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特開2023-114728ポンプ装置、管理装置および管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114728
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ポンプ装置、管理装置および管理方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/08 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
F04B49/08 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017207
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】新垣 彰平
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA06
3H145AA16
3H145AA23
3H145BA28
3H145BA39
3H145BA41
3H145CA01
3H145CA06
3H145CA14
3H145EA02
3H145EA13
3H145EA14
3H145EA15
3H145EA26
3H145EA34
(57)【要約】
【課題】円滑なメンテナンスを実現すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、検知部と、判定部と、通知部とを含む。検知部は、故障が発生したことを検知する。判定部は、前記故障が発生した場合、自装置の給水継続能力を示す給水レベルを判定する。通知部は、前記故障に関する情報と前記給水レベルとを管理装置へ通知する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障が発生したことを検知する検知部と、
前記故障が発生した場合、自装置の給水継続能力を示す給水レベルを判定する判定部と、
前記故障に関する情報と前記給水レベルとを管理装置へ通知する通知部と、
を具備するポンプ装置。
【請求項2】
前記給水レベルが低いほど、メンテナンスの優先度を高く設定する設定部をさらに具備し、
前記通知部は、前記優先度に関する情報を前記管理装置へ通知する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記判定部は、通常バックアップモードの第1給水レベルよりも低い第2給水レベルを有する緊急バックアップモードで運転可能か否かを判定する、請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記判定部により運転モードの変更により給水が可能であると判定された場合、前記通常バックアップモードから前記緊急バックアップモードに切り替える制御部をさらに具備し、
前記通知部は、運転モードが変更されたことを前記管理装置へさらに通知する、請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記緊急バックアップモードでも給水ができない場合、前記第2給水レベルよりも低い第3給水レベルであると判定する、請求項3または請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記ポンプ装置が受水槽に貯水された水を加圧する加圧給水型ポンプである場合、前記緊急バックアップモードは、前記ポンプ装置の運転中の圧力が所定値以下かつ流量のない期間が一定期間以上発生するまで運転可能なモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
インバータをさらに具備し、
前記緊急バックアップモードは、通常運転時に前記インバータの過負荷保護により運転を停止する閾値となる第1値よりも大きい第2値で運転を停止するモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項8】
複数のインバータをさらに具備し、
前記緊急バックアップモードは、過負荷保護が発生した運転状態ごとに前記複数のインバータのうちの少なくとも1つの設定を変更し運転可能とするモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項9】
複数のインバータをさらに具備し、
前記緊急バックアップモードは、1つのインバータの過熱保護により停止後、当該インバータが運転可能となる最大周波数の値を変更して運転可能なモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項10】
流量センサで取得したセンサ値、所定期間ごとの最大運転周波数を記憶する記憶部をさらに具備し、
前記緊急バックアップモードは、運転が停止した後、前記センサ値および前記最大運転周波数に基づき運転周波数を制御するモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項11】
流量センサで取得したセンサ値、ポンプが運転を停止したときの停止時運転周波数を記憶する記憶部をさらに具備し、
