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  • 特開-電池および電池製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114675
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】電池および電池製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/04 20060101AFI20230810BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230810BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230810BHJP
   H01M 4/42 20060101ALI20230810BHJP
   H01M 4/06 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
H01M6/04
H01M4/48
H01M4/62 C
H01M4/42
H01M4/06 E
H01M4/06 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017117
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都築 秀典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄也
(72)【発明者】
【氏名】國谷 繁之
【テーマコード(参考)】
5H024
5H050
【Fターム(参考)】
5H024AA03
5H024AA14
5H024EE09
5H024HH01
5H050AA02
5H050BA04
5H050CA05
5H050CB13
5H050DA09
5H050DA10
5H050EA09
5H050EA23
5H050HA01
(57)【要約】
【課題】放電性能を向上させる。
【解決手段】電池1は、二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極3と、亜鉛を含有する負極5と、正極3と負極5とが浸漬される電解液と、負極5または電解液に含有されるポリエチレンイミンとを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極と、
亜鉛と電解液を含有する負極と、
前記正極と前記負極を分けるセパレータと、
前記正極と前記セパレータとが浸漬される電解液と、
前記負極中の電解液に含有されるポリエチレンイミン
とを備える電池。
【請求項2】
二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極と、
亜鉛と電解液を含有する負極と、
前記正極と前記負極を分けるセパレータと、
前記正極と前記負極とが浸漬される電解液と、
前記電解液に含有されるポリエチレンイミン
とを備える電池。
【請求項3】
二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極と、
亜鉛と電解液を含有する負極と、
前記正極と前記負極を分けるセパレータと、
前記正極と前記負極とが浸漬される電解液と、
前記負極中の電解液と前記電解液とに含有されるポリエチレンイミン
とを備える電池。
【請求項4】
前記亜鉛の質量に対する前記ポリエチレンイミンの質量の比率は、50ppm以上であり、かつ、1000ppm以下である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極を準備することと、
亜鉛を含有し、ポリエチレンイミンが添加された負極を準備することと、
前記正極と前記負極とが電解液に浸漬される電池を組み立てること
とを備える電池製造方法。
【請求項6】
二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極を準備することと、
亜鉛を含有する負極を準備することと、
ポリエチレンイミンが添加された電解液を準備することと、
前記正極と前記負極とが前記電解液に浸漬される電池を組み立てること
とを備える電池製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、電池および電池製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正極中にポリエチレンイミンが含有されるアルカリ乾電池が知られている(特許文献1)。このようなアルカリ乾電池は、正極の強度、正極合剤の滑り性や分散性を向上させることができ、歩留りおよび生産性を向上させることができる。また、負極にキレート剤が添加されているアルカリ乾電池が知られている(特許文献2~3)。このようなアルカリ乾電池は、放電によって生成する亜鉛イオンがキレート剤により錯イオンを形成することにより、酸化亜鉛のデンドライトの成長を抑制して、デンドライトがセパレータを貫通して正極と負極を短絡させることを防止することができる。このため、このようなアルカリ乾電池は、セパレータを薄くすることができ、セパレータが薄いことにより、発電物質の充填容量を増加させることができ、放電性能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-154514号公報
【特許文献2】特開2006-286485号公報
