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特開2023-114846ワイヤレスマイクシステム、および、ワイヤレスマイクシステム設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114846
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ワイヤレスマイクシステム、および、ワイヤレスマイクシステム設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20230810BHJP
   H04R 27/00 20060101ALI20230810BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
H04B1/16 Z
H04R27/00 B
H04R3/00 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017394
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163979
【弁理士】
【氏名又は名称】濱名 哲也
(72)【発明者】
【氏名】東原 大介
【テーマコード(参考)】
5D220
5K061
【Fターム(参考)】
5D220BA00
5D220BB01
5D220CC01
5D220CC08
5D220DD03
5K061CC42
(57)【要約】
【課題】ワイヤレスマイクの位置に応じた制御を行うことができる、ワイヤレスマイクシステムおよびワイヤレスマイクシステム設定方法を提供する。
【解決手段】ワイヤレスマイクシステム1は、音声信号および位置特定用信号を電波によって送信する少なくとも1つのワイヤレスマイク3と、受信装置と、受信装置から音声信号および位置特定用信号を取得する制御装置20と、を備える。制御装置20は、記憶部と、位置特定用信号に基づいてワイヤレスマイク3の位置を特定する位置特定部と、位置および制御情報に基づいて、音声信号、音声信号を再生する放音装置31、および、ワイヤレスマイク3の少なくとも1つを制御する制御部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスマイクシステムであって、
音声信号および位置特定用信号を電波によって送信する少なくとも1つのワイヤレスマイクと、
前記音声信号と前記位置特定用信号とを受信する少なくとも1つの受信装置と、
前記受信装置から前記音声信号および前記位置特定用信号を取得する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
制御情報を記憶する記憶部と、
前記位置特定用信号に基づいて前記ワイヤレスマイクの位置を特定する位置特定部と、
前記位置および前記制御情報に基づいて、前記音声信号、前記音声信号を再生する放音装置、前記受信装置、および、前記ワイヤレスマイクの少なくとも1つを制御する制御部と、を有する、
ワイヤレスマイクシステム。
【請求項2】
前記制御情報は、前記音声信号を再生する音声制御範囲を示す情報を含む、
請求項1に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記放音装置へ前記音声信号を出力し、
前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記放音装置への前記音声信号の出力を停止する、
請求項2に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記音声信号を受信し、
前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号の受信を停止する、
請求項2または3に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記放音装置に前記音声信号の再生を指令し、
前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記放音装置に前記音声信号の再生停止を指令する、
請求項2~4のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記音声信号の出力実行指令を前記ワイヤレスマイクに送信し、
前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号の出力停止指令を前記ワイヤレスマイクに送信する、
請求項2~5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号の出力停止指令、および、消費電力制限制御を実行させる省エネ指令を、送信する、
請求項6に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記音声信号に対して第1態様処理を行い、
前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号に対して前記第1態様処理と異なる第2態様処理を行い、
前記第1態様処理および前記第2態様処理は、増幅処理またはミュート処理である、
請求項2~7のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記音声制御範囲として、第1音声制御範囲と、前記第1音声制御範囲内に設定される第2音声制御範囲とを有し、
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを示す位置状態情報を記憶し、
前記位置状態情報は、前記位置が前記音声制御範囲内に含まれる第1状態、および、前記位置が前記音声制御範囲外にある第2状態のいずれかの状態をとるパラメータであり、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを判定するとき、
前記位置状態情報が前記第1状態である場合、前記音声制御範囲として前記第1音声制御範囲を使用し、
前記位置状態情報が前記第2状態である場合、前記音声制御範囲として前記第2音声制御範囲を使用する、
請求項2~8のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記制御情報として、1個の前記ワイヤレスマイクについて複数の前記音声制御範囲を有する、
請求項2~9のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項11】
複数の前記受信装置を備え、
前記制御装置は、前記制御情報として、複数の前記受信装置それぞれに設定される前記音声制御範囲を有し、
前記制御部は、前記受信装置毎に設定される複数の前記音声制御範囲について前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを判定する、
請求項2~10のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項12】
複数の前記ワイヤレスマイクを備え、
前記制御装置は、前記制御情報として、複数の前記ワイヤレスマイクについて前記ワイヤレスマイク毎に設定される複数の前記音声制御範囲を有し、
前記制御部は、
前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを判定するとき、前記ワイヤレスマイクに対応する前記音声制御範囲を使用する、
請求項2~11のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項13】
前記ワイヤレスマイクは、さらに、前記ワイヤレスマイクの識別情報を示す識別信号を送信し、
前記受信装置は、さらに、前記識別信号を受信し、
前記制御装置は、前記制御情報として、前記識別情報と前記ワイヤレスマイクとを関連づける第1関連情報とを有し、
前記制御部は、前記識別信号および前記第1関連情報に基づいて前記ワイヤレスマイクを特定する、
請求項12に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項14】
前記ワイヤレスマイクは、予め設定される周波数チャンネルによって前記音声信号を出力し、
前記制御装置は、前記制御情報として、前記周波数チャンネルと前記ワイヤレスマイクとを関連づける第2関連情報を有し、
前記制御部は、前記周波数チャンネルおよび前記第2関連情報に基づいて前記ワイヤレスマイクを特定する、
請求項12に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項15】
前記制御装置は、さらに、前記音声制御範囲を設定するための設定部を備える、
請求項2~14のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項16】
前記設定部は、
表示部に、前記受信装置が配置される場所のレイアウトを示すレイアウト情報と、前記レイアウトに対する前記受信装置の配置を示す配置情報と、を出力する情報出力部と、
前記レイアウトに対する前記受信装置の配置および前記レイアウトにおける前記音声制御範囲の入力を受け付ける情報受信部と、
前記レイアウトに対する前記音声制御範囲、および、前記受信装置の配置を前記記憶部に記憶する情報設定部と、を備える、
請求項15に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項17】
前記設定部は、さらに、キャリブレーション部を備え、
前記キャリブレーション部は、現実位置と、前記現実位置に前記ワイヤレスマイクを配置した状態で出力される位置特定用信号に基づいて特定される前記位置と、を対応づける、
請求項15または16に記載のワイヤレスマイクシステム。
【請求項18】
ワイヤレスマイクシステムの音声信号の再生に関する範囲を設定するワイヤレスマイクシステム設定方法であって、
前記ワイヤレスマイクシステムは、
音声信号および位置特定用信号を電波によって送信する少なくとも1つのワイヤレスマイクと、
前記音声信号と前記位置特定用信号とを受信する少なくとも1つの受信装置と、
前記受信装置から前記音声信号および前記位置特定用信号を取得する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
