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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011473
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】超音波位相制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/34 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
H04R1/34 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021134425
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】521365277
【氏名又は名称】望月 草馬
(72)【発明者】
【氏名】望月 草馬
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA01
5D019FF01
5D019GG04
(57)【要約】
【課題】容易且つ安価に製作可能な超音波位相制御装置を提供する。
【解決手段】 超音波位相制御装置は、複数の超音波振動子を備え、複数の超音波振動子を支持する位相制御板を備え、位相制御板は、複数の超音波振動子を支持する支持面に階段形状を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超音波振動子を備え、
前記複数の超音波振動子を支持する位相制御板を備え、
前記位相制御板は、前記複数の超音波振動子を支持する支持面に階段形状を有する、
超音波位相制御装置。
【請求項2】
複数の超音波振動子を備え、
前記複数の超音波振動子を支持する位相制御板を備え、
前記位相制御板は、前記複数の超音波振動子を支持する支持面に凹凸を有する、
超音波位相制御装置。
【請求項3】
前記支持面の凹部に接続された第1信号線を備え、
前記第1信号線は、第1位相で前記超音波振動子を振動させるための制御信号を前記超音波振動子に供給し、
前記支持面の凸部に接続された第2信号線を備え、
前記第2信号線は、前記第1位相とは異なる第2位相で前記超音波振動子を振動させるための制御信号を前記超音波振動子に供給する、
請求項2に記載の超音波位相制御装置。
【請求項4】
前記凹凸は、同心円状に形成され、
前記位相制御板は、前記超音波振動子の放射方向に対して直交する平面について、前記同心円上の中心とは異なる位置にある回転軸を基準として回転可能に構成される、
請求項2又は請求項3の何れかに記載の超音波位相制御装置。
【請求項5】
前記支持面の形状は、前記複数の超音波振動子から放射される超音波の位相制御パターンに応じて形成される、
請求項1~請求項3の何れかに記載の超音波位相制御装置。
【請求項6】
超音波の放射方向に沿った前記超音波振動子の位置は、前記支持面の形状によって決まる、
請求項1~請求項5の何れかに記載の超音波位相制御装置。
【請求項7】
超音波の放射方向に対して直交する方向に延在する固定部を備え、
前記固定部に一端が固定された弾性部材を備え、
前記弾性部材は、前記支持面の形状に応じて前記放射方向に沿った付勢力を前記超音波振動子に加える、
請求項1~請求項6の何れかに記載の超音波位相制御装置。
【請求項8】
前記弾性部材は、前記放射方向について、前記支持面の形状に応じた複数の超音波振動子の位置を変位させるように構成される、
請求項7に記載の超音波位相制御装置。
【請求項9】
前記固定部は、前記超音波の放射方向について、前記超音波振動子の底面の上方に位置する、
請求項7又は請求項8に記載の超音波位相制御装置。
【請求項10】
前記固定部は、前記超音波の放射方向について、前記超音波振動子の底面の下方に位置する、
請求項7又は請求項8に記載の超音波位相制御装置。
【請求項11】
前記位相制御板は、前記複数の超音波振動子の超音波の放射方向に対して直交する方向に沿って移動可能である、
請求項1~請求項10の何れかに記載の超音波位相制御装置。
【請求項12】
前記複数の超音波振動子は、前記複数の超音波振動子の超音波の放射方向に対して直交する方向に沿って移動可能である、
請求項1~請求項11の何れかに記載の超音波位相制御装置。
【請求項13】
前記位相制御板は、前記複数の超音波振動子に対して着脱可能に構成される、
