(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011466
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】冷却システム、デフロスト判定システム及びデフロスト判定方法
(51)【国際特許分類】
F25D 21/06 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
F25D21/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115349
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 翔
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】関谷 禎夫
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046CA06
3L046CA12
3L046CA16
3L046FA00
3L046FB02
3L046FB04
3L046GA01
3L046GA04
3L046JA11
3L046KA00
3L046KA04
3L046LA02
3L046MA02
3L046MA03
3L046MA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギー効率の観点でデフロスト処理を最適化した冷凍倉庫を提供する。
【解決手段】着霜領域を撮像する撮像装置410と、前記撮像装置410で撮像された画像から着霜量に関する情報を算出する画像解析装置420と、前記算出された着霜量に関する情報に基づいてデフロスト処理を行うタイミングを特定する制御部とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着霜領域を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された画像から着霜量に関する情報を算出する画像解析装置と、
前記算出された着霜量に関する情報に基づいてデフロスト処理を行うタイミングを特定する制御部と、
を有することを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、
前記着霜領域として、冷却器に付設される放熱フィンを含む領域を撮像することを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記制御部は、
デフロスト未動作時間もしくは継続動作時間を算出し、
前記制御部は、
前記デフロスト未動作時間もしくは前記継続動作時間の情報に基づき前記デフロスト処理を行うタイミングを判定することを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記冷却器のファンを流れる電流値もしくは電圧値に関する情報を受信し、
前記制御部は、
前記電流値もしくは前記電圧値に関する情報に基づき前記デフロスト処理を行うタイミングを特定することを特徴とする請求項2に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記冷却器の吸込もしくは吹出温度の情報を受信し、
前記制御部は、
前記吸込もしくは吹出温度の情報に基づき前記デフロスト処理を行うタイミングを特定することを特徴とする請求項2に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記着霜量の閾値を予め設定しておき、
前記制御部は、
前記算出された着霜量が前記閾値を超えた際に前記デフロスト処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】
複数の冷却器について前記デフロスト処理を判定する冷却システムであって、
前記着霜量の閾値が前記複数の冷却器のそれぞれについて予め設定されており、
前記閾値が前記冷却器によって異なることを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
複数の冷却器について前記デフロスト処理を判定する冷却システムであって、
前記複数の冷却器は同じ冷凍倉庫内に設置されており、
前記制御部は、
前記複数の冷却器の前記デフロスト処理がそれぞれ異なる時間に実施されるように前記デフロスト処理を制御することを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記撮像装置は、
前記着霜領域として前記冷却器の全面が撮像範囲に含まれるように設置されていることを特徴とする請求項2に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記冷却器に光が当たるように照明を設置することを特徴とする請求項2に記載の冷却システム。
【請求項11】
冷却器に付設される放熱フィンを含む領域の画像を取得する画像取得部と、
前記画像から着霜量に関する情報を算出する算出部と、
前記冷却器に関するデータを取得するセンサと、
前記着霜量に関する情報と前記センサから取得したデータに基づきデフロスト処理を行うタイミングを判定する判定部と、
を有することを特徴とするデフロスト判定システム。
【請求項12】
前記センサは、
前記冷却器に関するデータとして、前記冷却器のファンを流れる電流値もしくは電圧値に関する情報を取得し、
前記判定部は、
前記電流値もしくは前記電圧値に関する情報に基づき前記デフロスト処理を行うタイミングを判定することを特徴とする請求項11に記載のデフロスト判定システム。
【請求項13】
前記センサは、
前記冷却器に関するデータとして、前記冷却器の吸込もしくは吹出温度の情報を取得し、