前記緊急バックアップモードは、前記センサ値に基づき、前記停止時運転周波数まで運転周波数を下げた場合に運転を停止するモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項12】
圧力センサで取得したセンサ値、所定期間ごとの運転時間を記憶する記憶部をさらに具備し、
前記緊急バックアップモードは、運転が停止した後、前記センサ値および前記運転時間に基づき運転を制御するモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項13】
水圧を測定する圧力センサをさらに具備し、
前記緊急バックアップモードは、前記圧力センサのセンサ値が目標圧力に応じて運転周波数を増減して運転を制御するモードである、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のポンプ装置から、前記故障および前記給水レベルに関する情報を取得する取得部と、
前記情報を端末に通知する通知部と、
を具備する管理装置。
【請求項15】
通常のバックアップモードよりも給水継続能力が低い緊急バックアップモードで運転が継続できるか否かを判定する判定部と、
前記緊急バックアップモードで運転が継続できる場合、前記緊急バックアップモードへの運転モードの変更を指示する制御部と、をさらに具備し、
前記通知部は、前記給水レベルおよび変更した運転モードに関する情報をユーザに通知する、請求項14に記載の管理装置。
【請求項16】
前記ポンプ装置が通常のバックアップモードよりも給水継続能力が低い緊急バックアップモードで稼働を開始したことを示す通知を取得した場合であって、前記緊急バックアップモードに変更されてからの稼動時間が閾値以上であるか否かを判定する判定部をさらに具備し、
前記通知部は、前記稼動時間が前記閾値以上である場合、外部に前記ポンプ装置に関する情報を出力する、請求項14に記載の管理装置。
【請求項17】
故障が発生したことを検知し、
前記故障が発生した場合、ポンプ装置の給水継続能力を示す給水レベルを判定し、
前記故障に関する情報と前記給水レベルとを管理装置へ通知する、
管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置の点検の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポンプのメンテナンス要員不足により、ポンプ装置の遠隔監視が求められている。遠隔監視によれば、例えば異常時に、ポンプ装置を管理する管理サーバにポンプ情報を通知したり、管理サーバからユーザやメンテナンス要員に通知を行なったりすることで、異常時にメンテナンスを迅速に行うことができる(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5007411号明細書
【特許文献2】特開2021-127710号公報
【特許文献3】特許第6920386号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際にメンテナンスを行う場合は、メンテナンス要員が現場に赴く必要があるため、上述のメンテナンス要員不足により、異常の通知があってもすぐに駆けつけることができない場合がある。また、異常の程度によっては、緊急性が低い場合もあり、このような緊急性の低い異常が発生した現場に向かったために、よりも緊急度が高い異常が発生した現場が後回しにされてしまう可能性もある。
本発明は、円滑なメンテナンスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、検知部と、判定部と、通知部とを含む。検知部は、故障が発生したことを検知する。判定部は、前記故障が発生した場合、自装置の給水継続能力を示す給水レベルを判定する。通知部は、前記故障に関する情報と前記給水レベルとを管理装置へ通知する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、円滑なメンテナンスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る管理システムの一例を示す図。
図2】第1の実施形態に係るポンプ装置を示すブロック図。
図3】第1の実施形態に係るポンプ装置の動作例を示すフローチャート。
図4】第1の実施形態に係る給水レベルの判定および優先度の設定の詳細を示すフローチャート。
図5】第2の実施形態に係る管理サーバを示すブロック図。
図6】第2の実施形態に係る管理サーバの第1の動作例を示すシーケンス図。
図7】第2の実施形態に係る管理サーバの第2の動作例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る管理装置、管理方法および管理プログラムについて説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る管理システムを例示するブロック図である。図1に示すように、管理システムは、管理サーバ1、複数の端末3-nおよび複数のポンプ装置5-n(nはインデックス)を含む。図1では、nが2である場合の構成を示しているが、これに限定する必要はなく、nは1以上であれば幾つでもよい。以下、特に区別しないときは単に端末3およびポンプ装置5と記載することとする。管理システムでは、ポンプ装置5に関して測定されるポンプ情報などを管理サーバ1で用いて管理するコンピュータシステムである。
