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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114689
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】耐火構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20230810BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
E04B1/94 M
E04B1/94 E
E04B2/74 551Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017143
(22)【出願日】2022-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(74)【復代理人】
【識別番号】100229091
【弁理士】
【氏名又は名称】山路 英洋
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 圭一
(72)【発明者】
【氏名】抱 憲誓
(72)【発明者】
【氏名】楠 博光
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 博則
(72)【発明者】
【氏名】近藤 史朗
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】住 学
(72)【発明者】
【氏名】石岡 拓
(72)【発明者】
【氏名】大月 智弘
(72)【発明者】
【氏名】長井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】高井 茂光
(72)【発明者】
【氏名】田畑 卓
(72)【発明者】
【氏名】松戸 正士
(72)【発明者】
【氏名】田野 健治
(72)【発明者】
【氏名】前川 利雄
(72)【発明者】
【氏名】前島 克朗
(72)【発明者】
【氏名】深津 志向
(72)【発明者】
【氏名】堀 伸輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勇紀
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001EA06
2E001FA01
2E001FA07
2E001FA14
2E001GA06
2E001GA63
2E001HA03
2E001HA21
2E001HA32
2E001HA34
(57)【要約】
【課題】施工性が良好であり、耐火性能の面でも優れた耐火構造等を提供する。
【解決手段】耐火構造1は、ラスシート11と補強材12、吹付ロックウールRW等を有する。ラスシート11は、補強材12の下方に固定される。ラスシート11のラスが形成された下面には吹付ロックウールRWが吹付けられる。補強材12は、鉄骨梁2と間仕切り壁3の間で、鉄骨梁2から間仕切り壁3の位置まで至るように水平方向に配置され、ラスシート11の下面の吹付ロックウールRWと鉄骨梁2に吹付けられた吹付ロックウールRWが連続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強材に固定されたラスシートと、
前記ラスシートのラスが形成された面に吹付けられた耐火被覆材と、
を有し、
前記補強材は、鉄骨梁と間仕切り壁の間で、前記鉄骨梁から前記間仕切り壁の位置まで至るように水平方向に配置され、
前記ラスが形成された面が前記ラスシートの下面であり、
前記ラスシートの下面の前記耐火被覆材と前記鉄骨梁に吹付けられた耐火被覆材が連続することを特徴とする耐火構造。
【請求項2】
前記補強材と前記間仕切り壁の上端部の間に、高さ調整材が設けられ、
前記高さ調整材の側面に、前記ラスシートの下面の前記耐火被覆材と連続する耐火被覆材が設けられ、
前記間仕切り壁の少なくとも前記鉄骨梁側の側面に耐火板が設けられたことを特徴とする請求項1記載の耐火構造。
【請求項3】
前記高さ調整材と前記間仕切り壁の上端部との間、または、前記高さ調整材と前記補強材の間に、耐火板が配置されたことを特徴とする請求項2記載の耐火構造。
【請求項4】
前記補強材の前記鉄骨梁側の端部が、前記鉄骨梁の下面に固定され、
前記ラスシートは、前記補強材の下方に固定され、
