(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114613
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20230810BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230810BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017031
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 剛史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】本発明は、太陽光発電機器の設置工事において、計画段階で立てた設置工事の計画と建設段階で行われた設置工事の内容とが異なる場合に、人手を介さずに相違点を変更することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置は、太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報と、前記太陽光発電機器の設置場所で行われた前記設置工事の内容を示す工事情報と、を比較する比較部と、前記比較部による前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記計画情報が示す前記設置工事の計画を前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容に変更する変更部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報と、前記太陽光発電機器の設置場所で行われた前記設置工事の内容を示す工事情報と、を比較する比較部と、
前記比較部による前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記計画情報が示す前記設置工事の計画を前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容に変更する変更部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記計画情報に基づいて、前記太陽光発電機器により発電されることが期待される期待発電量を算出する算出部を備え、
前記算出部は、
前記比較部による前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記変更部が変更した前記設置工事の計画を示す前記計画情報に基づいて、新たな前記期待発電量を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部が算出した前記期待発電量をユーザに提示する提示部を備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記太陽光発電機器は、低圧連系の発電設備である、
請求項1から3の何れか1項の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項の情報処理装置と、
前記工事情報を前記情報処理装置に送信する送信端末と、
を備える情報処理システム。
【請求項6】
太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報と、前記太陽光発電機器の設置場所で行われた前記設置工事の内容を示す工事情報と、を比較し、
前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記計画情報が示す前記設置工事の計画を前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容に変更する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報と、前記太陽光発電機器の設置場所で行われた前記設置工事の内容を示す工事情報と、を比較し、
前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記計画情報が示す前記設置工事の計画を前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容に変更する、
処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設工事検査システムに関し、検査項目に対する画像データを有した帳票を効率的に作成することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、建設工事が太陽光発電機器の設置工事である場合、当該設置工事は、太陽光発電機器についての工事計画を立てる計画段階、及び設置場所で太陽光発電機器の設置工事を行う建設段階等の複数段階に分けることができる。
【0005】
このとき、太陽光発電機器の設置工事において、建設段階で行われた設置工事の内容が計画段階で立てた設置工事の計画と異なることがある。例えば、当該設置工事では、実際に設置された太陽光発電機器の方位角及び傾斜角と、工事計画における上記の方位角及び傾斜角とが異なることがある。この場合、建設段階で行われた設置工事の内容に合わせて工事計画が変更されないと、計画段階において算出した太陽光発電機器により発電されることが期待される期待発電量と、太陽光発電機器の設置工事の完了後に算出した期待発電量とに乖離が生じるおそれがあり望ましくない。そして、太陽光発電機器の設置工事は、建物の建築工事に比べて建設期間が短いため、建設段階で行われた設置工事の内容に合わせて工事計画を変更する場合には、迅速に変更作業を行うことが求められる。
【0006】
