(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114579
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】フライヤー及び米菓の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A47J37/12 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016972
(22)【出願日】2022-02-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 納品日:令和3年10月23日,販売した場所:株式会社天乃屋(福島県西白河郡矢吹町中畑南55-1 矢吹工場)
(71)【出願人】
【識別番号】591095708
【氏名又は名称】株式会社新井機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100109807
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】新井 進二
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AC04
4B059AD07
4B059BB01
(57)【要約】
【課題】容器支持部の駆動用の原動機に依らずに油槽内で容器を上下に動かすことができるフライヤーを提供する。
【解決手段】少なくとも一部に複数の貫通孔を有する容器本体と開閉自在の蓋とを設けた容器30を、棒状の一対の容器支持部45の端部45Aで支えた状態で昇降して油槽20に入る位置とこの位置から離れた排出位置とに配置する第一昇降装置40と、容器30が油槽20に入った状態で往復スライダークランク機構53のスライダーで容器30を上下に動かす第二昇降装置50と、を備え、第一昇降装置40が、第一原動気41側の駆動軸42から容器支持部45を固定した従動軸43への動力の伝達と遮断とを行うクラッチ44を備えており、クラッチ44で駆動軸42から従動軸43への動力の伝達が遮断された状態で、第二昇降装置50が容器30を上下に動かす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に複数の貫通孔を有する容器本体と開閉自在の蓋とを設けた容器を、棒状の一対の容器支持部の端部で支えた状態で昇降して油槽に入る位置とこの位置から離れた排出位置とに配置する第一昇降装置と、
前記容器が前記油槽に入った状態で往復スライダークランク機構のスライダーで前記容器を上下に動かす第二昇降装置と、を備え、
前記第一昇降装置が、第一原動気側の駆動軸から前記容器支持部を固定した従動軸への動力の伝達と遮断とを行うクラッチを備えており、
前記クラッチで前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達が遮断された状態で、前記第二昇降装置が前記容器を上下に動かすことを特徴とする、フライヤー。
【請求項2】
前記往復スライダークランク機構は、前記スライダーとつながるリンク部材と、このリンク部材に接続軸を介してつながるクランクと、を備え、さらに前記クランクが前記接続軸を取り付ける複数の取付穴を設けていて、長さの異なる前記リンク部材を交換可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記第一原動機と前記駆動軸との間に減速機を設けていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のフライヤー。
【請求項4】
前記蓋が前記容器本体の内側で固定された蓋固定部と、この蓋固定部にヒンジを介して設けられた蓋可動部と、を備えていて、
前記容器で前記蓋よりも高い位置に設けられていて前記蓋可動部を開閉する蓋開閉装置と、を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れかに記載のフライヤー。
【請求項5】
前記油槽と前記第一昇降装置と前記第二昇降装置とを支える支持フレームと、この支持フレームよりも外側に張り出した前記往復スライダークランク機構を覆うカバーと、を備えていて、
前記スライダーが前記カバーから上方へ突き出ていることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れかに記載のフライヤー。
【請求項6】
前記スライダーが弾性部材を介して前記容器支持部の前記端部側に当たることを特徴とする、請求項1から請求項5の何れかに記載のフライヤー。
【請求項7】
前記クラッチが無空圧状態或いは無励磁状態で前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断する空圧式或いは電磁式に構成されていて、
前記クラッチの無空圧或いは無励磁への状態変化に伴う動作中の前記容器の下降を抑える下降抑制部と、前記クラッチと前記下降抑制部とを制御する制御部と、を備えており、
前記下降抑制部は、前記クラッチの前記従動軸側に設けられて前記従動軸の回転の中心まわりに複数の穴を有するプレート部と、前記プレート部と対向した下降抑制用エアシリンダーと、圧縮したエアを収容するエア貯蔵部と、非通電状態で前記エアが前記エア貯蔵部から前記下降抑制用エアシリンダーへ流入する下降抑制用電磁弁と、を備え、
前記制御部は、通電状態で前記クラッチの制御と前記下降抑制用電磁弁を通電状態にする制御とを並行して行い、
フライヤーが通電状態から非通電状態に変わることで、前記クラッチが前記無空圧状態或いは前記無励磁状態に変わり、さらに前記エアが前記エア貯蔵部から前記下降抑制用電磁弁を経て前記下降抑制用エアシリンダーへ流入してロッドがシリンダー本体から押し出されて前記プレート部の前記穴の何れかに入ることを特徴とする、請求項1から請求項6の何れかに記載のフライヤー。
【請求項8】
前記クラッチが無空圧状態で前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断する空圧式に構成されていて、
圧縮したエアを前記クラッチへ送る給気系統と、
前記クラッチの無空圧への状態変化に伴う動作中の前記容器の下降を抑える下降抑制部と、
前記クラッチと前記下降抑制部とを制御する制御部と、を備えており、
前記給気系統は、前記エアを送出するエア供給部と、前記エアの前記エア供給部への逆流を抑制する逆止弁と、前記逆止弁の下流側に設けられ前記エア供給部からの前記エアを収容するエア貯蔵部と、分岐部を介して前記エア貯蔵部につながると共に前記エアクラッチにつながる3ポート2位置方向制御型のエアクラッチ用電磁弁と、を備え、
前記エアクラッチ用電磁弁では、一つのポートが外部に向けて開いていて、励磁状態で前記エア供給部側から前記エアクラッチ側への流路が形成され、無励磁状態で前記エアクラッチ側から前記外部へ通じる流路が形成され、
前記下降抑制部は、前記クラッチの前記従動軸側に設けられて前記従動軸の回転の中心まわりに複数の穴を有するプレート部と、前記プレート部と対向した下降抑制用エアシリンダーと、前記分岐部を介して前記エア貯蔵部につながると共に前記下降抑制用エアシリンダーにつながる3ポート2位置方向制御型の下降抑制用電磁弁と、を備え、
前記下降抑制用電磁弁では、一つのポートが外部に向けて開いていて、励磁状態で前記下降抑制用エアシリンダーから前記下降抑制用電磁弁の前記外部への流路が形成され、無励磁状態で前記給気系統から前記下降抑制用エアシリンダーへ通じる流路が形成され、