前記補強材の前記鉄骨梁側の端部に、前記ラスシートと前記鉄骨梁とを連続させるための塞ぎ材が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐火構造。
【請求項5】
前記補強材の前記鉄骨梁側の端部が、前記鉄骨梁の下面に固定され、
前記ラスシートは、前記補強材の上方に固定され、
前記補強材の前記間仕切り壁側の端部に、前記ラスシートと前記間仕切り壁とを連続させるための塞ぎ材が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐火構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火構造に関する。
【背景技術】
【0002】
耐火区画を形成するための間仕切り壁を、鉄骨梁の直下でない位置に設置するケースがある。特許文献1には、このようなケースにおいて鉄骨梁と間仕切り壁を連続させる手法の一つとして、鉄骨梁と間仕切り壁の間の水平部に鋼板やラスを配置し、この鋼板やラスを下地として耐火被覆材を吹付けることが記載されている。また特許文献2にも、鉄骨梁と間仕切り壁の間の水平部にラスを配置し、ラスを下地として耐火被覆を施すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3131910号
【特許文献2】特開2002-227333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の様に鋼板を下地として耐火被覆材を吹付ける場合、鋼板の表面が平滑であるため耐火被覆材の落下の恐れがあり、吹付厚によっては、耐火被覆材の落下を防止するための落下防止金具を設置しなければならず、施工性が悪い。
【0005】
また、特許文献2の様にラスを下地として耐火被覆材を吹付ける場合、耐火被覆材の定着性は高いが、火災時に室内側から圧力が加わった際に、ラスの網目を通って煙や熱気が外部に漏れ出す恐れがあり、ラスが面的な遮蔽を行うものでないことが問題となる。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、施工性が良好であり、耐火性能の面でも優れた耐火構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための本発明は、補強材に固定されたラスシートと、前記ラスシートのラスが形成された面に吹付けられた耐火被覆材と、を有し、前記補強材は、鉄骨梁と間仕切り壁の間で、前記鉄骨梁から前記間仕切り壁の位置まで至るように水平方向に配置され、前記ラスが形成された面が前記ラスシートの下面であり、前記ラスシートの下面の前記耐火被覆材と前記鉄骨梁に吹付けられた耐火被覆材が連続することを特徴とする耐火構造である。
【0008】
本発明では、角波鋼板にラスを溶接した製品であるラスシートを下地とし、ラスを有する面に耐火被覆材の吹付を行うことで、簡単な手順で耐火構造を構築でき、且つ耐火被覆材の定着性が向上するので、施工性が向上すると共に適切な吹付厚を確保できる。またラスシートは、火災発生時に圧力がかかっても、鋼板により圧力を物理的に遮蔽し、煙や熱気が漏れるのを防ぐことができる。また本発明では、ラスシートを補強材に固定することで、耐火性の間仕切りとして十分な強度や剛性をラスシートに付与できる。
【0009】
本発明の耐火構造は、鉄骨梁と間仕切り壁の平面位置が異なる場合に、両者を連続させる水平部に適用することで、前記したように水平部の吹付下地として鋼板を用いる場合の落下防止金具が不要となり、施工の手間を軽減できる。また水平部の吹付下地としてラスを用いる場合のように、ラスの網目から煙や熱気が外部に漏れだすこともなく、遮音性能も確保できる。また、鉄骨梁とラスシートへの耐火被覆材の吹付は同時に行うことができ、耐火被覆の連続性が確立されると共に、水平部の耐火被覆の施工時間の短縮が可能になる。
【0010】
前記補強材と前記間仕切り壁の上端部の間に、高さ調整材が設けられ、前記高さ調整材の側面に、前記ラスシートの下面の前記耐火被覆材と連続する耐火被覆材が設けられ、前記間仕切り壁の少なくとも前記鉄骨梁側の側面に耐火板が設けられることが望ましい。
上記の高さ調整材により、間仕切り壁と鉄骨梁の間の熱伝導が抑制され、遮熱性が向上する。またラスシートの下面の耐火被覆を厚くする場合にも、ランナーなど間仕切り壁の上端部に耐火被覆材が被るのを防止し、間仕切り壁の鉄骨梁側の側面の耐火板を、間仕切り壁の上端部に被る程度の十分な高さで設けることができる。