そこで、本発明は、太陽光発電機器の設置工事において、計画段階で立てた設置工事の計画と建設段階で行われた設置工事の内容とが異なる場合に、人手を介さずに相違点を変更することができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の情報処理装置は、太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報と、前記太陽光発電機器の設置場所で行われた前記設置工事の内容を示す工事情報と、を比較する比較部と、前記比較部による前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記計画情報が示す前記設置工事の計画を前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容に変更する変更部と、を備える。
【0008】
第2の態様の情報処理装置は、第1の態様の情報処理装置であって、前記計画情報に基づいて、前記太陽光発電機器により発電されることが期待される期待発電量を算出する算出部を備え、前記算出部は、前記比較部による前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記変更部が変更した前記設置工事の計画を示す前記計画情報に基づいて、新たな前記期待発電量を算出する。
【0009】
第3の態様の情報処理装置は、第2の態様の情報処理装置であって、前記算出部が算出した前記期待発電量をユーザに提示する提示部を備える。
【0010】
第4の態様の情報処理装置は、第1から第3の何れかの態様の情報処理装置であって、前記太陽光発電機器は、低圧連系の発電設備である。ここで低圧連系とは発電所の設備容量が50kW未満であることを示す。
【0011】
第5の態様の情報処理システムは、第1から第4の何れかの態様の情報処理装置と、前記工事情報を前記情報処理装置に送信する送信端末と、を備える。
【0012】
第6の態様の情報処理方法は、太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報と、前記太陽光発電機器の設置場所で行われた前記設置工事の内容を示す工事情報と、を比較し、前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記計画情報が示す前記設置工事の計画を前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容に変更する、処理をコンピュータが実行する。
【0013】
第7の態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報と、前記太陽光発電機器の設置場所で行われた前記設置工事の内容を示す工事情報と、を比較し、前記計画情報と前記工事情報との比較の結果、前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容が、前記計画情報が示す前記設置工事の計画と異なっていた場合、前記計画情報が示す前記設置工事の計画を前記工事情報が示す前記設置場所で行われた前記設置工事の内容に変更する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムでは、太陽光発電機器の設置工事において、計画段階で立てた設置工事の計画と建設段階で行われた設置工事の内容とが異なる場合に、人手を介さずに相違点を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置、依頼者端末、及びユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理装置の記憶部の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る情報処理装置により行われる第1処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る情報処理装置により行われる第2処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る情報処理装置により行われる第3処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る依頼者端末の表示部に表示される第1の表示例である。
【
図9】本実施形態に係る依頼者端末の表示部に表示される第2の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る情報処理システム10について説明する。
本実施形態に係る情報処理システム10は、太陽光を受けて電気を発電する太陽光発電機器の設置工事において、計画段階で立てた設置工事の計画と建設段階で行われた設置工事の内容とが異なる場合に、人手を介さずに相違点を変更するためのシステムである。
【0017】
本実施形態では、太陽光発電機器の設置工事は、一例として、太陽光発電機器についての工事計画を立てる計画段階、及び設置場所で太陽光発電機器の設置工事を行う建設段階の2段階が設けられている。そして、太陽光発電機器の設置工事の完了後は、太陽光発電機器が設置場所で稼働される稼働段階となる。また、本実施形態では、太陽光発電機器は、低圧連系の発電設備であるがこれに限定されない。つまり、太陽光発電機器は、発電所の設備容量が50kW未満である低圧連系の発電設備であってもよいし、発電所の設備容量が50kW以上である高圧連系の発電設備であってもよい。
【0018】
図1は、情報処理システム10の概略構成を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム10は、情報処理装置20、依頼者端末40、及びユーザ端末60を含む。情報処理装置20、依頼者端末40、及びユーザ端末60は、ネットワークNを介して接続され、互いに通信可能となっている。
【0019】