【0010】
図1に示すように、管理サーバ1と端末3とポンプ装置5とは、ネットワークNWを介して、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimaxなどの比較的遠距離の無線通信回線を介して接続される。また、ポンプ装置5と端末3とは、上述した無線通信回線に加え、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった比較的近距離の無線通信手段により接続されることを想定する。なお、端末3とポンプ装置5とは、USB(Universal Serial Bus)やケーブルによるLAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。
【0011】
管理サーバ1は、管理装置の一例であり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、表示機器、入力機器及び通信機器を有するコンピュータである。管理サーバ1は、複数のポンプ装置5に関する各種データを管理するためのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の大容量記憶装置を有する。当該大容量記憶装置をデータベースと呼ぶことにする。例えば、管理サーバ1は、ポンプ装置5に関する各種データをデータベースに記憶したり、ポンプ装置5の稼働状況を管理する。なお、管理サーバ1は、オンプレミスサーバに限らず、クラウドサーバであってもよい。
【0012】
端末3は、点検作業員等のユーザが持ち運び可能な通信端末であり、例えば、ノートPC、モバイル端末(スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット)が挙げられる。なお、端末3は、ポンプ装置5の管理専用に構成された通信デバイスであってもよい。端末3から、ポンプ装置5を制御可能としてもよく、例えば、ポンプ装置5を制御するためのアプリケーション(以下、制御アプリケーションともいう)が搭載されてもよいし、Webブラウザからポンプ装置5を制御可能としてもよい。
【0013】
ポンプ装置5は、例えば、建物に給水する機械装置(給水装置)である。ポンプ装置5は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であるとする。なお、本実施形態に係るポンプ装置5の型は直結増圧型のみに限定されず、直結直圧型でもよいし、貯水槽給水型でもよい。
【0014】
次に、第1の実施形態に係るポンプ装置5について図2のブロック図を参照して説明する。
ポンプ装置5は、制御盤50とポンプ部60とを含む。ポンプ装置5は、他に、図示しない吸込配管と吐出配管とを含んでもよい。ポンプ装置5は、ポンプ部60により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ部60を接続する。吐出配管は、ポンプ部60とその二次側の給水先とを接続する。ポンプ装置5は、複数台のポンプ部60を含んでいてもよい。この場合に、ポンプ装置5は、複数台のポンプ部60を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプ部60を同時に駆動する並列運転などを行うことができる。
【0015】
図2に示すように、制御盤50は、互いにバスを介して接続された近距離通信器51と、遠距離通信器52と、入力機器53と、インバータ54と、インタフェース55と、表示機器56と、記憶装置57と、プロセッサ58とを含む。
【0016】
近距離通信器51は、Bluetooth、Wi-FiまたはNFC等の無線通信の規格に準拠した無線通信モジュール511を搭載し、近距離無線通信を行なう。近距離通信器51は、USB等の有線通信の規格を用いた近距離通信を行なってもよい。近距離通信器51は、端末3との間で、近距離通信回線を介して、ポンプ装置5の運転モードの設定および各種データの送受信などを行なう。
【0017】
遠距離通信器52は、携帯通信網、WimaxおよびWi-Fi等の無線通信の規格を用いた遠距離通信を行なう。遠距離通信器52は、管理サーバ1または端末3との間で、遠距離通信回線を介して各種データの送受信を行なう。
【0018】
近距離通信器51および遠距離通信器52による無線接続の確立については、例えば、Bluetoothであれば、一般的なペアリング接続により無線接続が確立されればよく、Wi-Fiであれば、Wi-Fiのアクセスポイントに予め設定されたSSIDおよびパスワードを入力することで、無線接続が確立されればよい。なお、一度、ポンプ装置5と端末3との無線接続が確立していれば、端末3の無線機能をオンにしてポンプ装置5と接近することで、自動的に無線接続が確立されるものとする。
【0019】
入力機器53は、ユーザの指示を電気信号に変換する。入力機器53としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等が用いられればよい。なお、入力機器53としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器53からの電気信号はバスを介してプロセッサ58に供給される。
【0020】
