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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114784
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】クッションシステム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20230810BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017292
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良祐
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA01
3B084JA03
3B084JA06
3B084JC00
3B084JC01
3B084JD00
3B087AA02
3B087DE08
3B087DE09
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】クッションに座ったユーザの動きによって発電することができるクッションシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】クッションシステム1は、ユーザが着座可能なクッションと、クッションに座っているユーザの動作によって発電する発電デバイスGと、クッションに座っているユーザの動作を検出するための情報を取得するセンサ(圧力センサPS)と、発電対応アプリを実行可能な制御部60を備える。発電対応アプリは、センサが取得した情報に基づいて動作するアプリケーションプログラムであって、クッション上でユーザを動かす指示を行うアプリケーションプログラムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが着座可能なクッションと、
前記クッションに座っているユーザの動作によって発電する発電デバイスと、
前記クッションに座っているユーザの動作を検出するための情報を取得するセンサと、
前記センサが取得した情報に基づいて動作するアプリケーションプログラムであって、前記クッション上でユーザを動かす指示を行うアプリケーションプログラムである発電対応アプリを実行可能な制御部と、を備えることを特徴とするクッションシステム。
【請求項2】
前記発電デバイスで発電した電気を充電するバッテリをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のクッションシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記発電対応アプリ以外のアプリケーションプログラムを実行している場合には、前記バッテリの充電量が所定値以下になったことを条件として、前記発電対応アプリの使用を促す指示をユーザに通知することを特徴とする請求項2に記載のクッションシステム。
【請求項4】
前記クッションは、
パッド本体と、
前記パッド本体を覆う表皮部材と、を備え、
前記発電デバイスは、前記パッド本体と前記表皮部材の間に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のクッションシステム。
【請求項5】
前記センサは、前記発電デバイスに重なって、前記発電デバイスのユーザ側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のクッションシステム。
【請求項6】
前記センサは、圧力センサであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のクッションシステム。
【請求項7】
前記クッションを支持するシートフレームをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のクッションシステム。
【請求項8】
前記クッションは、シートの着座面に着脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のクッションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサとクッションを備えるクッションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の着座姿勢を検出するために、シートクッションに複数の圧力センサを配置した車両用シートが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-65504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用シートは、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、あまり有効に利用できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、クッションの新たな価値を提案するべく、クッションに座ったユーザの動きによって発電することができるクッションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るクッションシステムは、ユーザが着座可能なクッションと、前記クッションに座っているユーザの動作によって発電する発電デバイスと、前記クッションに座っているユーザの動作を検出するための情報を取得するセンサと、発電対応アプリを実行可能な制御部と、を備える。