制御情報を記憶する記憶部と、
前記位置特定用信号に基づいて前記ワイヤレスマイクの位置を特定する位置特定部と、
前記位置および前記制御情報に基づいて、前記音声信号、前記音声信号を再生する放音装置、前記受信装置、および、前記ワイヤレスマイクの少なくとも1つを制御する制御部と、を有し、
前記制御情報は、前記音声信号を再生する音声制御範囲を示す情報を含み、
前記受信装置が配置される場所のレイアウトをレイアウト情報として前記制御装置に設定する第1手順と、
前記レイアウトに対して、前記受信装置の配置を前記制御装置に設定する第2手順と、
前記レイアウトにおける前記音声制御範囲を設定する第3手順と、
現実位置と、前記現実位置に前記ワイヤレスマイクを配置した状態で出力される前記位置特定用信号に基づいて特定される前記位置とを対応づける、第4手順とを含む、
ワイヤレスマイクシステム設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレスマイクシステム、および、ワイヤレスマイクシステム設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスマイクシステムとして特許文献1に記載の技術が知られている。同文献のワイヤレスマイクシステムは、ワイヤレスマイクと、本体装置と、を備える。本体装置は、ワイヤレスマイクから音声信号を受信すると、音声信号を再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-252064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤレスマイクの使用者は、所定の人に音声を伝える目的で、ワイヤレスマイクを所定場所で使用する。ところで、使用者は、ワイヤレスマイクを装着したまま、所定場所の外に出る場合がある。使用者がワイヤレスマイクの電源をオフにすることを忘れると、使用者が所定場所の外で発した会話が拡声される虞がある。このように、ワイヤレスマイクの使用の場合、意図しない拡声が行われる虞がある。この点で、ワイヤレスマイクシステム、および、ワイヤレスマイクシステム設定方法には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するワイヤレスマイクシステムは、音声信号および位置特定用信号を電波によって送信する少なくとも1つのワイヤレスマイクと、前記音声信号と前記位置特定用信号とを受信する少なくとも1つの受信装置と、前記受信装置から前記音声信号および前記位置特定用信号を取得する制御装置と、を備え、前記制御装置は、制御情報を記憶する記憶部と、前記位置特定用信号に基づいて前記ワイヤレスマイクの位置を特定する位置特定部と、前記位置および前記制御情報に基づいて、前記音声信号、前記音声信号を再生する放音装置、前記受信装置、および、前記ワイヤレスマイクの少なくとも1つを制御する制御部と、を有する。この構成によれば、音声再生に関して、ワイヤレスマイクの位置に応じた制御を行うことができる。
【0006】
(2)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御情報は、前記音声信号を再生する音声制御範囲を示す情報を含む。この構成によれば、音声制御範囲に基づいて音声再生に関する制御を行うことができる。
【0007】
(3)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記放音装置へ前記音声信号を出力し、前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記放音装置への前記音声信号の出力を停止する。この構成によれば、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0008】
(4)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記音声信号を受信し、前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号の受信を停止する。この構成によれば、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0009】
(5)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記放音装置に前記音声信号の再生を指令し、前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記放音装置に前記音声信号の再生停止を指令する。
【0010】
この構成によれば、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるとき、放音装置は音声信号を再生する。ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲外にあるとき、放音装置は音声信号を再生しない。このようにして、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0011】
(6)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記音声信号の出力実行指令を前記ワイヤレスマイクに送信し、前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号の出力停止指令を前記ワイヤレスマイクに送信する。
【0012】
この構成によれば、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるとき、ワイヤレスマイクは音声信号を出力する。ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲外にあるとき、ワイヤレスマイクは音声信号を出力しない。このようにして、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0013】
(7)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号の出力停止指令、および、消費電力制限制御を実行させる省エネ指令を、送信する。この構成によれば、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲外にあるとき、ワイヤレスマイクの消費電力を低減できる。
【0014】
(8)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲内にあるとき、前記音声信号に対して第1態様処理を行い、前記位置が前記音声制御範囲外にあるとき、前記音声信号に対して前記第1態様処理と異なる第2態様処理を行い、前記第1態様処理および前記第2態様処理は、増幅処理またはミュート処理である。この構成によれば、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるか否かに応じて、音声信号の処理態様を異ならせることができる。
【0015】
(9)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御装置は、前記音声制御範囲として、第1音声制御範囲と、前記第1音声制御範囲内に設定される第2音声制御範囲とを有し、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを示す位置状態情報を記憶し、前記位置状態情報は、前記位置が前記音声制御範囲内に含まれる第1状態、および、前記位置が前記音声制御範囲外にある第2状態のいずれかの状態をとるパラメータであり、前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを判定するとき、前記位置状態情報が前記第1状態である場合、前記音声制御範囲として前記第1音声制御範囲を使用し、前記位置状態情報が前記第2状態である場合、前記音声制御範囲として前記第2音声制御範囲を使用する。
【0016】
この構成によれば、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内から音声制御範囲外に移動するときと、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲外から音声制御範囲内に移動するときとにおいて、ワイヤレスマイクの位置判定に使用される音声制御範囲が異なる。これによって、ワイヤレスマイクが音声制御範囲の境界付近に位置する場合において、音声信号の再生と非再生とが連続して切り替わることを抑制できる。
【0017】
(10)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御装置は、前記制御情報として、1個の前記ワイヤレスマイクについて複数の前記音声制御範囲を有する。この構成によれば、ワイヤレスマイクが複数の音声制御範囲のいずれかの範囲内にある場合、その音声制御範囲で音声信号を再生できる。
【0018】
(11)上記ワイヤレスマイクシステムは、複数の前記受信装置を備え、前記制御装置は、前記制御情報として、複数の前記受信装置それぞれに設定される前記音声制御範囲を有し、前記制御部は、前記受信装置毎に設定される複数の前記音声制御範囲について前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを判定する。この構成によれば、1個のワイヤレスマイクから出力される音声信号を、受信装置毎に設けられる複数の音声制御範囲で再生できる。
【0019】
(12)上記ワイヤレスマイクシステムは、複数の前記ワイヤレスマイクを備え、前記制御装置は、前記制御情報として、複数の前記ワイヤレスマイクについて前記ワイヤレスマイク毎に設定される複数の前記音声制御範囲を有し、前記制御部は、前記位置が前記音声制御範囲内にあるか否かを判定するとき、前記ワイヤレスマイクに対応する前記音声制御範囲を使用する。
【0020】
この構成によれば、複数のワイヤレスマイクそれぞれについて、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるか否かに応じて行う制御を個別に行うことができる。
