IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱製紙株式会社の特許一覧

特開2023-114861プルシアンブルー型金属錯体分散液およびプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114861
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】プルシアンブルー型金属錯体分散液およびプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20230810BHJP
   C09D 121/02 20060101ALI20230810BHJP
   C09D 129/04 20060101ALI20230810BHJP
   C09D 7/41 20180101ALI20230810BHJP
   C09D 11/03 20140101ALI20230810BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20230810BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230810BHJP
   C08K 5/56 20060101ALI20230810BHJP
   C08L 101/14 20060101ALI20230810BHJP
   G02F 1/1516 20190101ALI20230810BHJP
   G02F 1/1523 20190101ALI20230810BHJP
   C09K 9/02 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
C09D17/00
C09D121/02
C09D129/04
C09D7/41
C09D11/03
G02F1/15 507
C08L29/04 A
C08K5/56
C08L101/14
G02F1/1516
G02F1/1523
C09K9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017415
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 凌輔
(72)【発明者】
【氏名】吉城 武宣
【テーマコード(参考)】
2K101
4J002
4J037
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DC55
4J002AA00X
4J002AC06X
4J002AC07X
4J002AC09Y
4J002BC05X
4J002BC07X
4J002BE02W
4J002BF02X
4J002BF03X
4J002CK02X
4J002EZ006
4J002GH00
4J002GH01
4J002GP00
4J002HA07
4J037AA30
4J037CB04
4J037CC06
4J037EE28
4J037FF17
4J038CA002
4J038CE021
4J038JC38
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA09
4J038MA10
4J038MA14
4J038NA19
4J038PB09
4J038PC08
4J039AB11
4J039AD06
4J039BC59
4J039BE12
4J039BE22
4J039BE33
4J039CA05
4J039EA16
4J039EA29
(57)【要約】
【課題】ヘーズが低く、膜面がひび割れにくいプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料を得ることができるプルシアンブルー型金属錯体分散液、および該薄膜材料を製造することができるプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法を提供する。
【解決手段】プルシアンブルー型金属錯体、ポリビニルアルコール、およびラテックスを含有するプルシアンブルー型金属錯体分散液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルシアンブルー型金属錯体、ポリビニルアルコール、およびラテックスを含有することを特徴とするプルシアンブルー型金属錯体分散液。
【請求項2】
前記ラテックスのガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする前記請求項1に記載のプルシアンブルー型金属錯体分散液。
【請求項3】
前記請求項1あるいは2に記載のプルシアンブルー型金属錯体分散液を基材表面に塗布し、乾燥してプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜を成膜するプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレクトロクロミック素子等の製造に用いることができるプルシアンブルー型金属錯体分散液及び、それを用いるプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プルシアンブルーは、古くから青色顔料として知られる金属錯体化合物であり、鉄元素がシアノ基を介して三次元的に組み上がった構造を有している。また、プルシアンブルーが有する鉄元素の一部を他の金属元素に置換した化合物も知られており、該化合物はプルシアンブルーを含め、プルシアンブルー型金属錯体と呼ばれている。近年では、プルシアンブルー型金属錯体をエレクトロクロミック素子に用いるエレクトロクロミック材料として応用する検討が行われている。
【0003】
エレクトロクロミック素子の構成としては、例えば特開2018-185424号公報(特許文献1)に示されているように、対向する2つの電極上にそれぞれ異なるエレクトロクロミック材料を含有するエレクトロクロミック層を有し、該エレクトロクロミック層間に電解質(エレクトロクロミック材料への電子やイオンの授受を担う)を含有する電解質層を有するものが知られている。エレクトロクロミック層にプルシアンブルー型金属錯体を適用する場合、プルシアンブルー型金属錯体を含有する薄膜を均一に形成する必要がある。薄膜を形成する方法の1つとして、プルシアンブルー型金属錯体をナノ粒子分散液として塗布成膜する方法があり、この方法は真空蒸着やスパッタリング等の方法に比べ、プルシアンブルー型金属錯体を含む薄膜材料を安価かつ大量に製造できる利点がある。プルシアンブルー型金属錯体ナノ粒子分散液を製造する方法としては、例えば、特開2006-256954号公報(特許文献2)、Akihiko Gotoh et al.,「Simple Synthesis of three primary color nanoparticle inks Prussian blue and its analogues」,IOP Publishing,Nanotechnology,2007,18,345609.(非特許文献1)等には、陰イオン性金属シアノ錯体を含有する水溶液と、金属陽イオンを含有する水溶液を混合し、次いで分散剤として配位子を溶媒に溶解させた溶液を混合することで、分散媒中での分散安定性に優れたプルシアンブルー型金属錯体ナノ粒子を製造できることが記載されている。
【0004】
また、プルシアンブルー型金属錯体ナノ粒子分散液を成膜して薄膜材料を得る場合、プルシアンブルー型金属錯体の分散性維持のために適切なバインダーを含む分散液を用いることが知られている。例えば、特開平1-219723号公報(特許文献3)には微粒子状の金属錯体、媒質、および水溶性高分子を含有する微粒子分散体が開示され、該水溶性高分子としてアニオン変性ポリアクリルアミドやアニオン変性ポリビニルアルコール等を用いて分散安定性が良好な微粒子分散体が得られることが記載される。しかしながら、薄膜材料を作製する際に乾燥に起因するひび割れが発生したり、作製直後にはひび割れがなくても経時でひび割れが発生したりする場合があった。そのようなひび割れを防止するには、バインダーの添加量を増加させる方法が有効であるが、プルシアンブルー型金属錯体を含有する薄膜材料ではバインダーの添加量を増加するとヘーズが上昇する課題があり、改善が望まれていた。
