(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114720
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】鳥営巣管理システムおよび鳥営巣管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230810BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230810BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230810BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/06
B64C39/02
B64D47/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017192
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】石橋 徳保
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】鳥類の営巣の管理を適正に行うことを可能にする。
【解決手段】 所定の航路を飛行するドローン2と、ドローン2に搭載され、所定の電柱Pを撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影された電柱Pの画像に基づいて、電柱Pに鳥類の巣Hがあるか否かを判定し、巣Hがあると判定した場合に、年間に撤去できる巣Hの数を含む所定の規制事項に基づいて、巣Hの撤去の要否を判定する管理サーバ3と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の航路を飛行するドローンと、
前記ドローンに搭載され、所定の配電設備を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された前記配電設備の画像に基づいて、前記配電設備に鳥類の巣があるか否かを判定し、巣があると判定した場合に、年間に撤去できる巣の数を含む所定の規制事項に基づいて、前記巣の撤去の要否を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする鳥営巣管理システム。
【請求項2】
前記ドローンに搭載され、前記巣の少なくとも一部を撤去する撤去手段を備え、
撤去を要すると判定された巣に対して、前記ドローンが飛行して前記撤去手段で撤去する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鳥営巣管理システム。
【請求項3】
前記規制事項に、雛が巣立つまで巣を撤去しないことが含まれる、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の鳥営巣管理システム。
【請求項4】
ドローンを所定の航路で飛行させ、
前記ドローンに搭載された撮影手段で所定の配電設備を撮影し、
前記撮影手段で撮影された前記配電設備の画像に基づいて、前記配電設備に鳥類の巣があるか否かを判定し、巣があると判定した場合に、年間に撤去できる巣の数を含む所定の規制事項に基づいて、前記巣の撤去の要否を判定する、
ことを特徴とする鳥営巣管理方法。
【請求項5】
撤去を要すると判定された巣まで前記ドローンを飛行させ、
前記ドローンに搭載された撤去手段で、前記巣の少なくとも一部を撤去する、
ことを特徴とする請求項4に記載の鳥営巣管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電設備における鳥類の営巣を管理するための鳥営巣管理システムおよび鳥営巣管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄塔や電柱などの配電設備にカラスなどの鳥類が営巣し、巣に針金やハンガーなどの金属が使用されることで停電が発生する、という問題が生じている。このような営巣による停電を防止するには、配電設備を定期的に点検し、営巣が確認された場合には撤去する、ことが有効的である。しかしながら、広域にわたって多数配設されている配電設備を人が定期的に点検するには、多大な労力と時間、費用を要する。
【0003】