前記制御部は、通電状態で前記クラッチの制御と、前記下降抑制用電磁弁を通電する制御と、前記エアクラッチ用電磁弁を通電する制御と、を並行して行い、
フライヤーが通電状態から非通電状態に変わることで、前記エアクラッチ用電磁弁及び前記下降抑制用電磁弁が無励磁状態に変わると共に前記エアクラッチが前記無空圧状態に変わり、さらに前記エアが前記エア貯蔵部から前記下降抑制用電磁弁を経て前記下降抑制用エアシリンダーへ流入して前記ロッドが前記シリンダー本体から押し出されて前記プレート部の前記穴の何れかに入ることを特徴とする、請求項1から請求項6の何れかに記載のフライヤー。
【請求項9】
前記エアクラッチと前記エアクラッチ用電磁弁と前記プレート部と前記下降抑制用電磁弁とを収容するケースを備え、
前記ケースは通気口を有することを特徴とする、請求項8に記載のフライヤー。
【請求項10】
少なくとも一部に複数の貫通孔を有し内側が蓋によって上下に仕切られる容器を油槽に入れた状態で米菓用生地を前記容器に入れる投入工程と、
前記容器を前記油槽に入れて前記米菓用生地を加熱する揚げ工程と、
前記容器を前記油槽の外の排出位置に配置して、前記容器から揚げた前記米菓用生地を排出する排出工程と、を備え、
第一昇降装置によって前記容器を昇降して前記油槽に入る位置と前記排出位置とに配置する、米菓の製造方法であって、
前記揚げ工程では、前記第一昇降装置のクラッチが前記容器を支える棒状の一対の容器支持部を固定した従動軸に対する第一原動機側の駆動軸からの動力の伝達を遮断し、且つ前記容器支持部が倒伏して前記端部を第二昇降装置のスライダーの上端部に載せて、前記容器が前記油槽に入った状態で、前記第二昇降装置の第二原動機側によって前記スライダーが上下に往復運動を行って前記容器支持部の前記端部及び前記容器が上下に動くことを特徴とする、米菓の製造方法。
【請求項11】
前記投入工程では、前記クラッチが前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断し、且つ前記容器支持部が倒伏して前記端部を前記スライダーの前記上端部に載せて、前記容器が前記油槽に入った状態で、下死点にある前記スライダーを前記第二原動機によって上昇させて前記容器を投入位置に保持して、前記米菓用生地を油面の上方に配置された前記生地出入口に投入し、
前記米菓用生地の投入後に、前記容器が前記スライダーによって前記投入位置に保持された状態で前記蓋開閉装置が前記蓋可動部を動かして前記生地出入口を閉じることを特徴とする、請求項10に記載の米菓の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米菓用生地を揚げるフライヤーと米菓の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
煎餅などの米菓は、例えば材料シートから所定の形状に型抜きして得た米菓用生地を、所定の水分量に調整した後に加熱によって膨らませて、その後に味付けを行って製造する。生地への加熱を行う場合には、フライヤーを用いることができる。
【0003】
図13は従来のフライヤー90を示す斜視図であり、従来のフライヤー90は、米菓用生地を揚げるための油を入れた油槽91と、生地を入れる容器92と、容器92を昇降して油槽91の中と外の何れかに配置する昇降部93と、を備えている。
【0004】
容器92は、底部と底部の周縁から立ち上がる側面部とから構成されて上に口を開けており、例えば底部が網状に形成されて複数の貫通孔を備えている。昇降部93が原動機によって動く容器支持部93Aを備えていて、容器92は容器支持部93Aの一方の端部に固定されている。
昇降部93は原動機と、原動機によって回転するシャフトと、シャフトが一方の端部に固定され他方の端部で容器を支持した容器支持部と、を備えている。
【0005】
従来、米菓用生地を揚げる際に、米菓用生地それぞれへの加熱を均等にすることが行われている。特許文献1には、容器が油槽に入っている状態で、油をかきまぜる複数のパドル部を備えたフライヤーが開示されている。複数のパドル部がシャフトに固定されていて、シャフトの回転と共にパドル部が動いて容器内を攪拌する。
【0006】
このようなパドル部に代えて、
図13に示す容器92を油槽に入れた状態で上下に動かすことで容器内の米菓用生地への加熱を均一にすることが考えられる。例えば、米菓用生地を揚げている工程で、容器支持部93Aの先端側の上下の移動距離を短くした範囲で、原動機によって容器支持部先端側を上下に繰り返し動かすと、容器92内の煎餅の位置や向きが変わり、それぞれ十分に加熱されることが期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
容器支持部93Aによる容器92の上下動では、原動機の軸の回転角度にずれが生じると、容器支持部の先端側ではその軸から離れていることに比例して、容器の位置が当初の設定位置から大きく外れてしまう恐れがある。そこで、容器支持部の駆動用原動機によらずに、容器を上下に動かして、生地を均一に加熱する装置が望まれる。
【0008】
本発明は、容器支持部の駆動用の原動機に依らずに油槽内で容器を上下に動かすことができるフライヤーと、米菓の製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフライヤーは、少なくとも一部に複数の貫通孔を有する容器本体と開閉自在の蓋とを設けた容器を、棒状の一対の容器支持部の端部で支えた状態で昇降して油槽に入る位置と排出位置とに配置する第一昇降装置と、前記容器が前記油槽に入った状態で往復スライダークランク機構のスライダーで容器を上下に動かす第二昇降装置と、を備えている。
前記第一昇降装置が、第一原動気側の駆動軸から前記容器支持部を固定した従動軸への動力の伝達と遮断とを行うクラッチを備えており、前記クラッチで前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達が遮断された状態で、前記第二昇降装置が前記容器を上下に動かす。
前記フライヤーによれば、前記米菓用生地を前記油槽で揚げる際に、クラッチによって前記第一原動機側の前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断することができる。これにより、前記容器を支える前記容器支持部を前記第二原動機によって動かすことができる。
なお、前記駆動軸は、第一原動機の回転軸或いはこの回転軸にギアを介してつながる軸であってもよい。
【0010】
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記往復スライダークランク機構が、前記スライダーとつながるリンク部材と、このリンク部材に接続軸を介してつながるクランクと、を備え、さらに前記クランクが前記接続軸を取り付ける複数の取付穴を設けていて、長さの異なる前記リンク部材を交換可能に構成されている。
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記第一原動機と前記駆動軸との間に減速機を設けている。
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記蓋が前記容器本体の内側で固定された蓋固定部と、この蓋固定部にヒンジを介して設けられた蓋可動部と、を備えていて、前記容器で前記蓋よりも高い位置に設けられていて前記蓋可動部を開閉する蓋開閉装置と、を備えている。
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記油槽と前記第一昇降装置と前記第二昇降装置とを支える支持フレームと、この支持フレームよりも外側に張り出した前記往復スライダークランク機構を覆うカバーと、を備えていて、前記スライダーが前記カバーから上方へ突き出ている。