【特許文献3】特開2008-021497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アルカリ乾電池は、キレート剤が添加された場合でも、放電性能を向上させるためには、セパレータを薄くする必要がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、放電性能を向上させる電池および電池製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電池は、二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極と、亜鉛を含有する負極と、前記正極と前記負極とが浸漬される電解液と、前記負極に含有されるポリエチレンイミンとを備えている。
【発明の効果】
【0007】
開示の電池および電池製造方法は、放電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の電池を示す斜視断面図である。
図2図2は、実施形態の電池製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる電池について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0010】
[実施形態の電池1]
実施形態の電池1は、アルカリ乾電池であり、図1に示されているように、電池ケース2と正極3と負極5と集電棒6とセパレータ7とを備えている。図1は、実施形態の電池1を示す斜視断面図である。電池ケース2は、正極缶11と負極端子板12と封口ガスケット14とを備えている。正極缶11は、金属に例示される導体から形成されている。正極缶11は、有底円筒形に形成され、側面部分15と底面部分16とを備えている。側面部分15は、円柱の側面に沿うように、屈曲した板から形成されている。底面部分16は、円柱の一方の底面に沿うように配置されている。底面部分16は、底面部分16の縁が側面部分15の一方の端に隣接するように、側面部分15に一体に繋がっている。
【0011】
底面部分16には、凹凸が形成され、底面部分16の中央には、正極端子部分17が形成されている。正極端子部分17は、正極缶11の内側から外側に向かって突出するように形成されている。正極缶11には、開口部18が形成されている。開口部18は、側面部分15のうちの円柱の他方の底面に対応する部位に形成されている。正極缶11の内部は、開口部18を介して正極缶11の外部に繋がっている。
【0012】
負極端子板12は、金属に例示される導体から形成され、概ね円板状に形成されている。負極端子板12は、正極缶11の開口部18を塞ぐように、円柱の他方の底面に沿うように配置されている。電池ケース2の内部には、負極端子板12が開口部18を塞ぐことにより、正極缶11と負極端子板12とに囲まれる内部空間23が形成されている。
【0013】
封口ガスケット14は、樹脂に例示される絶縁体から形成され、概ねリング状に形成されている。封口ガスケット14は、負極端子板12の縁を取り囲み、正極缶11の開口部18に配置されている。封口ガスケット14は、負極端子板12の縁と正極缶11とに挟まれ、負極端子板12の縁と正極缶11との間に形成される隙間を塞いでいる。負極端子板12は、封口ガスケット14が負極端子板12の縁と正極缶11とに挟まれることにより、封口ガスケット14を介して正極缶11に固定されている。負極端子板12は、封口ガスケット14が負極端子板12の縁と正極缶11とに挟まれることにより、封口ガスケット14を介して正極缶11から電気的に絶縁されている。
【0014】
電池ケース2は、外装ラベル19をさらに備えている。外装ラベル19は、熱収縮フィルムから形成されている。熱収縮フィルムは、絶縁体であり、加熱されることにより縮む。外装ラベル19は、電池ケース2の外部に露出される表面のうちの負極端子板12と正極端子部分17とを除く領域を覆っている。
【0015】
正極3は、正極合剤から形成されている。正極合剤は、正極作用物質とバインダーと水酸化カリウム水溶液とを含んでいる。正極作用物質は、二酸化マンガンMnOと黒鉛Cとを含んでいる。バインダーは、たとえば、高分子化合物を含有し、正極作用物質から形成される粉体を互いに接着させて固形物に形成する。正極3は、管状に形成され、電池ケース2の内部空間23に配置されている。正極3は、正極作用物質が正極缶11に電気的に接続されるように、正極缶11の側面部分15の内周面に密着している。
【0016】
負極5は、負極作用物質から形成され、ゲル状に形成されている。負極作用物質は、亜鉛粉と水酸化カリウム水溶液とを含んでいる。負極5は、さらに、ポリエチレンイミンを含有している。ポリエチレンイミンの分子量は、たとえば、300以上であり、70000以下である。負極5は、電池ケース2の内部空間23のうちの正極3の内側に配置されている。なお、負極作用物質に含まれる亜鉛粉は、亜鉛を含有する亜鉛合金から形成される亜鉛合金粉に置換されてもよい。
【0017】
集電棒6は、導体から形成され、棒状に形成されている。集電棒6は、側面部分15が沿う円柱の中心軸に沿うように内部空間23に配置されている。集電棒6は、さらに、集電棒6が負極5の負極作用物質に電気的に接続されるように、負極5に埋め込まれている。集電棒6は、さらに、封口ガスケット14の中央を貫通している。集電棒6の一端は、集電棒6が負極端子板12に電気的に接続されるように、負極端子板12に接合されている。
【0018】
セパレータ7は、ビニロンやパルプ等に例示される絶縁体から形成されている。セパレータ7は、有底中空円筒形に形成され、側面部分25と底面部分26とを備えている。側面部分25は、内部空間23のうちの正極3と負極5との間に配置されている。底面部分26は、内部空間23のうちの負極5と正極缶11の底面部分16との間に配置されている。底面部分26は、内部空間23のうちの負極5が配置される領域が、内部空間23のうちの正極3と正極缶11とが配置される領域から隔てられるように、側面部分25の一端に一体に繋がっている。セパレータ7は、このように配置されることにより、正極3と負極5とを隔て、負極5と正極缶11とを隔てている。負極5は、セパレータ7が正極3と負極5とを隔てていることにより、正極3から電気的に絶縁され、セパレータ7が負極5と正極缶11とを隔てていることにより、正極缶11から電気的に絶縁されている。
