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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114572
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20230810BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/01 305
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016961
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】川口 真一
(72)【発明者】
【氏名】横田 洋志
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB12
2C056EB36
2C056EB46
2C056EC24
2C056EC37
2C056EC54
2C056FA13
2C056HA29
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】 搬送ベルトに形成されたフラッシング開口部を介してフラッシングを行う場合において搬送ベルトが主走査方向に変位しても、フラッシングが適切に実行されるようにする。
【解決手段】 搬送ベルト2は、複数のフラッシング開口部31および検知孔32を備え、複数のフラッシング開口部31は、少なくとも2列で主走査方向に沿って配列されている。そして、吐出タイミング制御部は、(a)ベルトセンサー29で主走査方向における検知孔32の位置を検出し、(b)主走査方向における検知孔32の位置に基づいて、ノズルに対応するフラッシング開口部31を特定し、(c)当該フラッシング開口部31に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジンに実行させる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントシートを搬送する搬送ベルトと、
主走査方向に配列された複数のノズルを備え、前記ノズルから前記プリントシートにインクを吐出するプリントエンジンと、
前記プリントエンジンのインク吐出タイミングを制御する吐出タイミング制御部とを備え、
前記搬送ベルトは、複数のフラッシング開口部および検知孔を備え、
前記複数のフラッシング開口部は、少なくとも2列で主走査方向に沿って配列されており、
前記吐出タイミング制御部は、(a)センサーで主走査方向における前記検知孔の位置を検出し、(b)主走査方向における前記検知孔の位置に基づいて、前記ノズルに対応する前記フラッシング開口部を特定し、(c)当該フラッシング開口部に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングを前記プリントエンジンに実行させること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吐出タイミング制御部は、(a)主走査方向における前記検知孔の位置と前記検知孔から前記フラッシング開口部までの距離と前記ノズルの位置とに基づいて、前記ノズルに対応する前記フラッシング開口部を特定し、(b)前記検知孔の検出タイミングと搬送方向における前記検知孔から特定した前記フラッシング開口部までの距離と前記搬送ベルトの線速とに基づいて当該ノズルのフラッシングのための吐出タイミングを特定し、(c)特定した前記吐出タイミングで、当該ノズルのフラッシングを前記プリントエンジンに実行させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吐出タイミング制御部は、(a)前記センサーで前記検知孔のサイズを検出し、(b1)検出した前記サイズが所定基準値に一致する場合には、当該フラッシング開口部に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングを前記プリントエンジンに実行させ、
