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特開2023-114750型枠板付立体溶接鉄筋製造装置、および型枠板付立体溶接鉄筋の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114750
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】型枠板付立体溶接鉄筋製造装置、および型枠板付立体溶接鉄筋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/14 20060101AFI20230810BHJP
   B23K 37/04 20060101ALI20230810BHJP
   E04B 5/40 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B23K11/14 103
B23K37/04 F
B23K37/04 J
E04B5/40 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017239
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】593085381
【氏名又は名称】株式会社浪速電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】598159333
【氏名又は名称】伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆
(57)【要約】
【課題】従来よりも鈍で且つ波打ちしにくい端辺部を有する型枠板の付いた立体溶接鉄筋を自動的に製造する装置、および製法を提供すること。
【解決手段】型枠板付立体溶接鉄筋製造装置は曲げ加工装置80を備える。曲げ加工装置80は、型枠板130などを引っ張って移動させる引張装置82と、型枠板130の端辺部130aを内側へ曲げる成形ローラ91、92を具備してなるフォーミング装置81とを有する。引張装置82による引張移動と、成形ローラ91、92の回転とが同期するように構成され、スペーサ溶接装置70による吊りスペーサ150の溶接固定と、フォーミング装置81による端辺部130aの曲げ加工とが交互になされる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体溶接鉄筋を供給する立体溶接鉄筋供給装置と、
前記立体溶接鉄筋供給装置から供給される前記立体溶接鉄筋の下面側に型枠板を供給する型枠板供給装置と、
前記立体溶接鉄筋の所定位置にU字形状の吊りスペーサを供給するスペーサ供給装置と、
前記スペーサ供給装置から供給される前記吊りスペーサを受け取り、前記立体溶接鉄筋の所定位置の鉄筋を跨いで前記吊りスペーサの足部を前記型枠板供給装置から供給される前記型枠板の上面に溶接固定するスペーサ溶接装置と、
を備える型枠板付立体溶接鉄筋製造装置において、
前記スペーサ溶接装置の下工程側に設置される曲げ加工装置を備え、
前記曲げ加工装置は、
複数の前記吊りスペーサのうちの少なくとも1つが上面に溶接固定された前記型枠板と、前記立体溶接鉄筋とを、前記下工程側の方向へ一体的に同時に引っ張って移動させる引張装置と、
前記型枠板の前記方向に沿う端辺部を内側へ曲げる成形ローラを具備してなるフォーミング装置と、
を有し、
前記引張装置による引張移動と、前記成形ローラの回転とが同期するように構成されており、
前記スペーサ溶接装置による前記型枠板の上面への前記吊りスペーサの溶接固定と、前記フォーミング装置による前記端辺部の曲げ加工とが交互になされることを特徴とする型枠板付立体溶接鉄筋製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の型枠板付立体溶接鉄筋製造装置において、
前記引張装置による引張移動の駆動手段として、前記引張装置が引張用サーボモータを有し、
前記成形ローラの回転駆動手段として、前記フォーミング装置がローラ用サーボモータを有することを特徴とする型枠板付立体溶接鉄筋製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の型枠板付立体溶接鉄筋製造装置において、