【0019】
電池1は、電解液をさらに備えている。電解液は、水酸化カリウムKOHを含有する水溶液から形成されている。電解液は、さらに、ポリエチレンイミンを含有している。負極5に含有される亜鉛の質量に対する、負極5と電解液とにそれぞれ含有されるポリエチレンイミンの質量の和の比率は、50ppm以上であり、かつ、1000ppm以下である。電解液は、正極3と負極5とが電解液に浸漬されるように、内部空間23に配置され、セパレータ7に染み込み、正極3に染み込んでいる。
【0020】
[実施形態の電池製造方法]
図2は、実施形態の電池製造方法を示すフローチャートである。実施形態の電池製造方法は、電池1を製造する方法である。電池製造方法では、正極合剤が準備され、正極缶11が準備される。正極合剤は、成型加工され(ステップS1)、正極3に形成される。正極3は、正極3が正極缶11に嵌合するように、すなわち、正極3の外周面が正極缶11に内周面に接触するように、正極缶11の内部に挿入される(ステップS2)。
【0021】
電池製造方法では、さらに、セパレータ7が準備される。セパレータ7は、成型加工され(ステップS3)、有底中空円筒形に形成される。正極3が正極缶11の内部に挿入された後で、かつ、セパレータ7が有底中空円筒形に形成された後に、セパレータ7が正極3の内側に挿入される(ステップS4)。
【0022】
電池製造方法では、さらに、電解液が準備される。電解液は、予め定められた濃度の水酸化カリウムKOHが溶解している水溶液に調製されている。電解液は、予め定められた量のポリエチレンイミンが添加される(ステップS5)。なお、ステップS5の処理は、負極5にポリエチレンイミンが添加されるときに、省略されてもよい。セパレータ7が正極3の内側に挿入された後に、電解液が正極3の内側に注入される(ステップS6)。電解液が正極3の内側に注入されることにより、電解液は、セパレータ7に染み込み、正極3に染み込む。
【0023】
電池製造方法では、さらに、負極5が準備される。負極5は、亜鉛粉と水酸化カリウム水溶液とを用いてゲル状に調製されている。負極5は、予め定められた量のポリエチレンイミンが添加される(ステップS7)。なお、ステップS7の処理は、電解液にポリエチレンイミンが添加されるときに、省略されてもよい。負極5は、電解液がセパレータ7と正極3とに染み込んだ後に、予め定められた量だけセパレータ7の内側に注入される(ステップS8)。
【0024】
電池製造方法では、さらに、集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが準備される。集電棒6が負極端子板12に電気的に接触するように、集電棒6が負極端子板12に接合され、負極端子板12の縁が封口ガスケット14に覆われるように、封口ガスケット14が負極端子板12に接合されることにより、集電体が作製される。負極5が注入された後に、負極端子板12に接合された集電棒6が負極5に埋め込まれるように、かつ、負極端子板12と封口ガスケット14とが開口部18を閉鎖するように、集電体が正極缶11に取り付けられる。集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが正極缶11に取り付けられた後に、負極端子板12と正極缶11との間に形成される隙間が封口ガスケット14により封止されるように、正極缶11の開口部18の近傍の部分がかしめられる(ステップS9)。正極缶11がかしめられることにより、封口ガスケット14が変形し、集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが正極缶11に固定され、内部空間23が外部から密閉される。
【0025】
電池製造方法では、さらに、外装ラベル19が準備される。外装ラベル19は、集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが正極缶11に固定された後に、電池ケース2の表面のうちの負極端子板12と正極端子部分17とを除く領域が覆われるように、電池ケース2に巻き付けられる(ステップS10)。外装ラベル19が電池ケース2に巻き付けられた後に、外装ラベル19は、加熱され、収縮し、電池ケース2に貼り付けられ、電池1が作製される。このような電池製造方法によれば、電池1は、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に適切に添加されるように、適切に作製されることができる。
【0026】
[電池1の評価試験]
実施形態の電池1の効果を確認するために、複数の電池試料が作製され、複数の電池試料の各々に複数の評価試験が実行されている。表1は、複数の電池試料に対応する複数の作製条件と複数の評価結果とを示している。
【表1】
複数の電池試料は、比較例1の電池と比較例2の電池と比較例3の電池と実施例1の電池と実施例2の電池と実施例3の電池と実施例4の電池と実施例5の電池と実施例6の電池とを含んでいる。
【0027】
複数の電池試料は、作製条件が互いに異なるように、作製されている。作製条件は、キレート剤種類と添加場所と添加量とにより示される。キレート剤種類は、「ポリエチレンイミン」または「EDTA」または「グリシン」を示している。すなわち、ある電池試料のキレート剤種類が「ポリエチレンイミン」を示すときに、その電池試料の負極5または電解液にポリエチレンイミンが添加されていることを示している。ある電池試料のキレート剤種類が「EDTA」を示すときに、その電池試料の負極5または電解液にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が添加されていることを示し、その電池試料の負極5と電解液とにポリエチレンイミンが添加されていないことを示している。ある電池試料のキレート剤種類が「グリシン」を示すときに、その電池試料の負極5または電解液にグリシンが添加されていることを示し、その電池試料の負極5と電解液とにポリエチレンイミンが添加されていないことを示している。