【0011】
前記高さ調整材と前記間仕切り壁の上端部との間、または、前記高さ調整材と前記補強材の間に、耐火板が配置されることが望ましい。
これにより、間仕切り壁と鉄骨梁の間の熱伝導をさらに抑制できる。
【0012】
前記補強材の前記鉄骨梁側の端部は、例えば前記鉄骨梁の下面に固定され、前記ラスシートは、前記補強材の下方に固定され、前記補強材の前記鉄骨梁側の端部に、前記ラスシートと前記鉄骨梁とを連続させるための塞ぎ材が設けられる。
あるいは、前記補強材の前記鉄骨梁側の端部が、前記鉄骨梁の下面に固定され、前記ラスシートは、前記補強材の上方に固定され、前記補強材の前記間仕切り壁側の端部に、前記ラスシートと前記間仕切り壁とを連続させるための塞ぎ材が設けられてもよい。
補強材の鉄骨梁への固定位置は特に問わないが、例えば補強材の鉄骨梁側の端部を鉄骨梁の下面に固定する場合、ラスシートを補強材の上下のどちらに固定するかに応じて、ラスシートと間仕切り壁または鉄骨梁との間の連続性が損なわれる。そこで上記の塞ぎ材を設けることで、ラスシートと間仕切り壁または鉄骨梁との連続性を確保し、火災時の煙や熱気の漏れ出しを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、施工性が良好であり、耐火性能の面でも優れた耐火構造等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】耐火構造1を示す図。
図2】ラスシート11を示す図。
図3】耐火構造1を示す図。
図4】吹付ロックウールRWがランナー32に被る状態を示す図。
図5】耐火板14を示す図。
図6】耐火構造10、10’を示す図。
図7】耐火構造10a、10a’を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る耐火構造1を示す図である。耐火構造1は、耐火区画を形成するための間仕切り壁3の平面位置が鉄骨梁2と異なる場合に、鉄骨梁2と間仕切り壁3とを連続させる水平部に形成される。
【0017】
本実施形態において、鉄骨梁2にはH形鋼が用いられ、H形鋼の周囲が耐火被覆材である吹付ロックウールRWで被覆される。
【0018】
間仕切り壁3は、スタッド31とランナー32からなる下地の両側面に耐火板33を貼り付けて耐火性を付与した耐火壁であり、本実施形態では地震や風などの水平荷重を建物の構造設計上考慮しない非耐力壁である。
【0019】
スタッド31は鉛直材であり、間仕切り壁3の延伸方向(図1の紙面法線方向に対応する)に間隔を空けて複数本配置される。ランナー32は間仕切り壁3の延伸方向に延びる水平材であり、スタッド31の上下の端部に配置される。スタッド31には角形鋼管や溝形鋼などの鋼材が用いられ、ランナー32には溝形鋼などの鋼材が用いられる。耐火板33には、ケイ酸カルシウム板や石膏ボード等の不燃材料で形成された板材が用いられる。
【0020】
耐火構造1は、ラスシート11、補強材12、高さ調整材13、吹付ロックウールRW等を有する。
【0021】
ラスシート11は、例えばJIS A 5524に規定された下地材であり、図2に示すように、角波鋼板112の表面にラス113を溶接した製品である。
【0022】
ラスシート11は、ビス111等により補強材12の下方に固定され、ラス113を形成した面を下面として配置される。補強材12はラスシート11を補強する部材であり、本実施形態では角形鋼管が用いられるが、これに限ることはない。溝形鋼などその他の鉄骨材を用いることも可能である。
【0023】
補強材12は、鉄骨梁2と間仕切り壁3の間で、鉄骨梁2から間仕切り壁3の位置まで至るように水平方向に配置される。補強材12の鉄骨梁2側の端部は、鉄骨梁2の下フランジの上に載置して固定される。補強材12の間仕切り壁3側の端部は、間仕切り壁3の上方に位置する。
【0024】
補強材12は、間仕切り壁3の延伸方向に間隔を空けて複数本設けられる。図3は、間仕切り壁3の延伸方向に隣り合う補強材12の間について、図1と同様の断面を示したものである。
【0025】
補強材12の間仕切り壁3側の端部と、間仕切り壁3の上端部の間には、高さ調整材13が設けられる。本実施形態では、高さ調整材13として、角形鋼管を間仕切り壁3の延伸方向に配置して用いる。角形鋼管は断面剛性が高く変形しにくい点で好ましいが、角形鋼管以外の鋼材を用いることも可能である。
【0026】
図1に示すように、高さ調整材13は、ネジ321により間仕切り壁3の上端部のランナー32に固定される。補強材12の間仕切り壁3側の端部は、ネジ131により高さ調整材13の上面に固定される。
