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特開2023-114568画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114568
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230810BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016952
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村角 周樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕生
(72)【発明者】
【氏名】三澤 雅史
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴
(72)【発明者】
【氏名】三野 敦
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL14
5L096BA04
5L096EA03
5L096FA18
5L096FA69
5L096FA70
5L096GA51
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】画像認識による信号機の検知精度を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る画像処理装置は、車両に搭載される画像処理装置であって、制御部を有する。制御部は、カメラ画像に対する画像認識によって信号機として検知された矩形領域の縦横比に基づいて、当該矩形領域が少なくとも三灯式の上記信号機の検知領域であるか否かを判定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される画像処理装置であって、制御部を有し、
前記制御部は、
カメラ画像に対する画像認識によって信号機として検知された矩形領域の縦横比に基づいて、当該矩形領域が少なくとも三灯式の前記信号機の検知領域であるか否かを判定する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記矩形領域の縦横比の値が予め決められた範囲内の値である場合に、当該矩形領域が前記信号機の検知領域であると判定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記矩形領域の縦横比の値が1.0の近似値ではない場合に、当該矩形領域が前記信号機の検知領域であると判定する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記矩形領域の縦横比の値が1.0の近似値である場合に、当該矩形領域が前記信号機の検知領域ではないと判定する、
請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記矩形領域を予め決められた比率で拡張する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記矩形領域において抽出される決まった形状の特徴量が閾値を満たさない場合に、前記矩形領域を拡張する、
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記画像認識によって検知される前記矩形領域における発光領域の位置に基づいて、前記矩形領域を位置補正または拡張する、
請求項5または6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記信号機の種別ごとに個別に決められた前記比率で、前記画像認識によって検知された前記種別に応じて前記矩形領域を拡張する、
請求項5、6または7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
車両に搭載される画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
カメラ画像に対する画像認識によって信号機として検知された矩形領域の縦横比に基づいて、当該矩形領域が少なくとも三灯式の前記信号機の検知領域であるか否かを判定すること、
を含む、画像処理方法。
【請求項10】
カメラ画像に対する画像認識によって信号機として検知された矩形領域の縦横比に基づいて、当該矩形領域が少なくとも三灯式の前記信号機の検知領域であるか否かを判定すること、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば光ビーコンによる受信情報やカメラの撮像画像から検知される信号機の青や、黄、赤などの発光状態と、ブレーキなどの車両の操作状況とに基づいて、自車両が信号無視をしたか否かを判定する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
こうした技術において、カメラの撮像画像を用いて信号機の発光状態を判定する場合、画像中の信号機そのものを検知することが必要となる。かかる場合、たとえば深層学習等の機械学習のアルゴリズムを用いて、検知対象となる信号機をバウンディングボックスと呼ばれる矩形領域として抽出する画像認識手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-069051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、画像認識による信号機の検知精度を向上させるうえで、さらなる改善の余地がある。
【0006】