前記フォーミング装置は、前記成形ローラを有する一対の右成形ユニットおよび左成形ユニットを備え、
前記右成形ユニットおよび前記左成形ユニットのそれぞれに、それぞれの前記成形ローラを回転させる前記ローラ用サーボモータが取り付けられていることを特徴とする型枠板付立体溶接鉄筋製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の型枠板付立体溶接鉄筋製造装置において、
前記右成形ユニットおよび前記左成形ユニットのうちのいずれか一方が、相互に対向する方向へ移動可能とされていることを特徴とする型枠板付立体溶接鉄筋製造装置。
【請求項5】
立体溶接鉄筋を供給する立体溶接鉄筋供給工程と、
前記立体溶接鉄筋供給工程から供給される前記立体溶接鉄筋の下面側に型枠板を供給する型枠板供給工程と、
前記立体溶接鉄筋の所定位置にU字形状の吊りスペーサを供給するスペーサ供給工程と、
前記スペーサ供給工程から供給される前記吊りスペーサを受け取り、前記立体溶接鉄筋の所定位置の鉄筋を跨いで前記吊りスペーサの足部を前記型枠板供給工程から供給される前記型枠板の上面に溶接固定するスペーサ溶接工程と、
を備える型枠板付立体溶接鉄筋の製造方法において、
複数の前記吊りスペーサのうちの少なくとも1つが上面に溶接固定された前記型枠板と、前記立体溶接鉄筋とを、下工程側の方向へ一体的に同時に引っ張って移動させつつ、前記型枠板の前記方向に沿う端辺部を成形ローラで内側へ曲げるフォーミング工程をさらに備え、
前記引っ張って移動させる引張移動と前記成形ローラの回転とを同期させて前記フォーミング工程を行い、且つ、前記スペーサ溶接工程と前記フォーミング工程とを交互に行うことを特徴とする型枠板付立体溶接鉄筋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリートの床や壁などに用いられる型枠板付立体溶接鉄筋を自動的に製造する型枠板付立体溶接鉄筋製造装置、および型枠板付立体溶接鉄筋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の型枠付立体溶接鉄筋製造装置は、立体溶接鉄筋を供給する立体溶接鉄筋供給装置と、立体溶接鉄筋供給装置から供給される立体溶接鉄筋の下面側に型枠を供給する型枠供給装置と、立体溶接鉄筋の所定位置に、U字形状の両端部に型枠の上面に沿わせる足部を形成した吊りスペーサを供給するスペーサ供給装置と、スペーサ供給装置から供給される吊りスペーサを受取り、立体溶接鉄筋の所定位置の鉄筋を跨いで吊りスペーサの両端部の足部を型枠供給装置から供給される型枠の上面に抵抗溶接するスペーサ溶接装置とを備えた型枠付立体溶接鉄筋製造装置において、上記スペーサ供給装置にて、吊りスペーサの両端部の足部に、下方へ突出する突出部を形成するようにしたことを特徴とする。
【0003】
上記構成の型枠付立体溶接鉄筋製造装置によると、吊りスペーサの両端部の足部に、下方へ突出する突出部を形成することで、抵抗溶接の電極間の溶接電流が足部の突出部に集中するようになり、その結果、吊りスペーサの両端の足部が、確実に型枠に溶接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-131813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の上記型枠付立体溶接鉄筋製造装置には、次の解決すべき課題がある。
型枠付立体溶接鉄筋を構成する型枠は、通常、薄い厚さの板状体であり、その端辺部は鋭利で且つ波打ちし易い。そのため、コンクリートの打設を行う現場の作業者は、型枠で負傷しないように、その取扱いに気を使う。また、現場作業は、高所作業になることも多く、高所作業の場合は、鋭利で且つ波打ちし易い型枠が付いた立体溶接鉄筋の取扱いを、作業者はより慎重に行わなければならない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来よりも鈍で且つ波打ちしにくい端辺部を有する型枠板の付いた立体溶接鉄筋を自動的に製造する装置、および製法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る型枠板付立体溶接鉄筋製造装置は、立体溶接鉄筋を供給する立体溶接鉄筋供給装置と、前記立体溶接鉄筋供給装置から供給される前記立体溶接鉄筋の下面側に型枠板を供給する型枠板供給装置と、前記立体溶接鉄筋の所定位置にU字形状の吊りスペーサを供給するスペーサ供給装置と、前記スペーサ供給装置から供給される前記吊りスペーサを受け取り、前記立体溶接鉄筋の所定位置の鉄筋を跨いで前記吊りスペーサの足部を前記型枠板供給装置から供給される前記型枠板の上面に溶接固定するスペーサ溶接装置と、を備える型枠板付立体溶接鉄筋製造装置において、前記スペーサ溶接装置の下工程側に設置される曲げ加工装置を備える。