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記スライダーが弾性部材を介して前記容器支持部の前記端部側に当たる。
【0011】
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記クラッチが無空圧状態或いは無励磁状態で前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断する空圧式或いは電磁式に構成されていて、前記クラッチの無空圧或いは無励磁への状態変化に伴う動作中の前記容器の下降を抑える下降抑制部と、前記クラッチと前記下降抑制部とを制御する制御部と、を備えている。前記下降抑制部は、前記クラッチの前記従動軸側に設けられて前記従動軸の回転の中心まわりに複数の穴を有するプレート部と、前記プレート部と対向した下降抑制用エアシリンダーと、圧縮したエアを収容するエア貯蔵部と、非通電状態で前記エアが前記エア貯蔵部から前記下降抑制用エアシリンダーへ流入する下降抑制用電磁弁と、を備えている。前記制御部は、通電状態で前記クラッチの制御と前記下降抑制用電磁弁を通電状態にする制御とを並行して行い、フライヤーが通電状態から非通電状態に変わることで、前記クラッチが前記無空圧状態或いは前記無励磁状態に変わり、さらに前記エアが前記エア貯蔵部から前記下降抑制用電磁弁を経て前記下降抑制用エアシリンダーへ流入して前記ロッドが前記シリンダー本体から押し出されて前記プレート部の前記穴の何れかに入る。
【0012】
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記クラッチが無空圧状態で前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断する空圧式に構成されていて、圧縮したエアを前記クラッチへ送る給気系統と、前記クラッチの無空圧への状態変化に伴う動作中の前記容器の下降を抑える下降抑制部と、前記クラッチと前記下降抑制部とを制御する制御部と、を備えている。
前記給気系統は、前記エアを送出するエア供給部と、前記エアの前記エア供給部への逆流を抑制する逆止弁と、前記逆止弁の下流側に設けられ前記エア供給部からの前記エアを収容するエア貯蔵部と、分岐部を介して前記エア貯蔵部につながると共に前記エアクラッチにつながる3ポート2位置方向制御型のエアクラッチ用電磁弁と、を備えている。
前記エアクラッチ用電磁弁では、一つのポートが外部に向けて開いていて、励磁状態で前記エア供給部側から前記エアクラッチ側への流路が形成され、無励磁状態で前記エアクラッチ側から前記外部へ通じる流路が形成される。
前記下降抑制部は、前記クラッチの前記従動軸側に設けられて前記従動軸の回転の中心まわりに複数の穴を有するプレート部と、前記プレート部と対向した下降抑制用エアシリンダーと、前記分岐部を介して前記エア貯蔵部につながると共に前記下降抑制用エアシリンダーにつながる3ポート2位置方向制御型の下降抑制用電磁弁と、を備えている。
前記下降抑制用電磁弁では、一つのポートが外部に向けて開いていて、励磁状態で前記下降抑制用エアシリンダーから前記下降抑制用電磁弁の前記外部への流路が形成され、無励磁状態で前記給気系統から前記下降抑制用エアシリンダーへ通じる流路が形成される。
前記制御部は、通電状態で前記クラッチの制御と、前記下降抑制用電磁弁を通電する制御と、前記エアクラッチ用電磁弁を通電する制御と、を並行して行う。
フライヤーが通電状態から非通電状態に変わることで、前記エアクラッチ用電磁弁及び前記下降抑制用電磁弁が無励磁状態に変わると共に前記エアクラッチが前記無空圧状態に変わり、さらに前記エアが前記エア貯蔵部から前記下降抑制用電磁弁を経て前記下降抑制用エアシリンダーへ流入して前記ロッドが前記シリンダー本体から押し出されて前記プレート部の前記穴の何れかに入る。
本発明のフライヤーは、好ましくは、前記エアクラッチと前記エアクラッチ用電磁弁と前記プレート部と前記下降抑制用電磁弁とを収容するケースを備え、前記ケースは通気口を有する。
【0013】
本発明の米菓の製造方法は、少なくとも一部に貫通孔を有し内側が蓋によって上下に仕切られる容器を油槽に入れた状態で米菓用生地を前記容器に入れる投入工程と、前記容器を前記油槽に入れて前記米菓用生地を加熱する揚げ工程と、前記容器を前記油槽の外の排出位置に配置して、前記容器から揚げた前記米菓用生地を排出する排出工程と、を備えていて、第一昇降装置によって前記容器を昇降して前記油槽に入る位置と前記排出位置とに配置する。前記製造方法の前記揚げ工程では、前記第一昇降装置のクラッチが前記容器を支える棒状の一対の容器支持部を固定した従動軸に対する第一原動機側の駆動軸からの動力の伝達を遮断し、且つ前記容器支持部が倒伏して前記端部を第二昇降装置のスライダーの上端部に載せて、前記容器が前記油槽に入った状態で、前記第二昇降装置の第二原動機側によって前記スライダーが上下に往復運動を行って前記容器支持部の前記端部及び前記容器が上下に動く。
【0014】
本発明の米菓の製造方法は、好ましくは、前記投入工程では、前記クラッチが前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断し、且つ前記容器支持部が倒伏して前記端部を前記スライダーの前記上端部に載せて、前記容器が前記油槽に入った状態で、下死点にある前記スライダーを前記第二原動機によって上昇させて前記容器を投入位置に保持して、前記米菓用生地を油面の上方に配置された前記生地出入口に投入し、前記米菓用生地の投入後に、前記容器が前記スライダーによって前記投入位置に保持された状態で前記蓋開閉装置が前記蓋可動部を動かして前記生地出入口を閉じる。
【0015】
本発明のフライヤーは、支持フレームと、この支持フレームに支えられた油槽と、上に口を開けていて少なくとも一部に複数の貫通孔を有する容器本体とこの容器本体の内側を上下に仕切る開閉自在の蓋とを設けた容器と、前記支持フレームに支えられていて容器を昇降して前記油槽に入る位置と前記油槽の外の排出位置とに配置する第一昇降装置と、前記支持フレームに支えられていて前記容器が前記油槽に入っている状態で前記容器を上下に動かす第二昇降装置と、を備えている。
前記第一昇降装置は、第一原動機と、横に延びた前記第一原動機側の駆動軸と同軸上に設けられた従動軸と、それぞれ棒状に形成されており前記従動軸に固定されて平行に延びて端部で前記容器を支える一対の容器支持部と、前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達と遮断とを行うクラッチと、を備えている。
前記第二昇降装置は、第二原動機と、前記従動軸と平行に設けられており前記第二原動機によって回転するシャフトと、このシャフトの各端部に設けられた往復スライダークランク機構と、を備えている。
前記往復スライダークランク機構は、前記シャフトの回転に伴って上下に往復運動を行うスライダーを有する。
前記クラッチが前記駆動軸から前記従動軸への動力の伝達を遮断し、且つ前記容器支持部が倒伏して前記端部を前記スライダーの上端部に載せて、前記容器が前記油槽に入った状態で、前記スライダーが前記往復運動を行って前記容器を上下に動かす。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、油槽に入る位置と排出位置とに容器を昇降するための第一原動機の動力の伝達を遮断して、第二原動機に依らずに油槽内で容器を上下に動かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るフライヤーの正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るフライヤーの平面図である。