前記発電対応アプリは、前記センサが取得した情報に基づいて動作するアプリケーションプログラムであって、前記クッション上でユーザを動かす指示を行うアプリケーションプログラムである。
【0007】
この構成によれば、発電対応アプリからの指示によって、ユーザがクッション上で動くので、発電デバイスで積極的に発電することができる。
【0008】
また、前記クッションシステムは、前記発電デバイスで発電した電気を充電するバッテリをさらに備えていてもよい。
【0009】
この構成によれば、発電デバイスで発電した電気を、バッテリに充電することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記発電対応アプリ以外のアプリケーションプログラムを実行している場合には、前記バッテリの充電量が所定値以下になったことを条件として、前記発電対応アプリの使用を促す指示をユーザに通知してもよい。
【0011】
この構成によれば、バッテリの充電量が少なくなると、発電対応アプリの使用を促す指示がユーザに通知されるので、ユーザが指示に従って発電対応アプリを実行することで、バッテリが空になるのを抑制することができる。
【0012】
また、前記クッションは、パッド本体と、前記パッド本体を覆う表皮部材と、を備え、前記発電デバイスは、前記パッド本体と前記表皮部材の間に位置していてもよい。
【0013】
また、前記センサは、前記発電デバイスに重なって、前記発電デバイスのユーザ側に配置されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、センサと発電デバイスを接続しやすいとともに、センサの感度を損なうことがない。
【0015】
また、前記センサは、圧力センサであってもよい。
【0016】
また、前記クッションシステムは、前記クッションを支持するシートフレームをさらに備えていてもよい。
【0017】
また、前記クッションは、シートの着座面に着脱可能であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、クッションに座ったユーザの動きによって発電することができる。
【0019】
また、本発明によれば、クッションシステムがバッテリをさらに備えることで、発電デバイスで発電した電気を、バッテリに充電することができる。
【0020】
また、本発明によれば、バッテリの充電量が所定値以下になったことを条件として、発電対応アプリの使用を促す指示がユーザに通知される構成とすることで、バッテリの充電量が少なくなった場合にユーザが指示に従って発電対応アプリを実行するので、バッテリが空になるのを抑制することができる。
【0021】
また、本発明によれば、センサを発電デバイスのユーザ側に重ねて配置することで、センサと発電デバイスを接続しやすいとともに、センサの感度を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係るクッションシステムを示す斜視図である。
図2】シートフレームの斜視図である。
図3】(a)発電デバイスが配置された部分のシートの断面図と、(b)発電デバイスと圧力センサが配置された部分のシートの断面図である。
図4】スマートフォンの動作を示すフローチャートである。
図5】カバーパッドを設けた場合の、(a)発電デバイスが配置された部分のシートの断面図と、(b)発電デバイスと圧力センサが配置された部分のシートの断面図である。
図6】第2実施形態に係るクッションシステムを示す斜視図である。
図7】(a)発電デバイスが配置された部分のクッションの断面図と、(b)発電デバイスと圧力センサが配置された部分のクッションの断面図と、(c)カバーパッドを設けた場合の発電デバイスが配置された部分のクッションの断面図と、(b)カバーパッドを設けた場合の発電デバイスと圧力センサが配置された部分のクッションの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係るクッションシステム1は、シートSと、制御部60と、バッテリ70とを備えている。シートSは、車両に設置されていてもよいし、車両以外の施設等に設置されていてもよい。
【0024】
シートSは、座部S1と、背もたれS2と、ヘッドレストS3とを備えてなる。詳しくは、シートSは、図2に示すようなシートフレームFと、図3(a),(b)に示すような、シートフレームFに被さったパッド本体10と、パッド本体10を覆う表皮部材18とを備えて構成されている。