【0005】
他方、特開2009-529146号公報(特許文献4)には、プルシアンブルー、分散剤、結合剤、および有機溶媒を含有するナノ分散組成物を湿式コーティングするエレクトロクロミック素子の製造方法が開示され、分散剤としてポリアクリル系、ポリエチレンイミン系及びポリウレタン系分散剤を、結合剤(バインダー)としてアクリル重合体、スチレン重合体、塩化ビニル重合体等の熱可塑性樹脂を利用できることが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-185424号公報
【特許文献2】特開2006-256954号公報
【特許文献3】特開平1-219723号公報
【特許文献4】特開2009-529146号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Akihiko Gotoh et al.,「Simple Synthesis of three primary color nanoparticle inks Prussian blue and its analogues」,IOP Publishing,Nanotechnology,2007,18,345609.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ヘーズが低く、かつ膜面にひび割れが発生しにくいプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料を得ることができるプルシアンブルー型金属錯体分散液、および該薄膜材料を製造することができるプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は以下の手段によって達成された。
(1)プルシアンブルー型金属錯体、ポリビニルアルコール、およびラテックスを含有するプルシアンブルー型金属錯体分散液。
(2)前記ラテックスのガラス転移温度が0℃以下である前記(1)記載のプルシアンブルー型金属錯体分散液。
(3)前記(1)あるいは(2)に記載のプルシアンブルー型金属錯体分散液を基材表面に塗布し、乾燥することでプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜を成膜するプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ヘーズが低く、かつ膜面にひび割れが発生しにくいプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料を得ることができるプルシアンブルー型金属錯体分散液、および該薄膜材料を製造することができるプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のプルシアンブルー型金属錯体分散液は、プルシアンブルー型金属錯体を含有する。本発明におけるプルシアンブルー型金属錯体とは、金属原子Mが鉄原子とシアノ基を介して三次元的に組み上がった構造を有する化合物である。なお、その三次元構造中に、金属の置換や欠陥、空隙へのイオンや水の侵入があってもよい。プルシアンブルー型金属錯体としては、プルシアンブルー(M=Fe)や、該プルシアンブルーの金属原子Mとして鉄以外の原子が置換した化合物(M=Ni,Co,Cu,Zn等)が例示でき、金属原子Mは特に限定されない。
【0012】
プルシアンブルー型金属錯体の合成方法としては、ヘキサシアノ鉄酸イオン[Fe(CN)m-を含む金属塩の溶液と、金属元素Mを含む金属塩の溶液とを混合する方法が例示できるが、合成方法は特に限定されない。
【0013】
ヘキサシアノ鉄酸イオン[Fe(CN)m-とは、一個の鉄原子またはイオンに対して六個のシアン化物イオンCNが結合したイオンであり、鉄中心の価数に基づくヘキサシアノ鉄酸イオン全体の電荷mは特に限定されないが、m=3または4が一般的である。ヘキサシアノ鉄酸イオンの具体例としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸イオン、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン等が挙げられる。また、ヘキサシアノ鉄酸イオンを含む金属塩は、各種の陽イオン等とヘキサシアノ鉄酸イオンを組み合わせた化合物であり、その構造中に水和水等を含んでいてもよい。具体的には、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物(黄血塩)、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム一水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(赤血塩)等が挙げられるが、これらに限定されない。ヘキサシアノ鉄酸イオンを含む金属塩は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
金属元素Mを含む金属塩は特に限定されず、該金属塩は金属元素Mと各種の陰イオン等を組み合わせた化合物であり、その構造中に水和水等を含んでいてもよい。例えばM=Feの場合、硝酸鉄(III)九水和物、塩化鉄(III)六水和物、硫酸鉄(II)六水和物等が挙げられるが、これらに限定されない。金属元素Mを含む金属塩は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上述のヘキサシアノ鉄酸イオンを含む金属塩の溶液および金属元素Mを含む金属塩の溶液が含有する溶媒は特に限定されず、それぞれの金属塩を溶解可能な公知の溶媒を用いることができる。中でも、金属塩の溶解性に優れることから水を用いることが好ましいが、金属塩の溶解性を阻害しない範囲で、公知の有機溶媒や酸、塩基等を含有していてもよい。また、溶液中の金属塩濃度は特に限定されないが、得られるプルシアンブルー型金属錯体の分散安定性が優れることや、混合後の溶液の粘度が高くなりすぎないことから、前記した金属塩の溶液の金属塩濃度はそれぞれ15質量%以下であることが好ましい。
【0016】
合成したプルシアンブルー型金属錯体は副生する無機塩等の不純物を含むことから、各種の公知の溶媒を用いた洗浄により精製することが好ましい。洗浄後の処理方法としては、遠心分離、デカンテーション、濾過等の公知の方法を用いることができる。
【0017】
本発明では市販のプルシアンブルー型金属錯体を用いることもでき、プルシアンブルーとしては東京化成工業(株)製のヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)、関東化学(株)製のwFeHCFナノ粒子分散液等が例示できる。
【0018】
本発明のプルシアンブルー型金属錯体分散液における分散媒については特に限定されないが、本発明のプルシアンブルー型金属錯体分散液が含有する物質の溶解性や分散性に優れる水が好ましく、溶解性や分散性を損なわない範囲で水と混和する有機溶剤を含有してもよい。また、プルシアンブルー型金属錯体を分散媒中に分散させるために適切な分散剤を添加することが好ましく、特許文献2、非特許文献1に記載されるような公知の分散剤を使用してプルシアンブルー型金属錯体を含有するインクを作製し、該インクに後述するポリビニルアルコールおよびラテックスを添加してプルシアンブルー型金属錯体分散液とすることが好ましい。これによりヘーズが低いプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料を得ることができる。特に水を主たる分散媒とする場合、水に溶解しやすいヘキサシアノ鉄酸イオンを含有するヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物(黄血塩)、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム一水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(赤血塩)等の分散剤を好適に用いることができる。