(b2)検出した前記サイズが所定基準値に一致しない場合には、当該ノズルのフラッシングを前記プリントエンジンに実行させないこと、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記サイズは、主走査方向における前記検知孔の幅または搬送方向における前記検知孔の長さであることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吐出タイミング制御部は、前記検知孔の位置を検出したタイミングから、前記検知孔の配置周期に対応する検出周期の後のタイミングに対して設定された検出範囲が到来するまで、前記検知孔の検出を試みずに、前記検出範囲において前記検知孔の検出を試みることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターなどのインクジェット記録装置において、乾燥によるインクの増粘により記録ヘッドのノズルが詰まることがある。そのため、増粘したインクを吐出して捨てるフラッシングが行われる。ある画像形成装置では、記録ヘッドにおける単位記録ヘッドの大きさに対応する孔部が搬送ベルトに設けられており、孔部を介してインクが吐出され、フラッシングが行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-96116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送ベルトの周回動作の際に搬送ベルトは主走査方向(搬送方向とは垂直方向であって搬送ベルトの幅方向)において変位することがある。搬送ベルトが主走査方向において変位している場合、フラッシングによって吐出されたインクが上述の孔部を介して正確に下方へ破棄されずに搬送ベルトに当たり、搬送ベルトが汚れる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、搬送ベルトに形成されたフラッシング開口部を介してフラッシングを行う場合において搬送ベルトが主走査方向に変位しても、フラッシングを適切に実行する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、プリントシートを搬送する搬送ベルトと、主走査方向に配列された複数のノズルを備え、前記ノズルから前記プリントシートにインクを吐出するプリントエンジンと、前記プリントエンジンのインク吐出タイミングを制御する吐出タイミング制御部とを備える。前記搬送ベルトは、複数のフラッシング開口部および検知孔を備え、前記複数のフラッシング開口部は、少なくとも2列で主走査方向に沿って配列されている。そして、前記吐出タイミング制御部は、(a)センサーで主走査方向における前記検知孔の位置を検出し、(b)主走査方向における前記検知孔の位置に基づいて、前記ノズルに対応する前記フラッシング開口部を特定し、(c)当該フラッシング開口部に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングを前記プリントエンジンに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送ベルトに形成されたフラッシング開口部を介してフラッシングを行う場合において搬送ベルトが主走査方向に変位しても、フラッシングを適切に実行する画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を説明する側面図である。
図2図2は、図1に示す画像形成装置の平面図である。
図3図3は、図1における搬送ベルト2の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図5図5は、各ノズルに対応するフラッシング開口部31の特定について説明する図である(1/2)。
図6図6は、各ノズルに対応するフラッシング開口部31の特定について説明する図である(2/2)。
図7図7は、実施の形態2における、主走査方向での検知孔の幅に基づくフラッシングの可否の決定について説明する図である。
図8図8は、実施の形態2における、搬送方向での検知孔の長さに基づくフラッシングの可否の決定について説明する図である。
図9図9は、実施の形態3における検知孔の検出範囲について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
実施の形態1.
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を説明する側面図である。図2は、図1に示す画像形成装置の平面図である。
【0013】
この実施の形態に係る画像形成装置10は、プリンター、コピー機、ファクシミリ機、複合機などといった装置であり、この実施の形態ではラインヘッド型のインクジェット方式のカラープリント機構を備える。
【0014】
図1に示す画像形成装置10は、プリントエンジン10aと、シート搬送部10bとを備える。プリントエンジン10aは、プリントすべき画像をプリントシート(プリント用紙など)上に物理的にプリントする。プリントエンジン10aにはインクカートリッジが着脱可能であり、プリントエンジン10aは、インクカートリッジから供給されるインクを使用してプリントを行う。また、シート搬送部10bは、プリントシートをプリントエンジン10aに搬送する。
【0015】
この実施の形態では、プリントエンジン10aは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックという4つのインク色に対応するラインヘッド型のインクジェット記録部1a~1dを備え、インクジェット記録部1a~1dで、プリントシートにインクを吐出する。