【0021】
(13)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記ワイヤレスマイクは、さらに、前記ワイヤレスマイクの識別情報を示す識別信号を送信し、前記受信装置は、さらに、前記識別信号を受信し、前記制御装置は、前記制御情報として、前記識別情報と前記ワイヤレスマイクとを関連づける第1関連情報とを有し、前記制御部は、前記識別信号および前記第1関連情報に基づいて前記ワイヤレスマイクを特定する。この構成によれば、識別情報によってワイヤレスマイクを特定できる。
【0022】
(14)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記ワイヤレスマイクは、予め設定される周波数チャンネルによって前記音声信号を出力し、前記制御装置は、前記制御情報として、前記周波数チャンネルと前記ワイヤレスマイクとを関連づける第2関連情報を有し、前記制御部は、前記周波数チャンネルおよび前記第2関連情報に基づいて前記ワイヤレスマイクを特定する。この構成によれば、周波数チャンネルによってワイヤレスマイクを特定できる。
【0023】
(15)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記制御装置は、さらに、前記音声制御範囲を設定するための設定部を備える。この構成によれば、設定部によって音声制御範囲を設定できる。
【0024】
(16)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記設定部は、表示部に、前記受信装置が配置される場所のレイアウトを示すレイアウト情報と、前記レイアウトに対する前記受信装置の配置を示す配置情報と、を出力する情報出力部と、前記レイアウトに対する前記受信装置の配置および前記レイアウトにおける前記音声制御範囲の入力を受け付ける情報受信部と、前記レイアウトに対する前記音声制御範囲、および、前記受信装置の配置を前記記憶部に記憶する情報設定部と、を備える。この構成によれば、表示部に表示されるレイアウトおよび受信装置の配置を見ながら、音声制御範囲を設定できる。
【0025】
(17)上記ワイヤレスマイクシステムは、前記設定部は、さらに、キャリブレーション部を備え、前記キャリブレーション部は、現実位置と、前記現実位置に前記ワイヤレスマイクを配置した状態で出力される位置特定用信号に基づいて特定される前記位置と、を対応づける。この構成によれば、現実位置と、位置特定用信号に基づいて特定される位置とを簡単に関係づけることができる。
【0026】
(18)課題を解決するワイヤレスマイクシステム設定方法は、ワイヤレスマイクシステムの音声信号の再生に関する範囲を設定するワイヤレスマイクシステム設定方法であって、前記ワイヤレスマイクシステムは、音声信号および位置特定用信号を電波によって送信する少なくとも1つのワイヤレスマイクと、前記音声信号と前記位置特定用信号とを受信する少なくとも1つの受信装置と、前記受信装置から前記音声信号および前記位置特定用信号を取得する制御装置と、を備え、前記制御装置は、制御情報を記憶する記憶部と、前記位置特定用信号に基づいて前記ワイヤレスマイクの位置を特定する位置特定部と、前記位置および前記制御情報に基づいて、前記音声信号、前記音声信号を再生する放音装置、前記受信装置、および、前記ワイヤレスマイクの少なくとも1つを制御する制御部と、を有し、前記制御情報は、前記音声信号を再生する音声制御範囲を示す情報を含み、前記受信装置が配置される場所のレイアウトをレイアウト情報として前記制御装置に設定する第1手順と、前記レイアウトに対して、前記受信装置の配置を前記制御装置に設定する第2手順と、前記レイアウトにおける前記音声制御範囲を設定する第3手順と、現実位置と、前記現実位置に前記ワイヤレスマイクを配置した状態で出力される前記位置特定用信号に基づいて特定される前記位置とを対応づける、第4手順とを含む。
【0027】
この構成によれば、ワイヤレスマイクシステムにおける音声制御範囲と、音声再生に関して現実空間に設定される範囲とを簡単に関係づけることができる。これによって、ワイヤレスマイクの位置が音声制御範囲内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【発明の効果】
【0028】
ワイヤレスマイクシステム、および、ワイヤレスマイクシステム設定方法によれば、ワイヤレスマイクの位置に応じた制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ワイヤレスマイクシステムの第1使用例の模式図である。
図2】ワイヤレスマイクシステムの第2使用例の模式図である。
図3】ワイヤレスマイクシステムの第3使用例の模式図である。
図4】第1実施形態について、ワイヤレスマイクのブロック図である。
図5】第1実施形態について、受信装置および制御装置のブロック図である。
図6】第1実施形態のワイヤレスマイクの位置を示すための座標系を示す図である。
図7】制御部が実行する第1制御処理のフローチャートである。
図8】現実位置と、位置特定用信号に基づいて特定される位置との関係を示す説明図である。
図9】第2実施形態について、制御部が実行する第2制御処理のフローチャートである。
図10】第3実施形態について、制御部が実行する第3制御処理のフローチャートである。
図11】第4実施形態について、制御部が実行する第4制御処理のフローチャートである。
図12】第5実施形態について、制御部が実行する第5制御処理のフローチャートである。
図13】第6実施形態について、第1音声制御範囲と第2音声制御範囲との関係を示す図である。
図14】第6実施形態について、制御部が実行する第6制御処理のフローチャートである。
図15】第7実施形態の音声制御範囲を示す図である。
図16】第8実施形態の音声制御範囲を示す図である。
図17】第9実施形態の音声制御範囲を示す図である。
図18】第9実施形態について、ワイヤレスマイクの識別情報と音声制御範囲との関係を示すテーブルである。
図19】第9実施形態の音声制御範囲を示す図である。
図20】第10実施形態について、ワイヤレスマイクの識別情報と受信装置の識別情報と音声制御範囲との関係を示す図である。
図21】ワイヤレスマイクシステムの使用例の第1変形例を示す模式図である。
図22】ワイヤレスマイクシステムの使用例の第2変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
図1図8を参照して、ワイヤレスマイクシステム1を説明する。図1に示されるように、ワイヤレスマイクシステム1は、少なくとも1つのワイヤレスマイク3と、少なくとも1つの受信装置10と、制御装置20と、を備える。本実施形態では、ワイヤレスマイクシステム1は、さらに、放音装置31を備える。
【0031】
ワイヤレスマイクシステム1は、ワイヤレスマイク3から出力される音声信号の処理に対して、ワイヤレスマイク3の位置に応じた処理を実行する。
ワイヤレスマイクシステム1は、音声信号に対して、所定領域内にワイヤレスマイク3があるか否かに応じた処理を行う。以下、所定領域を「音声制御範囲R」と言う。音声制御範囲Rは、所定の場所において、ワイヤレスマイクシステム1が音声再生に関係する制御を実行する範囲として設定される。ワイヤレスマイク3が使用されるような場所で、音声制御範囲Rが設定される。音声制御範囲Rが設定される場所として、オフィスビルの部屋、施設の部屋、舞台、ホール、運動場、広場、および、展示場の所定のブース、が挙げられる。
【0032】
図1は、音声制御範囲Rの第1設定例を示す。図1は、施設の部屋18のレイアウトの第1例を示す。この例では、1つの部屋18Aに音声制御範囲Rが設定されている。廊下19および他の部屋18Bは、音声制御範囲R外の領域である。
【0033】
図2は、音声制御範囲Rの第2設定例を示す。図2は、施設の部屋18のレイアウトの第2例を示す。この例では、2つの部屋18A,18Bそれぞれに音声制御範囲Rが設定されている。廊下19は、音声制御範囲R外の領域である。
【0034】
図3は、音声制御範囲Rの第3設定例を示す。図3は、施設の部屋18のレイアウトの第3例を示す。この例では、2つの部屋18A,18Bにわたるように1つの音声制御範囲Rが設定されている。廊下19は、音声制御範囲R外の領域である。
【0035】
以上のように、音声制御範囲Rは、様々な態様で設定され得る。音声制御範囲Rの設定の対象は、部屋18のように壁によって仕切られる空間に限られない。例えば、音声制御範囲Rは、広場において設定され得る。例えば、運動会でワイヤレスマイク3が使用される場合、円形の音声制御範囲Rが設定される。また、屋外でコンサートが行われるような場合に、コンサート場に音声制御範囲Rが設定される。
【0036】
<ワイヤレスマイク>
図4を参照して、ワイヤレスマイク3を説明する。
ワイヤレスマイク3は、音声信号および位置特定用信号を電波によって送信する。例えば、キャリア波として2.4GHz帯電波が使用される。例えば、ワイヤレスマイク3の通信規格としてBluetooth(登録商標)の規格が使用される。ワイヤレスマイク3は、位置特定用信号を周期的に送信する。ワイヤレスマイク3は、省エネモードの制御と、通常モードの制御とを有してもよい。省エネモードは、消費電力を少なくする制御である。例えば、ワイヤレスマイク3に音声が所定時間以上にわたって入力されていないとき、制御部23が省エネモードの制御を実行する。ワイヤレスマイク3に音声が入力されるとき、制御部23が通常モードを実行する。通常モードの制御の消費電力は、省エネモードの制御の消費電力よりも大きい。
【0037】
ワイヤレスマイク3は、省エネモードで動作するとき、および、通常モードで動作するときのいずれの動作状態でも、位置特定用信号を送信する。
【0038】
一例では、ワイヤレスマイク3は、省エネモードにおいて、マイクアンプ5、ADコンバーター6、符号化部7、および送信部8の少なくとも1つを停止する。他の例では、ワイヤレスマイク3は、省エネモードで動作するとき、通常モードで動作するときに比べて、長い周期で位置特定用信号を送信する。
【0039】
ワイヤレスマイク3は、マイクエレメント4、マイクアンプ5、ADコンバーター6、符号化部7、送信部8、および、マイク制御部9を備える。
【0040】