【0028】
添加場所は、「負極」または「電解液」を示している。すなわち、ある電池試料の添加場所が「負極」を示すときに、その電池試料の負極5にキレート剤が添加されていることを示し、その電池試料の電解液にキレート剤が添加されていないことを示している。ある電池試料の添加場所が「電解液」を示すときに、その電池試料の電解液にキレート剤が添加されていることを示し、その電池試料の負極5にキレート剤が添加されていないことを示している。
【0029】
ある電池試料の添加量は、その電池試料の負極5または電解液に添加されるキレート剤の総量を示し、その電池試料の負極5に含有される亜鉛の質量に対する、その電池試料の負極5または電解液に添加されるキレート剤の総量の比率を示している。すなわち、ある電池試料の添加量が「Xppm」を示すときに、その電池試料の負極5と電解液とに添加されるキレート剤の質量を、その電池試料の負極5に含有される亜鉛の質量で除算した値に百万を乗算した値がXの値に等しいことを示している。
【0030】
複数の電池試料は、その作製条件が互いに異なること以外は、互いに同様に作製されている。すなわち、複数の電池試料は、電池サイズがLR6(単3電池)になるように、正極3と集電棒6とセパレータ7と正極缶11と負極端子板12と封口ガスケット14とが作製されている。負極5または電解液に添加されるポリエチレンイミンの分子量は、概ね1800である。
【0031】
比較例1の電池は、負極5にキレート剤が添加されないように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0032】
比較例2の電池のキレート剤種類は、「EDTA」を示している。比較例2の電池の添加場所は、「負極」を示している。比較例2の電池の添加量は、「300ppm」を示している。すなわち、比較例2の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して300ppmのエチレンジアミン四酢酸が負極5に添加されるように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0033】
比較例3の電池のキレート剤種類は、「グリシン」を示している。比較例3の電池の添加場所は、「負極」を示している。比較例3の電池の添加量は、「300ppm」を示している。すなわち、比較例3の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して300ppmのグリシンが負極5に添加されるように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0034】
実施例1の電池のキレート剤種類は、「ポリエチレンイミン」を示している。実施例1の電池の添加場所は、「負極」を示している。実施例1の電池の添加量は、「30ppm」を示している。すなわち、実施例1の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して30ppmのポリエチレンイミンが負極5に添加されるように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0035】
実施例2の電池のキレート剤種類は、「ポリエチレンイミン」を示している。実施例2の電池の添加場所は、「負極」を示している。実施例2の電池の添加量は、「50ppm」を示している。すなわち、実施例2の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して50ppmのポリエチレンイミンが負極5に添加されるように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0036】
実施例3の電池のキレート剤種類は、「ポリエチレンイミン」を示している。実施例3の電池の添加場所は、「負極」を示している。実施例3の電池の添加量は、「300ppm」を示している。すなわち、実施例3の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して300ppmのポリエチレンイミンが負極5に添加されるように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0037】
実施例4の電池のキレート剤種類は、「ポリエチレンイミン」を示している。実施例4の電池の添加場所は、「負極」を示している。実施例4の電池の添加量は、「1000ppm」を示している。すなわち、実施例4の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して1000ppmのポリエチレンイミンが負極5に添加されるように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0038】
実施例5の電池のキレート剤種類は、「ポリエチレンイミン」を示している。実施例5の電池の添加場所は、「負極」を示している。実施例5の電池の添加量は、「1500ppm」を示している。すなわち、実施例5の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して1500ppmのポリエチレンイミンが負極5に添加されるように、かつ、電解液にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0039】
