(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114590
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】搬送ロボット及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20230810BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B61B13/00 J
B65G1/04 555A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016994
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛山 貴生
【テーマコード(参考)】
3D101
3F022
【Fターム(参考)】
3D101BA03
3D101BB12
3D101BB16
3D101BB34
3D101BC02
3F022AA02
3F022CC05
3F022DD01
3F022EE01
3F022LL12
3F022LL19
3F022MM03
(57)【要約】
【課題】高低差付昇降機構が設けられていない構造体で昇降可能な搬送ロボット及び搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送ロボット1は、本体2と、一対のレール111に対し転動可能である一対の車輪31と、上下方向において一対のレール111と重なる支持位置と一対のレール111の間に位置する退避位置との間を旋回可能に設けられる荷台4と、本体2と荷台4との間に位置するとともに第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる被旋回部材6と、荷台4又は被旋回部材6を旋回させる旋回アクチュエータ5と、本体2と被旋回部材6とを接続するとともに退避位置に旋回された荷台4を昇降可能に設けられる昇降機構7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレールが間隔を空けて複数対配列される昇降領域を有する構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数対配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに昇降動作時において間隔を空けて複数対配列される各レール間を昇降する搬送ロボットであって、
本体と、
一対の前記レールに対し転動可能に前記本体に設けられる一対の車輪と、
前記本体の上方に位置するとともに、上下方向において一対の前記レールと重なる支持位置と一対の前記レールの間に位置する退避位置との間を切替可能に設けられる荷台と、
前記荷台を支持位置と退避位置との間を切り替える位置切替機構と、
前記本体と前記荷台との間に位置するとともに上下方向を中心として第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる被駆動部材と、
前記被駆動部材を旋回させるように前記荷台と接続される旋回駆動部と、
前記本体と前記被駆動部材とを接続するとともに退避位置に切り替えられた前記荷台を昇降可能に設けられる昇降機構と、を備え、
前記位置切替機構により支持位置に切り替えられた前記荷台が一対の前記レールに支持されるとともに、前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第2旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が一対の前記レールの間に位置する昇降位置に位置する場合に、前記本体及び一対の前記車輪は、前記昇降機構によって各レール間を昇降し、
前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第1旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置に位置するように一対の前記レールに載置されるとともに、前記荷台が前記位置切替機構により退避位置に切り替えられる場合に、前記荷台は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する、
搬送ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送ロボットであって、
前記昇降機構は、
前記被駆動部材及び前記本体のうちのいずれか一方に設けられる昇降駆動部と、
前記被駆動部材及び前記本体のうちのいずれか他方と前記昇降駆動部とを接続する伸縮部材と、を有する、
搬送ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の搬送ロボットであって、
前記位置切替機構は、前記旋回駆動部によって構成され、
前記旋回駆動部は、前記被駆動部材と前記荷台との間に位置し、一対の前記車輪が一対の前記レールに載置される場合に前記荷台を上下方向を中心として支持位置と退避位置との間を旋回させる、
搬送ロボット。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の搬送ロボットであって、
前記荷台に設けられる一対の荷台位置調整ガイドローラをさらに備え、
前記荷台が退避位置に位置する場合に、一対の前記荷台位置調整ガイドローラは、一対の前記レールと当接不能であり、
前記荷台が支持位置に位置する場合に、一対の前記荷台位置調整ガイドローラは、一対の前記レールと当接可能である、
搬送ロボット。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の搬送ロボットであって、
前記本体に設けられる一対の本体位置調整ガイドローラをさらに備え、
一対の前記車輪が昇降位置に位置する場合に、一対の前記本体位置調整ガイドローラは、一対の前記レールと当接不能であり、
一対の前記車輪が走行位置に位置する場合に、一対の前記本体位置調整ガイドローラは、一対の前記レールと当接可能である、
搬送ロボット。
【請求項6】
一対のレールが間隔を空けて複数対配列される昇降領域を有する構造体と、
前記構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数対配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに、昇降動作時において間隔を空けて複数対配列される各レール間を昇降する搬送ロボットと、を備える搬送システムであって、
前記搬送ロボットは、
本体と、
一対の前記レールに対し転動可能に前記本体に設けられる一対の車輪と、
前記本体の上方に位置するとともに、上下方向において一対の前記レールと重なる支持位置と一対の前記レールの間に位置する退避位置との間を切替可能に設けられる荷台と、
前記荷台を支持位置と退避位置との間を切り替える位置切替機構と、
前記本体と前記荷台との間に位置するとともに上下方向を中心として第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる被駆動部材と、
前記被駆動部材を旋回させるように前記荷台と接続される旋回駆動部と、
前記本体と前記被駆動部材とを接続するとともに退避位置に切り替えられた前記荷台を昇降可能に設けられる昇降機構と、を備え、
前記位置切替機構により支持位置に切り替えられた前記荷台が一対の前記レールに支持されるとともに、前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第2旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が一対の前記レールの間に位置する昇降位置に位置する場合に、前記本体及び一対の前記車輪は、前記昇降機構によって各レール間を昇降し、
前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第1旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置に位置するように一対の前記レールに載置されるとともに、前記荷台が前記位置切替機構により退避位置に切り替えられる場合に、前記荷台は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する、
搬送システム。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送システムであって、
前記昇降領域は、順に上下方向に沿って平行に配列される一対の上段レール、一対の中段レール及び一対の下段レールを有する平行昇降領域を備え、
前記荷台が一対の前記上段レールに支持された状態では、一対の前記車輪は、前記昇降機構によって一対の前記中段レール及び一対の前記下段レールの間を昇降する、
搬送システム。
【請求項8】
請求項6に記載の搬送システムであって、
前記昇降領域は、順に上下方向に沿って配列される一対の上段レール、一対の中段レール及び一対の下段レールを有する交差昇降領域を備え、
一対の前記上段レールと一対の前記中段レールとは、平行に配列され、
一対の前記中段レールと一対の前記下段レールとは、平面視にて交差となるように配列され、
前記荷台が一対の前記上段レールに支持された状態では、一対の前記車輪は、前記昇降機構によって一対の前記中段レール及び一対の前記下段レールの間を昇降する、
搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ロボット及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水平レールが上下に複数対配列される構造体と、水平レールに沿って走行可能な搬送ロボットと、を備える出庫システムが開示されている。構造体において、搬送ロボットは、複数対の水平レールに交差して設けられる傾斜部や垂直レールを通じて他の水平レールに昇降することができる。ランプは、移動ロボットのスプロケット歯車に噛合して吊り上げるチェーンを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の出庫システムでは、搬送ロボットを昇降させるために、構造体に傾斜部や垂直レール等の高低差付昇降機構を設ける必要がある。このため、構造体の構成が複雑となる。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、この問題点に着目してなされたものであり、高低差付昇降機構が設けられていない構造体で昇降可能な搬送ロボット及び搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、一対のレールが間隔を空けて複数対配列される昇降領域を有する構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数対配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに昇降動作時において間隔を空けて複数対配列される各レール間を昇降する搬送ロボットであって、本体と、一対の前記レールに対し転動可能に前記本体に設けられる一対の車輪と、前記本体の上方に位置するとともに、上下方向において一対の前記レールと重なる支持位置と一対の前記レールの間に位置する退避位置との間を切替可能に設けられる荷台と、前記荷台を支持位置と退避位置との間を切り替える位置切替機構と、前記本体と前記荷台との間に位置するとともに上下方向を中心として第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる被駆動部材と、前記被駆動部材を旋回させるように前記荷台と接続される旋回駆動部と、前記本体と前記被駆動部材とを接続するとともに退避位置に切り替えられた前記荷台を昇降可能に設けられる昇降機構と、を備え、前記位置切替機構により支持位置に切り替えられた前記荷台が一対の前記レールに支持されるとともに、前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第2旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が一対の前記レールの間に位置する昇降位置に位置する場合に、前記本体及び一対の前記車輪は、前記昇降機構によって各レール間を昇降し、前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第1旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置に位置するように一対の前記レールに載置されるとともに、前記荷台が前記位置切替機構により退避位置に切り替えられる場合に、前記荷台は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する搬送ロボットが提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、一対のレールが間隔を空けて複数対配列される昇降領域を有する構造体と、前記構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数対配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに、昇降動作時において間隔を空けて複数対配列される各レール間を昇降する搬送ロボットと、を備える搬送システムであって、前記搬送ロボットは、本体と、一対の前記レールに対し転動可能に前記本体に設けられる一対の車輪と、前記本体の上方に位置するとともに、上下方向において一対の前記レールと重なる支持位置と一対の前記レールの間に位置する退避位置との間を切替可能に設けられる荷台と、前記荷台を支持位置と退避位置との間を切り替える位置切替機構と、前記本体と前記荷台との間に位置するとともに上下方向を中心として第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる被駆動部材と、前記被駆動部材を旋回させるように前記荷台と接続される旋回駆動部と、前記本体と前記被駆動部材とを接続するとともに退避位置に切り替えられた前記荷台を昇降可能に設けられる昇降機構と、を備え、前記位置切替機構により支持位置に切り替えられた前記荷台が一対の前記レールに支持されるとともに、前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第2旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が一対の前記レールの間に位置する昇降位置に位置する場合に、前記本体及び一対の前記車輪は、前記昇降機構によって各レール間を昇降し、前記被駆動部材が前記旋回駆動部により第1旋回位置に旋回されることで一対の前記車輪が上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置に位置するように一対の前記レールに載置されるとともに、前記荷台が前記位置切替機構により退避位置に切り替えられる場合に、前記荷台は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する搬送システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
これらの態様によれば、高低差付昇降機構が設けられていない構造体で昇降可能な搬送ロボット及び搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る搬送システムを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、変形例に係る構造体を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、搬送システムを構成する搬送ロボットを示す第1斜視図である。
【
図4】
図4は、搬送ロボットを示す第2斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、搬送ロボットがレールに沿って走行する第1斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、搬送ロボットがレールに沿って走行する第2斜視図である。
【
図6】
図6は、レール平行昇降領域において荷台が退避位置から支持位置に旋回して一対の上段レールに支持された状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、レール平行昇降領域において車輪が走行位置から昇降位置に旋回して搬送ロボットが荷台を通じて一対の上段レールに支持された状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、レール平行昇降領域において車輪が一対の下段レールに下降した状態を示す第1斜視図である。
【
図9】
図9は、レール平行昇降領域において車輪が昇降位置から走行位置に旋回して一対の下段レールに載置された状態を示す第1斜視図である。
【
図10】
図10は、レール平行昇降領域において荷台が支持位置から退避位置に旋回した状態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、レール平行昇降領域において荷台が下降した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、レール交差昇降領域において荷台が一対の上段レールに対する支持位置から一対の上段レールに対する退避位置に旋回した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、レール交差昇降領域において荷台が一対の上段レールに上昇した状態を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、レール交差昇降領域において荷台が一対の上段レールに対する退避位置から一対の上段レールに対する支持位置に旋回して一対の上段レールに支持された状態を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、レール交差昇降領域において車輪が一対の下段レールに対する走行位置から一対の下段レールに対する昇降位置に旋回して搬送ロボットが荷台を通じて一対の上段レールに支持された状態を示す図である。
【
図16】
図16は、レール交差昇降領域において車輪が所定高度に上昇した状態を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、レール交差昇降領域において車輪が一対の中段レールに対する走行位置から一対の中段レールに対する昇降位置に旋回した状態を示す図である。
【
図18】
