(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114854
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】異常検出システム及び車両サービス決定システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230810BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20230810BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230810BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
G06T7/00 650B
G06T7/00 300E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017403
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真樹
(72)【発明者】
【氏名】御厨 裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181MB06
5H181MC19
5H181MC27
5L096AA06
5L096BA04
5L096BA18
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA25
5L096FA69
5L096GA08
5L096GA51
5L096HA09
(57)【要約】
【課題】異常が発生している車両を検出する異常検出システムを提供する。
【解決手段】異常検出システム1は、複数の車両の各々から送信される、車両の位置及び周囲の画像を示す情報を受信する情報取得部10と、取得した複数の車両の各々の位置及び周囲の画像に基づいて、複数の車両の中から異常が発生している異常車両を検出する異常車両検出部20とを備える。異常車両検出部20は、複数の車両に含まれる第1の車両の周囲の画像の中から複数の車両に含まれる第2の車両を検出し、第2の車両に異常が発生していないときの第2の車両の画像である正常画像と、第1の車両の周囲の画像との差分を抽出し、差分に基づいて、第2の車両が異常車両であるか否かを判断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の各々の位置及び前記複数の車両の各々の周囲の画像に基づいて、前記複数の車両の中から異常が発生している車両を検出する異常検出システムであって、
前記複数の車両の各々から送信される、前記位置及び前記周囲の画像を示す情報を受信する情報取得部と、
取得した前記複数の車両の各々の位置及び前記周囲の画像を示す情報に基づいて、前記複数の車両の中から異常が発生している異常車両を検出する異常車両検出部と、
を備え、
前記異常車両検出部は、
前記複数の車両に含まれる第1の車両の周囲の画像の中から前記複数の車両に含まれる第2の車両を検出し、
前記第2の車両に異常が発生していないときの前記第2の車両の画像である正常画像と、前記第1の車両の周囲の画像との差分を抽出し、
前記差分に基づいて、前記第2の車両が前記異常車両であるか否かを判断する
異常検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の異常検出システムにより検出された前記異常車両に関する情報に基づいて、前記車両を用いて提供するサービスの内容を決定する車両サービス決定システムであって、
前記異常検出システムから前記異常車両に発生している異常の種別を取得し、前記異常の種別に基づいて、前記異常車両が提供するサービスの内容を決定するサービス内容決定部を備える
車両サービス決定システム。
【請求項3】
前記サービス内容決定部は、
前記異常の種別に基づいて、前記異常車両が走行を継続可能であるか否かを判断し、
前記異常車両が走行を継続不能であると判断した場合、前記異常車両がサービスを提供中であるか否かを判断し、
前記異常車両がサービスを提供中であると判断した場合、代車を手配する
請求項2に記載の車両サービス決定システム。
【請求項4】
前記サービス内容決定部は、
代車を手配できない場合、目的地までの公共交通機関による経路を探索し、
前記異常車両のサービスを受けているサービス受給者に前記経路を提供する
請求項3に記載の車両サービス決定システム。
【請求項5】
前記サービス内容決定部は、前記異常車両のサービスの内容を変更する場合、前記サービス受給者にサービスの内容を変更する理由、及び変更後のサービスの内容を通知する
請求項2から4のいずれか一項に記載の車両サービス決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出システム及び車両サービス決定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自律走行車両などの移動体に搭載され、移動体の周囲環境に係る情報を取得するレーダ(radar)又はライダ(LIDAR)を含む能動センサが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載されたシステムは、移動体の動作状況に基づいて、能動センサの電力構成を変化させることで、能動センサの解像度及び視野を変化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動体に搭載された能動センサは、車両の周囲の状況を適切に認識できるが、車両自身の状態を認識できない。したがって、特許文献1に記載されたシステムは、車両に異常が発生した場合、異常を検出するのに時間を要する可能性が高い。