(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114827
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】検査装置、学習モデル生成方法および検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/18 20180101AFI20230810BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20230810BHJP
G01N 23/087 20180101ALI20230810BHJP
【FI】
G01N23/18
G01N23/04
G01N23/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017365
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】角田 光悦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健史
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA10
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA06
2G001DA08
2G001FA29
2G001HA13
2G001JA09
2G001KA05
2G001LA01
2G001PA11
(57)【要約】
【課題】被検査物の品質状態の検査精度の向上を図る。
【解決手段】検査装置1は、所定品種の被検査物Wを撮像して得られる、被検査物Wに対する透過特性が異なる3つの検査画像を疑似RGB画像として記憶する画像記憶部21と、画像記憶部21に記憶された疑似RGB画像に対し、疑似RGB画像と同じ形式の画像を用いて予め学習により作成した学習モデル22に基づき画素ごとに処理して品質不良度合を求め、品質不良度合と予め設定した閾値との比較により被検査物Wの品質状態を判定する判定部24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物(W)を撮像して得られる、透過特性が異なる3つの検査画像を疑似RGB画像として記憶する画像記憶部(21)と、
前記画像記憶部に記憶された前記疑似RGB画像に対し、該疑似RGB画像と同じ形式の画像を用いて予め学習により作成した学習モデル(22)に基づき画素ごとに処理して品質不良度合を求め、該品質不良度合と予め設定した閾値との比較により前記被検査物の品質状態を判定する判定部(24)と、を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記学習モデルは、少なくとも品質不良の画像を含んだ前記疑似RGB画像と同じ形式の画像に対し、前記被検査物の品種ごとに学習したものであることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記疑似RGB画像が前記被検査物を透過する光を分光して得られる3つの検査画像であることを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
被検査物(W)の良品画像と該被検査物の品質不良のみの画像を学習用画像として取得する学習用画像取得ステップと、
前記学習用画像を用いて前記被検査物の良品画像に前記品質不良のみの画像を合成した学習用品質不良合成画像と、該学習用品質不良合成画像における品質不良位置を示す学習用品質不良ラベルを作成するステップと、
前記学習用品質不良合成画像の機械学習を行って学習モデル(22)を作成するステップと、を含み、
前記学習用画像取得ステップで取得する前記学習用画像は、前記被検査物を撮像して得られる、透過特性が異なる3つの検査画像からなる疑似RGB画像であることを特徴とする学習モデル作成方法。
【請求項5】
被検査物(W)を撮像して得られる、透過特性が異なる3つの検査画像からなる前記被検査物の疑似RGB画像に対し、請求項4の学習モデル作成方法で作成した学習モデル(22)に基づき画素ごとに処理して品質不良度合を求め、該品質不良度合と予め設定した閾値との比較により前記被検査物の品質状態を判定するステップを含むことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物に要求される品質状態を検査する検査装置、学習モデル生成方法および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物に要求される品質状態をX線により検査する装置として、例えば下記特許文献1に開示されるX線検査装置が知られている。