【0016】
図2に示すように、この実施の形態では、各インクジェット記録部1a,1b,1c,1dは、1または複数(ここでは3個)のヘッド部11を有する。それらのヘッド部11は、主走査方向に沿って配列されており、装置本体に対して着脱可能になっている。ヘッド部11(つまり、各インクジェット記録部1a,1b,1c,1d)は、主走査方向に配列された複数のノズルを備え、ノズルからプリントシートにインクを吐出する。
【0017】
また、この実施の形態では、シート搬送部10bは、プリントエンジン10aに対向して配置されプリントシートを搬送する環状の搬送ベルト2と、搬送ベルト2を懸架される駆動ローラー3、従動ローラー4、およびテンションローラー4aと、搬送ベルト2ととともにプリントシートをニップする吸着ローラー5と、後段搬送ベルト6と、乾燥器7とを備える。
【0018】
駆動ローラー3、従動ローラー4およびテンションローラー4aは、搬送ベルト2を周回させる。そして、後述の給紙カセット20から搬送されてきたプリントシートを吸着ローラー5がニップし、ニップされたプリントシート101は、搬送ベルト2によってインクジェット記録部1a~1dのプリント位置へ順番に搬送されていき、インクジェット記録部1a~1dによりそれぞれの色の画像をプリントされる。その際、シートセンサー2aでプリントシートの通過が検出され、その検出タイミングに基づいて搬送路上でのプリントシートの現在位置が特定され、これにより、プリントシート上の適切な位置に画像がプリントされる。そして、プリント完了後のプリントシートが後段搬送ベルト6によって排出トレイ10cなどに排出される。その際、乾燥器7によって、インクを吐出されたプリントシートの乾燥が行われる。
【0019】
図3は、図1における搬送ベルト2の一例を示す図である。搬送ベルト2は、複数のフラッシング開口部31を備えている。例えば図3に示すように、搬送ベルト2において複数のフラッシング開口部31が形成されており、フラッシング開口部31は、主走査方向に沿って少なくとも2列(図3では2列)で形成されている。つまり、搬送方向において、互いに異なる位置に配置されたフラッシング開口部31がある。また、複数のフラッシング開口部31は、主走査方向における、インクジェット記録部1a~1dにおいて配列された複数のノズルの範囲の全域をカバーするように(つまり、抜け部分のないように)配置されている。
【0020】
なお、フラッシング開口部31以外の領域には、シート吸引孔が所定密度で略均一に配列されている。
【0021】
例えば図1に示すように、インクジェット記録部1a~1dのヘッド部11の下方にはインク受け部8a~8dが設けられている。各インクジェット記録部1a,1b,1c,1dにおける各ノズルについてのフラッシング(例えば、ラインフラッシング)は、いずれかのフラッシング開口部31がインクジェット記録部1a,1b,1c,1dのヘッド部11の直下に位置するときに実行され、フラッシング時にノズルから吐出されるインクは、フラッシング開口部31を介して、対応するインク受け部8a,8b,8c,8dに受け止められ、廃インクタンクへ回収される。
【0022】
また、シート吸引部9は、シートの搬送路に沿って、インク受け部8a~8d以外の部分に配列されている。シート吸引部9には負圧が与えられ、これにより、プリントシートがシート吸引孔を介して搬送ベルト2に吸着する。なお、インク受け部8a~8dには、シート吸引部9より低い負圧が与えられている。
【0023】
さらに、シート搬送部10bは、給紙元としての給紙カセット20を備えている。給紙カセット20は、プリントシート101を収容しており、リフト板21でプリントシート101を上方に押し上げてピックアップローラー22に当接させる。給紙カセット20に載置されたプリントシート101は上側から1枚ずつピックアップローラー22によって給紙ローラー23へピックアップされる。給紙ローラー23は、給紙カセット20からピックアップローラー22によって給紙されたプリントシート101を1枚ずつ搬送路上へ搬送するローラーである。
【0024】
搬送ローラー27は、所定の搬送路上でプリントシート101を搬送するローラーである。レジストローラー28は、搬送されてくるプリントシート101がレジストセンサー28aによって検出されると、そのプリントシート101を一時停止させ、2次給紙タイミングでそのプリントシート101をプリントエンジン10aへ(具体的には、吸着ローラー5と搬送ベルト2とのニップ位置に)搬送する。2次給紙タイミングは、そのプリントシート101上の指定された位置に画像が形成されるように後述の制御部81によって指定される。
【0025】