インバータ54は、ポンプ部60を作動する動力を発生する。具体的には、インバータ54は、ポンプ部60(のモータ)に所定周波数の交流電力を供給する。また、インバータ54は、プロセッサ58からインバータ制御信号を受け取る。インバータ54は、インバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ54は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始する。また、インバータ54は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じてモータの回転数を制御する。
【0021】
具体的には、インバータ54は、図示しないコンバータ回路、平滑コンデンサ及びインバータ回路を含む。コンバータ回路は、交流電源から交流電力を取り込み整流することで直流電力に変換する。平滑コンデンサは、コンバータ回路によって出力される直流電力の電圧を平滑化し、略一定電圧の直流電力を得る。そして、インバータ回路は、平滑コンデンサによって得られた直流電力を制御盤50からのインバータ制御信号(回転数制御信号に相当)に応じた所定周波数の交流電力へと変換してモータに供給する。
【0022】
インタフェース55は、例えば、ポート等の入出力インタフェースである。インタフェース55は、例えば、制御盤50とポンプ部60とを接続し、各種信号を送受信する。
【0023】
表示機器56は、各種データを表示する。表示機器56としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の任意のディスプレイが用いられればよい。なお、表示機器56として、プロジェクタが用いられてもよい。
【0024】
記憶装置57は、各種データを記憶するROMやRAM、HDD、SSD、集積回路記憶装置等のメモリ装置である。記憶装置57は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、ポンプ装置5内に物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。以下、記憶装置57を単にメモリと呼ぶことにする。
【0025】
プロセッサ58は、CPUやマイクロプロセッサ等の演算装置である。プロセッサ58は、ASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。プロセッサ58は、記憶装置57に保存された各種プログラムを実行することで、管理装置としての機能、例えば、検知部581と、判定部582と、通知部583と、設定部584と、制御部585との各機能を実現する。
【0026】
検知部581は、ポンプ装置5に故障が発生したか否かを検知する。
判定部582は、故障が発生した場合、自装置の給水継続能力を示す給水レベルを判定する。また、判定部582は、通常バックアップモードの第1給水レベルよりも低い第2給水レベルを有する緊急バックアップモードで運転可能か否かを判定する。
【0027】
通知部583は、故障に関する情報と給水レベルとを管理サーバ1へ通知する。
設定部584は、給水レベルが低いほど、ポンプ装置5のメンテナンスの優先度を高く設定する。
【0028】
制御部585は、ポンプ装置5の運転モードの変更を制御する。具体的には、通常バックアップモードと緊急バックアップモードとの運転モードの切り替えを実施する。通常バックアップモードは、ここでは、通常のバックアップ運転を想定する。緊急バックアップモードは、通常のバックアップ運転とは異なる、給水延命のための緊急のバックアップ運転モードであり、使用することでポンプ装置5の寿命が短くなる可能性があり、さらに精度を欠く運転である。よって、給水可能時間および機器へのダメージを考慮すると、なるべく短時間で正常運転または通常バックアップモードに切り替えることが望ましい。
【0029】
なお、制御盤50を構成する基板の枚数は任意に設計可能であり、各基板が近距離通信器51、遠距離通信器52、入力機器53、インバータ54、インタフェース55、表示機器56、記憶装置57及びプロセッサ58のうちの何れの機器を物理的に装備するのかも任意に設計可能である。また、検知部581と、判定部582と、通知部583と、設定部584と、制御部585とは、一のプロセッサ58が担うものとしたが、物理的に分離した複数のプロセッサが分担してもよい。
【0030】
次に、第1の実施形態に係るポンプ装置5の動作例について図3のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
ステップS301では、検知部581が、故障の発生を検知する。例えば、検知部581が、インバータからの信号が受信できない場合、流量センサの値が正常範囲とは異なる値である場合といった、正常な運転状態とは異なる場合を検知した場合、故障が発生したと検知すればよい。
【0032】
ステップS302では、判定部582が、給水レベルを判定する。本実施形態では、運転モードによって給水レベルを判定することを想定し、ポンプ装置5が、第1給水レベル(通常バックアップモード)、第2給水レベル(緊急バックアップモード)、第3給水レベル(給水不可)のいずれであるかを判定する。ここでは、第1給水レベル、第2給水レベル、第3給水レベルの順に、給水レベルが低いことを示す。なお、流量センサの故障、インバータの故障などといった故障の発生個所によって、給水の継続に影響が生じるレベルが異なるため、構成部品に応じて給水レベルを予め設定し、検知部581により故障が発生したと検知された部品に対応する給水レベルを判定してもよい。