一方、鳥類の営巣の配電設備への被害を確実に防止するために寄与する、という営巣情報管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、情報提供者からの営巣画像を取得し、営巣画像と原画像に基づいて、営巣に関連する設備を特定して、対策要か否か判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1に記載の装置では、情報提供者からの営巣画像を活用するため、鳥類の営巣による配電設備への被害を防止する効果が大きい。しかしながら、例えば、過疎地や山間部などでは、情報提供者からの営巣画像の提供が期待できないおそれがあり、このような地域では、電力事業者やその協力会社が点検作業を行う必要がある。また、年間に撤去できる巣の数などが規制されている場合があり、このような規制を考慮して撤去の要否を判断する必要がある。
【0006】
そこで本発明は、鳥類の営巣の管理を適正に行うことを可能にする、鳥営巣管理システムおよび鳥営巣管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、所定の航路を飛行するドローンと、前記ドローンに搭載され、所定の配電設備を撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された前記配電設備の画像に基づいて、前記配電設備に鳥類の巣があるか否かを判定し、巣があると判定した場合に、年間に撤去できる巣の数を含む所定の規制事項に基づいて、前記巣の撤去の要否を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする鳥営巣管理システムである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の鳥営巣管理システムにおいて、前記ドローンに搭載され、前記巣の少なくとも一部を撤去する撤去手段を備え、撤去を要すると判定された巣に対して、前記ドローンが飛行して前記撤去手段で撤去する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の鳥営巣管理システムにおいて、前記規制事項に、雛が巣立つまで巣を撤去しないことが含まれる、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、ドローンを所定の航路で飛行させ、前記ドローンに搭載された撮影手段で所定の配電設備を撮影し、前記撮影手段で撮影された前記配電設備の画像に基づいて、前記配電設備に鳥類の巣があるか否かを判定し、巣があると判定した場合に、年間に撤去できる巣の数を含む所定の規制事項に基づいて、前記巣の撤去の要否を判定する、ことを特徴とする鳥営巣管理方法である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の鳥営巣管理方法において、撤去を要すると判定された巣まで前記ドローンを飛行させ、前記ドローンに搭載された撤去手段で、前記巣の少なくとも一部を撤去する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項4に記載の発明によれば、ドローンが所定の航路を飛行し、所定の配電設備を撮影して、配電設備に鳥類の巣があるか否かを判定するため、営巣された配電設備の有無を人が現地に出向いて点検する必要がない。このように、営巣の点検に要する手間と時間を削減することができるとともに、漏れなく点検することが可能となる。
【0013】
さらに、巣があると判定した場合、年間に撤去できる巣の数を含む所定の規制事項に基づいて、巣の撤去の要否を判定するため、巣の撤去の要否を適正に判定することが可能となる。これらの結果、鳥類の営巣の点検・管理を適正に行うことが可能となり、営巣による停電を未然に防止したり、停電の長期化を防止したりすることが可能となる。
【0014】
請求項2および請求項5に記載の発明によれば、撤去を要すると判定された巣までドローンが飛行し、撤去手段で巣の少なくとも一部が撤去されるため、人による巣の撤去を削減することが可能になるとともに、迅速な撤去が可能となる。このように、鳥類の営巣の撤去・管理を適正に行うことが可能となり、営巣による停電を未然に防止したり、停電の長期化を防止したりすることが可能となる。しかも、電柱や鉄塔などの高所に巣がある場合には、人による撤去が困難であるが、ドローンに搭載された撤去手段で撤去するため、確実かつ安全に行うことが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、雛が巣立つまで巣を撤去しない、という規制事項に基づいて巣の撤去の要否を判定するため、巣の撤去の要否をより適正に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の実施の形態に係る鳥営巣管理システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図1の鳥営巣管理システムのドローンを示す正面図(a)と平面図(b)である。
