IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社セリオの特許一覧

<>
  • 特開-四輪自転車 図1
  • 特開-四輪自転車 図2
  • 特開-四輪自転車 図3
  • 特開-四輪自転車 図4
  • 特開-四輪自転車 図5
  • 特開-四輪自転車 図6
  • 特開-四輪自転車 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114706
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】四輪自転車
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/01 20130101AFI20230810BHJP
   B62J 9/21 20200101ALI20230810BHJP
【FI】
B62K5/01
B62J9/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017168
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】507379669
【氏名又は名称】株式会社セリオ
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 泉
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA07
3D011AC01
3D011AD01
3D011AD19
3D011AD21
(57)【要約】
【課題】転倒防止の安全性を図れ、かつ漕ぎやすさを実現し、かつ左右前後のバランスの安定化を図る。
【解決手段】電動アシスト四輪自転車1は、二つの前輪42と、二つの後輪52と、前記後輪52に動力を伝達する、クランク軸回りに回転するクランク64a、64bと、運転者着座用のシート71と、前記シート71に着座する前記運転者の腰を支える腰支え部材72と、を備え、前記クランク軸中心から前記シート最後端までの前後方向距離Lが、前記クランク軸中心から前記シート最上端までの前記前後方向に直交する上下方向距離Hより大きい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの前輪と、
二つの後輪と、
前記後輪に動力を伝達する、クランク軸回りに回転するクランクと、
運転者着座用のシートと、
前記シートに着座する前記運転者の腰を支える腰支え部材と、を備え、
前記クランク軸中心から前記シート最後端までの前後方向距離Lが、前記クランク軸中心から前記シート最上端までの前記前後方向に直交する上下方向距離Hより大きい、
ことを特徴とする四輪自転車。
【請求項2】
請求項1記載の四輪自転車において、
前記前輪を回転自在に支持する揺動アームと、
前記四輪自転車の前記前後方向及び前記上下方向に直交する左右方向の中央で、左右傾斜自在に前記揺動アームを連結する前フレームと、をさらに備える
ことを特徴とする四輪自転車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の四輪自転車において、
前記シートは、前記前後方向における位置が調整可能である
ことを特徴とする四輪自転車。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項記載の四輪自転車において、
前記前輪を操舵する操舵軸と、
前記操舵軸と前記クランク軸との間に配置され前記クランクを介して前記後輪を駆動する駆動用バッテリと、をさらに備える
ことを特徴とする四輪自転車。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項記載の四輪自転車において、
前記シートを支持し、前記クランク軸と前記シートとの間に前記前後方向に平行に延びる水平部分を有する車体フレームをさらに備える
ことを特徴とする四輪自転車。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項記載の四輪自転車において、
フロントバスケットと、
前記フロントバスケットを前記前輪の回転中心上方に支持する前フレームと、をさらに備える
ことを特徴とする四輪自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者等が安心安全に運転できる電動アシスト四輪自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢者用自転車として、三輪車形式のものがあり、さらに詳細には、前輪が一輪で後輪が二輪の形態(前一輪後二輪形態)のもの(例えば、特許文献1参照)と、前輪が二輪で後輪が一輪の形態(前二輪後一輪形態)のものとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-263289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、電動三輪自転車では、高齢者等の利用における転倒防止の安全性の観点から、運転者の脚が地面に着くようにシートの位置をなるべく低くすることが好ましい。しかしながら、その場合、ペダルとシートの高さ方向距離が小さくなり、ペダルを回転する動作において脚が伸びず、漕ぎにくくなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで例えば、ペダルとシートとの位置関係において、ペダルからシートまでの前後方向距離を長くしつつ、ペダルからシートまでの上下方向距離を短くすることで、ペダルを漕ぎやすくする手法が考えられる。
【0006】