マイクエレメント4は、入力された音声を音声アナログ信号(電気信号)に変換する。マイクアンプ5は、マイクエレメント4の出力を増幅して出力する。ADコンバーター6は、マイクアンプ5から出力されるアナログ信号をPCM方式(パルス符号変調方式)によってデジタル信号に変換する。符号化部7は、ADコンバーター6によって形成された信号を、所定方式のコーデックプログラムを用いて圧縮する。コーデックの方式の一例として、Enhanced Voice Services(EVS)、および、Advanced Audio Coding(AAC)が挙げられる。符号化部7の動作によって、音声データが生成される。音声データは、フレーム構造を有する。音声データは暗号化されてもよい。
【0041】
送信部8は、送信アンテナを有する。送信部8は、音声データに基づいてキャリア波の変調によって音声信号を形成し、音声信号を送信アンテナから送信する。さらに、送信部8は、位置特定用信号を送信する。送信部8は、フレーム同期をとるための同期信号を送信する。送信部8は、音声信号および位置特定用信号をフレーム単位で送信する。送信部8は、ワイヤレスマイク3の識別情報を送信してもよい。識別情報の一例は、Bluetooth(登録商標)規格で定められたBDアドレスである。
【0042】
マイク制御部9は、符号化部7および送信部8を制御するプロセッサーを有する。マイク制御部9は、マイク制御部9内の記憶部のプログラムを実行することによって、符号化部7および送信部8それぞれを制御する。
【0043】
また、マイク制御部9は、位置特定用信号を生成して送信部8から送信する。位置特定用信号は、音声がマイクエレメント4に入力されておらず音声データが生成されていないときにも、後述するワイヤレスマイク3の位置特定のために受信装置10がワイヤレスマイク3から信号を受信し続けるために送信される信号である。位置特定用信号は、ペイロードに何らかのデータを含む信号であるとよい。例えば、ペイロードには、意味をなさない空データを含んでもよいし、ワイヤレスマイク3の識別情報を含んでもよい。マイク制御部9は、このような何らかのデータをペイロードに含むデータパケットを生成し、送信部8に出力することで、送信部8から位置特定用信号が送信される。
【0044】
マイク制御部9は、音声がマイクエレメント4に入力されている場合であって音声データが生成されている期間において位置特定用信号の生成を省略してもよい。この場合、音声データに基づいて生成される音声信号がワイヤレスマイク3の位置特定のための位置特定用信号として使用される。
【0045】
<受信装置>
図5を参照して、受信装置10を説明する。
受信装置10は、音声信号と位置特定用信号とを受信する。受信装置10は、アンテナ11、受信部12、復号部13、音声信号処理部14、ミキサー15、DAコンバーター16、および、アンプ17を備える。
【0046】
アンテナ11は、複数のアレイアンテナを有する。一例では、アンテナ11は、2個のアレイアンテナを有する。2個のアレイアンテナの一方は、他方に直交するように配置される。アレイアンテナは、複数のアンテナエレメントを含む。複数のアンテナエレメントは、直線状に一列に等間隔で配列される。
【0047】
受信部12は、アンテナ11を介して受信した電波を復調することによって、音声信号および位置特定用信号を取得し、制御装置20に出力する。また、受信部12は、音声信号の再生出力のため、音声信号を復号部13に出力する。
【0048】
復号部13は、復調された音声信号を復号することによって、音声データを取り出す。音声信号処理部14は、デジタル音声信号に対して種々の処理を行って音量や音質の調整を行う。音声信号処理部14は、制御装置20から出される指令に基づいて、音量調整、および、ミュート処理を実行する。
【0049】
ミキサー15は、受信部12が複数のワイヤレスマイク3から音声信号を受信するとき、複数の音声信号それぞれの音声データをミキシングする。DAコンバーター16は、音声データを再生アナログ信号に変換する。アンプ17は、DAコンバーター16から出力される再生アナログ信号を増幅する。アンプ17は、増幅した再生アナログ信号を放音装置31(例えば、スピーカー)に出力する。
【0050】
一例では、音声信号処理部14、ミキサー15、DAコンバーター16、および、アンプ17は、制御装置20とともに1つのケースに収容される。音声信号処理部14、ミキサー15、DAコンバーター16、および、アンプ17は、制御装置20が収容されるケースと別のケースに収容されてもよい。音声信号処理部14、ミキサー15、DAコンバーター16、および、アンプ17は、受信部12とともに1つのケースに収容されてもよい。受信部12は、アンテナ11とともに1つのケースに収容されてもよい。受信部12は、アンテナ11のケースと別のケースに収容されてもよい。
【0051】
<制御装置>
図5を参照して、制御装置20を説明する。制御装置20は、受信装置10から音声信号および位置特定用信号を取得する。制御装置20は、記憶部21と、位置特定部22と、制御部23と、を有する。本実施形態では、制御装置20は、さらに、音声制御範囲Rを設定するための設定部25を備える。
【0052】
記憶部21は、制御情報を記憶する。記憶部21は、半導体メモリによって構成される。位置特定部22は、位置特定用信号に基づいてワイヤレスマイク3の位置を特定する。例えば、位置特定部22は、AOA(Angle of Arrival)方式によって、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。
【0053】
図6に示されるように、例えば、位置特定部22は、アンテナ11の位置を中心とするXY座標系において、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。位置特定部22は、XY座標系に替えて曲座標系を有してもよい。図6の点は、ワイヤレスマイク3の位置を示す。図6のX軸とY軸との交点は、アンテナ11の位置を示す。
【0054】
制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置および制御情報に基づいて、次の対象を制御する。制御部23の制御対象は、音声信号、音声信号を再生する放音装置31、受信装置10、および、ワイヤレスマイク3の少なくとも1つである。
【0055】
制御部23は、受信装置10(受信部12、復号部13、音声信号処理部14、ミキサー15、DAコンバーター16、アンプ17)、記憶部21、位置特定部22、および、設定部25を制御するプロセッサーを有する。制御部23は、制御部23内に保存されているプログラムを実行する。制御部23は、プログラムを実行することによって、受信装置10、記憶部21、位置特定部22、および、設定部25それぞれを制御する。
【0056】
制御情報は、音声信号を再生する音声制御範囲Rを示す情報を含む。音声制御範囲Rは、ユーザーによって設定される情報である。制御情報は、さらに、受信装置10、および、ワイヤレスマイク3に対する指令情報を含んでもよい。指令情報として次の指令が挙げられる。
【0057】
受信部12に対する指令として、受信した音声信号を復号部13に出力することを実行させる指令、および、受信した音声信号を復号部13に出力することを停止させる指令が挙げられる。ワイヤレスマイク3に対する指令として、音声信号を送信させる指令、および、音声信号の送信を停止させる指令が挙げられる。音声信号処理部14に対する指令として、放音装置31へ音声信号を出力させる指令、放音装置31への音声信号の出力を停止させる指令、音声信号を第1レベルまで増幅させる指令、音声信号を第1レベルよりも低い第2レベルまで増幅させる指令、音声信号を第2レベルよりも低い第3レベルまで増幅させる指令、および、ミュート処理をさせる指令、が挙げられる。
【0058】
本実施形態では、制御部23は、音声信号処理部14への指令によって次の制御を実行する。
制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、放音装置31へ音声信号を出力する。制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、放音装置31への音声信号の出力を停止する。
【0059】
図7を参照して、制御装置20が実行する第1制御処理を説明する。制御部23は、第1制御処理を周期的に実行する。
ステップS11において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。ステップS12において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定する。
【0060】
ステップS12において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあると判定する場合、ステップS13において、制御部23は、音声信号処理部14への指令によって、放音装置31へ音声信号を出力する。
【0061】
ステップS12において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にないと判定する場合、ステップS14において、制御部23は、音声信号処理部14への指令によって、放音装置31へ音声信号の出力を停止する。本実施形態において、「ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にない」は、「ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R外である」と同じ意味である。
【0062】
<設定部>
設定部25は、情報出力部26と、情報受信部27と、情報設定部28と、を備える。情報出力部26は、表示部33に、レイアウト情報と、レイアウトに対する受信装置10の配置を示す配置情報と、を出力する。レイアウト情報は、受信装置10が配置される場所のレイアウトを示す。
【0063】
情報受信部27は、レイアウトに対する受信装置10の配置およびレイアウトにおける音声制御範囲Rの入力を入力部34から受け付ける。情報設定部28は、レイアウトに対する音声制御範囲R、および、受信装置10の配置を記憶部21に記憶する。
【0064】