【0019】
本発明のプルシアンブルー型金属錯体分散液は、ポリビニルアルコールを含有する。本発明におけるポリビニルアルコールとしては、一般的なポリビニルアルコールに加え、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びその他ポリビニルアルコールの誘導体も含まれる。ただし、原料の酢酸ビニル由来の酢酸エステル部位からは、経時で酢酸が遊離することで酸化インジウムスズ(ITO)等の電極基材を腐食する恐れがあるため、ケン化度が98%以上の完全ケン化ポリビニルアルコールやその変性物等を用いることが好ましく、例えば(株)クラレ製の完全ケン化ポリビニルアルコール銘柄である3-98(重合度300)、5-98(重合度500)、11-98(重合度1000)、28-98(重合度1700)や、変性ポリビニルアルコール銘柄である25-98R(重合度1700)、RS-1713(重合度1300)を好適に用いることができる。中でも、ヘーズが低いプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料が得られる観点から、重合度800未満のポリビニルアルコールを用いることが特に好ましい。ポリビニルアルコールは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明のプルシアンブルー型金属錯体分散液はラテックスを含有する。本発明におけるラテックスとは、非水溶性の高分子化合物が水中に分散した液状物であり、例えば、酢酸ビニル重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、ウレタン重合体、およびこれらの重合体を構成する単量体の2種以上をランダム重合、グラフト重合、またはブロック重合した共重合体等の合成高分子化合物の水性分散液や、天然ゴムラテックス等が挙げられる。これらのラテックスは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明では公知のラテックスを使用できるが、分散媒を水とする場合にはプルシアンブルー型金属錯体の分散状態を損なわないために、ノニオン系またはアニオン系のラテックスを用いることが好ましい。
【0021】
本発明におけるラテックスの平均粒径は特に限定されないが、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料のヘーズを低く抑えるために1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましい。
【0022】
本発明におけるラテックスは、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。これにより、より高いひび割れ防止性能を有するプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料を得ることができる。
【0023】
本発明におけるラテックスとしては各種市販品を用いることができ、例えば、ジャパンコーティングレジン(株)製の各種エマルジョン(酢酸ビニル系(50M,51,HA-10A)、アクリル系(710A,742A,730L,952B,7320,7400,DM772)、酢酸ビニル/アクリル系(760H,761HG,LDM7582,FK-420,FK-64S,FK-66IS,FK-66N,FK-68H)、スチレン/アクリル系(966A))、DIC(株)製の各種ウレタンエマルジョン(ハイドラン(登録商標)シリーズ、HW-171,HW-350,HW-311,HW-312B,WLS-201,WLS-202,WLS-210,WLS-213,AP-40(F),AP-40N,APX-101H等)、第一工業製薬(株)製の各種ウレタンエマルジョン(スーパーフレックス(登録商標)シリーズ、126,130,150,150HS,170,210,300,420,420NS,460,460S,470,500M,740,820,830HS,860,870,E-2000,E-4800等)等が例示できる。
【0024】
本発明におけるポリビニルアルコールおよびラテックスの合計含有量は特に限定されないが、プルシアンブルー型金属錯体の固形分量に対して10質量%以上であることがプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料のひび割れ防止のために好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。一方、合計含有量が多過ぎるとエレクトロクロミック性能が低下しやすいため、プルシアンブルー型金属錯体の固形分量に対して100質量%以下であることが実際的である。また、ポリビニルアルコールの割合が少な過ぎるとプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料のひび割れが起こりやすく、多過ぎるとヘーズが高くなりやすいことから、ポリビニルアルコールの含有量はプルシアンブルー型金属錯体の固形分量に対して5~25質量%であることが好ましい。
【0025】
本発明の分散液は、プルシアンブルー型金属錯体、ポリビニルアルコール、およびラテックスの他に、界面活性剤、紫外線吸収剤、pH調整剤等の各種化合物を含んでいてもよい。界面活性剤としては、公知のアニオン、カチオン、両性イオン、ノニオン界面活性剤を使用でき、中でもイオンによるエレクトロクロミック性能への影響が無いノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL BTシリーズ(BT-3,BT-5,BT-7,BT-9,BT-12等、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤)、日本乳化剤(株)製のDMHシリーズ(DMH-40等、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤)、日信化学工業(株)製のオルフィン(登録商標)シリーズ(D-10A,D-10PG,E1004,E1010,E1020,E1030W,PD-001,PD-002W,PD-004,PD-005,EXP.4001,EXP.4200,EXP.4123,EXP.4300,WE-001,WE-002,WE-003等、アセチレン系界面活性剤)等が挙げられる。
【0026】
本発明の分散液の製造には、公知の分散処理方法を用いることができる。例えば、所望する分散媒に分散剤を溶解した後、プルシアンブルー型金属錯体、ポリビニルアルコール、ラテックス、界面活性剤を加え、スターラー撹拌、プロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、メディアミル、圧力式分散機、超音波分散機、マイクロミキサー、スタティックミキサー等の公知の分散処理を行うことにより得ることができる。特に、特許文献2や非特許文献1に示される、分散剤と分散媒中で混合分散する方法により、プルシアンブルー型金属錯体のナノ粒子を含有する分散液とすることが、公知の塗布、印刷方法によって均一な膜厚の薄膜材料を得るために好ましい。分散液中の固形分濃度は特に限定されないが、固形分濃度が高いと塗液の粘性が高くなり均一な層を形成しにくくなることから、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。なお、下限値は0.1質量%以上が好ましい。
【0027】