さらに、搬送ベルト2の上方には、ベルトセンサー29が設けられている。ベルトセンサー29は、光学センサーであって、例えば主走査方向に沿って配置されたラインセンサーであり、例えば、LEDなどで光を搬送ベルト2に照射しその反射光をフォトダイオードなどの各受光素子で検出し、主走査方向における所定範囲内の各位置の色を特定する。
【0026】
また、搬送ベルト2は、検知孔32を備えている。検知孔32は、後述のように、主走査方向における搬送ベルト2の位置(変位量)を検出するために形成されている。搬送方向において、検知孔32は、先頭のフラッシング開口部31より先行して配置されている。
【0027】
検知孔32(の画像)は、ベルトセンサー29によって搬送ベルト2の表面(の画像)とは異なる色で検出され、その検知孔32(の画像)の位置に基づいて、主走査方向における搬送ベルト2の位置(変位量)が特定される。
【0028】
なお、例えば図3に示すように、インクジェット記録部1a,1b,1c,1dの幅(つまり、ノズル配列の幅)は、プリントシート101の幅以上となっており、フラッシング開口部31の配列の幅は、インクジェット記録部1a,1b,1c,1dの幅(つまり、ノズル配列の幅)以上となっている。
【0029】
図4は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、画像形成装置10は、図1および図2に示すような機械的構成を有するプリント装置71の他、さらに、操作パネル72、記憶装置73、画像読取装置74、および演算処理装置75を備える。
【0030】
操作パネル72は、画像形成装置10の筐体表面に配置され、液晶ディスプレイなどの表示装置72a、およびハードキー、タッチパネルなどの入力装置72bを備え、その表示装置72aでユーザーに対して各種メッセージを表示し、その入力装置72bでユーザー操作を受け付ける。
【0031】
記憶装置73は、画像形成装置10の制御に必要なデータ、プログラムなどを記憶する不揮発性の記憶装置(フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなど)である。
【0032】
画像読取装置74は、プラテングラスおよび自動原稿給紙装置を備え、プラテングラス上に載置された原稿、または自動原稿給紙装置によって搬送されてくる原稿の画像を光学的に読み取り、その画像の画像データを生成する。
【0033】
演算処理装置75は、プログラムに従って動作するコンピューター、所定動作を実行するASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備え、各種処理部として動作する。そのコンピューターは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備え、ROM、記憶装置73などに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、(必要に応じてASICとともに)各種処理部として動作する。
【0034】
ここでは、演算処理装置75は、制御部81、および画像処理部82として動作する。
【0035】
制御部81は、プリント装置71(プリントエンジン10a、シート搬送部10bなど)を制御し、ユーザーにより要求されたプリントジョブを実行する。この実施の形態では、制御部81は、画像処理部82に所定の画像処理を実行させ、プリントエンジン10a(ヘッド部11)を制御してインクを吐出させてプリントシート上にプリント画像を形成する。画像処理部82は、RIP(Raster Image Processing)、色変換、ハーフトーニングなどの所定の画像処理を、プリントシートにプリントすべき画像の画像データに対して実行する。
【0036】
制御部81は、ユーザーにより指定された画像をプリント装置71にプリントさせる。具体的には、制御部81は、プリントエンジン10aに、ユーザーにより指定されたプリント画像データに基づくユーザー原稿画像をプリントさせる。制御部81は、ユーザー原稿画像のプリント時に、プリントエンジン10aにインクを吐出させる。
【0037】
また、制御部81は、プリントエンジン10aのインク吐出タイミングを制御する吐出タイミング制御部81aを備える。吐出タイミング制御部81aは、プリントエンジン10aの各ノズルに対応するフラッシングタイミングで、プリントエンジン10aに各ノズルからインクを吐出させる。このフラッシングは、ノズル内の増粘したインクの破棄のために行われる。
【0038】
図5および図6は、各ノズルに対応するフラッシング開口部31の特定について説明する図である。
【0039】