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、異常が発生している車両を検出することができる異常検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る異常検出システムは、複数の車両の各々から送信される、車両の位置及び周囲の画像を示す情報を受信する情報取得部と、取得した複数の車両の各々の位置及び周囲の画像に基づいて、複数の車両の中から異常が発生している異常車両を検出する異常車両検出部と、を備える。異常車両検出部は、複数の車両に含まれる第1の車両の周囲の画像の中から複数の車両に含まれる第2の車両を検出し、第2の車両に異常が発生していないときの第2の車両の画像である正常画像と、第1の車両の周囲の画像との差分を抽出し、差分に基づいて、第2の車両が異常車両であるか否かを判断する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異常が発生している車両を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る異常検出システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る異常検出システムが第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検出する交通シーンの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る異常検出システムが特定する異常の種別及び異常の種別に基づいて決定する異常車両への通知内容の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る異常検出システムが異常車両を特定し、異常車両に異常を通知するまでの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る車両サービス決定システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る車両サービス決定システムが異常の種別に基づいて決定する、異常車両が提供するサービス内容の一例を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、第2実施形態に係る車両サービス決定システムが異常車両にメンテナンス指示を出力するまでの処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【
図7B】
図7Bは、第2実施形態に係る車両サービス決定システムが異常車両にメンテナンス指示を出力するまでの処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
[異常検出システムの構成]
図1を参照して、第1実施形態に係る異常検出システム1の構成を説明する。異常検出システム1は、複数の車両の各々から送信される、複数の車両の各々の位置及び複数の車両の各々の周囲の画像を示す情報を受信し、複数の車両の各々の位置及び複数の車両の各々の周囲の画像に基づいて、複数の車両の中から異常が発生している異常車両を検出するシステムである。異常検出システム1は、異常検出システム1に登録された複数の車両の中から異常車両を検出する。異常検出システム1は、自動車メーカが提供するコネクテッドサービスの1つである車両のメンテナンスを通知するサービス、又は輸送サービス提供事業者が使用する車両のメンテナンス管理に利用される。
【0011】
異常検出システム1は、情報取得部10、異常車両検出部20、記憶部30、異常通知部40を備えている。異常検出システム1は、車両からの事故又は乗員の急病などの通報に対応するオペレーションセンタに設置されるが、設置場所はこれに限定されない。異常検出システム1は、複数の車両の各々から送信される、車両の位置及び周囲の画像を示す情報を受信できる位置に設置されていればよい。
【0012】
情報取得部10は、複数の車両の各々から送信される、車両の位置及び周囲の画像を示す情報を受信する受信装置である。車両の位置を示す情報は、車両に搭載されたGPS受信機が受信したGPSデータ(絶対位置)である。車両の周囲の画像を示す情報は車両に搭載されたカメラによって撮像された画像データである。情報取得部10は、複数の車両の各々から送信される車両の位置及び車両の周囲の画像を示す情報を受信し、受信した情報を異常車両検出部20に転送する。
【0013】
異常車両検出部20は、CPU(中央処理装置)、RAM及びROMなどのメモリ(記憶部)、及び入出力部を備える汎用のサーバ又はマイクロコンピュータを含むコンピューティングデバイスである。コンピューティングデバイスには、異常検出システム1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コンピューティングデバイスは、異常検出システム1が備える複数の情報処理回路(21、22、23、24)として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって異常検出システム1が備える複数の情報処理回路(21、22、23、24)を実現する例を示すが、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路は、個別のハードウェアで構成されてもよい。
【0014】
異常車両検出部20は、取得した複数の車両の各々の位置及び複数の車両の各々の周囲の画像を示す情報に基づいて、複数の車両の中から異常が発生している異常車両を特定する。また、異常車両検出部20は、異常車両に発生している異常の種別を特定し、特定した異常の種別に基づいて異常への対処方法を決定する。
【0015】