表示部33は、パーソナルコンピューター32の表示部33、または、スマートフォン、によって構成される。入力部34は、パーソナルコンピューター32のキーボード、または、スマートフォンのタッチパネルによって構成される。パーソナルコンピューター32およびスマートフォンは、制御装置20に直接またはネットワークを介して間接的に接続される。
【0065】
設定部25は、さらに、キャリブレーション部29を備える。キャリブレーション部29は、現実位置と、ワイヤレスマイク3を配置した状態で出力される位置特定用信号に基づいて特定される位置と、を対応づける。
【0066】
図8は、現実位置と、ワイヤレスマイク3を配置した状態で出力される位置特定用信号に基づいて特定される位置と、の関係を示す図である。
【0067】
図8を参照して、キャリブレーションの一例を説明する。矩形の所定部屋18Cに音声制御範囲Rを設定する場合の例を挙げる。現実空間の所定部屋18Cの4隅(すなわち、現実位置PA)にワイヤレスマイク3を配置する。4隅の現実位置PAは、アンテナ11を中心とするXY座標系で特定される。この状態で、ワイヤレスマイク3を使用する。そうすると、受信部12は、位置特定用信号を取得する。制御装置20は、所定部屋18Cの4隅のワイヤレスマイク3の位置を特定する。キャリブレーション部29は、現実位置PAと、このように特定された位置とを対応づける。具体的には、キャリブレーション部29は、位置特定部22によって特定された4個の位置PBの座標(X軸の値と、Y軸の値)を、アンテナ11を中心とする4個の現実位置PAの座標(現実のX軸の値と、Y軸の値)に変換する、変換式を導出する。キャリブレーション部29が導出した変換式は、制御部23において、位置特定用信号に基づいて特定される位置を補正するための式として使用される。
【0068】
<ワイヤレスマイクシステム設定方法>
図1を参照して、ワイヤレスマイクシステム設定方法について説明する。
ワイヤレスマイクシステム設定方法は、音声再生に関係する制御を実行する範囲を設定する方法である。本実施形態では、音声再生に関係する制御を実行する範囲は、「音声制御範囲R」である。
【0069】
ワイヤレスマイクシステム設定方法は、第1手順~第4手順を含む。
第1手順では、受信装置10が配置される場所のレイアウトをレイアウト情報として制御装置20に設定する。具体的には、入力部34からレイアウト情報を制御装置20に入力して、レイアウト情報を記憶部21に記憶させる。レイアウト情報に基づくレイアウトは、表示部33に表示される。
【0070】
第2手順では、レイアウトに対して、受信装置10の配置を制御装置20に設定する。具体的には、表示部33に表示されるレイアウトに受信装置10のアイコンを配置する。これによって、レイアウトにおける受信装置10の位置が設定される。
【0071】
第3手順では、レイアウトにおける音声制御範囲Rを設定する。
具体的には、表示部33に表示されるレイアウトにおいて、レイアウトに重なって表示される矩形の音声制御範囲Rの枠線41を拡大縮小または移動させることによって、音声制御範囲Rを設定する。
【0072】
第4手順では、現実位置と、現実位置にワイヤレスマイク3を配置した状態で出力される位置特定用信号に基づいて特定される位置と、を対応づける。具体的には、上述のキャリブレーションが行われる。
【0073】
本実施形態の作用を説明する。
従来のワイヤレスマイクシステム1の場合、ワイヤレスマイク3から出力される音声信号を受信する限りにおいて、ワイヤレスマイク3がどのような場所にあっても、音声信号を再生する。このため、使用者が意図しない音声が再生される虞がある。この点、本実施形態では、ワイヤレスマイクシステム1は、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。そして、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置に基づいて各種の制御を行う。このため、ワイヤレスマイクシステム1によれば、ワイヤレスマイク3の位置に応じた制御を行うことができる。これによって、例えば、ワイヤレスマイク3の音声信号を拡声する予定のエリア(すなわち、音声制御範囲R)でのみ、音声信号の再生を行うことができる。
【0074】
本実施形態の効果を説明する。
(1)ワイヤレスマイクシステム1は、ワイヤレスマイク3と、受信装置10と、制御装置20と、を備える。制御装置20は、制御部23を有する。制御部23は、位置および制御情報に基づいて、音声信号、音声信号を再生する放音装置31、受信装置10、および、ワイヤレスマイク3の少なくとも1つを制御する。この構成によれば、ワイヤレスマイク3の位置に応じた制御を行うことができる。
【0075】
(2)制御情報は、音声信号を再生する音声制御範囲Rを示す情報を含む。
この構成によれば、音声制御範囲Rに基づいて音声再生に関する制御を行うことができる。
【0076】
(3)制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、放音装置31へ音声信号を出力する。制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、放音装置31への音声信号の出力を停止する。
【0077】
この構成によれば、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるとき、放音装置31に音声信号が出力されるため、音声が再生される。ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R外にあるとき、放音装置31に音声信号が出力されないため、音声が再生されない。このようにして、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0078】
(4)制御装置20は、さらに、音声制御範囲Rを設定するための設定部25を備える。この構成によれば、設定部25によって音声制御範囲Rを設定できる。
【0079】
(5)設定部25は、情報出力部26と、情報受信部27と、を備える。情報出力部26は、表示部33に、レイアウト情報と、レイアウトに対する受信装置10の配置を示す配置情報と、を出力する。情報受信部27は、レイアウトに対する受信装置10の配置およびレイアウトにおける音声制御範囲Rの入力を受け付ける。この構成によれば、表示部33に表示されるレイアウトおよび受信装置10の配置を見ながら、音声制御範囲Rを設定できる。
【0080】
(6)設定部25は、キャリブレーション部29を備える。キャリブレーション部29は、現実位置と、現実位置にワイヤレスマイク3を配置した状態で出力される位置特定用信号に基づいて特定される位置と、を対応づける。この構成によれば、現実空間における現実位置と、位置特定用信号に基づいて特定される位置とを簡単に関係づけることができる。
【0081】
(7)ワイヤレスマイクシステム設定方法は、第1手順~第4手順を含む。
第1手順では、受信装置10が配置される場所のレイアウトをレイアウト情報として制御装置20に設定する。第2手順では、レイアウトに対して、受信装置10の配置を制御装置20に設定する。第3手順では、レイアウトにおける音声制御範囲Rを設定する。第4手順では、現実位置と、現実位置にワイヤレスマイク3を配置した状態で出力される位置特定用信号に基づいて特定される位置とを対応づける。現実位置は、現実空間で区画される範囲の所定位置である。
【0082】
この構成によれば、ワイヤレスマイクシステム1における音声制御範囲Rと、音声再生に関して現実空間に設定される範囲とを簡単に関係づけることができる。これによって、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0083】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0084】
本実施形態では、制御部23は次の制御を実行する。
制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、音声信号を受信する。制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、音声信号の受信を停止する。
【0085】
図9を参照して、制御装置20が実行する第2制御処理を説明する。制御部23は、第2制御処理を周期的に実行する。
ステップS21において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。ステップS22において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定する。
【0086】
ステップS22において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあると判定する場合、ステップS23において、制御部23は、受信部12への指令によって、受信部12から音声信号を復号部13に出力させる。ステップS23における処理が図9に記載の「音声信号の受信」に該当する。
【0087】
ステップS22において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にないと判定する場合、ステップS24において、制御部23は、受信部12への指令によって、受信部12から音声信号を復号部13に出力することを停止させる。ステップS24における処理が図9に記載の「音声信号の受信の停止」に該当する。
【0088】
本実施形態の効果を説明する。ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるとき、制御部23は、受信部12で受信した音声信号を出力させ、復号部13以降の各部が音声信号を処理するようにする。これによって、音声信号を再生する。
【0089】
ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R外にあるとき、制御部23は、受信部12で受信した音声信号が出力されず、復号部13以降の各部が音声信号を処理しない。これによって、音声信号を再生しない。このようにして、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0090】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
