(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114812
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ファインバブル生成ユニット及び給水システム
(51)【国際特許分類】
B01F 23/20 20220101AFI20230810BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20230810BHJP
E03C 1/08 20060101ALI20230810BHJP
E03C 1/00 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B01F3/04 Z
B01F5/00 D
B01F5/06
E03C1/08
E03C1/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017338
(22)【出願日】2022-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】391054165
【氏名又は名称】トーフレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝利
(72)【発明者】
【氏名】芦辺 和也
【テーマコード(参考)】
2D060
4G035
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060CC00
2D060CC17
4G035AB04
4G035AB27
4G035AC01
4G035AC26
4G035AE13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ファインバブルを大量に発生できるファインバブル発生ユニットを提供する。
【解決手段】液体に圧力の変化を与えることによって溶存気体を気泡化するファインバブル生成ユニット100は、中心軸2に沿って延在する液体流路4とを含む管状部材1と、液体流路の中に配置された挿入部材30を含む。管状部材の内壁は、液体流路の流れ方向5に関して上流側と下流側に分かれて位置する上流側円筒領域7と下流側円筒領域8とを有し、それぞれの領域に上流側内ねじ12と下流側内ねじ15とが形成されている。挿入部材は、円周上に上流側内ねじの上流側ねじ溝16に噛み合うねじ溝が形成された外ねじと、中心軸の方向に延在して挿入部材を貫通する流路を備えている。外ねじは上流側内ねじにかみ合わせて上流側円筒領域に配置されている。上流側円筒領域と下流側円筒領域の間には、挿入部材が下流側円筒領域に移動するのを阻止する規制部を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に圧力の変化を与えることによって液体中の溶存気体を気泡化してファインバブルを生成するファインバブル生成ユニット(100)であって、
前記ファインバブル生成ユニット(100)は、
中心軸(2)と前記中心軸(2)に沿って延在する筒状の内壁(3)によって囲まれた液体流路(4)とを含む管状部材(1)と、
前記液体流路(4)の中に配置された少なくとも1つの挿入部材とを備えており、
前記管状部材(1)の前記内壁(3)は、前記液体流路(4)の流れ方向(5)に関して上流側と下流側にそれぞれ分かれて位置する上流側円筒領域(7)と下流側円筒領域(8)とを有し、
前記上流側円筒領域(7)には、前記流れ方向(5)に関して前記上流側円筒領域(7)の上流端(10)から前記上流側円筒領域(7)の下流端(11)まで連続的に延在する上流側内ねじ(12)が形成され、
前記下流側円筒領域(8)には、前記流れ方向(5)に関して前記下流側円筒領域(8)の下流端(14)から前記下流側円筒領域(8)の上流端(13)まで連続的に延在する下流側内ねじ(15)が形成され、
前記少なくとも1つの挿入部材は第1の挿入部材(30)を含み、
前記第1の挿入部材(30)は、第1の中心軸(31)と、前記第1の中心軸(31)を中心とする円周上に前記上流側内ねじ(12)の上流側ねじ溝(16)に噛み合うねじ溝(34)が形成された第1の外ねじ(33)と、前記第1の中心軸(31)の方向に延在して前記第1の挿入部材(30)を貫通する少なくとも1つの第1の流路(37)を備えており、前記第1の外ねじ(33)を前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)にかみ合わせて前記上流側円筒領域(7)に配置されており、
前記上流側円筒領域(7)と前記下流側円筒領域(8)の間に、前記上流側円筒領域(7)に配置された前記第1の挿入部材(30)が前記下流側円筒領域(8)に移動するのを阻止する規制部が設けられている、
ことを特徴とするファインバブル生成ユニット。
【請求項2】
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)から前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)との間に配置された中間領域(9)を含み、
前記中間領域(9)の内周面はねじ溝の無い円筒面からなり、
前記中間領域(9)が前記規制部を構成している、
ことを特徴とする請求項1に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項3】
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)が前記下流側円筒領域(18)の前記上流端(13)に一致し、
前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)を構成する上流側ねじ溝(16)のねじ寸法が、前記下流側円筒領域(8)の前記下流側内ねじ(15)を構成する下流側ねじ溝(17)のねじ寸法と異なり、
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)と前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)の境界が前記規制部を構成している、
ことを特徴とする請求項1に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項4】
前記ねじ寸法が、ピッチ、山の内径、および谷の内径の少なくとも一つである、ことを特徴とする請求項3に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項5】