たとえば、上述した画像認識手法を用いた場合、信号機そのものは検知できているものの、推定される信号機の位置、すなわち矩形領域の抽出位置にズレが生じてしまうことがある。また、標識などの信号機以外の物体を信号機として誤検知してしまうこともある。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、画像認識による信号機の検知精度を向上させることができる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る画像処理装置は、車両に搭載される画像処理装置であって、制御部を有する。前記制御部は、カメラ画像に対する画像認識によって信号機として検知された矩形領域の縦横比に基づいて、当該矩形領域が少なくとも三灯式の前記信号機の検知領域であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、画像認識による信号機の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その1)である。
図2図2は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その2)である。
図3図3は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その3)である。
図4図4は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その4)である。
図5図5は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その5)である。
図6図6は、実施形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態に係る画像認識AIの説明図である。
図8図8は、補正処理の補足説明図(その1)である。
図9図9は、補正処理の補足説明図(その2)である。
図10図10は、実施形態に係る画像処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
また、以下では、実施形態に係る画像処理装置10が、車両に搭載される車載装置であるものとする。画像処理装置10は、たとえば信号無視判定装置やドライブレコーダ等、車両に搭載されたカメラ3の撮像画像に基づいて、画像中の対象物を検知可能な装置である。本実施形態では、かかる対象物が、少なくとも信号機300であるものとする。
【0013】
まず、実施形態に係る画像処理方法の概要について、図1図5を用いて説明する。図1は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その1)である。また、図2は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その2)である。また、図3は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その3)である。また、図4は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その4)である。また、図5は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その5)である。
【0014】
既に述べた通り、カメラ3の撮像画像を用いて信号機300の発光状態を判定する場合、画像中の信号機300そのものを検知することが必要となる。かかる場合、たとえば深層学習等の機械学習のアルゴリズムを用いて、検知対象となる信号機300をバウンディングボックスと呼ばれる矩形領域として抽出する。
【0015】
ただし、かかる画像認識手法を用いた場合、(1)信号機300そのものは検知できているものの、推定される信号機300の位置、すなわち矩形領域BBの抽出位置にズレが生じてしまうことがある。また、(2)標識などの信号機300以外の物体を信号機300として誤検知してしまうこともある。
【0016】
図1の左図には、信号機300の検知領域である矩形領域BB1にズレがない場合を、同図の中央図および右図には、矩形領域BB2,BB3にズレがある場合を、それぞれ示している。また、図2には、標識500を信号機300の矩形領域BB4として誤検知した場合を示している。こうした事象は、機械学習のアルゴリズムを用いて学習されたDNN(Deep Neural Network)モデル等による画像認識が、未知の画像中の対象物を、当該対象物が何であるかを示す確からしさ(確度)に基づいて検知することなどに起因する。
【0017】
そこで、実施形態に係る画像処理方法では、画像処理装置10の制御部12(図6参照)が、カメラ画像に対する画像認識によって信号機300として検知された矩形領域BBの縦横比に基づいて、当該矩形領域BBが少なくとも三灯式の信号機300の検知領域であるか否かを判定することとした。また、制御部12がさらに、矩形領域BBを予め決められた比率で拡張することとした。また、制御部12がさらに、上記画像認識によって検知される矩形領域BBにおける発光領域の位置に基づいて、矩形領域BBを位置補正または拡張することとした。
【0018】
具体的には、図3に示すように、制御部12は、信号機300として抽出された矩形領域BBの縦横比に基づいて、当該矩形領域BBが少なくとも三灯式の信号機300の検知領域であるか否かを判定する。同図に示すように、制御部12は、「縦横比の値≠1.0」である場合に、信号機300の検知領域であると判定する。信号機300は三灯式である場合、横型または縦型に関わらず、長辺と短辺の長さに必ず差が生じることから、矩形領域BBの縦横比の値は1.0にならないためである。「縦横比の値≠1.0」は、縦横比の値が1.0の近似値ではないと言い換えてもよい。
【0019】
一方、制御部12は、矩形領域BBの「縦横比の値≒1.0」である場合に、信号機300の検知領域ではないと判定し、当該矩形領域BBを誤検知であるとして、信号機300に関する画像処理対象から除外する。これにより、上記(2)の問題を解消することができる。なお、「縦横比の値≒1.0」は、縦横比の値が1.0の近似値であると言い換えてもよい。
【0020】
また、制御部12は、矩形領域BBの位置ズレを空間的に補正する。図4に示すように、制御部12は、信号機300として抽出された矩形領域BBを予め決められた比率で拡張することで、矩形領域BBの位置ズレを空間的に補正する。