本発明の分散液を成膜する基材は特に限定されないが、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料をエレクトロクロミック材料として用いるためには、光透過性と導電性を有することが好ましく、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモンドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性金属酸化物膜が積層されたフィルムやガラス等の基材が例示できる。
【0028】
本発明の分散液を成膜する方法は特に限定されず、バーコート法、スピンコーティング法、スリットコート法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、キスコート法等の公知の塗布方法や、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、ディスペンサー印刷、パッド印刷等の公知の印刷方法等が例示できる。さらに、これらの方法で塗布または印刷した分散液を、熱風乾燥、赤外線乾燥、自然乾燥等の公知の方法により乾燥することでプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料を得ることができる。
【実施例0029】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、記載中百分率は特に断りのない限り、質量基準である。
【0030】
<プルシアンブルーの合成>
硝酸鉄(III)九水和物215g(533mmol)を蒸留水2000gに溶解し、硝酸鉄(III)水溶液を得た。次いで、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物194g(400mmol)を蒸留水2000gに溶解し、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム水溶液を得た。続いて、硝酸鉄(III)水溶液を回転速度50rpmでプロペラ撹拌しながら、EYELA製マイクロチューブポンプMP-2000Aを用いてヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム水溶液を硝酸鉄(III)水溶液に対して滴下した。全量のヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム水溶液を滴下終了後、前記したプロペラ撹拌により回転速度50rpmで5分間撹拌し、得られたプルシアンブルーを含有するスラリーを約20Lまで蒸留水で希釈して静置した。プルシアンブルーが沈殿した後、上澄み液を除去した。同様に、スラリーを約20Lまで希釈し、自然沈殿させた後、上澄み液を除去する操作をさらに4回繰返した。その後、上澄み液を除去した後に残ったスラリーを遠心分離して上澄み液を除去することで、水を含む濃青色固体のプルシアンブルー1680gを得た。
【0031】
<プルシアンブルーインクの作製>
ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物58g(119mmol)を蒸留水200gに溶解し、これに対して先述の水を含むプルシアンブルー全量を加え、室温にて回転速度300rpmで15分間プロペラ撹拌することで、プルシアンブルーインクを得た。このインク少量を120℃で乾燥し、乾燥前後の重量変化から、固形分濃度は8.5質量%と求められた。
【0032】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製」
東洋紡(株)製透明導電性フィルム コスモクリスタ300R(ITO膜付きPETフィルム)(表面抵抗250Ω/□、厚み125μm、全光線透過率86%、ヘーズ1.0%)のITO膜面に対して下記組成のプルシアンブルー分散液1をバーコーターで湿分塗布量が15g/mになるように塗布し、25~30℃で乾燥することで、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1を得た。
【0033】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液1>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98(クラレ(株)製完全ケン化ポリビニルアルコール、重合度300)
0.13g
742A(ジャパンコーティングレジン(株)製アクリル系ノニオンラテックス、Tg45℃、固形分濃度50%、平均粒径0.01μm) 1.3g
NIKKOL BT-7(日光ケミカルズ(株)製界面活性剤) 30mg
蒸留水 1.4g
【0034】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料2の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液2に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料2を作製した。
【0035】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液2>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
730L(ジャパンコーティングレジン(株)製アクリル系ノニオンラテックス、Tg-13℃、固形分濃度46%、平均粒径0.03μm) 1.4g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0036】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料3の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液3に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料3を作製した。
【0037】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液3>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
スーパーフレックス170(第一工業製薬(株)製ウレタン系アニオンラテックス、Tg75℃、固形分濃度33%、平均粒径0.01μm) 1.9g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0038】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料4の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液4に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料4を作製した。
【0039】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液4>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
スーパーフレックス420(第一工業製薬(株)製ウレタン系アニオンラテックス、Tg-10℃、固形分濃度32%、平均粒径0.01μm) 2.0g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0040】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料5の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液5に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料5を作製した。