請求項1~請求項12の何れかに記載の超音波位相制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波位相制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の超音波振動子から出力される超音波を焦点に集束させ、且つ、各超音波振動子の振動の位相を変化させることで焦点を3次元空間内で変化させる超音波集束装置の技術が知られている(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】星貴之、小型超音波集束装置の理論と実装、電気学会C部門 知覚情報技術委員会 触覚デバイスの高度化協同研究委員会 第1回研究会 資料、p.1-6、2013年2月27日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1の技術では、超音波集束装置の制御にFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いるため、製作に専門知識が必要であり、且つ、製作の費用が高い。
【0005】
つまり、従来、超音波の位相を制御する装置(以下「超音波位相制御装置」という)は容易且つ安価に製作することができない。
【0006】
本発明の目的は、容易且つ安価に製作可能な超音波位相制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
複数の超音波振動子を備え、
前記複数の超音波振動子を支持する位相制御板を備え、
前記位相制御板は、前記複数の超音波振動子を支持する支持面に階段形状を有する、
超音波位相制御装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の超音波位相制御装置の構成を示すブロック図である。
図2図1のコントローラの機能ブロック図である。
図3図1の超音波振動子アレイの拡大図である。
図4図3の超音波振動子アレイを1点鎖線AAで切断したときの断面図である。
図5図4の接続部(1点鎖線B)の拡大図である。
図6図3の支持面の拡大図である。
図7図3の位相制御板の移動前の様子の説明図である。
図8図7の位相制御板の移動前の図6の支持面の部分拡大図である。
図9図7の位相制御板の移動後の図6の支持面の部分拡大図である。
図10図3の複数の超音波振動子の移動の様子の説明図である。
図11】変形例2の概要の説明図である。
図12】変形例3の支持面の拡大図である。
図13図12の位相制御板の移動後の支持面の拡大図である。
図14】変形例4の接続部(1点鎖線B)の拡大図である。
図15】変形例5の位相制御板をZ+方向から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
本実施形態において、各用語の定義は以下のとおりである。
・「放射方向」とは、超音波の伝搬方向である。
・「Z軸」とは、放射方向に沿った軸である。
・「X軸」とは、Z軸に直交する軸である。
・「Y軸」とは、X軸及びZ軸に直交する軸である。
・「超音波」とは、約20kHz以上の振動波、又は、人間にとっての非可聴な音波である。
【0011】
(1)超音波位相制御装置の構成
超音波位相制御装置の構成を説明する。図1は、本実施形態の超音波位相制御装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、超音波位相制御装置1は、コントローラ10と、超音波振動子アレイ20とを備える。
【0013】
コントローラ10は、超音波振動子アレイ20を制御するための制御信号を生成するコンピュータである。
【0014】
超音波振動子アレイ20は、コントローラ10によって生成された制御信号に応じて超音波を出力するように構成される。超音波振動子アレイ20は、複数の超音波振動子21を備える。
【0015】
各超音波振動子21は、制御信号に応じて振動することにより、振動に応じた超音波を発生させる。
【0016】
(1-1)コントローラの構成
コントローラ10の構成を説明する。図2は、図1のコントローラの機能ブロック図である。
【0017】
図2に示すように、コントローラ10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。
【0018】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0019】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・超音波振動子を振動させるための制御プログラム