吐出タイミング制御部81aは、(a)ベルトセンサー29で主走査方向における検知孔32の位置Xd(検知孔32の中心位置)を検出し、(b)主走査方向における検知孔32の位置Xdに基づいて、各ノズル(ノズル番号0,・・・,Nn、Nnはノズルの数)に対応するフラッシング開口部31-i(i=1,2,・・・,Nf、Nfはフラッシング開口部31の数)を特定し、(c)当該フラッシング開口部31-iに対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させる。
【0040】
具体的には、吐出タイミング制御部81aは、(a)主走査方向における検知孔32の位置Xdと検知孔32からフラッシング開口部31-i(フラッシング開口部31-iの中心位置)までの距離DPiとフラッシング開口部31-iの幅(ここでは、円状のフラッシング開口部31-iの半径)と主走査方向におけるノズルの位置とに基づいて、ノズルに対応するフラッシング開口部31-iを特定し、(b)検知孔32の検出タイミングと搬送方向における検知孔32から特定したフラッシング開口部31-iまでの距離DSj(j=1,2)と搬送ベルト2の線速とに基づいて当該ノズルのフラッシングのための吐出タイミング(=検知孔32の検出タイミング+DSj/線速)を特定し、(c)特定した吐出タイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させる。これにより、特定されたフラッシング開口部31-iが、対応するノズルの直下の位置に到来するタイミングで当該ノズルのフラッシングが実行される。
【0041】
図5は、主走査方向において搬送ベルト2の位置にずれがない場合を示しており、図5に示す場合では、検知孔32の位置Xdは、基準位置Xrefとなり、フラッシング開口部31-1は、ノズル番号0~Nr1のノズルに対応し、フラッシング開口部31-2は、ノズル番号Nr1+1~Nr2のノズルに対応している(フラッシング開口部31-3~31-Nfについても同様)。
【0042】
他方、図6は、主走査方向において搬送ベルト2の位置にずれがある場合を示しており、図6に示す場合では、検知孔32の位置Xdは、基準位置Xrefとは異なり、フラッシング開口部31-1は、ノズル番号0~N1(N1≠Nr1)のノズルに対応し、フラッシング開口部31-2は、ノズル番号N1+1~N2(N2≠Nr2)のノズルに対応している(フラッシング開口部31-3~31-Nfについても同様)。
【0043】
このように、検知孔32によって搬送ベルト2の位置ずれが検出され、その位置ずれが考慮されて、各フラッシング開口部31-iに対応するノズルが特定される。
【0044】
なお、各フラッシュ開口部31に対応するノズル(ノズル番号)は、インクジェット記録部1a~1dごとに(つまり、インク色ごとに)個別的に特定される。
【0045】
次に、上記画像形成装置10の動作について説明する。
【0046】
画像のプリント時に、吐出タイミング制御部81aは、プリントエンジン10aを制御して、その画像においてインクを吐出すべき画素について、インク吐出タイミングで、インクをインクジェット記録部1a,1b,1c,1dのノズルからプリントシート上に吐出させる。
【0047】
また、吐出タイミング制御部81aは、所定のフラッシング条件(画像形成装置10aの所定長の不使用時間の経過など)に従って、フラッシングを実行する。その際、吐出タイミング制御部81aは、フラッシングすべきノズル(一部または全部のノズル)を選択し、選択したノズルについてのフラッシングを行う。具体的には、搬送ベルト2が周回しているときにおいて、吐出タイミング制御部81aは、ベルトセンサー29によって検知孔32が検出されると、ベルトセンサー29で得られる画像に基づいて、主走査方向における検知孔32の位置を特定し、選択したノズルに対応するフラッシング開口部31-iを特定し、検知孔32に対する特定したフラッシング開口部31-iの相対位置などに基づいて、選択した各ノズルについてのフラッシングタイミングを特定する。そして、吐出タイミング制御部81aは、各ノズルについて、フラッシングタイミングが到来すると、インクを吐出させてフラッシングを行う。
【0048】
以上のように、上記実施の形態1によれば、搬送ベルト2は、複数のフラッシング開口部31および検知孔32を備え、複数のフラッシング開口部31は、少なくとも2列で主走査方向に沿って配列されている。そして、吐出タイミング制御部81aは、(a)ベルトセンサー29で主走査方向における検知孔32の位置を検出し、(b)主走査方向における検知孔32の位置に基づいて、ノズルに対応するフラッシング開口部31を特定し、(c)当該フラッシング開口部31に対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させる。
【0049】
これにより、搬送ベルト2に形成されたフラッシング開口部31を介してフラッシングを行う場合において搬送ベルト2が主走査方向に変位しても、(搬送ベルト2の表面上にインクが吐出されることなく)フラッシングが適切に実行される。
【0050】
実施の形態2.