図18は、レール交差昇降領域において車輪が一対の中段レールに上昇した状態を示す図である。
【
図19】
図19は、レール交差昇降領域において車輪が一対の上段レールに対する昇降位置から一対の上段レールに対する走行位置に旋回して一対の中段レールに支持された状態を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、レール交差昇降領域において荷台が一対の上段レールに対する支持位置から一対の上段レールに対する退避位置に旋回した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と称する。)について説明する。なお、本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
(搬送システムの構成)
まず、
図1を参照しながら本実施形態に係る搬送システム100について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る搬送システム100を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る搬送システム100は、一対のレール111が間隔を空けて複数対配列される昇降領域11を有する構造体10と、走行用レールとしてのレール111を走行可能な搬送ロボット1と、を備える。
【0014】
搬送システム100は、例えば、寿司屋等の飲食店に設置され、客席及び厨房を構造体10によって連通するものである。具体的には、搬送システム100は、寿司等の料理を載せる食器Wとしての皿が載置される搬送ロボット1を、例えば顧客が視認可能なレール111に沿って走行させることによって料理を厨房からホールに提供し、その後、搬送ロボット1を昇降領域11で昇降させて、空き皿を載置してから例えば顧客が視認不能な他のレール111に沿って走行させることによって空き皿をホールから厨房に回収する。
【0015】
このように、料理提供及び食器回収は、搬送システム100を用いて行われるため、飲食店の従業員を減らし、人件費の削減に寄与することができる。また、料理提供の搬送及び食器回収の搬送は、それぞれ搬送ロボット1を顧客視認可能なレール111及び顧客視認不能な他のレール111に走行させることによって行われるため、料理提供の搬送及び食器回収の搬送が搬送ロボットを同一のレールに走行させることによって行われるものに比べ、搬送システムの衛生性及び美観性を向上させることができる。
【0016】
本実施形態では、搬送システム100は、飲食店に設置されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、物流の分配を行う物流倉庫に設置されてもよい。
【0017】
(構造体の構成)
次に、
図1を参照しながら搬送システム100の一部を構成する構造体10について説明する。
【0018】
図1において、構造体10の長手方向、幅方向及び上下方向を、それぞれX軸に沿う方向、Y軸に沿う方向及びZ軸に沿う方向とする。以下、説明の便宜上、構造体10の長手方向、幅方向及び上下方向を単に長手方向、幅方向及び上下方向とも称する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る構造体10は、搬送ロボット1が昇降可能な昇降領域11を有する。昇降領域11は、レール平行昇降領域としての第1昇降領域12(
図1において破線で囲まれた領域)及びレール交差昇降領域としての第2昇降領域13(
図1において一点鎖線で囲まれた領域)を有する。なお、第1昇降領域12と第2昇降領域13とは、一部が重なるように形成されてもよいし、重ならないように形成されてもよい。
【0020】
第1昇降領域12は、搬送ロボット1に上下方向に沿って平行に配列される複数対(ここでは、二対)のレール111(走行用レール111)間を昇降させるとともに、搬送ロボット1を複数対のレール111のうちのいずれ一対のレール111(走行用レール111)の延在方向に沿って走行させる領域である。第1昇降領域12は、先行技術のようなランプや垂直レール等の高低差付昇降機構を有しておらず、上下方向に沿って平行に配列される複数対(ここでは、三対)のレール111(一対の第1昇降領域上段レールとしての一対の第1レール111A,一対の第1昇降領域中段レールとしての一対の第2レール111B,一対の第1昇降領域下段レールとしての一対の第3レール111C)と、上下方向に沿って延在するとともに複数対のレール111を支持する複数の支持枠(図示しない)と、を有する。本実施形態では、第1レール111A、第2レール111B及び第3レール111Cは、長手方向に沿って延在するように平行に配列される。
【0021】
図1に示すように、一対の第2レール111Bと一対の第3レール111Cとの間の間隔は、一対の第1レール111Aと一対の第2レール111Bとの間の間隔よりも大きい。本実施形態では、一対の第1レール111Aは、昇降用レールのみとして用いられ、一対の第2レール111B及び一対の第3レール111Cは、走行用レールのみとして用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1昇降領域12における全てのレール111は、走行用レール及び昇降用レールの両方として用いられてもよい。この場合に、各レール111間の間隔は、同一であることが好ましい。
【0022】
第2昇降領域13は、搬送ロボット1に上下方向に沿って交差となるように配列される複数対(ここでは、二対)のレール(走行用レール111)間を昇降させる領域である。
【0023】
第2昇降領域13は、先行技術のようなランプや垂直レール等の高低差付昇降機構を有しておらず、上下方向に沿って配列される複数対(ここでは、三対)のレール111(一対の第2昇降領域上段レールとしての一対の第4レール111D、一対の第2昇降領域中段レールとしての一対の第5レール111E、一対の第2昇降領域下段レールとしての一対の第2レール111B)と、上下方向に沿って延在するとともに複数対のレール111を支持する複数の支持枠(図示しない)と、を有する。
【0024】
図1に示すように、一対の第4レール111Dと一対の第5レール111Eとは、幅方向に沿って延在するように平行に配列される。一方、一対の第5レール111Eと一対の第2レール111Bとは、平面視にて交差となるように配列される。
【0025】
また、
図1に示すように、一対の第5レール111Eと一対の第2レール111Bとの間の間隔は、一対の第4レール111Dと一対の第5レール111Eとの間の間隔よりも大きい。本実施形態では、一対の第4レール111Dは、昇降用レールのみとして用いられ、一対の第5レール111E及び一対の第2レール111Bは、走行用レールのみとして用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、第2昇降領域13における全てのレール111は、走行用レール及び昇降用レールの両方として用いられてもよい。この場合に、各レール111間の間隔は、同一であることが好ましい。
【0026】
このように、昇降領域11は、第1昇降領域12及び第2昇降領域13によって構成されるため、昇降領域11における搬送ロボット1の三次元的搬送を実現することができる。
【0027】
本実施形態では、昇降領域11は、第1昇降領域12及び第2昇降領域13から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1昇降領域12のみから構成されてもよい。この場合に、昇降領域11における搬送ロボット1の三次元的搬送を実現することができない。
【0028】
本実施形態では、複数対のレール111は、水平に沿って延在するように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、水平面に対し僅かに傾斜して延在するように設けられてもよい。この場合に、高低差を有する場所間の搬送を搬送システム100によって行うことができる。
【0029】
また、本実施形態では、複数対のレール111は、直線状に延在して設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、湾曲して延在するように設けられてもよい。この場合に、直線上にない場所間の搬送を搬送システム100によって行うことができる。
【0030】
各レール111は、例えば正面視にて矩形状に形成される。各レール111は、搬送ロボット1の後述する車輪31(
図3及び
図4参照)を載置可能な載置面112と、対となるレール111と対向する対向面113と、を有する。
【0031】
載置面112は、平坦面に形成される。平坦面としての載置面112は、搬送ロボット1の車輪31が転動可能な平滑度を有する。対向面113は、荷台位置調整ガイドローラ41又は本体位置調整ガイドローラ23(
図3及び
図4参照)の外周縁と当接可能に設けられる。これにより、搬送ロボット1の走行動作時において本体位置調整ガイドローラ23は、外周縁が対向面113と当接するため、車輪31の位置を載置面112上に規制することができるため、車輪31が載置面112から脱落することを防止することができる。
【0032】