この特許文献1に開示されるX線検査装置は、X線検出器からのX線画像データをX線画像記憶部に記憶し、学習対象品種に関する所定のエネルギ帯を含む異なる複数のエネルギ帯のX線画像データの学習結果を基に他のエネルギ帯のX線画像データを疑似画像生成モデルにて疑似生成し、被検査物のX線画像データを基に疑似画像生成モデルにより他のエネルギ帯での疑似透過画像を画像作成部にて作成し、被検査物の所定エネルギ帯のX線画像データと画像作成部で作成された他のエネルギ帯での疑似透過画像とに基づいて判定部が被検査物の品質状態を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示される従来の検査装置では、判定に用いる透過画像がグレースケールの1画像であり、判定のための情報量が少ないため、被検査物の品質状態の検査精度の向上を図るには限界があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、被検査物の品質状態の検査精度の向上を図ることができる検査装置、学習モデル生成方法および検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された検査装置は、被検査物Wを撮像して得られる、透過特性が異なる3つの検査画像を疑似RGB画像として記憶する画像記憶部21と、
前記画像記憶部に記憶された前記疑似RGB画像に対し、該疑似RGB画像と同じ形式の画像を用いて予め学習により作成した学習モデル22に基づき画素ごとに処理して品質不良度合を求め、該品質不良度合と予め設定した閾値との比較により前記被検査物の品質状態を判定する判定部24と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載された検査装置は、請求項1の検査装置において、
前記学習モデルは、少なくとも品質不良の画像を含んだ前記疑似RGB画像と同じ形式の画像に対し、前記被検査物の品種ごとに学習したものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載された検査装置は、請求項1または2の検査装置において、
前記疑似RGB画像が前記被検査物を透過する光を分光して得られる3つの検査画像であることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載された学習モデル生成方法は、被検査物Wの良品画像と該被検査物の品質不良のみの画像を学習用画像として取得する学習用画像取得ステップと、
前記学習用画像を用いて前記被検査物の良品画像に前記品質不良のみの画像を合成した学習用品質不良合成画像と、該学習用品質不良合成画像における品質不良位置を示す学習用品質不良ラベルを作成するステップと、
前記学習用品質不良合成画像の機械学習を行って学習モデル22を作成するステップと、を含み、
前記学習用画像取得ステップで取得する前記学習用画像は、前記被検査物を撮像して得られる、透過特性が異なる3つの検査画像からなる疑似RGB画像であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に記載された検査方法は、被検査物Wを撮像して得られる、透過特性が異なる3つの検査画像からなる前記被検査物の疑似RGB画像に対し、請求項4の学習モデル作成方法で作成した学習モデル22に基づき画素ごとに処理して品質不良度合を求め、該品質不良度合と予め設定した閾値との比較により前記被検査物の品質状態を判定するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、RGBカラー画像に対応する透過に基づく3chの検査画像によって判定を学習させ、被検査物の品質検査の検査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る検査装置のブロック構成図である。
【
図2】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の学習フェーズのフローチャートである。
【
図3】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の推論フェーズのフローチャートである。
【
図4】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の学習時に用いられる異物合成画像の作成例を示す図である。
【
図5】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の学習時に用いられる学習用画像と学習用異物ラベルの一例を示す図である。
【
図6】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の推論用画像の一例を示す図である。
【
図7】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の画像処理部の説明図である。
【
図8】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の判定部の説明図である。
【
図9】本発明に係る検査装置において被検査物の異物の有無を検査する場合の表示部の表示例を示す図である。
【
図10】本発明に係る検査装置において被検査物の形状不良を検査する場合の推論フェーズのフローチャートである。
【