【0025】
パッド本体10と表皮部材18は、ユーザが着座可能なクッションを構成する。クッションは、シートフレームFに支持されている。
【0026】
図2に示すように、シートフレームFは、座部S1のフレームとなる座部フレームF1と、背もたれS2のフレームとなる背もたれフレームF2とを有する。また、図示は省略するが、背もたれフレームF2の上端部には、ヘッドレストS3のフレームが、背もたれフレームF2に対して着脱可能に設けられる。ヘッドレストS3のフレームにも、パッド本体と表皮部材が被せられている。
【0027】
座部フレームF1および背もたれフレームF2は、それぞれ、左右に離間して配置された左右のサイドフレームSFと、左右のサイドフレームSFの間に配置された、ユーザからの荷重を受ける支持部材15とを有する。支持部材15は、図3(a),(b)に示すように、パッド本体10の左右方向の中央部を支持する。
【0028】
図1に示すように、座部S1は、前方を向く前面S11と、ユーザが載る上面のうち、左右方向中央部に位置する中央面S12と、中央面S12の左右両側に位置し、中央面S12よりも上に張り出した張出面S13とを有する。また、背もたれS2は、ユーザを後から支える面である、左右方向中央部に位置する中央面S22と、中央面S22の左右両側に位置し、中央面S22よりも前に張り出した張出面S23とを有する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートSに座るユーザを基準とする。
【0029】
シートSは、座部S1と背もたれS2に、センサの一例としての複数の圧力センサPS(21~26)が設けられている。圧力センサPSは、パッド本体10のユーザ側、具体的には、パッド本体10と表皮部材18の間に配置されている(図3(b)参照)。圧力センサPSは、例えば、外部からの圧力により抵抗値が変化する素子である。圧力センサPSは、シートSに着座するユーザに対向する座面の状態を検知可能に配置され、シートSに座っているユーザから座面にかかる圧力を検出する。本実施形態では、ユーザからの圧力が、クッションに座っているユーザの動作を検出するための情報に相当する。
【0030】
各圧力センサ21~26は、シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。座部S1には、圧力センサ21~23が設けられている。
【0031】
圧力センサ21は、座部S1の前後方向の中央よりも前の前部に設けられ、ユーザの大腿からの圧力を測定可能に配置されている。
【0032】
圧力センサ22および圧力センサ23は、ユーザの臀部からの圧力を測定するためのものである。なお、圧力センサ22および圧力センサ23は、いずれも、ユーザの臀部からの圧力を測定するためのものであるため、いずれか一方のみが設けられていてもよい。圧力センサ22および圧力センサ23は、前後方向において座部S1の座面の中央よりも後に位置している。
【0033】
圧力センサ22および圧力センサ23は、圧力センサ21から後方に大きく離れて配置されている。詳しくは、圧力センサ23は、ユーザの坐骨の最下部に対応する位置に設けられている。この位置では、ユーザの荷重が最も大きくかかる。圧力センサ22は、圧力センサ23の少し前に配置されている。
【0034】
背もたれS2には、圧力センサ24~26が設けられている。圧力センサ24は、ユーザの腰の後ろに対応する位置に設けられている。圧力センサ25は、圧力センサ24の少し上に配置されている。圧力センサ24および圧力センサ25は、いずれも、ユーザの腰からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。圧力センサ26は、圧力センサ24および圧力センサ25から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサ26は、ユーザの肩に対応して位置し、ユーザの肩からの圧力を測定可能である。
【0035】
また、シートは、座部S1と背もたれS2に、複数の発電デバイスG(31~34,41~46)が設けられている。各発電デバイスGは、パッド本体10のユーザ側、具体的には、パッド本体10と表皮部材18の間に配置されている(図3(a),(b)参照)。発電デバイスGは、振動によって発電する装置である。発電デバイスGは、シートSに座っているユーザの動作によって発電する。
【0036】
発電デバイス31は、座部S1の前面S11に、左右に離間して一対配置されている。
発電デバイス32は、座部S1の中央面S12の前端部に、左右に離間して一対配置されている。
発電デバイス33は、座部S1の中央面S12の、圧力センサ22と重なる位置に、左右に離間して一対配置されている。
発電デバイス34は、座部S1の左右の張出面S13に配置されている。各発電デバイス34は、前後方向の略中央部に位置している。
【0037】