【0021】
信号機300の矩形領域BBは、同図の左図に示すように、必ずしも信号機300全体を取り囲んで抽出されるとは限らない。そこで、同図の右図に示すように、矩形領域BBを予め決められた比率で拡張することで、位置ズレが生じている場合でも、信号機300全体を取り囲むように矩形領域BBを補正することができる。これにより、上記(1)の問題を解消することができる。
【0022】
なお、制御部12は、矩形領域BBを一律に拡張してもよいし、決められた条件を満たす場合に、矩形領域BBを拡張してもよい。決められた条件を満たす場合とは、一例として、矩形領域BBにおいて抽出される決まった形状、たとえば円形が3つという特徴の特徴量が予め決められた閾値に満たない場合などである。かかる場合、円形が3つという信号機300の発光部の特徴量が不足していることから、矩形領域BBに位置ズレが生じていることが推測される。
【0023】
また、上述したDNNモデル等の学習モデルは、信号機300の青発光や、黄発光、赤発光といった各発光状態を示す画像を予め学習することで、信号機300の発光状態を検知することが可能である。そして、制御部12は、かかる発光状態に基づいて矩形領域BBの位置ズレを空間的に補正することができる。
【0024】
図5に示すように、制御部12は、たとえば信号機300の青発光を矩形領域BBの中央付近で検知した場合、矩形領域BBが左側にズレていると推測できることから、かかる矩形領域BBを右側へ位置補正(図中の矩形領域BB1参照)または拡張(図中の矩形領域BB2参照)する。これにより、位置ズレが生じている場合でも、図4に示したのと同様に、信号機300全体を取り囲むように矩形領域BBを補正することができ、上記(1)の問題を解消することができる。
【0025】
上述したように、実施形態に係る画像処理方法は、車両に搭載される画像処理装置10が実行する画像処理方法であって、カメラ画像に対する画像認識によって信号機300として検知された矩形領域BBの縦横比に基づいて、当該矩形領域BBが少なくとも三灯式の信号機300の検知領域であるか否かを判定することを含む。また、実施形態に係る画像処理方法は、矩形領域BBを予め決められた比率で拡張することをさらに含む。また、実施形態に係る画像処理方法は、上記画像認識によって検知される矩形領域BBにおける発光領域の位置に基づいて、矩形領域BBを位置補正または拡張することをさらに含む。
【0026】
したがって、実施形態に係る画像処理方法によれば、画像認識による信号機300の検知精度を向上させることができる。
【0027】
以下、上述した実施形態に係る画像処理方法を適用した画像処理装置10の構成例について、より具体的に説明する。
【0028】
図6は、実施形態に係る画像処理装置10の構成例を示すブロック図である。なお、図6では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0029】
換言すれば、図6に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0030】
また、図6を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。
【0031】
図6に示すように、画像処理装置10は、記憶部11と、制御部12とを備える。また、画像処理装置10は、カメラ3と、出力部5とが接続される。
【0032】
カメラ3は、車両に搭載され、車両の前方を撮像可能に設けられる。なお、カメラ3は、たとえば車両の全周囲を撮像可能な360度カメラであってもよい。
【0033】
出力部5は、データを出力するための出力デバイスである。出力部5は、たとえば、ディスプレイやスピーカ等によって実現される。なお、出力部5は、画像処理装置10が出力するデータに基づく情報処理を実行する外部装置であってもよい。
【0034】
カメラ3および出力部5は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して画像処理装置10と接続される。なお、カメラ3および出力部5は、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等を介して無線により画像処理装置10と接続されてもよい。
【0035】
画像処理装置10は、車両に搭載されるコンピュータであり、上述したように、たとえば信号無視判定装置である。画像処理装置10は、少なくとも、図3図5を用いて説明した画像処理を実行する。
【0036】
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の記憶デバイスによって実現され、図6の例では、画像認識AI11aと、処理パラメータ情報11bとを記憶する。
【0037】
画像認識AI11aは、画像認識用のAI(Artificial Intelligence)モデルである。具体的には、画像認識AI11aは、機械学習のアルゴリズムを用いて学習されたDNNモデル等である。画像認識AI11aは、後述する画像認識部12aにDNNモデルとして読み込まれた後、画像認識部12aにカメラ3の撮像画像が入力された場合に、かかる画像に含まれる各種の物体を検知可能に設けられる。また、画像認識AI11aはさらに、物体として信号機300が検知された場合に、かかる信号機300の発光状態を検知可能に設けられる。
【0038】
ここで、図7は、実施形態に係る画像認識AI11aの説明図である。図7に示すように、画像認識AI11aは、図示略のGPU(Graphics Processing Unit)やAIプラットフォームを含む学習装置700において、三灯式の通常の信号機、各種の矢印式信号機、予告信号機といった多様な信号機300の画像を学習データとして、これら信号機300を検知可能に予め学習される。
【0039】
そして、画像認識AI11aは、画像処理装置10において前述の画像認識部12aにDNNモデルとして読み込まれた後、画像認識部12aにカメラ3の撮像画像が入力された場合には、かかる撮像画像中における信号機300およびその発光状態を検知する。
【0040】
