(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114668
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】歯科治療ユニット
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A61C19/00 Z
A61C19/00 B
A61C19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017109
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】502080704
【氏名又は名称】長田電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA01
4C052LL06
4C052LL07
4C052LL09
(57)【要約】
【課題】殺菌できる程度の強度を有する紫外線の人体への誤照射を確実に防止する歯科治療ユニットを提供すること。
【解決手段】歯科治療椅子110が、患者の着座を検知する着座センサー113gを有し、無影灯140が、患者の口腔内を照らす可視光源141Aおよびこの可視光源141Aの反対側に配置して紫外線を照射する殺菌光源141Cを設けた無影灯本体141と、この無影灯本体141に対して装着自在な把持取手142とを有し、無影灯本体141が、把持取手142の装着を検知する取手装着検知センサー141cを有し、着座センサー113gが患者の着座を検知していない状態かつ取手装着検知センサー141cが把持取手142の装着を検知していない状態で、制御装置150が無影灯140の殺菌光源141Cを点灯させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の着座する歯科治療椅子と、該歯科治療椅子に向けて光を照射する無影灯と、該無影灯の点滅を制御する制御装置とを備えた歯科治療ユニットであって、
前記歯科治療椅子が、前記患者の着座を検知する着座センサーを有し、
前記無影灯が、前記患者の口腔内を照らす可視光源および該可視光源の反対側に配置して紫外線を照射する殺菌光源を設けた無影灯本体と、該無影灯本体に対して装着自在な把持取手とを有し、
前記無影灯本体が、前記把持取手の装着を検知する取手装着検知センサーを有し、
前記着座センサーが前記患者の着座を検知していない状態かつ前記取手装着検知センサーが前記把持取手の装着を検知していない状態で、前記制御装置が前記無影灯の殺菌光源を点灯させることを特徴とする歯科治療ユニット。
【請求項2】
前記無影灯が、前記無影灯本体の姿勢を検知する姿勢検知センサーを有し、
前記把持取手が、前記無影灯本体に複数取り付けられ、
前記取手装着検知センサーがすべての前記把持取手の装着を検知していない状態かつ前記無影灯の殺菌光源が前記歯科治療椅子と対向している姿勢で、前記制御装置が前記無影灯の殺菌光源を点灯させることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療ユニット。
【請求項3】
前記無影灯本体が、人体を検知する人体検知センサーを有し、
前記制御装置は、前記取手装着検知センサーが前記把持取手の装着を検知している状態に限り前記人体検知センサーによる前記人体の検知に応じて、前記無影灯の可視光源を点灯または消灯させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯科治療ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療ユニットに関するものであって、特に、殺菌光源を一体的に有する無影灯を備えた歯科治療ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科治療ユニットには患部を照射するために無影灯が設けられている。
このような無影灯として、従来、ランプ(可視光源)の後方に殺菌灯(殺菌光源)を一体的に有し、治療室内を効果的に殺菌して院内感染等を防止する無影灯が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-20717号公報(例えば、
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の無影灯において、殺菌灯は必ずしも常時点灯しておく必要はなく、例えば、ある所定角度の範囲内で下を向いているときのみ殺菌灯を自動的に点灯させ、水平方向あるいは上向きで使用する時は自動的に消灯するようにしてもよい。