前記曲げ加工装置は、複数の前記吊りスペーサのうちの少なくとも1つが上面に溶接固定された前記型枠板と、前記立体溶接鉄筋とを、前記下工程側の方向へ一体的に同時に引っ張って移動させる引張装置と、前記型枠板の前記方向に沿う端辺部を内側へ曲げる成形ローラを具備してなるフォーミング装置と、を有し、前記引張装置による引張移動と、前記成形ローラの回転とが同期するように構成されており、前記スペーサ溶接装置による前記型枠板の上面への前記吊りスペーサの溶接固定と、前記フォーミング装置による前記端辺部の曲げ加工とが交互になされる。
【0008】
また、本発明に係る型枠板付立体溶接鉄筋の製造方法は、立体溶接鉄筋を供給する立体溶接鉄筋供給工程と、前記立体溶接鉄筋供給工程から供給される前記立体溶接鉄筋の下面側に型枠板を供給する型枠板供給工程と、前記立体溶接鉄筋の所定位置にU字形状の吊りスペーサを供給するスペーサ供給工程と、前記スペーサ供給工程から供給される前記吊りスペーサを受け取り、前記立体溶接鉄筋の所定位置の鉄筋を跨いで前記吊りスペーサの足部を前記型枠板供給工程から供給される前記型枠板の上面に溶接固定するスペーサ溶接工程と、を備える型枠板付立体溶接鉄筋の製造方法において、複数の前記吊りスペーサのうちの少なくとも1つが上面に溶接固定された前記型枠板と、前記立体溶接鉄筋とを、下工程側の方向へ一体的に同時に引っ張って移動させつつ、前記型枠板の前記方向に沿う端辺部を成形ローラで内側へ曲げるフォーミング工程をさらに備える。前記引っ張って移動させる引張移動と前記成形ローラの回転とを同期させて前記フォーミング工程を行い、且つ、前記スペーサ溶接工程と前記フォーミング工程とを交互に行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも鈍で且つ波打ちしにくい端辺部を有する型枠板の付いた立体溶接鉄筋を自動的に製造する装置、および製法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る型枠板付立体溶接鉄筋製造装置の概略の斜視図である。
図2図1に示す立体溶接鉄筋供給装置を構成する立体溶接部の側面図である。
図3図3(a)は、図1に示す型枠板供給装置の平面図であり、図3(b)は、型枠板供給装置の側面図である。
図4】吊りスペーサの正面図である。
図5図1に示すスペーサ溶接装置の斜視図である。
図6図5に示すスペーサ溶接装置の作動を説明する斜視図である。
図7図5のスペーサ溶接装置で吊りスペーサの足部を型枠板に溶接する状態を示す正面図である。
図8図1に示す曲げ加工装置の平面図である。
図9図8に示すフォーミング装置の平面図である。
図10図9のA-A矢視図である。
図11図9のB-B矢視図である。
図12図11のX断面、Y断面、およびZ断面を示す図である。
図13】型枠板付立体溶接鉄の斜視図である。
図14図14(a)は、図13に示す型枠板付立体溶接鉄筋の一部を拡大して示す側面図であり、図14(b)は、型枠板付立体溶接鉄筋にコンクリートを打設する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
型枠板付立体溶接鉄筋製造装置を説明する前に、当該製造装置を用いて自動的に製造される型枠板付立体溶接鉄100について説明する。
【0013】
図13、および図14(a)に示すように、型枠板付立体溶接鉄100は、立体溶接鉄筋101の下面側にコンクリート打設用の型枠板130を複数の吊りスペーサ150で吊り下げたものである。なお、立体溶接鉄筋101は、ジグザグ状に折り曲げられたラティス筋102の上下に上筋103と下筋104とを溶接してなる所定長さのトラス105を所定列数だけ並列に配列し、これらの配列されたトラス105の上下部の内側へ直角方向に差し込まれた複数の横筋106を溶接して、版状の立体的な溶接鉄筋構造としたものである。
【0014】