発電デバイス41,42,43,44は、背もたれS2の中央面S22の左右中央部に、下から上に向かってこの順に配置されている。発電デバイス41は、ユーザの腰の高さに対応して、背もたれS2の上下方向の中央よりも下に位置している。発電デバイス42は、ユーザの背中の中央に対応して、背もたれS2の上下方向の略中央に位置している。発電デバイス43,44は、ユーザの肩の高さに対応して、背もたれS2の上下方向の中央よりも上に位置している。
発電デバイス45は、背もたれS2の中央面S22に、左右に離間して一対配置されている。発電デバイス45は、ユーザの背中の中央の高さに対応して設けられている。
発電デバイス46は、背もたれS2の左右の張出面S23に配置されている。各発電デバイス46は、上下方向の略中央に位置している。
【0038】
発電デバイスGは、圧電素子などからなる発電素子を有する。発電素子は、ユーザの運動による振動の周波数で効率良く発電できる大きさおよび形状に形成されている。発電デバイスGは、発電した電力を圧力センサPSに供給するように、圧力センサPSと配線により接続されている。また、発電デバイスGは、発電した電力を、後述するシート制御部61とバッテリ70にも供給する。
【0039】
図3(a)に示すように、パッド本体10は、ユーザ側の面10Fに凹部11を有している。発電デバイスGは、凹部11の中に位置している。発電デバイスGのユーザ側の面GFは、パッド本体10のユーザ側の面10Fと面一となっている。
【0040】
図1に示した圧力センサ22と発電デバイス33のように、圧力センサPSと発電デバイスGが重なって配置される場合、図3(b)に示すように、圧力センサPSは、発電デバイスGに重なって、発電デバイスGのユーザ側に配置される。この場合、圧力センサPSのユーザ側の面PSFは、パッド本体10のユーザ側の面10Fと面一となっている。
【0041】
図1に示すように、制御部60は、シート制御部61と、スマートフォン62とを有する。
【0042】
シート制御部61は、スマートフォン62と通信可能となっている。シート制御部61は、シートSの圧力センサPSから圧力値を取得可能であり、取得した圧力値をスマートフォン62に送信可能となっている。
【0043】
スマートフォン62は、発電対応アプリを実行する機能を有している。発電対応アプリは、スマートフォン62で実行される様々なアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」ともいう。)のうち、圧力センサPSからシート制御部61を介して取得した圧力値に基づいて動作するアプリであって、シートS上でユーザを動かす指示を行うアプリである。発電対応アプリは、例えば、シートSをコントローラとして利用するゲームである。ゲームとしては、例えば、100m走ゲームが挙げられる。
【0044】
100m走ゲームは、シートSに座ったユーザが、両脚を交互に上下動させることで、スマートフォン62の画面DS上に表示されたキャラクタを走らせる(移動させる)ゲームとする。スマートフォン62は、例えば、左右の圧力センサ21からの圧力値に基づいて、ユーザの脚の上げ下げを判定して、ゲームを進行する。
【0045】
スマートフォン62は、発電対応アプリの実行を開始すると、圧力センサPSから圧力値を取得するための問い合わせを、シート制御部61に対して行う。シート制御部61は、スマートフォン62から問い合わせを受けると、圧力センサPSから圧力値を取得し、取得した圧力値をスマートフォン62に送信する。
【0046】
スマートフォン62は、100m走ゲームを実行する場合、シートS上でユーザを動かす指示を通知する。「シートS上でユーザを動かす指示」は、「両脚を交互に上下動させてください。」というような具体的な動作を文字や音声で通知する指示であってもよいし、単に画面DS上でキャラクタが走り出すきっかけとなるスタート合図(カウントダウンなど)であってもよい。
【0047】
バッテリ70は、発電デバイスGで発電した電気を充電する機能を有する。バッテリ70は、圧力センサPSおよびシート制御部61に電気を供給する。バッテリ70は、シートSに設けられていてもよいし、シートSが設置される車両などに設けられていてもよい。
【0048】
スマートフォン62は、発電対応アプリ以外のアプリを実行している場合には、バッテリ70の充電量が所定値以下になったことを条件として、発電対応アプリの使用を促す指示をユーザに通知する機能を有している。
【0049】
次に、スマートフォン62の動作について詳細に説明する。
スマートフォン62は、アプリが起動されると、図4に示す処理を実行する。
【0050】
図4に示す処理において、スマートフォン62は、まず、起動されたアプリが、発電対応アプリであるか否かを判定する(ST1)。ここで、発電対応アプリであるかの判定は、例えば、シート制御部61に対して圧力値の問い合わせが必要となるアプリであるかを判定することで行うことができる。また、予めユーザが複数のアプリから発電対応アプリを選択してスマートフォン62の記憶部に記憶させておくことで、スマートフォン62が記憶部の情報に基づいて発電対応アプリであるかを判定してもよい。また、発電対応アプリであることを示す識別情報を発電対応アプリに予め組み込んでおくことで、スマートフォン62が識別情報に基づいて発電対応アプリであるかを判定してもよい。
