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特開2023-114600バージンシール機能を有し、容器の口部にねじ込みにより取り付け可能なキャップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114600
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】バージンシール機能を有し、容器の口部にねじ込みにより取り付け可能なキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20230810BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B65D47/08 110
B65D51/22 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017015
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】500587931
【氏名又は名称】タスマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(72)【発明者】
【氏名】多田 篤
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA03
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB02
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA02
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084GB09
3E084HA01
3E084HB08
3E084HD01
3E084KA13
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA15
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】部品点数が少なく組付けが不要であり、更には、容器の封止部材を破る際の抵抗を極力低減することができるキャップを提供すること及び分離した封止部材を極力小さくできるキャップを提供すること。
【解決手段】 本発明は、容器Bの口部B1にねじ込みにより取り付け可能でありバージンシール機能を有するキャップAであって、キャップ本体1と該キャップ本体1の上部に取り付けたヒンジ蓋2と該キャップ本体1の下部に取り付けたバージンリング3よりなり、ヒンジ蓋2とキャップ本体1とバージンリング3とが一体化(同体化)されているキャップA。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器Bの口部B1にねじ込みにより取り付け可能でありバージンシール機能を有するキャップAであって、キャップ本体1と該キャップ本体1の上部に取り付けたヒンジ蓋2と該キャップ本体1の下部に取り付けたバージンリング3よりなり、ヒンジ蓋2とキャップ本体1とバージンリング3とが一体化(同体化)されていることを特徴とするキャップA。
【請求項2】
キャップ本体1は、その天井壁1Aの中央部が厚肉部分11となって注出通路Pが貫通形成され、該注出通路Pの入口11Aは略ロート状に形成されており、ヒンジ蓋2は、中央に突起部21が形成されその下端に半球状栓21Aが設けられており、該半球状栓21Aにより注出通路Pの入口11Aが封止可能となっていることを特徴とする請求項1記載のキャップA。
【請求項3】
キャップ本体1は、その天井壁1Aの中央部が厚肉部分11となって注出通路Pが貫通形成され、厚肉部の下方は円錐台状に形成されており、この円錐台状の下端には、環状刃11Bが設けられ、環状刃11Bにより容器Bの封止部材Sが開口可能となっていることを特徴とする請求項1記載のキャップA。
【請求項4】
この環状刃11Bの直径は、容器Bの口部の口部径L2より小さくなっていることを特徴とする請求項1記載のキャップA。
【請求項5】
キャップ本体1の円周部に方向性を有する隆起部1Bが形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャップA
【請求項6】
バージンリング3は、キャップ本体1に薄肉部31で結合されており、端部に垂直状の摘み片32が設けられていることを特徴とする請求項1記載のキャップA。
【請求項7】
