m)に同時に着信させる制御を行う。
【0034】
図3は、実施形態に係る発着信履歴データの一例を示す説明図である。
【0035】
発着信履歴データ15は、呼の発信時刻を示す「発信時刻」と、呼の着信時刻を示す「着信時刻」と、通話を開始した時刻を示す「通話開始時刻」と、呼を切断した時刻を示す「切断時刻」と、発側(発信側)の電話番号(構内交換機1内で管理する電話番号(内線番号等))を示す「発側電話番号」と、着側(着信側)の電話番号(構内交換機1内で管理する電話番号(内線番号等))を示す「発側電話番号」と、相手側の発番号情報(公衆網50で用いる外線番号)を示す「相手発側電話番号」と、着信番号の情報(公衆網50で用いる外線番号)を示す「着信番号情報」と、各発着信履歴データを補足的に説明する「補足説明」との項目を有する。なお、補足説明の項目は、各発着信履歴データを分かりやすく説明するための項目であるので、省略しても良い。
【0036】
図3の発着信履歴データは、図4で示す同時着信(マルチリンギング)処理を行った発着信履歴データである。図4に示すように、図3の発着信履歴データは、外線番号が「03-1111-1111」(交換機内では900001)の相手側(発信側)の電話端末が、「03-2222-2222」に電話発信し、1000、1001等の内線番号の端末に同時着信し、1000(内線端末25-1)が応答した場合のログイメージを示している。
【0037】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る構内交換機1の動作(着信方式がマルチリンギングの際の動作)を、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(A-2-1)構内交換機1の特徴動作
図5は、実施形態に係る構内交換機の特徴動作(着信方式がマルチリンギングの際の動作)を示すフローチャートである。
【0039】
交換部10の同時着信管理部11は、公衆網50から着信(外部着信)があると(S101)、着信番号情報(外線番号)をキーとして、外線着信先管理データ14を検索し、ヒットした外線番号に対応する着信方式を確認する(S102)。
【0040】
同時着信管理部11は、着信方式がマルチリンギング以外の場合(又はヒットするデータが存在しない場合)には、一連の処理を終了する(従来通りの処理を行う)。一方、同時着信管理部11は、着信方式がマルチリンギングの場合には、次のステップS103の処理を行う。
【0041】
同時着信管理部11は、着信方式がマルチリンギングの場合、外線着信先管理データ14に従い、該当する内線端末に呼を着信させる処理を行う(S103)。
【0042】
同時着信管理部11は、上述のステップS103の処理で着信させた内線端末の何れかが応答したかを確認する(S104)。例えば、同時着信管理部11は、所定のタイミングで、発着信履歴データ15の該当する呼の通話開始時刻を確認し、着信させた内線端末の何れかの履歴データに通話開始時刻がある場合には、誰かが外線に応答していたと判定する。一方、着信させた内線端末の履歴データの何れにも通話開始時刻が存在しない場合には、誰も外線に応答していないと判定する。
【0043】
同時着信管理部11は、着信させた内線端末の何れかが応答したことが確認できた場合には、一連の処理を終了する。一方、同時着信管理部11により着信させた内線端末の何れかが応答したことが確認できなかった場合には、同時着信管理部11及び発番号可変仮想内線部12は、次のステップS105の処理を行う。
【0044】
同時着信管理部11は、上述のステップS104の処理で、着信させた内線端末の何れかが応答したことが確認できなかった場合には、上述のステップS103の処理で着信させた各内線端末に対して、発番号可変仮想内線部12を用いて生成した電話番号(「発信者番号(外線番号)」の先頭に「*」を付加した電話番号)を発番号として発信する(S105)。なお、ここでの発信は、呼接続要求を通知後に、即座に切断要求を行う所謂「ワン切り」と呼ばれる発信である。ワン切りを受けた各内線端末では、各端末の履歴に「*」と「発信者番号」を付加した発番号の着信履歴が表示されることになる。
【0045】
同時着信管理部11は、上述のステップS105の処理の後、所定期間内(例えば、上述のステップS101の着信があったその日の内)に、内線端末の何れかが未応答の外線番号からの着信に折り返しの電話発信をしたか否かを確認する(S106)。折り返しの電話発信をしたか否かの判断は、例えば、上述のステップS104と同様に、発着信履歴の通話開始時刻が存在するか否かで折り返しの電話発信をしたか否かを判断しても良い。
【0046】
同時着信管理部11は、内線端末の何れかが折り返した事が確認できた場合には、次のステップS107の処理を行う。ここで、同時着信管理部11は、所定時間内(例えば、その日の内)に折り返しが確認できなかった場合には、種々様々な処理を行っても良い。例えば、上述のステップS105の処理を再度行っても良い(この場合、2回目であることを強調するために、「*」を「発信者番号」の前に2個追加してワン切り発信しても良い)。また、同時着信管理部11は、所定時間内に折り返しが確認できなかった場合には一連の処理を終了しても良い。
【0047】
上述のステップS106の処理で、同時着信管理部11により折り返した事が確認できた場合には、同時着信管理部11及び発番号可変仮想内線部12は、次のステップS107の処理を行う。
【0048】
同時着信管理部11は、上述のステップS106の処理で、着信させた内線端末の何れかが折り返したことが確認できた場合には、上述のステップS103の処理で着信させた内線端末に対して、発番号可変仮想内線部12を用いて生成した電話番号(「発信者番号」の先頭に「♯」を付加した電話番号)を発番号としてワン切り発信する(S107)。
【0049】