しかしながらこの場合、運転者の体の位置とハンドルとの距離が大きく空いてしまうため、左右前後のバランスが不安定となってしまうという新たな別の問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、転倒防止の安全性を図れ、かつ漕ぎやすさを実現し、かつ左右前後のバランスの安定化を図れる、四輪自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の四輪自転車は、二つの前輪と、二つの後輪と、前記後輪に動力を伝達する、クランク軸回りに回転するクランクと、運転者着座用のシートと、前記シートに着座する前記運転者の腰を支える腰支え部材と、を備え、前記クランク軸中心から前記シート最後端までの前後方向距離Lが、前記クランク軸中心から前記シート最上端までの前記前後方向に直交する上下方向距離Hより大きい、ことを特徴とする。
【0009】
上記H>Lとすることにより、運転者の脚が地面に着くようにシートの位置を低くしても、ペダルとシートの高さ方向距離が近すぎて漕ぎにくくなることはなくなる。但しその際、上記によってユーザの体の位置とハンドルとの距離が大きくあいてしまうため、そのままでは左右前後のバランスが不安定となってしまう。そこで本発明においては、三輪自転車ではなく四輪自転車とするとともに、シートの後方に腰支え部材を有することにより、上記を解消し、左右前後のバランスを安定化し、安定的にペダリングすることができる。
ゆえに、本願発明の四輪自転車は、高齢者等の利用における転倒防止を図れ、漕ぎにくさを解消して漕ぎ出しを容易とでき、乗車時や走行時の左右前後のバランスの安定化も図れるため、安心安全に運転できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、転倒防止の安全性、漕ぎやすさ、バランスの安定化をすべて実現することできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態を示す電動アシスト三輪自転車の正面図である。
図2】同実施の形態におけるフレーム構造の斜視図である。
図3】同実施の形態における前輪揺動機構の斜視図である。
図4】同実施の形態におけるバッテリー取付部の拡大図である。
図5】同実施の形態における腰支え部の拡大図である。
図6】同実施の形態における駆動部の拡大図である。
図7】同実施の形態におけるディファレンシャルギヤ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態は、特に、旋回時に従来の二輪自転車に近い感覚でフレームの傾きが得られるとともに、従来の二輪等の自転車に乗り難くなった高齢者が低速で発進するときに漕ぎ出しを容易にすることのできる四輪自転車である。
【0013】
本実施形態においては、本発明に係る四輪自転車が、電動アシスト付きの四輪自転車である例を用いて説明するが、電動アシストのない四輪自転車にも適用可能である。
【0014】
以下の説明においては、図1及び図2の左右方向を前後方向(水平方向)、上下方向を上下方向、図における手前を右、奥を左方向として定義する。
【0015】
<全体構成>
電動アシスト四輪自転車1(四輪自転車1)は、車体フレーム2と、前フレーム3と、後フレーム4と、二つの前輪42と、二つの後輪52と、ハンドル11と、シート71と、を主に有する。
【0016】
前フレーム3は、前上ステー22と、前下ステー23と、を有している。
【0017】
前上ステー22は、懸架ブラケット31を前方下端部に有している。懸架ブラケット31は、左右方向の中央で揺動アーム41を左右に揺動自在に連結している。揺動アーム41は、左右一対のナックルアーム61a、61bを介して左右一対の前輪42を回転自在に支持している。揺動アーム41は、左右一対のダンパー43(スプリング)を摺動自在に支持する。すなわち、揺動アーム41の左右に、左右傾斜自在に前フレーム3の懸架ブラケット31と揺動アーム41とを連結するため、ダンパー43が配置されている。
【0018】
懸架ブラケット31は、左右中央位置で軸受13を支持し、軸受13は回転自在に操舵軸12を支持する。操舵軸12は、前上ステー22に設けられるハンドルブラケット上33及びハンドルブラケット下34においても支持される。操舵軸12は、上部にハンドル11を有する。ハンドル11は、ブレーキレバー56a、56bを有する。
【0019】
操舵軸12は、タイロッド62を介してナックルアーム61a、61bに摺動自在に支持されている。これにより、ハンドル11の操作は、前輪42に伝達され、操舵軸12は前輪42を操舵する。
【0020】
ブレーキレバー56a、56bは、入力されたブレーキ操作を前部ブレーキ装置44及び後部ブレーキ装置45に伝達する。前部ブレーキ装置44は、ナックルアーム61bに取り付けられる。後部ブレーキ装置45は、アクスルハウジング93(図7)に取り付けられる。
【0021】
また、操舵軸12の所定位置には、電動アシスト四輪自転車1を施錠する錠78が取り付けられている。
【0022】
前上ステー22は、前キャリヤ75を有する。前キャリヤ75は、フロントバスケット76及びヘッドライト83を前上ステー22に取り付ける。特に、前キャリヤ75(前フレーム3)は、フロントバスケット76が前輪42の回転中心上方に位置するように支持する。
【0023】
前上ステー22は、ベースバッテリ81aを支持するバッテリーステー32を有する。バッテリ81は、電動アシスト四輪自転車1の動力となるモータ21を駆動する。すなわち、バッテリ81は、クランク64a、64bを介して後輪52を駆動する駆動用バッテリである。バッテリ81は、ベースバッテリ81aに脱着可能である。これにより、電動アシスト四輪自転車1がモータ21により駆動される際には、操舵軸12とクランク軸65との間に配置されて前上ステー22に取り付けられる。
【0024】
車体フレーム2は、モータブラケット24と、シートチューブ25と、シートブラケット35と、リヤピボット36と、を有している。
【0025】
モータブラケット24は、車体フレーム2にボルトを介してモータ21を取り付ける。モータ21は、クランク軸65を介して、クランク64a、64bと接続され、クランク64a、64bを回転させる。モータ21は、後輪52の駆動力が設定値以上に上がらない制御機能(図示省略)を有している。
