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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114835
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ペルチェモジュール
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/17 20230101AFI20230810BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
H01L35/32 Z
H02N11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017373
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白幡 智史
(57)【要約】
【課題】生産性を向上すること。
【解決手段】ペルチェモジュール10は、向かい合って配置された一対の基板と、前記一対の基板との間に配置された複数の熱電素子と、前記熱電素子を接続する電極と、を備え、前記一対の基板のうちの一方の基板は、他方の基板に対して少なくとも一方向において長さの差分を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信に用いられるペルチェモジュールであって、
向かい合って配置された一対の基板と、
前記一対の基板との間に配置された複数の熱電素子と、
前記熱電素子を接続する電極と、
を備え、
前記一対の基板のうちの一方の基板は、他方の基板に対して少なくとも一方向において長さの差分を有する、
ペルチェモジュール。
【請求項2】
前記差分は、0μmより大きい、
請求項1に記載のペルチェモジュール。
【請求項3】
前記差分は、50μmより大きい、
請求項2に記載のペルチェモジュール。
【請求項4】
前記差分は、100μmより大きい、
請求項2に記載のペルチェモジュール。
【請求項5】
前記他方の基板の面積は、前記一方の基板の面積の0.8倍以上である、
請求項1に記載のペルチェモジュール。
【請求項6】
前記他方の基板の面積は、前記一方の基板の面積の0.9倍以上である、
請求項5に記載のペルチェモジュール。
【請求項7】
前記他方の基板の面積は、前記一方の基板の面積の0.95倍以上である、
請求項5に記載のペルチェモジュール。
【請求項8】
前記一対の基板のうち下方に配置された基板は、上方に配置された基板に対して少なくとも一方向において300μm以上外側に張り出した張出部、
を備え、
前記張出部には、電力供給用の電極引き出し部である端部電極が配置されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のペルチェモジュール。
【請求項9】
前記一対の基板のうち上方に配置された基板は、切り欠き部、
を備え、
前記切り欠き部には、電力供給用の電極引き出し部である端部電極が配置されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のペルチェモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペルチェモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
向かい合って配置された一対の基板と、一対の基板との間に配置された複数の熱電素子と、熱電素子を接続する電極とを備えた、ペルチェモジュールに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/010570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光通信装置の温調用としてペルチェモジュールが用いられている。光通信の大容量化に伴って、光通信装置の小型化が強く要求されている。光通信装置を小型化するには、ケースも小型化する必要がある。上下の基板が同一形状で各辺の長さがそろったペルチェモジュールを組み立てる場合、一方の基板と端面が合うように他方の基板を貼り合わせる。ところが、貼り合わせに用いる装置の精度や作業者の技量に依存して位置がずれて上下の基板が貼り合わされるおそれがある。この場合、位置がずれた分だけペルチェモジュールの外形が大きくなる。このため、ペルチェモジュールを格納する容器のペルチェモジュールを搭載する空間は、上下の基板の位置のずれを考慮して大きく設計される必要があり、容器が大きくなってしまう。
【0005】
また、上下の基板のずれを低減するためには、位置決め治具等により基板を固定しながら基板を貼り合わせる方法等が考えられるが、装置や手順が煩雑になり、生産性が低下するおそれがある。
【0006】
本開示は、生産性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従えば、向かい合って配置された一対の基板と、前記一対の基板との間に配置された複数の熱電素子と、前記熱電素子を接続する電極と、を備え、前記一対の基板のうちの一方の基板は、他方の基板に対して少なくとも一方向において長さの差分を有する、ペルチェモジュールが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る光通信装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る光通信装置を模式的に示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板を模式的に示す平面図であり、上方から見た図である。
図4図4は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第2基板を模式的に示す平面図であり、下方から見た図である。