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)が前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)に一致し、
前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)を構成する前記上流側ねじ溝(16)の螺旋方向は、前記下流側円筒領域(8)の前記下流側内ねじ(15)を構成する前記下流側ねじ溝(17)の螺旋方向とは逆であり、
前記前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)と前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)の境界が前記規制部を構成している、
ことを特徴とする請求項1に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項6】
前記管状部材(1)は、前記上流側円筒領域(7)の前記上流端(10)から前記下流側円筒領域(8)の前記下流端(14)まで一定の内径を有する円筒面に、前記上流側円筒領域(7)の前記上流端(10)と前記下流側円筒領域(8)の前記下流端(14)からそれぞれ前記上流側内ねじ(12)と前記下流側内ねじ(15)が加工されてなるものである、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項7】
前記第1の挿入部材(30)は、前記第1の中心軸(31)を中心とする円周上に等しい間隔をあけて前記第1の中心軸(31)と平行に延在する複数の偏心軸(36)に沿って前記第1の挿入部材(30)を前記流れ方向(5)に貫通する複数の偏心流路(37)が形成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項8】
前記第1の挿入部材(30)は、前記第1の中心軸(31)を中心とする円周上に等しい間隔をあけて前記第1の中心軸(31)のまわりに螺旋状に延在する複数の螺旋偏心軸に沿って前記第1の挿入部材(30)を前記流れ方向(5)に貫通する複数の偏心流路が形成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項9】
前記第1の挿入部材は、前記第1の中心軸に沿って前記第1の挿入部材を前記流れ方向(5)に貫通する中央流路が形成されている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項10】
前記少なくとも1つの挿入部材は第2の挿入部材(40)を含み、
前記第2の挿入部材(40)は、第2の中心軸(41)と、前記第2の中心軸(41)を中心とする円周上に前記上流側内ねじ(12)の前記上流側ねじ溝(16)に噛み合うねじ溝(44)が形成された第2の外ねじ(42)と、前記第2の中心軸(41)に沿って前記第2の挿入部材(40)を前記流れ方向(5)に貫通する中央流路(43)が形成され、
前記中央流路(43)は、前記流れ方向(5)に関して前記中央流路(43)の上流端から下流側に延在する小径流路(45)と、前記小径流路(45)よりも大きな内径を有し、前記流れ方向(5)に関して前記小径流路(45)の下流端から前記中央流路(43)の下流端に延在する大径流路(46)とを含み、
前記第2の外ねじ(42)を前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)にかみ合わせて、前記上流側円筒領域(7)に配置されている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項11】
前記管状部材(1)は、前記流れの方向(5)に関して前記上流側円筒流路(7)の上流側に、前記上流側円筒流路(7)の内径よりも大きな内径の大径流路部分(20)を有する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項12】
前記少なくとも1つの挿入部材は第3の挿入部材(50)を含み、
前記第3の挿入部材(50)は前記大径流路部分(20)に配置されており、
前記第3の挿入部材(50)は、第3の中心軸(51)と、前記第3の中心軸(51)を中心とする円周上に等しい間隔をあけて前記第3の中心軸(51)のまわりに螺旋状に延在する複数の螺旋偏心軸(55)に沿って前記第3の挿入部材(50)を前記流れ方向(5)に貫通する複数の第3の流路(53)が形成されている、ことを特徴とする請求項11に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかのファインバブル生成ユニットと、前記ファインバブル生成ユニットの下流側に接続されたホースとを備えた給水システム。
【請求項14】
前記ファインバブル生成ユニットの上流側に接続された水栓を備えた請求項13に記載の給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体力学的キャビテーションを利用してファインバブルを生成するファインバブル生成ユニット及び該ファインバブル生成ユニットを組み入れた給水システムに関する。本発明は、特に、液体に圧力の変化を与えることによって液体中の溶存気体を気泡化してファインバブルを生成するファインバブル生成ユニット及び該ファインバブル生成ユニットを組み入れた給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベンチェリー構造のファインバブル生成ユニット及びファインバブル生成ユニットを含む液体供給装置が特許文献1~3に提案されている。これらの文献に記載されたファインバブル生成ユニットはいずれも、管状の部材からなり、長手方向の中心軸に沿って延在する筒状内壁によって流路が形成されている。筒状内壁には、中心軸に向かって突出する絞り部が形成されている。絞り部は、流れの方向に関して上流側に、上流側から下流側に向かって次第に内径が小さくなる入口側(上流側)テーパを有し、流れの方向に関して下流側に、上流側から下流側に向かって次第に内径が大きくなる出口側(下流側)逆テーパが形成されている。したがって、流路内を上流側から下流側に向かって流れる液体は、上流側テーパの下流端に向かうにしたがって加圧された後、そこを超えて下流側逆テーパに入ると急激に減圧され、これにより液体内に溶解している気体(通常は空気)が気泡化されて細かなファインバブルを発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-136590号公報