【0033】
ステップS303では、設定部584が、給水レベルに応じたメンテナンスの優先度を判定する。給水レベルが低いほど、優先度が高く設定される。すなわち、優先度が高いほど、メンテナンスの緊急性が高いことを示す。
【0034】
ステップS304では、通知部583が、ポンプ装置5を一意に識別するIDを含むポンプ情報に加え、故障に関する情報と、給水レベルと、優先度とを管理サーバ1に通知する。なお、給水レベルと優先度との両方の情報を通知することに限らず、給水レベルおよび優先度のどちらか一方が通知されてもよい。また、管理サーバ1は、ポンプ装置5の故障に関する情報、給水レベルおよび優先度を、端末3に通知してもよい。
【0035】
なお、上述のステップS301では、例えばセンサ値が異常値を示した場合に故障が発生したと検知することを想定するが、一度異常値を計測した場合、制御部585は、ポンプ装置の制御盤をリセット(再起動)し、一過性の不具合であるか、実際に異常が発生しているかを確認する確認処理を実行してもよい。リセットにより、センサ値が正常範囲を示す場合は、故障が発生したと検知せずに、そのまま通常運転を継続すればよい。一方、リセットしてもセンサ値が異常を示す場合は、検知部581は、故障が発生したと検知すればよい。
また、リセットすれば一旦は正常値となるが、再度異常が発生するなど、リセット回数が閾値以上および/またはリセット間隔が所定時間内であれば、断水ほど緊急ではないものの早い段階でメンテナンスすることが望ましいとして、判定部582は、第1給水レベル、または第2給水レベルと判定してもよい。
【0036】
次に、ステップS302の給水レベルの判定、およびステップS303の優先度の設定の詳細について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ステップ401では、判定部582が、運転モードが通常バックアップモードであるか否かを判定する。例えば、複数のポンプ部を備えるポンプ装置である場合、ポンプ部60の最大数が同時に運転せず、少なくとも1台が予備機として運転を休止することが通常である。よって、複数のポンプ部のうち、1つのポンプが故障して給水ができなくなったとしても、休止しているポンプ部を稼働させることで、故障発生後も故障前の通常の給水と同様の給水を実現できる。このように、故障が発生しても通常のバックアップ手法により給水を継続できる。
【0038】
また、制御盤50を備えるポンプ装置5の場合は、構成部品をバックアップするため、物理的に構成部品を主系統と副系統との2系統備える場合がある。この場合、主系統で異常が発生しても、副系統によりバックアップでき、給水を継続できる。このように、判定部582は、故障が発生しても通常の給水を継続できていれば、運転モードが通常バックアップモードであると判定すればよい。通常バックアップモードであれば、ステップS402に進み、通常バックアップモードでなければ、ステップS404に進む。
【0039】
ステップS402では、判定部582が、給水継続能力が最も高い第1給水レベルであると判定する。
【0040】
ステップS403では、設定部584が、例えば、上述した予備機または副系統で通常バックアップ運転をしている場合は、メンテナンスを急いで行う必要がないため、優先度「低」と設定する。
【0041】
ステップS404では、判定部582が、緊急バックアップモードで運転可能か否かを判定する。緊急バックアップモードで運転可能であれば、ステップS405に進み、緊急バックアップモードで運転できなければ、ステップS407に進む。
【0042】
緊急バックアップモードで運転可能か否かは、故障個所によって判定すればよい。
第1例として、ポンプ装置5が受水槽を備え、加圧することで給水する加圧給水型ポンプである場合を想定する。何らかの原因で受水槽に水が供給されない場合、受水槽が空となりポンプが空運転する可能性があるため、通常運転では、受水槽の水位をセンサによりセンシングし、水位が一定値以下であれば、渇水状態であるとして給水を停止する。しかし、センサにより渇水状態であると検知された場合でも受水槽内部には若干の残水があることが一般的である。極力給水を継続することが重要であるため、センサにより渇水状態であると検知された場合で給水を再開する。このとき、再開後の給水時の圧力センサおよび流量センサが所定値以上であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。なお、第1例に係る緊急バックアップモードは、ポンプ装置5の運転中の圧力が所定値以下かつ流量のない期間が一定期間以上発生するまで運転可能なモードである。
【0043】
第2例として、通常運転時は、ポンプ装置5のインバータ54に過負荷(例えば、過電流および/または過電圧)が生じた場合、過負荷によるモータの損傷を保護すべく、負荷値(例えば電流値および/または電圧値)が第1閾値以上になるとポンプ装置5の運転を停止する。しかし、メンテナンスまでの給水を優先する必要がある場所では、検知部581により、インバータ54に過負荷が生じたことが検知された場合、電流値が第1閾値よりも大きい第2閾値未満の場合は運転を継続し、当該第2閾値以上となる場合は、運転を停止する設定で、ポンプ装置5を運転させてもよい。インバータ54の故障後にポンプ装置5が当該設定で運転可能であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。