情報処理装置20は、所定の事業者が保有するサーバコンピュータである。情報処理装置20は、太陽光発電機器の設置工事の計画を示す計画情報を、ネットワークNを介して依頼者端末40及びユーザ端末60の少なくとも一方から取得する。また、情報処理装置20は、太陽光発電機器の設置場所で行われた設置工事の内容を示す工事情報を、ネットワークNを介してユーザ端末60から取得する。また、情報処理装置20は、算出した期待発電量を依頼者端末40に送信して、太陽光発電機器の設置工事の依頼者に提示する。期待発電量は、太陽光発電機器により発電されることが期待される発電量である。依頼者は「ユーザ」の一例である。
【0020】
依頼者端末40は、依頼者が保有する端末である。上記のように、依頼者端末40は、計画情報を、ネットワークNを介して情報処理装置20に送信する。また、依頼者端末40は、期待発電量を、ネットワークNを介して情報処理装置20から取得する。
【0021】
ユーザ端末60は、太陽光発電機器の設置工事の施工者、及び、施工者の下請け業者である専門業者の少なくとも一方が保有する端末である。上記のように、ユーザ端末60は、計画情報及び工事情報を、ネットワークNを介して情報処理装置20に送信する。ユーザ端末60は「送信端末」の一例である。
【0022】
本実施形態では、一例として、ユーザ端末60は、施工者及び専門業者の双方が保有する。依頼者端末40及びユーザ端末60には、携帯可能なパーソナルコンピュータ(ノートPC)、スマートフォン、又はタブレット端末等が適用される。本実施形態では、一例として、依頼者端末40及びユーザ端末60はスマートフォンとする。
【0023】
次に、情報処理装置20、依頼者端末40、及びユーザ端末60のハードウェア構成を説明する。
図2は、情報処理装置20、依頼者端末40、及びユーザ端末60のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、情報処理装置20、依頼者端末40、及びユーザ端末60は、基本的には一般的なコンピュータ構成であるため、情報処理装置20を代表して説明する。
【0024】
図2に示すように、情報処理装置20は、CPU21(Central Processing Unit)、ROM22(Read Only Memory)、RAM23(Random Access Memory)、記憶部24、入力部25、表示部26、及び通信部27を備えている。各構成は、バス28を介して相互に通信可能に接続されている。
【0025】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又は記憶部24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22又は記憶部24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0026】
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0027】
記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0028】
入力部25は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、マイク、及びカメラ等を含み、各種の入力を行うために使用される。
【0029】
表示部26は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、入力部25として機能してもよい。
【0030】
通信部27は、他の機器と通信するためのインターフェースである。当該通信には、例えば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0031】
図3は、情報処理装置20の記憶部24の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、記憶部24には、情報処理装置20のCPU21を後述する
図4に示す機能構成として機能させるための情報処理プログラム24Aが格納されている。当該情報処理プログラム24Aを実行する際に、情報処理装置20は、
図2に示すハードウェア資源を用いて、当該情報処理プログラム24Aに基づく処理を実行する。
【0032】
次に、情報処理装置20の機能構成について説明する。
図4は、情報処理装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
【0033】
図4に示すように、情報処理装置20のCPU21は、機能構成として、取得部21A、比較部21B、算出部21C、生成部21D、提示部21E、及び変更部21Fを有する。各機能構成は、CPU21が記憶部24に記憶された情報処理プログラム24Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0034】
取得部21Aは、計画情報及び工事情報を取得する。取得部21Aが取得した計画情報及び工事情報は、記憶部24に記憶される。
【0035】
本実施形態では、計画情報は、依頼者端末40及びユーザ端末60の少なくとも一方から送信される発電所情報と、図示しない外部装置から送信される気象情報と、を含んで構成されている。
【0036】
ここで、依頼者、施工者、及び専門業者は、それぞれ依頼者端末40又はユーザ端末60に表示された入力画面で発電所情報を入力する。発電所情報の入力が終了した場合は、当該入力された発電所情報が情報処理装置20に送信される。発電所情報には、一例として、太陽光発電機器の設置場所の緯度、経度、及び標高、太陽光発電機器の方位角及び傾斜角、パネル容量、システム容量(PCS(Power Conditioning System)容量)、力率、パネル及びPCSの仕様、単線結線図(システム構成図)、架台、基礎仕様、強度計算条件、アレイ間隔、フェンス及び門扉の仕様及び場所、並びに、周囲の樹木情報等が含まれる。