【0020】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0021】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、コントローラ10の機能を実現するように構成される。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
【0022】
入出力インタフェース13は、コントローラ10に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、コントローラ10に接続される出力デバイスに情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0023】
通信インタフェース14は、コントローラ10と超音波振動子アレイ20との間の通信を制御するように構成される。
【0024】
(1-2)超音波振動子アレイの構成
超音波振動子アレイ20の構成を説明する。図3は、図1の超音波振動子アレイの拡大図である。図4は、図3の超音波振動子アレイを1点鎖線AAで切断したときの断面図である。
図3Aは、超音波振動子アレイの斜視図である。図3Bは、超音波振動子アレイをZ+方向から見た上面図である。
【0025】
図3図5に示すように、超音波振動子アレイ20は、接続部22と、固定部23と、位相制御板25と、を備える。
【0026】
図3に示すように、位相制御板25は、複数の超音波振動子21を支持する支持面25aを有する。
【0027】
図4に示すように、接続部22は、超音波振動子21と接続される。接続部22が支持面25aと接触することにより、超音波振動子21が位相制御板25によって支持される。
【0028】
図3Bに示すように、固定部23は、X軸及びY軸に沿って延在する。固定部23は、隣接する2つの超音波振動子21同士を接続する。これにより、隣接する2つの超音波振動子21の間隔が固定される。
【0029】
(1-3)接続部の構成
接続部22の構成を説明する。図5は、図4の接続部(1点鎖線B)の拡大図である。
【0030】
図5に示すように、接続部22は、第1支持部220と、一対の第2支持部221と、接点222と、一対の弾性部材223と、を備える。
固定部23は、Z方向について、超音波振動子21の底面(Z-側の面)の上方(Z+側)に位置する。
【0031】
第1支持部220は、超音波振動子21のZ-側の面(以下「下面」という)を支持する。
【0032】
各第2支持部221は、超音波振動子21の下面及び弾性部材223のZ-側の端部(以下「下端」という)を支持する。各第2支持部221は、第1支持部220に対して、X+側及びX-側に配置される。
【0033】
接点222は、第1支持部220の下端と支持面25aとの間に配置される。
【0034】
各弾性部材223は、第2支持部221及び固定部23に接続される。各弾性部材223の下端は、第2支持部221に接続される。各弾性部材223のZ+側の端部(以下「上端」という)は、固定部23の下面に接続される。各弾性部材223の上端は、固定端である。つまり、固定部23は、各弾性部材223の固定端のZ軸上の位置を固定する。
各弾性部材223は、第2支持部221を介して、各超音波振動子21に対して、Z軸(つまり、放射方向)に沿った付勢力を加えるように構成される。付勢力は、支持面25aの形状に応じて決まる。これにより、支持面25aに形状に応じて超音波振動子21のZ軸上の位置が可変になる。
弾性部材223は、例えば、バネである。
【0035】
第1支持部220、第2支持部221、接点222、一対の弾性部材223、及び、固定部23は、導電性を有する。これにより、第1支持部220、第2支持部221、接点222、一対の弾性部材223、及び、固定部23は、各超音波振動子21に対して信号及び電力を共有する回路(以下「制御回路」という)を形成する。
【0036】
(1-4)支持面の構成
支持面25aの構成を説明する。図6は、図3の支持面の拡大図である。
【0037】
図6に示すように、支持面25aは、階段形状(「ノコギリ刃形状」ともいう)25aaを有する。
階段形状25aaは、超音波の位相制御パターン(例えば、超音波振動子アレイ20に対する焦点の相対位置、又は、超音波ビームの直進方向)に応じて形成される。階段形状25aaは、位相制御パターンを入力値とするコンピュータシミュレーションによって計算される。
この階段形状25aaによって、各接点222のZ軸上の位置が決まる。各接点222のZ軸上の位置が決まると、各超音波振動子21a~21eのZ軸上の位置も決まる。つまり、超音波振動子21a~21eのZ軸上の位置は、支持面の形状(つまり、階段形状25aa)によって決まる。
【0038】