前記判定部は、
前記吸込もしくは吹出温度の情報に基づき前記デフロスト処理を行うタイミングを判定することを特徴とする請求項11に記載のデフロスト判定システム。
【請求項14】
前記判定部は、
前記算出された着霜量が予め設定された着霜量の閾値を超えたか否かに基づき前記デフロスト処理を行うタイミングを判定することを特徴とする請求項11に記載のデフロスト判定システム。
【請求項15】
着霜領域の画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像から着霜量に関する情報を算出する算出ステップと、
前記算出された着霜量に関する情報に基づいてデフロスト処理を行うタイミングを判定する判定ステップと、
を有することを特徴とするデフロスト判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却システム、デフロスト判定システム及びデフロスト判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、「冷却器の温度を検出する冷却器温度検出手段12aと、冷却器の周辺温度を検出する冷却器周辺温度検出手段12bと、冷却器温度検出手段12a及び冷却器周辺温度検出手段12bの両検出情報から冷却器の着霜量を予測して除霜タイミングを決定する着霜量予測処理手段16とを有することを特徴とする。」と記載されている(要約参照)。
【0003】
特許文献2によれば、「省エネ管理装置(10)は、気流解析と空調機(20)の運転シミュレーションとを行うことにより、低温倉庫(2)の温度分布を推定する。省エネ管理装置(10)は、推定した温度分布に基づいて、省エネのための空調機(20)の改善点を決定する。省エネ管理装置(10)は、気流解析と、改善点を適用した後の空調機(20)の運転シミュレーションとを行うことにより、改善点を適用した後の空調機(20)の消費電力量を推定する。省エネ管理装置(10)は、改善前の空調機(20)の消費電力量と、推定した改善後の空調機(20)の消費電力量と、電気料金テーブルの情報である料金テーブル情報とに基づいて、改善点の適用により削減される電気料金を省エネ効果として算出する。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-227555号公報
【特許文献2】WO2020/8550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、冷却器の温度と冷却器の周辺温度とを検出し、着霜量を予測し除霜タイミングを決定する技術が開示されている。しかしながら、家庭用冷蔵庫や冷凍庫と異なり商業用の冷凍倉庫については、外気温だけでなく外気の湿度が冷凍倉庫内に流れ込みやすかったり、商品の出入りも激しいため複雑な着霜条件にあり予測困難である。
【0006】
特許文献2は、低温倉庫のレイアウト空調機情報と低温倉庫を出入りする荷物の入出庫の情報を用いて、気流解析と空調機のシミュレーションを行うことにより、低温倉庫の温度分布を推定し、省エネのための空調機の改善点を特定し、改善点の適用前後の消費電力に基づく省エネ効果を算出する技術が開示されている。また、改善点を特定する際に、湿度情報を用いることが開示されている。さらに、低温倉庫は冷凍倉庫も考慮されているが、湿度の高い場所について霜やカビが発生しないよう空調機の風を多く当てることでこれらの発生を防止することが開示されている。
【0007】
したがって、特許文献1と2のいずれについても、着霜状態を精度よく算出できず、エネルギー効率の観点で冷凍倉庫のデフロスト処理を最適化することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、エネルギー効率の観点で冷凍倉庫のデフロスト処理を最適化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の冷却システムは、着霜領域を撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された画像から着霜量に関する情報を算出する画像解析装置と、前記算出された着霜量に関する情報に基づいてデフロスト処理を行うタイミングを特定する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、エネルギー効率の観点で冷凍倉庫のデフロスト処理を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の冷凍倉庫管理システムのイメージ図である。
【
図3】本発明の冷凍倉庫管理システムのシステムブロック図の一例を示す図である。
【
図4】本発明の撮像装置と画像解析装置のイメージ図である。
【
図5】本発明のデフロスト処理開始時におけるフローチャートである。
【
図6】本発明のデフロスト処理終了時におけるフローチャートである。
【
図7】本発明の冷却器と放熱フィンのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に必要なとき以外は同一又は同様な部分の説明を原則として繰り返さない。所定の図に記載された符号について他の図で説明をする場合であっても同一又は同様な部分の説明は省略する。
【0013】
以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクション又は実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0014】
以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0015】