図5図5は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図6図6は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図8図8は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す断面図である。
図9図9は、変形例1に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図10図10は、変形例2に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図11図11は、変形例3に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図12図12は、変形例4に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図13図13は、変形例5に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図14図14は、変形例6に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。
図15図15は、変形例6に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する複数の実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、光通信装置1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。左右方向と前後方向と上下方向とは直交する。
【0012】
(第1実施形態)
[光通信装置]
図1は、第1実施形態に係る光通信装置を模式的に示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る光通信装置を模式的に示す断面図である。
【0013】
図1図2に示すように、光通信装置1は、ケース2と、ケース2の内部空間に配置されるペルチェモジュール10とを備える。
【0014】
ケース2は、金属製である。ケース2は、蓋部2Aと、蓋部2Aと向かい合って配置された底部2Bと、蓋部2Aと底部2Bとの間に配置された側壁部2Cとを有する。蓋部2Aは、ケース2の上部の開口を覆うように配置される。ケース2の内部空間は、ペルチェモジュール10の外形に応じて設計される。実施形態では、ケース2の内部空間は、ペルチェモジュール10の第1基板11及び第2基板12のうち面積が大きい基板の外形に応じて設計される。ケース2の内部空間は、密閉される。ケース2の内部空間は、乾燥空気または不活性ガスで満たされる。不活性ガスは、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、及びヘリウムガスである。ケース2の内部空間は、真空でもよい。ケース2の低部の下面は放熱面である。
【0015】
[ペルチェモジュール]
図2に示すように、ペルチェモジュール10は、一対の基板である第1基板11及び第2基板12と、第1基板11及び第2基板12の間に配置される熱電変換素子21とを備える。以下の説明に用いる各図における熱電変換素子21、第1電極22及び第2電極23の配置は模式的に示すものである。
【0016】
ペルチェモジュール10は、第1基板11及び第2基板12は、面積が異なる。ペルチェモジュール10は、幅方向または全周について、第1基板11が第2基板12より小さい。または、ペルチェモジュール10は、幅方向または全周について、第2基板12が第1基板11より小さい。実施形態では、全周について、第1基板11が第2基板12より小さいペルチェモジュール10について説明する。
【0017】
図3は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板を模式的に示す平面図であり、上方から見た図である。図4は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第2基板を模式的に示す平面図であり、下方から見た図である。第1基板11及び第2基板12は、電気絶縁材料によって形成される。図3図4に示すように、第1基板11及び第2基板12は、熱電変換素子21を挟んで向かい合って配置されている。実施形態において、第2基板12は、第1基板11よりも上方に配置される。第1基板11及び第2基板12は、板状に形成されている。実施形態において、第1基板11及び第2基板12は、矩形状に形成されている。
【0018】
図5は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。実施形態では、第1基板11が、一対の基板のうちの一方の基板であり、第2基板12が、他方の基板である。第1基板11は、第2基板12に対して少なくとも一方向において長さの差分を有する。
【0019】
少なくとも一方向とは、第1基板11及び第2基板12の外形を規定する方向のうちのいずれかの1つの方向を含むことをいう。
【0020】
実施形態では、第1基板11は、第2基板12に比べて4辺の長さが短い。第2基板12は、左右方向の辺の長さ及び前後方向の辺の長さが第1基板11より短い。上下方向視における第2基板12の面積は、第1基板11の面積より広い。実施形態では、上下方向視において、第1基板11は、全周において、第2基板12より小さい。実施形態では、上下方向視において、第1基板11の外縁部は、第2基板12の外縁部より内側に位置する。第2基板12と第1基板11との左方における端部の差はd1である。第2基板12と第1基板11との右方における端部の差はd2である。第2基板12と第1基板11との後方における端部の差はd3である。第2基板12と第1基板11との前方における端部の差はd4である。第2基板12及び第1基板11の左右方向の辺の長さの差は、d1+d2である。第2基板12及び第1基板11の前後方向の辺の長さの差は、d3+d4である。