支持面25aは、導電性材料で形成される。これにより、コントローラ10によって生成された制御信号及び電力が制御回路を介して、複数の超音波振動子21a~21eに供給される。導電性材料は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・導電性テープ
・導電性塗料
・金属(例えば、アルミホイル)
・導電性フィラメント
【0039】
支持面25aの内部には、複数の信号線251が配置される。各信号線251は、コントローラ10によって生成された制御信号を超音波振動子21に供給するように構成される。
【0040】
(2)位相制御例
本実施形態の位相制御例を説明する。図7は、図3の位相制御板の移動前の様子の説明図である。図8は、図7の位相制御板の移動前の図6の支持面の部分拡大図である。図9は、図7の位相制御板の移動後の図6の支持面の部分拡大図である。
【0041】
位相制御板25は、手動又は制御(一例として、プロセッサ12による制御)によって、X方向に移動可能である。
図7に示すように、位相制御板25をX+方向に移動させると、各接続部22(不図示)は、支持面25aの形状に沿った付勢力を各超音波振動子21に加える。これにより、各超音波振動子21のZ軸上の位置が変位する。
【0042】
図9に示すように、例えば、各超音波振動子21のZ軸上の位置は以下のとおり変位する。
・超音波振動子21aの位置は、変位しない。
・超音波振動子21bの位置は、Z-方向に変位する。
・超音波振動子21cの位置は、Z-方向に変位する。
【0043】
この場合、各超音波振動子21から放射される超音波は、空間上の焦点で集束する集束超音波である。焦点の位置は、各超音波の位相(つまり、支持面25aの形状)によって決まる。
【0044】
位相制御例をスピーカに適用した場合には、焦点でのみ可聴な音を再生することができる。
位相制御例を触覚提示装置に適用した場合には、焦点に触覚を提示することができる。
【0045】
(3)本実施形態の小括
本実施形態によれば、位相制御板25の支持面25aが、階段形状を有する。したがって、位相制御板25と複数の超音波振動子21の相対位置を変えるだけで、複数の超音波振動子21のZ方向についての位置が変位する。複数の超音波振動子21から放射される超音波の位相は、当該位置によって決まる。したがって、当該相対位置を変えるだけで、超音波の位相が制御可能になる。これにより、超音波位相制御装置1を容易に製造することができる。
【0046】
(4)変形例
本実施形態の変形例を説明する。
【0047】
(4-1)変形例1
変形例1を説明する。変形例1は、複数の超音波振動子21を移動させることにより、位相を制御する例である。
【0048】
(4-1-1)変形例1の位相制御例
変形例1の位相制御例を説明する。図10は、図3の複数の超音波振動子の移動の様子の説明図である。
【0049】
複数の超音波振動子21は、手動又は制御(一例として、プロセッサ12による制御)によって、X方向に移動可能である。図10に示すように、例えば、複数の超音波振動子21をX+方向に移動させると、各接続部22(不図示)は、支持面25aの形状に沿った付勢力を各超音波振動子21に加える。これにより、各超音波振動子21のZ軸上の位置が変位する。
【0050】
(4-1-2)変形例1の小括
変形例1によれば、位相制御板25に代えて、複数の超音波振動子21を移動させることにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(4-2)変形例2
変形例2を説明する。変形例2は、位相制御板25が交換可能に構成される例である。
【0052】
(4-2-1)変形例2の概要
変形例2の概要を説明する。図11は、変形例2の概要の説明図である。
【0053】
変形例2の位相制御板25は、複数の超音波振動子21に対して、着脱可能に構成される。
例えば、図11に示すように、位相制御板25-1を複数の超音波振動子21から取り外し、且つ、位相制御板25-2を複数の超音波振動子21に取り付け可能である。位相制御板25-1の支持面25aの形状は、位相制御板25-2の支持面25aの形状とは異なる。
【0054】
(4-2-2)変形例2の小括
変形例2によれば、位相制御板25-1が複数の超音波振動子21に取り付けられているときに位相制御板25-1を移動させた場合の超音波の位相と、位相制御板25-2が複数の超音波振動子21に取り付けられているときに位相制御板25-2を移動させた場合の位相とが異なる。これにより、位相制御板25を交換するだけで、所望の位相を有する超音波を放射させることができる。
【0055】
(4-3)変形例3
変形例3を説明する。変形例3は、支持面25aが、支持面25aの特定の位置で互いに隣接する2つの超音波振動子21から放射される超音波が逆位相を有するように、支持面25aの導電性の配置パターンにより制御回路を設計する例である。