記憶部30は、HDD(ハードディスクドライブ)及びSSD(ソリッドステートドライブ)を含む情報記憶装置で構成される。記憶部30は、地図データ及び複数の車両の各々の異常が発生していないときの車両の画像である正常画像が予め記憶されている。さらに、記憶部30は、複数の車両の各々から受信した車両の位置及び周囲の画像を示す情報を記憶する。記憶部30に予め記憶される複数の車両の各々の正常画像は、車両の前面、側面、後面、及び上面の画像を含む。したがって、複数の車両の各々の正常画像は、車両の3次元画像であってもよい。なお、本実施形態では、異常検出システム1は記憶部30を備えるが、異常車両検出部20が備えるメモリの容量がこれらデータを記憶できるだけの容量を備えている場合、記憶部30を備える必要はない。
【0016】
異常通知部40は、異常車両検出部20によって特定された異常車両に発生している異常の種別及び異常への対処方法を示す情報を異常車両に送信する送信装置である。なお、異常通知部40は、異常車両に乗車しているユーザの携帯端末に異常の種別及び異常への対処方法を示す情報を送信してもよい。具体的には、異常通知部40は、車両に搭載された表示部に異常の種別及び異常への対処方法を表示するよう指示する信号を異常車両へと送信する。
【0017】
次に、異常車両検出部20が備える複数の情報処理回路について具体的に説明する。異常車両検出部20は、車両検出部21、差分抽出部22、異常種別判定部23、異常車両特定部24と備える。
【0018】
車両検出部21は、情報取得部10から複数の車両の各々の周囲の画像データを取得し、複数の車両に含まれる第1の車両の周囲の画像の中から複数の車両に含まれる第2の車両を検出する。なお、本実施形態における第1の車両には、第2の車両を除く複数の車両の全てが含まれる。車両検出部21は、既知の画像認識技術を用いることにより、取得した第1の車両の周囲の画像の中から車両を検出することができる。車両検出部21は、第1の車両の周囲の画像の中から検出した車両が、複数の車両に含まれる第2の車両であるか否かを複数の車両の各々の位置情報に基づいて判断する。
【0019】
具体的には、車両検出部21は、第1の車両の絶対位置及び第1の車両の周囲の画像の中から検出した車両の第1の車両に対する相対位置を取得し、第1の車両の絶対位置及び検出した車両の第1の車両に対する相対位置に基づいて、検出した車両の絶対位置を特定する。そして、車両検出部21は、複数の車両の各々の絶対位置を取得し、取得した複数の車両の各々の絶対位置に基づいて、検出した車両の絶対位置に第2の車両が存在しているか否かを判断する。車両検出部21は、検出した車両の位置に第2の車両が存在していると判断した場合、検出した車両は第2の車両であると判断する。これにより、車両検出部21は、第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検出することができる。車両検出部21は、第2の車両が検出されたときの第1の車両の周囲の画像(以後「第2の車両が検出された画像」ともいう)を差分抽出部22に転送する。
【0020】
なお、第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検出する処理方法は、上記処理方法に限定されない。例えば、異常検出システムを利用する車両のナンバプレートの番号を予め記憶部30に記憶させておくことで、検出した車両が第2の車両であるか否かを判断することができる。また、異常検出システムを利用する車両の車体番号を予め記憶部30に記憶させておき、車体番号を車体の前後左右方向に貼り付けておくことで、検出した車両が第2の車両であるか否かを判断することができる。なお、車体番号は、異常検出システムのみが解読できるよう暗号化されたバーコードで記載されていることが好ましい。これにより、車体番号から特定される個人情報に関する情報の漏洩を防止することができる。
【0021】
ここで
図2を参照して、車両検出部21が第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検出する実際の交通シーンの一例を模式的に説明する。
図2は、車両検出部21が第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検出する交通シーンの一例を示している。なお、
図2に示す交通シーンでは、車両V1及び車両V3を第1の車両、車両V2を第2の車両とし、車両V1及び車両V3(第1の車両)に搭載された車両前方を撮像するカメラ(以後、「前方カメラ」という)によって取得された画像の中から車両V2(第2の車両)が検出される状況を説明する。しかしながら、当該交通シーンでは、車両V1及び車両V3も第2の車両となり得る。具体的には、車両V1は車両V2に搭載された前方カメラによって撮像され、車両V3は車両V1及び車両V2の側方に搭載されたカメラによって撮像され得る。したがって、全ての車両(車両V1~車両V3)は、各々の車両に搭載されたカメラで自車両以外の他車を撮像できる状況であり、全ての車両が第1の車両であり第2の車両となり得る。すなわち、車両がすれ違うシーン及び車両の経路が交差するシーンでは、各々の車両が第1の車両であり第2の車両となる。
【0022】
図2に示すように、車両V1、車両V2、及び車両V3のそれぞれは、各々の車両の前方(f1、f2,f3)に向かって走行している。より詳細には、車両V1及び車両V2は、それぞれが対向する車線を走行しており、車両V3は、車両V1及び車両V2が走行する車線と交差する車線を走行している。車両V3は、車両V1及び車両V2が交差点を通過するのを待っている状態であり、交差点手前に向けて減速又は交差点手前で停車している状態である。車両V1及び車両V3(第1の車両)のウィンドシールド部から延びる破線は、車両V1及び車両V3に搭載された前方カメラの視野角(Va1、Va3)を示している。なお、車両に搭載された前方カメラは、自車両前方の画像を所定の周期で連続的に取得する。車両V1及び車両V3は、取得した画像を所定の周期で連続的に異常検出システムに送信する。当該交通シーンでは、車両V1の前方カメラの視野角Va1及び車両V3の前方カメラの視野角Va3には車両V2(第2の車両)が入っている。そのため、車両V1の前方カメラが取得した画像及び車両V3の前方カメラが取得した画像の中には車両V2が写っている。車両検出部21は、車両V1の絶対位置、車両V1の周囲の画像に写る車両V2の相対位置、車両V3の絶対位置、及び車両V3の周囲の画像に写る車両V2の相対位置を取得し、これらの取得した位置情報に基づいて車両V2の絶対位置を特定する。車両検出部21は、取得した複数の車両の各々の絶対位置に基づいて、特定した車両V2の絶対位置に第2の車両が存在していると判断した場合、車両V2は第2の車両であると判断する。したがって、