図11】本発明に係る検査装置において被検査物の形状不良を検査する場合の学習時に用いられる学習用画像と学習用形状不良ラベルの一例を示す図である。
【
図12】本発明に係る検査装置において被検査物の形状不良を検査する場合の画像処理部の説明図である。
【
図13】本発明に係る検査装置において被検査物の形状不良(欠け)を検査する場合の判定部の説明図である。
【
図14】本発明に係る検査装置において被検査物の形状不良(欠け)を検査する場合の表示部の表示例を示す図である。
【
図15】本発明に係る検査装置において被検査物の形状不良(曲がり)を検査する場合の判定部の説明図である。
【
図16】本発明に係る検査装置において被検査物の形状不良(曲がり)を検査する場合の表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、検査装置1は、搬送部2、画像取得部3、制御部4、表示部5を具備して概略構成される。この検査装置1では、搬送部2により搬送される検査対象の品種の被検査物Wに対して透過した画像を撮像して得られる、透過特性が異なる3つの検査画像(異物とそれ以外を区別でき、濃淡具合(変化)が異なるグレースケール画像)を、カラーカメラで撮像した被検査物Wを画素ごとに3原色に分けたRGB画像のように被検査物Wに対する位置情報が同じである疑似RGB画像とし、この疑似RGB画像に対し、その品種に対応する学習モデル(演算式)に基づき画素ごとに処理し、品質不良である確率を示す品質不良度合(例えば異物度合、形状不良度合など)を求め、求めた品質不良度合と予め設定した閾値との比較により被検査物Wの品質状態を判定して被検査物Wの検査(例えば包装された食品等の被検査物W中への異物混入の有無の検査)を行う。
【0015】
なお、本例における「品質状態」とは、被検査物Wに製品として要求される品質や物理量の適否等を意味する。具体的には、被検査物Wに混入する異物(骨、金属等)の有無、内容量の過不足、異種内容物、内容量の形状不良等がある。
【0016】
搬送部2は、被検査物Wを搬送方向Aに対して所定間隔おきに順次搬送するもので、例えばループ状の搬送ベルト11を複数の搬送ローラ12に巻回させ、搬送ベルト11の上走区間13により被検査物Wを
図1中の右方向に順次搬送することができるコンベアを不図示の筐体に支持して構成される。搬送ローラ12は、図示しないモータにより回転駆動され、所定の搬送速度となるように制御部4により制御される。
【0017】
画像取得部3は、後述する学習フェーズに用いる学習用画像や、後述する推論フェーズに用いる被検査物Wの推論用画像を取得するもので、搬送部2により搬送される被検査物Wの品質状態を検査する検査部を兼ねている。
【0018】
画像取得部3は、学習用画像と推論用画像をX線画像として取得する場合、例えば搬送部2により搬送される被検査物Wを透過する所定エネルギー帯のX線を発生するX線発生器14と、搬送部2の搬送ベルト11の上走区間13の直下にX線発生器14と対向して配置されたX線検出器15とを有して構成される。
【0019】
X線発生器14は、公知のX線管16により、その管電流および管電圧に応じた波長および強度のX線を発生させるとともに、外囲器17のX線窓部17aを通し、搬送部2の搬送方向に対し直交するファンビーム状のX線を搬送ベルト11上の被検査物Wやサンプル(被検査物Wの良品ワーク、異物)に照射できるようになっている。
【0020】
X線管16の管電流および管電圧は、検査対象の被検査物Wの材質やサイズ(特にX線が透過する方向の寸法)に応じて設定値を調整するとよく、新規の品種については被検査物Wやサンプルを用いたテスト撮像によって適切なコントラストが得られるように設定値が決定または選択される。
【0021】
X線検出器15は、例えば蛍光体であるシンチレータとフォトダイオードもしくは電荷結合素子とからなる検出素子を、搬送部2の搬送路の幅方向にアレイ状に所定ピッチで配設し、所定解像度でのX線検出を行うようにしたX線ラインセンサカメラで構成され、X線発生器14からのX線照射位置に対応する搬送方向所定位置に配置されている。
【0022】
そして、X線検出器15は、X線発生器14から照射されて被検査物Wやサンプルを透過したX線を検出素子に対応する所定透過領域ごとに検出し、そのX線の透過量に応じた電気信号に変換して、透過領域ごとのX線検出信号を出力する。
【0023】
ここで、被検査物Wの異物の有無を検査する場合のX線画像による学習用画像の取得方法について説明する。初めに、被検査物Wのある品種に関して、テスト撮像によりX線管16の管電流および管電圧が設定されて、搬送部2が駆動制御される。すなわち、被検査物Wのある品種に関して、X線画像を取得する取得条件が設定され、例えば1000枚の良品画像と50枚の異物(骨)のみ画像を学習用画像として取得する場合、まず、被検査物Wの良品ワークに対し、X線発生器14からX線を例えば所定高さ離れた位置から照射して得た同一タイミングでの低エネルギー画像(良品)_(1ch)と、高エネルギー画像(良品)_(1ch)を取得する。この作業を1000回実行し、1000枚の低エネルギー画像(良品)と、1000枚の高エネルギー画像(良品)を取得する。これにより、1回の実行で1枚の低エネルギー画像(良品)と1枚の高エネルギー画像(良品)が取得可能となる。