さらには、手動スイッチを設けておき、非使用時、無影灯を前述した所定の角度範囲で下に向けて、手動スイッチを作動して殺菌灯を点灯してもよい。
【0005】
しかしながら、上述の無影灯では、無影灯が下を向いているときや手動スイッチが作動したときに殺菌灯を点灯させているため、歯科治療ユニットに患者が着座していた場合や、歯科治療ユニットに患者が着座していなくとも殺菌灯の照射範囲に患者やスタッフがいた場合に誤って殺菌灯から紫外線を照射してしまう虞がある。
特に、この問題は、紫外線の強度が殺菌できる程度に強い場合に、より重要な問題となる。
【0006】
したがって、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、殺菌できる程度の強度を有する紫外線の人体への誤照射を確実に防止する歯科治療ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、患者の着座する歯科治療椅子と、該歯科治療椅子に向けて光を照射する無影灯と、該無影灯の点滅を制御する制御装置とを備えた歯科治療ユニットであって、前記歯科治療椅子が、前記患者の着座を検知する着座センサーを有し、前記無影灯が、前記患者の口腔内を照らす可視光源および該可視光源の反対側に配置して紫外線を照射する殺菌光源をた無影灯本体と、該無影灯本体に対して装着自在な把持取手とを有し、前記無影灯本体が、前記把持取手の装着を検知する取手装着検知センサーを有し、前記着座センサーが前記患者の着座を検知していない状態かつ前記取手装着検知センサーが前記把持取手の装着を検知していない状態で、前記制御装置が前記無影灯の殺菌光源を点灯させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された歯科治療ユニットの構成に加えて、前記無影灯が、前記無影灯本体の姿勢を検知する姿勢検知センサーを有し、前記把持取手が、前記無影灯本体に複数取り付けられ、前記取手装着検知センサーがすべての前記把持取手の装着を検知していない状態かつ前記無影灯の殺菌光源が前記歯科治療椅子と対向している姿勢で、前記制御装置が前記無影灯の殺菌光源を点灯させることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された歯科治療ユニットの構成に加えて、前記無影灯本体が、人体を検知する人体検知センサーを有し、前記制御装置は、前記取手装着検知センサーが前記把持取手の装着を検知している状態に限り前記人体検知センサーによる前記人体の検知に応じて、前記無影灯の可視光源を点灯または消灯させることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明の歯科治療ユニットによれば、着座センサーが患者の着座を検知していない状態で、制御装置が無影灯の殺菌光源を点灯させることにより、殺菌できる程度の強度を有する紫外線の診療中の患者への誤照射を防止するだけでなく、取手装着検知センサーが把持取手の装着を検知していない状態、すなわち、把持取手が無影灯本体から取り外されている状態で、制御装置が無影灯の殺菌光源を点灯させることにより、無影灯本体を掴み難い状態、すなわち、患者を歯科治療椅子に着座させて歯科診療を行えない状態である診療後に限って、紫外線を照射するため、殺菌できる程度の強度を有する紫外線の人体への誤照射を確実に防止することができる。
【0011】
請求項2に係る発明の歯科治療ユニットによれば、請求項1に係る発明の歯科治療ユニットが奏する効果に加えて、取手装着検知センサーがすべての把持取手の装着を検知していない状態、すなわち、すべての把持取手が無影灯本体から取り外された状態かつ無影灯の殺菌光源が歯科治療椅子と対向している姿勢で、制御装置が無影灯の殺菌光源を点灯させることにより、歯科診療を行えない状態である診療後に限って、歯科治療椅子や床面に紫外線を照射するため、殺菌光源が誤って人体に向かって照射されることを確実に防ぎつつ、歯科治療椅子や床面を殺菌することができる。
【0012】
請求項3に係る発明の歯科治療ユニットによれば、請求項1または請求項2に係る発明の歯科治療ユニットが奏する効果に加えて、制御装置は、取手装着検知センサーが把持取手の装着を検知している状態、すなわち、把持取手が無影灯本体に取り付けられている状態に限り人体検知センサーによる人体の検知に応じて、無影灯の可視光源を点灯または消灯させることにより、取手装着検知センサーによる把持取手の検知結果が殺菌光源の点灯のみならず可視光源の点灯または消灯にも用いられるため、診療後に誤って可視光源が点灯することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例である歯科治療ユニットの斜視図。