【0037】
気象情報は、気象に関する情報であり、天気予報、気象注意報、及び気象警報等が含まれる。上記の外部装置は、太陽光発電機器の設置場所に対応する気象情報を、定期的に予め定めた期間分だけ情報処理装置20に送信する。
【0038】
また、施工者及び専門業者は、ユーザ端末60に表示された入力画面で工事情報を入力する。工事情報の入力が終了した場合は、当該入力された工事情報が情報処理装置20に送信される。本実施形態では、工事情報として、太陽光発電機器の設置場所で行われた設置工事の内容が入力される。設置工事の内容は、文字又は太陽光発電機器に関する画像の何れかで示されてもよいし、文字及び当該画像を組み合わせて示されてもよい。ここで、太陽光発電機器に関する画像には、一例として、納品された設備及び部材の写真、ケーブル埋設深さが把握可能な写真、杭の露出高さが把握可能な写真、設置したパネル、PCS、架台、及び杭等の写真、並びに、フェンス及び門扉の写真等が含まれる。
【0039】
比較部21Bは、取得部21Aが取得した計画情報及び工事情報を比較する。一例として、比較部21Bは、計画情報及び工事情報を比較し、工事情報が示す設置工事の内容が、計画情報が示す設置工事の計画と異なっているか否かを検証する。また、比較部21Bは、工事情報が示す設置工事の内容が、計画情報が示す設置工事の計画と異なっている場合は、相違点が太陽光発電機器による発電量に影響を及ぼす要素であるか否かを検証する。太陽光発電機器による発電量に影響を及ぼす要素は、上記の発電所情報のうち、太陽光発電機器の設置場所の緯度、経度、及び標高、並びに太陽光発電機器の方位角及び傾斜角等の予め定められた一部の要素である。
【0040】
算出部21Cは、期待発電量を算出する。算出部21Cが算出した期待発電量は、記憶部24に記憶される。
【0041】
算出部21Cは、太陽光発電機器の計画段階において、計画情報に基づいて期待発電量を算出し、太陽光発電機器の稼働段階において、稼働発電所情報に基づいて期待発電量を算出する。本実施形態では、一例として、算出部21Cは、1ヶ月後、6ヶ月後、及び1年後等の所定期間後までの期待発電量を算出する。
【0042】
太陽光発電機器の計画段階では、算出部21Cは、上記の発電所情報に含まれる太陽光発電機器による発電量に影響を及ぼす要素及び気象情報に基づいて、予め定めた算出方法を用いて期待発電量を算出する。
【0043】
ここで、上記の稼働発電所情報には、太陽光発電機器の設置工事の完了時における発電所情報と、太陽光発電機器の設置場所に対応する気象情報と、太陽光発電機器により実際に発電された発電量である実発電量と、電力会社から取得した売電電力量と、が含まれる。そして、太陽光発電機器の稼働段階では、算出部21Cは、上記の稼働発電所情報に基づいて、予め定めた算出方法を用いて期待発電量を算出する。
【0044】
生成部21Dは、太陽光発電機器に関する報告書を生成する。生成部21Dが生成した報告書は、記憶部24に記憶される。報告書には、一例として、期待発電量の算出方法及び算出結果、太陽光発電機器の設置場所の洪水、土砂災害、高潮、津波、及び塩害等に関するハザードマップとの比較結果、並びに設置工事の内容等が含まれる。
【0045】
提示部21Eは、算出部21Cが算出した期待発電量、及び生成部21Dが生成した報告書を依頼者に提示する。一例として、提示部21Eは、期待発電量及び報告書を依頼者端末40の表示部46に表示させることで依頼者に提示する。
【0046】
変更部21Fは、比較部21Bによる計画情報と工事情報との比較の結果、工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容が、計画情報が示す設置工事の計画と異なっていた場合、計画情報が示す設置工事の計画を工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容に変更する。一例として、変更部21Fは、工事情報が示す設置工事の内容と計画情報が示す設置工事の計画との相違点が太陽光発電機器による発電量に影響を及ぼす要素である場合に、記憶部24に記憶された計画情報が示す設置工事の計画を工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容に合わせて書き換える。
【0047】
ここで、算出部21Cは、変更部21Fが記憶部24に記憶された計画情報が示す設置工事の計画を工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容に合わせて変更した場合、変更後の計画情報に基づいて新たな期待発電量を算出する。
【0048】
図5は、太陽光発電機器の計画段階で情報処理装置20により行われる第1処理の流れを示すフローチャートである。CPU21が記憶部24から情報処理プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、第1処理が行われる。
【0049】
図5に示すステップS10において、CPU21は、計画情報を取得する。また、CPU21は、取得した計画情報を記憶部24に記憶させる。そして、ステップS11に進む。本実施形態では、一例として、CPU21は、計画情報のうち、発電所情報を依頼者端末40及びユーザ端末60の少なくとも一方から取得し、気象情報を外部装置から取得する。
【0050】
ステップS11において、CPU21は、ステップS10で取得した計画情報が予め定めた基準と比較して問題がないか否かを判定し、問題がないと判定した場合(ステップS11:YES)はステップS12に進む。一方、CPU21により計画情報が予め定めた基準と比較して問題があると判定された場合(ステップS11:NO)はステップS10に戻る。一例として、CPU21は、発電所情報に含まれる太陽光発電機器の設置場所がハザードマップに示される危険区域に該当しない場合に、計画情報が予め定めた基準と比較して問題がないと判定する。一方、CPU21は、発電所情報に含まれる太陽光発電機器の設置場所がハザードマップに示される危険区域に該当する場合に、計画情報が予め定めた基準と比較して問題があると判定する。