図2に示すような交通シーンにおいて、車両検出部21は、第1の車両(車両V1及び車両V3)が取得した画像の中から第2の車両(車両V2)を検出することができる。なお、本実施形態では、車両検出部21は複数の車両(第1の車両)の各々から受信した画像の中から第2の車両を検出する処理を画像の取得とともにリアルタイムで実行するが、第2の車両を検出する処理を実行するタイミングはこれに限定されない。例えば、受信した画像を記憶部30に保存し、車両検出部21は、所定の周期毎に記憶された画像の中から第2の車両を検出する処理を実行してもよい。
【0023】
差分抽出部22は、第2の車両に異常が発生していないときの第2の車両の画像である正常画像と、第1の車両の周囲の画像との差分を抽出する。具体的には、差分抽出部22は、車両検出部21から第2の車両が検出されたときの第1の車両の周囲の画像を取得し、記憶部30から第2の車両に異常が発生していないときの第2の車両の正常画像を取得する。差分抽出部22は、既知の画像処理技術を用いて、第1の車両の周囲の画像に写る第2の車両を第2の車両の正常画像に重ね合わせて一致させる。差分抽出部22は、既知の画像処理技術として例えば、アフィン変換を用いることができる。差分抽出部22は、アフィン変換を用いることにより、第1の車両の周囲の画像を任意の座標位置で自在に回転させることができ、第2の車両の正常画像に第1の車両の周囲の画像に写る第2の車両を重ね合わせて一致させることができる。差分抽出部22は、第1の車両の周囲の画像に写る第2の車両と第2の車両の正常画像とを重ね合わせた状態で比較し、第2の車両の正常画像と第1の車両の周囲の画像に写る第2の車両との差分を抽出する。なお、差分抽出部22は、既知の画像処理技術として例えば、背景差分法を用いることにより画像間の差分を抽出することができる。
【0024】
さらに、差分抽出部22は、第2の車両が所定の地点を通過する前後に撮像された第1の車両の周囲の画像を記憶部30から取得し、第2の車両が所定の地点を通過する前後に撮像された第1の車両の周囲の画像の差分を抽出する。なお、差分の抽出する処理は、前記した第2の車両の正常画像と第1の車両の周囲の画像に写る第2の車両との差分を抽出処理と同じである。差分抽出部22は、差分が抽出された画素位置を特定し、差分が抽出された画素位置の輝度の差分を算出する。差分抽出部22は、差分が抽出された画素位置及び差分が抽出された画素位置における輝度の差分を差分情報として異常種別判定部23に転送する。
【0025】
異常種別判定部23は、差分抽出部22から差分情報を取得し、差分が抽出された画素位置及び差分が抽出された画素位置における輝度の差分に基づいて、第2の車両に発生している異常の種別を特定する。異常種別判定部23は、特定した異常の種別に基づいて
第2の車両に通知する異常への対処方法を決定する。ここで
図3を参照して、異常種別判定部23が特定する異常の種別、及び異常の種別を特定する処理、並びに異常種別判定部23が異常の種別に基づいて決定する、第2の車両への通知内容について説明する。
図3に示されるように、異常種別判定部23は、第2の車両に発生している異常の種別が「液体漏れ」、「灯火不良」、「ワイパ作動不良」、及び「傷」に該当するか否かを判断する。具体的には、異常種別判定部23は、異常の種別毎に登録された検出項目を検出した場合、検出した検出項目が該当する異常の種別を選択し、異常の種別を特定する。
【0026】
(液体漏れを特定する処理)
異常種別判定部23は、第2の車両の「オイル漏れ」又は「冷却水漏れ」を検出した場合、第2の車両に発生している異常の種別は「液体漏れ」と判定する。異常種別判定部23は、第2の車両が所定の地点を通過した前後の画像の差分に基づいて、第2の車両の「オイル漏れ」又は「冷却水漏れ」を検出する。具体的には、異常種別判定部23は、第2の車両が所定の地点を通過した前後の画像において、路面に対応する画素位置に差分が抽出されたか否かを判断する。異常種別判定部23は、路面に対応する画素位置に差分が抽出されたと判断した場合、抽出された差分画像の形状を判断し、抽出された差分画像の形状が円形であると判断した場合、第2の車両には「オイル漏れ」又は「冷却水漏れ」が発生していると判断する。オイル又は冷却水が路面上に漏れた場合、オイル又は冷却水は表面張力により円形の染みとなって路面上に現れる。したがって、異常種別判定部23は、路面上で抽出された差分の形状に基づいて、第2の車両に「オイル漏れ」又は「冷却水漏れ」が発生しているか否かを判断することができる。なお、異常種別判定部23は、路面に対応する画素位置に差分が抽出された場合、差分が抽出された画素位置の輝度の差分が第1所定差分以上であるか否かを判断し、輝度の差分が第1所定差分以上であると判断した場合、第2の車両に「オイル漏れ」又は「冷却水漏れ」が発生しているか否かを判断してもよい。車両に用いられる冷却水は着色されている。また、オイルは路面上に漏れた場合、路面上で発色する。したがって、異常種別判定部23は、路面上で抽出された輝度の差分に基づいて、第2の車両に「オイル漏れ」又は「冷却水漏れ」が発生しているか否かを判断することができる。
【0027】
(灯火不良を特定する処理)