【0056】
(4-3-1)変形例3の支持面の構成
変形例3の支持面25aの構成を説明する。図12は、変形例3の支持面の拡大図である。
【0057】
図12に示すように、支持面25aは、凹凸を有する。
この凹凸は、超音波の位相制御パターンに応じて形成される。凹凸の形状は、位相制御パターンを入力値とするコンピュータシミュレーションによって計算される。
この凹凸によって、各接点222のZ軸上の位置が決まる。各接点222のZ軸上の位置が決まると、各超音波振動子21a~21eのZ軸上の位置も決まる。つまり、超音波振動子21a~21eのZ軸上の位置は、支持面25aの形状(つまり、凹凸)によって決まる。
【0058】
支持面25aの内部には、複数の信号線(例えば、第1信号線251及び第2信号線252)が配置される。各第1信号線251及び各第2信号線252は、コントローラ10によって生成された制御信号を超音波振動子21に供給するように構成される。
【0059】
第1信号線251は、第1制御信号を超音波振動子21に供給する。第1制御信号は、第1位相で超音波振動子21を振動させるための信号である。
第1信号線251には、超音波振動子21a、21c、及び、21eが接続される。
【0060】
第2信号線252は、第2制御信号を超音波振動子21に供給する。第2制御信号は、第1位相とは異なる第2位相で超音波振動子21を振動させるための信号である。
第2信号線252には、超音波振動子21b及び21dが接続される。
【0061】
(4-3-2)変形例3の位相制御例
変形例3の位相制御例を説明する。図13は、図12の位相制御板の移動後の支持面の拡大図である。
【0062】
位相制御板25は、手動又は制御(一例として、プロセッサ12による制御)によって、X方向に移動可能である。
図7に示すように、位相制御板25をX+方向に移動させると、各接続部22(不図示)は、支持面25aの凹凸に沿った付勢力を各超音波振動子21に加える。これにより、各超音波振動子21のZ軸上の位置が変位する。
【0063】
図13に示すように、例えば、各超音波振動子21のZ軸上の位置は以下のとおり変位する。
・超音波振動子21aの位置は、Z-方向に変位する。
・超音波振動子21bの位置は、Z+方向に変位する。
・超音波振動子21cの位置は、変位しない。
・超音波振動子21dの位置は、Z-方向に変位する。
・超音波振動子21eの位置は、Z+方向に変位する。
【0064】
第1信号線251には、超音波振動子21b及び21dが接続される。つまり、超音波振動子21b及び21dが接続される信号線は、位相制御板25の移動によって、第2信号線252から第1信号線251に変わる。
第2信号線252には、超音波振動子21a、21c、及び、21eが接続される。つまり、超音波振動子21a、21c、及び、21eが接続される信号線は、位相制御板25の移動によって、第1信号線251から第2信号線252に変わる。
【0065】
この場合、各超音波振動子21から放射される超音波は、空間上の焦点で集束する集束超音波である。焦点の位置は、各超音波の位相(つまり、支持面25aの凹凸)によって決まる。
【0066】
(4-3-3)変形例3の小括
変形例3によれば、位相制御板25を移動させることにより、各超音波振動子21に接続される信号線(つまり、各超音波振動子21に供給される制御信号)を変化させ、且つ、各超音波振動子21のZ方向の位置を変位させる。各超音波振動子21から放射される位相は、各超音波振動子21に供給される制御信号は、各超音波振動子21に接続される信号線、及び、凹凸によって決まる。これにより、階段形状と比べて、位相制御板25の凹部と凸部の差を最小化することができる。その結果、階段形状(図6)と比べて、超音波振動子アレイ20のZ方向のサイズ及び超音波振動子21のZ軸上の移動幅を低減することができる。
【0067】
(4-4)変形例4
変形例4を説明する。変形例4は、接続部22の構成に関する変形例である。
【0068】
(4-4-1)変形例4の接続部の構成
変形例4の接続部22の構成を説明する。図14は、変形例4の接続部(1点鎖線B)の拡大図である。
【0069】
図14に示すように、接続部22は、第1支持部220と、接点222と、弾性部材223と、を備える。第2支持部221(図5)は省略される。
固定部23は、Z方向について、超音波振動子21の底面(Z-側の面)の下方(Z-側)に位置する。
【0070】
第1支持部220、及び、接点222は、図5と同様である。
【0071】