【0024】
同様に、異物のみワーク(例えば骨1個のみ)に対し、X線発生器14からX線を例えば所定高さ離れた位置(良品画像のときと同じ位置)から照射して得た同一タイミングでの低エネルギー画像(異物1個のみ)_(1ch)と、高エネルギー画像(異物1個のみ)_(1ch)を取得する。この作業を50回実行し、50枚の低エネルギー画像(異物1個のみ)と、50枚の高エネルギー画像(異物1個のみ)を取得する。これにより、1回の実行で1枚の低エネルギー画像(異物1個のみ)と1枚の高エネルギー画像(異物1個のみ)が取得可能となる。
【0025】
このようにして、被検査物Wのある品種について、所定の取得条件での学習用画像が取得される。
【0026】
次に、上述した学習用画像から3chの疑似RGB画像を作成する。この場合、被検査物Wの良品ワークに対してX線発生器14からX線を照射して得た同一タイミングでの低エネルギーと高エネルギーの良品画像を複数、異物の同一タイミングでの低エネルギーと高エネルギーの異物のみ画像から切り出した異物のデータベース画像を1つ用意し、1つの良品画像上で異物のデータベース画像をランダムな位置にずらしながら合成した異物を含んだ3chの疑似RGB画像(低エネルギー画像と高エネルギー画像とその2つの画像の差分画像からなる)を多数枚作成する(例えば数十枚/良品画像)。この1良品画像から多数枚の疑似RGB画像作成について、用意した複数の良品画像に対して行う。さらに、異物の同一タイミングでの低エネルギーと高エネルギーの異物のみ画像を他にも複数枚用意し、同様の方法により位置情報が同じで透過特性が異なる3chの疑似RGB画像を作成する。
【0027】
さらに、3chの疑似RGB画像の作成方法について、具体的な数値例を示して説明する。まず、学習用画像として、1000枚の低エネルギー画像(良品)_(1ch)、1000枚の高エネルギー画像(良品)_(1ch)、50枚の低エネルギー画像(異物1個のみ)_(1ch)、50枚の高エネルギー画像(異物1個のみ)_(1ch)をそれぞれ取得する。
【0028】
そして、50枚の低エネルギー画像(異物1個のみ)_(1ch)、50枚の高エネルギー画像(異物1個のみ)_(1ch)を使用して、異物が写っている領域のみを切り出した異物のデータベース画像を低エネルギー、高エネルギーのそれぞれで作成する。すなわち、1枚の低エネルギー画像(異物50個が写っている)_(1ch)、1枚の高エネルギー画像(異物50個が写っている)_(1ch)を作成する。
【0029】
次に、1枚の低エネルギー画像(良品)_(1ch)、1枚の高エネルギー画像(良品)_(1ch)、1枚の低エネルギー画像(異物50個が写っている)_(1ch)、1枚の高エネルギー画像(異物50個が写っている)_(1ch)から1枚の低エネルギー画像(良品に異物を合成したもの)_(1ch)、1枚の高エネルギー画像(良品に異物を合成したもの)_(1ch)を画像合成して異物合成画像を作成する。
【0030】
なお、良品画像に異物を合成する際は、異物位置:良品ワーク上のランダムな位置、かつ、(低、高)エネルギー画像で同じ位置、異物回転角:0~360度でランダム、異物個数:ランダムに選択(異物50個の中からランダムに1つ又は複数選択)とし、同時に異物の座標データ(ラベル)もそのときに出力する。
【0031】
ここで、1枚の低エネルギー画像(異物50個が写っている)_(1ch)から1つの異物(骨)のみ画像(低エネルギー)i1を選択し、選択した1つの異物(骨)のみ画像i1を1枚の低エネルギー画像(良品)_(1ch)i2に合成して異物合成画像i3を作成した場合の一例を
図4に示す。
【0032】
そして、1枚の低エネルギー画像(良品に異物を合成したもの)_(1ch)、1枚の高エネルギー画像(良品に異物を合成したもの)_(1ch)を用いて両者を差分する。これにより、1枚の差分画像(良品に異物を合成した低エネルギー画像と高エネルギー画像を差分したもの)_(1ch)を作成する。
【0033】
さらに、1枚の低エネルギー画像(良品に異物を合成したもの)_(1ch)、1枚の高エネルギー画像(良品に異物を合成したもの)_(1ch)、1枚の差分画像(良品に異物を合成した低エネルギー画像と高エネルギー画像を差分したもの)_(1ch)から例えば
図5に示すような異物(図中の斜線で示す部分)を含む1枚の疑似RGB画像(R成分:低エネルギー、G成分:高エネルギー、B成分:差分)_(3ch)と異物の座標データを学習用異物合成画像i4と学習用異物ラベルrとして作成する。
【0034】
以上の作業を1000回実行し、学習用異物合成画像i4と学習用異物ラベルrとして、1000枚の疑似RGB画像(R成分:低エネルギー、G成分:高エネルギー、B成分:差分)_(3ch)と1000個の異物の座標データ(低、高エネルギーと位置は共通)を取得する。
【0035】