【0021】
第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差分が大きいほど、吸収できる位置のずれは大きくなるため望ましい。第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差分は、50μmより大きいことがより好ましく、100μmより大きい。第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差分の上限は、規定されない。
【0022】
第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差分は、隣接する第1電極22の間隔、及び、隣接する第2電極23の間隔の2倍より小さい。
【0023】
第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差を大きくとる場合、熱電変換素子21を搭載することが可能な面積(「素子搭載部面積」という。)が小さくなる。素子搭載面積は、は第1基板11及び第2基板12で挟まれた空間の断面積である。ペルチェモジュール10の最大吸熱量は、ペルチェモジュール10内の熱電変換素子21の総断面積に比例するため、素子搭載部面積に対して近似的には比例する。したがって、辺の長さの差分を大きくした場合、ペルチェモジュール10の最大吸熱量が低下するおそれがある。そのため、素子搭載部の面積は、辺の長さが大きい基板の面積の0.8倍以上、より好ましくは0.9倍以上、より好ましくは0.95以上有することが望ましい。これにより、実施形態によれば、ペルチェモジュール10の最大吸熱量の低下を抑えた上で外形精度の高いペルチェモジュール10を提供することができる。
【0024】
図2に示すように、熱電変換素子21は、第1基板11の上面11a側と第2基板12の下面12a側との間に1つ以上配置される。複数の熱電変換素子21は、複数の第1電極22及び第2電極23によって接続される。
【0025】
熱電変換素子21は、熱電材料によって形成される。熱電変換素子21を形成する熱電材料として、マンガンケイ化物系化合物(Mn-Si)、マグネシウムケイ化物系化合物(Mg-Si-Sn)、スクッテルダイト系化合物(Co-Sb)、ハーフホイスラ系化合物(Zr-Ni-Sn)、及びビスマステルル系化合物(Bi-Te)が例示される。熱電変換素子21は、マンガンケイ化物系化合物、マグネシウムケイ化物系化合物、スクッテルダイト系化合物、ハーフホイスラ系化合物、又はビスマステルル系化合物から選択される1つの化合物により構成されてもよいし、少なくとも2つの化合物の組み合わせにより構成されてもよい。
【0026】
熱電変換素子21は、p型素子21Pと、n型素子21Nとを含む。p型素子21P及びn型素子21Nは、所定面内に複数配置される。前後方向において、p型素子21Pとn型素子21Nとは交互に配置される。左右方向において、p型素子21Pとn型素子21Nとは交互に配置される。
【0027】
第1電極22及び第2電極23は、導電性を有する金属により形成される。第1電極22は、第1基板11と熱電変換素子21との間に配置されている。第1電極22及び第2電極23は、熱電変換素子21を接続する。第1電極22は、第1基板11の上面11aに設けられる。第1電極22は、第1基板11の上面11aと平行な所定面内において複数設けられる。第2電極23は、第2基板12と熱電変換素子21との間に配置されている。第2電極23は、第2基板12の下面12aに設けられる。第2電極23は、第2基板12の下面12aと平行な所定面内において複数設けられる。
【0028】
第1電極22及び第2電極23は、隣接する一対のp型素子21P及びn型素子21Nのそれぞれに接続される。第1電極22及び第2電極23は、複数の熱電変換素子21を直列に接続する。第1電極22及び第2電極23により複数の熱電変換素子21が直列に接続された直列回路が形成される。p型素子21P及びn型素子21Nが第1電極22及び第2電極23を介して電気的に接続されることにより、pn素子対が構成される。複数のpn素子対が第1電極22及び第2電極23を介して直列に接続されることにより、複数の熱電変換素子21を含む直列回路が構成される。
【0029】
熱電変換素子21に電流が供給されることにより、ペルチェモジュール10がペルチェ効果により吸熱又は発熱する。この効果を利用してペルチェモジュール10上部に配置した光学部品100を温調する。
【0030】
第1基板11の下面は、ペルチェモジュール10の放熱面である。第2基板12の上面12bは、ペルチェモジュール10の温調面である。
【0031】
[光通信装置]
光通信装置は、ペルチェモジュール10を用いて構成される。光通信装置は、ペルチェモジュール10の第2基板12の上面12bに直接光学部品100を実装する。図1図2に示すように、光学部品100は(なお、図面では光学部品は省略されている)、第2基板12の上面12bに配置されている。電極パターン101は、光学部品用の配線パターンである。貫通孔102は、スルーホールである。
【0032】
このように構成されたペルチェモジュール10は、全周において、第1基板11が第2基板12より小さい。上下方向視において、第1基板11の外縁部は、第2基板12の外縁部より内側に位置する。
【0033】
[組み立て方法及び作用]
図6は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す断面図である。ここでは、ペルチェモジュール10の組み立て方法のうち、第1基板11及び第2基板12の組み付け方法について説明する。第1基板11には、第1電極22及第2電極23が設けられている。第1基板11の上面11aには、第1電極22が設けられている。第1電極22の上面には、熱電変換素子21が接続されている。第2基板12の下面12aには、第2電極23が設けられている。図6に示すように、第1基板11が第2基板12に対し上下方向視で内側に配置されるように位置合わせを行って、第1基板11及び第2基板12を貼り合わせる。