実施例6の電池のキレート剤種類は、「ポリエチレンイミン」を示している。実施例6の電池の添加場所は、電解液を示している。実施例6の電池の添加量は、「300ppm」を示している。すなわち、実施例1の電池は、負極5に含まれる亜鉛に対して300ppmのポリエチレンイミンが電解液に添加されるように、かつ、負極5にキレート剤が添加されないように、作製されている。
【0040】
複数の評価結果は、複数の軽負荷間欠放電試験結果と複数の中負荷パルス放電試験結果と複数の第1重負荷パルス放電試験結果と複数の第2重負荷パルス放電試験結果とを含んでいる。
複数の軽負荷間欠放電試験結果は、複数の電池試料に対応している。複数の軽負荷間欠放電試験結果のうちのある電池試料に対応する軽負荷間欠放電試験結果は、その電池試料に対して軽負荷間欠放電試験が実行されることにより導出される。ある電池試料に対して実行される軽負荷間欠放電試験では、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.0Vより小さくなるまで8時間の放電パターンが繰り返し実行され、軽負荷間欠放電時間が導出される。8時間の放電パターンは、1時間の放電期間と7時間の休止期間とから形成されている。1時間の放電期間では、その電池試料が50mAで放電されるように、その電池試料が負荷に電気的に接続される。7時間の休止期間では、その電池試料が放電されないように、その電池試料が負荷から電気的に絶縁される。軽負荷間欠放電時間は、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.0Vより小さくなる前に、その電池試料が放電していた時間を示している。
【0041】
複数の軽負荷間欠放電試験結果のうちのある電池試料に対応する軽負荷間欠放電試験結果は、その電池試料の平均軽負荷間欠放電時間を、比較例1の電池の平均軽負荷間欠放電時間で除算した値に100を乗算した値を示している。その電池試料の平均軽負荷間欠放電時間は、その電池試料として作製された複数の電池に対してそれぞれ導出された複数の軽負荷間欠放電時間の平均を示している。複数の軽負荷間欠放電試験結果は、大きい値を示す軽負荷間欠放電試験結果に対応する電池試料ほど軽負荷の放電性能が良好であることを示している。
【0042】
複数の軽負荷間欠放電試験結果は、比較例2~3の電池の軽負荷間欠放電試験結果が比較例1の電池の軽負荷間欠放電試験結果と同等であることを示し、比較例2~3の電池の軽負荷の放電性能が比較例1の電池の軽負荷の放電性能と同等であることを示している。すなわち、複数の軽負荷間欠放電試験結果は、ポリエチレンイミンと異なるキレート剤が電池の負極5または電解液に添加されても、セパレータ7の厚さが同等であるときに、電池の軽負荷の放電性能が向上しないことを示している。
【0043】
複数の軽負荷間欠放電試験結果は、実施例1~6の電池の軽負荷間欠放電試験結果が比較例1~3の電池の軽負荷間欠放電試験結果より大きく、実施例1~6の電池の軽負荷の放電性能が比較例1~3の電池の軽負荷の放電性能より良好であることを示している。
すなわち、複数の軽負荷間欠放電試験結果は、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された電池の軽負荷の放電性能が、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加されていない電池の軽負荷の放電性能より良好であることを示している。
【0044】
複数の軽負荷間欠放電試験結果は、実施例4の電池の軽負荷間欠放電試験結果が、実施例1~3の電池の軽負荷間欠放電試験結果より大きく、実施例5の電池の軽負荷間欠放電試験結果より大きいことを示している。すなわち、複数の軽負荷間欠放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が1000ppm以下では、ポリエチレンイミンが少なくなるにつれて電池の軽負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。さらに、複数の軽負荷間欠放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が1000ppm以上では、ポリエチレンイミンが多くなるにつれて電池の軽負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。
【0045】
複数の中負荷パルス放電試験結果は、複数の電池試料に対応している。複数の中負荷パルス放電試験結果のうちのある電池試料に対応する中負荷パルス放電試験結果は、その電池試料に対して中負荷パルス放電試験が実行されることにより導出される。ある電池試料に対して実行される中負荷パルス放電試験では、その電池試料の電池電圧が終止電圧0.9Vより小さくなるまで8時間の放電パターンが毎日繰り返し実行され、中負荷パルス放電時間が導出される。8時間の放電パターンでは、1時間の放電パターンが8回繰り返し実行される。1時間の放電パターンは、4分間の放電期間と56分間の休止期間とから形成されている。4分間の放電期間では、その電池試料が3.9Ωの負荷に電気的に接続される。56分間の休止期間では、その電池試料が放電されないように、その電池試料が負荷から電気的に絶縁される。中負荷パルス放電時間は、その電池試料の電池電圧が終止電圧0.9Vより小さくなる前に、その電池試料が放電していた時間を示している。
【0046】