【
図6】殺菌姿勢を示す無影灯の
図3のVI-VI断面図。
【
図7】
図1に示す無影灯の殺菌光源点灯に関する動作フローを示す図。
【
図8】
図1に示す無影灯の可視光源点灯に関する動作フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、患者の着座する歯科治療椅子と、この歯科治療椅子に向けて光を照射する無影灯と、この無影灯の点滅を制御する制御装置とを備えた歯科治療ユニットであって、歯科治療椅子が、患者の着座を検知する着座センサーを有し、無影灯が、患者の口腔内を照らす可視光源およびこの可視光源の反対側に配置して紫外線を照射する殺菌光源を設けた無影灯本体と、この無影灯本体に対して装着自在な把持取手とを有し、無影灯本体が、把持取手の装着を検知する取手装着検知センサーを有し、着座センサーが患者の着座を検知していない状態かつ取手装着検知センサーが把持取手の装着を検知していない状態で、制御装置が無影灯の殺菌光源を点灯させ、殺菌できる程度の強度を有する紫外線の人体への誤照射を確実に防止するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【実施例0015】
以下、
図1乃至
図8に基づいて、本発明の一実施例である歯科治療ユニット100を説明する。
【0016】
<1.歯科治療ユニットの概要>
まず、本発明の一実施例である歯科治療ユニットの斜視図である
図1に基づいて、本発明の一実施例である歯科治療ユニット100の概要を説明する。
【0017】
歯科治療ユニット100は、
図1に示すように、患者が着座する歯科治療椅子110と、この歯科治療ユニット100の側方に隣接配置されたスピットン120と、このスピットン120に取り付けられたワークテーブル130および無影灯140と、これらの機器の動作を制御する制御装置150とを備えている。
【0018】
歯科治療椅子110は、
図1に示すように、床Fに載置される基部111と、この基部111の上部に設けられ昇降自在な昇降部112と、この昇降部112の上部に設けられたシート部113とを有している。
シート部113は、
図1に示すように、床Fに対してほぼ水平に配されて患者の臀部を支持するコンターシート113aと、このコンターシート113aの後方に設けられて患者の背中を支持するバックレスト113bと、このバックレスト113bの上部に設けられて患者の頭部を支持するヘッドレスト113cと、コンターシート113aの側方に設けられて患者の腕を支持するアームレスト113dと、コンターシート113aの前方に設けられて患者の脚を支持するレッグレスト113eと、このレッグレスト113eの下方に設けられて患者の足を支持するフットレスト113fとを有している。
【0019】
シート部113は、さらに、
図1に示すように、コンターシート113aの内部に患者の着座を検知する着座センサー113gを有している。
着座センサー113gは、患者が着座していれば「ON」となり、患者が着座していなければ「OFF」となる。
【0020】
スピットン120は、患者がうがい等をする際に必要な水を供給するものであり、歯科治療ユニット100に供給された商用電源からの電力で駆動する。
また、このスピットン120は、電源や給水源等を内蔵するスピットン本体121と、スピットン本体121の上部に設けられた給水装置122と、患者がうがいした水を受ける鉢123と、スピットン本体121の上部に設けられて鉛直方向に伸びる支柱124とを有している。
【0021】
ワークテーブル130は、支柱124に取り付けられたワークテーブル用アーム124aに取り付けられており、種々の歯科用インスツルメントを保持している。
制御装置150は、一例として、
図1に示すようにワークテーブル130に組み込まれている。
【0022】
<2.無影灯>
次に、
図1乃至
図6に基づき、無影灯140について説明する。
図2は
図1に示す無影灯の背面斜視図であり、
図3は
図1に示す無影灯の正面図であり、
図4は
図3のIV-IV断面図であり、
図5は診療姿勢を示す
図3のV-V断面図であり、
図6は殺菌姿勢を示す無影灯の
図3のVI-VI断面図である。
【0023】