【
図3】
図1の鳥営巣管理システムの管理サーバを示す概略構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態に係る鳥営巣管理システム1を示す概略構成図である。この鳥営巣管理システム1は、配電設備における鳥類の営巣を管理するためのシステムであり、ドローン2と管理サーバ(判定手段)3とが相互に通信自在に接続されている。ここで、この実施の形態では、配電設備が電柱Pの場合について主として説明するが、鉄塔などその他の配電設備を管理対象としてもよい。
【0019】
ドローン2は、所定の航路を飛行する無人航空機であり、この実施の形態では、所定の飛行ルート・航路を自動飛行するようになっている。すなわち、GPS(Global Positioning System)を備え、例えば、後述する管理サーバ3で設定されてドローン2に記憶された飛行ルートに対して、GPSで自身の位置を確認しながら飛行ルートに沿って自律制御して飛行する。この際、飛行環境などに応じて障害物回避機能を備えてもよい。これに対して、人がリモートコントローラーで所定の航路を飛行させるようにしてもよい。
【0020】
また、ドローン2は、所定のホバリング位置でホバリングする自動ホバリング機能を備え、電柱Pの近辺でホバリングして、後述する撮影や撤去を行うようになっている。このようなドローン2を複数備え、異なる飛行ルートを同時に飛行させてもよい。
【0021】
このドローン2のボディ21には、
図2に示すように、カメラ(撮影手段)22、マイク(集音手段)23、磁石盤(撤去手段)24などが搭載されている。
【0022】
カメラ22は、電柱Pなどを撮影する撮影装置であり、少なくとも所定の電柱Pの腕金周辺(営巣される可能性がある部位)を撮影し、
図2に示すように、レンズが正面を向くようにドローン2に搭載、配設されている。このカメラ22は、ドローン2によって制御され、この実施の形態では、飛行ルート上の所定のホバリング位置、つまり、電柱Pの撮影位置までドローン2が飛行してホバリングすると、自動的に電柱Pを撮影する。そして、電柱Pを撮影するたびに、撮影した画像と撮影時の位置情報(緯度、経度)とドローン2の識別情報を含む撮影情報が、ドローン2から管理サーバ3に送信されるようになっている。これにより、後述するように、管理サーバ3においてどの画像にどの電柱Pが撮影されているかがわかるようになっている。
【0023】
これに対して、経時的にドローン2の飛行位置を常に記憶しながらカメラ22で常に電柱Pなどを撮影し、各時におけるドローン2の飛行位置と撮影した動画・ビデオを管理サーバ3に送信する。そして、管理サーバ3において同じ時間におけるドローン2の飛行位置と画像とを照らし合わせることで、どの電柱Pが撮影されているかをわかるようにしてもよい。
【0024】
マイク23は、電柱Pの周辺などから発生する音、例えば、鳥類の雛の鳴き声を集音する集音装置であり、正面を向くようにドローン2に搭載、配設されている。このマイク23は、ドローン2によって制御され、上記のカメラ22と同様に起動制御等されるようになっている。すなわち、カメラ22の撮影時に集音・録音を開始して所定時間集音し、撮影情報に集音・録音した音を含めて管理サーバ3に送信する。
【0025】
磁石盤24は、鳥類の巣Hの少なくとも一部を撤去する撤去手段であり、ドローン2のボディ21の下面側に配設され、巣Hのなかの針金やハンガーなどの金属を磁力で吸着させて撤去する。このように、この実施の形態では、巣Hの一部である金属を磁力で撤去することで停電を防止するものであるが、撤去手段をマニピュレータ・アームで構成して、巣Hの全部または一部を撤去してもよい。
【0026】
また、磁石盤24は、ボディ21に対して昇降可能で、下降することで金属をより吸着できるようになっている。この磁石盤24の昇降は、ドローン2によって制御され、この実施の形態では、飛行ルート上の所定のホバリング位置、つまり、巣Hの撤去位置(巣Hの上方)までドローン2が飛行してホバリングすると、下降して金属を吸着させる。そして、所定時間経過すると上昇して、ドローン2が再び飛行する。
【0027】