キャップ本体1とヒンジ蓋2とバージンリング3が射出成形により一体化(同体化)されていることを特徴とする請求項1記載のキャップA。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バージンシール機能を有し、容器の口部にねじ込みにより取り付け可能なキャップに関し、更に詳しくは、部品点数が少なく構造がシンプルで且つ使用が容易なキャップに関する。
【0002】
充填物が充填された容器においては、衛生上の観点から、使用する際、容器に備わったバージンシールを取り外し、その後、充填物を外部に注出する方法が開発されている。
このキャップを備えた容器は、バージンシールを離脱させて初めて使用可能となるため、未使用状態を確認した上で使うことができ、衛生上極めて安全である。
このようなバージンシール機能を有するキャップや容器については、幾つか開発されている。
【0003】
例えば、引用文献1の中栓付きキャップや引用文献2のキャップがそれである。
ここで引用文献1には、中栓、蓋体、キャップ本体、封緘リングを備えたキャップが開示されており、容器の後頚部の大外径部の外周に垂下するように切断除去可能な封緘リングが設けられている。
【0004】
そして、キャップ本体と容器の後頚部との間には、中栓が介在している。
キャップ本体を回動させて下方にねじ込むことにより、中栓の閉塞板(封止部材)を吐出筒の切断刃で切断することができる。
切断された閉塞板は、容器内に落下し、その後は液を注出することが可能となる。
このキャップ本体は、蓋体と一体であるが中栓とは別体であり、この中栓に封緘リングが一体に設けられている。
更に、中栓が容器の口部に嵌まり込んでおり、液の出入口は、略容器の液の出入口の大きさと同じである。
【0005】
引用文献1の中栓付きキャップは上記のような構成であるので、キャップ本体と中栓の2つの部品より構成されており、組付けが必要である。
また、キャップ本体をねじ込んで開閉板を破断する際には、切断刃の摺動突条が中栓の内壁を圧接して抵抗を生じ易い。
切断された閉塞板の大きさは、略容器の出入口と同じような比較的大きなものとなる欠点がある。
【0006】
一方、引用文献2のキャップも上記引用文献1の中栓付きキャップと同じような構造になっており、同様なデメリットがある。。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4557224号
【特許文献2】特開2000-264356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、本発明はこのような事情を背景になされたものであり、上述したような従来例のキャップの問題点を解決したものである。
すなわち、本発明の目的は、部品点数が少なく組付けが不要であり、更には、容器の封止部材を破る際の抵抗を極力低減することができるキャップを提供することである。
更には、分離した封止部材を極力小さくできるキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、少なくともキャップ本体1とヒンジ蓋2とバージンリング3とを一体化することにより、従来の問題点を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(1)容器Bの口部B1にねじ込みにより取り付け可能でありバージンシール機能を有するキャップAであって、キャップ本体1と該キャップ本体1の上部に取り付けたヒンジ蓋2と該キャップ本体1の下部に取り付けたバージンリング3よりなり、ヒンジ蓋2とキャップ本体1とバージンリング3とが一体化(同体化)されていることを特徴とするキャップAに存する。
【0011】
すなわち本発明は、(2)キャップ本体1は、その天井壁1Aの中央部が厚肉部分11となって注出通路Pが貫通形成され、該注出通路Pの入口11Aは略ロート状に形成されており、ヒンジ蓋2は、中央に突起部21が形成されその下端に半球状栓21Aが設けられており、該半球状栓21Aにより注出通路Pの入口11Aが封止可能となっているキャップAに存する。
【0012】
すなわち本発明は、(3)キャップ本体1は、その天井壁1Aの中央部が厚肉部分11となって注出通路Pが貫通形成され、厚肉部の下方は円錐台状に形成されており、この円錐台状の下端には、環状刃11Bが設けられ、環状刃11Bにより容器Bの封止部材Sが開口可能となっていることを特徴とするキャップAに存する。
【0013】
すなわち本発明は(4)この環状刃11Bの直径は、容器Bの口部の口部L2より小さくなっていることを特徴とするキャップAに存する。
【0014】
すなわち本発明は、(5)キャップ本体1の円周部に方向性を有する隆起部1Bが形成されていることを特徴とするキャップAに存する。
【0015】
すなわち本発明は、(6)バージンリング3は、キャップ本体1に薄肉部31で結合されており、端部に垂直状の摘み片32が設けられていることを特徴とするキャップAに存する。
【0016】