【0051】
実施の形態2では、検知孔32に異物(紙片など)が付着して正確に検知孔32の位置(中心位置)が特定されない場合に、フラッシングが禁止される。
【0052】
実施の形態2では、吐出タイミング制御部81aは、(a)ベルトセンサー29で検知孔32のサイズ(ベルトセンサー29で得られる画像に基づくサイズ)を検出し、(b1)検出したサイズが所定基準値に一致する場合(つまり、検出したサイズと所定基準値との差(絶対値)が所定値未満である場合)には、当該フラッシング開口部31-iに対応するタイミングで、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させ、(b2)検出したサイズが所定基準値に一致しない場合には、当該ノズルのフラッシングをプリントエンジン10aに実行させない。
【0053】
図7は、実施の形態2における、主走査方向での検知孔の幅に基づくフラッシングの可否の決定について説明する図である。図8は、実施の形態2における、搬送方向での検知孔の長さに基づくフラッシングの可否の決定について説明する図である。
【0054】
上述の検知孔32のサイズは、例えば図7に示すような主走査方向における検知孔32の幅Wd、または例えば図8に示すような搬送方向における検知孔32の長さLdである。
【0055】
ベルトセンサー29で得られる画像において、検知孔32の色が異物の色と同色ではない場合には、例えば図7および図8に示すように、検知孔32の幅Wdまたは長さLdは、所定の基準値Wref,Lref(異物のない場合の検知孔32の幅Wdおよび長さLd)より小さく検出される。
【0056】
一方、ベルトセンサー29で得られる画像において、検知孔32の色が異物の色と同色である場合には、例えば図7および図8に示すように、検知孔32の幅Wdまたは長さLdは、所定の基準値Wref,Lrefより大きく検出される。
【0057】
したがって、検出された検知孔32のサイズが所定基準値に一致しない場合には、吐出タイミング制御部81aは、(同色または異色の)異物が検知孔32に付着していると判定し、検知孔32の位置(中心位置)が正確に特定されずフラッシング対象の各ノズルに対応するフラッシング開口部31-iが正確に特定されないため、フラッシングを禁止する。
【0058】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置のその他の構成および動作については、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
実施の形態3.
【0060】
実施の形態3では、搬送ベルト2上に付着した異物(紙片など)が検知孔32として誤検出されないように、検知孔32の検出を試みる期間が限定される。
【0061】
図9は、実施の形態3における検知孔32の検出範囲について説明する図である。
【0062】
具体的には、例えば図9に示すように、検知孔32およびフラッシュ開口部31が、複数組、搬送ベルト2に形成されており、吐出タイミング制御部81aは、ある検知孔32の位置をベルトセンサー29で検出したタイミングから、検知孔32の配置周期HPに対応する検出周期の後のタイミングに対して設定された検出範囲が到来するまで、検知孔32の検出を試みずに、その検出範囲において検知孔の検出を試みる。
【0063】
なお、配置周期HPは、複数の配置されている検知孔32の間隔(距離)であり、検出周期は、配置周期HPを搬送ベルト2の線速で除算して得られる時間長である。
【0064】
また、時間的な検出範囲は、空間的には、例えば図9に示すように、次の検知孔32の位置から前方に距離Rだけの範囲および後方に距離Rだけの距離の範囲DRに対応する。したがって、この範囲DR以外では、検知孔32の検出は行われず、仮に、この範囲DR以外の箇所に(主走査方向において検知孔32と略同じ位置に)、画像上、検知孔32の同色の異物が付着していても、その異物が検知孔32として誤検出されず、不適切なフラッシングが実行されずに済む。また、この範囲DR内に異物が付着した場合は、実施の形態2で説明したように、フラッシングが禁止されるようにしてもよい。
【0065】
なお、実施の形態3に係る画像形成装置のその他の構成および動作については、実施の形態1または2と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0067】
例えば、上記実施の形態1~3において、フラッシング開口部31とは別に上述の検知孔32を設けずに、搬送方向において先頭のフラッシング開口部31の1つを検知孔として使用するようにしてもよい。
【0068】
さらに、上記実施の形態1~3において、主走査方向におけるプリントシート101の位置を検出するラインセンサー(図示せず)をベルトセンサー29として使用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えば、インクジェット方式の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
2 搬送ベルト
10 画像形成装置
10a プリントエンジン
29 ベルトセンサー
31,31ーi フラッシング開口部
32 検知孔
81a 吐出タイミング制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9