図4に示すように、吊りスペーサ150はU字形状である。この吊りスペーサ150は、下筋104、下側の横筋106、およびラティス筋102の下側の折り曲げ部を跨いだ状態で、両端の足部150aが型枠板130の上面に溶接される。これにより、型枠板130は、吊りスペーサ150によって、立体溶接鉄筋101の版面と平行に吊り下げられる。
【0015】
上記型枠板130上にコンクリート200を打設する際は、図14(b)に示すように、立体溶接鉄筋101と吊り下げられた型枠板130との間に吊りスペーサ150の寸法に応じた高さHのスペースが形成され、コンクリート200が打設される。通常、コンクリート200は立体溶接鉄筋101の上端から下側のスペースと同じ高さHまで打設される。なお、吊りスペーサ150は、打設されるコンクリート200の重量を均等に分散させて支えるために、立体溶接鉄筋101の下側の全ての格子点に取り付けられることが多い。このような型枠板付立体溶接鉄筋100を用いることにより、建築現場での面倒な型枠工事や配筋工事を不要とすることができ、建築工程を大幅に短縮することができる。
【0016】
上記型枠板付立体溶接鉄筋100を製造するための、本発明の一実施形態に係る型枠板付立体溶接鉄筋製造装置について説明する。
図1に示すように、型枠板付立体溶接鉄筋製造装置は、立体溶接鉄筋101を供給する立体溶接鉄筋供給装置1と、立体溶接鉄筋供給装置1から供給される立体溶接鉄筋101の下面側に型枠板130を供給する型枠板供給装置30と、立体溶接鉄筋101の所定位置にU字形状の吊りスペーサ150を供給するスペーサ供給装置50と、スペーサ供給装置50から供給される吊りスペーサ150を受け取り、立体溶接鉄筋101の所定位置の鉄筋を跨いで吊りスペーサ150の足部150aを型枠板供給装置30から供給される型枠板130の上面に溶接固定するスペーサ溶接装置70と、スペーサ溶接装置70の下工程側に設置される曲げ加工装置80とを備えており、図13に示した型枠板付立体溶接鉄100を自動的に製造する。
【0017】
立体溶接鉄筋供給装置1は、ラティス筋102の上下に上筋103と下筋104を溶接した所定長さのトラス105を製造するトラス製造部2と、製造されたトラス105を所定列数だけ並列に配列して供給するトラス配列部10と、配列されて供給されるトラス105の上下内側に直角方向に差し込むように上下の横筋106を供給する横筋供給部16と、差し込まれた上下の横筋106をトラス105に溶接する立体溶接部20とから構成される。
【0018】
トラス製造部2は、コイラ3aから繰り出されるラティス筋102を直線機4aで真直に伸ばしたのち、折り曲げ機5でジグザグ状に折り曲げるとともに、コイラ3b、3cから繰り出される上筋103と下筋104をそれぞれ直線機4b、4cで真直に伸ばしたのち、溶接機6でラティス筋102を上筋103と下筋104に溶接してトラス105を製造し、製造されたトラス105を切断機7で所定長さに切断する。
【0019】
トラス配列部10は、製造された所定長さのトラス105を貯留部11に貯留し、貯留されたトラス105を1本ずつ横行台車12でテーブル13上に送り出す。テーブル13上に横方向から送り出されたトラス105は、ガイド14によって所定列数だけ一定間隔で並列に配列されたのち、ピンチローラ15によって前方の立体溶接部20に送り出される。
【0020】
横筋供給部16は、2つのコイラ(不図示)からそれぞれ繰り出される上下の横筋106を直線機(不図示)で真直に伸ばしたのち、切断機(不図示)で所定長さに切断して、立体溶接部20に送り込まれる配列されたトラス105の上下内側へ直角方向に差し込む。これらの横筋106の差し込みは、送給される配列されたトラス105の先端側から、後述する立体溶接部20での溶接タイミングに合わせて行われる。
【0021】
立体溶接部20は、送り込まれる配列されたトラス105を跨ぐ門型のフレーム21を有し、図2に示すように、トラス105を上下に挟むようにフレーム21に架設された横梁22a、22bに、それぞれ溶接機23a、23bがトラス105の配列数だけ並べて固設されている。各溶接機23a、23bは一対の電極24a、24bを有する抵抗溶接機であり、溶接機23aは上側の横筋106を、溶接機23bは下側の横筋106を溶接する。各電極24a、24bは昇降可能とされており、送給される配列されたトラス105の先端側からラティス筋102の折り曲げ部と上側または下側の横筋106を挟んで抵抗溶接する。配列されたトラス105の送給に伴って、後端側まで上下の横筋106が溶接されると、1つの立体溶接鉄筋101の製造が完了する。