次に、X線画像による推論用画像の取得方法について説明する。X線画像による推論用画像を取得する場合は、前述した学習用画像を取得する場合と画像取得部3における画像の取得条件(X線発生器14とX線検出器15の構成と配置、X線照射条件、X線検出条件、搬送速度等)が同じである必要がある。低エネルギー画像と高エネルギー画像の取得についてより具体的に記載すると、例えば被検査物Wに対し、X線発生器14の1つのX線源からX線を例えば所定高さ離れた真上から照射し、被検査物Wを透過したX線をX線フィルタで線質(照射中の放射線の種類あるいはエネルギーがどのようなものであるかをいう。)を異ならせて2つのX線ラインセンサカメラで検出し、2つのX線ラインセンサカメラで検出した画像をそれぞれ低エネルギー画像と高エネルギー画像として扱い、この2つの画像から差分画像を作成する。
【0036】
あるいは、X線フィルタを用いた後に、X線発生器14から線質の異なるX線を例えば所定高さ離れた真上から被検査物Wに照射し、被検査物Wを透過したX線を異なるエネルギー毎に2つのX線ラインセンサカメラで検出し、2つのX線ラインセンサカメラで検出した画像をそれぞれ低エネルギー画像と高エネルギー画像として扱い、この2つの画像から差分画像を作成する(特開2002-168803号公報、特許第5297087号公報参照)。
【0037】
または、2つのX線発生器14からそれぞれ低エネルギーのX線と高エネルギーのX線を例えば所定高さ離れた真上から被検査物Wに照射し、被検査物Wを透過したX線を対応する2つのX線ラインセンサカメラでそれぞれ検出し、2つのX線ラインセンサカメラが検出した低エネルギー画像と高エネルギー画像から差分画像を作成する(特許第5706724号公報、特許第5775406号公報参照)。
【0038】
または、低エネルギー画像と高エネルギー画像が同時に取得できる光子計数(フォトンカウンティング)型のX線検出器を1台使用してもよい。
【0039】
なお、2台のX線ラインセンサカメラを用いる場合は、少なくとも両X線ラインセンサカメラの配置間隔および搬送部2(搬送ベルト11)の搬送速度、もしくはこれらに基づいて決定付けられる値が取得条件に含まれるとよい。これにより、各X線ラインセンサカメラにより取得される画像における被検査物Wの撮像位置の差が把握できる。撮像位置の差が定量的に把握できていれば、その差を小さくしたり、その差の影響を小さくするように種々の演算処理が実施できるため、「位置情報が同じ」と技術的に同義である。
【0040】
また、光子計数型のX線検出器を用いる場合は、少なくとも光子計数のためのエネルギー閾値が取得条件に含まれるとよい。光子計数型のX線検出器は、設定されるエネルギー閾値に応じたエネルギー帯ごとに異なる透過特性を示す画像が出力されるため、原理上、低エネルギー画像と高エネルギー画像における被検査物Wの撮像位置が同一となり都合がよい。すなわち、光子計数型のX線検出器により取得される画像は、「位置情報が同じ」という表現に含まれる。
【0041】
そして、
図6に示すように、位置情報が同じで透過特性が異なる3つのX線画像による低エネルギー画像をRGBカラー画像のR成分、高エネルギー画像をRGBカラー画像のG成分、差分画像をRGBカラー画像のB成分にそれぞれ見立てた3chの疑似RGB画像を推論用画像i5として取得する。
【0042】
制御部4は、被検査物Wの品質状態を検査するために各部を統括制御するもので、画像記憶部21、学習モデル22、画像処理部23、判定部24を含んで構成される。そして、搬送部2、検査部3(画像取得部3)、表示部5を動作させるための各種パラメータを記憶し、また各種データを処理する。特に、搬送部2や検査部3(画像取得部3)の動作に関して、検査対象の被検査物Wの品種ごとの検査パラメータが各品種を示す品種番号に対応付けて設定されている。
【0043】
検査パラメータには、被検査物Wを撮像したときに得られる画像に対して適用される学習モデル22(演算式)や、品質状態を判定するための閾値が含まれる。
【0044】
画像記憶部21は、検査対象の被検査物Wに対して設定された品種の検査パラメータを用いて画像取得部3にて取得した推論用画像i5を記憶する。推論用画像i5は、上述したように、例えば低エネルギー画像をRGBカラー画像のR成分、高エネルギー画像をRGBカラー画像のG成分、差分画像(低エネルギー画像と高エネルギー画像の差分)をRGBカラー画像のB成分にそれぞれ見立てた3chの疑似RGB画像からなる。
【0045】
学習モデル22は、学習用画像に基づく3chの疑似RGB画像を用いて後述する学習フェーズを例えばパーソナルコンピュータなどの外部端末で実行することにより作成される学習済みのモデルである。この学習モデル22は、後述する推論フェーズにて被検査物Wの推論用画像i5の品質不良度合としての異物度合:Kを計算する際に用いられる。異物度合とは、異物である確率を示す値である。なお、この学習モデル22に関する検査装置1と外部端末との間のデータ移動は、例えば、ネットワークやUSBメモリ等の外部記憶媒体を介して行われる。
【0046】
画像処理部23は、画像記憶部21に記憶された推論用画像i5(3chの疑似RGB画像)の画像データに対し、検査対象の品種に対応する学習モデル22(推論用画像i5と同じ取得条件で取得した学習用画像により作成された学習モデル)に基づいて所定の判定処理のための画像処理を実行する。