以下の実施の形態において、「入出力部」は、1以上のインターフェースを含む。1以上のインターフェースは、1以上の同種のインターフェース装置であっても良いし2以上の異種のインターフェース装置であっても良い。
【0016】
以下の実施の形態において、「記憶部」は、1以上のメモリを含む。記憶手段に関して少なくとも1つのメモリは、揮発性メモリで良い。記憶部は、主に、プロセッサ部による処理の際に使用される。記憶部は、メモリの他に、1以上の不揮発性の記憶装置(例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive))を含んでも良い。
【0017】
以下の実施の形態において、「制御部」は、1以上のプロセッサを含む。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでも良い。1以上のプロセッサの各々は、シングルコアでも良いしマルチコアでも良い。プロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路を含んでも良い。
【0018】
以下の実施の形態において、「kkk部」(インターフェース部、記憶部及び制御部を除く)の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、1以上のコンピュータプログラム(後述の制御プログラム及び情報プログラムを除く)が制御部によって実行されることで実現されても良いし、1以上のハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))によって実現されても良い。
【0019】
プログラムがプロセッサ部によって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶部及び/又はインターフェース部等を用いながら行われるため、機能はプロセッサ部の少なくとも一部とされても良い。機能を主語として説明された処理は、プロセッサ部あるいはそのプロセッサ部を有する装置が行う処理としても良い。
【0020】
プログラムは、プログラムソースからインストールされても良い。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であっても良い。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしても良い。
【0021】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のデータでも良いし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでも良い。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されても良いし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであっても良い。
【0022】
以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0023】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例0024】
図1は、本発明の冷凍倉庫管理システムのイメージ図である。
冷凍倉庫管理システム100は、冷凍倉庫110を有しており、冷凍倉庫110には搬送手段130によって物品が搬入出されるドアである入出庫口120が設けられている。また、搬送手段130が冷凍倉庫110へ物品を搬入出する時間や搬送対象を管理する情報は、搬送管理部160により記憶され管理されている。搬送手段はトラックやトレーラーであってよい。
【0025】
管理システム140は、冷凍倉庫110に設けられた冷却器の代表例であるターボ圧縮機またはスクリュー圧縮機等を制御する。以降、単に冷却器、ターボ圧縮機またはスクリュー圧縮機と呼ぶが、これらに限られずどのような冷却器であってもよい。また、ターボ冷却器やスクリュー冷却器とも呼ぶ場合がある。この管理システム140によるスクリュー冷却器の制御は、冷凍倉庫110内部に設けられた温度センサ、湿度センサ、または冷却器周辺に設けられた着霜検出手段、気象情報150や搬送管理部160に記憶された情報に基づき制御する。具体的な制御方法は後述する。
【0026】
図2は、本発明の冷凍倉庫のイメージ図である。
図1で説明した冷凍倉庫110と入出庫口120をより具体的に説明するための図である。冷凍倉庫110の内部は冷凍された物品が保管される低温領域250が設けられている。
【0027】
入出庫口120には、荷捌き室220が設けられている。荷捌き室220は、冷凍倉庫110へ物品を搬入出するために搬送手段130が発着するバース210と、バース210から物品を仮置きする仮置場230が設けられている。荷捌き室220と低温領域250との間は搬入出口240が設けられており、フォークリフトAGV(Automated guided vehicle)等の搬送手段によって物品を搬送するとよい。冷凍倉庫110が外気または荷捌き室220に開放され温度上昇が生じにくいよう仕組みとなっている。
【0028】
従来は、バース210は、搬送手段130が到着する度に開放されるため、開放されると荷捌き室220には、外気に触れることで、荷捌き室220内の温度上昇や湿度が向上する。また、荷捌き室220内の温度や湿度が上昇することで、物品を荷捌き室220から低温領域250へ搬入出する際に、低温領域250の温度や湿度が上昇するため、バース220や搬入出口240の開放する回数や時間を少なくするとよい。
【0029】