【0027】
ラスシート11、補強材12、および高さ調整材13の周囲には、鉄骨梁2の周囲の吹付ロックウールRWと連続するように吹付ロックウールRWが施工され、ラスシート11、補強材12、および高さ調整材13が吹付ロックウールRWで一体的に被覆される。
【0028】
特にラスシート11の下面の吹付ロックウールRWについては、ラス113により定着性が向上し、落下が防止される。また当該吹付ロックウールRWは、鉄骨梁2に吹付けられた吹付ロックウールRWや、高さ調整材13の鉄骨梁2側の側面に吹付けられた吹付ロックウールRWと連続し、耐火被覆の連続性が実現される。
【0029】
なお、耐火板33の上端部には充填材34が設けられ、これにより、高さ調整材13の両側面の吹付ロックウールRWと耐火板33の上端部との間の隙間が塞がれる。充填材34としては、ロックウールやシーリング材を用いることができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、角波鋼板112にラス113を溶接した製品であるラスシート11を下地とし、ラス113を有する面に吹付ロックウールRWの吹付を行うことで、簡単な手順で耐火構造1を構築でき、且つ吹付ロックウールRWの定着性が向上するので、施工性が向上すると共に適切な吹付厚を確保できる。またラスシート11は、火災発生時に圧力がかかっても、鋼板112により圧力を物理的に遮蔽し、煙や熱気が他の部屋に漏れるのを防ぐことができる。また本実施形態では、ラスシート11を補強材12に固定することで、耐火性の間仕切りとして十分な強度や剛性をラスシート11に付与できる。
【0031】
特に本実施形態の耐火構造1は、鉄骨梁2と間仕切り壁3の平面位置が異なる場合に、両者を連続させる水平部に適用することで、前記したように水平部の吹付下地として鋼板を用いる場合の落下防止金具が不要となり、施工の手間を軽減できる。また水平部の吹付下地としてラスを用いる場合のように、ラスの網目から煙や熱気が外部に漏れだすこともなく、遮音性能も確保できる。また、鉄骨梁2とラスシート11及び高さ調整材13への吹付ロックウールRWの吹付は同時に行うことができ、耐火被覆の連続性が確立されると共に、水平部の耐火被覆の施工時間の短縮が可能になる。
【0032】
また本実施形態では、高さ調整材13を用いることにより、間仕切り壁3と鉄骨梁2の間の熱伝導が抑制され、遮熱性が向上する。またラスシート11の下面の耐火被覆を厚くする場合に、図4に示すように間仕切り壁3の上端部のランナー32に吹付ロックウールRWが被るのを防止し、図1等に示すように、間仕切り壁3の鉄骨梁2側の側面の耐火板33を、ランナー32に被る程度の十分な高さで設けることができる。
【0033】
しかしながら、本発明が以上の実施形態に限られることはない。例えば本実施形態では間仕切り壁3の両側面に耐火板33を設けているが、図5(a)の間仕切り壁3aに示すように、鉄骨梁2側(図5(a)の左側に対応する)の側面のみに耐火板33を設けても良い。
【0034】
また図5(a)の耐火構造1aでは、間仕切り壁3の上端部のランナー32と高さ調整材13の間に耐火板14を設けることで、間仕切り壁3と鉄骨梁2の間の熱伝導をさらに抑制することができる。耐火板14は間仕切り壁3aの延伸方向(図5(a)の紙面法線方向に対応する)に延びる長尺の板材であり、前記の耐火板33と同様、ケイ酸カルシウム板や石膏ボード等の不燃材で形成された板材を用いることができる。
【0035】
耐火板14は、図5(a)のように高さ調整材13の下面に設けるものに限らず、図5(b)の耐火構造1a’に示すように、高さ調整材13の上面で、高さ調整材13と補強材12の間に設けても良い。耐火板14を高さ調整材13の上下どちらに配置するかは、雑鍛冶工や内装工など各職種の作業分担等を考慮して設定できる。なお、図1等のように間仕切り壁3の両側面に耐火板33を設ける場合も、図5(a)、(b)の例と同様に耐火板14を設けることは可能であり、前記と同様に熱伝導を抑制できる。
【0036】
また本実施形態では、補強材12の鉄骨梁2側の端部を、鉄骨梁2の下フランジ上に固定しているが、固定位置はこれに限らず、吹付ロックウールRWによる耐火被覆厚さを確保するために適宜選択される。例えば補強材12の上記端部を、鉄骨梁2の下フランジの下面に固定することも可能である。その他、補強材12の上記端部を、鉄骨梁2のウェブに固定することも考えられる。ただしこの場合は耐火被覆工事の施工性が悪くなり、また固定を高精度に行うために作業の手間が掛かる。