【0047】
判定部24は、画像処理部23による処理後の画像データを基に被検査物Wの品質状態の判定処理(例えば異物の有無の判定処理)を実行する。
【0048】
なお、特に図示はしないが、制御部4には、搬送部2での搬送ベルト11による被検査物Wの搬送速度や搬送間隔等を制御する搬送制御手段や、検査部3におけるX線照射強度や照射期間を制御したり被検査物Wの搬送速度に応じたX線検出器15のX線ラインセンサでのX線検出周期および各被検査物Wの検出期間等を制御する検査制御手段も含まれる。
【0049】
表示部5は、例えば液晶などの各種表示器で構成され、判定部24での判定結果を表示出力する。
【0050】
次に、学習モデル22を作成するために実行される学習フェーズについて
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0051】
学習フェーズでは、推論用画像i5と同じ形式の画像、すなわち、位置情報が同じで透過特性が異なる3つの透過画像(例えばR成分:低エネルギー画像、G成分:高エネルギー画像、B成分:差分画像)からなる3chの疑似RGB画像を用いて学習を行う。この学習は、検査対象となる被検査物Wの品種ごとに行う。
【0052】
図2に示すように、学習フェーズでは、最初に学習用画像を取得する(ST1)。具体的には、学習用画像として、前述したように、X線画像による良品画像:1000枚、異物(骨)のみ画像:50枚を検査装置1で取得する。
【0053】
次に、学習用異物合成画像i4と学習用異物ラベルrを作成する(ST2)。学習用異物合成画像i4と学習用異物ラベルrを作成するにあたって、深層学習を用いた異物検出アルゴリズムを作成する際には、学習用教師データとして、NG画像(異物を含む画像)と異物の座標データ(ラベル)が必要になる。
【0054】
ここでの異物の座標データ(ラベル)とは、NG画像上の異物部分の位置を示すデータであり、異物に外接する枠を作成したときの左上のXY座標と右下のXY座標を記録したテキストファイルデータのことを指す。
【0055】
NG画像から異物の座標データ(ラベル)を抽出する際には、人手で多くの異物の座標位置を指定する作業を行う必要があり、数千枚の画像を必要とする深層学習において現実的ではない。
【0056】
そこで、本例では、個別に撮像した良品画像と異物画像を用いて、それらを合成させることで学習用異物合成画像i4を作成し、その際に同時に異物部分の座標データ(ラベル)を学習用異物ラベルrとして作成することで作業の効率化を図った。
【0057】
このため、予め取得した50枚の異物(骨)のみ画像より、異物が写っている領域を切り出した異物のデータベース画像を事前に作成し、良品画像に合成する際はそのデータベース画像の異物から1つ又は複数ランダムに選択した。
【0058】
そして、良品画像に異物のデータベース画像を合成する際は、異物位置を良品ワーク上のランダムな位置とし、異物回転角を0~360度でランダムに変動し、合計1000枚の異物合成画像を作成する。
【0059】
異物合成画像を作成するにあたっては、X線画像からなる低エネルギー画像と高エネルギー画像の両方を使用し、X線画像を3chに拡張し、低エネルギー画像をRGBカラー画像のR成分、高エネルギー画像をRGBカラー画像のG成分、差分画像(低エネルギー画像と高エネルギー画像の差分)をRGBカラー画像のB成分にそれぞれ見立てた3chの疑似RGB画像の形式で異物合成画像を作成する。
【0060】
なお、良品画像に異物のデータベース画像を合成する際は、同じR,G,B成分同士の画像を使用する。また、異物のデータベース画像を良品画像と合成する際は、指定される異物のデータベース画像の座標データから異物のデータベース画像が配置される座標位置によって異物ラベルを求めることができる。さらに、異物のデータベース画像を回転させた場合は、異物のデータベース画像の座標データを座標変換して求める。
【0061】
そして、上述した手法で作成した複数の疑似RGB画像による異物合成画像の機械学習を行い、学習モデルを作成する(ST3)。すなわち、複数の疑似RGB画像による異物合成画像を畳み込み演算して結果の異物度合(異物らしさの確率)Kを出力させる学習を実行し、より良い結果となる演算式からなる学習モデル22を作成する。
【0062】
具体的には、疑似RGB画像(3chに拡張した学習用異物合成画像i4):1000枚、各疑似RGB画像に対応した異物の座標データ(学習用異物ラベルr):1000枚を用いて学習を実行し、学習モデル22を作成する。このとき、ワーク(異物あり)の画像を入力した際に、異物位置(左上XY座標、右下XY座標)、異物度合K(0<K<1.0)(Kの値が大きいほど異物とみなす)を出力するように学習させる。
【0063】
次に、上述した検査装置1において被検査物Wの品質状態を推論する推論フェーズについて
図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