【0051】
ステップST1において発電対応アプリでないと判定した場合には(No)、スマートフォン62は、バッテリ70の充電量が所定値以下であるか否かを判定する(ST2)。ステップST2において充電量が所定値以下であると判定した場合には(Yes)、スマートフォン62は、発電対応アプリの使用を促す通知を行う(ST3)。
【0052】
発電対応アプリの使用を促す通知としては、例えば、画面DS上に表示する文字などによる通知であってもよいし、音声による通知であってもよい。また、ステップST3において、充電量が小さいほど発電効率の高い発電対応アプリの使用を促してもよい。具体的には、スマートフォン62は、充電量が第1閾値以下の場合に、発電効率が第1効率となる第1発電対応アプリの使用を促し、スマートフォン62は、充電量が第1閾値よりも小さい第2閾値以下の場合に、発電効率が第1効率よりも高い第2効率となる第2発電対応アプリの使用を促してもよい。この場合、発電効率を示す情報を、発電対応アプリに予め組み込んでおけばよい。
【0053】
ステップST3の後、スマートフォン62は、起動されたアプリを実行して(ST4)、本処理を終了する。ステップST1において発電対応アプリであると判定した場合には(Yes)、スマートフォン62は、ステップST2,ST3の処理を飛ばして、発電対応アプリを実行する(ST4)。
【0054】
なお、ステップST4において、発電対応アプリを実行する場合には、スマートフォン62は、発電対応アプリが終了したときに、今回の発電対応アプリの使用によって発電された総電力量を画面DSに表示してもよい。この場合、スマートフォン62およびシート制御部61は、例えば、以下に示す処理を実行すればよい。
【0055】
スマートフォン62は、発電対応アプリを開始する場合には、開始したことを示す開始信号をシート制御部61に送信する。シート制御部61は、開始信号を受信すると、各発電デバイスGで発電される電力量の測定を開始し、測定した電力量をスマートフォン62に送信する。
【0056】
スマートフォン62は、発電対応アプリを終了する場合には、発電対応アプリの実行中にシート制御部61から送信されてきた電力量を積算して、総電力量を算出し、総電力量を画面DSに表示する。
【0057】
次に、スマートフォン62およびシート制御部61の動作の一例について説明する。
図1に示すシートSに着座したユーザが、スマートフォン62で発電対応アプリではない非対応アプリを立ち上げた際において、バッテリ70の充電量が所定値以下の場合には、スマートフォン62は、発電対応アプリの使用を促す通知を行う。具体的に、スマートフォン62は、例えば、「バッテリの充電量が少ないので、100m走ゲームのアプリを使用して、発電を行ってください。」などの文字の画像を画面DSに表示する。
【0058】
この通知を受けたユーザは、バッテリの充電量が少ないことを知ることができるので、非対応アプリを即座に終了して、発電対応アプリである100m走ゲームのアプリを起動させる。スマートフォン62は、100m走ゲームを開始する際、「位置について用意ドン!」という文字や音声などのメッセージによって、ユーザをシートS上で動かす指示を出力する。
【0059】
ユーザは、この指示に従って、シートS上で両脚を交互に上下動させる。スマートフォン62は、左右の圧力センサ21からの圧力値に基づいて、ユーザの脚の上げ下げを判定して、画面DS上のキャラクタをスタート位置からゴールに向けて走らせる。
【0060】
100m走ゲームの実行中においては、ユーザがシートS上で両脚を上下動させるので、発電デバイスG、特に座部S1の前端部に配置された発電デバイス32によって発電されて、バッテリ70が充電される。キャラクタがゴールに到達して100m走ゲームが終了すると、スマートフォン62は、今回のゲームで発電された電力量を画面DSに表示する。
【0061】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
発電対応アプリからの指示によって、ユーザがシートS上で動くので、発電デバイスGで積極的に発電することができる。
【0062】
クッションシステム1がバッテリ70を備えるので、発電デバイスGで発電した電気を、バッテリ70に充電することができる。
【0063】
バッテリ70の充電量が少なくなると、発電対応アプリの使用を促す指示がユーザに通知されるので、ユーザが指示に従って発電対応アプリを実行することで、バッテリ70が空になるのを抑制することができる。
【0064】
振動によって発電する発電デバイスGが、パッド本体10のユーザ側に配置されているので、ユーザが動いた場合に、発電デバイスGに振動が効率良く伝わる。このため、ユーザの動きにより効率的に発電することができる。
【0065】
そして、発電デバイスGは、パッド本体10の凹部11の中に位置するので、ユーザが発電デバイスGを異物として感じにくく、座り心地を向上させることができる。
【0066】