そして、一対の上段レール(例えば、第1レール111Aの載置面112)と一対の下段レール(例えば、第3レール111Cの載置面112)との間の間隔を所定間隔以下に設定すれば足りる。そして、一対の上段レール(例えば、第1レール111Aの載置面112)と一対の下段レール(例えば、第3レール111Cの載置面112)との間の間隔が所定間隔を超えると、搬送ロボット1がレール111間を昇降できなくなる。すなわち、レール111間の間隔が所定間隔を超える箇所があれば、当該箇所は、構造体10の昇降領域11に属しない。換言すれば、レール111間の間隔が所定間隔以下である箇所は、すべて昇降領域11に属する。なお、「所定間隔」の詳細については後述する。
【0033】
(変形例の構造体)
次に、
図2を参照しながら変形例に係る構造体10について説明する。なお、本第1変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0034】
図2は、第1変形例の構造体10を示す概略構成図である。
【0035】
上述した実施形態では、構造体10は、昇降領域11のみから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図2に示すように、複数(ここでは、二つ)の昇降領域11と、複数の昇降領域11を連通する非昇降領域14とから構成されてもよい。
【0036】
この場合に、各昇降領域11(すなわち、第1昇降領域12)は、上下方向に沿って平行に配列される一対の第1レール111A、一対の第2レール111B及び一対の第3レール111Cを有する。一方、非昇降領域14は、上下方向に沿って平行に配列される一対の第1連通レール141及び一対の第2連通レール142のみを有する搬送路である。
【0037】
第1連通レール141は、離間して設けられる第2レール111Bを連通するとともに、第2連通レール142は、離間して設けられる複数の第3レール111Cを連通する。すなわち、第1連通レール141の両端には、第2レール111Bが接続されるとともに、第2連通レール142の両端には、第3レール111Cが接続される。
【0038】
変形例のように、構造体10に搬送路としての非昇降領域14を適宜設けることによって、非昇降領域14が設けられず昇降領域11が設けられる構造体10に比べ、不要な搬送用レールを削減することができる。この結果、構造体10の簡素化及び軽量化を図ることができる。
【0039】
(搬送ロボットの構成)
次に、
図1、
図3及び
図4を参照しながら搬送システム100の他の一部を構成する搬送ロボット1について説明する。
【0040】
図3は、搬送ロボット1を示す斜視図である。
図4は、搬送ロボット1を示す第2斜視図である。なお、
図3及び
図4において、構造体10を省略している。
【0041】
図1に示すように、本実施形態に係る搬送ロボット1は、搬送ロボット1の走行動作時(以下、単に走行動作時とも称する。)において一対のレール111を走行するとともに、搬送ロボット1の昇降動作時(以下、単に昇降動作時とも称する。)において構造体10の昇降領域11に間隔を空けて複数対配列される各レール111間を昇降する搬送体である。
図3及び
図4に示すように、搬送ロボット1は、本体2、走行機構3、荷台4、旋回駆動部としての旋回アクチュエータ5、被駆動部材としての被旋回部材6、一対の昇降機構7、コントローラ8及び電源9を備える。
【0042】
本体2は、長手方向及び幅方向の両方に沿って延在する矩形状のベース部材である。本体2(具体的には、本体2の上面)には、走行機構3の後述する走行駆動部としての走行アクチュエータ32の動作、旋回アクチュエータ5、昇降機構7の後述する昇降駆動部としての昇降アクチュエータ71及びを制御するコントローラ8と、走行アクチュエータ32、旋回アクチュエータ5及び昇降アクチュエータ71へ電力を供給する電源9とが搭載される。
【0043】
そして、搬送ロボット1は、コントローラ8の制御によって、一対のレール111を走行する走行動作と、間隔を空けて複数対配列されるレール111間を昇降する昇降動作と、を実行することができる。
【0044】
昇降動作時において、本体2は、一対のレール111と干渉することなく、一対のレール111間を通過することができるため、間隔を空けて複数対配列されるレール111間を昇降することができる。
【0045】
本体2は、車輪31としての駆動輪311の駆動シャフト311a(後述する)を回転可能に支持する一対の駆動輪軸受21と、車輪31としての従動輪312の従動シャフト(図示しない/後述する)を回転可能に支持する一対の従動輪軸受22と、外周縁が一対のレール111の対向面113と当接可能な複数対(ここでは、三対)の本体位置調整ガイドローラ23と、本体2の上面から突出するように昇降機構7の後述する一対の下リンク722の下端とヒンジ接続される一対の接続片24と、を有する。
【0046】
一対の駆動輪軸受21及び一対の従動輪軸受22は、本体2の四隅に位置するように本体2の上面に設けられる。複数対の本体位置調整ガイドローラ23は、車輪31が設けられる本体2の両側から突出するとともに上下方向を中心として回転可能であるように本体2の下面に設けられる。
【0047】
走行機構3は、搬送ロボット1をレール111に走行させる機構である。走行機構3は、駆動シャフト311aが回転可能に一対の駆動輪軸受21に支持される一対の駆動輪311と、従動シャフトが回転可能に一対の従動輪軸受22に支持される一対の従動輪312と、本体2の上面に設けられ一対のレール111に対し一対の駆動輪311を転動させることによって本体2を走行させる走行アクチュエータ32と、走行アクチュエータ32の駆動力を駆動シャフト311aへ伝達する伝達機構33と、を有する。
【0048】
走行アクチュエータ32は、電気、エア又は油圧等を用いて駆動輪311を駆動させるための駆動部である。本実施形態では、走行アクチュエータ32は、モータにより構成される。走行アクチュエータ32は、時計回り及び反時計回りの両方に回転可能に設けられる走行駆動軸を有し、伝達機構33は、走行アクチュエータ32の走行駆動軸の回転による駆動力を駆動シャフト311aへ伝達する。これにより、搬送ロボット1の前進走行又は後退走行の走行動作を実現することができる。
【0049】
荷台4は、本体2の上方に位置する矩形状の板部材である。荷台4は、上下方向を中心として、上下方向において一対のレール111と重なる支持位置(
図6参照)と一対のレール111の間に位置する退避位置(
図5A参照)との間を旋回可能に設けられる。荷台4には、物品としての食器Wが載置される。
【0050】
荷台4は、外周縁が一対のレール111の対向面113と当接可能な一対の荷台位置調整ガイドローラ41を有する。一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、上下方向を中心として回転可能であるように荷台4の下面に設けられる。そして、一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、荷台4が退避位置に旋回される場合に、長手方向に沿って配列される(
図4及び
図5A参照)。この際に、一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、外周縁が一対のレール111の対向面113と当接することができない。
【0051】
昇降動作時において、荷台4は、一対のレール111の間に位置する退避位置に旋回されるため、一対のレール111と干渉することなく、一対のレール111間を通過することができるため、間隔を空けて複数対配列されるレール111間を昇降することができる。
【0052】
一方、荷台4が退避位置から支持位置に90°旋回される場合に、一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、幅方向に沿って配列される。この際に、一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、外周縁が一対のレール111の対向面113と当接することができる。
【0053】
そして、荷台4が退避位置から支持位置に90°旋回されて一対のレール111に支持される場合に、車輪31が一対のレール111から離間しても、搬送ロボット1は、荷台4を通じて一時的に一対のレール111に支持される(
図7参照)。これにより、昇降動作時において、車輪31が一対のレール111から離間する場合であっても、退避位置から支持位置に切り替えることで搬送ロボット1を一時的に一対のレール111に支持する支持機構を別途搬送ロボット1に設ける必要がなく、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。このため、搬送ロボット1の簡易化及び低コスト化を図ることができる。
【0054】
位置切替機構としての旋回アクチュエータ5は、電気、エア又は油圧等を用いて荷台4を旋回させるための駆動部である。本実施形態では、旋回アクチュエータ5は、モータにより構成される。旋回アクチュエータ5は、荷台4の下方、かつ、被旋回部材6の上方に位置するように設けられる。また、旋回アクチュエータ5は、被旋回部材6を旋回させるための駆動部である。このように、旋回アクチュエータ5は、荷台4及び被旋回部材6の両方を旋回させるため、位置切替機構と旋回アクチュエータ5との統合を図ることができる。この結果、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。よって、搬送ロボット1の簡易化及び低コスト化を図ることができる。
【0055】