本実施形態では、制御部23は次の制御を実行する。
制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、放音装置31に音声信号の再生を指令する。制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、放音装置31に音声信号の再生停止を指令する。
【0092】
図10を参照して、制御装置20が実行する第3制御処理を説明する。制御部23は、第3制御処理を周期的に実行する。
ステップS31において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。ステップS32において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定する。
【0093】
ステップS32において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあると判定する場合、ステップS33において、制御部23は、放音装置31に音声信号の再生を指令する。
【0094】
ステップS32において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にないと判定する場合、ステップS34において、制御部23は、放音装置31に音声信号の再生停止を指令する。
【0095】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるとき、放音装置31は音声信号を再生する。ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R外にあるとき、放音装置31は音声信号を再生しない。このようにして、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0096】
<第4実施形態>
第4実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0097】
本実施形態では、制御部23は次の制御を実行する。
制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、音声信号の出力実行指令をワイヤレスマイク3に送信する。制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、音声信号の出力停止指令をワイヤレスマイク3に送信する。
【0098】
図11を参照して、制御装置20が実行する第4制御処理を説明する。制御部23は、第4制御処理を周期的に実行する。
ステップS41において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。ステップS42において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定する。
【0099】
ステップS42において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあると判定する場合、ステップS43において、制御部23は、音声信号の出力実行指令をワイヤレスマイク3に送信する。
【0100】
ステップS42において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にないと判定する場合、ステップS44において、制御部23は、音声信号の出力停止指令をワイヤレスマイク3に送信する。さらに、ステップS45において、制御部23は、消費電力制限制御を実行させる省エネ指令を、送信する。
【0101】
本実施形態の効果を説明する。
(1)制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、音声信号の出力実行指令をワイヤレスマイク3に送信する。これによって、ワイヤレスマイク3は、音声信号を送信する。受信装置10は、音声信号を受けることによって、放音装置31に音声信号が出力されるようになるため、音声信号が再生される。
【0102】
制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、音声信号の出力停止指令をワイヤレスマイク3に送信する。これによって、ワイヤレスマイク3は、音声信号の送信を停止する。受信装置10は、音声信号を受けないことによって、放音装置31に音声信号が出力されないため、音声信号が再生されなくなる。このようにして、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かに応じて、音声信号の再生を制御できる。
【0103】
(2)制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、音声信号の出力停止指令、および、消費電力制限制御を実行させる省エネ指令を、送信する。この構成によれば、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R外にあるとき、ワイヤレスマイク3の消費電力を低減できる。また、ワイヤレスマイク3が音声制御範囲R外にある場合、ワイヤレスマイク3から音声信号が出力されないため、音声信号に対する他人の傍受を抑制できる。
【0104】
<第5実施形態>
第5実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0105】
本実施形態では、制御部23は次の制御を実行する。
制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、音声信号に対して第1態様処理を行う。位置が音声制御範囲R外にあるとき、音声信号に対して第1態様と異なる第2態様処理を行う。第1態様処理および第2態様処理は、増幅処理またはミュート処理である。本実施形態では、第1態様処理は、音声信号を所定レベル以上に増幅する。第2態様処理は、音声信号に対してミュート処理を実行する。
【0106】
図12を参照して、制御装置20が実行する第5制御処理を説明する。制御部23は、第5制御処理を周期的に実行する。
ステップS51において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。ステップS52において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定する。
【0107】
ステップS52において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあると判定する場合、ステップS53において、制御部23は、音声信号処理部14への指令によって音声信号を所定レベル以上に増幅する。
【0108】
ステップS52において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にないと判定する場合、ステップS54において、制御部23は、音声信号処理部14への指令によって音声信号に対してミュート処理を実行する。
【0109】
本実施形態の効果を説明する。
制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるとき、音声信号に対して第1態様処理を行う。制御部23は、位置が音声制御範囲R外にあるとき、音声信号に対して第1態様と異なる第2態様処理を行う。このため、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かに応じて、音声信号の処理態様を異ならせることができる。
【0110】
<第6実施形態>
第6実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0111】
図13に示されるように、制御装置20は、音声制御範囲Rとして、第1音声制御範囲R1と、第1音声制御範囲R1内に設定される第2音声制御範囲R2とを有する。制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるか否かを示す位置状態情報を記憶する。位置状態情報は、位置が音声制御範囲R内に含まれる第1状態、および、位置が音声制御範囲R外にある第2状態のいずれかの状態をとるパラメータである。
【0112】
制御部23は、位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定するとき、位置状態情報が第1状態である場合、音声制御範囲Rとして第1音声制御範囲R1を使用する。制御部23は、位置状態情報が第2状態である場合、音声制御範囲Rとして第2音声制御範囲R2を使用する。
【0113】
図14を参照して、制御装置20が実行する第6制御処理を説明する。この制御処理は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定する直前に行われる。
【0114】
ステップS61において、制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置を特定する。ステップS62において、制御部23は、位置状態情報が第1状態であるか否かを判定する。位置状態情報が第1状態でないことは、位置状態情報が第2状態であることを示す。
【0115】
ステップS62において、制御部23は、位置状態情報が第1状態であると判定する場合、ステップS63において、制御部23は、音声制御範囲Rとして第1音声制御範囲R1を使用する。
【0116】
ステップS62において、制御部23は、位置状態情報が第1状態でないと判定する場合、ステップS64において、制御部23は、音声制御範囲Rとして第2音声制御範囲R2を使用する。
【0117】
本実施形態の効果を説明する。
この構成によれば、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内から音声制御範囲R外に移動するときと、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R外から音声制御範囲R内に移動するときとにおいて、ワイヤレスマイク3の位置判定に使用される音声制御範囲Rが異なる。
【0118】