異常種別判定部23は、第2の車両に備わる灯火装置の「非点灯」又は「光量不足」を検出した場合、第2の車両に発生している異常の種別は「灯火不良」と特定する。なお、灯火装置の「非点灯」又は「光量不足」の検出は車両の灯火装置が点灯するタイミングにおいてのみ実施される。車両の灯火装置が点灯するタイミングとは、例えば、前照灯は日没時以降、方向指示灯は第2の車両が右左折レーンに進入している場合、制動灯は第2の車両の減速を検出した場合である。異常種別判定部23は、第2の車両の正常画像である、第2の車両が灯火装置を点灯させたときの画像と、第2の車両が検出された画像との差分に基づいて、第2の車両の「非点灯」又は「光量不足」を検出する。具体的には、異常種別判定部23は、差分が第2の車両の灯火装置の位置に対応する画素位置で抽出されたか否かを判断する。異常種別判定部23は、差分が第2の車両の灯火装置の位置に対応する画素位置で抽出されたと判断した場合、灯火装置に対応する画素位置において、第2の車両が検出された画像の輝度が第2の車両の正常車両の輝度よりも所定灯火輝度以上低いか否かを判断する。異常種別判定部23は、灯火装置に対応する画素位置において、第2の車両が検出された画像の輝度が第2の車両の正常車両の輝度よりも所定灯火輝度以上低いと判断した場合、第2の車両の灯火装置は「非点灯」又は「光量不足」であると判断する。
【0028】
(ワイパ作動不良を特定する処理)
異常種別判定部23は、第2の車両に備わるワイパの「ワイパ払拭力低下」又は「ワイパ作動不良」を検出した場合、第2の車両に発生している異常の種別は「ワイパ作動不良」と特定する。異常種別判定部23は、第2の車両の正常画像と、第2の車両が検出された画像との差分に基づいて、第2の車両に備わるワイパの「ワイパ払拭力低下」又は「ワイパ作動不良」を検出する。具体的には、異常種別判定部23は、差分が第2の車両のウィンドシールドの位置に対応する画素位置で抽出されているか否かを判断する。異常種別判定部23は、差分が第2の車両のウィンドシールドの位置に対応する画素位置で抽出されていると判断した場合、ウィンドシールドの位置に対応する画素の範囲において、輝度の差分が第2所定差分以上となっている画素の割合を算出する。異常種別判定部23は、ウィンドシールドの位置に対応する画素の範囲において、輝度の差分が第2所定差分以上となっている画素の割合が所定割合以上であるか否かを判断する。異常種別判定部23は、ウィンドシールドの位置に対応する画素の範囲において、輝度の差分が第2所定差分以上となっている画素の割合が所定割合以上であると判断した場合、第2の車両に備わるワイパの「ワイパ払拭力低下」又は「ワイパ作動不良」を検出する。これにより、異常種別判定部23は、第2の車両のウィンドシールドが雨又は埃により汚れており、前方視界が適切に確保されていないことを検出することができる。すなわち、異常種別判定部23は、ワイパの作動不良によって第2の車両の前方視界が適切に確保されていないことを検出することができる。
【0029】
(傷を特定する処理)
異常種別判定部23は、第2の車両の「ウィンドシールドの傷」又は「ボディの傷」を検出した場合、第2の車両に発生している異常の種別は「傷」と特定する。異常種別判定部23は、第2の車両の正常画像と、第2の車両が検出された画像との差分に基づいて、第2の車両の「ウィンドシールドの傷」又は「ボディの傷」を検出する。具体的には、異常種別判定部23は、差分が第2の車両のウィンドシールド又はボディに対応する画素位置で抽出されたか否かを判断する。異常種別判定部23は、差分が第2の車両のウィンドシールド又はボディに対応する画素位置で抽出されたと判断した場合、ウィンドシールド又はボディに発生している差分が所定長さ以上連続しているか否かを判断する。異常種別判定部23は、ウィンドシールド又はボディに発生している差分が所定長さ以上連続していると判断した場合、第2の車両の「ウィンドシールドの傷」又は「ボディの傷」を検出する。
【0030】
(通知内容の決定)
異常種別判定部23は、異常の種別が「液体漏れ」又は「灯火不良」である場合、第2の車両への通知内容を「液体漏れ又は灯火不良が発生していることを通知し、直ちに停車させ車両のメンテナンスを受けるよう通知」に決定する。異常種別判定部23は、異常の種別が「ワイパ作動不良」である場合、第2の車両への通知内容を「1.ワイパの作動不良が発生していることを通知し、直ちに停車させ車両をメンテナンスするよう通知」及び「2.異常が解消できない場合、天候の回復を待つよう通知」に決定する。異常種別判定部23は、異常の種別が「傷」である場合、第2の車両への通知内容を「車両に傷が発生していることを通知し、メンテナンスを受けるよう通知」に決定する。
【0031】
異常車両特定部24は、異常種別判定部23によって第2の車両に発生している異常の種別が特定された場合、第2の車両を異常車両として特定する。これにより、複数の車両の中から異常が発生している異常車両が検出される。異常車両特定部24は、異常車両に発生している異常の種別及び異常車両への通知内容を異常通知部40に転送する。
【0032】
[異常検出方法]
次に、
図4を参照して、第1実施形態に係る異常検出システム1が異常車両を特定し、異常車両に異常を通知するまでの処理の一例を説明する。
図4のフローチャートに示す異常検出システム1の処理は、異常検出システム1が複数の車両の各々から車両の位置及び周囲の画像を受信している限り、処理を実行する。
【0033】
ステップS10において、車両検出部21は、情報取得部10から複数の車両の各々の位置及び周囲の画像データを取得する。ステップS20において、車両検出部21は、複数の車両に含まれる第1の車両の周囲の画像の中から複数の車両に含まれる第2の車両を検索する。具体的には、車両検出部21は、第1の車両の周囲の画像の中から検出した車両が、第2の車両であるか否かを複数の車両の各々の位置情報に基づいて判断し、第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検索する。
【0034】