【0044】
第3例として、通常運転時は、複数のポンプ部と、対応する複数のインバータを備えたポンプ装置の場合、何らかの原因で過負荷が生じた場合には、モータ保護のため、ポンプ装置5を停止する。他方、過負荷保護が発生した運転状態ごとに、複数のインバータのうちの少なくとも1つの設定を変更して運転可能であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。具体的には、始動時、増台時、減台時、停止時といったどの状態で発生したのかを判定し、当該状態ごとに、周波数の加速度、周波数の減速度、トルクブースト、キャリア周波数などの設定を変更して再度運転する。
【0045】
第4例として、通常運転時は、ポンプ装置5のインバータ54に備えられる冷却用のファンが故障した場合、放熱が間に合わないため、過熱保護によりインバータ54のCPUの温度が一定値を超えると、ポンプ装置5の運転を停止する。他方、インバータが過熱保護により停止した場合、運転可能となる最大周波数の値を変更して運転する設定で、ポンプ装置5を運転可能であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。具体的には、過熱保護により停止した周波数よりも低い周波数を最大周波数の値として運転させればよい。なお、過熱保護により停止したインバータおよび対応するポンプ部の負荷を軽減するため、当該インバータと対応するポンプ部は、最後に増台し、最初に減台する号機として設定することが望ましい。
【0046】
第5例として、通常運転時は、圧力センサが故障すると、正常に圧力制御できないため、ポンプ装置5を停止する。他方、制御盤50の記憶装置57には、過去の通常運転時における、流量センサで取得したセンサ値、所定期間ごとの最大運転周波数を記憶しておき、運転が停止した後、センサ値および最大運転周波数に基づく制御で運転可能であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。所定期間とは、例えば、週、曜日、時刻である。すなわち、圧力センサが故障した場合の緊急バックアップモードは、流量がある場合に最大運転周波数に基づいて運転し、流量がなくなると停止する。
【0047】
第6例として、記憶装置57には、過去の通常運転時における、流量センサで取得したセンサ値、ポンプが運転を停止した時の停止時運転周波数を記憶する。第5例と同様に圧力センサが故障した場合、運転が停止した後、センサ値に基づき、停止時運転周波数まで運転周波数を下げた場合に運転を停止するように運転可能であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。具体的には、流量がある場合に前回停止した停止時運転周波数から起動し、一定時間ごとに段階的に周波数を増加させ、流量が一定量以下となる場合に、段階的に周波数を減少させ、停止時運転周波数まで減少しかつ流量が一定以下であれば、運転を停止する。第5例および第6例の場合は、圧力が不明のまま運転しているため、圧力が過大になり配管などにダメージが発生する可能性があるため、なるべく早いメンテナンスが望まれる。
【0048】
第7例として、複数のポンプ部および対応する複数のインバータを備えるポンプ装置5である場合、圧力が下がると起動し、目標圧力に向かってインバータの周波数を可変させ、目標圧力に達すると流量が一定以下になった場合に停止する。通常運転時は、流量センサが故障すると停止すべきタイミングが不明となるため、流量センサが故障した場合は運転を停止する。他方、記憶装置57には、過去の通常運転時における、圧力センサで取得したセンサ値、所定期間ごとの運転時間を記憶する。運転が停止した後、センサ値および運転時間に基づいて運転を制御可能であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。具体的には、記憶装置57には、所定期間ごとに、圧力が目標圧力に到達し、一定の圧力になってから停止する前の運転時間が記憶される。緊急バックアップモードでは、当該運転時間だけ運転したら停止するように制御される。
【0049】
第8例として、過去の運転時間等の運転情報を記憶できない機種において、第7例と同様に圧力センサが故障した場合は、圧力センサのセンサ値が目標圧力に達した状態から、所定の運転時間だけ運転したのちに停止させる制御、または、目標圧力を満たした状態から通常の減速時間とことなる減速時間にて周波数を増減することでモータを変速し、圧力が維持される限り停止するまで減速させる制御が可能であれば、判定部582は、緊急バックアップモードとして運転可能であると判定する。第7例および第8例の場合は、流量が不明のため、緊急バックアップモードで運転している場合は、締め切り運転が継続したり、起動頻度が多くなってしまうため、なるべく早いメンテナンスが望まれる。
【0050】
ステップS405では、判定部582が、第1給水レベルよりも給水継続能力が低い第2給水レベルであると判定する。