また、圧力センサPSが、発電デバイスGに重なっていることで、圧力センサPSと発電デバイスGを接続しやすい。そして、発電デバイスGのユーザ側に配置されていることで、圧力センサPSの感度を損なうことがない。
【0067】
シートSは、座り心地をさらに向上させるため、図5(a),(b)に示すように、カバーパッド12をさらに備えていてもよい。
【0068】
図5(a)に示すように、発電デバイスGに圧力センサPSが重ならない場合、カバーパッド12は、発電デバイスGのユーザ側に重なって配置される。凹部11は、発電デバイスGの厚みとカバーパッド12の厚みを合わせた深さで形成され、カバーパッド12のユーザ側の面12Fは、パッド本体10のユーザ側の面10Fと面一となっている。
【0069】
図5(b)に示すように、発電デバイスGの上に圧力センサPSが重なる場合、カバーパッド12は、圧力センサPSのユーザ側に重なって配置される。凹部11は、発電デバイスGの厚みと、圧力センサPSの厚みと、カバーパッド12の厚みとを合わせた深さで形成され、カバーパッド12のユーザ側の面12Fは、パッド本体10のユーザ側の面10Fと面一となっている。
【0070】
このような図5(a),(b)の構成によれば、カバーパッド12が発電デバイスGのユーザ側に配置されることで、ユーザが発電デバイスGを異物として感じにくく、座り心地をさらに向上させることができる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態において、第1実施形態と実質的に同じ部分は、適宜説明を省略する。
図6に示すように、第2実施形態に係るクッションシステム2は、クッションCと、制御部60と、バッテリ70とを備えている。
【0072】
クッションCは、シートS10の着座面に配置されて使用される。クッションCは、シートS10の着座面に着脱可能である。シートS10は、座部S110と背もたれS120を有する。クッションCは、座部S110の着座面に配置される座部クッションC1と、背もたれS120の着座面に配置される背もたれクッションC2とを有する。座部クッションC1と背もたれクッションC2とは、独立に構成されている。
【0073】
座部クッションC1と背もたれクッションC2は、第1実施形態と同様に、複数の圧力センサPSと、複数の発電デバイスGとが配置されている。一部の発電デバイスGは、圧力センサPSと重なって配置され、他の発電デバイスGは、圧力センサPSと重ならずに配置されている。バッテリ70は、例えば、座部クッションC1に内蔵されている。
【0074】
図7(a)に示すように、クッションC(C1,C2)は、パッド本体110と、パッド本体110を覆う表皮部材118を備える。発電デバイスGは、パッド本体110のユーザ側、具体的には、パッド本体110と表皮部材118の間に配置されている。
【0075】
パッド本体110は、ユーザ側の面110Fに凹部111を有している。発電デバイスGは、凹部111の中に位置している。発電デバイスGのユーザ側の面GFは、パッド本体110のユーザ側の面110Fと面一となっている。
【0076】
圧力センサPSと発電デバイスGが重なって配置される場合、図7(b)に示すように、圧力センサPSは、発電デバイスGに重なって、発電デバイスGのユーザ側に配置される。この場合、圧力センサPSのユーザ側の面PSFは、パッド本体110のユーザ側の面110Fと面一となっている。
【0077】
以上のように構成されたクッションCによれば、振動によって発電する発電デバイスGが、パッド本体110のユーザ側に配置されているので、ユーザが動いた場合に、発電デバイスGに振動が効率良く伝わる。このため、ユーザの動きにより効率的に発電することができる。
【0078】
そして、発電デバイスGは、パッド本体110の凹部111の中に位置するので、ユーザが発電デバイスGを異物として感じにくく、座り心地を向上させることができる。
【0079】
また、圧力センサPSが、発電デバイスGに重なっていることで、圧力センサPSと発電デバイスGを接続しやすい。そして、発電デバイスGのユーザ側に配置されていることで、圧力センサPSの感度を損なうことがない。
【0080】
また、発電デバイスGが通信機に電力を供給することで、電源を必要とせずに圧力センサPSを設けたクッションCからスマートフォン62に検出した圧力を送信できるので、クッションCを利用したシート体験システムを電源がない場所で使用することができる。
【0081】
シートSは、座り心地をさらに向上させるため、図7(c),(d)に示すように、カバーパッド112をさらに備えていてもよい。
【0082】
図7(c)に示すように、発電デバイスGに圧力センサPSが重ならない場合、カバーパッド112は、発電デバイスGのユーザ側に重なって配置される。凹部111は、発電デバイスGの厚みとカバーパッド112の厚みを合わせた深さで形成され、カバーパッド112のユーザ側の面112Fは、パッド本体110のユーザ側の面110Fと面一となっている。
【0083】