上記した冷凍倉庫110では、冷却器が空気を圧縮し冷却された空気を循環させる際に、放熱用のフィンは低温となるためフィン周囲の空気中の水分が凍結しフィンに張り付くことでフィンには霜が生じる。冷凍倉庫100内の湿度または水分量が増加すると、よりフィンには着霜しやすくなる。そのため、外気に含まれる水分が冷凍倉庫内へ入り込みにくくするため、または、冷凍倉庫内の湿度をなるべく低くするために、搬入出口240を開放する回数を少なく、または、開放時間を少なくするとよい。このようにフィンに張り付き着霜したもの(単に霜とも呼ぶ)を除去する作業をデフロストまたは除霜作業と呼ぶ。
【0030】
デフロストの方式としては、フィンを電気ヒーター等で加熱する方式でもよいし、温かい吐き出しガスをあてるホットガス方式でもよいし、冷却器に温水を散布する散水方式であってもよい。
【0031】
次に、
図3を用いて本発明の冷凍倉庫デフロスト制御システムのシステムブロックについて説明する。
管理システム140は、入出力部330、制御部310と記憶部320を有している。入出力部330は、キーボードやマウス等のユーザインターフェースを有していてもよく、タッチパネル等の表示部と一体となった入出力部であってもよい。また、ネットワークを介してアクセス可能な入出力部であってもよい。
【0032】
管理システム140の入出力部330を介して、冷凍倉庫110内に配置された冷却器340のファンを稼働させる際に流れる電流値や印加される電圧値、冷却器のファンに吸い込みや吹き出しされる空気についての吸込/吹出温度や着霜量の情報が入力される。着霜量については後述する。これらの入力された情報を基に、管理システム140は、冷凍倉庫110を冷却するスクリュー冷凍機を制御する。また、スクリュー冷凍機のみならず、全体効率を考慮し、冷凍倉庫110全体の運用スケジュールを生成し管理することもできる。制御方法や運用スケジュールについては、後述する。
【0033】
管理システム140は、一つの冷凍倉庫110に設置された1つの冷却器340を制御するように構成されていてもよいし、一つの冷凍倉庫110に複数の冷却器340、341が設置されている場合は両方を制御するように構成されていてもよい。冷却器は冷却装置としては1つで送風口とフィンが冷却器として複数ある場合も考えられる。また、一つの拠点等に複数の冷凍倉庫110、111がある場合や、遠隔地にある複数の冷凍倉庫を一つの管理システムで制御する場合は、それら複数の冷凍倉庫に設置された複数の冷凍器及びそのデフロスト制御を管理システム140が制御するように構成されていてもよい。遠隔地にある場合は管理システム140がクラウド上に設置されていてもよい。
【0034】
次に、
図4を用いて冷却器340から入出力部330に入力される電流値、電圧値、吸込/吹出温度や着霜量の情報について説明する。
着霜量の検出に関しては、冷却器340に付着している霜をカメラ410で撮影し、画像解析システム420に取り込む。画像解析システム420は、管理システム140に設けても良い。また、霜を含むよう所定範囲を撮像した画像は記憶部440に記憶される。画像解析システム420は、記憶部440に取り込まれた霜の画像データを数値化される。
【0035】
冷却器340は
図7に示すように、筐体部とフィンとで構成され、霜はその全面にわたり薄くつくこともあるが、冷凍倉庫110の水分量が多い側である搬入出口240に近い側から霜が付いた領域が広がっていく場合もある。そのため、広い面積を持った冷却器のフィンの霜による冷却性能への影響を捉えることができるように、カメラ410はフィンの正面ではなくてもよいが、望ましくは全面、少なくともその多くの部分が撮像範囲に含まれるように設置される。
【0036】
画像データの数値は霜が付いた領域やついていない領域に関わらず、フィン全体を捉えた画素の累積数値に基づき算出してもよいし、霜が付いた領域を識別しその領域の割合や領域の画素検出値に基づき算出してもよい。
【0037】
また、撮像した画像をグレースケール化し、グレースケールの輝度を基に特定することができる。着霜量が大きいほど値が大きくなる。他にも、フィンの色と霜の色を分離するような画像処理により、霜の増加に対して数値が単純増加または単純減少するような関係が特定できれば上述の方法以外であっても霜の量に関する情報を特定することができる。
【0038】
例えば、冷凍倉庫110内は、フィン周辺は暗い場合があり必ずしも撮像に適した環境ではない場合がある。このとき、フィンが含まれる撮像する画角に対して所定角度から照明で照らし、照らした状態と照らしていない状態の差分を利用し、霜の量に関する情報を特定することもできる。その他、HSV空間で霜の色を抽出し、霜の量を特定してもよい。
【0039】
また、撮像手段を固定し、霜がない状態の画像を基準とし、撮像した画像から基準となる霜がない画像をピクセルごと、あるいは圧縮機の振動による撮像位置の誤差を考慮し周辺の特定画素を畳み込みし、基準となる位置同士をフィッティングした後に差分を取得することで霜の量を特定することもできる。
【0040】
画像解析システム420で数値化された霜の量に関する情報を記憶部440に記憶し、記憶された霜の量に関する情報が図示しない画像解析システム420が有する入出力部と入出力部330を介して管理システム140に取り込まれる。
【0041】
次に、電流値、電圧値、吸込/吹出温度は、冷却器340に取り付けられたセンサ情報をデータ収集システム430に取り込む。これらの値を取得するセンサは冷却器340に内蔵されるものであってもよく、別途冷却器340の周辺に取り付けてもよい。
【0042】