旋回アクチュエータ5は、上下方向に沿って延在するとともに時計回り及び反時計回りの両方に旋回可能に設けられる一対の旋回駆動軸(図示しない)を有する。一方の旋回駆動軸は、旋回アクチュエータ5の上面から突出するとともに荷台4と接続される。これにより、旋回アクチュエータ5は、荷台4を支持位置と退避位置との間に旋回させることができる。他方の旋回駆動軸は、旋回アクチュエータ5の下面から突出するとともに被旋回部材6と接続される。これにより、旋回アクチュエータ5は、被旋回部材6を第1旋回位置及び第2旋回位置の間に旋回させることができる。
【0056】
被旋回部材6は、本体2と荷台4との間に位置する長尺状の板部材である。被旋回部材6は、上下方向を中心として第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる。また、被旋回部材6は、第1旋回位置と第2旋回位置との間に旋回されても一対の荷台位置調整ガイドローラ41と干渉しないように一対の荷台位置調整ガイドローラ41の間に位置する。
【0057】
被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回される場合に、被旋回部材6は、長手方向に沿って延在するように設けられる。一方、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置から第2旋回位置に90°旋回される場合に、被旋回部材6は、幅方向に沿って延在するように設けられる。
【0058】
一対の昇降機構7は、本体2又は荷台4を昇降させるための機構である。一対の昇降機構7は、本体2と被旋回部材6とを接続する。また、一対の昇降機構7は、被旋回部材6の両端(具体的には、両端の上面)に設けられる一対の昇降アクチュエータ71と、一対の昇降アクチュエータ71と一対の接続片24とをそれぞれ接続する一対の伸縮部材72と、を有する。
【0059】
一対の昇降アクチュエータ71を、本体2ではなく、被旋回部材6に設けることにより、一対の昇降アクチュエータ71による荷重を、本体2ではなく、被旋回部材6にかけることができるため、荷重が本体2に集中してしまうことを回避することができる。この結果、本体2を昇降させるための昇降アクチュエータ71の駆動力を小さくすることができるため、昇降アクチュエータ71に対する出力要求を低減させることができる。また、一対の昇降アクチュエータ71を設けるための本体2の上面の設置スペースを確保する必要がなく、本体2の設置レイアウトの自由度を高めることができる。
【0060】
各昇降アクチュエータ71は、電気、エア又は油圧等を用いて各伸縮部材72の後述する各上リンク721を旋回させるための駆動部である。本実施形態では、各昇降アクチュエータ71は、モータにより構成される。各昇降アクチュエータ71は、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回される場合に、幅方向に沿って延在するとともに時計回り及び反時計回りの両方に旋回可能に設けられる昇降駆動軸(図示しない)を有する。すなわち、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置から第2旋回位置に90°旋回される場合に、昇降駆動軸は、長手方向に沿って延在する。
【0061】
具体的には、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回される場合に、一方の昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸は、幅方向の一方に沿って延在するとともに、他方の昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸は、幅方向の他方に沿って延在する。すなわち、一方の昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸と他方の昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸とは、反対方向に向かって延在する。
【0062】
各伸縮部材72は、上端が昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸とヒンジ接続される長尺状の上リンク721と、上端が上リンク721の下端とヒンジ接続されるとともに下端が接続片24とヒンジ接続される長尺状の下リンク722と、を有する。
【0063】
上述のように、一方の昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸と他方の昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸とは、反対方向に向かって延在する。そして、一対の昇降アクチュエータ71の昇降駆動軸とヒンジ接続するため、一対の上リンク721は、被旋回部材6の両側に設けられる。同様に、一対の下リンク722も、被旋回部材6の両側に設けられる。
【0064】
このように、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回される場合に、幅方向において、一対の伸縮部材72(一対の上リンク721及び一対の下リンク722)をずらして設けることにより、伸縮部材72の伸縮時において、一対の伸縮部材72の干渉を回避することができる。
【0065】
一対の伸縮部材72は、一対の昇降アクチュエータ71により上下方向に沿って伸縮する。具体的には、一対の伸縮部材72は、一対の上リンク721がそれぞれ一対の昇降アクチュエータ71によりそれぞれ一対の昇降駆動軸と一体に旋回し、一対の下リンク722がそれぞれ一対の上リンク721の旋回に連動して旋回されるように構成される。
【0066】
より具体的には、一対の伸縮部材72が伸長する場合に、一対の上リンク721及び一対の下リンク722は、上下方向に沿って延在するように一対の昇降アクチュエータ71により旋回される。
【0067】
一方、一対の伸縮部材72が収縮する場合に、一方の上リンク721は、他方の上リンク721とヒンジ接続される他方の昇降アクチュエータ71に近接して水平状態となるように一方の昇降アクチュエータ71により旋回されるとともに、他方の上リンク721は、一方の上リンク721とヒンジ接続される一方の昇降アクチュエータ71に近接して水平状態となるように他方の昇降アクチュエータ71により旋回される。これにより、一対の上リンク721と一対の下リンク722とは、それぞれ折り畳まれる。
【0068】
上述した「所定間隔」とは、一対の上リンク721及び一対の下リンク722が上下方向に沿って延在するように一対の昇降アクチュエータ71により旋回される場合(すなわち、伸縮部材72が伸長し切る場合)に、荷台4の下面と車輪31の下面との間の間隔である。
【0069】
そして、一対の第1レール111Aの載置面112と一対の第3レール111Cの載置面112との間の間隔を所定間隔以下に設定すれば、荷台4を一対の第1レール111Aの載置面112に載置させることができるため、搬送ロボット1は、レール111間を昇降することができる。
【0070】
上述のように、一対の昇降機構7は、本体2と被旋回部材6とを接続するため、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により旋回される場合に、一対の昇降機構7が被旋回部材6の旋回に連動して旋回され、一対の昇降機構7と接続される本体2は、一対の昇降機構7の旋回に連動して旋回される。すなわち、本体2は、昇降機構7を通じて接続される被旋回部材6の旋回と連動して旋回される。
【0071】
被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回される場合に、本体2は、車輪31が走行位置に位置する車輪走行位置に旋回される(
図5A及び
図5B参照)。すなわち、被旋回部材6の第1旋回位置は、車輪31の走行位置と対応する。ここで、「走行位置」とは、一対の車輪31が上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる位置である。この際に、一対の車輪31及び本体2は、幅方向に沿って配列される。
【0072】
一方、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置から第2旋回位置に90°旋回される場合に、本体2は、一対の車輪31が昇降位置に位置する車輪昇降位置に旋回される(
図7参照)。すなわち、被旋回部材6の第2旋回位置は、一対の車輪31の昇降位置と対応する。ここで、「昇降位置」とは、一対の車輪31が一対のレール111の間に位置する位置である。この際に、一対の車輪31及び本体2は、長手方向に沿って配列される。
【0073】
昇降動作時において、車輪31は、一対のレール111と干渉することなく、一対のレール111間を通過することができるため、間隔を空けて複数対配列されるレール111間を昇降することができる。
【0074】
(搬送ロボットの走行動作)
次に、
図5A及び
図5Bを参照しながら搬送ロボット1が実行する走行動作について説明する。
【0075】
図5Aは、搬送ロボット1がレール111に沿って走行する第1斜視図である。
図5Bは、搬送ロボット1がレール111に沿って走行する第2斜視図である。
【0076】
図5Aに示すように、走行動作時において、搬送ロボット1は、伸縮部材72(
図3及び