無影灯140は、歯科治療椅子110に向けて光を照射するものであり、制御装置150により点滅が制御されている。
そして、この無影灯140は、
図2に示すように、無影灯本体141と、この無影灯本体141に対して装着自在な把持取手142と、支柱124に取り付けられた無影灯用アーム124bと無影灯本体141とを接続する接続部材143とから構成されている。
【0024】
<2.1.無影灯本体>
無影灯本体141は、
図2および
図3に示すように、直方体状の部材であり、可視光を照射して歯科治療椅子110に着座した患者の口腔内を照らす可視光源141Aと、この可視光源141Aを覆う可視光源カバー141Bと、殺菌力を持つ波長域の光線(殺菌線)を照射して菌やウイルスを殺す殺菌光源141Cと、この殺菌光源141Cを覆う殺菌光源カバー141Dとを設けている。
【0025】
可視光源141AはLEDや電球といった可視光を発光するものであり、可視光源カバー141Bは可視光源141Aから照射される光を透過できる部材で形成されている。
殺菌光源141Cはガラス管の内側に蛍光物質を塗布していない蛍光灯やLEDといった殺菌光(波長260nm付近の紫外線)を発光するものであり、殺菌光源カバー141Dは殺菌光源141Cから照射される光を透過できる部材(例えば、石英ガラスや金属メッシュ)で形成されている。
【0026】
また、可視光源141Aおよび可視光源カバー141Bと殺菌光源141Cおよび殺菌光源カバー141Dとは、
図2、
図3、
図5から明らかなように、無影灯本体141の両側方から伸びて接続部材143と連結する連結軸141aを挟んで配置されている。
したがって、殺菌光源141Cは、可視光源141Aの反対側に配置されている。
以下、便宜上、可視光源カバー141Bが設けられている側を「前方」、殺菌光源カバー141Dが設けられている側を「後方」と呼ぶ。
【0027】
さらに無影灯本体141には、
図4等に示すように、連結軸141aから前方に向けて突出した取手取付基部141bが形成されている。
この取手取付基部141bには、
図4に示すような把持取手142の装着を検知する取手装着検知センサー141cと、
図1に示すような人体検知センサー141dとが設けられている。
【0028】
取手装着検知センサー141cは、板バネ141c1を有するマイクロスイッチであり、この板バネ141c1に加重が加わっていない状態が「切状態」であり、板バネ141c1が押し下げられた状態が「入状態」となる。
なお、
図4に示すように、本実施例において、板バネ141c1は連結軸141aの伸びる方向に撓むものであり、以下、板バネ141c1が押し下げられる方向を「内側」、板バネ141c1が跳ね上がる方向を「外側」と呼ぶ。
【0029】
人体検知センサー141dは、非接触センサーであり、人体(例えば、歯科医師、歯科衛生士または歯科助手の手や腕)を検知する。
そして、この人体検知センサー141dは、
図1に示すように、内側に向けて露出している。
すなわち、一方の取手取付基部141bに設けられた人体検知センサー141dによる人体検知領域Rは、
図4に示すように、他方の取手取付基部141bに向かって形成されている。
【0030】
<2.2.把持取手>
把持取手142は、無影灯本体141の取手取付基部141bにそれぞれ取り付けられている。
すなわち、把持取手142は、無影灯本体141に複数(本実施例では2個)取り付けられている。
この把持取手142は、
図2に示すように、L字状となっている。
また、把持取手142の両側面には、
図1および
図5に示すように、無影灯本体141の人体検知センサー141dを露出するための窓142aが形成されている。
【0031】
<2.3.接続部材>
接続部材143は、
図2に示すようにU字状の部材であり、
図4および
図5に示すように、無影灯本体141の姿勢を検知する姿勢検知センサー143aと、この姿勢検知センサー143aと当接する環状のリング143bと、このリング143bの脱落を防止する抜け止めリング143cとを有している。
【0032】
姿勢検知センサー143aは、板バネ143a1を有するマイクロスイッチである。
この板バネ143a1は、
図5に示すように、連結軸141aの伸びる方向と直交する方向に撓む。
【0033】
リング143bは、
図4および
図5に示すように、無影灯本体141の連結軸141aを内挿しており、連結軸141aに対して周方向に位置決めされている。
また、リング143bには、径方向に窪んだ凹部143b1が前方側に形成されている。
したがって、