複数の中負荷パルス放電試験結果のうちのある電池試料に対応する中負荷パルス放電試験結果は、その電池試料の平均中負荷パルス放電時間を、比較例1の電池の平均中負荷パルス放電時間で除算した値に100を乗算した値を示している。その電池試料の平均中負荷パルス放電時間は、その電池試料として作製された複数の電池に対してそれぞれ導出された複数の中負荷パルス放電時間の平均を示している。複数の中負荷パルス放電試験結果は、大きい値を示す中負荷パルス放電試験結果に対応する電池試料ほど中負荷の放電性能が良好であることを示している。
【0047】
複数の中負荷パルス放電試験結果は、比較例2~3の電池の中負荷パルス放電試験結果が比較例1の電池の中負荷パルス放電試験結果と同等であることを示し、比較例2~3の電池の中負荷の放電性能が比較例1の電池の中負荷の放電性能と同等であることを示している。
すなわち、複数の中負荷パルス放電試験結果は、ポリエチレンイミンと異なるキレート剤が電池の負極5または電解液に添加されても、セパレータ7の厚さが同等であるときに、電池の中負荷の放電性能が向上しないことを示している。
【0048】
複数の中負荷パルス放電試験結果は、実施例1~6の電池の中負荷パルス放電試験結果が比較例1~3の電池の中負荷パルス放電試験結果より大きく、実施例1~6の電池の中負荷の放電性能が比較例1~3の電池の中負荷の放電性能より良好であることを示している。すなわち、複数の中負荷パルス放電試験結果は、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された電池の中負荷の放電性能が、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加されていない電池の中負荷の放電性能より良好であることを示している。
【0049】
複数の中負荷パルス放電試験結果は、実施例3、6の電池の中負荷パルス放電試験結果が、実施例1~2の電池の中負荷パルス放電試験結果より大きく、実施例4~5の電池の中負荷パルス放電試験結果より大きいことを示している。すなわち、複数の中負荷パルス放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が300ppm以下では、ポリエチレンイミンが少なくなるにつれて電池の中負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。さらに、複数の中負荷パルス放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が300ppm以上では、ポリエチレンイミンが多くなるにつれて電池の中負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。
【0050】
複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、複数の電池試料に対応している。複数の第1重負荷パルス放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第1重負荷パルス放電試験結果は、その電池試料に対して第1重負荷パルス放電試験が実行されることにより導出される。ある電池試料に対して実行される第1重負荷パルス放電試験では、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.1Vより小さくなるまで8時間の放電パターンが毎日に繰り返し実行され、第1重負荷パルス放電時間が導出される。8時間の放電パターンでは、1時間の放電パターンが8回繰り返し実行されている。1時間の放電パターンは、2分間の放電期間と58分間の休止期間とから形成されている。2分間の放電期間では、その電池試料が750mWで放電されるように、その電池試料が負荷に電気的に接続される。58分間の休止期間では、その電池試料が放電されないように、その電池試料が負荷から電気的に絶縁される。第1重負荷パルス放電時間は、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.1Vより小さくなる前に、その電池試料が放電していた時間を示している。
【0051】
複数の第1重負荷パルス放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第1重負荷パルス放電試験結果は、その電池試料の平均第1重負荷パルス放電時間を、比較例1の電池の平均第1重負荷パルス放電時間で除算した値に100を乗算した値を示している。その電池試料の平均第1重負荷パルス放電時間は、その電池試料として作製された複数の電池に対してそれぞれ導出された複数の第1重負荷パルス放電時間の平均を示している。複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、大きい値を示す第1重負荷パルス放電試験結果に対応する電池試料ほど重負荷の放電性能が良好であることを示している。
【0052】
複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、比較例2~3の電池の第1重負荷パルス放電試験結果が比較例1の電池の第1重負荷パルス放電試験結果と同等であることを示し、比較例2~3の電池の重負荷の放電性能が比較例1の電池の重負荷の放電性能と同等であることを示している。すなわち、複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、ポリエチレンイミンと異なるキレート剤が電池の負極5または電解液に添加されても、セパレータ7の厚さが同等であるときに、電池の重負荷の放電性能が向上しないことを示している。
【0053】
複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、実施例1~6の電池の第1重負荷パルス放電試験結果が比較例1~3の電池の第1重負荷パルス放電試験結果より大きく、実施例1~6の電池の重負荷の放電性能が比較例1~3の電池の重負荷の放電性能より良好であることを示している。すなわち、複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された電池の重負荷の放電性能が、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加されていない電池の重負荷の放電性能より良好であることを示している。