【0051】
ステップS12において、CPU21は、記憶部24に記憶されている計画情報に基づいて期待発電量を算出するとともに、報告書を生成する。また、CPU21は、算出した期待発電量及び生成した報告書を記憶部24に記憶させる。そして、ステップS13に進む。
【0052】
ステップS13において、CPU21は、ステップS12で算出した期待発電量及び生成した報告書を依頼者に提示する。そして、第1処理を終了する。
【0053】
図6は、太陽光発電機器の建設段階で情報処理装置20により行われる第2処理の流れを示すフローチャートである。CPU21が記憶部24から情報処理プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、第2処理が行われる。
【0054】
図6に示すステップS20において、CPU21は、工事情報を取得する。また、CPU21は、取得した工事情報を記憶部24に記憶させる。そして、ステップS21に進む。本実施形態では、一例として、CPU21は、工事情報をユーザ端末60から取得する。
【0055】
ステップS21において、CPU21は、ステップS20で取得した工事情報と記憶部24に記憶されている計画情報とを比較して問題がないか否かを判定し、問題がないと判定した場合(ステップS21:YES)はステップS24に進む。一方、CPU21により工事情報と計画情報とを比較して問題があると判定された場合(ステップS21:NO)はステップS22に進む。一例として、CPU21は、工事情報が示す設置工事の内容と計画情報が示す設置工事の計画とに相違点がない場合に、工事情報と計画情報とを比較して問題がないと判定する。一方、CPU21は、工事情報が示す設置工事の内容と計画情報が示す設置工事の計画とに相違点がある場合に、工事情報と計画情報とを比較して問題があると判定する。
【0056】
ステップS22において、CPU21は、工事情報が示す設置工事の内容と計画情報が示す設置工事の計画との相違点が太陽光発電機器による発電量に影響を及ぼす要素であるか否かを判定し、発電量に影響を及ぼす要素であると判定した場合(ステップS22:YES)はステップS23に進む。一方、CPU21により上記の相違点が太陽光発電機器による発電量に影響を及ぼす要素でないと判定された場合(ステップS22:NO)はステップS20に戻る。
【0057】
ステップS23において、CPU21は、計画情報が示す設置工事の計画を工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容に変更する。具体的には、CPU21は、記憶部24に記憶された計画情報が示す設置工事の計画を工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容に合わせて書き換える。そして、
図5に示すステップS12に戻る。
【0058】
ステップS24において、CPU21は、記憶部24に記憶されている工事情報に基づいて報告書を生成する。また、CPU21は、生成した報告書を記憶部24に記憶させる。そして、ステップS25に進む。
【0059】
ステップS25において、CPU21は、ステップS24で生成した報告書を依頼者に提示する。そして、第2処理を終了する。
【0060】
図7は、太陽光発電機器の稼働段階で情報処理装置20により行われる第3処理の流れを示すフローチャートである。CPU21が記憶部24から情報処理プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、第3処理が行われる。
【0061】
図7に示すステップS30において、CPU21は、稼働発電所情報を取得する。また、CPU21は、取得した稼働発電所情報を記憶部24に記憶させる。そして、ステップS31に進む。本実施形態では、一例として、CPU21は、稼働発電所情報のうち、発電所情報を記憶部24から取得し、気象情報を外部装置から取得し、実発電量を太陽光発電機器から取得し、売電電力量を電力会社から取得する。
【0062】
ステップS31において、CPU21は、ステップS30で取得した稼働発電所情報が予め定めた基準と比較して問題がないか否かを判定し、問題がないと判定した場合(ステップS31:YES)はステップS32に進む。一方、CPU21により稼働発電所情報が予め定めた基準と比較して問題があると判定された場合(ステップS31:NO)はステップS30に戻る。一例として、CPU21は、実発電量と記憶部24に記憶されている期待発電量との差分が閾値未満である場合に、稼働発電所情報が予め定めた基準と比較して問題がないと判定する。一方、CPU21は、実発電量と記憶部24に記憶されている期待発電量との差分が閾値以上である場合に、稼働発電所情報が予め定めた基準と比較して問題があると判定する。
【0063】
ステップS32において、CPU21は、ステップS30で取得した稼働発電所情報に基づいて期待発電量を算出するとともに、報告書を生成する。また、CPU21は、算出した期待発電量及び生成した報告書を記憶部24に記憶させる。そして、ステップS33に進む。
【0064】
ステップS33において、CPU21は、ステップS32で算出した期待発電量及び生成した報告書を依頼者に提示する。そして、第3処理を終了する。
【0065】
次に、期待発電量及び報告書の表示例について説明する。
図8は、依頼者端末40の表示部46に表示される第1の表示例である。情報処理装置20のCPU21は、一例として、太陽光発電機器による期待発電量を表示させるための予め定めた操作を受付けた場合に
図8に示す画面を表示部46に表示させる。
【0066】
図8に示す表示例には、発電量表示部50と、切替ボタン52と、終了ボタン54と、が表示されている。