【特許文献2】特開2018-134587号公報
【特許文献3】特開2019-042700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のファインバブル生成ユニットは、流路の上流側と下流側にそれぞれテーパと逆テーパを備えており、そこを通過する液体に圧力の変化を与えることによって微細なファインバブルを析出させるもので、相当数のファインバブルを生成することができることが確認されている。以下、このようなファインバブル生成ユニットを「ダブルテーパ型ファインバブル生成ユニット」という。
【0005】
本願発明者らは、上述のダブルテーパ型ファインバブル生成ユニットよりもさらに多くのファインバブルを生成することができる新たな形のファインバブル生成ユニットを提供するために鋭意研究を重ねた結果、流路に内壁に凹凸を形成することによって、さらに多くのファインバブルが形成されることを知見した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、例えば、液体に圧力の変化を与えることによって液体中の溶存気体を気泡化してファインバブルを生成するファインバブル生成ユニット(100は、
中心軸(2)と前記中心軸(2)に沿って延在する筒状の内壁(3)によって囲まれた液体流路(4)とを含む管状部材(1)と、
前記液体流路(4)の中に配置された少なくとも1つの挿入部材とを備えており、
前記管状部材(1)の前記内壁(3)は、前記液体流路(4)の流れ方向(5)に関して上流側と下流側にそれぞれ分かれて位置する上流側円筒領域(7)と下流側円筒領域(8)とを有し、
前記上流側円筒領域(7)には、前記流れ方向(5)に関して前記上流側円筒領域(7)の上流端(10)から前記上流側円筒領域(7)の下流端(11)まで連続的に延在する上流側内ねじ(12)が形成され、
前記下流側円筒領域(8)には、前記流れ方向(5)に関して前記下流側円筒領域(8)の下流端(14)から前記下流側円筒領域(8)の上流端(13)まで連続的に延在する下流側内ねじ(15)が形成され、
前記少なくとも1つの挿入部材は第1の挿入部材(30)を含み、
前記第1の挿入部材(30)は、第1の中心軸(31)と、前記第1の中心軸(31)を中心とする円周上に前記上流側内ねじ(12)の上流側ねじ溝(16)に噛み合うねじ溝(34)が形成された第1の外ねじ(33)と、前記第1の中心軸(31)の方向に延在して前記第1の挿入部材(30)を貫通する少なくとも1つの第1の流路(37)を備えており、前記第1の外ねじ(33)を前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)にかみ合わせて前記上流側円筒領域(7)に配置されており、
前記上流側円筒領域(7)と前記下流側円筒領域(8)の間に、前記上流側円筒領域(7)に配置された前記第1の挿入部材(30)が前記下流側円筒領域(8)に移動するのを阻止する規制部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態のユニットによれば、液体流路(4)内を上流側から下流側に向けて液体が流される。このとき、液体は、第1の挿入部材(30)の第1の流路(37)に入ると、そこで急激に圧力が変化して(動圧は上昇し、静圧は減少する)、液体から気泡が析出する。その後、第1の流路(37)を通過すると、液体の圧力が急激に変化し(動圧が低下し、静圧が上昇する)、析出した気泡が破砕して微細なファインバブルになる。また、第1の流路(37)を通過した液体は、下流側内ねじ(15)のねじ溝(17)から受ける抵抗によってせん断されてさらに微細化される。したがって、流路を通過した液体は、微細化された大量のファインバブルを含む。また、液体流路(4)の中に配置された第1の挿入部材(30)は、その下流側に形成された規制部によって下流側への移動が防止される。そのため、第1の挿入部材(30)を液体流路(4)の中に保持するための部材(例えば、リング)が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係るファインバブル生成ユニットを構成する管状部材と第1の挿入部材の縦断面図。
【
図2】第1の挿入部材が挿入された管状部材と第2の挿入部材の縦断面図。
【
図3】第1と第2の挿入部材が挿入された管状部材と第3の挿入部材の縦断面図。
【
図4】第1から第3の挿入部材が挿入された管状部材の縦断面図。
【
図5】第1の挿入部材の斜視図[
図5(a)]、正面図[
図5(b)]及び側面図[
図5(c)]。
【
図6】第2の挿入部材の正面図[
図6(a)]、縦断面図[
図6(b)]、前方斜視図[
図6(c)]及び後方斜視図[
図6(d)]。本発明の実施形態6に係るファインバブル生成ユニットの縦断面図。
【
図7】第3の挿入部材の正面図[
図7(a)]及び縦断面図[
図7(b)]。
【
図8】
図4のファインバブル生成ユニットを組み入れた給水システムの分解斜視図。
【
図9】
図8に示す部材を組み合わせた給水システムの断面図。
【
図10】
図9の給水システムに込み入れたファインバブル生成ユニットの分解斜視図。
【
図11】
図10に示す部品を組み合わせたファインバブル生成ユニットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[A.ファインバブル生成ユニット]
以下、添付図面を参照して本発明に係るファインバブル生成ユニットの実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態のファインバブル生成ユニットは、いわゆる液体力学的キャビテーション方式を採用したものである。液体力学的キャビテーションとは、流水の向きが急激に変化する付近で負圧域(空洞部)ができ、その圧力が水蒸気圧より低いと瞬間的に局所的沸騰が生じて溶存気体から微小気泡が発生し、逆に、非負圧域における圧力の回復により収縮する現象である。[日本家政学会誌Vol.71,No.2, 124-128(2020)]
【0010】