【0022】
図1に示すように、立体溶接鉄筋供給装置1で製造された立体溶接鉄筋101は、ローラテーブル25によってスペーサ溶接装置70に送り込まれる(立体溶接鉄筋供給工程)。このとき、送り込まれる立体溶接鉄筋101の下側には、後述する型枠板供給装置30から型枠板130が供給される(型枠板供給工程)。
【0023】
図3(a)、(b)に示すように、型枠板供給装置30は、2つのコイラ31a、31bから平行に繰り出される型枠板材131a、131bを、ガイドローラ32a、32bで案内して、中央部が幅Lだけ重なるように型枠板溶接機33で溶接し、この溶接で1枚の所定の板幅Wとされた型枠板130を、ピンチローラ34で立体溶接鉄筋101の下側へ送り込みながら、切断機35で所定長さに切断する。各コイラ31a、31bは軸方向に移動可能とされており、型枠板130の板幅Wに応じて、重なり代の幅Lが調整される。
【0024】
スペーサ供給装置50の詳細説明は割愛する。スペーサ供給装置50の詳細については、特開2014-131813号公報の該当箇所を必要に応じて参照されたい。
【0025】
図1に示すように、スペーサ溶接装置70は、送り込まれる立体溶接鉄筋101と型枠板130を跨ぐ門型のフレーム71を有し、この門型のフレーム71に複数の溶接機72が並べて固設されている。各溶接機72は、スペーサ供給装置50によって立体溶接鉄筋101の所定位置に供給(スペーサ供給工程)された吊りスペーサ150の両端の足部150aを同時に抵抗溶接(スペーサ溶接工程)するものである。
【0026】
図5に示すように、上記溶接機72は、吊りスペーサ150のそれぞれの足部150aに上方から押圧される一対の電極73a、73bを有する。一方の電極73aは、横移動および昇降可能とされ、吊りスペーサ150を保持するスペーサ保持部74が設けられており、スペーサ保持部74に保持した吊りスペーサ150を所定位置にセットする。電極73aには押圧用の補強軸75も設けられている。他方の電極73bは、昇降のみが可能とされている。
【0027】
図6に示すように、上記一方の電極73aは、矢印Cで示すように立体溶接鉄筋101の上方から所定位置まで下降して、矢印Dで示すように、スペーサ保持部74に保持した吊りスペーサ150をトラス105の上筋103の下側をくぐらせるように横移動したのち、さらに下降して、吊りスペーサ150が、下筋104および下側横筋106と溶接されたラティス筋102の下側折り曲げ部を跨いで、両端の足部150aが型枠板130の上面に接地するようにセットする。このとき、電極73aは一方の足部150aを型枠板130に押圧し、他方の電極73bも同時に下降して、他方の足部150aを型枠板130に押圧する。
【0028】
図7に示すように、上記電極73a、73bで吊りスペーサ150の各足部150aが押圧された型枠板130の裏面側には、バック電極76が押し当てられ、電極73a、73b間にシリーズ通電すると、溶接電流Eが電極73aから、一方の足部150a、型枠板130、バック電極76、他方の足部150aを通って電極73bへ流れ、両方の足部150aが同時に型枠板130に溶接される。
【0029】
図8に示すように、曲げ加工装置80は、複数の吊りスペーサ150のうちの少なくとも1つが上面に溶接固定された型枠板130と、立体溶接鉄筋101とを、下工程側の方向へ一体的に同時に引っ張って移動させる引張装置82と、型枠板130の、下工程側の方向に沿う端辺部130aを内側へ曲げる成形ローラ91、92を具備してなるフォーミング装置81とを備えている。
【0030】
引張装置82は、引張台車83とこの引張台車83に取り付けられた引張移動の駆動手段としてのサーボモータ84(引張用サーボモータ)を有し、引張台車83は走行ローラ85a、85bで支持される。左右一対の走行ローラ85bは、駆動軸85を介してサーボモータ84により回転駆動される。引張台車83の前側面には、型枠板130を保持する複数の型枠クランプ86、および立体溶接鉄筋101を保持する複数のトラスクランプ87が取り付けられている。型枠クランプ86により型枠板130が保持されるとともに、トラスクランプ87により立体溶接鉄筋101が保持されて、型枠板130および立体溶接鉄筋101は、引張装置82により下工程側の方向へ一体的に同時に引っ張って移動させられる。なお、サーボモータとは、サーボ制御によって回転速度を制御することが可能な電動機のことをいう。