弾性部材223は、超音波振動子21及び固定部23に接続される。弾性部材223の下端は、固定部23に接続される。弾性部材223の上端は、超音波振動子21の下面に接続される。弾性部材223の下端は、固定端である。つまり、固定部23は、各弾性部材223の固定端のZ軸上の位置を固定する。
弾性部材223は、超音波振動子21に対して、Z軸(つまり、放射方向)に沿った付勢力を加えるように構成される。付勢力は、支持面25aの形状に応じて決まる。これにより、支持面25aに形状に応じて超音波振動子21のZ軸上の位置が可変になる。
弾性部材223は、例えば、バネである。
【0072】
(4-4-2)変形例4の小括
変形例4によれば、一対の第2支持部221を省略した場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(4-5)変形例5
変形例5を説明する。変形例5は、位相制御板25をXY方向に移動可能に構成する代わりに、回転可能に構成する例である。
【0074】
(4-5-1)変形例5の位相制御板の構成
変形例5の位相制御板の構成を説明する。図15は、変形例5の位相制御板をZ+方向から見た図である。
【0075】
図15に示すように、支持面25aは、同心円状に形成された凹部25ab及び凸部25acを備える。
位相制御板25は、回転軸Xを基準として、XY平面において回転可能に構成される。XY平面について、回転軸Xは、同心円の中心Cとは異なる。つまり、回転軸XのX座標及びY座標の少なくとも1つは、中心CのX座標及びY座標の少なくとも1つとは異なる。
【0076】
各超音波振動子21は、凹部25ab又は凸部acに位置する。
【0077】
(4-5-2)変形例5の小括
変形例5によれば、位相制御板25が回転軸Xを基準として回転すると、凹部25abに位置していた超音波振動子21は、凸部25acに移動し、且つ、凸部25acに位置していた超音波振動子21は、凹部25abに移動する。その結果、各超音波振動子21のZ方向の位置及び各超音波振動子21に供給される制御信号が変化する。つまり、位相制御板25を回転させるだけで、位相を制御することができる。これにより、位相の制御を容易に継続させることができる。
【0078】
(5)その他の変形例
その他の変形例を説明する。
【0079】
上述の説明では、位相制御板25又は複数の超音波振動子21をX方向に移動させる例を示したが、本実施形態の範囲はこれに限られない。本実施形態は、以下の何れかの例にも適用可能である。
・位相制御板25又は複数の超音波振動子21をY方向に移動させる例
・位相制御板25又は複数の超音波振動子21をX方向及びY方向に移動させる例
【0080】
上述の説明では、位相制御板25又は複数の超音波振動子21を移動可能に構成する例を示したが、本実施形態の範囲はこれに限られない。本実施形態は、位相制御板25及び超音波振動子21の両方を移動可能に構成する例にも適用可能である。
【0081】
上述の説明では、集束超音波を放射させるための凹凸を有する支持面25aの例を示したが、本実施形態の範囲はこれに限られない。本実施形態は、超音波ビームを放射させるための凹凸を有する支持面25aにも適用可能である。
【0082】
上述の説明では、位相制御板25が矩形形状である例を示したが、本実施形態は、これに限られない。本実施形態は、位相制御板25が矩形以外の形状(例えば、円形状)である例にも適用可能である。
【0083】
上述の説明では、第1支持部220、第2支持部221、接点222、一対の弾性部材223、及び、固定部23が制御回路を形成する例を示したが、本実施形態は、これに限られない。本実施形態は、第2支持部221、一対の弾性部材223、及び、固定部23が制御回路を形成する例にも適用可能である。この場合、支持面25a、第1支持部220、及び、接点222に導電性は不要である。
【0084】
上述の説明では、超音波の位相制御の例を示したが、本実施形態は、これに限られない。本実施形態は、可聴音波の位相を制御する例(つまり、音波位相制御装置)にも適用可能である。
【0085】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 :超音波位相制御装置
10 :コントローラ
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
20 :超音波振動子アレイ
21 :超音波振動子
22 :接続部
23 :固定部
25 :位相制御板
25a :支持面
251 :第1信号線
252 :第2信号線
220 :第1支持部
221 :第2支持部
222 :接点
223 :弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図15