このようなカメラ22や磁石盤24などが搭載されたドローン2は、この実施の形態では、電柱Pなどの電力設備を点検・管理する管理センターCを発着場所とし、巣Hの点検や撤去のたびに管理センターCから離陸して、点検や撤去を終えると管理センターCに着陸する。また、管理センターC内の電源から電力を受けて充電する。これに対して、特定の電柱Pに発着場所(ヘリポート)を設けて、電柱Pに配設された変圧器から電力を受けるようにしてもよい。
【0028】
このように、この実施の形態では、同じドローン2で巣Hの点検と撤去を行えるが、カメラ22が搭載された点検用のドローン2と、磁石盤24が搭載された撤去用のドローン2とに分けてもよい。
【0029】
管理サーバ3は、電柱Pに鳥類の巣Hがあるか否かを解析、判定したりするためのサーバ・コンピュータである。この管理サーバ3は、
図3に示すように、主として、入力部31と、表示部32と、通信部33と、電柱データベース34と、判定タスク(判定手段)35と、これらを制御などする中央処理部36と、を備える。
【0030】
入力部31は、各種情報や指令などを入力するためのインターフェイスであり、具体的には、ドローン2の飛行ルートなどを入力する。すなわち、各電柱Pの位置(緯度、経度)、道路の位置や道幅などが記憶された地図上で、ドローン2が飛行すべき航路を指定することで飛行ルートを入力する。この実施の形態では、所定の電柱P(巣H)を点検する際の点検ルートと、巣Hを撤去する際の撤去ルートとを策定・入力し、所定の時間でより多くの巣Hを漏れなく確実かつ効率的に点検、撤去できるように、各航路を設定する。
【0031】
これらの飛行ルートには、航路上の各ポイントの緯度、経度、進行方向、進行距離やホバリング位置の緯度、経度などが記憶されている。すなわち、点検ルートには、ホバリングして点検(撮影、集音)する点検位置(撮影位置)を含み、撤去ルートには、ホバリングして撤去する撤去位置を含む。
【0032】
このような飛行ルートを複数設定、記憶することが可能で、飛行日時やドローン2などに応じて異なる飛行ルートをドローン2に送信、記憶することで、所望の飛行ルートでドローン2を飛行させることができる。また、点検用のドローン2に点検ルートのみを記憶させ、撤去用のドローン2に撤去ルートのみを記憶させてもよい。
【0033】
表示部32は、各種データや情報などを表示するディスプレイであり、具体的には、上記の地図や飛行ルート、判定タスク35による判定結果などを表示する。通信部33は、インターネット網や電話通信網などを介して外部と通信するためのインターフェイスであり、各ドローン2や管理者の携帯端末などと通信する。電柱データベース34は、各電柱Pに関する情報を記憶するデータベースであり、電柱Pの識別情報ごとに、電柱Pの設置位置(緯度、経度)、過去の点検日時や点検結果、撮影画像、録音、巣Hの撤去日時などが記憶されている。
【0034】
判定タスク35は、カメラ22で撮影された電柱Pの画像に基づいて、電柱Pに鳥類の巣Hがあるか否かを判定し、巣Hがあると判定した場合に、所定の規制事項に基づいて、巣Hの撤去の要否を判定するプログラム・タスクである。この実施の形態では、ドローン2から撮影情報を受信するたびに起動されが、入力部31からの起動指令に従って任意時に起動し、指定された特定の撮影情報あるいは複数の撮影情報に対して判定してもよい。
【0035】
まず、撮影情報に含まれる画像を画像解析して、電柱Pに鳥類の巣Hがあるか否かを判定する。例えば、巣Hがない場合のサンプル画像と巣Hがある場合のサンプル画像が予め記憶され、これらのサンプル画像と撮影情報に含まれる画像とを比較することで、電柱Pに巣Hがあるか否かを判定する。
【0036】
このような解析において、学習モデルを用いてもよい。すなわち、電柱Pの画像が入力されると、電柱Pに鳥類の巣Hがあるか否かが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された学習モデルを用いてもよい。この際、学習タスクによって、過去の実績データを用いて、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習アルゴリズムにより学習モデルを作成する。
【0037】
続いて、巣Hがあると判定した場合には、所定の規制事項に基づいて巣Hの撤去の要否を判定する。ここで、所定の規制事項とは、巣Hの撤去などに関して法律や条例、あるいは社内規定などで定められている事項であり、年間に撤去できる巣Hの数(撤去可能数)や、雛が巣立つまで巣Hを撤去しないこと、などが含まれる。