図7(d)に示すように、発電デバイスGの上に圧力センサPSが重なる場合、カバーパッド112は、圧力センサPSのユーザ側に重なって配置される。凹部111は、発電デバイスGの厚みと、圧力センサPSの厚みと、カバーパッド112の厚みとを合わせた深さで形成され、カバーパッド112のユーザ側の面112Fは、パッド本体110のユーザ側の面110Fと面一となっている。
【0084】
このような図7(c),(d)の構成によれば、カバーパッド112が発電デバイスGのユーザ側に配置されることで、ユーザが発電デバイスGを異物として感じにくく、座り心地をさらに向上させることができる。
【0085】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、発電デバイスGは、パッド本体10の凹部11の中に位置していたが、パッド本体10に凹部11を設けずに、パッド本体10のユーザ側の面10Fに発電デバイスGを配置してもよい。
【0086】
前記したシートSにおいて、ヘッドレストS3には、発電デバイスGを設けていなかったが、ヘッドレストS3に発電デバイスGを設けてもよい。
【0087】
前記したシートSおよびクッションCでは、表皮部材18,118を備えていたが、表皮部材を備えなくてもよい。
【0088】
前記したクッションCは、座部クッションC1と背もたれクッションC2とが独立に構成されていたが、座部クッションC1と背もたれクッションC2はつながっていてもよい。
【0089】
発電デバイスGと圧力センサPSを重ねて配置する場合、発電デバイスGと圧力センサPSの間に他の部材を挟んでもよい。
【0090】
前記実施形態においては、発電デバイスGおよびバッテリ70は、圧力センサPSに電力を供給するものとしたが、圧力センサ以外の物に電力を供給してもよい。発電デバイスまたはバッテリは、例えば、ヒータ、照明、ブロワ、モータ、電気自動車の走行用のモータに電力を供給する車両バッテリなどに電力を供給してもよい。
【0091】
発電デバイスは、振動以外の動きで発電してもよい。発電デバイスは、クッションのユーザ側とは反対側に設けられていてもよいし、クッションを支持するシートフレームに設けられていてもよい。
【0092】
発電対応アプリは、シート上でユーザを動かす指示を行うアプリであればどのようなアプリでもよい。例えば、発電対応アプリは、ダンスゲームやカーレースなどのゲームであってもよいし、ゲームに限らず、シートをコントローラとするアプリであればよい。
【0093】
制御部は、発電管理アプリを実行可能であってもよい。発電管理アプリは、様々な発電対応アプリで発電された発電量をユーザごとに管理するアプリである。制御部は、発電管理アプリにおいて、ユーザごとに発電量を記録して蓄積する。制御部は、累積した発電量を、日、週、月、年単位で表示可能であってもよい。制御部は、複数のユーザの発電量を比較し、ランキング形式で画面に表示してもよい。制御部は、インターネットを介して、世界のユーザの発電量を比較してもよい。
【0094】
制御部は、発電量に応じてポイントを付与してもよい。具体的には、制御部は、発電量が一定量貯まると、1ポイントを付与する構成とすることができる。ポイントは、現金に還元可能であってもよい。
【0095】
バッテリの充電量が上限値に達した場合には、自動で発電機能が制限されてもよい。具体的には、例えば、制御部は、バッテリの充電量が上限値に達したと判定した場合に、発電デバイスとバッテリの接続を切るように構成されていてもよい。この場合、制御部は、充電量が上限値に達しているために発電機能が停止されていることを、画面などで通知してもよい。
【0096】
クッションシステム、例えば発電デバイスに断線などの異常が発生している場合には、制御部は、発電機能を制限してもよい。
【0097】
前記実施形態では、制御部を、シート制御部とスマートフォンで構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部は、車両に設けられる車両側制御部のみで構成されていてもよい。この場合、車両側制御部は、シートのセンサから情報を取得するとともに、カーナビゲーションシステムの画面上でシートアプリを実行してもよい。
【0098】
スマートフォンは、例えばタブレットなどの他の携帯端末に置き換え可能である。
【0099】
前記実施形態では、センサとして圧力センサを例示したが、本発明はこれに限定されず、センサは、例えば光センサ、静電容量センサ、温度センサ、湿度センサ、電波センサ、音センサなどであってもよい。ユーザ情報は、圧力値に限らず、どのような情報であってもよい。
【0100】
また、センサは、シートクッションまたはシートバックの左右の側部(座面から突出した部分)、ヘッドレスト、アームレスト、または、シート周りの部品(インパネ、ドア、フロア)などに設けられていてもよい。
【0101】
また、本明細書に記載した各実施形態および各変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 クッションシステム
PS 圧力センサ
G 発電デバイス
60 制御部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7