ファインバブルは、泡の大きさにより「マイクロバブル」と「ウルトラファインバブル」に分けられ、通常、ファインバブルのうち直径100μm未満で1μm(=0.001mm)以上の泡を「マイクロバブル」、それよりも小さい直径1μm未満の泡を「ウルトラファインバブル」と分類されている[国際標準化機構(ISO)専門委員会TC281(ファインバブル技術)、「一般原則(パート1用語)」を参照。]したがって、以下の説明において、「ファインバブル」は、マイクロバブルとウルトラファインバブルの両方を含む概念として理解すべきである。
【0011】
[A1.ファインバブル生成ユニットの構成]
以下、ファインバブル生成ユニットの構成を説明する。
【0012】
[1.1:管状部材1]
図1は、実施形態1に係るファインバブル生成ユニット、特にファインバブル生成ユニットの流路構造を示す。図示するように、ファインバブル生成ユニット(以下、単に「ユニット」という。)100は管状部材1からなる。好ましくは、管状部材1は金属(例えば、ステンレス)で作られるが、その他の材料(例えば、セラミック、プラスチック)で作ることもできる。実施形態では、管状部材1は、全体が一つの部材で構成されているが、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。
【0013】
管状部材1は、長手方向の中心軸2に沿って延在する管状内壁3を有する。管状内壁3は、中心軸2に沿って管状部材1を貫通する円筒状の流路4を形成している。流路4は、図の右側に現れる部分が上流側部分、図の左側に現れる部分が下流側部分で、矢印5で示す流れ方向に流体が流れるように構成されている。
【0014】
管状部材1の流路4は、流れ方向5の下流側に位置する下流側流路部分6を有する。実施形態1において、下流側流路部分6は3つの領域を含む。3つの領域は、流れ方向5に関して上流側に位置する上流側円筒領域7と、流れ方向5に関して下流側に位置する下流側円筒領域8と、上流側円筒領域7と下流側円筒領域8の間に位置して上流側円筒領域7と下流側円筒領域8を連結する中間領域9である。
【0015】
上流側円筒領域7の内壁部分には、上流側円筒領域7の全域、すなわち、上流側円筒領域7の上流端10から上流側円筒領域7の下流端11までの全体に、中心軸2を中心とする上流側内ねじ12が一様に形成されている。同様に、下流側円筒領域8の内壁部分には、該下流側円筒領域8の全域、すなわち、下流側円筒領域8の上流端13から下流側円筒領域8の下流端14までの全体に、中心軸2を中心とする下流側内ねじ15が一様に形成されている。
【0016】
実施形態1において、上流側内ねじ12を構成する上流側ねじ溝16の寸法(ピッチ、山の径、谷の径)と螺旋方向は、下流側内ねじ15を構成する下流側ねじ溝17の寸法(ピッチ、山の径、谷の径)と螺旋方向は同じである。
【0017】
上流側円筒領域7と下流側円筒領域8を繋ぐ中間領域9の内壁部分は、ねじ溝の無い、円滑な円筒面18である。実施形態1において、円筒面18の内径は、上流側ねじ溝16の山の径と同じである。したがって、上流側ねじ溝16と下流側ねじ溝17はそれぞれ、管状部材1の円筒中空部にその上流側と下流側から同じ工具を差し込んでその円筒面を加工するとともに、上流側ねじ溝16と下流側ねじ溝17との間に未加工領域を残すことでねじ溝の無い中間領域18を形成することができる。
【0018】
管状部材1はまた、下流側流路部分6の上流側に隣接して、上流側円筒領域7の内径(具体的には、上流側ねじ溝16)よりも大きな内径の大径流路部分20が形成されている。
【0019】
大径流路部分20は、中心軸2に沿って同軸に延在する複数の領域を含む。実施形態1において、大径流路部分20は、流れ方向5に関して下流側から上流側に向かって、少なくとも第1の領域21、第2の円筒領域22、第3の円筒領域23及び第4の円筒領域24を含む。第1の領域21は、上流側円筒領域7の上流端10から上流側に向かって次第に内径が大きくなるテーパ円筒面である。第2の領域22は、第1の領域21の上流端の内径に等しい内径を有する円筒面である。第3の領域23は、第2の領域22の内径よりも大きな内径を有する円筒面で、第2の領域22と第3の領域23との間に段差25が形成されている。第4の領域24は、第3の領域23の内径よりも大きな内径を有する円筒面で、第3の領域23と第4の領域24との間に段差が形成されている。
【0020】
[1.2:挿入部材]
以上の構成を備えた管状部材1には、流路4を流れる流体に乱れ及びキャビテーションを効率良く生じさせるために、少なくとも一つの挿入部材が挿入されて配置される。
【0021】
[1.2.1:第1の挿入部材]
実施形態1において、少なくとも一つの挿入部材は、第1の挿入部材30を有する。
図5に示すように、第1の挿入部材30は、第1の中心軸31と、第1の中心軸31を中心とする円筒面32(
図5(b)に一点鎖線で示す仮想面。)に加工された外ねじ33を有する。外ねじ33のねじ溝34は、上流側円筒領域7の上流側内ねじ12に形成された上流側ねじ溝16に丁度嵌る寸法(ピッチ、山の径、谷の径)を有する。
【0022】
第1の挿入部材30には、第1の中心軸31を中心とする円周35(
図5(b)に点線で示す。)上に等間隔に位置し(実施形態1では、90°の間隔をあけて)且つ第1の中心軸31に平行な4つの偏心軸36に沿って、第1の挿入部材30を貫通する4つの第1の流路37が形成されている。
【0023】
実施形態1において、第1の流路37の径は、第1の流路37が外周のねじ溝34を分断する大きさに決められている。他の形態では、第1の流路37の径及び/又は位置は、第1の流路37がねじ溝34を分断しないように決めてもよい。
【0024】
このように形成された第1の挿入部材30は、
図1,2に示すように、管状部材1の流路4にその上流端から挿入され、上流側円筒領域7における上流側内ねじ12の上流側ねじ溝16に螺合されて、上流側円筒領域7の下流端部に配置される。この状態で、第1の挿入部材30の第1の中心軸31が管状部材1の中心軸2に一致する。また、第1の挿入部材30は中間領域9に隣接する。上述のように、中間領域9にはねじ溝が形成されておらず、中間領域9の円筒面18は上流側ねじ溝16の山の径と同じである。したがって、中間領域9が、第1の挿入部材30が上流側円筒領域7を超えて下流側に移動するのを防止する規制部として機能する。
【0025】
[1.2.2:第2の挿入部材]
実施形態1において、少なくとも一つの挿入部材は、第2の挿入部材40を備えていてもよい。
図6に示すように、第2の挿入部材40は、第2の中心軸41と、第2の中心軸41を中心とする円筒面(仮想面)に沿って形成された外ねじ42と、第2の中心軸41に沿って延在し、第2の挿入部材40を貫通するように形成された一つの中央流路43を有する。