【0037】
図6(a)の耐火構造10は、補強材12の鉄骨梁2側の端部を、鉄骨梁2の下フランジの下面に固定した例である。この例では、ラスシート11が補強材12の下方に固定されていることから、鉄骨梁2とラスシート11が上下に離隔し、鉄骨梁2とラスシート11の連続性が損なわれる。そのため、補強材12の上記端部に塞ぎ材15を設けることで、鉄骨梁2とラスシート11の連続性を確保し、火災時の煙や熱気の漏れ出しを防ぐことができる。
【0038】
塞ぎ材15は、鉄骨梁2の延伸方向(図6(a)の紙面法線方向に対応する)に延びるように配置され、長手方向と直交する断面(以下、単に断面という)がL字状である。塞ぎ材15には、例えば、鋼板をL字状に折り曲げたものや、アングル材を用いることができる。塞ぎ材15の板厚は、ラスシート11の角波鋼板112よりも若干大きい。塞ぎ材15は、L字の縦辺で補強材12の端部を塞ぐように配置される。L字の横辺は補強材12に固定されるが、図6(b)の耐火構造10’の塞ぎ材15aに示すように、鉄骨梁2の下フランジに固定されてもよい。
【0039】
また、図6(a)、(b)の間仕切り壁3の右側の部屋で火災が発生する場合には、ラスシート11を補強材12の上方に固定した方が、ラスシート11に上から加わる圧力を補強材12により支持でき、好ましいとも考えられる。図7(a)の耐火構造10aは、図6(a)、(b)と同様、補強材12の鉄骨梁2側の端部を鉄骨梁2の下フランジの下面に固定したうえで、補強材12の上方にラスシート11を固定した例である。
【0040】
図7(a)の例では、高さ調整材13とラスシート11が上下に離隔し、高さ調整材13を介した間仕切り壁3とラスシート11の連続性が損なわれる。そのため、補強材12の間仕切り壁3側の端部に塞ぎ材16を設けることで、塞ぎ材16と高さ調整材13とで間仕切り壁3とラスシート11の連続性を確保し、火災時の煙や熱気の漏れ出しを防ぐことができる。
【0041】
塞ぎ材16は、間仕切り壁3の延伸方向(図7(a)の紙面法線方向に対応する)に延びるように配置される。図7(a)の例では塞ぎ材16の断面がL字状であり、前記の塞ぎ材15と同様の鋼材を用いることができる。塞ぎ材16は、L字の横辺を補強材12に固定し、L字の縦辺で補強材12の端部を塞ぐように配置される。これに対し、図7(b)の耐火構造10a’に示すように、コの字状の断面を有する溝形鋼などを塞ぎ材16aとして使用し、コの字の縦辺で補強材12の端部を塞ぐように塞ぎ材16aを配置してもよい。図7(a)、(b)の構成は、前記の耐火板14を配置するケースであっても適用可能であり、塞ぎ材16または16aと、高さ調整材13および耐火板14とにより、間仕切り壁3とラスシート11の連続性を確保することが可能になる。
【0042】
その他、図1のように補強材12を鉄骨梁2の下フランジの上に固定するケースでも、ラスシート11を補強材12の上方に固定することが可能である。この場合は、補強材12の間仕切り壁3側の端部において、高さ調整材13とラスシート11が上下に離隔するため、図7(a)、(b)の塞ぎ材16、16aと同様の塞ぎ材を補強材12の間仕切り壁3側の端部に設ければよい。
【0043】
また本実施形態では角形鋼管などの補強材12を用いているが、鋼板を補強材として用いても良い。この場合も、ラスシート11を鋼板の上方または下方に固定し、ラス113が形成された面を下面として配置する。鋼板を用いることにより、遮音性や遮煙性をさらに高めることが出来る。
【0044】
また本実施形態では耐火被覆材として吹付ロックウールRWを用いたが、耐火被覆材がこれに限ることはない。例えば前記の特許文献1に記載のように、セラミック系の耐火被覆材を用いることも可能であり、前記と同様、ラスシート11のラス113が形成された面に吹付けることで、耐火性の間仕切りを形成できる。
【0045】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0046】
1、1a、1a’、10、10’、10a、10a’:耐火構造
2:鉄骨梁
3、3a:間仕切り壁
11:ラスシート
12:補強材
13:高さ調整材
14、33:耐火板
15、15a、16、16a:塞ぎ材
31:スタッド
32:ランナー
34:充填材
RW:吹付ロックウール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7