【0038】
従って、今年度の巣Hの撤去数をカウントし、予め記憶された撤去可能数を超えない場合には、撤去要と判定する。この際、配電設備つまり電柱Pなどの重要度を考慮して撤去の要否を判定してもよい。例えば、重要度が低い場合には、撤去可能数を超えない場合でも、今は撤去不要と判定し、重要度が高い電柱Pの巣Hを撤去できるようにしてもよい。また、撮影情報に含まれる画像を画像解析して、あるいは、撮影情報に含まれる録音を音響解析して、雛がいると判定した場合には、撤去不要と判定する。
【0039】
そして、このようにして解析した点検結果を電柱データベース34に記憶する。すなわち、撮影情報に含まれる位置情報に一致する設置位置が記憶された電柱Pに対して、巣Hの有無、雛の有無、撤去の要否の判定結果と、点検日時や撮影画像および録音を記憶する。
【0040】
次に、このような構成の鳥営巣管理システム1による鳥営巣管理方法などについて説明する。
【0041】
まず、管理サーバ3の入力部31を介して、上記のように、電柱Pを点検する点検位置、つまり、電柱データベース34に記憶された各電柱Pの設置位置、を含む点検ルート(飛行ルート)を作成し、ドローン2に記憶させる。そして、所定のタイミングで(定期的あるいは任意時に)ドローン2を飛行させると、点検ルートを飛行しながら各点検位置でホバリングして、カメラ22で電柱Pの腕金周辺等を撮影するとともに、マイク23で集音する。そして、画像と録音を含む撮影情報をドローン2から管理サーバ3に送信すると、判定タスク35が起動され、上記のようにして、電柱Pに鳥類の巣Hがあるか否か、巣Hの撤去の要否を判定して、その結果を電柱データベース34に記憶する。
【0042】
続いて、管理サーバ3の入力部31を介して、巣Hを撤去する撤去位置、つまり、電柱データベース34に「撤去要」が記憶された巣Hつまり電柱Pの設置位置、を含む撤去ルート(飛行ルート)を作成し、ドローン2に記憶させる。そして、所定のタイミングで(定期的あるいは任意時に)ドローン2を飛行させると、撤去を要すると判定された巣H(電柱P)までドローン2が飛行し、磁石盤24が下降して巣Hに含まれる金属を撤去する。その後、電柱データベース34の当該電柱Pに対して撤去日時を記憶するものである。
【0043】
以上のように、この鳥営巣管理システム1および鳥営巣管理方法によれば、ドローン2が所定の航路を飛行し、所定の電柱Pを撮影して、電柱Pに鳥類の巣Hがあるか否かを判定するため、営巣された電柱Pの有無を人が現地に出向いて点検する必要がない。このように、営巣の点検に要する手間と時間を削減することができるとともに、漏れなく点検することが可能となる。
【0044】
さらに、巣Hがあると判定した場合、年間に撤去できる巣Hの数を含む所定の規制事項に基づいて、巣Hの撤去の要否を判定するため、巣Hの撤去の要否を適正に判定することが可能となる。しかも、雛が巣立つまで巣Hを撤去しない、という規制事項に基づいて巣Hの撤去の要否を判定するため、巣Hの撤去の要否をより適正に判定することが可能となる。
【0045】
また、撤去を要すると判定された巣Hまでドローン2が飛行し、磁石盤24で巣Hの少なくとも金属が撤去されるため、人による巣Hの撤去を削減することが可能になるとともに、迅速な撤去が可能となる。しかも、電柱Pや鉄塔などの高所に巣Hがある場合には、人による撤去が困難であるが、ドローン2に搭載された磁石盤24で撤去するため、確実かつ安全に行うことが可能となる。
【0046】
これらの結果、鳥類の営巣の管理(点検、撤去)を適正に行うことが可能となり、営巣による停電を未然に防止したり、停電の長期化を防止したりすることが可能となる。
【0047】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ドローン2と管理サーバ3とが別体の場合について説明したが、ドローン2に判定タスク35を組み込み、巣Hの撤去を要すると判定した場合に、その場で巣Hを撤去してもよい。また、管理サーバ3の入力部31を介して飛行ルートを作成する場合について説明したが、電柱データベース34に記憶された各電柱Pの設置位置や最新の判定結果などに基づいて、管理サーバ3で自動的に飛行ルートを作成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 鳥営巣管理システム
2 ドローン
22 カメラ(撮影手段)
23 マイク(集音手段)
24 磁石盤(撤去手段)
3 管理サーバ(判定手段)
P 電柱(配電設備)
H 鳥類の巣