【0067】
発電量表示部50は、太陽光発電機器による期待発電量を示す部分である。一例として、
図8では、発電量表示部50に「1月から12月までの1年間」の期待発電量が表示されている。なお、発電量表示部50における期待発電量の表示期間は、1年に限らず、1日、1週間、及び1ヶ月等の他の期間であってもよい。
【0068】
図8に示す切替ボタン52は、表示部46の表示内容を
図9に示す報告書の画面へ変更するためのボタンである。
終了ボタン54は、表示部46の表示内容をホーム画面へ変更するためのボタンである。
【0069】
図9は、依頼者端末40の表示部46に表示される第2の表示例である。情報処理装置20のCPU21は、一例として、
図8に示す表示例の表示中に切替ボタン52が操作された場合に
図9に示す画面を表示部46に表示させる。
【0070】
図9に示す表示例には、切替ボタン52と、終了ボタン54と、内容表示部56と、画像表示部58と、が表示されている。
【0071】
図9に示す切替ボタン52は、表示部46の表示内容を
図8に示す期待発電量の画面へ変更するためのボタンである。
【0072】
内容表示部56は、設置工事の内容を示す部分である。一例として、
図9では、内容表示部56に特定の日付における設置工事の内容が表示されている。
【0073】
画像表示部58は、ユーザ端末60のカメラにより撮影された太陽光発電機器に関する画像を示す部分である。一例として、
図9では、画像表示部58には、太陽光発電機器に関する画像として、画像1、画像2、画像3、及び画像4が表示されている。
【0074】
以上説明したように、情報処理装置20では、CPU21は、計画情報及び工事情報を比較する。そして、CPU21は、計画情報と工事情報との比較の結果、工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容が、計画情報が示す設置工事の計画と異なっていた場合、計画情報が示す設置工事の計画を工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容に変更する。これにより、当該情報処理装置20では、太陽光発電機器の設置工事において、計画段階で立てた設置工事の計画と建設段階で行われた設置工事の内容とが異なる場合に、人手を介さずに相違点を変更することができる。
【0075】
また、情報処理装置20では、CPU21は、計画情報に基づいて期待発電量を算出する。そして、CPU21は、計画情報と工事情報との比較の結果、工事情報が示す設置場所で行われた設置工事の内容が、計画情報が示す設置工事の計画と異なっていた場合、変更した設置工事の計画を示す計画情報に基づいて、新たな期待発電量を算出する。これにより、当該情報処理装置20では、太陽光発電機器の計画段階において算出した期待発電量と、太陽光発電機器の稼働段階において算出した期待発電量との乖離を抑制することができる。
【0076】
また、情報処理装置20では、CPU21は、算出した期待発電量を依頼者に提示する。これにより、当該情報処理装置20では、太陽光発電機器により発電されることが期待される発電量を依頼者に把握させることができる。
【0077】
また、情報処理装置20では、太陽光発電機器は、低圧連系の発電設備である。これにより、当該情報処理装置20では、高圧連系の発電設備に比べて建設期間が短い低圧連系の発電設備において、建設段階で行われた設置工事の内容に合わせて工事計画を迅速に変更することができる。
【0078】
(その他)
上記実施形態では、依頼者は「ユーザ」の一例として、期待発電量を依頼者に提示したが、「ユーザ」の一例は依頼者に限られない。例えば、依頼者に代えて又は加えて、施工者及び専門業者等を「ユーザ」の一例として期待発電量を提示してもよい。
【0079】
上記実施形態では、気象情報を外部装置から情報処理装置20に送信することとしたが、これに限らず、依頼者端末40及びユーザ端末60の少なくとも一方から気象情報を情報処理装置20に送信してもよい。
【0080】
上記実施形態では、
図5に示す第1処理のステップS11において、CPU21は、発電所情報に含まれる太陽光発電機器の設置場所がハザードマップに示される危険区域に該当しない場合に、計画情報が予め定めた基準と比較して問題がないと判定することとした。しかし、これに代えて又は加えて、CPU21は、各種ネガティブ情報、太陽光発電機器のレイアウト、パネル及びPCSの仕様、1ストリングあたりのパネル直列数、架台、基礎仕様、並びに強度計算条件の少なくとも1つに関する不適当基準に該当しない場合に、計画情報が予め定めた基準と比較して問題がないと判定してもよい。
【0081】
なお、上記実施形態でCPU21がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した第1処理、第2処理、及び第3処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、第1処理、第2処理、及び第3処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0082】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム24Aが記憶部24に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム24Aは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム24Aは、ネットワークNを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 情報処理システム
20 情報処理装置
21B 比較部
21C 算出部
21E 提示部
21F 変更部
24A 情報処理プログラム
60 ユーザ端末(送信端末)