ステップS30において、車両検出部21は、第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検出できた場合(ステップS30でYES)、処理はステップS40に進む。ステップS30において、車両検出部21は、第1の車両の周囲の画像の中から第2の車両を検出できなかった場合(ステップS30でNO)、処理は終了する。ステップS40において、差分抽出部22は、第2の車両に異常が発生していないときの第2の車両の画像である正常画像と、第1の車両の周囲の画像との差分を抽出する。具体的には、差分抽出部22は、既知の画像処理技術を用いて第1の車両の周囲の画像に写る第2の車両を第2の車両の正常画像に重ね合わせ、第2の車両の正常画像と第1の車両の周囲の画像に写る第2の車両との差分を抽出する。さらに、差分抽出部22は、第2の車両が所定の地点を通過する前後に撮像された第1の車両の周囲の画像の差分を抽出する。
【0035】
ステップS50において、差分が抽出された場合(ステップS50でYES)、処理はステップS60に進み、差分が抽出されなかった場合(ステップS50でNO)、処理は終了する。ステップS60において、異常種別判定部23は、差分が抽出された画素位置及び差分が抽出された画素位置における輝度の差分に基づいて、第2の車両に発生している異常の種別を特定する。具体的には、異常種別判定部23は、差分が抽出された画素位置及び差分が抽出された画素位置における輝度の差分に基づいて、異常の種別毎に登録された検出項目を検出する。異常種別判定部23は、異常の種別毎に登録された検出項目を検出した場合、検出した検出項目が異常の種別である「液体漏れ」、「灯火不良」、「ワイパ作動不良」、及び「傷」に該当するか否かを判断する。異常種別判定部23は、異常の種別が「液体漏れ」、「灯火不良」、「ワイパ作動不良」、及び「傷」であると特定した場合、異常の種別に基づいて第2の車両に通知する異常への対処方法を決定する。ステップS70に進み、異常の種別が特定された場合(ステップS70でYES)、処理はステップS80に進み、異常の種別が特定されなかった場合(ステップS70でNO)、処理は終了する。
【0036】
ステップS80において、異常車両特定部24は、異常種別判定部23によって第2の車両に発生している異常の種別が特定された場合、第2の車両を異常車両として特定する。異常車両特定部24は、異常車両に発生している異常の種別及び異常車両への通知内容を異常通知部40に転送する。ステップS90において、異常通知部40は、異常車両特定部24によって特定された異常車両に対して、発生している異常の種別及び異常への対処方法を示す情報を送信する。
【0037】
[作用効果]
以上、説明したように、第1実施形態によれば以下作用効果が得られる。
【0038】
異常検出システム1は、複数の車両の各々から送信される、複数の車両の各々の位置及び複数の車両の各々の周囲の画像を示す情報を受信する情報取得部10と、取得した複数の車両の各々の位置及び周囲の画像に基づいて、複数の車両の中から異常が発生している異常車両を検出する異常車両検出部20を備える。これにより、異常検出システム1は、複数の車両の各々の位置及び複数の車両の各々の周囲の画像を取得し、取得した複数の車両の各々の位置及び複数の車両の周囲の画像に基づいて、複数の車両の中から異常が発生している異常車両を検出することができる。また、異常検出システム1は、取得した複数の車両の各々の位置及び周囲の画像に基づいて、複数の車両の中から異常が発生している異常車両を検出することで、時間を要することなく異常車両を検出することができる。すなわち、異常検出システム1は、異常車両に発生した影響が複数の車両システムに波及する前に異常車両を検出することができる。
【0039】
異常検出システム1は、複数の車両に含まれる第1の車両の周囲の画像の中から複数の車両に含まれる第2の車両を検出し、第2の車両に異常が発生していないときの第2の車両の画像である正常画像と、第1の車両の周囲の画像との差分を抽出する。これにより、異常検出システム1は、第2の車両に異常が発生していないときの正常画像と、第1の車両の周囲の画像に含まれる第2の車両の画像との差分を抽出することができ、第2の車両が異常車両であるか否かを判断することができる。
【0040】
(第2実施形態)
[車両サービス決定システムの構成]
図5を参照して、第2実施形態に係る車両サービス決定システム2の構成の一例を説明する。車両サービス決定システム2は、異常車両に関する情報に基づいて、車両を用いて提供するサービスの内容を決定するシステムである。車両サービス決定システム2は、無人の自動運転車両により提供される輸送サービス又は配車サービスにおけるサービス内容の決定に利用される。なお、第2実施形態に係る車両サービス決定システム2は、第1実施形態に対して、異常車両検出部20に替えて車両サービス決定部60を備える点、及び異常通知部40に替えてサービス内容指示部50を備える点が異なるが、その他構成は共通する。なお、車両サービス決定部60は、異常車両検出部20と比べてさらにサービス内容決定部61を備える点で相違する。よって、相違点についてのみ説明し、他の共通する部分についての説明は省略する。なお、本実施形態では、車両サービス決定システム2が異常検出システム1に組み込まれた構成を例示するが、車両サービス決定システム2の構成はこれに限定されない。例えば、車両サービス決定システム2と異常検出システム1はそれぞれ異なる筐体で構成されていてもよい。
【0041】
サービス内容決定部61は、異常検出システム1から異常車両に発生している異常の種別を取得し、取得した異常の種別に基づいて、異常車両が提供するサービスの内容を決定する。具体的には、サービス内容決定部61は、異常車両に発生している異常の種別に基づいて、異常車両が走行を継続可能であるか否かを判断する。サービス内容決定部61は、異常車両が走行を継続不能であると判断した場合、異常車両がサービスを提供中であるか否かを判断し、異常車両がサービスを提供中であると判断した場合、異常車両が提供するサービスとして、代車を手配するサービスを選択する。なお、異常車両がサービスを提供中であるか否かは、異常車両から送信されるサービス状況を示す情報に基づいて判断することができる。サービス内容決定部61は、代車を手配できない場合、目的地までの公共交通機関による経路を探索し、異常車両が提供するサービスを受けているサービス受給者に、公共交通機関による目的地までの経路を提供するサービスを選択する。さらに、サービス内容決定部61は、異常車両が提供するサービスの内容を変更する場合、サービス受給者に通知するサービスの内容を変更する理由、及び選択された変更後のサービスの内容を示す情報をサービス内容指示部に転送する。これにより、サービス受給者に異常車両が提供するサービスの内容を変更する理由、及び変更後のサービスの内容が通知される。