ステップS406では、設定部584が、緊急バックアップモードで運転している場合は、断水よりは緊急度が低いが、なるべく早くメンテナンスする必要があるため、優先度「中」と設定する。
【0051】
ステップS407では、判定部582が、緊急バックアップモードでも給水できない断水状態であるとして、第2給水レベルよりも給水継続能力が低い第3給水レベルであると判定する。
ステップS408では、設定部584が、断水状態であり一刻も早いメンテナンスが要求されるため、優先度を「高」と設定する。
【0052】
なお、給水レベルの判定および対応する優先度の設定は上述の3段階に限らず、給水可能であるか否かの2段階でもよいし、さらに細かいレベル分けでもよい。
【0053】
以上に示した第1の実施形態によれば、故障が発生したことを検知した場合、ポンプ装置の給水レベルを判定し、給水レベルに応じたメンテナンスの優先度を設定し、管理サーバへ通知する。これにより、管理サーバでは、通常バックアップモードの運転であるか、緊急バックアップモードの運転であるか、断水しているのかを一元管理でき、メンテナンスの優先順位を容易に判定できる。よって、効率的にメンテナンス要員を現場に割り当てることができ、円滑なメンテナンスを実現できる。
【0054】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、故障が発生したポンプ装置5自身が、通常バックアップモードまたは緊急バックアップモードへの移行、給水レベルの判定および優先度の設定を実行する場合を想定するが、第2の実施形態では管理サーバ1が上述の制御を実行する。
【0055】
第2の実施形態に係る管理サーバ1について図5のブロック図を参照して説明する。
第2の実施形態に係る管理サーバ1は、取得部11と、判定部12と、設定部13と、制御部14と、通知部15と、格納部16とを含む。取得部11と、判定部12と、設定部13と、制御部14と、通知部15とは、例えばプロセッサで実現され、格納部16は、例えばメモリで実現される。
【0056】
取得部11は、ポンプ装置5から運転情報を取得する。運転情報は、例えば、圧力センサおよび流量センサのセンサ値、運転周波数など、運転モードの種類、ポンプ装置5で取得可能な情報であればよい。また、取得部11は、ポンプ装置5から故障が発生したことを示す通知を取得する。
判定部12は、第1の実施形態に係るポンプ装置5の判定部582と同様に、ポンプ装置5から故障が発生したことを示す通知を取得した場合、運転情報に基づいて、当該ポンプ装置5の給水レベルを判定する。
【0057】
設定部13は、第1の実施形態に係るポンプ装置5の設定部584と同様に、給水レベルに基づいて優先度を設定する。
制御部14は、ポンプ装置5に対して運転モードの変更を制御する。
【0058】
通知部15は、ポンプ装置5の給水レベルおよび優先度などの情報を端末3に通知する。
格納部16は、ポンプ装置5から受信したポンプ情報、判定部12で判定した給水レベル、設定部13で設定した優先度、制御部14で変更した運転モードの情報などを対応付けて管理する。
【0059】
次に、第2の実施形態に係る管理サーバの第1の動作例について図6のシーケンス図を参照して説明する。
図6は、ポンプ装置5と管理サーバ1との間のデータのやりとりを示すシーケンス図である。
【0060】
ステップS601では、管理サーバ1の取得部11が、ポンプ装置5から運転情報を取得する。
ステップS602では、ポンプ装置5の検知部581が、故障を検知したと想定する。故障が検知された場合、故障が発生した箇所に関する情報を少なくとも含む、故障が発生したこと示す通知である故障情報が生成される。
【0061】
ステップS603では、管理サーバ1の取得部11が、故障情報および運転モード情報を取得する。
ステップS604では、管理サーバ1の判定部12が、運転情報、故障情報および運転モード情報に基づいて、第1の実施形態と同様に、給水レベルを判定する。
【0062】
ステップS605では、管理サーバ1の設定部13が、給水レベルに基づいて、第1の実施形態と同様に、メンテナンスの優先度を設定する。
ステップS606では、ポンプ装置5のIDと、給水レベルおよびメンテナンスの優先度との少なくともいずれか一方との情報を端末3に通知する。
【0063】
なお、ポンプ装置5ごとに緊急バックアップモードの有効化および無効化を設定できるようにしてもよい。例えば、管理サーバ1から、緊急バックアップモードへの運転を変更できるようにしてもよい。
【0064】
第2の実施形態に係る管理サーバの第2の動作例について図7のシーケンス図を参照して説明する。
図7は、図6と同様に、ポンプ装置5と管理サーバ1との間のデータのやりとりを示すシーケンス図である。ステップS601からステップS603までの処理は、図6と同様である。
【0065】
ステップS701では、ポンプ装置5から故障情報を取得した場合、ポンプ装置5の判定部12が、運転モードを緊急バックアップモードで運転可能であるか否かを判定する。ここでは、緊急バックアップモードでも運転可能であると判定する。
ステップS702では、管理サーバ1の制御部14が、運転モードの変更、すなわち緊急バックアップモードでの運転をポンプ装置5に指示する。
【0066】
ステップS703では、ポンプ装置5の制御部585が、運転モードを変更する。つまり、運転モードを緊急バックアップモードに変更する。なお、ポンプ装置5は、緊急バックアップモードで動作できた場合、管理サーバ1からの指示に対する確認応答を管理サーバ1に送信してもよい。