取得した冷却器340のセンサ情報は、データ収集システム420が取込み、これらの情報は管理システム140に入出力部330を介して取り込まれる。データ収集システム140は、冷却器の制御手段に内蔵されている場合があり、この場合は直接管理システム140とインターフェースを接続するこができる。また、冷却器340と管理システム140との間に、PLC(Programmable Logic Controller)やIPC(Industrial Personal Computer)やIoT(Internet of Things)コントローラ等の制御機器を用いて実施することができる。
【0043】
管理システム140は、これらの取り込まれたセンサ情報を基に冷凍機340の制御、デフロスト処理のタイミングの特定や冷凍倉庫100の運用スケジュールの作成等を行う。
【0044】
次に、
図5を用いてデフロスト制御がONになるまでのフローを説明する。
管理システム140は、データ入力の処理(ステップ510)後、システムエラーが発生しているか判定する(ステップ520)。
【0045】
エラーが発生した場合、従来制御モードに移行する(ステップ530)。エラーが発生しない場合、演算処理に移行する(ステップ540)。
【0046】
演算処理(ステップ540)にて算出された値から、電流値が予め設定した上限閾値を超えているか(ステップ550)、吸込/吹出温度差が予め設定した下限閾値を超えているか(ステップ560)、画像解析システム420で数値化された着霜量が予め設定した上限閾値を超えているか(ステップ570)、管理システム140で前回のデフロスト動作完了後から経過した時間として算出したデフロスト未動作時間が予め設定した上限閾値を超えているか(ステップ580)を判定する。
【0047】
いずれかの判定処理において、条件が成立する場合はデフロスト制御ONとなる(ステップ511)。いずれの判定処理においても、条件が不成立の場合は、信号は出力されない(ステップ590)。
【0048】
ここで、上記閾値のパラメータは手動にて設定を変更することが可能である。また、判定周期は、例えば1分毎に設定することができる。
【0049】
次に、
図6を用いてデフロスト制御がOFFになるまでのフローを説明する。
管理システム140は、データ入力の処理(ステップ510)後、システムエラーが発生しているか判定する(ステップ520)。エラーが発生した場合、従来制御モードに移行する(ステップ530)。エラーが発生しない場合、演算処理に移行する(ステップ540)。
【0050】
演算処理540にて算出された値から、着霜量が予め設定した下限閾値以下になっているか(ステップ610)、デフロスト継続動作時間が予め設定した上限閾値を超えているか(ステップ620)を判定する。いずれかの判定処理において、条件が成立する場合はデフロスト制御OFFとなる(ステップ640)。いずれの判定処理においても、条件が不成立の場合は、信号は出力されない(ステップ630)。
【0051】
ここで、上記閾値のパラメータは手動にて設定を変更することが可能である。また、判定周期は、例えば、1分毎が好ましい。
【0052】
冷凍倉庫110に複数の冷却器が設置されている場合は、管理システム140において予め設定される着霜量の閾値として、冷却器340と冷却器341で異なる閾値を設定することができる。それにより、冷却器340と冷却器341の搬入出口との位置関係等の設置条件により、霜の付きやすさが異なる場合、最適な制御をすることができる。
【0053】
同様にデフロスト未動作時間、デフロスト継続動作時間についても異なる閾値を設定することができる。特に搬入出口に近い側の冷却器について頻度が高くなるように低い閾値を設定すると望ましい、またそれにより、デフロスト頻度が搬入口に近い側で高くなるように設定し、管理システム140がデフロスト制御することになる。
【0054】
更に、同じ冷凍倉庫110に複数の冷却器のデフロストをする場合、また同じ拠点に複数の冷凍倉庫がある場合、デフロストがそれぞれ異なる時間に実施されるように、少なくとも同時にデフロスト処理に入らないように、望ましくは他方のデフロストが動作していない条件に基づきデフロスト処理をする、もしくは他方のデフロスト後所定時間経過したあとデフロスト許可する条件を演算処理540に設定することもできる。
【0055】
それによりデフロストのために消費電力が増える期間をずらすことができ電力消費を平滑化することができる。またデフロストの間冷却能力が低下するが、同じ冷凍倉庫に設置された複数の冷却器でその影響を所定時間ずらすことで、庫内の温度変化を抑制することができる。
【0056】
上記実施例の冷凍倉庫管理システムは、冷却器に付設される放熱フィンを含む領域を撮像装置により撮像し、その画像を解析することにより着霜状態を数値化する。前記算出された数値に基づいてデフロスト処理(除霜処理)の実行タイミングを決定することで冷凍倉庫全体の運用効率を上昇が期待できる。
【0057】
このように、上記実施例によれば、冷却器周辺に生じた霜について着霜状態と冷凍倉庫の運用状態から特定し除霜処理を行うことにより冷凍倉庫全体の運用効率を上昇させることができる。
【0058】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0059】
例えば、前述した実施例では、除霜作業をフィンに張り付き着霜したものを除去する作業として説明してきたが、本発明はフィンの除霜作業に限定されず、フィン以外の部分に張り付き着霜したものを除去する作業にも適用可能である。
【0060】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0061】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、フラッシュメモリ、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0062】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。