図5に示すような姿勢検知センサー143aの板バネ143a1がリング143bと当接して押し下げられた状態は、可視光源141Aが歯科治療椅子110側に向いているため、「診療姿勢」となる。
また、
図6に示すような姿勢検知センサー143aの板バネ143a1に加重が加わっていない状態は、殺菌光源141Cが歯科治療椅子110側に向いているため、「殺菌姿勢」となる。
【0034】
抜け止めリング143cは、無影灯本体141の連結軸141aに挿入されてリング143bの軸方向(連結軸141aの伸びる方向)の位置決めを行っている。
【0035】
<3.無影灯の点灯に関する動作>
続いて、
図7および
図8に基づき、無影灯140の点灯に関する動作の一例を説明する。
図7は
図1に示す無影灯の殺菌光源点灯に関する動作フローを示す図であり、
図8は
図1に示す無影灯の可視光源点灯に関する動作フローを示す図である。
【0036】
<3.1.殺菌光源の点灯に関する動作>
まず、
図7に基づき、無影灯140の殺菌光源141Cの点灯に関する動作の一例を説明する。
【0037】
(ステップS10)
歯科治療ユニット100の制御装置150は、まず、歯科治療ユニット100がメンテナンスモードに入っているか否かを判定する。
歯科治療ユニット100がメンテナンスモードに入っていれば、ステップS11へ進む。
歯科治療ユニット100がメンテナンスモードに入っていなければ、歯科治療ユニット100がメンテナンスモードに入っているか否かの判定を継続する。
【0038】
なお、ここでいう「メンテナンスモード」とは、歯科治療ユニット100をメンテナンスするためのモードであり、一例として、診察前の歯科治療ユニット100内の水抜きなどを行うモードである。
また、歯科治療ユニット100をメンテナンスモードにするには、ワークテーブル130を操作してもよいし、遠隔操作によってもよい。
【0039】
(ステップS11)
ステップS11では、制御装置150は、着座センサー113gがOFFになっている(すなわち、歯科治療椅子110に患者が着座していない)かONになっている(すなわち、歯科治療椅子110に患者が着座している)かを判定する。
着座センサー113gがOFFになっていれば、歯科治療椅子110に患者が着座していないとして、ステップS12に進む。
着座センサー113gがONになっていれば、着座センサー113gがONになっているか否かの判定を継続する。
【0040】
(ステップS12)
ステップS12では、制御装置150は、すべての取手装着検知センサー141cがOFFになっている(すなわち、把持取手142が無影灯本体141からすべて取り外されている)か否かを判定する。
取手装着検知センサー141cがひとつでもONになっていれば、無影灯本体141に把持取手142が少なくとも1つは装着されているため、ステップS11に戻る。
取手装着検知センサー141cがすべてOFFになっていれば、把持取手142が無影灯本体141からすべて取り外されて診療が終わっている(すなわち、診療室内に患者がいない)として、ステップS13に進む。
【0041】
(ステップS13)
ステップS13では、制御装置150は、殺菌光源141Cを点灯させる指示の有無を判定する。
殺菌光源141Cを点灯させる指示があれば、ステップS14に進む。
殺菌光源141Cを点灯させる指示がなければ、殺菌光源141Cを点灯させる指示の有無の判定を継続する。
なお、殺菌光源141Cを点灯させる指示は、ワークテーブル130から行ってもよいし、遠隔で行ってもよい。
【0042】
(ステップS14)
ステップS14では、無影灯本体141の姿勢が殺菌姿勢になっているか否かを判定する。
無影灯本体141の姿勢が殺菌姿勢(すなわち、姿勢検知センサー143aの板バネ143a1がリング143bの凹部143b1に嵌まっている状態)であれば、殺菌光源141Cを所定時間点灯させる(ステップS15)。
無影灯本体141の姿勢が殺菌姿勢ではない、すなわち、無影灯本体141の姿勢が診療姿勢(換言すると、姿勢検知センサー143aの板バネ143a1がリング143bと当接している状態)であれば、無影灯本体141の姿勢が殺菌姿勢になっているか否かの判定を継続する。
【0043】
以上説明したように、本実施例の歯科治療ユニット100は、「歯科治療椅子110の着座センサー113gが患者の着座を検知していない状態」かつ「取手装着検知センサー141cがすべての把持取手142の装着を検知していない状態、すなわち、把持取手142が無影灯本体141からすべて取り外されている状態」かつ「無影灯140の殺菌光源141Cが歯科治療椅子110と対向している姿勢(すなわち、殺菌姿勢)」において、制御装置150は無影灯140の殺菌光源141Cを所定時間点灯させている。