【0054】
複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、実施例3~4、6の電池の第1重負荷パルス放電試験結果が、実施例1~2の電池の第1重負荷パルス放電試験結果より大きく、実施例5の電池の第1重負荷パルス放電試験結果より大きいことを示している。すなわち、複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が300ppm以下では、ポリエチレンイミンが少なくなるにつれて電池の第1重負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。さらに、複数の第1重負荷パルス放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が1000ppm以上では、ポリエチレンイミンが多くなるにつれて電池の第1重負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。
【0055】
複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、複数の電池試料に対応している。複数の第2重負荷パルス放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第2重負荷パルス放電試験結果は、その電池試料に対して第2重負荷パルス放電試験が実行されることにより導出される。ある電池試料に対して実行される第2重負荷パルス放電試験では、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.05Vより小さくなるまで1時間の放電パターンが繰り返し実行され、第2重負荷パルス放電時間が導出される。1時間の放電パターンは、5分間の放電期間と55分間の休止期間とから形成されている。5分間の放電期間では、30秒間の放電パターンが10回繰り返し実行されている。30秒間の放電パターンは、2秒間の放電期間と28秒間の放電期間とから形成されている。2秒間の放電期間では、その電池試料が1500mWの負荷に電気的に接続される。28秒間の放電期間は、2秒間の放電期間が終了した直後に開始される。28秒間の放電期間では、その電池試料が650mWの負荷に28秒間電気的に接続される。55分間の休止期間では、その電池試料が放電されないように、その電池試料が負荷から電気的に絶縁される。第2重負荷パルス放電時間は、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.05Vより小さくなる前に、その電池試料が放電していた時間を示している。
【0056】
複数の第2重負荷パルス放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第2重負荷パルス放電試験結果は、その電池試料の平均第2重負荷パルス放電時間を、比較例1の電池の平均第2重負荷パルス放電時間で除算した値に100を乗算した値を示している。その電池試料の平均第2重負荷パルス放電時間は、その電池試料として作製された複数の電池に対してそれぞれ導出された複数の第2重負荷パルス放電時間の平均を示している。複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、大きい値を示す第2重負荷パルス放電試験結果に対応する電池試料ほど重負荷の放電性能が良好であることを示している。
【0057】
複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、比較例2~3の電池の第2重負荷パルス放電試験結果が比較例1の電池の第2重負荷パルス放電試験結果と同等であることを示し、比較例2~3の電池の重負荷の放電性能が比較例1の電池の重負荷の放電性能と同等であることを示している。すなわち、複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、ポリエチレンイミンと異なるキレート剤が電池の負極5または電解液に添加されても、セパレータ7の厚さが同等であるときに、電池の重負荷の放電性能が向上しないことを示している。
【0058】
複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、実施例1~6の電池の第2重負荷パルス放電試験結果が比較例1~3の電池の第2重負荷パルス放電試験結果より大きく、実施例1~6の電池の重負荷の放電性能が比較例1~3の電池の重負荷の放電性能より良好であることを示している。すなわち、複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された電池の重負荷の放電性能が、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加されていない電池の重負荷の放電性能より良好であることを示している。
【0059】