図3に示すように、推論フェーズでは、
図2を用いて説明した学習フェーズのときと同様に、疑似RGB画像の形式のX線画像を推論用画像i5として取得し(ST11)、取得した推論用画像i5を画像記憶部21に記憶する。具体的には、前述したように、X線画像による低エネルギー画像をRGBカラー画像のR成分、高エネルギー画像をRGBカラー画像のG成分、差分画像をRGBカラー画像のB成分にそれぞれ見立てた3chの疑似RGB画像を推論用画像i5として取得して画像記憶部21に記憶する。
【0065】
そして、画像処理部23では、学習フェーズのときに作成した学習モデルに基づいて異物位置(左上xy座標、右下xy座標)、異物度合(0<K<1.0)(Kの値が大きいほど異物とみなす)を計算する(ST12)。すなわち、
図7に示すように、推論用画像i5としての3chの疑似RGB画像に対し、入力層、隠れ層、出力層からなる構造のニュートラルネットワークによる機械学習で生成された学習モデル22に基づき画素ごとに処理し、演算結果として異物位置、異物度合Kを計算する。
【0066】
そして、予め検査装置1側で判定閾値:Sを設定しておき、K≦SのときはOK判定を出力し(ST14)、K>SのときはNG判定を出力する(ST15)。さらに説明すると、
図8に示すように、K≦Sのときは判定部24がOK判定を出力し、K>SのときはNG判定を判定部24に出力する。そして、
図9に示すように、K≦SでOK判定のときは表示部5が被検査物W(図中の点線部分)を表示し、K>SでNG判定のときは表示部5が被検査物W(図中の点線部分)に対して異物位置(NG判定の箇所)を矩形で囲んで識別表示する。この識別表示は、例えばNG判定の箇所を円形で囲む他、NG判定の箇所を色分け表示、点灯・点滅表示するなど、NG判定の箇所と正常な箇所とを識別できればよく、その表示形態が限定されるものではない。
【0067】
なお、
図9の例では、NG判定を出力する異物位置が1つの場合を示しているが、NG判定を出力する異物位置が複数ある場合には、NG判定の箇所を異物位置ごとに識別表示する。
【0068】
ところで、上述した実施の形態では、RGBカラー画像に代わる3chの疑似RGB画像として、低エネルギー画像(R成分)、高エネルギー画像(G成分)、差分画像(B成分)からなるX線画像を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。3chの疑似RGB画像は、被検査物Wに対する撮像の位置情報が同じで透過特性が異なる3つの透過画像であればよい。例えばルックアップテーブルの係数により画像の濃度を変換したX線画像、変換前のX線画像、近赤外画像の組み合わせであってもよい。また、また、疑似RGB画像の各chの画像は、前処理として、例えば平滑化、標準化などの画像処理を施したもの、X線源または光源、レンズ等の光学部品、検出器の位置と向きで決まる画像の大きさ、向き、ずれの補正を施したものであってもよい。さらに、被検査物Wをマルチスペクトルカメラ(分光カメラ)で撮像し、被検査物Wを透過する光(エネルギー)を分光して得られる3つの検査画像を用いることもできる。
【0069】
また、上述した実施の形態では、被検査物Wの品質状態として異物の有無を判定する場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではなく、被検査物Wの欠品の有無、内容物の形状・サイズ・収納状態等の合否、密度・厚さ・体積もしくは質量の分布等を品質状態として判定することもできる。
【0070】
以下、被検査物Wの内容物の形状不良の有無を品質状態として判定する場合を例にとって説明する。この被検査物Wの内容物の形状不良の有無の判定は、基本的に上述した異物の有無を判定する場合と同様の仕組みであり、NG判定の種類を2種類以上(形状不良の種類(欠け・曲がり)に増やしたもの、判定閾値も形状不良の種類(欠け・曲がり)に応じて個別に設定することができ、上述した異物検査との併用も可能である。
【0071】
上述した異物の有無を判定する場合と同様に、学習用画像から学習用形状不良合成画像として、濃度を変換したX線画像(良品に形状不良(欠け、曲がり)を合成したもの)_(1ch)、濃度を変換する前のX線画像(良品に形状不良(欠け、曲がり)を合成したもの)_(1ch)、近赤外画像(良品に形状不良(欠け、曲がり)を合成したもの)_(1ch)を作成するとともに学習用形状不良ラベルを作成する。
【0072】
そして、1枚の濃度を変換したX線画像(良品に形状不良(欠け、曲がり)を合成したもの)_(1ch)、1枚の濃度を変換する前のX線画像(良品に形状不良(欠け、曲がり)を合成したもの)_(1ch)、1枚の近赤外画像(良品に形状不良(欠け、曲がり)を合成したもの)_(1ch)から1枚の疑似RGB画像(R成分:濃度変換後、G成分:濃度変換前、B成分:近赤外)_(3ch)と形状不良の座標データを作成し、例えば
図11に示すような学習用形状不良合成画像i4と学習用形状不良ラベルrとして取得する。
【0073】
そして、