【
図3】(a)は
図1のS1-S1線に沿ったフライヤーの断面図であり、(b)は(a)のクランクの拡大正面図である。
【
図4】
図2のS2-S2線に沿ったフライヤーの断面図である。
【
図5】(a)は本発明の実施形態に係るフライヤーの容器を示す正面図であり、(b)は(a)の容器の平面図である、(c)は(b)のS3-S3線に沿った容器の断面図である。
【
図6】(a)は本発明の実施形態に係るフライヤーの容器と蓋開閉装置とを示す右側面図であり、(b)は(a)の容器と蓋開閉装置の平面図である、(c)は(a)のS4-S4線に沿った容器と蓋開閉装置の断面図であり、(d)は可動蓋を開けた状態の容器と蓋開閉装置の断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るフライヤーを用いた米菓の製造方法を示す図である。
【
図8】(a)~(e)は本発明の実施形態に係るフライヤーを用いた米菓の製造方法を示す図である。
【
図9】(a)~(d)は本発明の実施形態に係るフライヤーを用いた米菓の製造方法を示す図である。
【
図10】(a)は本発明の実施形態の第一変形例に係るフライヤーのクラッチとその周辺を示す左側面図であり、(b)は(a)のクラッチとその周辺を示す正面図である。
【
図11】(a)及び(b)は本発明の実施形態の第一変形例に係るフライヤーの給気系統を示す配管図である。
【
図12】(a)と(b)とは本発明の実施形態の第二変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、フライヤー1は、作業フロアなどに着地する支持フレーム10と、上に口201を開けたボール状の油槽20と、米菓用生地を入れる容器30と、油槽20に入れる揚げ位置とこの位置から離れて油槽20の外に設定された排出位置との間で容器30を昇降する第一昇降装置40と、容器30が油槽20に入っている状態で容器30を上下に動かす第二昇降装置50と、容器30に設けられる蓋33を開閉する蓋開閉装置60と、容器30を動かして米菓用生地を容器30から排出する排出装置70と、制御部80と、を備えている。
【0019】
(支持フレーム10)
支持フレーム10は油槽20及び第二昇降装置50を支える第一支持フレーム11と、第一支持フレーム11の横に設けられていて第一昇降装置40を支える第二支持フレーム12と、第一支持フレーム11と第二支持フレーム12とをつなぐ連結部13と、を備えている。
第一支持フレーム11は、作業フロアから立ち上がる棒状の四つの脚部11Aと、各脚部11Aをつなぐ棒状の複数の連結部11Bと、脚部11Aによって下から支えられる載置部11Cと、載置部11Cの上に設けられ油槽20の口201のまわりを囲うと共に油槽20の口201よりも上方へ突き出る囲い部11Dと、を備えている。連結部11Bは、油槽20よりも低い位置にある脚部11Aの下端側に設けられている。油槽20は囲い部11Dの貫通穴に入れて溶接によって固定されている。
第二支持フレーム12については第一昇降装置40の構成と併せて説明する。
【0020】
(容器30)
図5に示すように、容器30は、上に口を開けた椀状の容器本体31と、容器本体31の口に離間して設けられて第一昇降装置40とつながる一対の接続部32と、接続部32によって支えられて容器本体31の内側に設けられる蓋33と、を設けている。
【0021】
容器本体31は、容器底部311と、この容器底部311の周縁から立ち上がった筒状の容器側面部312と、を備える。例えば容器底部311は、金網などで構成されて、複数の貫通孔311Aを有する。貫通孔は、容器側面部312に設けられてもよく、容器本体31の少なくとも一部に設けられる。容器底部311と容器側面部312とは屈曲した棒状補強部313や口を形成する環状補強部314で支えられている。他の図面では、容器底部311や容器側面部312を省略して、棒状補強部313や環状補強部314だけで容器本体31を表している。
【0022】
各接続部32は、
図5(b)に示すように、それぞれ環状補強部314に固定されて口より上方へ突き出た接続本体321と、接続本体321の容器本体31の内側に設けられ蓋開閉装置60を支えるバー611を取り付けるバー固定部322と、接続本体321に固定されていて後述する排出用リンク75を接続するリンク接続部323と、を備えている。
【0023】
蓋33は、
図5(c)に示すように、接続部32のバー固定部322にブラケット331を介して容器本体31の内側に設けられる蓋固定部332と、蓋固定部332にヒンジ333を介して取り付けられた一対の蓋可動部334と、を備えている。
蓋固定部332は、プレート状に形成されていて、ブラケット331によって容器本体31の内側の容器底部311と口の間で中間程の深さ位置に保持されており、容器本体31の内側には蓋固定部332の一方の長辺縁側と他方の長辺縁側に半円形状の生地出入口335(
図6(d)参照)が形成される。これらの生地出入口335は対称に形成されている。
蓋可動部334は、それぞれ平面視での輪郭が半円形状に形成されていて複数の貫通孔334Aを有し、直線状の縁部を蓋固定部332の直線縁に沿わせてヒンジ333を介して蓋固定部332に取り付けられている。蓋可動部334は、後述する蓋開閉装置60によってヒンジ333の軸周りに動いて、水平状に広がって生地出入口335を閉じる位置と傾斜して生地出入口335を開ける位置との何れかに切り替わることができる(
図6(d)参照)。
【0024】
(蓋開閉装置60)
蓋開閉装置60は、
図6に示すように、容器本体31に設けたエアシリンダー用取付部61と、このエアシリンダー用取付部61に支持された蓋開閉用エアシリンダー62と、蓋開閉用エアシリンダー62と蓋33とをつなぐ開閉リンク63と、を備えていて、蓋33よりも高い位置に設けられている。
【0025】
エアシリンダー用取付部61は、容器30の一方のバー固定部322と他方のバー固定部322とに端部を固定されて平行に並んだ一対のバー611と、一対のバー611から立ち上がる脚部612を有しエアシリンダー62を収容するケース613と、一方の接続部32からケース613の上方を経て他方の接続部32まで延びた上方支持枠部614と、ケース613の天面部と上方支持枠部614とをつなぐブラケット615と、上方支持枠部614に設けられていてエア用の耐熱性チューブを通すフレキシブル管616と、を備えている。
【0026】
ケース613には図示省略する耐熱性チューブを通す貫通穴と蓋開閉用エアシリンダー62のロッド622を通す貫通穴が設けられている。
【0027】
蓋開閉用エアシリンダー62は、ケース613に収容されて、ロッド622がケース613の貫通穴から容器本体31の内側へ突き出ており、シリンダー本体621から引き出される長さを変えることで、ロッド622の先端部はエアシリンダー用取付部61の二つのバー611よりも高い位置(上死点)とバー611よりも低い位置(下死点)との間を移動する。なお、ロッド622の先端部は高い位置(上死点)から低い位置(下死点)への移動或いはその逆の移動の際に、二つのバー611の間を通る。
【0028】
開閉リンク63は、細幅の板片状に形成されていて一方の端部が軸を介して蓋開閉用エアシリンダー62のロッド622の先端部とつながる第一リンク631と、この第一リンク631の他方の端部と軸を介してつながると共に蓋固定部332から突き出た突起部332Aに軸を介してつながる第二リンク632と、細幅の板片状に形成されていて一方の端部が軸を介して第二リンク632につながると共に他方の端部が軸を介して蓋可動部334の上方へ突き出た突起部334Bとつながる第三リンク633と、を備えている。