すなわち本発明は、(7)キャップ本体1とヒンジ蓋2とバージンリング3が射出成形により一体化(同体化)されていることを特徴とするキャップAに存する。
【発明の効果】
【0017】
1)本発明は、容器Bの口部B1にねじ込みにより取り付け可能でありバージンシール機能を有するキャップAであって、キャップ本体1と該キャップ本体1の上部に取り付けたヒンジ蓋2と該キャップ本体1の下部に取り付けたバージンリング3よりなり、ヒンジ蓋2とキャップ本体1とバージンリング3とが一体化(同体化)されているキャップAであるので、構成部品であるヒンジ蓋2、キャップ本体1、及びバージンリング3を組み付ける必要がない。
結果的に製造コストの低減につながる。
また、構成部品が一体化されているので、組付けや運搬等において、その一つを紛失することがない。
【0018】
2)本発明は、キャップ本体1は、その天井壁1Aの中央部が厚肉部分11となって注出通路Pが貫通形成され、該注出通路Pの入口11Aは略ロート状に形成されており、ヒンジ蓋2は、中央に突起部21が形成されその下端に半球状栓部21Aが設けられており、該半球状栓21Aにより注出通路Pの入口11Aが封止可能となっているキャップAであるので、半球状突起栓をロート状の面に沿って注出通路Pに押し入れることができ、封止効果がより確実に得られる。
【0019】
3)本発明は、キャップ本体1は、その天井壁1Aの中央部が厚肉部分11となって注出通路Pが貫通形成され、厚肉部の下方は円錐台状に形成されており、この円錐台状の下端には、環状刃11Bが設けられ、環状刃11Bにより容器Bの封止部材Sが開口可能となっているキャップAであるので、穴が円錐台状の面に沿って徐々に拡大していく。
4)本発明は、この環状刃11Bの直径は、容器Bの口部の口部径L2より小さくなっているので、切り離された小片は容器Bの口部B1の入口の大きさに比べより小さいものとなる。
また、キャップ本体1をねじ込む際に、環状刃11Bを有する厚肉部11は容器Bの口部B1の内壁面と接触しないため、従来例のように抵抗が生じることがない。
【0020】
5)キャップ本体1の円周部に方向性を有する隆起部1Bが形成されているので、容易に指を隆起部1Bに引っ掛けて回しながら一方方向にねじ込むことができる。
【0021】
6)バージンリング3は、キャップ本体1に薄肉部31で結合されており、端部に垂直状の摘み片32が設けられているので、摘み片32が摘み易くバージンリング3が切り離し易い。
【0022】
7)キャップ本体1とヒンジ蓋2とバージンリング3が射出成形により一体化(同体化)されているので、一挙に容易に成形ができる。
また、多色射出成形を採用することにより、キャップ本体1、ヒンジ蓋2、及びバージンリング3の材質を各々異にすることができ、各々の機能に合致した材質とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、容器Bにキャップを取り付ける前の状態におけるキャップの斜視図である。
図2図2は、容器Bにキャップを取り付けた後の状態におけるキャップの斜視図である。
図3図3、バージンリング3を離脱しヒンジ蓋2を開いた状態におけるキャップの斜視図である。
図4図4は、ヒンジ蓋2を閉じた状態におけるキャップの立体図の一部縦断面である。
図5図5は、ヒンジ蓋2を開いた状態におけるキャップの立体図の一部縦断面である。
図6図6は、環状刃11Bが封止部を下方に切り離す或いは押し破る作用を示した説明図である。
図7図7は、キャップを容器Bに取り付ける前の状態における全体縦断面図である。
図8図8は、バージンリング3を離脱する前の状態における全体縦断面である。
図9図9は、バージンリング3を離脱し、キャップをねじ込んだ状態における全体縦断面図である。
図10図10は、圧入状態を説明する図であり、(A)は、ヒンジ蓋2を開いた状態を示し、(B)は、ヒンジ蓋2を閉めて、半球状栓部21Aがキャップ本体1の注出通路Pに圧入状態になった場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0025】
(実施の形態)
本発明は、バージンシール機能を有し、容器Bの口部B1にねじ込み等により取り付け可能なキャップAに関するものであり、種々の容器Bの口部B1に適用される。
このキャップAは、キャップ本体1とヒンジ蓋2とバージンリング3とよりなり、それらが一体に(すなわち同体に)構成されており、それぞれ特有の機能を発揮する。
ここで容器BとキャップAの関係を図1図3に示す。
【0026】
図1は、容器Bにキャップを取り付ける前の状態におけるキャップAの斜視図である。
また、図2は、容器Bにキャップを取り付けた後の状態におけるキャップAの斜視図である。
また、図3は、バージンリング3を離脱しヒンジ蓋2を開いた状態におけるキャップAの斜視図を示す。