【0026】
クランク64a、64bは、クランク軸65回りに回転し、後輪52に動力を伝達する。クランク64a、64bは、先端においてペダル63a、63bを有する。ペダル63a、63bは、運転者から回転力をクランク64a、64bに伝達する。クランク64a、64bは、前スプロケット54と連結されている。
【0027】
シートチューブ25は、モータブラケット24と接続されたクランク64a、64bとほぼ上下位置を同じくする前端と、前端から後上方に延びた後端と、を有する。シートチューブ25(車体フレーム2)は、クランク軸65とシート71との間に、前後方向に平行に延びる水平部分25aを有する。水平部分25aは、前端から後端に向う一定長さの部分である。
【0028】
シートブラケット35は、シートチューブ25の後端に取り付けられる。シートブラケット35は、シートフレーム73を介して運転者着座用シート(サドル)71及び腰支え部材72をシートチューブ25に取り付ける。シートフレーム73は、前後方向に長手方向を有する長孔を介してボルト等でシートブラケット35に固定される。シートフレーム73は、長孔の所望の位置でシートブラケット35に固定されることで、シートブラケット35に対しシート71及び腰支え部材72の位置を前後に調整可能である。
【0029】
ここで、本実施形態における電動アシスト四輪自転車1は、図1に示すように、クランク軸65中心からシート71最後端までの前後方向距離Lが、クランク軸65中心からシート71最上端までの前後方向に直交する上下方向距離Hより大きくなるように、シート71及び車体フレーム2等が構成されている。
【0030】
リヤピボット36は、後フレーム4を車体フレーム2に接続する。
【0031】
後フレーム4は、後輪52と、後スプロケット53と、を支持する。後スプロケット53は、後輪52のハブに連動する。
【0032】
前スプロケット54と後スプロケット53の間には、チェーン55a、55bが掛け渡されている。チェーン55a、55bは、カウンタースプロケット92で連結されている。また、チェーン55a、55bは、所要のチェーンテンショナー91a、91bを有している。チェーン55a、55bは、ペダル63a、63bを介して運転者から入力される回転力と、モータ21から入力される回転力の合力を、後スプロケット53を介して後輪52に伝達する。
【0033】
後輪52は、アクスルシャフト94を介して後フレーム4に支持されている。アクスルシャフト94は、アクスルハウジング93に収容されている。左右のアクスルシャフト94の中間部には、ディファレンシャルギヤ95が取り付けられている。
【0034】
<本実施形態の効果>
上記のように構成した本実施形態においては、以下の効果を奏する。
すなわち、電動アシスト四輪自転車1は、図1に示すように、クランク軸65中心からシート71最後端までの前後方向距離Lが、クランク軸65中心からシート71最上端までの上下方向距離Hより大きくなるように構成されている。
【0035】
これにより、シート71の位置が低くして運転者が脚を地面に着くように着座できるようにしても、ペダル63a、63bとシート71間の距離が近すぎて漕ぎにくくなることはなくなる。
【0036】
また、上記のように前後方向距離L>上下方向距離Hとなると、例えば運転者の体型によっては運転者とハンドル11との距離が空いてしまい、そのままでは左右前後のバランスが不安定となってしまう可能性がある。そこで本実施形態では、三輪自転車ではなく四輪を備えた四輪自転車1として構成するとともに、腰支え部材72を有することにより、上記を解消し、左右前後のバラナスを安定化し、安定的にペダリングすることができる。
ゆえに、本願発明の四輪自転車1は、高齢者等の利用における転倒防止を図れ、漕ぎにくさを解消して漕ぎ出しを容易とでき、乗車時や走行時の左右前後のバランスの安定化も図れるため、安心安全に運転できる。
【0037】
また、本実施形態では特に、揺動アーム41の左右に、左右傾斜自在に前フレーム3と揺動アーム41とを連結した。これにより、車体全体は静止時に中立することができる。このため、電動アシスト四輪自転車1は、電動アシスト四輪自転車1を固定するためのスタンド掛けの動作が不要となる。これにより、高齢者は、電動アシスト四輪自転車1を快適に取り扱いできる。
【0038】
また、本実施形態では特に、シート71の前後方向における位置を調整可能にした。これにより、運転者の体型に合ったシート71の位置を提供できる。
【0039】
また、本実施形態では特に、バッテリ81を操舵軸12とクランク軸65との間に配置したことにより、車体の重心位置が前方になり、乗車時の安定性が向上する。これにより、電動アシスト四輪自転車1は、高齢者でも安心安全に運転できる。
【0040】
また、本実施形態では特に、フロントバスケット76を二つの前輪42の回転中心上方に有するため、積載時に走行安定性がさらに向上する。これにより、高齢者でも安心安全に運転できる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0042】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0043】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0044】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0045】
1 電動アシスト四輪自転車
2 車体フレーム
3 前フレーム
4 後フレーム
12 操舵軸
25a 水平部分
41 揺動アーム
42 前輪
52 後輪
64a、64b クランク
65 クランク軸
71 シート
72 腰支え部材
76 フロントバスケット
81 バッテリ
H 上下方向距離
L 前後方向距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7