【0042】
サービス内容指示部50は、サービス内容決定部61によって決定された異常車両が提供するサービスの内容を示す情報を異常車両に送信する送信装置である。
【0043】
ここで
図6を参照して、サービス内容決定部61が決定する異常車両が提供するサービスの内容の一例ついて説明する。なお、
図6は、異常車両がサービスを提供中である場合に選択されるサービスの内容を示している。
図6に示すように、サービス内容決定部61は、異常車両に発生している異常の種別が「液体漏れ」又は「灯火不良」である場合(異常検出時)、異常車両は走行を継続不能であると判断し、「1.直ちに車両を停車させ、代車を手配」するサービスを選択する。同時に、サービス内容決定部61は、「2.監視車両を手配」するサービスを選択する。監視車両とは、異常車両を監視するための車両であり、サービスを提供中でない車両又は異常車両を監視する専用の車両である。サービス内容決定部61は、異常検出後に「3.代車が到着するまで、監視車両にて異常車両の状況を継続的に監視」する。これにより、サービス受給者の安否を確認することができる。また、サービス内容決定部61は、代車が手配できなかった場合、「4.目的地までの公共交通機関による経路を提示する」サービスを選択する。サービス内容決定部61は、異常車両に発生している異常の種別が「液体漏れ」又は「灯火不良」である場合、車両が異常により停車し、代替のサービスを提供することをサービス受給者に通知する。
【0044】
サービス内容決定部61は、異常車両に発生している異常の種別が「ワイパ作動不良」である場合(異常検出時)、異常車両は走行を継続不能であると判断し、「1.直ちに停車させ、サービス受給者に天候の回復を待つか否かを確認」するサービスを選択する。なお、サービス内容決定部61は、異常車両の位置における天候についての情報を気象配信サービスから取得し、天候が回復する予定時刻を特定する。サービス内容決定部61は、天候が回復する予定時刻を車両に備わる画面又はサービス受給者の携帯端末に送信する。サービス内容決定部61は、「2.サービス受給者が天候の回復を待てない場合、代車を手配する」サービスを選択する。また、サービス内容決定部61は、「3.監視車両を手配」するサービスを選択する。サービス内容決定部61は、異常検出後「4.天候が回復又は代車が到着するまで、監視車両にて異常車両の状況を継続的に監視」する。また、サービス内容決定部61は、代車が手配できなかった場合、「5.目的地までの公共交通機関による経路を提示する」サービスを選択する。サービス内容決定部61は、「6.天候が回復した場合、目的地までの走行を開始」するサービスを選択する。
【0045】
サービス内容決定部61は、異常車両に発生している異常の種別が「傷」である場合、異常車両が現在提供しているサービスを続行する。サービス内容決定部61は、現在のサービスを提供しているサービス受給者へのサービスが終了した時点で、メンテナンスを指示するコマンドを選択する。
【0046】
[車両サービス決定方法]
次に、
図7を参照して、第2実施形態に係る車両サービス決定システム2が、異常車両にメンテナンス指示を出力するまでの処理の一例を説明する。なお、
図7に示す車両サービス決定システム2の処理は、
図4に示す異常検出システム1のステップS80以降の処理を示している。したがって、車両サービス決定システム2のステップS100までの処理は、ステップS90の処理を除き異常検出システム1と同じである。
【0047】
ステップS100において、サービス内容決定部61は、異常車両特定部24から異常車両に発生している異常の種別を取得する。ステップS110において、異常の種別が「液体漏れ」又は「灯火装置の不良」である場合(ステップS110でYES)、処理はステップS120に進む。ステップS110において、異常の種別が「液体漏れ」又は「灯火装置の不良」でない場合(ステップS110でNO)、処理はステップS190に進む。ステップS120において、サービス内容決定部61は、直ちに異常車両を停止する指示を選択し、選択した指示をサービス内容指示部50に転送する。ステップS130に進み、サービス内容決定部61は、異常車両から送信されるサービス状況を示す情報に基づいて、異常車両がサービスを提供中であるか否かを判断する。ステップS130において、サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中であると判断した場合(ステップS130でYES)、処理はステップS140に進み、サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中でないと判断した場合(ステップS130でNO)、処理はステップS180に進む。
【0048】
ステップS140において、サービス内容決定部61は、代車が手配可能であるか否かを確認する。代車が手配可能である場合(ステップS140でYES)、処理はステップS150に進み、サービス内容決定部61は代車を手配する。代車が手配できない場合(ステップS140でNO)、処理はステップS160に進み、サービス内容決定部61は、公共交通機関による目的地までの経路を探索し、異常車両に備わる表示部又はサービス受給者の携帯端末に公共交通機関による目的地までの経路を送信する。ステップS170において、サービス内容決定部61は、異常車両が取得した異常車両の周囲の画像又は代車から送信されるGPSデータに基づいて、代車が到着したか否かを判断する。ステップS170において、サービス内容決定部61は、代車が到着していないと判断した場合(ステップS170でNO)、処理は代車が到着するまでステップS170に滞留する。ステップS170において、サービス内容決定部61は、代車が到着したと判断した場合(ステップS170でYES)、輸送サービス提供事業者に異常車両のメンテナンスをするよう通知する。具体的には、サービス内容決定部61は、輸送サービス提供事業者に異常車両に発生している異常の種別及び異常車両の位置を通知する。