キャップ本体1とヒンジ蓋2とバージンリング3の構造を理解するために更に拡大した図を示す。
【0027】
図4は、ヒンジ蓋2を閉じた状態におけるキャップAの立体図の一部縦断面である。
これは、ヒンジ蓋2の半球状栓部21Aがキャップ本体1の、注出通路Pに入り込んで栓がなされた状態であり、また、バージンリング3が離脱していない状態を示している。
【0028】
図5は、ヒンジ蓋2を開いた状態におけるキャップAの立体図の一部縦断面である。
これはキャップ本体1からバージンリング3が離脱した状態を示している。
【0029】
(キャップ本体)
まず、キャップ本体1について述べる。
キャップ本体1は、筒状に形成されており、下方は開放され上方は天井壁1Aを有する。
また、キャップ本体1の内周面には、内ネジ部12が形成されている。
したがって、この内ネジ部12が容器Bの口部B1に形成された外ネジ部にねじ込まれることにより、キャップ本体1は容器Bに取り付けられる。
【0030】
また、天井壁1Aは中央部が厚肉部分11となっており、この天井壁1Aの厚肉部分11には、それを上下に貫く注出通路Pが形成されている。
注出通路Pの入口11Aは略ロート状に形成され、少し湾曲状に窪んだ湾曲受け部P1を備えている。この略ロート状の部分に後述するヒンジ蓋2の半球状栓部21Aが圧接可能となっている。
詳しくは、半球状栓部21Aが湾曲受け部P1に嵌まり込み圧接状態となって封止される。
圧入により半球状栓部21Aの一部が注出通路Pの湾曲状凹部P1に嵌まり込む状態になっており、このように圧入された後は外れにくくなる。
【0031】
一方、厚肉部の下方は円錐台状に形成されており、この円錐台状の下端は、環状刃11Bが設けられている。
この環状刃11Bの径(環状刃径L1)は、容器Bの口部B1の径(口部径L2)より小さくなっており、その利点については後述する。
また、この環状刃11Bによって容器Bの入口の後述する封止部材S(すなわち封止す
るための膜状部材)を容易に切り離す或いは押し破ることができるが、この点についても後で詳しく述べる。
【0032】
尚、封止部材Sは容器Bの口部B1の入口を仮に封止するためのものであり、鋭い部分で押すことにより切り離される或いは破れる特質を有する材質よりなることが好ましいい。
バージンリング3がキャップ本体1より切り離されていない段階では、環状刃11Bは封止部の位置より上方にある。
いま、バージンリング3を切り離すと、キャップ本体1は、下方にねじ込むことができるので、環状刃11Bは封止部材Sの位置より下がることが可能である。
これにより環状刃11Bが封止部材Sを切り離す或いは下方に押し破ることができる。
【0033】
図6は、環状刃11Bが封止部材Sを下方に切り離す或いは押し破る作用を示した説明図である。
図6(A)は、環状刃11Bが封止部材Sより上方に位置する状態を示し、図6(B)は、環状刃11Bが封止部材Sに接した状態を示し、図6(C)は、環状刃11Bが封止部材Sより下方に位置する状態を示しす。
容器Bの口部B1にキャップが取り付けられた状態図6(A)から、バージンリング3を切り離した後、キャップ本体1をねじ込むと、環状刃11Bが下って封止部材Sに接する。
その後、なおもキャップ本体1をねじ込むと、環状刃11Bは封止部材Sを破りながら下降する。
【0034】
すなわち、図6(B)→図6(C)の段階においては、環状刃11Bの下方への移動と共に、封止部材Sの穴Hは徐々に拡大していき、キャップ本体1を最下位にねじ込んだ状態でその穴Hは最大に開口される。
この際、詳しくは環状刃11Bによって切り取られた円形状の片が離脱した後、その跡の穴Hが徐々に拡大されていき大きな穴Hとなる。
最大となった穴Hの径は、厚肉部の円錐台状の部分の根元の径(根元径)に相当するが、この径は容器Bの口部B1の口部径L2よりは小さい。
【0035】
また、環状刃11Bの径(環状刃径L1)も容器Bの口部径L2よりかなり小さいので、切り取られた切り離し片S1は、従来のように容器Bの口部径L2と同じではなく、小片化できる。
もっとも切り離し片S1が離脱しないで一部繋がっている場合もあり得る。
また、キャップ本体1をねじ込む際に、環状刃11Bを有する肉厚部11は容器Bの口部B1の内壁面と接触しないため、先述した従来例のように抵抗が生じることがない。
【0036】
一方、キャップ本体1の外周には外方に隆起する隆起部1Bが形成されている。
この隆起部1Bは、一対で、180度離れた位置に各々設けられている。
この隆起部1Bは、具体的には、キャップ本体1を容易に一方方向に回動させるために方向性を有する。
すなわち、回動する際に、指を引掛け易いうように前方が強く立ち上がり、後方がなだらかに傾斜している。
従って、この隆起部1Bはねじ込み方向を示唆しているともいえる。