図4参照)が収縮して扁平状態となって構造体10のレール111に沿って走行する。これにより、走行動作時において扁平状態となっていない搬送ロボット1に比べ、荷台4の上方に位置する載置領域を大きく確保することができる。この結果、複数の搬送ロボット1がそれぞれ上下異なるレール111を走行する際に、第3レール111Cを走行する搬送ロボット1の荷台4に載置される食器Wと第2レール111Bを走行する搬送ロボット1とが干渉することを回避しやすくなる。
【0077】
この場合に、搬送ロボット1のコントローラ8(
図3及び
図4参照)は、一対の上リンク721と一対の下リンク722と(
図3及び
図4参照)がそれぞれ折り畳まれるように一対の昇降アクチュエータ71(
図3及び
図4参照)を制御する。そして、コントローラ8は、一対の走行アクチュエータ32(
図3及び
図4参照)を制御し、一対の駆動輪311をレール111上に転動させることで、一対の駆動輪311の転動に連動して一対の従動輪312も転動する。これにより、コントローラ8は、搬送ロボット1の前進走行又は後退走行の走行動作を実行することができる。
【0078】
また、
図5Bに示すように、走行動作時において、複数対の本体位置調整ガイドローラ23は、外周縁が一対のレール111(具体的には、第2レール111B又は第3レール111C)の対向面113と当接するため、走行動作による搬送ロボット1の位置ずれを補正することができる。この結果、搬送ロボット1の位置を検出するための位置検出センサ及び位置検出センサの検出値に基づいて搬送ロボット1の位置ずれを補正制御するための制御部を設ける必要がなく、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。よって、搬送ロボット1の簡易化及び低コスト化を図ることができる。
【0079】
(レール平行昇降領域における搬送ロボットの昇降動作)
次に、
図6から
図11を参照しながら第1昇降領域12において搬送ロボット1が実行する昇降動作のうちの下降動作のみについて説明する。なお、昇降動作のうちの上昇動作については、下降動作の各ステップのとは真逆であるため、その説明を省略する。
【0080】
図6は、第1昇降領域12において荷台4が退避位置から支持位置に旋回して一対の第1レール111Aに支持された状態を示す斜視図である。
図7は、第1昇降領域12において車輪31が走行位置から昇降位置に旋回して搬送ロボット1が荷台4を通じて一対の第1レール111Aに支持された状態を示す斜視図である。
図8は、第1昇降領域12において車輪31が一対の第3レール111Cに下降した状態を示す第1斜視図である。
図9は、第1昇降領域12において車輪31が昇降位置から走行位置に旋回して一対の第3レール111Cに載置された状態を示す第1斜視図である。
図10は、第1昇降領域12域において荷台4が支持位置から退避位置に旋回した状態を示す斜視図である。
図11は、第1昇降領域12において荷台4が下降した状態を示す斜視図である。
【0081】
まず、第1昇降領域12における下降動作時の第1ステップにおいて、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が第1昇降領域12の一対の第2レール111Bに載置された状態で、
図6の矢印で示すように、荷台4は、旋回アクチュエータ5(
図3及び
図4参照)により退避位置から支持位置に90°旋回される。この際に、荷台4は、両側が一対の第1レール111Aに支持される。
【0082】
また、この際に、一対の荷台位置調整ガイドローラ41(
図3及び
図4参照)は、外周縁が一対の第1レール111Aの対向面113と当接するため、昇降動作による搬送ロボット1の位置ずれを補正することができる。この結果、搬送ロボット1の位置を検出するための位置検出センサ及び位置検出センサの検出値に基づいて搬送ロボット1の位置ずれを補正制御するための制御部を設ける必要がなく、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。よって、搬送ロボット1の簡易化及び低コスト化を図ることができる。
【0083】
次に、第1昇降領域12における下降動作時の第2ステップにおいて、荷台4が一対の第1レール111Aに支持された状態で、
図7の矢印で示すように、被旋回部材6(
図3及び
図4参照)は、旋回アクチュエータ5により第1旋回位置から第2旋回位置に90°旋回される。この際に、本体2は、昇降機構7を通じて接続される被旋回部材6の旋回に連動して車輪走行位置から車輪昇降位置に90°旋回される。そして、車輪31は、一対の第2レール111Bから離間するように本体2の旋回に連動して走行位置から昇降位置に90°旋回される。
【0084】
次に、第1昇降領域12における下降動作時の第3ステップにおいて、荷台4が一対の第1レール111Aに支持された状態で、一対の上リンク721及び一対の下リンク722(
図3及び
図4参照)は、両者が鉛直となる(すなわち、伸縮部材72(
図3及び
図4参照)が伸長する)ように一対の昇降アクチュエータ71により旋回される。
【0085】
この場合に、
図8の矢印で示すように、荷台4が一対の第1レール111Aに支持された状態で、本体2は、車輪31が一対の第3レール111Cに近接するように一対の上リンク721及び一対の下リンク722の旋回に連動して下降される。
【0086】
次に、第1昇降領域12における下降動作時の第4ステップにおいて、荷台4が一対の第1レール111Aに支持された状態で、
図9の矢印で示すように、被旋回部材6は、旋回アクチュエータ5により第2旋回位置から第1旋回位置に90°旋回される。この際に、本体2は、昇降機構7を通じて接続される被旋回部材6の旋回に連動して車輪昇降位置から車輪走行位置に旋回される。そして、車輪31は、一対の第3レール111Cに載置されるように本体2の旋回に連動して昇降位置から走行位置に90°旋回される。
【0087】
この際に、複数対の本体位置調整ガイドローラ23は、外周縁が一対の第3レール111Cの対向面113と当接するため、昇降動作による搬送ロボット1の位置ずれを補正することができる。この結果、搬送ロボット1の位置を検出するための位置検出センサ及び位置検出センサの検出値に基づいて搬送ロボット1の位置ずれを補正制御するための制御部を設ける必要がなく、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。よって、搬送ロボット1の簡易化及び低コスト化を図ることができる。
【0088】
次に、第1昇降領域12における下降動作時の第5ステップにおいて、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が一対の第3レール111Cに載置された状態で、
図10の矢印で示すように、荷台4は、旋回アクチュエータ5により支持位置から退避位置に90°旋回される。この際に、荷台4は、両側が一対の第1レール111Aに支持されなくなる。
【0089】
次に、第1昇降領域12における下降動作時の第6ステップにおいて、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が一対の第3レール111Cに載置された状態で、一対の上リンク721及び一対の下リンク722は、両者が水平となる(すなわち、伸縮部材72が収縮する)ように一対の昇降アクチュエータ71により旋回される。
【0090】
この場合に、
図11の矢印で示すように、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が一対の第3レール111Cに載置された状態で、荷台4は、一対の第2レール111Bから離間し、かつ、一対の第3レール111Cに近接するように一対の上リンク721及び一対の下リンク722の旋回に連動して下降される。すると、搬送ロボット1は、再び走行動作時の扁平状態となり、一対の第3レール111Cに沿って走行することができる。
【0091】
(レール交差昇降領域における搬送ロボットの昇降動作)
次に、
図12から
図20を参照しながら第2昇降領域13において搬送ロボット1が実行する昇降動作のうちの上昇動作のみについて説明する。なお、昇降動作のうちの下降動作については、上昇動作の各ステップのとは真逆であるため、その説明を省略する。
【0092】
図12は、第2昇降領域13において荷台4が一対の第4レール111Dに支持位置から一対の第4レール111Dに対する退避位置に旋回した状態を示す斜視図である。
図13は、第2昇降領域13において荷台4が一対の第4レール111Dに上昇した状態を示す斜視図である。
図14は、第2昇降領域13において荷台4が一対の第4レール111Dに対する退避位置から一対の第4レール111Dに対する支持位置に旋回して一対の第4レール111Dに支持された状態を示す斜視図である。
図15は、第2昇降領域13において車輪31が一対の第2レール111Bに対する走行位置から一対の第2レール111Bに対する昇降位置に旋回して搬送ロボット1が荷台4を通じて一対の第4レール111Dに支持された状態を示す図である。
図16は、第2昇降領域13において車輪31が所定高度に上昇した状態を示す斜視図である。
図17は、第2昇降領域13において車輪31が一対の第5レール111Eに対する走行位置から一対の第5レール111Eに対する昇降位置に旋回した状態を示す図である。
図18は、第2昇降領域13において車輪31が一対の第5レール111Eに上昇した状態を示す図である。
図19は、第2昇降領域13において車輪31が一対の第4レール111Dに対する昇降位置から一対の第4レール111Dに対する走行位置に旋回して一対の第5レール111Eに支持された状態を示す斜視図である。