【0034】
より詳しくは、第1基板11の上面11aを上方に向けて、第2基板12の下面12aを下方に向けた状態で、第2基板12を第1基板11の上方から近づける。上下方向視において、第1基板11の外縁部が、第2基板12の外縁部からはみ出さないように、第1基板11及び第2基板12の位置を合わせる。位置合わせの際に、左右方向及び奥行き方向において所定範囲のずれが許容される。そして、第2基板12に設けられた第2電極23と、第1基板11に第1電極22を介して設けられた熱電変換素子21とを接続する。
【0035】
図7は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。図8は、第1実施形態に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す断面図である。図7図8に示す例では、第2基板12が第1基板11に対して右方にずれている。第2基板12の第1基板11に対する位置のずれは、Lで示している。
【0036】
図7図8に示すように、第2基板12が第1基板11に対してずれたとしても、位置のずれは、第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差分により吸収される。これにより、上下方向視において、第1基板11が第2基板12からはみ出にくくなる。また、外形精度の向上したペルチェモジュール10が提供される。
【0037】
第2基板12が第1基板11に対してずれたとしても、熱電変換素子21は、接続されるべき適切な第2電極23に接続され、意図しない第2電極23には接触しない。
【0038】
[効果]
実施形態では、全周において、第1基板11の各辺の長さが第2基板12の各辺の長さより小さい。実施形態では、第1基板11が第2基板12に対し上下方向視で内側に配置されるように位置合わせを行い、第1基板11及び第2基板12を貼り合わせる。実施形態によれば、第1基板11及び第2基板12の差分だけ、第1基板11及び第2基板12の位置のずれを吸収することができる。このようにして、実施形態は、外形精度を向上したペルチェモジュール10を提供することができる。
【0039】
さらに、実施形態によれば、外形精度の向上分だけペルチェモジュール10を搭載する空間を小さくして光通信装置を設計することができる。実施形態によれば、ペルチェモジュール10を搭載する光通信装置をより小型化することができる。このようにして、実施形態は、限られた空間に配設できる外形精度の向上したペルチェモジュール10および限られた空間に配設できる光通信装置を提供することができる。
【0040】
これに対して、第1基板11及び第2基板12の各辺の長さが同じである場合について説明する。ペルチェモジュール10を組み立てる際に、第1基板11及び第2基板12のすべての端面が合うように位置合わせを行いながら、一方の基板を他方の基板に近づけて貼り合わせる。これにより、貼り合わせに用いる装置の精度、または、作業者の技量に依存して、位置がずれた状態で第1基板11及び第2基板12が貼り合わされる。この場合、位置がずれた分だけペルチェモジュール10の外形が大きくなる。
【0041】
実施形態に示すように、第2基板12の上面12bに電極パターンを有するペルチェモジュール10を使用し、後工程において第2基板12の上面12bに直接光学部品100を実装する光通信装置について説明する。実施形態によれば、第1基板11を小さくすることにより、電極パターン101の位置が第1基板11及び第2基板12の位置のずれの影響を受けないようにできる。
【0042】
実施形態では、第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差分が大きいほど吸収できるずれは大きくなるため望ましい。実施形態では、辺の差分は、50μmより大きいことがより好ましく、100μmより大きいことがさらに好ましい。また、実施形態では、辺の長さの差分を大きくした場合、ペルチェモジュール10の最大吸熱量が低下するおそれがある。そのため、実施形態では、素子搭載部の面積は、辺の長さが大きい基板の面積の0.8倍以上、より好ましくは0.9倍以上、より好ましくは0.95以上有することが望ましい。これらにより、実施形態によれば、ペルチェモジュール10の最大吸熱量の低下を抑えた上で外形精度の高いペルチェモジュール10を提供することができる。
【0043】
実施形態では、第1基板11及び第2基板12の辺の長さの差分は、隣接する第1電極22の間隔、及び、隣接する第2電極23の間隔より小さい。実施形態によれば、第1基板11及び第2基板12の位置がずれた場合でも、熱電変換素子21が適切な第2電極23に接続される位置にすることができる。
【0044】
特に、上側の基板である第2基板12の上面12bに電極パターン101を有するペルチェモジュール10を使用し、後工程にて第2基板12上に直接光学部品100を実装する光通信装置については、下側の基板である第1基板11を小さくすることでペルチェモジュール10の外形に対する電極パターン101の位置が基板の貼り合わせのずれの影響を受けなくなる。これにより、電極パターン101はより正確に配置されることになるため、光学部品100を精度よく配置することができ有用である。