図2を用いて説明した学習フェーズと同様に、複数の疑似RGB画像を畳み込み演算して結果の形状不良度合(形状不良らしさの確率)Kを出力させる学習を実行し、より良い結果となる演算式からなる学習モデル22を生成する。
【0074】
具体的には、複数枚の疑似RGB画像(3chに拡張した学習用形状不良合成画像i4)、各疑似RGB画像に対応した形状不良の座標データ(学習用形状不良ラベルr)を用いて学習を実行する。このとき、ワーク(形状不良あり)の画像を入力した際に、形状不良位置(左上XY座標、右下XY座標)、形状不良度合K(0<K<1.0)(Kの値が大きいほど形状不良とみなす)を出力するように学習させる。
【0075】
そして、被検査物Wの形状不良を検査する場合には、
図10に示す推論フェーズを実行する。この推論フェーズでは、学習フェーズのときと同様に、疑似RGB画像の形式のX線画像を推論用画像i5として取得し(ST21)、取得した推論用画像i5を画像記憶部21に記憶する。具体的には、上述した学習時と同様、例えば
図12に示すように、1ch:X線画像、2ch:X線画像、3ch:近赤外画像を1枚の疑似RGB画像を推論用画像i5として取得して画像記憶部21に記憶する。
【0076】
そして、画像処理部23では、学習フェーズのときに作成した学習モデル22に基づいて形状不良位置(左上xy座標、右下xy座標)、形状不良度合(0<K<1.0)(Kの値が大きいほど形状不良とみなす)を計算する(ST22)。すなわち、
図12に示すように、推論用画像i5としての3chの疑似RGB画像に対し、学習モデル22に基づき画素ごとに処理し、演算結果として形状不良位置(左上xy座標、右下xy座標)、形状不良度合:K1(欠け)、K2(曲がり)を計算する。
【0077】
そして、予め検査装置1側で判定閾値:Sを設定しておき、K≦SのときはOK判定を出力し(ST24)、K>SのときはNG判定を出力する(ST25)。さらに説明すると、予め検査装置1側で判定閾値:S1,S2を設定しておき、計算した形状不良度合:K1,K2と判定閾値:S1,S2を比較する。ここで、
図13に示すように、K1≦S1のときは判定部24が形状(欠け)に対するOK判定を出力し、K1>S1のときは判定部24がNG判定を出力する。そして、
図14に示すように、K1≦S1でOK判定のときは表示部5が被検査物W(図中の点線部分)を表示し、K1>S1でNG判定のときは表示部5が被検査物W(図中の点線部分)に対して形状不良位置(NG判定の箇所)を矩形で囲んで識別表示する。
【0078】
また、
図15に示すように、K2≦S2のときは判定部24が形状(曲がり)に対するOK判定を出力し、K2>S2のときは判定部24がNG判定を出力する。そして、
図16に示すように、K2≦S2でOK判定のときは表示部5が被検査物W(図中の点線部分)を表示し、K2>S2でNG判定のときは表示部5が被検査物W(図中の点線部分)に対して形状不良位置(NG判定の箇所)を矩形で囲んで識別表示する。
【0079】
なお、判定閾値S1,S2は、それぞれの形状不良の種類(例えば欠け、曲がりに対して個別に設定可能である。また、上述した識別表示は、例えばNG判定の箇所を円形で囲む他、NG判定の箇所を色分け表示、点灯・点滅表示するなど、NG判定の箇所と正常な箇所とを識別できればよく、その表示形態が限定されるものではない。
【0080】
このように、上述した本実施の形態によれば、3chのRGBカラー画像に代わる画像として、透過に基づく撮像における被検査物の透過特性が異なる3つの検査画像から学習モデルを作成して判定を学習させているので、既存のRGBカラー画像の学習ライブラリを効率よく適用し、RGBカラー画像に対応する3chの画像によって判定を学習させ、従来のグレースケールの1画像の判定と比較して、判定のための情報量が増えることにより、被検査物の品質検査の検査精度の向上を図ることができる。例えば品質状態として異物の有無を検査する場合には、被検査物に対する位置情報が同じで透過特性が異なる3つの検査画像から学習モデルを作成することにより、被検査物の品種に応じて異物の見え方が異なるだけでなく、異物とその周辺(背景)との関係を示す情報も多くなるので、より精度の高い異物検査を行うことができる。
【0081】
以上、本発明に係る検査装置、学習モデル生成方法および検査方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述および図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例および運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
1 検査装置
2 搬送部
3 画像取得部
4 制御部
5 表示部
11 搬送ベルト
12 搬送ローラ
13 上走区間
14 X線発生器
15 X線検出器
16 X線管
17 外囲器
17a X線窓部
21 記憶部
22 学習モデル
23 画像処理部
24 判定部
A 搬送方向
W 被検査物
i1 異物のみ画像
i2 良品画像
i3 異物合成画像
i4 学習用異物合成画像、学習用形状不良合成画像
i5 推論用画像
r 学習用異物ラベル、学習用形状不良ラベル