【0041】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液5>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-201(DIC(株)製ウレタン系アニオンラテックス、Tg-50℃、固形分濃度35%、平均粒径0.05μm) 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0042】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料6の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液6に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料6を作製した。
【0043】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液6>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-202(DIC(株)製ウレタン系アニオンラテックス、Tg-50℃、固形分濃度35%、平均粒径0.05μm) 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0044】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料7の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液7に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料7を作製した。
【0045】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液7>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-210(DIC(株)製ウレタン系アニオンラテックス、Tg-15℃、固形分濃度35%、平均粒径0.05μm) 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0046】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料8の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液8に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料8を作製した。
【0047】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液8>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-213(DIC(株)製ウレタン系アニオンラテックス、Tg-15℃、固形分濃度35%、平均粒径0.05μm) 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0048】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料9の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液9に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料9を作製した。
【0049】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液9>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
5-98(クラレ(株)製完全ケン化ポリビニルアルコール、重合度500)
0.13g
ハイドランWLS-213 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0050】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料10の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液10に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料10を作製した。
【0051】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液10>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
25-98R(クラレ(株)製シラノール変性ポリビニルアルコール、重合度1700) 0.13g
ハイドランWLS-213 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0052】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料11の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液11に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料11を作製した。
【0053】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液11>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.38g
ハイドランWLS-213 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 3.7g
【0054】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料12の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液12に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料12を作製した。
【0055】
<プルシアンブルー分散液12>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.26g
ハイドランWLS-213 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 2.6g
【0056】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料13の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液13に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料13を作製した。
【0057】
<プルシアンブルー分散液13>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 64mg
ハイドランWLS-213 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 0.84g
【0058】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料14の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液14に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料14を作製した。