キャップ本体1をねじ込んでいく場合、この隆起部1Bに指を当て握って回動させると、指が引掛かるためキャップ本体1は容易に回動できる。
前方の立ち上がりの強い部分が指の引掛かる位置となり回動が容易となる。
【0037】
(ヒンジ蓋)
一方、ヒンジ蓋2は、筒状に形成されキャップ本体1と薄肉部31を介して連結されており、容易に回動により開閉可能である。
ヒンジ蓋2の内壁面の中央には下方に突出する突起部21が形成されており、この突起部21は下端に半球状栓部21Aを有する。
ヒンジ蓋2を閉じた状態では、突起部21の半球状栓部21Aがキャップ本体1の注出通路Pを封止する。
【0038】
特に、注出通路Pの入口11Aは先述したように略ロート状に形成され湾曲受け部P1を有するので、この半球状栓部21Aが、注出通路Pの入口11Aの略ロート状の面に沿って容易に案内され注出通路Pの中に少しの距離入り込んで圧入状態となる。
このような状態においては、半球状栓部21Aの一部が注出通路Pの湾曲受け部P1に嵌まり込んで確実に封止される。
【0039】
一方、ヒンジ蓋2には、開閉を容易にするための摘み突起23が設けられている。
この摘み突起23を摘まむことで、ヒンジ蓋2の回動動作が容易となる。
ヒンジ蓋2を閉じる場合、ヒンジ蓋2全体を押圧すると、上述したように、半球状栓部21Aが、キャップ本体1の注出通路Pの中に一定距離入り込むことで確実に封止される。
逆にヒンジ蓋2を開ける場合は、摘み突起23を摘まんで、上方に引っ張ると半球状栓部21Aが注出通路Pの中から抜け出して封止が解かれる。
【0040】
(バージンリング)
一方、バージンリング3は、容器Bの使用前に不用意に使用されないようにするためにある。
具体的には、バージンリング3は、容器Bの口部に対しそれ以上、キャップ本体1をねじ込みにより下方に移動できないようにする阻止機能を有する。
従って、使用前において、バージンリング3はキャップ本体1の下端と容器Bの肩部の間に介在し、キャップ本体1をそれ以上ねじ込めないようにしている。
このバージンリング3は、一部が欠損したリング状に形成されており、キャップ本体1の下部に一体に取り付けられている。
【0041】
そして、バージンリング3はキャップ本体1に対し薄肉部31を介して連結されているので切り離しが容易である。
バージンリング3の一端部には、それと垂直に起立する摘み片32が形成されている。
すなわち、バージンリング3がキャップ本体1と一体化されている状態では、摘み片32はキャップ本体1の外周より外方向に突出して摘まみやすい。
今、バージンリング3をキャップ本体1から分離させるには、この突出した状態の摘み片32を摘まんで外方に強く引くことによって、バージンリング3はキャップ本体1から容易に引き剥がすことができる。
【0042】
ところで、本発明の容器Bに取り付けるキャップAは、ヒンジ蓋2とキャップ本体1とバージンリング3が一体となって(すなわち同体となって)製造されるものである。
このような一体成形としては、射出成形による製造が一番好ましい。
【0043】
一方、ヒンジ蓋2、キャップ本体1、及びバージンリング3の材質としては、例えば、ポリプロピレン(pp)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド、ポリエステル等の合成樹脂が種々採用されるが、3者の各々の機能を考慮し適宜選択されることが好ましい。
ヒンジ蓋2とキャップ本体1とバージンリング3は、それぞれ別の機能を有することから、多色射出成形等を使ってそれぞれ異なった種類の合成樹脂とすることも可能である。
【0044】
本発明のキャップAにおけるキャップ本体1、ヒンジ蓋2、及びバージンリング3については、上述したとおりである。
ここで使用方法を説明すると、まず、容器Bについては、使用すべき充填物を充填し,その後、容器Bの口部B1を封止部材Sにより封止する。
当然、この封止部材Sによって封止されているので充填物は容器Bの外へは出ない。
次に、キャップAについては、キャップ本体1、ヒンジ蓋2及びバージンリング3が一体になった状態で容器Bの口部B1にねじ込んで取り付ける。
【0045】
図7は、キャップAを容器Bに取り付ける前の状態における全体縦断面図である。
容器Bの口部B1にキャップAをねじ込むとバージンリング3が容器Bの肩部に当たって止まる。
因みに、この状態において、ヒンジ蓋2は摘み突起23を摘まんで上方に回動させることで、容易に開閉することができる。
ヒンジ蓋2を閉じた状態では、突起部21(詳しくは、半球状栓部21A)は、キャップ本体1の注出通路Pの入口11Aから注出通路内に一定距離圧入されているため、確実に封止される。
尚、このような状態で、容器Bは、例えば店頭等に並べられ販売されることとなる。
【0046】
図8は、バージンリング3を離脱する前の状態における全体縦断面である。