具体的には、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内から音声制御範囲R外に移動すると、ワイヤレスマイク3が音声制御範囲Rの境界を超えるときに、音声制御範囲Rが縮小する。このため、越境の時点で、ワイヤレスマイク3は新たな音声制御範囲Rの境界から離れる。また、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R外から音声制御範囲R内に移動すると、ワイヤレスマイク3が音声制御範囲Rの境界を超えるときに、音声制御範囲Rが拡大する。このため、越境の時点で、ワイヤレスマイク3は新たな音声制御範囲Rの境界から離れる。これによって、ワイヤレスマイク3が音声制御範囲Rの境界付近に位置する場合において、音声信号の再生と非再生とが連続して切り替わることを抑制できる。
【0119】
<第7実施形態>
第7実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ワイヤレスマイクシステム1は、複数の放音装置31を備える。
【0120】
制御装置20は、制御情報として、1個のワイヤレスマイク3について複数の音声制御範囲Rを有する。
【0121】
図15は、1個のワイヤレスマイク3に設定される複数の音声制御範囲Rを示す図である。本実施形態では、1個のワイヤレスマイク3について、第3音声制御範囲R3と第4音声制御範囲R4とが設定される。
【0122】
制御部23は、位置が第3音声制御範囲R3内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって第1放音装置31Aへ音声信号を出力する。制御部23は、位置が第4音声制御範囲R4内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって第2放音装置31Bへ音声信号を出力する。制御部23は、位置が第3音声制御範囲R3外にあり、かつ、位置が第4音声制御範囲R4外にあるとき、第1放音装置31Aへの音声信号の出力を停止し、かつ、第2放音装置31Bへの音声信号の出力を停止する。
【0123】
本実施形態の効果を説明する。
制御装置20は、制御情報として、1個のワイヤレスマイク3について複数の音声制御範囲Rを有する。この構成によれば、ワイヤレスマイク3が複数の音声制御範囲Rのいずれかの範囲内にある場合でも、その音声制御範囲Rで音声信号を再生できる。使用者は、複数のエリアで単一のワイヤレスマイク3を使用できる。
【0124】
<第8実施形態>
第8実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0125】
ワイヤレスマイクシステム1は、複数の受信装置10を備える。複数の受信装置10それぞれには放音装置31が接続される。制御装置20は、制御情報として、複数の受信装置10それぞれに設定される音声制御範囲RXを有する。
【0126】
図16は、複数の受信装置10それぞれに設定された音声制御範囲RXを示す図である。制御部23は、複数の音声制御範囲RX毎に、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲RX内にあるか否かを判定する。
【0127】
この構成によれば、1個のワイヤレスマイク3から出力される音声信号を、受信装置10毎に設けられる複数の音声制御範囲RXで再生できる。例えば、互いに離れた2つの部屋には、それぞれに受信装置10が設けられる。ワイヤレスマイク3の音声信号は、いずれの部屋でも再生される。このため、部屋毎にワイヤレスマイク3を準備する必要性が無くなるため、ワイヤレスマイクシステム1の利便性が増す。
【0128】
<第9実施形態>
第9実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ワイヤレスマイクシステム1は、複数のワイヤレスマイク3を備える。
【0129】
制御装置20は、制御情報として、ワイヤレスマイク3毎に設定される音声制御範囲R5,R6を有する。
【0130】
制御部23は、ワイヤレスマイク3を特定した上で、ワイヤレスマイク3に対して設定されている音声制御範囲Rを取得し、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲Rにあるか否かを判定する。
【0131】
図17は、複数のワイヤレスマイク3それぞれの音声制御範囲R5,R6を示す図である。一例では、ワイヤレスマイクシステム1は、第1ワイヤレスマイク3Aと、第2ワイヤレスマイク3Bとを備える。第1ワイヤレスマイク3Aは、識別情報MAを有する。第2ワイヤレスマイク3Bは、識別情報MBを有する。
【0132】
図18は、各ワイヤレスマイク3A,3Bの識別情報と音声制御範囲R5,R6との関係を示すテーブルである。この例では、制御部23は次のように動作する。
制御部23は、第1ワイヤレスマイク3Aの位置が音声制御範囲R5内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、放音装置31へ音声信号を出力する。制御部23は、第1ワイヤレスマイク3Aの位置が音声制御範囲R5外にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、放音装置31への音声信号の出力を停止する。
【0133】
制御部23は、第2ワイヤレスマイク3Bの位置が音声制御範囲R6内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、放音装置31へ音声信号を出力する。制御部23は、第2ワイヤレスマイク3Bの位置が音声制御範囲R6外にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、放音装置31への音声信号の出力を停止する。
【0134】
図19および図20に示されるように、複数の受信装置10それぞれに、複数のワイヤレスマイク3の音声制御範囲Rが設定されてもよい。
一例では、ワイヤレスマイクシステム1は、第1ワイヤレスマイク3Aと、第2ワイヤレスマイク3Bと、第1受信装置10Aと、第2受信装置10Bと、を備える。本実施形態では、第1ワイヤレスマイク3Aは、識別情報MAを有する。第2ワイヤレスマイク3Bは、識別情報MBを有する。第1受信装置10Aは、識別情報LCAを有する。第2受信装置10Bは、識別情報LCBを有する。第1受信装置10Aには、第1放音装置31Aが接続される。第2受信装置10Bには、第2放音装置31Bが接続される。
【0135】
以下、音声制御範囲Rの設定の一例を説明する。
第1受信装置10Aには、第1ワイヤレスマイク3Aに対する第11音声制御範囲R11が設定される。第1受信装置10Aには、第2ワイヤレスマイク3Bに対する第12音声制御範囲R12が設定される。第2受信装置10Bには、第1ワイヤレスマイク3Aに対する第13音声制御範囲R13が設定される。第2受信装置10Bには、第2ワイヤレスマイク3Bに対する第14音声制御範囲R14が設定される。
【0136】
制御部23は、第1ワイヤレスマイク3Aの位置が第11音声制御範囲R11内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第1放音装置31Aへ音声信号を出力する。制御部23は、第2ワイヤレスマイク3Bの位置が第12音声制御範囲R12内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第1放音装置31Aへ音声信号を出力する。
【0137】
制御部23は、第1ワイヤレスマイク3Aの位置が第13音声制御範囲R13内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第2放音装置31Bへ音声信号を出力する。制御部23は、第2ワイヤレスマイク3Bの位置が第14音声制御範囲R14内にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第2放音装置31Bへ音声信号を出力する。
【0138】
制御部23は、第1ワイヤレスマイク3Aの位置が第11音声制御範囲R11外にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第1放音装置31Aへの音声信号の出力を停止する。制御部23は、第2ワイヤレスマイク3Bの位置が第12音声制御範囲R12外にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第1放音装置31Aへの音声信号の出力を停止する。
【0139】
制御部23は、第1ワイヤレスマイク3Aの位置が第13音声制御範囲R13外にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第2放音装置31Bへの音声信号の出力を停止する。制御部23は、第2ワイヤレスマイク3Bの位置が第14音声制御範囲R14外にあるとき、音声信号処理部14への指令によって、第2放音装置31Bへの音声信号の出力を停止する。
【0140】
これによって、第1放音装置31Aの周辺において、第1ワイヤレスマイク3Aと第2ワイヤレスマイク3Bとの拡声範囲を異ならせることができる。また、第2放音装置31Bの周辺において、第1ワイヤレスマイク3Aと第2ワイヤレスマイク3Bとの拡声範囲を異ならせることができる。
【0141】
本実施形態では、制御装置20は、複数のワイヤレスマイク3を次のように識別する。
ワイヤレスマイク3は、ワイヤレスマイク3の識別情報を示す識別信号を送信する。ワイヤレスマイク3は、識別信号を周期的に送信する。受信装置10は、識別信号を受信する。制御装置20は、制御情報として、識別情報とワイヤレスマイク3とを関連づける第1関連情報とを有する。第1関連情報は、記憶部21に記憶される。制御部23は、ワイヤレスマイク3から送信される識別情報を受信部12で受信するとき、識別信号および第1関連情報に基づいてワイヤレスマイク3を特定する。
【0142】
本実施形態の効果を説明する。
(1)制御部23は、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かを判定するとき、ワイヤレスマイク3に対応する音声制御範囲Rを使用する。この構成によれば、複数のワイヤレスマイク3それぞれについて、ワイヤレスマイク3の位置が音声制御範囲R内にあるか否かに応じて行う制御を個別に行うことができる。また、複数のワイヤレスマイク3は、他のワイヤレスマイク3と識別されるように構成され、かつ、ワイヤレスマイク毎に音声制御範囲Rを設定できるように構成される。このため、ユーザーは、自分のマイク(マイマイクとも呼ばれる。)に対して個別に音声制御を行うことができる、