【0059】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液14>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 38mg
ハイドランWLS-213 1.8g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 0.61g
【0060】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料15の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液15に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料15を作製した。
【0061】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液15>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-213 2.6g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0062】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料16の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液16に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料16を作製した。
【0063】
<プルシアンブルー分散液16>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-213 1.1g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0064】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料17の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液17に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料17を作製した。
【0065】
<プルシアンブルー分散液17>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-213 0.73g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0066】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料18の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液18に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料18を作製した。
【0067】
<プルシアンブルー分散液18>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-213 0.18g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0068】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料19の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液19に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料19を作製した。
【0069】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液19>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
ハイドランWLS-213 0.11g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0070】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料20の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液20に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料20を作製した。
【0071】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液20>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.13g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 1.4g
【0072】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料21の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液21に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料21を作製した。
【0073】
<プルシアンブルー型金属錯体分散液21>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
3-98 0.77g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 7.2g
【0074】
「プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料22の作製」
プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1の作製においてプルシアンブルー型金属錯体分散液1を下記プルシアンブルー型金属錯体分散液22に変更した以外は同様にして、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料22を作製した。
【0075】
<プルシアンブルー分散液22>
上記の通り作製したプルシアンブルーインク 15g
ハイドランWLS-213 2.2g
NIKKOL BT-7 30mg
蒸留水 0.27g
【0076】
<ヘーズ測定>
上記のようにして得られたプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1~22のヘーズをスガ試験機(株)製ヘーズメーターHZ-V3を用いて測定した。3箇所の測定の平均値を表1に示す。
【0077】
<ひび割れ評価>
作製直後のプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1~22の膜面をキーエンス(株)製デジタルマイクロスコープVHX-5000で観察した(倍率500倍)ところ、いずれのプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料の膜面にもひび割れは発生していなかった。次いで、プルシアンブルー型金属錯体含有薄膜材料1~22を120℃の乾燥機で1日(24時間)加温してからプルシアンブルー型金属錯体含有薄膜の膜面を(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-5000で観察(倍率500倍)するという操作を繰り返し、ひび割れが生じるまでの合計加温日数を耐久日数として記録した。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1より、本発明の効果が判る。