図20は、第2昇降領域13において荷台4が一対の第4レール111Dに対する支持位置から一対の第4レール111Dに対する退避位置に旋回した状態を示す斜視図である。
【0093】
まず、第2昇降領域13における上昇動作時の第1ステップにおいて、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が第2昇降領域13の一対の第2レール111Bに載置された状態で、
図12の矢印で示すように、荷台4は、旋回アクチュエータ5(
図3及び
図4参照)により第4レール111Dに対する支持位置(以下、単に支持位置とも称する。)から第4レール111Dに対する退避位置(以下、単に退避位置とも称する。)に90°旋回される。
【0094】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第2ステップにおいて、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が一対の第2レール111Bに載置された状態で、一対の上リンク721及び一対の下リンク722(
図3及び
図4参照)は、両者が上下方向に沿って延在するよう(すなわち、伸縮部材72が伸長する)ように一対の昇降アクチュエータ71により旋回される。
【0095】
この場合に、
図13の矢印で示すように、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が一対の第2レール111Bに載置された状態で、荷台4は、順に一対の第5レール111E及び一対の第4レール111Dを通過するように一対の上リンク721及び一対の下リンク722の旋回に連動して上昇される。
【0096】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第3ステップにおいて、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が一対の第2レール111Bに載置された状態で、
図14の矢印で示すように、荷台4は、旋回アクチュエータ5により退避位置から支持位置に90°旋回される。この際に、荷台4は、両側が一対の第4レール111Dに支持される。
【0097】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第4ステップにおいて、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態で、
図15の矢印で示すように、被旋回部材6(
図3及び
図4参照)は、旋回アクチュエータ5により第1旋回位置から第2旋回位置に90°旋回される。この際に、本体2は、昇降機構7を通じて接続される被旋回部材6の旋回に連動して一対の第1レール111Aに対する車輪走行位置から一対の第1レール111Aに対する車輪昇降位置に旋回される。そして、車輪31は、一対の第2レール111Bから離間するように本体2の旋回に連動して一対の第1レール111Aに対する走行位置から一対の第1レール111Aに対する昇降位置に90°旋回される。
【0098】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第5ステップにおいて、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態で、一対の上リンク721及び一対の下リンク722は、両者が水平となるよう(すなわち、伸縮部材72が収縮する)ように一対の昇降アクチュエータ71により旋回される。
【0099】
この場合に、
図16の矢印で示すように、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態で、本体2は、車輪31が一対の第1レール111Aを通過するように一対の上リンク721及び一対の下リンク722の旋回に連動して所定高度に上昇される。
【0100】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第6ステップにおいて、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態で、
図17の矢印で示すように、被旋回部材6は、旋回アクチュエータ5により第2旋回位置から第1旋回位置に90°旋回される。この際に、本体2は、昇降機構7を通じて接続される被旋回部材6の旋回に連動して一対の第5レール111Eに対する車輪走行位置から一対の第5レール111Eに対する車輪昇降位置に旋回される。そして、車輪31は、本体2の旋回に連動して一対の第5レール111Eに対する走行位置から一対の第5レール111Eに対する昇降位置に90°旋回される。
【0101】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第7ステップにおいて、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態で、一対の上リンク721及び一対の下リンク722は、両者がさらに水平となるよう(すなわち、伸縮部材72が収縮する)ように一対の昇降アクチュエータ71により旋回される。
【0102】
この場合に、
図18の矢印で示すように、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態で、本体2は、車輪31が一対の第5レール111Eを通過するように一対の上リンク721及び一対の下リンク722の旋回に連動して上昇される。
【0103】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第8ステップにおいて、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態で、
図19の矢印で示すように、被旋回部材6は、旋回アクチュエータ5により第1旋回位置から第2旋回位置に90°旋回される。この際に、本体2は、昇降機構7を通じて接続される被旋回部材6の旋回に連動して一対の第5レール111Eに対する車輪昇降位置から一対の第5レール111Eに対する車輪走行位置に旋回される。そして、車輪31は、一対の第5レール111Eに載置されるように本体2の旋回に連動して一対の第5レール111Eに対する昇降位置から一対の第5レール111Eに対する走行位置に90°旋回される。
【0104】
次に、第2昇降領域13における上昇動作時の第9ステップにおいて、搬送ロボット1(具体的には、車輪31)が一対の第5レール111Eに載置された状態で、
図20の矢印で示すように、荷台4は、旋回アクチュエータ5により一対の第4レール111Dに対する支持位置から一対の第4レール111Dに対する退避位置に90°旋回される。すると、搬送ロボット1は、一対の第5レール111Eに沿って走行することができる。
【0105】
(作用効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0106】
本実施形態に係る搬送ロボット1は、一対のレール111が間隔を空けて複数対配列される昇降領域11を有する構造体10では、走行動作時において間隔を空けて複数対配列されるレール111を走行するとともに昇降動作時において間隔を空けて複数対配列される各レール111間を昇降する搬送ロボット1であって、本体2と、一対のレール111に対し転動可能に本体2に設けられる一対の車輪31と、本体2の上方に位置するとともに、上下方向において一対のレール111と重なる支持位置と一対のレール111の間に位置する退避位置との間を切替可能に設けられる荷台4と、荷台4を支持位置と退避位置との間を切り替える位置切替機構と、本体2と荷台4との間に位置するとともに上下方向を中心として第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる被旋回部材6と、被旋回部材6を旋回させるように荷台4と接続される旋回アクチュエータ5と、本体2と被旋回部材6とを接続するとともに退避位置に切り替えられた荷台4を昇降可能に設けられる昇降機構7と、を備え、位置切替機構により支持位置に切り替えられた荷台4が一対のレール111に支持されるとともに、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第2旋回位置に旋回されることで一対の車輪31が一対のレール111の間に位置する昇降位置に位置する場合に、本体2及び一対の車輪31は、昇降機構7によって各レール111間を昇降し、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回されることで一対の車輪31が上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置に位置するように一対のレール111に載置されるとともに、荷台4が位置切替機構により退避位置に切り替えられる場合に、荷台4は、昇降機構7によって各レール111間を昇降する。
【0107】