【0029】
図6(c)に示すように、蓋開閉用エアシリンダー62のロッド622が下死点にある状態で蓋可動部334が生地出入口335を閉じており、この状態からロッド622の先端部が上昇すると、これにつながる第一リンク631が第二リンク632を上方に持ち上げて、第二リンク632が固定軸まわりに動くと共に第三リンク633を持ち上げることで、蓋可動部334もヒンジの軸まわりに動いて傾いた状態に変わる。このようにして蓋33が開けられて、後述するように容器本体31の内側に米菓用生地への投入や揚げた米菓用生地の排出を行うことができる。一方、蓋33を閉じるときには、この蓋33開け動作とは逆に、ロッド622の先端部を上死高点から下死点へ移動させることで、生地出入口335を蓋可動部334で閉じることができる。
【0030】
なお、蓋可動部334の開閉動作に伴って、開閉リンク63はバー611に当たらないように構成されている。
図6(d)に示すように、ロッド622の先端部が上死高点にある状態で、第一リンク631と第二リンク632との第一接続箇所がバー611よりも低い位置に設けられ、蓋固定部332との第二接続箇所が第一接続箇所よりも低い位置に設けられ、第二リンク632と第三リンク633との第三接続箇所がバー611よりも高い位置に設けられており、さらに第二リンク632は輪郭がバー611との接触を避けるようにV字或いはU字状に形成された部分を有する。
【0031】
エア用の耐熱性チューブがシリンダー本体621からケース613の貫通穴を経て、フレキシブル管616の中を通って容器30の外に延びている。容器30の外側では容器支持部45の端部45Aから軸取付側へ延びて、さらに後述する調整部121につながっている。
【0032】
(第一昇降装置40)
図2に示すように、第一昇降装置40は、第二支持フレーム12に設けられた第一原動機41と、横に延びており第一原動機41によって回転する主軸42と、主軸42と同軸上に設けられた従動軸43と、主軸42から従動軸43への動力の伝達と遮断とを行うクラッチ44と、従動軸43の一端部側と他端部側にそれぞれシャフト挿通部451を固定して平行に設けられた棒状の一対の容器支持部45と、を備えている。
【0033】
第二支持フレーム12は、
図3(a)に示すように、作業フロアから立ち上がり第一原動機41などを支える棒状の駆動支持脚部12Aと、作業フロアから立ち上がり離間していて従動軸43側を支える一対の棒状の従動側支持脚部12Bと、駆動支持脚部12Aと一方の従動側支持脚部12Bとをつなぐ棒状の連結部12Cと、一方の従動側支持脚部12Bと他方の従動側支持脚部12Bとをつなぐ連結部12Dと、を備えている。
【0034】
駆動支持脚部12Aの上端部にはケース12Eが設けられている。第一原動機41がケース12Eの側面部の外側に固定されていて、主軸42が第一原動機41からケース12Eの内側に突き出てケース12Eに収容されているクラッチ44とつながっている。なお、
図2及び
図3ではケース12Eの外形を二点鎖線で表し、内部を透視して、主軸42などを実線で表している。
第一原動機41は例えばギアードモーターとして構成されており、ギアを収容した減速機415を有し、駆動軸としての主軸42が減速機415からケース12E内へ向けて横に延びている。
【0035】
従動側支持脚部12Bの上には取付プレートとこれに固定されたベアリングなどの軸受部12Fが設けられて、従動軸43の両端部を支えている。従動軸43は油槽20及び第一支持フレーム11よりも高い位置に保持されている。
【0036】
容器支持部45が軸受部12Fに寄せて従動軸43に固定されており、容器支持部45は、一方の端部45A側が容器30を支え他方の端部45Bがバランス用ウェイト46を支え、これらの端部45A,45Bの間に従動軸43を通して容器支持部45を従動軸43に固定するシャフト挿通部451を設けている。各容器支持部45は従動軸43をシャフト挿通部451に通して、各容器支持部45と従動軸43とは直交状に設けられている。さらに、容器支持部45の間隔は、油槽20及び第一支持フレーム11の囲い部11Dよりも広く設定されている。
【0037】
図2に示すように容器30を支える側の端部45Aはベアリングなどの軸受部452を設けており、軸受部452は従動軸43と平行に設けられる接続軸453の一方の端部側を支持しており、接続軸453の他方の端部側が容器30につながっている。容器30は接続本体に軸用の軸受部を設けている。
【0038】
クラッチ44は、従来市販されているものを利用することができ、電磁式、空圧式或いは機械式に構成されたものであってもよい。以下、クラッチ44によって動力を主軸42から従動軸43に伝わる状態を主軸42と従動軸43との接続と呼ぶ場合があり、さらに動力が伝わらない状態を主軸42と従動軸43との切り離しと呼ぶ場合がある。
【0039】
(第二昇降装置50)
図3(a)に示すように、第二昇降装置50は、油槽20の下に設けられた第二原動機51と、油槽20の下で第一昇降装置40の従動軸43と平行に設けられていて油槽20及び第一支持フレーム11よりも両端部52A,52Bが外側に突き出たシャフト52と、このシャフト52の両端部52A,52Bに設けた往復スライダークランク機構53と、を備えている。
【0040】
第二原動機51は第一支持フレーム11に設けた架設プレート11Eに載せられており、シャフト52は架設プレート11Eに設けた軸受部11Fに両端側を支えられ、第二原動機51の駆動軸とシャフト52はスプロケットとチェーンとでつながっている。
【0041】
各往復スライダークランク機構53は、シャフト52の端部52A,52Bに設けた板状のクランク531と、クランク531から外側に突き出る接続軸532にボールジョイントを介して取り付けた棒状のリンク部材533と、リンク部材533の他方の端部をボールジョイント介して下端部に取り付けられていて第一支持フレーム11に設けたガイド534に支えられた棒状のスライダー535と、を備えている。なお、板状のクランク531に代えて、棒状などの他の形の部材を用いてもよい。
【0042】
クランク531に設けられる接続軸532は、クランク531の回転の中心C1から離れて設けられると共に、従動軸43と平行に設けられている。
図3(b)に示すように、クランク531は回転の中心からの距離が異なる接続軸用の取付穴531aを三つ有していて、第二昇降装置50は、異なる長さの三つのリンク部材533を取り付け可能に構成されている。接続軸532の取付位置を変えると共にリンク部材533を取り換えることで、スライダー535が上下に動く距離を変えることができる。
【0043】
ガイド534は、第一支持フレーム11に固定されて上下に並ぶブラケット534Aと、各ブラケット534Aに設けられて上下に離間した軸受部534Bと、を備えている。スライダー535はガイド534によって上下に延びた状態で、クランク531の回転に伴って上下に往復運動を行う。
【0044】
クランク531とリンク部材533とスライダー535とガイド534とが第一支持フレーム11よりも外側に張り出しており、これらはカバー54で覆われている。カバー54はビスなどで取り外し可能に第一支持フレーム11に設けられている。カバー54の上端部は開口を有しており、スライダー535の上端部535Aが開口を通ってカバー54よりも上に突き出ている。フライヤー1では、後述するように、スライダー535の上端部535Aが容器支持部45の端部45Aに当たるように構成されており、好ましくはスライダー535或いは容器支持部45に弾性部材を設けるとよい。例えばゴム製で板状の弾性部材454が容器支持部45の端部45Aに設けられている。