図6の説明に戻る。処理パラメータ情報11bは、後述する除外部12b、補正部12c、判定部12dが実行する各処理において用いられる各種のパラメータに関する情報であり、各種の閾値や前述の矩形領域BBを拡張する比率等を含む。
【0041】
制御部12は、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部11に記憶されている実施形態に係るプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0042】
制御部12は、画像認識部12aと、除外部12bと、補正部12cと、判定部12dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0043】
画像認識部12aは、カメラ3によって撮像された撮像画像を取得し、かかる撮像画像を読み込んだ画像認識AI11aへ入力する。また、画像認識部12aは、撮像画像を入力した結果、画像認識AI11aから出力される画像認識結果を取得し、取得した画像認識結果を除外部12bへ出力する。画像認識結果は、信号機300として抽出された矩形領域BBを含む。なお、カメラ3は、動画像を撮像する。これに応じ、画像認識部12aは、動画像の各フレームから矩形領域BBを抽出する。
【0044】
除外部12bは、図3を用いて説明した除外処理を実行する。すなわち、除外部12bは、信号機300として抽出された矩形領域BBの縦横比に基づいて、当該矩形領域BBが信号機300の検知領域であるか否かを判定する。除外部12bは、縦横比の値≠1.0である場合に、信号機300の検知領域であると判定する。また、除外部12bは、縦横比の値≒1.0である場合に、信号機300の検知領域ではないと判定し、当該矩形領域BBを誤検知であるとして、信号機300に関する画像処理対象から除外する。
【0045】
補正部12cは、図4および図5を用いて説明した補正処理を実行する。すなわち、補正部12cは、矩形領域BBの位置ズレを空間的に補正する。このとき、補正部12cは、信号機300として抽出された矩形領域BBを予め決められた比率で拡張することで、矩形領域BBの位置ズレを空間的に補正する。
【0046】
また、補正部12cはさらに、画像認識部12aによって検知された信号機300の発光状態に基づいて矩形領域BBの位置ズレを空間的に補正する。かかる場合、補正部12cは、矩形領域BBにおける信号機300の発光領域の位置に基づいて、矩形領域BBを位置補正または拡張する。
【0047】
ここで、図8は、補正処理の補足説明図(その1)である。また、図9は、補正処理の補足説明図(その2)である。前述の矩形領域BBを拡張する比率は、三灯式の通常の信号機、矢印式信号機、予告信号機といった信号機300の種別ごとに個別に決められていてよい。
【0048】
これにより、矢印式信号機については、図8に示すように、矢印部までも含めた信号機300全体を取り囲むように矩形領域BBを補正することができる。また、予告信号機については、図9に示すように、「予告信号」との表記部までも含めた信号機300全体を取り囲むように矩形領域BBを補正することができる。
【0049】
図6の説明に戻る。判定部12dは、画像認識部12aの画像認識結果、除外部12bの除外結果および補正部12cの補正結果に基づいて、車両が信号無視をしたか否かを判定する。
【0050】
判定部12dは、たとえば画像認識された各物体の軌跡に基づいて車両の挙動を推定する。また、判定部12dは、画像認識され、矩形領域BBが除外および補正された信号機300に基づいて、車両に対する相対的な信号機300の軌跡を推定する。
【0051】
また、判定部12dは、画像認識部12aによって検知された信号機300の発光状態を取得する。また、判定部12dは、推定された車両の挙動、信号機300の軌跡、および、信号機300の発光状態に基づいて、車両が信号無視をしたか否かを判定する。
【0052】
たとえば、判定部12dは、車両の進行方向における通行の優先権の有無を提示する信号機300が赤信号であるにも関わらず、車両が予め定められた時間以上および速度以上で通行を続けた場合、車両が信号無視をしたと判定する。また、判定部12dは、判定した判定結果を出力部5へ出力する。
【0053】
なお、画像処理装置10がドライブレコーダの機能の一部を構成する場合、判定部12dは、車両が信号無視をしたとの判定結果をイベントとして通知し、ドライブレコーダにイベント録画を行わせてもよい。
【0054】
次に、実施形態に係る画像処理装置10が実行する処理手順について、図10を用いて説明する。図10は、実施形態に係る画像処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図10に示す処理手順は、たとえば車両が起動中の間、繰り返される。
【0055】
図10に示すように、画像処理装置10の制御部12は、カメラ3からカメラ画像を取得する(ステップS101)。そして、制御部12は、取得したカメラ画像を画像認識する(ステップS102)。
【0056】
そして、制御部12は、画像認識の結果、信号機300として検知された矩形領域BBがあるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、該当する矩形領域BBがない場合(ステップS103,No)、処理を終了する。
【0057】
該当する矩形領域BBがある場合(ステップS103,Yes)、制御部12は、該当の矩形領域BBの縦横比の値≠1.0であるか否かを判定する(ステップS104)。ここで、縦横比の値≠1.0である場合(ステップS104,Yes)、制御部12は、該当の矩形領域BBを予め決められた比率で拡張する(ステップS105)。
【0058】
そして、制御部12は、該当の矩形領域BBにおける発光領域の位置に基づいて矩形領域BBを位置補正または拡張する(ステップS106)。そして、制御部12は、信号機300として検知された矩形領域BBがさらにあるか否かを判定する(ステップS107)。
【0059】