【0026】
外ねじ42のねじ溝44は、上流側円筒領域7の上流側内ねじ12に形成された上流側ねじ溝16に丁度嵌る寸法(ピッチ、山の径、谷の径)を有する。
【0027】
中央流路43は、第2の挿入部材40が流路4に配置された状態で流れ方向5の上流側と下流側にそれぞれ位置する小径流路(絞り流路)45と大径流路46を含む。小径流路45と大径流路46は、それらの名称が示すとおり、小径流路45の内径が大径流路46の内径よりも小さい。図示するように、小径流路45の上流端は第2の挿入部材40の上流端に一致し、大径流路46の下流側は第2の挿入部材40の下流端に一致している。また、小径流路45の下流端と大径流路46の上流端が一致しており、これにより、小径流路45と大径流路46の間に段差47が形成されている。
【0028】
大径流路46の内径は、
図3,4に示すように、第2の挿入部材40を第1の挿入部材30の上流側に隣接して配置した状態で、第2の挿入部材40の大径流路46と第1の挿入部材30の複数の第1の流路37が互いに連通するように決められている。
【0029】
このように形成された第2の挿入部材40は、
図2,3に示すように、管状部材1の流路4の上流端から上流側円筒領域7における上流側内ねじ12の上流側ねじ溝16に螺合され、上流側円筒領域7に先に挿入された第1の挿入部材30の上流側に該第1の挿入部材30に接した状態で配置される。この状態で、第2の挿入部材40の第2の中心軸41が管状部材1の中心軸2に一致する。また、第2の挿入部材40は、第1の挿入部材30に当接した状態で、下流側への移動が防止される。したがって、第1の挿入部材30が第2の挿入部材40の規制部として機能する。
【0030】
[1.2.3:第3の挿入部材]
実施形態1において、少なくとも一つの挿入部材は、第3の挿入部材50を備えていてもよい。
図7に示すように、第3の挿入部材50は、第3の中心軸51と、第3の中心軸51を中心とする外周円筒面52と、第3の挿入部材50を貫通する複数の第3の流路(螺旋流路)53が形成されている。外周円筒面52の外径は、管状部材1における大径流路部分20に形成されている第3の領域23の内径とほぼ同じである。
【0031】
実施形態1において、複数の第3の流路53は、第3の中心軸51を中心とする円筒面54(
図7(a)に点線で示す仮想面。)上に等間隔に(実施形態1では、90°の間隔をあけて)且つ円筒面54の上を螺旋状に互いに平行に延在する4つの偏心螺旋軸55に沿って延在する螺旋流路である。
【0032】
このように形成された第3の挿入部材50は、
図3,4に示すように、管状部材1の流路4の上流端から、大径流路部分20の第3の領域23に挿入されて配置される。この状態で、第3の挿入部材50の第2の中心軸51が管状部材1の中心軸2に一致する。また、第3の挿入部材50は、配置された状態で、第2の領域22と第3の領域23との間に形成された段部25に当接して、下流側への移動が防止される。したがて、段部25が第3の挿入部材50の規制部として機能する。
【0033】
[A2.ファインバブル生成ユニットの作用]
【0034】
このように構成された実施形態1のユニット100は、後述する給水システムのように、液体を取り扱う各種液体取扱装置に組み込まれる。
【0035】
液体取扱装置に組み込まれた状態で、流路4内にその上流側から下流側に向けて液体(例えば、水)が流される。流路4に入った液体は、まず大径流路部分20に設けた第3の挿入部材50の第3の流路53に入る。第3の流路53の横断面積(流路断面)は、上流側の第4の領域24の横断面積(流路断面)よりも小さい。したがって、第3の流路53に入った液体の流速が上昇する。また、第3の流路53を通過する液体の圧力が変化し(具体的には、動圧(運動エネルギー)が上昇し、静圧が減少する。)、その結果、液体に溶解している気体が気泡となって析出する。次に、第3の流路53を通過した液体は、第3の流路53の下流側に位置する第2の領域22に入る。ここで、第2の領域22の横断面積(流路断面)は第3の流路53の横断面積(流路断面)よりも大きい。そのため、第3の流路53を通過した液体の流速流が減少する。一方、第2の領域22に入った液体の圧力が変化し(具体的には、動圧(運動エネルギー)が低下し、静圧が上昇する。)、析出した気泡が破砕されて微細なファインバブルになる。また、第3の流路53は螺旋状に形成されているため、第3の挿入部材50の第3の流路53から出た液体は、螺旋流を形成する。
【0036】
次に、第3の挿入部材50から出た液体は、上流側円筒領域7に入り、該上流側円筒領域7を通過する際に、上流側ねじ溝16との接触によってせん断される。その結果、析出した気泡がせん断破壊されてさらに微細なファインバブルになる。
【0037】
次に、上流側円筒領域7の下流側に移動した液体は、第2の挿入部材40の上流側小径流路45に入る。小径流路45の横断面積(流路断面)は、上流側円筒領域7の横断面席(流路断面)よりも小さい。したがって、小径流路45に入った液体の流速が上昇するとともに、圧力が変化する(具体的には、動圧(運動エネルギー)が上昇し、静圧が減少する。)。これにより、液体中に溶解している残存気体が気泡となって析出する。
【0038】
次に、上流側の小径流路45を通過した液体は、下流側の大径流路46に入ると圧力が変化し(具体的には、動圧(運動エネルギー)が低下し、静圧が上昇する。)、析出した気泡が破砕されて微細なファインバブルになる。
【0039】
次に、第2の挿入部材40の大径流路46を通過した液体は、第1の挿入部材30の複数の第1の流路37に入る。このとき、第2の挿入部材40を通過した液体は、
図4に矢印56で示すように径方向外側に向かって、第1の流路37に流れ込む。そのため、第1の流路37を通過する液体は、周囲のねじ溝16から受ける摩擦によってせん断され、これにより液体に含まれる気泡がせん断破壊されてさらに微細なファインバブルが生成される。
【0040】
また、第1の挿入部材30における第1の流路37の横断面積(流路断面)は第2の挿入部材40の大径流路46の横断面積(流路断面)よりも小さい。そのため、第1の流路37に入った液体の流速が上昇するとともに、圧力が変化する(具体的には、動圧(運動エネルギー)が上昇し、静圧が減少する。)。これにより、液体中に溶解している残存気体が気泡となって析出する。
【0041】