【0045】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。図9に示すペルチェモジュール10は、前後方向において、第1基板11が第2基板12より小さい。第2基板12は、左右方向の辺の長さが第1基板11と同じである。第2基板12は、前後方向の辺の長さが第1基板11より短い。第1基板11及び第2基板12は、左右方向の幅は同一である。第1基板11及び第2基板12は、前後方向の奥行が異なる。変形例1では、第1基板11の奥行きが、第2基板12の奥行より短い。変形例1では、第1基板11及び第2基板12の位置を合わせる際に、左右方向は端部の位置がずれないように位置を合わせる。第1基板11及び第2基板12の位置を合わせる際に、第2基板12から第1基板11が露出しない範囲において、奥行き方向に位置のずれを許容する。
【0046】
(変形例2)
図10は、変形例2に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。図10に示すペルチェモジュール10は、全周において、第1基板11が第2基板12より小さい。上下方向視において、第1基板11の外縁部は、第2基板12の外縁部より内側に位置する。第1基板11及び第2基板12は、切り欠き部111及び切り欠き部112を有する。第1基板11は、右後方に切り欠き部111を有する。第2基板12は、右後方に切り欠き部112を有する。第1基板11及び第2基板12の位置合わせの際に、第2基板12から第1基板11が露出しない範囲において、左右方向及び奥行き方向において位置のずれを許容する。
【0047】
(変形例3)
図11は、変形例3に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。図11に示すペルチェモジュール10は、前後方向において、第1基板11が第2基板12より小さい。第1基板11及び第2基板12は、左右方向の幅及び前後方向の奥行が異なる。変形例11では、第1基板11の左右方向の幅は、第2基板12の左右方向の幅より長い。変形例11では、第1基板11の奥行きが、第2基板12の奥行より短い。図11に示す例では、第1基板11は、右側において第2基板12より右側に張り出している。第1基板11の上面11aにおいて第2基板12より右側に張り出した張出部に、端部電極31及び端部電極32が配置される。
【0048】
張出部は、右方向に300μm以上外側に張り出している。張出部は、少なくとも一方向において300μm以上外側に張り出していれば、他の位置に配置されていてもよい。
【0049】
端部電極31及び端部電極32は、電力供給用の電極引き出し部である。端部電極31及び端部電極32は、回路の電力を外部に取り出すための電極である。端部電極31及び端部電極32は、導電性を有する金属により形成される。端部電極31及び端部電極32は、第1基板11の上面11aの張出部に設けられる。端部電極31は、回路の一方の端部の熱電変換素子21に接続されている。端部電極32は、回路の他方の端部の熱電変換素子21に接続されている。
【0050】
(変形例4)
図12は、変形例4に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。図12に示すペルチェモジュール10は、左右方向及び前後方向において、第1基板11が第2基板12より小さい。第1基板11は、矩形状である。第2基板12は、切り欠き部121を有する。第2基板12は、右後方に切り欠き部121を有する。第1基板11及び第2基板12は、左右方向の幅及び前後方向の奥行が異なる。第1基板11の左右方向の幅は、第2基板12の左右方向の幅より短い。第1基板11の奥行きが、第2基板12の奥行より短い。図12に示す例では、第1基板11の右後方部は、第2基板12の切り欠き部121から露出している。第1基板11の露出した部分に、端部電極31及び端部電極32が配置される。
【0051】
(変形例5)
図13は、変形例5に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。図13に示すペルチェモジュール10は、左右方向及び前後方向において、第2基板12が第1基板11より小さい。第1基板11は、矩形状である。第2基板12は、切り欠き部112を有する。第2基板12は、右後方に切り欠き部112を有する。第1基板11及び第2基板12は、左右方向の幅及び前後方向の奥行が異なる。第1基板11の左右方向の幅は、第2基板12の左右方向の幅より長い。第1基板11の奥行きが、第2基板12の奥行より長い。図13に示す例では、第1基板11の右後方部は、第2基板12の切り欠き部121から露出している。第1基板11の露出した部分に、端部電極31及び端部電極32が配置される。
【0052】
第2基板12が第1基板11に対し上下方向視で内側に配置されるように位置合わせを行って、第1基板11及び第2基板12を貼り合わせる。第2基板12を第1基板11に対して小さくした分だけ位置のずれが吸収される。
【0053】
(変形例6)
図14は、変形例6に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す平面図である。図15は、変形例6に係るペルチェモジュールの第1基板及び第2基板を模式的に示す断面図である。図14に示すペルチェモジュール10は、左右方向及び前後方向において、第2基板12が第1基板11より小さい。第1基板11及び第2基板12は、変形例5と同様に構成されている。端部電極31及び端部電極32は、ポスト構造を有する。端部電極31は、第1基板11の上面11aから上方に立設された柱部31Hを有する。端部電極32は、第1基板11の上面11aから上方に立設された柱部32Hを有する。
【符号の説明】
【0054】
1…光通信装置、2…ケース、2A…蓋部、2B…底部、2C…側壁部、10…ペルチェモジュール、11…第1基板、11a…上面、12…第2基板、12a…下面、12b…上面、21…熱電変換素子、21P…p型素子、21N…n型素子、22…第1電極、23…第2電極、31…端部電極(電極引き出し部)、32…端部電極(電極引き出し部)、100…光学部品、101…電極パターン、102…貫通孔。
図1
図2
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図15