【0044】
<3.2.可視光源の点灯に関する動作>
次に、
図8に基づき、無影灯140の可視光源141Aの点灯に関する動作の一例を説明する。
【0045】
(ステップS20)
歯科治療ユニット100の制御装置150は、まず、すべての取手装着検知センサー141cがONになっている(すなわち、把持取手142が無影灯本体141にすべて装着されている)か否かを判定する。
取手装着検知センサー141cがすべてONになっていれば、把持取手142が無影灯本体141にすべて装着されているとして、ステップS21に進む。
取手装着検知センサー141cがすべてONになっていなければ、すべての取手装着検知センサー141cがONになっているか否かの判定を継続する。
【0046】
(ステップS21)
ステップS21では、無影灯本体141の姿勢が診療姿勢になっているか否かを判定する。
無影灯本体141の姿勢が診療姿勢(すなわち、姿勢検知センサー143aの板バネ143a1がリング143bと当接している状態)であれば、ステップS22に進む。
無影灯本体141の姿勢が診療姿勢ではない、すなわち、無影灯本体141の姿勢が殺菌姿勢であれば、無影灯本体141の姿勢が診療姿勢になっているか否かの判定を継続する。
【0047】
(ステップS22)
ステップS22では、制御装置150は、人体検知センサー141dのいずれか1つが人体を検知したか否かを判定する。
人体検知センサー141dのいずれか1つが人体を検知すれば、可視光源141Aを点灯させる(ステップS23)。
人体検知センサー141dがいずれも人体を検知しなければ、人体検知センサー141dのいずれか1つが人体を検知したか否かの判定を継続する。
【0048】
以上説明したように、本実施例の歯科治療ユニット100の制御装置150は、取手装着検知センサー141cが把持取手142の装着を検知している状態、すなわち、把持取手142がすべて無影灯本体141に取り付けられている状態に限り、人体検知センサー141dによる人体の検知に応じて、無影灯140の可視光源141Aを点灯させる。
なお、可視光源141Aの消灯についても同様であり、すなわち、制御装置150は、把持取手142がすべて無影灯本体141に取り付けられている状態に限り、人体検知センサー141dによる人体の検知に応じて、無影灯140の可視光源141Aを消灯させる。
【0049】
<4.歯科治療ユニット100が奏する効果>
以上説明した本実施例の歯科治療ユニット100によれば、着座センサー113gが患者の着座を検知していない状態で、制御装置150が無影灯140の殺菌光源141Cを点灯させることにより、殺菌できる程度の強度を有する紫外線の診療中の患者への誤照射を防止するだけでなく、取手装着検知センサー141cが把持取手142の装着を検知していない状態、すなわち、把持取手142が無影灯本体141から取り外されている状態で、制御装置150が無影灯140の殺菌光源140Cを点灯させることにより、無影灯本体141を掴み難い状態、すなわち、患者を歯科治療椅子110に着座させて歯科診療を行えない状態である診療後に限って、紫外線を照射するため、殺菌できる程度の強度を有する紫外線の人体への誤照射を確実に防止することができる。
【0050】
また、制御装置150は、取手装着検知センサー141cが把持取手142の装着を検知している状態、すなわち、把持取手142が無影灯本体141に取り付けられている状態に限り人体検知センサーによる人体の検知に応じて、無影灯140の可視光源141Aを点灯または消灯させることにより、取手装着検知センサー141cによる把持取手142の検知結果が殺菌光源141Cの点灯のみならず可視光源141Aの点灯または消灯にも用いられるため、診療後に誤って可視光源141Aが点灯することを防ぐことができる。
【0051】
<変形例>
以上、本発明の一実施例である歯科治療ユニット100について説明したが、本発明の歯科治療ユニットは、上述した実施例の歯科治療ユニット100に限定されるものではない。
【0052】
例えば、着座センサーが患者の着座を検知していない状態かつ取手装着検知センサーが前記把持取手の装着を検知していない状態で、制御装置が無影灯の殺菌光源を点灯させることができれば、無影灯の殺菌光源点灯に関する動作フローは上述した動作フローに限定されるものではない。
【0053】
例えば、殺菌光源が点灯している際、その旨を知らせるためにアラーム音が鳴ってもよい。