次に、第1の挿入部材30を通過した液体は、下流側円筒領域8に入る圧力が変化し、(具体的には、動圧(運動エネルギー)が低下し、静圧が上昇する。)、析出した気泡が破砕されて微細なファインバブルになる。また、下流側ねじ溝17の近傍を通過する液体は、下流側ねじ溝17との接触によってさらにせん断される。その結果、液体に含まれる気泡がさらにせん断破壊されて微細なファインバブルになる。
【0042】
このように、ファインバブル生成ユニット100の流路4を流れる液体は、繰り返し圧力の変化を受けることにより大量のファインバブルが生成されるだけでなく、生成されたファインバブルはねじ溝との接触によって繰り返しせん断される。これにより、流路4から吐出される液体は、勢いが良く、大量のファインバブルを含む。
【0043】
また、第1から第3の挿入部材30から50はいずれも、それぞれの下流側に位置する規制部(例えば、第1の挿入部材30は中間領域9、第2の挿入部材40は第1の挿入部材30,第3の挿入部材50は段差25)によって下流側への移動が規制されている。そのため、ファインバブルが長期間にわたって安定して生成される。
【0044】
[1.2.4:他の実施形態]
上述した実施形態1のファインバブル生成ユニットは、種々改変可能である。
【0045】
例えば、実施形態1では、上流側円筒領域7と下流側円筒領域8の間に中間領域9を設け、そこを無ねじ部とすることで、上流側円筒領域7の下流端に設けた第1の挿入部材30の下流側への移動を規制した(つまり、中間領域9を規制部として機能させた)が、上流側円筒領域7の下流端を下流側円筒領域8の上流端に一致させることによって中間領域を無くしてもよい。この場合、下流側円筒領域8の下流側ねじ溝17の寸法(ピッチ又は山の内径若しくはそれらの両方)を上流側円筒領域7の上流側ねじ溝16の寸法と違えることによって、上流側円筒領域7の下流端と下流側円筒領域8の上流端がつながる部分を規制部として機能させ、第1の挿入部材30の下流側への移動を防止することができる。
【0046】
実施形態1では、管状部材1の中に3つの挿入部材30,40,50を配置したが、1つだけ又は任意の2つの挿入部材だけを配置してもよい。例えば、管状部材1の中に第1の挿入部材30だけまたは第2の挿入部材40だけを設けた形態、第1の挿入部材30と第3の挿入部材50だけを設けた形態又は第2の挿入部材40と第3の挿入部材50だけを設け形態(この場合、第2の挿入部材が第1の挿入部材に代わる。)も、本願発明に含まれる。
【0047】
実施形態1では、第1の挿入部材30の第1の流路37は、中心軸31に平行にまっすぐに形成したが、第3の挿入部材50の第3の流路53と同様の螺旋流路としてもよいし、第3の挿入部材50の第3の流路53を第1の挿入部材30の第1の流路37と同様の真っ直ぐな流路としてもよい。
【0048】
実施形態1では、第1の挿入部材30における上流側円筒領域7(上流側内ねじ12)の内径と下流側円筒領域8(下流側内ねじ15)の内径を同じとしたが、上流側円筒領域7(上流側内ねじ12)の内径を下流側円筒領域8(下流側内ねじ15)の内径よりも小さくしてもよいし、逆に、上流側円筒領域7(上流側内ねじ12)の内径を下流側円筒領域8(下流側内ねじ15)の内径よりも大きくしてもよい。ただし、前者の場合、上流側円筒領域7(上流側内ねじ12)の下流側には、中間領域(規制部)を設けて挿入部材30,40の抜けを防止することが望ましい。
【0049】
なお、以上の説明では、ファインバブル生成ユニットの各部の寸法は、上述した実施形態1の作用効果が損なわれないことを条件に、適宜変更することができる。
【0050】
[B.給水システム]
図8から
図11を参照して、ファインバブル発生器を組み込んだ給水システムを説明する。
【0051】
給水システム101は、水栓102と、ホースユニット103と、水栓102とホースユニット103を接続する接続機構104を有する。
【0052】
図示する水栓102は、水または湯のいずれかを吐出する単水栓であるが、水と湯を混合して吐出する混合栓であってもよいし、その他の型式の水栓であってもよい。
【0053】
ホースユニット103は、ホース105と、ホース105の基端に接続されたホースジョイント106を有する。ホースジョイント106は、上述した実施形態1のユニット100を具体化したもので、金属(例えば、ステンレス)又はプラスチックからなる筒状の部材からなり、中心軸に沿って、基端側(上流側)から末端側(下流側)まで連続した円筒空間(流路)1104が形成されている。円筒空間1104は、基端側から末端側に向かって順番に、実施形態1で説明した上流側大径円筒領域1122、下流側大径円筒領域1121、上流側円筒領域1107、中間領域1109、下流側円筒領域1108が形成されており、上流側円筒領域1107に上流側内ねじ1112が形成され、下流側円筒領域1108に下流側内ねじ1115が形成されており、中間領域1109は無ねじ領域となっている。上流側円筒領域1107には、上流側円筒領域1107の下流側端部に第1の挿入部材1130が配置され、第1の挿入部材1130の上流側に隣接して第2の挿入部材1140が配置されている。また、下流側大径円筒領域1121には第3の挿入部材1150が配置されている。
【0054】
ホースジョイント106は、末端側をホース105の基端に差し込み、周囲に金属製のカラー119をかしめて、ホース105に固定される。ホース105からホースジョイント106が抜けるのを防止するために、ホースジョイント106の末端側外周には環状凹凸120が形成され、その外形に沿った形にカラー119がかしめて変形される。
【0055】
水栓102とホースユニット103を接続する接続機構104は、水栓102に設けた水栓側接続機構部分とホースユニット103に設けたホース側接続機構部分を有する。
【0056】
水栓側接続機構部分は、水栓102の吐出口121がはめ込まれる環状のソケット122を有する。ソケット122は、ソケット122を吐出口121に装着した状態で、ソケット122の内周面と外周面を貫通する複数のねじ孔123にねじ124を嵌めて、固定される。ソケット122と吐出口121との間には、両者の隙間を埋める環状のアダプタ125が配置される。
【0057】
ソケット122の外周には環状の口金126が固定される。そのために、ソケット122の外周面には外ねじ127が形成され、口金126の内周面には対応する内ねじ128が形成され、これら外ねじ127と内ねじ128を嵌め合わせることによって両者が連結される。ソケット122と口金126との間をシールするために、両者の間にはパッキン129が配置される。
【0058】
口金126は、末端側に筒状口部130を有する。筒状口部130の外周面には、環状の溝131が形成されている。