【0143】
(2)ワイヤレスマイク3は、ワイヤレスマイク3の識別情報を示す識別信号を送信する。制御装置20は、制御情報として、識別情報とワイヤレスマイク3とを関連づける第1関連情報とを有する。制御部23は、識別信号および第1関連情報に基づいてワイヤレスマイク3を特定する。この構成によれば、識別情報によってワイヤレスマイク3を特定できる。
【0144】
<第10実施形態>
第10実施形態に係るワイヤレスマイクシステム1について説明する。本実施形態のワイヤレスマイクシステム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ワイヤレスマイクシステム1は、複数のワイヤレスマイク3を備える。
【0145】
本実施形態では、第9実施形態と異なるワイヤレスマイク3の特定方法を説明する。複数のワイヤレスマイク3それぞれは、固有の周波数チャンネルを有する。制御装置20は、制御情報として、周波数チャンネルとワイヤレスマイク3とを関連づける第2関連情報を有する。
【0146】
ワイヤレスマイク3は、固有の周波数チャンネルをキャリア波として音声信号を出力する。制御部23は、ワイヤレスマイク3から送信される周波数チャンネルのキャリア波を受信部12で受信するとき、周波数チャンネルおよび第2関連情報に基づいてワイヤレスマイク3を特定する。具体的には、制御部23は、チューナを有する。この構成によれば、周波数チャンネルによってワイヤレスマイク3を特定できる。
【0147】
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0148】
<第1変形例>
図21に示されるように、受信装置10には、複数の放音装置31が接続されてもよい。放音装置31の位置に対応するように、個別に独立した音声制御範囲Rが設定されてもよい。このように設定される複数の音声制御範囲Rは、複数のワイヤレスマイク3に対して共通である。一例では、ワイヤレスマイク3が音声制御範囲R内にあるとき、音声制御範囲Rに対応する放音装置31が動作する。このようなワイヤレスマイクシステム1は、博物館、美術館、展示会といった展示物の案内での使用に好適である。
【0149】
<第2変形例>
図22に示されるように、受信装置10には、複数の放音装置31が接続されてもよい。この場合、両端の放音装置31の位置に対応するように、個別に独立した第21音声制御範囲R21と第22音声制御範囲R22とが設定される。加えて、複数の放音装置31から出力される音声信号の音量が複数の放音装置31毎に設定される。以下に、一例を挙げて説明する。この例では、3個の第1放音装置31Xと、第2放音装置31Yと、第3放音装置31Zとが所定間隔をあけて配置されている。第1放音装置31Xと、第2放音装置31Yとの間の範囲に第21音声制御範囲R21が設定される。第2放音装置31Yと、第3放音装置31Zとの間の範囲に第22音声制御範囲R22が設定される。この説明において、第1レベルは、第2レベル、および、第3レベルは、放音装置31から出力される音声信号の音量を示す。第3レベルは、第2レベルよりも小さい音量を示す。第2レベルは、第1レベルよりも小さい音量を示す。
【0150】
制御部23は、ワイヤレスマイク3が第21音声制御範囲R21内にあることに基づいて、受信装置10から第1放音装置31X~第3放音装置31Zそれぞれに出力する音声信号の音量を音声信号処理部14への指令によって次のように制御する。
【0151】
制御部23は、ワイヤレスマイク3が第21音声制御範囲R21内にあるとき、第1放音装置31Xから出力される音声信号を第1レベルまで増幅し、第2放音装置31Yから出力される音声信号を第2レベルまで増幅し、第3放音装置31Zから出力される音声信号を第3レベルまで増幅する。
【0152】
制御部23は、ワイヤレスマイク3が第22音声制御範囲R22内にあることに基づいて、受信装置10から第1放音装置31X~第3放音装置31Zそれぞれに出力する音声信号の音量を音声信号処理部14への指令によって次のように制御する。
【0153】
ワイヤレスマイク3が第22音声制御範囲R22内にあるとき、第1放音装置31Xから出力される音声信号を第3レベルまで増幅し、第2放音装置31Yから出力される音声信号を第2レベルまで増幅し、第3放音装置31Zから出力される音声信号を第1レベルまで増幅する。
【0154】
この構成によれば、ワイヤレスマイク3の移動に伴って、ワイヤレスマイク3の移動先で再生音の音量が増大する。このようにして、ワイヤレスマイク3の移動に応じた態様で音声を制御できる。
【0155】
<第3変形例>
上記実施形態において、ワイヤレスマイク3は、インジケーターを備えてもよい。インジケーターは、ワイヤレスマイク3の音声信号が再生されるか否かを表示する。例えば、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および、第5実施形態~第10実施形態において、ワイヤレスマイク3の音声信号が再生されるか否か示す信号を制御装置20からワイヤレスマイク3に送信してもよい。例えば、第1実施形態の場合では、ステップS14において音声信号の出力停止に切り替わると、制御装置20は、それに応答してワイヤレスマイク3に「音声信号が再生されない旨」の信号を送る。このとき、ワイヤレスマイク3は、音声信号が再生されない旨の信号(以下、非再生信号)を受けることに基づいて、インジケーターを「音声信号が再生されないことを示す表示」に切り替える。ワイヤレスマイク3は、非再生信号を受けないとき、インジケーターを「音声信号が再生することを示す表示」に切り替える。ステップS13の処理によって、音声信号の出力停止から音声信号の出力に切り替わると、制御装置20は、それに応答して、ワイヤレスマイク3に「音声信号が再生される旨の信号」を送る。これによって、使用者は、ワイヤレスマイク3のインジケーターの表示態様から音声が再生される場所にいるか否かを把握できる。
【0156】
なお、第4実施形態の場合、ワイヤレスマイク3がステップS43およびステップS44において制御部23から指令を受けるため、ワイヤレスマイク3は、その指令に応じてインジケーターを表示する。
【0157】
<第4変形例>
第9実施形態および第10実施形態において、スケジュールに応じて、使用可能なワイヤレスマイク3を切り換えてもよい。
【0158】
例えば、音声制御範囲R毎に使用できるワイヤレスマイク3がスケジュールに設定される。スケジュールは、制御装置20が有する。一例では、制御装置20は、スケジュールに合わせて、再生可能なワイヤレスマイク3を制限する。
【0159】
一例では、図17または図18の場合、午前9時から12時までの時間帯において、音声制御範囲R5でワイヤレスマイク3(識別情報MA)が使用可能であるようにスケジュールが設定される。午後1時から5時までの時間帯において、音声制御範囲R6でワイヤレスマイク3(識別情報MB)が使用可能であるようにスケジュールが設定される。この場合、午前9時から12時の時間帯では、ワイヤレスマイク3(識別情報MA)が音声制御範囲R5内にあるときに限り放音装置31への音声信号が出力される。午前9時から12時の時間帯では、ワイヤレスマイク3(識別情報MB)が音声制御範囲R6内にある場合であっても音声信号は出力されない。一方、午後1時から5時までの時間帯では、ワイヤレスマイク3(識別情報MB)が音声制御範囲R6内にあるときに限り、放音装置31への音声信号が出力される。午後1時から5時までの時間帯では、ワイヤレスマイク3(識別情報MA)が音声制御範囲R5内にある場合でも、音声信号は出力されない。
【0160】
<第5変形例>
上記実施形態では、制御部23から受信装置10に対する指令として、受信部12および音声信号処理部14に対する指令を例に挙げて説明したが、これに限定されない。制御部23から発せられる指令は、復号部13に対して、受信部12から受信した音声信号を復号させる、または、復号を停止させる指令であってもよい。制御部23から発せられる指令は、ミキサー15に対し、音声信号処理部14が処理した音声データをミキシングさせる、または、ミキシングを停止させる指令であってもよい。制御部23から発せられる指令は、DAコンバーター16に対し、ミキサー15から入力された音声データをDA処理させる、または、DA処理を停止させる指令であってもよい。制御部23から発せられる指令は、アンプ17に対し、DAコンバーター16から入力される音声信号を増幅して出力させる、または、増幅して出力することを停止させる指令であってもよい。要するに、制御部23から発せられる指令は、受信装置10に対し、アンテナ11で受信される音声信号を受信部12~アンプ17の各部で処理して放音装置31に出力すること、または、出力しないことを指令するものであるとよい。
【0161】
<その他の変形例>
上記実施形態では、2次元座標でワイヤレスマイク3の位置を特定している。これに対して、3次元のアレイアンテナを使用することによって、3次元座標でワイヤレスマイク3の位置を特定してもよい。この場合、階段を含む空間のように上下に人が移動する空間において、音声制御範囲Rを設定できる。階段を含む空間の例として、例えば、球場、住宅の吹き抜け階段、および、駅のホームの階段を含む空間が挙げられる。
【0162】
上記実施形態において、レイアウト情報は、インターネットの地図情報から取得してもよい。音声制御範囲Rの設定のとき、レイアウト情報は、全球測位衛星システム(GNSS)または屋内測位システム(IPS)によって、レイアウトにおいてアンテナ11の配置を設定してもよい。
【符号の説明】
【0163】
R…音声制御範囲、1…ワイヤレスマイクシステム、3…ワイヤレスマイク、10…受信装置、20…制御装置、21…記憶部、22…位置特定部、23…制御部、25…設定部、26…情報出力部、27…情報受信部、28…情報設定部、29…キャリブレーション部、31…放音装置、33…表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22