【0045】
(排出装置70)
図4に示すように、排出装置70は、第一支持フレーム11や第二支持フレーム12で支えられた排出シュート71と、排出シュート71の上方で容器30を動かして米菓用生地を容器30から排出する排出機構72と、を備えている。
【0046】
排出機構72は、生地排出用エアシリンダー73と、生地排出用エアシリンダー73のロッド732の先端部とつながり従動軸43に設けられた回転部材74と、一方の端部が回転部材74とつながり他方の端部が容器30の接続部32とつながる棒状の排出用リンク75と、を備えている。
【0047】
生地排出用エアシリンダー73のシリンダー本体731は、第二支持フレーム12に設けた軸に支えられて、従動軸43よりも低いに設けられている。シリンダー本体731の回転の中心をなす軸は、従動軸43と平行に延びている。
【0048】
回転部材74は、従動軸43に取り付けられる回転本体部741と、この回転本体部741から突き出るプレート状の突出部742と、を備えている。
【0049】
回転本体部741はベアリングなどの軸受部741Aを有し、突出部742は従動軸43と平行に延びた二つの軸を有する。突出部742の一方の軸には生地排出用エアシリンダー73の先端部がボールジョイントなどを介して取り付けられ、他方の軸には排出用リンク75の一方の端部がボールジョイントなどを介して取り付けられている。
【0050】
制御部80は、プログラム、これを保存するメモリやハードディスクなどの記憶装置と、演算処理装置と、を有する電子計算機として構成されており、プログラムを実行して、第一原動機41、クラッチ44、第二原動機51、蓋開閉用エアシリンダー62、生地排出用エアシリンダー73の動作を制御する。
【0051】
(動作)
フライヤー1の使用方法について説明する。
図7は、容器30で一度に所定量の米菓用生地を取り扱う1バッチでの製造工程を示す図である。製造工程では、米菓用生地を容器30に入れる投入工程と、米菓用生地を揚げる揚げ工程と、容器30を揚げ位置へ移動する第一移動工程と、米菓用生地に付いた油を切る油切り工程と、容器30を排出位置へ移動する第二移動工程と、揚げた米菓用生地を装置から排出する排出工程と、米菓用生地の排出後に容器30を元の状態に戻す復帰工程と、容器30を油槽20内の原点位置に戻す第三移動工程と、を行う。本実施形態のフライヤー1では、
図8(a)に示すように、容器30が油槽20に入る揚げ位置を、1バッチの製造工程の開始位置と定めて、米菓の製造を行う。
【0052】
(投入工程)
投入工程では、主軸42と従動軸43とがクラッチ44で切り離されている。
図8(a)に示すように、容器支持部45の端部45Aが第二昇降装置50のスライダー535の上端部535Aで支えられていて、容器支持部45の倒伏した状態が保持されている。油槽20に入っている容器30では、蓋可動部334が蓋開閉装置60によって傾いた状態に保持されて生地出入口335が開いている。この状態で、米菓用生地2が供給用ベルトコンベアー81で搬送されて投入用シュート82から生地出入口335へ向けて落下し、容器30の内側に入る。なお、投入工程では、生地排出用エアシリンダー73のロッド732は伸びた状態にある。
【0053】
(揚げ工程)
揚げ工程は、投入工程と同様に、主軸42と従動軸43とがクラッチ44で切り離されている状態で行われる。先ず、制御部80は、
図8(b)に示すように、蓋開閉装置60の蓋開閉用エアシリンダー62が蓋可動部334を動かして生地出入口335を閉じる。次に、制御部80は第二昇降装置50による容器30の上下動を開始する。
第二昇降装置50による容器30の上下動は、
図9(a)に示すように、スライダー535は上端部535Aを容器支持部45の端部45Aに押されている、スライダー535が下死点にある状態から開始する。リンク部材533もクランク531の回転中心まわりで、最も低い位置にある。この状態から第二原動機51が始動すると、
図9(b)及び(c)に示すように、シャフト52及びクランク531の回転に伴い、これに接続軸532を介してつながるリンク部材533と共にこのリンク部材533につながるスライダー535とが上昇し、スライダー535の上端部535Aが容器支持部45の端部45Aを下方から押す。これにより従動軸43周りに容器支持部45が動いて容器30が上昇する。さらに、
図9(d)に示すように、スライダー535の上死点では、カバー54から突き出るスライダー535の長さが最長となり、揚げ工程で容器30も最も高い位置に達する。さらに、シャフト52及びクランク531が回転するにつれて、スライダー535、容器支持部45の端部45A及び容器30が
図9(a)に示すそれぞれの元の低い位置まで下がる。この上昇と下降とを一サイクルとした動作が、揚げ工程ではクランクの回転数、繰り返して行われる。容器30は、例えば少なくとも容器底部311側の一部を油に入れた状態で上下に動き、米菓用生地2も容器30の中で動いて表面全体が油によって加熱される。なお、容器30は、蓋33を油面に平行にした姿勢で上下に動く。
制御部80は第二原動機51の始動から所定の時間を経過した後に、第二原動機51を停止する。第二原動機51の停止状態で、スライダー535を下死点に配置して、揚げ工程が終了する。揚げ工程でも、生地排出用エアシリンダー73のロッド732は伸びた状態にある。
【0054】
(第一移動工程と油切り工程)
第一移動工程では、先ず制御部80は主軸42と従動軸43とをクラッチ44で接続する。次に、
図8(c)に示すように、第一昇降装置40が容器支持部45を動かして、容器30が揚げ位置から油切り位置まで移動する。油切り工程では、第一昇降装置40が容器30を油槽20の上方で吊り下げた状態を保持して、揚げた米菓用生地や容器30に付着した油を油槽20へ落下させる。第一移動工程と油切り工程では、生地排出用エアシリンダー73のロッド732は伸びた状態にある。
【0055】
(第二移動工程と排出工程)
第二移動工程では、
図8(d)に示すように、第一昇降装置40が容器支持部45を動かして、容器30が油切り位置から排出位置まで移動する。排出工程では、容器支持部45が容器30を排出シュート71の上方に保持した状態で、生地排出用エアシリンダー73がロッド732を縮めて、従動軸43に設けた回転部材74と排出用リンク75及び容器30の接続部32を動かす。容器30が容器支持部45の端部45Aで支えられた接続軸453まわりに動き、生地排出用エアシリンダー73の全長が短くなるに従って容器30の傾きが大きくなる。
図8(e)に示すように、容器30が口を横に向けるまで、容器30は生地排出用エアシリンダー73によって軸まわりの位置を変える。この最終位置に至るまでの途中で、蓋開閉装置60の蓋開閉用エアシリンダー62によって可動蓋33が動いて生地出入口335が開き、揚げた米菓用生地2が生地出入口335を通って排出シュート71に落下する。さらに米菓用生地2は排出シュート71を下って、排出用ベルトコンベアー85に移り次の味付け工程へ送られる。
【0056】
(復帰工程と第三移動工程)