【0031】
図8図11に示すように、フォーミング装置81は、架台88と、架台88の一方の端部に立設された右成形ユニット89と、架台88の他方の端部に移動可能に立設された左成形ユニット90とを有する。
【0032】
右成形ユニット89には、上下一対の成形ローラ91(91a、91b)が所定の間隔で複数組取り付けられ、左成形ユニット90にも、上下一対の成形ローラ92(92a、92b)が所定の間隔で複数組取り付けられている。全ての上記成形ローラ91は、右成形ユニット89に取り付けられたローラ用サーボモータ93により同時に回転駆動される。また、全ての成形ローラ92は、左成形ユニット90に取り付けられたローラ用サーボモータ94により同時に回転駆動される。型枠板130の一方の端辺部130aは、成形ローラ91a、91bの間を通り、他方の端辺部130aは、成形ローラ92a、92bの間を通る。
【0033】
左成形ユニット90は、レール95を介して架台88の上に立設され、このレール95は、左成形ユニット90側から、対向する右成形ユニット89側へ延びる。この左成形ユニット90は、架台88に設置された移動用モータ97によって、ボールねじ軸96を介して、対向する右成形ユニット89側およびその反対方向へ移動可能とされている。
【0034】
前記スペーサ溶接装置70による型枠板130の上面への一部の吊りスペーサ150の溶接固定(図1に示すフレーム71の下方に位置する部分での吊りスペーサ150の溶接固定)を行った後、引張装置82によって、型枠板130と立体溶接鉄筋101とを、一体的に同時に引っ張って移動させる。このとき、成形ローラ91、92が、型枠板130を無理に引っ張ったり、逆に、成形ローラ91、92の回転が遅くて、成形ローラ91、92が抵抗とならないように、サーボモータ84、およびローラ用サーボモータ93、94を制御して、引張装置82による引張移動と、全ての成形ローラ91、92の回転とを同期させる。成形ローラ91(91a、91b)間、および成形ローラ92(92a、92b)間を、型枠板130の端辺部130aが通過することで、当該端辺部130aを内側へ曲げる(フォーミング工程)。送給方向における吊りスペーサ150の1ピッチ分(送給方向における吊りスペーサ150の固定位置間の距離分)、型枠板130および立体溶接鉄筋101が移動すると、引張装置82および成形ローラ91、92を停止させて、スペーサ溶接装置70による型枠板130の上面への次の吊りスペーサ150の溶接固定(スペーサ溶接工程)を行う。
【0035】
上記の作業を繰り返し行う、すなわち、スペーサ溶接(吊りスペーサ150の溶接)工程と、引張装置82による引張移動と成形ローラ91、92の回転とを同期させて行うフォーミング工程とを交互に繰り返し行うことで、図11のX断面、Y断面、およびZ断面を図12に示すように、型枠板130および立体溶接鉄筋101を下流側(送給側)へ送りながら型枠板130の端辺部130aを内側へ徐々に曲げつつ、立体溶接鉄筋101の下側の全ての格子点で型枠板130の上面に吊りスペーサ150を溶接固定し、図12中のZ断面図に示すように、端辺部130aが180°内側へ曲がった型枠板130を有する型枠板付立体溶接鉄筋100を製造する。
【0036】
なお、本実施形態では、型枠板130等の送り方向に、成形ローラ91(91a、91b)、92(92a、92b)は、それぞれ7セット(7段)配置されている。7セット(7段)の成形ローラ91(91a、91b)は、型枠板130の端辺部130aが型枠板130の内側へ徐々に曲がるよう、型枠板130等の送り方向において、形状が順に異ならされている。成形ローラ92(92a、92b)についても同様である。
【0037】
製造された型枠板付立体溶接鉄筋100は、図1に示すように、搬出装置60のローラテーブル61上に送り出され、ローラテーブル61の下降によって、搬出用の横コンベア62上に移載されて搬出される。
【0038】
上記の実施形態の型枠板付立体溶接鉄筋製造装置は、次のような作用・効果を有する。
【0039】