【0059】
ホース側接続機構部分は、ホースジョイント106の基端側外周に装着されたスリーブ132を有する。スリーブ132の基端側内周面には、基端から末端側に向かって次第に径が小さくなるテーパ面133が形成され、テーパ面133の末端側に環状段部134が形成されている。
【0060】
スリーブ132に覆われたホースジョイント106の基端側円筒部分には、周方向に一定の間隔をあけて、内周面と外周面を貫通する複数の貫通孔135が形成され、該貫通孔135に対応する大きさの金属球136が収容されている。ホースジョイント106の基端側円筒部分の内周面には、貫通孔135の末端側に環状の溝137が形成され、該溝132にパッキン138が配置されている。一方、ホースジョイント106の基端側円筒部分の外周面には、環状段部139が形成され、該環状段部139とスリーブ132の環状段部134との間にヘリカルスプリング140が配置されている。これにより、スプリング140のばね力によって、ホースジョイント116に対してスリーブ132が基端側に付勢され、
図22に示す前進位置に保持される。実施例では、ホースジョイント106の基端側外周には、溝141が形成されるとともに該溝141に止めリング142が装着されており、これによって、スリーブ132は図示する前進位置に保持されている。
【0061】
口金126にホースジョイント106を接続する場合、まずスプリング140の付勢力に抗してスリーブ132を末端側に移動する。これにより、貫通孔135に収容された金属球136は径方向外側に移動可能となる。次に、この状態からホースジョイント106に口金126の筒状口部130を差し込む。このとき、挿入される筒状口部130が金属球136に当たり、該金属球136を外側に移動する。また、筒状口部130の外周面にパッキン138が接触し、ホースジョイント106と口金126との間がシールされる。
【0062】
筒状口部130が完全に差し込まれた後、スリーブ132を解放し、スプリング140の付勢力によって前進位置に移動させる。これにより、金属球136は径方向内側に移動して溝131に嵌る。また、スリーブ132の外周に一体的に形成した係止爪143が口金126の環状フランジ144に係合し、ホースジョイント116を口金126に連結する。
【0063】
このように構成された給水システム101によれば、水栓102から吐出される圧力水は、口金126を介してホースジョイント106に入り、第3の挿入部材1150、第2の挿入部材1140及び第1の挿入部材1130を順次通過してホース103に流れ、その際、加圧と減圧が繰り返されることにより気泡を発生するとともに、発生した気泡が内ねじとの接触によって細かくせん断され、マイクロバブルとウルトラファインバブルを大量に含むファインバブル含有水が生成される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上述した複数の実施形態のユニットは、種々の分野で種々の目的に利用できる。例えば、環境分野(工場排水処理、汚泥減容化、水質浄化、水質改善)、農業分野(植物成長促進、収量増加、品質向上、害虫駆除)、食品分野(鮮度保持、酸化防止、薬剤使用抑制)、洗浄分野(トイレの洗浄、衣類や食品の洗浄)、美容分野(洗顔、頭皮洗浄、シャワーヘッド)等における給水システムに幅広く利用可能である。その場合、適用する分野によっては、液体は水である必要はなく、水以外の液体(例えば油、油と油以外の液体との混合液)であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
100:ファインバブル生成ユニット
1:管状部材
2:中心軸
3:管状内壁
4:流路
5:流れ方向
6:下流側流路部分
7:上流側円筒領域
8:下流側円筒領域
9:中間領域
12:上流側内ねじ12
15:下流側内ねじ15
16:上流側ねじ溝16
17:下流側ねじ溝17
20:大径流路部分
30:第1の挿入部材
31:第1の中心軸
33:外ねじ
34:ねじ溝
37:第1の流路
40:第2の挿入部材
41:第2の中心軸
42:外ねじ
43:中央流路
44:ねじ溝
45:小径流路(絞り流路)
46:大径流路
50:第3の挿入部材
51:第3の中心軸
52:外周円筒面
53:第3の流路(螺旋流路)
54:円筒面
55:偏心螺旋軸
【手続補正書】
【提出日】2022-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に圧力の変化を与えることによって液体中の溶存気体を気泡化してファインバブルを生成するファインバブル生成ユニット(100)であって、
前記ファインバブル生成ユニット(100)は、
中心軸(2)と前記中心軸(2)に沿って延在する筒状の内壁(3)によって囲まれた液体流路(4)とを含む管状部材(1)と、
前記液体流路(4)の中に配置された少なくとも1つの挿入部材とを備えており、
前記管状部材(1)の前記内壁(3)は、前記液体流路(4)の流れ方向(5)に関して上流側と下流側にそれぞれ分かれて位置する上流側円筒領域(7)と下流側円筒領域(8)とを有し、
前記上流側円筒領域(7)には、前記流れ方向(5)に関して前記上流側円筒領域(7)の上流端(10)から前記上流側円筒領域(7)の下流端(11)まで連続的に延在する上流側内ねじ(12)が形成され、
前記下流側円筒領域(8)には、前記流れ方向(5)に関して前記下流側円筒領域(8)の下流端(14)から前記下流側円筒領域(8)の上流端(13)まで連続的に延在する下流側内ねじ(15)が形成され、
前記少なくとも1つの挿入部材は第1の挿入部材(30)を含み、
前記第1の挿入部材(30)は、第1の中心軸(31)と、前記第1の中心軸(31)を中心とする円周上に前記上流側内ねじ(12)の上流側ねじ溝(16)に噛み合うねじ溝(34)が形成された第1の外ねじ(33)と、前記第1の中心軸(31)の方向に延在して前記第1の挿入部材(30)を貫通する少なくとも1つの第1の流路(37)を備えており、前記第1の外ねじ(33)を前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)にかみ合わせて前記上流側円筒領域(7)に配置されており、
前記上流側円筒領域(7)と前記下流側円筒領域(8)の間に、前記上流側円筒領域(7)に配置された前記第1の挿入部材(30)が前記下流側円筒領域(8)に移動するのを阻止する規制部が設けられている、
ことを特徴とするファインバブル生成ユニット。