【0049】
ステップS190において、異常の種別が「ワイパ作動不良」である場合(ステップS190でYES)、処理はステップS200に進む。ステップS190において、異常の種別が「ワイパ作動不良」でない場合(ステップS190でNO)、処理はステップS260に進む。ステップS200において、サービス内容決定部61は、直ちに異常車両を停止する指示を選択し、選択した指示をサービス内容指示部50に転送する。ステップS210に進み、サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中であるか否かを判断する。サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中であると判断した場合(ステップS210でYES)、処理はステップS220に進む。サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中でないと判断した場合(ステップS210でNO)、処理はステップS180に進む。ステップS220において、サービス内容決定部61は、車両に備わる画面又はサービス受給者のサービス内容を受信する携帯端末に天候が回復する予定時刻を送信し、サービス受給者に天候の回復を待つか否かを確認する。サービス受給者は天候の回復を待つ場合(ステップS220でYES)、処理はステップS230に進む。サービス受給者は天候の回復を待てない場合(ステップS220でNO)、処理はステップS140に進む。
【0050】
ステップS230において、サービス内容決定部61は、異常車両の周囲の画像、又は気象配信サービスから異常車両の位置における現在の天候を取得し、天候が回復したか否かを判断する。サービス内容決定部61は、天候が回復したと判断した場合(ステップS230でYES)、処理はステップS240に進む。サービス内容決定部61は、サービス受給者に通知した天候が回復する予定時刻になっても天候が回復していないと判断した場合(ステップS230でNO)、処理はステップS140に進む。ステップS240において、サービス内容決定部61は、異常車両に目的地までの走行を指示するコマンドを選択し、選択したコマンドをサービス内容指示部50に転送する。ステップS250において、サービス内容決定部61は、異常車両が目的地に到着したと判断した場合(ステップS250でYES)、処理はステップS180に進む。
【0051】
ステップS260において、異常の種別が「傷」である場合(ステップS260でYES)、処理はステップS270に進み、異常の種別が「傷」でない場合(ステップS260でNO)、処理は終了する。ステップS270において、サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中であるか否かを判断する。ステップS270において、サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中であると判断した場合(ステップS270でYES)、処理はステップS280に進み、サービス内容決定部61は、異常車両がサービスを提供中でないと判断した場合(ステップS270でNO)、処理はステップS180に進む。ステップS280において、サービス内容決定部61は、目的地までの走行を継続する指示するコマンドを選択し、選択したコマンドをサービス内容指示部50に転送する。ステップS290において、サービス内容決定部61は、異常車両が目的地に到着したと判断した場合(ステップS270でYES)、処理はステップS180に進む。
【0052】
[作用効果]
以上、説明したように、第2実施形態によれば以下作用効果が得られる。
【0053】
車両サービス決定システム2は、異常車両に発生した異常の種別を取得することにより、異常車両に発生した異常の種別に基づいて、異常車両が提供するサービスの内容を決定することができる。すなわち、車両サービス決定システム2は、車両に発生した異常の種別に対応して適切なサービスを提供することができる。
【0054】
車両サービス決定システム2は、異常の種別に基づいて、異常車両が走行を継続可能であるか否かを判断し、異常車両が走行を継続不能であると判断した場合、異常車両がサービスを提供中であるか否かを判断し、異常車両がサービスを提供中であると判断した場合、代車を手配する。これにより、車両サービス決定システム2は、サービスを提供中の車両に走行を継続不能な異常が発生した場合でも、サービス受給者への代替サービスを提供することができる。
【0055】
車両サービス決定システム2は、代車を手配できない場合、目的地までの公共交通機関による経路を探索し、異常車両のサービスを受けているサービス受給者に目的地までの公共交通機関による経路を提供する。これにより、サービス受給者は、目的地まで公共交通機関を利用して移動することができる。
【0056】
車両サービス決定システム2は、異常車両のサービスの内容を変更する場合、サービス受給者にサービスの内容を変更する理由、及び変更後のサービスの内容を通知する。これにより、サービス受給者は、サービスの内容が変更される理由を理解することができ、変更後のサービス内容について同意することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 異常検出システム
2 車両サービス決定システム
10 情報取得部
20 異常車両検出部
60 車両サービス決定部
61 サービス内容決定部