尚、ヒンジ蓋2は閉じられている状態を示す。
販売されて消費者に渡った後は、消費者が使用する段階で最初に行う操作が、バージンリング3をキャップ本体1から切り離す操作である。
バージンリング3の摘み片32を摘まんで外方に強く引くと、バージンリング3は薄肉部31のところで徐々に円周方向に破断していく。
最終的には、バージンリング全体がキャップ本体1より離脱する。
【0047】
尚、バージンリング3はキャップ本体1に薄肉部31で連結されているため、容易に切り離すことができる。
バージンリング3を切り離した後は、キャップ本体1の下にはキャップ本体1の移動を阻止するものがない。
次に、キャップ本体1を握って回動させると、キャップ本体1は、下方にねじ込まれ、その天井壁1Aに容器Bの口部上端が当たって止まる。
【0048】
図9は、バージンリング3を離脱し、キャップをねじ込んだ状態における全体縦断面図である。
尚、ヒンジ蓋2は開かれている状態を示す。
そしてキャップ本体1の天井壁1Aに容器Bの口部上端が当たって止まる前に、キャップ本体1の環状刃11Bが容器Bの封止部材Sを突き破り、この破れた部分に穴Hができる。
キャップ本体1の厚肉部11の下方は円錐台状となっていることから、先述したように、穴Hはこの円錐台状の部分により拡大されていく。
【0049】
ここで、封止部材Sは、環状刃11Bにより切り取られて切り離し片S1となって分離した後、その跡にできた穴Hが徐々に拡大されていき大きな穴Hとなる。
先述したように環状刃11Bの径が容器Bの口部B1の径より小さい。
いずれにしても容器B内の充填物は封止部材Sを通過することができる。
注出通路Pの下端(すなわち環状刃11B)は、封止部材Sの穴Hの部分より下にあるため容器B内の薬液は容易に、注出通路Pを通って外部に注出される。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0051】
例えば、ヒンジ蓋2の突起部21の半球状栓部21Aがキャップ本体1の注出通路Pを封止することは、既に述べたが、この封止の手段として、上述のように嵌め込むのではなく圧接状態にすることも可能である。
【0052】
図10は、圧接状態を説明する図であり、(A)は、ヒンジ蓋2を開いた状態を示し、(B)は、ヒンジ蓋2を閉めて、半球状栓部21Aがキャップ本体1の注出通路Pに圧接状態になった場合を示す。
ヒンジ蓋2の半球状栓部21Aが、キャップ本体1の注出通路Pの入口11Aの略ロート状の面に圧接され封止される。
強い圧接状態を保持するために、図のようにヒンジ蓋2にツメ部24を設けて、キャップ本体1に設けた溝部13に係止させる。
【0053】
一方、キャップ本体1についていうと、キャップ本体1に形成された隆起部1Bについては、一対でなくても、例えば、120度間隔で3つでもよく、要は、指を引っ掛けて回動し易いものであればよい。
【0054】
また、バージンリング3ついていうと、バージンリング3の機能は、キャップ本体1の下端と容器Bの肩部の間に介在し、キャップ本体1をそれ以上ねじ込めないようにすることであり、上方からの押圧力に耐えられればよい。
このような機能を発揮する限り、バージンリング3は、必ずしも周囲角360度のリング状である必要はなく、バージンリング3の周囲角は、例えば、210度、270度・・・と適宜選択することが可能である。
【0055】
また、容器Bに充填された充填物については、ジェル状、クリーム状、液状等、本発明の効果を発揮できるものであれば、適宜、使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、バージンシール機能を有し、容器Bの口部B1にねじ込みにより取り付け可能なキャップに関するものであり、種々の容器Bの口部B1に適用される。
そして、キャップAは、キャップ本体1とヒンジ蓋2とバージンリング3とより構成されるので、製造の際の組付けが不要であり、製造コストも安くできる。
一方、移送についても容易であり、既に一体に形成されているため部分的に紛失することもない。
【符号の説明】
【0057】
A・・・キャップ
B・・・容器
B1・・・口部
L2・・・口部径
H・・・穴
S・・・封止部材
S1・・・切り離し片
1・・・キャップ本体
1A・・・天井壁
1B・・・隆起部
11・・・厚肉部
11A・・・入口
11B・・・環状刃
L1・・・環状刃径
12・・・ネジ部
13・・・溝部
P・・・注出通路P
P1・・・湾曲状凹部
2・・・ヒンジ蓋
21・・・突起部
21A・・・半球状栓部
22・・・ヒンジ
23・・・摘み突起
24・・・爪部
3・・・バージンリング
31・・・薄肉部
32・・・摘み片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10