複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、実施例3、6の電池の第2重負荷パルス放電試験結果が、実施例1~2の電池の第2重負荷パルス放電試験結果より大きく、実施例4~5の電池の第2重負荷パルス放電試験結果より大きいことを示している。すなわち、複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が300ppm以下では、ポリエチレンイミンが少なくなるにつれて電池の第2重負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。さらに、複数の第2重負荷パルス放電試験結果は、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が300ppm以上では、ポリエチレンイミンが多くなるにつれて電池の第2重負荷の放電性能が低下する傾向があることを示している。
【0060】
複数の評価結果は、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された電池の放電性能が、ポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加されていない電池の放電性能より良好であることを示している。負極5または電解液に添加されたキレート剤は、電池の放電で生成される亜鉛酸イオンZn(OH) 2-とともに錯体を形成することにより、酸化亜鉛ZnOが析出する次の化学反応式の進行を遅らせることができるものと考えられる。
Zn(OH) 2-→ZnO+HO+2OH
析出した酸化亜鉛ZnOは、亜鉛粉の表面を覆う不働態膜に形成される。ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンと異なる他のキレート剤に比較して、酸化亜鉛ZnOが不働態膜に形成されることをより多く抑制するものと考えられる。また、ポリエチレンイミンが存在する環境で析出した酸化亜鉛ZnOの電気伝導率は、ポリエチレンイミンが存在しない環境で析出した酸化亜鉛ZnOの電気伝導率に比較して、大きいものと考えられる。このため、電池1は、多くの金属亜鉛を電池の反応に参加させることができ、放電性能が向上する。複数の評価結果は、さらに、亜鉛の質量に対するポリエチレンイミンの質量の比率が300ppm~1000ppmの範囲に含まれている電池の放電性能が、その比率がその範囲から外れている電池の放電性能より良好であることを示している。
【0061】
[実施形態の電池1の効果]
実施形態の電池1は、二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極3と、亜鉛を含有する負極5と、正極3と負極5とが浸漬される電解液と、負極5に含有されるポリエチレンイミンとを備えている。また、実施形態の電池1は、二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極3と、亜鉛を含有する負極5と、正極3と負極5とが浸漬される電解液と、電解液に含有されるポリエチレンイミンとを備えている。このとき、電池1は、放電性能を向上させることができる。
【0062】
ところで、既述の実施例1~6の電池は、負極5と電解液とのうちの一方にポリエチレンイミンが添加されて、他方にポリエチレンイミンが添加されていないが、負極5と電解液との両方にポリエチレンイミンが添加されてもよい。電池1は、負極5と電解液との両方にポリエチレンイミンが添加された場合でも、放電性能が向上する。
【0063】
実施形態の電池製造方法は、二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極3を準備することと、亜鉛を含有しポリエチレンイミンが添加された負極5を準備することと、正極3と負極5とが電解液に浸漬される電池1を組み立てることとを備えている。または、実施形態の電池製造方法は、二酸化マンガンと黒鉛とを含有する正極3を準備することと、亜鉛を含有する負極5を準備することと、ポリエチレンイミンが添加された電解液を準備することと、正極3と負極5とが電解液に浸漬される電池1を組み立てることとを備えている。このような電池製造方法により製造された電池1は、負極5または電解液にポリエチレンイミンが含有され、放電性能を向上させることができる。
【0064】
ところで、既述の実施例の電池は、負極5または電解液に添加されるポリエチレンイミンの分子量が概ね1800であるポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加されているが、1800と異なる分子量のポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加されてもよい。1800と異なる分子量のポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された電池の効果を確認するために、試験がさらに実行されている。その試験では、分子量が概ね300、600、1200、1800、70000である5種類のポリエチレンイミンがそれぞれ添加された5種類の電池試料が作製されている。その試験の結果は、分子量が概ね1800であるポリエチレンイミンが添加された電池と同様に、1800と異なる分子量のポリエチレンイミンが添加された電池の放電性能が向上することを示している。試験結果は、さらに、分子量が小さいポリエチレンイミンが添加された電池ほど、放電性能が向上する傾向があることを示している。試験結果は、さらに、分子量が大きいポリエチレンイミンポリエチレンイミンが添加された電池ほど、多くのポリエチレンイミンを負極5または電解液に添加する必要があることを示している。すなわち、電池は、1800と異なる分子量のポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された場合でも、分子量が概ね1800であるポリエチレンイミンが負極5または電解液に添加された電池と同様に、放電性能を向上させることができる。
【0065】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
1:電池
3:正極
5:負極
7:セパレータ
図1
図2