復帰工程では、生地排出用エアシリンダー73が、排出工程とは逆の動作としてロッド732を伸ばすことで、容器30が口を上方に向けた元の吊り下げ状態に戻る。次に、第三移動工程では、蓋開閉用エアシリンダー62によって蓋可動部334を傾けて生地出入口335を開けた状態で、容器支持部45が動いて容器30が排出位置から揚げ位置へ移動する。容器支持部45が倒伏すると、容器30が油槽20に入り、容器支持部45の端部45Aがスライダー535の上端部535Aに載る。スライダー535が下死点にある状態で、クランク531或いは接続軸532が最下にあることをセンサーが検出すると、制御部80がクラッチ44で主軸42と従動軸43とを切り離して、第三移動工程が終了する。
【0057】
実施形態のフライヤー1によれば、投入工程と揚げ工程では、第一原動機41側とこれに従動する容器支持部45とはクラッチ44によって動力の伝達が切り離されている。揚げ工程では、容器30を支持する一対の容器支持部45の端部45Aが、下方に設けられる第二昇降装置50のスライダー535の往復運動によって上下に動くことができる。予め設定されたスライダー535の移動可能な距離で、容器30を確実に上下に動かすことができる。
【0058】
本実施形態と比較して、第二昇降装置50に依らずに容器支持部45によって容器30を上下に動かすこととすると、主軸42の回転角度に誤差が生じると、容器支持部45の端部45A側での容器30の位置が当初の設定から大きくずれる恐れがあり好ましくない。
往復スライダークランク機構53のクランク531が複数の取付穴531aを有することで、接続軸532の取付位置を変えると共に、長さの異なるリンク部材533と交換可能に構成されていることで、揚げ工程での容器30の上下のストロークを容易に変更することができる。
往復スライダークランク機構53がカバー54で覆われているので、作業者が往復スライダークランク機構53に接触することを防止できる。
【0059】
(第一変形例)
本発明の実施形態の第一変形例のフライヤー1Aは、前記の実施形態のフライヤー1と比べて、第一昇降装置40Aの構成が異なる。
【0060】
図10(a)に示すように、第一昇降装置40Aは、第一昇降装置40と同様に第一原動機41と主軸42と従動軸43と容器支持部45とを備え、主軸42と従動軸43とを接続するクラッチ44Aが空圧式に構成されており、さらに第一昇降装置40Aは、容器支持部45によって容器30が揚げ位置よりも高い位置に保持されている状態で或いは容器支持部45によって容器30が移動している途中で発生するクラッチ44Aの無空圧状態での容器30の下降を抑える下降抑制部47と、を備えている。
【0061】
図11(a)に示すように、フライヤー1Aの給気系統100は、コンプレッサーなどのエア供給部101からクラッチ44Aへ配管される一次側配管110と、一次側配管110から分岐して蓋開閉用エアシリンダー62及び生地排出用エアシリンダー73へ配管される二次側配管120と、を備える。
先ず、一次側配管110について説明する。一次側配管110は、二次側配管120をつなぐ管継手111の下流側にエア供給部101からの圧縮エアを収容するエア貯蔵部112と、このエア貯蔵部112の下流側に分岐用の管継手113を設けてクラッチ44A側と下降抑制部47側へチューブ114A,114Bを延ばしている。なお、管継手111とエア貯蔵部112との間には、逆流を防止する逆止弁115を設けてもよい。
【0062】
クラッチ44Aとしては、従来市販されているエアクラッチを利用することができ、例えば旭精工株式会社製『ツース形エアクラッチ(CTHP形)』を利用することができる。エアクラッチは、回転自在に設けられたハブと、このハブの外側で回転自在に設けられたドライブディスクと、これらを支えるシリンダーと、を備えている。本実施形態ではエアクラッチのシリンダーがブラケット12Gを介してケース底部に固定されて、クラッチ44Aはケース12Eに収容されている。
主軸42の端部がハブに固定され、従動軸43の一方の端部がドライブディスクに固定されており、コンプレッサーなどのエア供給部101からクラッチ44Aへ所定圧のエアがクラッチ用電磁弁116を経由して供給される。クラッチ用電磁弁116がクラッチ44Aのシリンダーのポートに設けられていて、制御部80がクラッチ用電磁弁116を制御して、クラッチ44Aの状態を切り替える。
【0063】
エア供給部101からの圧縮エアがクラッチ44Aへ流入すると、クラッチ44Aが主軸42と従動軸43とを接続する。この接続状態で容器支持部45を動かして容器30を油槽20に入れる油槽位置、容器30を油槽20の上方に配置する油切り位置、排出シュート71の上方に配置する排出位置の何れかに配置することができる。
【0064】
クラッチ用電磁弁116としては3ポート2位置方向制御型を利用する。
図11(a)に示すようにクラッチ用電磁弁116の励磁前の状態で、エア供給部101側のチューブ114Aにつながる第一ポートA1が遮断され、外部に開放されている第二ポートA2とクラッチ44Aにつながる第三ポートA3への流路がクラッチ用電磁弁116内に形成されている。
図11(b)に示すようにクラッチ用電磁弁116の励磁状態では、エア供給部101側のチューブ114Aにつながる第一ポートA1とクラッチ44Aにつながる第三ポートA3への流路がクラッチ用電磁弁116内で形成され、外部に開放されている第二ポートA2が遮断される。
【0065】
図10(a)及び(b)に示すように下降抑制部47は、クラッチ44Aのドライブディスクから外側へ張り出し回転の中心C2まわりに所定の角度θの間隔で開いた複数の穴471Aを有するプレート部471と、第二支持フレーム12に設けられてプレート部471と対向する下降抑制用エアシリンダー472と、下降抑制用エアシリンダー472のシリンダー本体472A内へのエアの流入を制御する下降制御用電磁弁473と、前記のエア貯蔵部112と、を備えている。
【0066】
下降抑制用エアシリンダー472は、シリンダー本体472Aの内側でスライドするピストン472Bと、ピストン472Bに固定されたロッド472Cと、シリンダー本体472Aの内側に収容されたスプリング(図示省略)と、を有していて、シリンダー本体472Aに設けたポートから内側に流入するエアによってピストン472Bを動かしてロッド472Cをシリンダー本体472Aから押し出すように構成され、さらにエアによる加圧が無くなるとロッド472Cの押し出された部分はスプリングのバイアスによってシリンダー本体472Aに戻される。
【0067】
下降制御用電磁弁473は、下降抑制用エアシリンダー472のポートに設けられており、この下降制御用電磁弁473としては、3ポート2位置方向制御型を利用することができる。
図11(a)に示すように下降制御用電磁弁473の励磁前の状態で、外部に開放した第一ポートB1が閉じ、エア供給部101側のチューブ114Bにつながる第二ポートB2から下降抑制用エアシリンダー472につながる第三ポートへの流路が下降制御用電磁弁473内で形成されている。
図11(b)に示すように下降制御用電磁弁473の励磁状態では、外部に開放されている第一ポートB1と下降抑制用エアシリンダー472側の第三ポートB3への流路が下降制御用電磁弁473内で形成され、エア供給部101側のチューブ114Bにつながる第二ポートB2は下降制御用電磁弁473内で遮断される。
【0068】
下降抑制用エアシリンダー472はケース底部に固定したブラケット12Hに支持されていて、プレート部471と下降制御用電磁弁473とクラッチ用電磁弁116と共に第二支持フレーム12のケース12E内に収容されている。このケース12Eには通気口12Lが設けられている。
【0069】
次に、給気系統100の二次側配管120は、一次側配管110から分岐する管継手111の下流側に調整部121を設けている。調整部121は、制御部80の制御の下、各蓋開閉用エアシリンダー62及び生地排出用エアシリンダー73へ通じるチューブへのエアの流入や排出を制御する。蓋開閉用エアシリンダー62及び生地排出用エアシリンダー73はそれぞれ、下降抑制用エアシリンダー472と異なり2ポート型に構成されていて、図示することを省略するが調整部121から下降抑制用エアシリンダー472へそれぞれ二本のチューブが延びている。