矩形領域BBがさらにある場合(ステップS107,Yes)、制御部12は、ステップS104からの処理を繰り返す。矩形領域BBがさらにない場合(ステップS107,No)、処理を終了する。
【0060】
また、ステップS104で矩形領域BBの縦横比の値≠1.0でない場合(ステップS104,No)、制御部12は、該当の矩形領域BBを除外し(ステップS108)、ステップS107へ遷移する。
【0061】
上述してきたように、実施形態に係る画像処理装置10は、車両に搭載される画像処理装置であって、制御部12を有する。制御部12は、カメラ画像に対する画像認識によって信号機300として検知された矩形領域BBの縦横比に基づいて、当該矩形領域BBが少なくとも三灯式の信号機300の検知領域であるか否かを判定する。
【0062】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、画像認識による信号機300の検知精度を向上させることができる。
【0063】
また、制御部12は、矩形領域BBの縦横比の値が予め決められた範囲内の値である場合に、当該矩形領域BBが信号機300の検知領域であると判定する。
【0064】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、信号機300として検知された矩形領域BBの縦横比の値が予め決められた範囲内の値であれば、信号機300の検知領域であると判定することで、画像認識による信号機300の検知精度を向上させることができる。
【0065】
また、制御部12は、矩形領域BBの縦横比の値が1.0の近似値ではない場合に、当該矩形領域BBが信号機300の検知領域であると判定する。
【0066】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、少なくとも三灯式の通常の信号機300の検知領域を誤りなく検知領域であると判定することで、画像認識による信号機300の検知精度を向上させることができる。
【0067】
また、制御部12は、矩形領域BBの縦横比の値が1.0の近似値である場合に、当該矩形領域BBが信号機300の検知領域ではないと判定する。
【0068】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、標識500等を信号機300として誤判定してしまうことを防ぐことができる。
【0069】
また、制御部12は、矩形領域BBを予め決められた比率で拡張する。
【0070】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、矩形領域BBの位置ズレを補正することができる。
【0071】
また、制御部12は、矩形領域BBにおいて抽出される決まった形状の特徴量が閾値を満たさない場合に、矩形領域BBを拡張する。
【0072】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、たとえば円形が3つという信号機300の発光部の特徴量の不足により、矩形領域BBに位置ズレが生じていることが推測される場合に、矩形領域BBを拡張することができる。
【0073】
また、制御部12は、上記画像認識によって検知される矩形領域BBにおける発光領域の位置に基づいて、矩形領域BBを位置補正または拡張する。
【0074】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、位置ズレが生じている場合でも、矩形領域BBにおける発光領域の位置に基づいて、信号機300全体を取り囲むように矩形領域BBを補正することができる。
【0075】
また、制御部12は、信号機300の種別ごとに個別に決められた上記比率で、上記画像認識によって検知された上記種別に応じて矩形領域BBを拡張する。
【0076】
したがって、実施形態に係る画像処理装置10によれば、たとえば矢印式信号機については、図8に示したように、矢印部までも含めた信号機300全体を取り囲むように矩形領域BBを補正することができる。また、予告信号機については、図9に示したように、「予告信号」との表記部までも含めた信号機300全体を取り囲むように矩形領域BBを補正することができる。
【0077】
また、実施形態に係る画像処理方法は、車両に搭載される画像処理装置10が実行する画像処理方法であって、カメラ画像に対する画像認識によって信号機300として検知された矩形領域BBの縦横比に基づいて、当該矩形領域BBが少なくとも三灯式の信号機300の検知領域であるか否かを判定することを含む。
【0078】
したがって、実施形態に係る画像処理方法によれば、画像認識による信号機300の検知精度を向上させることができる。
【0079】
また、実施形態に係るプログラムは、カメラ画像に対する画像認識によって信号機300として検知された矩形領域BBの縦横比に基づいて、当該矩形領域BBが少なくとも三灯式の信号機300の検知領域であるか否かを判定することを画像処理装置10(「コンピュータ」の一例に相当)に実行させる。
【0080】
したがって、実施形態に係るプログラムによれば、画像認識による信号機300の検知精度を向上させることができる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、画像認識に基づいて信号機300の発光状態および信号無視を判定することとしたが、無論、車両に搭載された各種センサのセンサデータを適宜組み合わせてもよい。たとえば、車両の挙動は、ステアリングセンサや加速度センサのセンサ値を利用して推定してもよいし、自車速度は、速度センサのセンサ値を利用して取得してもよい。
【0082】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
3 カメラ
5 出力部
10 画像処理装置
11 記憶部
11a 画像認識AI
11b 処理パラメータ情報
12 制御部
12a 画像認識部
12b 除外部
12c 補正部
12d 判定部
BB 検知領域
図1
図2
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図10