(A-2-2)内線端末(携帯端末35)側の補足説明
上述のステップS101~S107の処理によって、内線端末の発着信履歴がどうのように変化するかについて以下説明を行う。
【0050】
図6は、実施形態に係る携帯端末(スマートフォン等)に表示する発着信履歴画面の一例を示す説明図である。図6において、発着信履歴画面200では、複数の発着信履歴データR(R1~R4)が示されている。各発着信履歴データRでは、「電話アイコン(発信マーク又は不在マーク)」と、「日付」と、「電話番号」が示されている。なお、各発着信履歴データRに示す内容は、上記に限定されず、種々様々な内容を追加しても良い。
【0051】
上述のステップS103の処理の後、携帯端末35が、「03-1234-5678」からの外線着信(マルチリンギング)に応答しなかった場合、発着信履歴画面200には発着信履歴データR1が表示される。
【0052】
続けて、上述のステップS104の処理で誰も応答しなかったと判定された場合、上述のステップS105の処理が実行される(「*03-1234-5678」のワン切り)。発着信履歴データR2では、ワン切りされた「*03-1234-5678」からの着信履歴が示さている。
【0053】
携帯端末35を保持するユーザは、発着信履歴データR2を確認することにより、誰も応答していないことを確認できる。そして、ユーザが「03-1234-5678」に折り返すと、発着信履歴データR3が生成される。そして、上述のステップS106の処理で折り返した事が確認されるので、上述のステップS107の処理が実行される(「♯03-1234-5678」のワン切り)。発着信履歴データR4では、ワン切りされた「♯03-1234-5678」からの履歴が示さている。図6の例では、自身が折り返したので、発着信履歴データR4の履歴を見るまでも無いが、他のユーザにして見れば、この発着信履歴データR4の履歴を見ることにより誰かが折り返した事を確認できることになる。
【0054】
(A-3)実施形態の効果
本発明によれば以下の効果を奏する。
【0055】
構内交換機1が誰も応答しなかった外線着信(マルチリンギング)について、外線番号の先頭に*を付加したワン切り発信を対象の内線端末に行い、さらに、誰も応答しなかった外線着信に対して誰かが折り返しの電話発信をした場合、外線番号の先頭に♯を付加したワン切り発信を行うようにした。即ち、各内線端末の履歴にワン切りした履歴が残るようにした。そして、この履歴を各内線端末のユーザが参照することにより、誰かが応答、若しくは折り返した着信か、又は誰も応答していない着信かが一目で分かり、発信者に迷惑をかけることなく、また安心して電話対応が可能になるという効果が得られる。
【0056】
また、上記ワン切り発信による履歴は、スマートフォンや従来型携帯端末に標準搭載され電話アプリの機能をそのまま利用できるので、内線端末に関しては、電話アプリをアップデートする必要は無い。即ち、他社の携帯電話(FMC機能含む)を利用する場合でも、そのまま有効的に利用できる機能と言える。
【0057】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0058】
(B-1)上述した実施形態では、ステップS102の判定で着信方式がマルチリンギングの場合のみ、ステップS103以下の処理を行うようにしたが、複数台の内線端末を着信させる着信方式(例えば、順次着信)については、マルチリンギングと同様にステップS103以下の処理を行うようにしても良い。
【0059】
(B-2)上述した実施形態では、マルチリンギング方式の外線に対して誰も応答しなかった旨は、「*」+「発信者情報(外線番号)」の仮想的な電話番号で表現され、マルチリンギング方式の外線に対して誰かが折り返した旨は、「♯」+「発信者情報(外線番号)」の仮想的な電話番号で表現されていたが、表現方法はこれに限定されるものでは無い。例えば、「*」と「♯」を発信者情報の後ろに付加しても良いし、発信者情報の前後に「*」又は「♯」をそれぞれ付加しても良い。何れにしても電話番号で使用できる「数字」及び「記号」であれば、何れを組み合わせて使用しても良い。
【0060】
(B-3)上述した実施形態では、ステップS107の処理で、マルチリンギング対象の全ての内線端末に対して、誰かが折り返した旨を通知していたが、変形例として折り返した内線端末を除外しても良い(折り返した内線端末を保持するユーザは、自身が折り返したことを知っているため)。
【0061】
(B-4)また、上述のステップS107の処理の変形例として、折り返した内線端末の情報を付加した通知を行っても良い。この内容は、例えば、「♯」+「発信者情報(外線番号)」+「♯」+「折り返した内線端末の内線番号」の仮想的な電話番号で表現できる。この際、電話番号の上限桁数に引っ掛る場合には、「折り返した内線端末の内線番号」等の情報は、含められるだけ含めても良いし、全て含まないようにしても良い。また、表現方法は、上記例に限定されるものでも無い。
【0062】
(B-5)上述した実施形態では、同時着信管理部11、発番号可変仮想内線部12、外線着信先管理データ14、及び発着信履歴データ15を構内交換機1内に実装する例を示したが、変形例として、これらの構成及び機能の全部又は一部を外部装置に実装しても良い。
【符号の説明】
【0063】
1…構内交換機、10…交換部、11…同時着信管理部、12…発番号可変仮想内線部、13…記憶部、14…外線着信先管理データ、15…発着信履歴データ、20…内線収容部、25(25-1~25-n)…内線端末、30…携帯収容部、35(35-1~35-m)…携帯端末、40…外線収容部、50…公衆網、60…携帯網、200…発着信履歴画面、R(R1~R4)…発着信履歴データ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6