【0070】
制御部80は、米菓用生地の製造工程を行うにあたり、クラッチ用電磁弁116の通電を制御してクラッチ44A内の主軸42と従動軸43との接続状態を切り替える。具体的には、投入工程及び揚げ工程ではクラッチ用電磁弁116は非通電による無励磁状態にあり、これによってクラッチ44Aが主軸42と従動軸43とを切り離しており、この切り離した状態で投入工程等が行われる。一方、第一移動工程からこれに続く第三移動工程ではクラッチ用電磁弁116が通電による励磁状態であり、これによってクラッチ44Aが主軸42と従動軸43とを接続していて、この接続状態で第一移動工程等が行われる。さらに、米菓用生地の製造工程では、制御部80からの通電によって下降制御用電磁弁473は励磁状態に保持されてエア供給部101から下降抑制部47へのエアの流入は遮断されている。
制御部80は、クラッチ用電磁弁116の制御と、下降制御用電磁弁473の制御と、第一原動機41の制御及び/又は第二原動機51の制御と、を並行して行う。
【0071】
以下に、フライヤー1Aに設けた下降抑制部47の動作を、第一昇降装置40Aによって容器30を油切り位置から排出位置へ移動させる途中で、停電が起きた場合を例に説明する。
フライヤー1Aが非通電状態になると、クラッチ44Aにつながるクラッチ用電磁弁116は、
図11(a)に示すように無励磁状態となり、第一ポートA1が閉じてエア供給部101からのエア供給が遮断され、主軸42と従動軸43とがクラッチ44Aで切り離されることになる。これにより、容器30やこれを支える容器支持部45は自重によって下方への力が働く。
【0072】
また、フライヤー1Aが非通電状態になると、
図11(a)に示すように下降制御用電磁弁473が無励磁状態となり、エア供給部101側の第二ポートB2から下降抑制用エアシリンダー472につながる流路が下降制御用電磁弁473内で形成されて、エア貯蔵部112に残る圧縮したエアによってエア供給部101側から下降抑制用エアシリンダー472の内側へエアが流入して、ロッド472Cが外側へ押し出され、
図11(a)に二点鎖線で示すようにロッド472Cがプレート部471の穴471Aの何れかに入る。
【0073】
ロッド472Cが、プレート部471で穴471Aと穴471Aとの間の部分に当たって穴471Aに入らないとしても、給気系統で残った空気圧によってロッド472Cがプレート部471の穴471Aに押され続けて移動してくる穴471Aに進入する。
【0074】
ロッド472Cがプレート部471の穴471Aに入ると、クラッチ44Aのドライブディスクの回転が止まり、その回転角度の位置で容器支持部45及び容器30が保持される。
【0075】
このように本実施形態のフライヤー1Aによれば、空圧式のクラッチ44Aで主軸42と従動軸43とを接続した状態で容器30を移動させ或いは排出位置などの揚げ位置よりも高い位置に容器を保持しているときに、非通電になったとしても、下降抑制用エアシリンダー472からロッド472Cが外に突き出て回転するクラッチ44Aのプレート部471の穴471Aに入り、クラッチ44Aのドライブディスクの動きが停止する。これによって容器30の下降を抑制することができる。
【0076】
(第二変形例)
本発明の実施形態の第二変形例のフライヤー1A′は、前記の実施形態のフライヤー1と比べて、制御部80における第二昇降装置50の制御が異なり、一バッチの製造工程の開始時点において、スライダー535と共に下死点にある容器30を、制御部80が第二昇降装置50を制御して容器30を下死点よりも所定距離上方へ移動させ、
図12(a)に示すように容器30を投入位置に保持した状態で米菓用生地2の容器30への投入が行われる。なお、
図12(a)では容器30を二点鎖線で表している。
【0077】
容器30の投入位置への移動は、クラッチ44で主軸42と従動軸43とが切り離されている状態で行われる。第二昇降装置50が下始点にあるスライダー535を上昇させて、蓋33を油面20Aの上方まで移動させて、蓋33の蓋固定部332や蓋稼働部334が傾いて開いている生地出入口335を油面20Aより高い位置に保持する。なお、
図12(b)では、油槽20内の油をハッチングで表している。この状態で、米菓用生地2が供給用ベルトコンベアー81で搬送されて投入用シュート82から生地出入口335へ向けて落下し、容器30の内側に入る。
【0078】
米菓用生地2の投入が完了した後に、第二昇降装置50によって容器30を投入位置に保持した状態で蓋開閉装置60が蓋可動部334を動かして、生地出入口335を閉じる。なお、
図12(b)では、二点鎖線で生地出入口335を閉じる蓋33を表している。生地出入口335が蓋可動部334で閉じられた後に、第二昇降装置50がスライダー535の往復運動(揚げ工程)を開始し、これによって米菓用生地2が容器30の内側で動き表面の全体が十分に加熱される。
【0079】
このように第二変形例のフライヤー1A′によれば、投入工程で第二昇降装置50によって容器30の蓋33を油槽20の油面20Aよりも高い投入位置に保持した状態で米菓用生地2の容器30へ、米菓用生地2の形を崩さずに投入を行うことができる。第二変形例に対して、例えば油面20Aに蓋の閉じ位置があると、米菓用生地2の投入後に生地出入口335を蓋可動部334で閉じる際に容器本体31と蓋33とで米菓用生地2を挟んでつぶしてしまうような事態が起こり得る。
【0080】
本発明は前記の実施形態に限らず実施をすることができる。
例えば第一変形例では、空圧式のクラッチに代えて、電磁式のクラッチ等を用いることができる。この場合、プレート部471を電磁式クラッチの従動軸側に設け、無励磁への状態変化の際に下降抑制部472を作動させて、容器の下降を抑制する。
エアを下降抑制部472へ供給する給気系統としては、コンプレッサーなどのエア供給部を設けずに、圧縮空気を貯蔵したボンベをエア貯蔵部として利用してもよい。
また、非通電状態などで主軸と従動軸とを接続するタイプのクラッチを利用することもできる。
実施形態では、スライダーが当たる容器支持部の当接部として、容器支持部の先端部を例示したが、容器に当たる、或いは容器支持部や容器から張り出すプレート等を当接部として利用してもよい。
ギアを備えた減速機を介さずに、第一原動機の原動軸をクラッチに接続してもよい。
下降抑制部のプレート部に設ける穴は、図示のようにプレート部を貫通した形状に限らず、窪んだ部分として形成されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 フライヤー
20 油槽
201 口
30 容器
311A 貫通孔
40 第一昇降装置
41 第一原動機
42 主軸
43 従動軸
44,44A クラッチ
45 容器支持部
45A 端部
454 男性部材
47 下降抑制部
471 プレート部
472 下降抑制用エアシリンダー
473 下降抑制用電磁弁
50 第二昇降装置
51 第二原動機
52 シャフト
52A 端部
53 往復スライダークランク機構
531 クランク
532 接続軸
533 リンク部材
534 ガイド
535 スライダー
535A 端部
54 カバー
60 蓋開閉装置
70 排出装置
80 制御部
100 給気系統
101 エア供給部
110 一次側配管
112 タンク
115 逆止弁
116 クラッチ用電磁弁
120 二次側配管
C 中心
θ 間隔(角度)