ステップS704では、管理サーバ1の通知部15が、ポンプ装置5に関する故障情報と緊急バックアップモードで運転している旨とを端末3に通知する。
【0067】
なお、管理サーバ1は、ポンプ装置5が緊急バックアップモードで稼働を開始してから一定期間経過した場合、メンテナンス要員を現場に派遣させる、メンテナンス割り当て制御を実行してもよい。
例えば、管理サーバ1の取得部11が、ポンプ装置5が緊急バックアップモードで稼働を開始したことを示す通知を取得した場合、管理サーバ1のタイマー(図示せず)が、緊急バックアップモードに変更されてからの稼動時間を計測する。稼動時間は、管理サーバ1が、ポンプ装置5が緊急バックアップモードで稼働している旨の運転モードの情報を受信した時点から計測すればよい。また、管理サーバ1側から緊急バックアップモードに運転モードを変更させる場合は、稼動時間は、図7のステップS702の指示を送信した時点から計測すればよい。または、ポンプ装置5から確認応答が返送された時点から稼動時間を計測してもよい。
【0068】
管理サーバ1の判定部12が、タイマーで計測された稼働時間が閾値以上であるか否かを判定し、稼動時間が閾値以上である場合、管理サーバ1の通知部15は、外部にポンプ装置5に関する情報を出力する。通知部15は、ポンプ装置5の緊急バックアップモードでの稼動時間が閾値を超えた旨を端末3に通知するのでもよいし、端末3の位置情報および/またはこれまでの担当エリアの情報から、ポンプ装置5のメンテナンスに向かうことが可能な端末3を選択しても通知してもよい。または、管理サーバ1の通知部15は、ポンプ装置5のメンテナンスにすぐに向かうことができるか否かの問い合わせを複数の端末3にブロードキャスト送信する。管理サーバ1は、端末3から、すぐにメンテナンスに向かうことができる旨の返信が送信された場合、当該端末3にメンテナンス業務を割り当てるようにしてもよい。
【0069】
なお、ポンプ装置5側で上述した緊急バックアップモードでの稼動時間を計測し、稼動時間が閾値を超えた場合に、ポンプ装置5から閾値を超えた旨の通知を管理サーバ1に送信してもよい。管理サーバ1では、稼動時間が閾値を超えた旨の通知を受信した場合、上述のように外部にポンプ装置5に関する情報を出力してもよいし、当該通知を送信したポンプ装置5のメンテナンスの優先度を「高」に設定してもよい。
また、緊急バックアップモードでの稼動時間に限らず、通常運転から通常バックアップモードに変更したときからの稼動時間、つまり第1給水レベルとなった時点からの稼動時間を計測してもよいし、給水不可となったときからの稼動時間、つまりを第3給水レベルとなったときからの稼動時間を計測してもよい。さらに、給水レベルごとに稼動時間に対する閾値を変えてもよい。例えば、第1給水レベルの稼動時間に対する閾値よりも、第3給水レベルの稼動時間に対する閾値を短くすればよい。これにより、管理サーバ1により、メンテナンスの優先度が高いほど、短期間でメンテナンス要員を派遣するように人員割り当てを実行できる。
【0070】
以上に示した第2の実施形態によれば、管理サーバ側で給水レベルおよびメンテナンスの優先度を判定することで、第1の実施形態と同様に円滑なメンテナンスを実現できる。また、ポンプ装置において給水レベルおよびメンテナンスの優先度を判定しなくてもよいため、ポンプ装置から運転情報および故障情報を管理サーバに送信できればよく、例えば判定処理を実行可能なCPUを搭載していないポンプ装置に対しても、同様にメンテナンスの優先度を管理できる。また、管理サーバから、緊急バックアップモードへの変更を指示することで、管理サーバ主導でメンテナンスのタイミングを管理できる。このように遠隔監視できるポンプ装置では、故障の発生などの異常時に管理サーバへ通知が行われる為、管理サーバ側で故障の状態を把握できる。よって、管理サーバからの遠隔操作により異常時に給水を延命でき、さらに緊急バックアップモードでも給水ができなくなったとしても、給水不可の状態を管理サーバ側で把握できるため、最優先でメンテナンスするようにメンテナンス要員を割り当てるなどすることで、断水時間を最短にすることができる。
【0071】
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD、Blu-ray(登録商標)Disc等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【0072】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0073】
1・・・管理サーバ、3・・・端末、5・・・ポンプ装置、11・・・取得部、12・・・判定部、13・・・設定部、14・・・制御部、15・・・通知部、16・・・格納部、50・・・制御盤、51・・・近距離通信器、52・・・遠距離通信器、53・・・入力機器、54・・・インバータ、55・・・インタフェース、56・・・表示機器、57・・・記憶装置、58・・・プロセッサ、60・・・ポンプ部、511・・・無線通信モジュール、581・・・検知部、582・・・判定部、583・・・通知部、584・・・設定部、585・・・制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7