本実施形態に係る搬送システム100は、一対のレール111が間隔を空けて複数対配列される昇降領域11を有する構造体10と、構造体10では、走行動作時において間隔を空けて複数対配列されるレール111を走行するとともに、昇降動作時において間隔を空けて複数対配列される各レール111間を昇降する搬送ロボット1と、を備える搬送システム100であって、搬送ロボット1は、本体2と、一対のレール111に対し転動可能に本体2に設けられる一対の車輪31と、本体2の上方に位置するとともに、上下方向において一対のレール111と重なる支持位置と一対のレール111の間に位置する退避位置との間を切替可能に設けられる荷台4と、荷台4を支持位置と退避位置との間を切り替える位置切替機構と、本体2と荷台4との間に位置するとともに上下方向を中心として第1旋回位置と第2旋回位置との間を旋回可能に設けられる被旋回部材6と、被旋回部材6を旋回させるように荷台4と接続される旋回アクチュエータ5と、本体2と被旋回部材6とを接続するとともに退避位置に切り替えられた荷台4を昇降可能に設けられる昇降機構7と、を備え、位置切替機構により支持位置に切り替えられた荷台4が一対のレール111に支持されるとともに、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第2旋回位置に旋回されることで一対の車輪31が一対のレール111の間に位置する昇降位置に位置する場合に、本体2及び一対の車輪31は、昇降機構7によって各レール111間を昇降し、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回されることで一対の車輪31が上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置に位置するように一対のレール111に載置されるとともに、荷台4が位置切替機構により退避位置に切り替えられる場合に、荷台4は、昇降機構7によって各レール111間を昇降する。
【0108】
これらの構成によれば、昇降動作時において、位置切替機構により支持位置に切り替えられた荷台4が一対のレール111に支持されるとともに、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第2旋回位置に旋回されることで一対の車輪31が一対のレール111の間に位置する昇降位置に位置する場合に、本体2及び一対の車輪31は、昇降機構7によって各レール111間を昇降し、被旋回部材6が旋回アクチュエータ5により第1旋回位置に旋回されることで一対の車輪31が上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置に位置するように一対のレール111に載置されるとともに、荷台4が位置切替機構により退避位置に切り替えられる場合に、荷台4は、昇降機構7によって各レール111間を昇降するため、搬送ロボット1は、高低差付昇降機構が設けられていない構造体10における昇降領域11の任意の場所で上下方向に沿って配列される各レール111間を昇降することができる。また、昇降領域11には、先行技術のような高低差付昇降機構が設けられていないので、構造体10の構造の簡易化を図ることができる。
【0109】
また、荷台4が退避位置から支持位置に90°切り替えられて一対のレール111に支持される場合に、車輪31が一対のレール111から離間しても、搬送ロボット1は、荷台4を通じて一時的に一対のレール111に支持される。これにより、昇降動作時において、車輪31が一対のレール111から離間する場合であっても、退避位置から支持位置に切り替えることで搬送ロボット1を一時的に一対のレール111に支持する支持機構を別途搬送ロボット1に設ける必要がなく、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。このため、搬送ロボット1の簡易化及び低コスト化を図ることができる。
【0110】
また、本実施形態では、昇降機構7は、被旋回部材6に設けられる昇降アクチュエータ71と、本体2と昇降アクチュエータ71とを接続する伸縮部材72と、を有する。
【0111】
この構成によれば、被旋回部材6に設けられる昇降アクチュエータ71、及び、本体2と昇降アクチュエータ71とを接続する伸縮部材72によって昇降機構7を容易に構成することができる。また、昇降位置に位置する一対の車輪31は、昇降アクチュエータ71によって旋回される伸縮部材72に連動して、本体2と共に各レール111間を昇降するため、昇降機構7による一対の車輪31の昇降を容易に実現することができる。
【0112】
また、本実施形態では、位置切替機構は、旋回アクチュエータ5によって構成され、旋回アクチュエータ5は、被旋回部材6と荷台4との間に位置し、一対の車輪31が一対のレール111に載置される場合に荷台4を上下方向を中心として支持位置と退避位置との間を旋回させる。
【0113】
この構成によれば、位置切替機構と旋回アクチュエータ5との統合を図ることができるため、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。
【0114】
また、本実施形態では、搬送ロボット1は、荷台4に設けられる一対の荷台位置調整ガイドローラ41をさらに備え、荷台4が退避位置に位置する場合に、一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、一対のレール111と当接不能であり、荷台4が支持位置に位置する場合に、一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、一対のレール111と当接可能である。
【0115】
この構成によれば、昇降動作時において、一対の荷台位置調整ガイドローラ41は、一対の第1レール111Aと当接するため、昇降動作による搬送ロボット1の位置ずれを補正することができる。この結果、搬送ロボット1の位置を検出するための位置検出センサ及び位置検出センサの検出値に基づいて搬送ロボット1の位置ずれを補正制御するための制御部を設ける必要がなく、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。
【0116】
また、本実施形態では、搬送ロボット1は、本体2に設けられる一対の本体位置調整ガイドローラ23をさらに備え、一対の車輪31が昇降位置に位置する場合に、一対の本体位置調整ガイドローラ23は、一対のレール111と当接不能であり、一対の車輪31が走行位置に位置する場合に、一対の本体位置調整ガイドローラ23は、一対のレール111と当接可能である。
【0117】
この構成によれば、走行動作時において、本体位置調整ガイドローラ23は、一対のレール111と当接するため、走行動作による搬送ロボット1の位置ずれを補正することができる。この結果、搬送ロボット1の位置を検出するための位置検出センサ及び位置検出センサの検出値に基づいて搬送ロボット1の位置ずれを補正制御するための制御部を設ける必要がなく、搬送ロボット1を構成する部品点数の削減を図ることができる。よって、搬送ロボット1の簡易化及び低コスト化を図ることができる。
【0118】
また、昇降動作時において、本体位置調整ガイドローラ23は、一対のレール111と当接するため、昇降動作による搬送ロボット1の位置ずれを補正することができる。
【0119】
また、本実施形態では、昇降領域11は、順に上下方向に沿って配列される一対の第1レール111A、一対の第2レール111B及び一対の第3レール111Cを有する第1昇降領域12を備え、荷台4が一対の第1レール111Aに支持された状態では、一対の車輪31は、昇降機構7によって一対の第2レール111B及び一対の第3レール111Cの間を昇降する。
【0120】
この構成によれば、第1昇降領域12において、搬送ロボット1は、上下方向に沿って平行に配列される各レール111間を昇降することができる。このため、搬送ロボット1の二次元的搬送を実現することができる。
【0121】
また、本実施形態では、昇降領域11は、順に上下方向に沿って配列される一対の第4レール111D、一対の第5レール111E及び一対の第2レール111Bを有する第2昇降領域13を備え、一対の第4レール111Dと一対の第5レール111Eとは、平行に配列され、一対の第5レール111Eと一対の第2レール111Bとは、平面視にて交差となるように配列され、荷台4が一対の第4レール111Dに支持された状態では、一対の車輪31は、昇降機構7によって一対の第5レール111E及び一対の第2レール111Bの間を昇降する。
【0122】
この構成によれば、第2昇降領域13において、搬送ロボット1は、上下方向に沿って交差となるように配列される各レール111間を昇降することができる。このため、搬送ロボット1の三次元的搬送を実現することができる。
【0123】
(搬送ロボットの変形例)
上述した実施形態では、位置切替機構は、旋回アクチュエータ5によって構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、旋回アクチュエータ5とは別の機構によって構成されてもよい。
【0124】
また、上述した実施形態では、昇降アクチュエータ71は、被旋回部材6の両端に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体2の上面に設けられてもよい。この場合に、接続片24を被旋回部材6の両端に設ける必要がある。
【0125】
以上、本実施形態及び各変形例について説明したが、上述した実施形態及び各変形例は、本発明の適用例を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0126】
1 搬送ロボット
2 本体
4 荷台
5 旋回アクチュエータ
6 旋回部材
7 昇降機構
10 構造体
11 昇降領域
31 車輪
71 昇降アクチュエータ
72 伸縮部材
111 レール
111A 第1レール
111B 第2レール
111C 第3レール
111D 第4レール
111E 第5レール