従来よりも鈍で且つ波打ちしにくい端辺部130aを有する型枠板130の付いた立体溶接鉄筋101を自動的に製造することができる。また、引張装置82による引張移動と、成形ローラ91、92の回転とを同期させたことで、型枠板130がしわになったり、引きちぎれたりすることが抑制される。
【0040】
また、スペーサ溶接装置70による型枠板130の上面への吊りスペーサ150の溶接固定(スペーサ溶接工程)と、フォーミング装置81による端辺部130aの曲げ加工(フォーミング工程)とを交互に行って、端辺部130aが内側へ曲がった型枠板130を有する型枠板付立体溶接鉄筋100を製造することで、全ての吊りスペーサ150を型枠板130の上面へ溶接固定した後に、型枠板130の端辺部130aの曲げ加工を行うことに比べて、型枠板付立体溶接鉄筋製造装置の全長を短く抑えることができる。
【0041】
また、引張装置82による引張移動の駆動手段として、引張装置82がサーボモータ84(引張用サーボモータ)を有し、成形ローラ91(92)の回転駆動手段として、フォーミング装置81がローラ用サーボモータを有することで、引張装置82による引張移動と、成形ローラ91(92)の回転との同期をとり易くなる。
【0042】
また、フォーミング装置81は、成形ローラ91(92)を有する一対の右成形ユニット89および左成形ユニット90を備え、右成形ユニット89および左成形ユニット90のそれぞれに、それぞれの成形ローラ91(92)を回転させるローラ用サーボモータ93(94)が取り付けられている。右成形ユニット89側の成形ローラ91と左成形ユニット90側の成形ローラ92とを1つのサーボモータで回転駆動することも可能である。しかしながら、上記実施形態では、左右の成形ローラ91、92を別々のサーボモータで回転駆動している。左右の成形ローラ91、92を1つのサーボモータで回転駆動する場合、例えば、ねじ軸、ギヤなど機械的な動力伝達機構が多く必要となる。左右の成形ローラ91、92を別々のサーボモータで回転駆動する上記実施形態によると、機械的な動力伝達機構の数を少なくすることができ、引張装置82による引張移動と、成形ローラ91(92)の回転との同期をよりとり易くなる。
【0043】
また、上記実施形態では、右成形ユニット89および左成形ユニット90のうちの左成形ユニット90が、相互に対向する方向へ移動可能とされている。型枠板130の板幅は様々なサイズのものがある。上記構成によると、様々な板幅の型枠板130に対応することが容易である。
【0044】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
【0045】
上記実施形態では、型枠板130の両側の端辺部130aを、成形ローラ91、92で180°内側へ曲げている。曲げる角度は180°に限られるものではなく、例えば120°などであってもよい。また、折りたたむように曲げるのではなく、半円形状、筒形状、コ字形状などの形状に端辺部130aを内側へ曲げてもよい。
【0046】
上記実施形態では、型枠板130等の送り方向に、成形ローラ91、92を、それぞれ7セット(7段)配置している。すなわち、型枠板130の端辺部130aを7回(7段)に分けて曲げ加工している。成形ローラ91、92のセット数(段数)は、これに限られるものではない。
【0047】
右成形ユニット89および左成形ユニット90のうちの右成形ユニット89が、相互に対向する方向へ移動可能とされてもよい。なお、右成形ユニット89および左成形ユニット90は固定とされてもよい。
【0048】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行うことは勿論可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:立体溶接鉄筋供給装置
30:型枠板供給装置
50:スペーサ供給装置
70:スペーサ溶接装置
80:曲げ加工装置
81:フォーミング装置
82:引張装置
84:サーボモータ(引張用サーボモータ)
89:右成形ユニット
90:左成形ユニット
91、92:成形ローラ
93、94:ローラ用サーボモータ
100:型枠板付立体溶接鉄
101:立体溶接鉄筋
130:型枠板
130a:端辺部
150:吊りスペーサ
150a:足部
図1
図2
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