【請求項2】
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)から前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)との間に配置された中間領域(9)を含み、
前記中間領域(9)の内周面はねじ溝の無い円筒面からなり、
前記中間領域(9)が前記規制部を構成している、
ことを特徴とする請求項1に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項3】
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)が前記下流側円筒領域(18)の前記上流端(13)に一致し、
前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)を構成する上流側ねじ溝(16)のねじ寸法が、前記下流側円筒領域(8)の前記下流側内ねじ(15)を構成する下流側ねじ溝(17)のねじ寸法と異なり、
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)と前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)の境界が前記規制部を構成している、
ことを特徴とする請求項1に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項4】
前記ねじ寸法が、ピッチ、山の内径、および谷の内径の少なくとも一つである、ことを特徴とする請求項3に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項5】
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)が前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)に一致し、
前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)を構成する前記上流側ねじ溝(16)の螺旋方向は、前記下流側円筒領域(8)の前記下流側内ねじ(15)を構成する前記下流側ねじ溝(17)の螺旋方向とは逆であり、
前記上流側円筒領域(7)の前記下流端(11)と前記下流側円筒領域(8)の前記上流端(13)の境界が前記規制部を構成している、
ことを特徴とする請求項1に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項6】
前記管状部材(1)は、前記上流側円筒領域(7)の前記上流端(10)から前記下流側円筒領域(8)の前記下流端(14)まで一定の内径を有する円筒面に、前記上流側円筒領域(7)の前記上流端(10)と前記下流側円筒領域(8)の前記下流端(14)からそれぞれ前記上流側内ねじ(12)と前記下流側内ねじ(15)が加工されてなるものである、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項7】
前記第1の挿入部材(30)は、前記第1の中心軸(31)を中心とする円周上に等しい間隔をあけて前記第1の中心軸(31)と平行に延在する複数の偏心軸(36)に沿って前記第1の挿入部材(30)を前記流れ方向(5)に貫通する複数の偏心流路(37)が形成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項8】
前記第1の挿入部材(30)は、前記第1の中心軸(31)を中心とする円周上に等しい間隔をあけて前記第1の中心軸(31)のまわりに螺旋状に延在する複数の螺旋偏心軸に沿って前記第1の挿入部材(30)を前記流れ方向(5)に貫通する複数の偏心流路が形成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項9】
前記第1の挿入部材は、前記第1の中心軸に沿って前記第1の挿入部材を前記流れ方向(5)に貫通する中央流路が形成されている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項10】
前記少なくとも1つの挿入部材は第2の挿入部材(40)を含み、
前記第2の挿入部材(40)は、第2の中心軸(41)と、前記第2の中心軸(41)を中心とする円周上に前記上流側内ねじ(12)の前記上流側ねじ溝(16)に噛み合うねじ溝(44)が形成された第2の外ねじ(42)と、前記第2の中心軸(41)に沿って前記第2の挿入部材(40)を前記流れ方向(5)に貫通する中央流路(43)が形成され、
前記中央流路(43)は、前記流れ方向(5)に関して前記中央流路(43)の上流端から下流側に延在する小径流路(45)と、前記小径流路(45)よりも大きな内径を有し、前記流れ方向(5)に関して前記小径流路(45)の下流端から前記中央流路(43)の下流端に延在する大径流路(46)とを含み、
前記第2の外ねじ(42)を前記上流側円筒領域(7)の前記上流側内ねじ(12)にかみ合わせて、前記上流側円筒領域(7)に配置されている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項11】
前記管状部材(1)は、前記流れの方向(5)に関して前記上流側円筒流路(7)の上流側に、前記上流側円筒流路(7)の内径よりも大きな内径の大径流路部分(20)を有する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項12】
前記少なくとも1つの挿入部材は第3の挿入部材(50)を含み、
前記第3の挿入部材(50)は前記大径流路部分(20)に配置されており、
前記第3の挿入部材(50)は、第3の中心軸(51)と、前記第3の中心軸(51)を中心とする円周上に等しい間隔をあけて前記第3の中心軸(51)のまわりに螺旋状に延在する複数の螺旋偏心軸(55)に沿って前記第3の挿入部材(50)を前記流れ方向(5)に貫通する複数の第3の流路(53)が形成されている、ことを特徴とする請求項11に記載のファインバブル生成ユニット。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかのファインバブル生成ユニットと、前記ファインバブル生成ユニットの下流側に接続されたホースとを備えた給水システム。
【請求項14】
前記ファインバブル生成ユニットの上流側に接続された水栓を備えた請求項13に記載の給水システム。