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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114874
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】位置決め装置及び処理システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20230810BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230810BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01L21/68 K
H01L21/68 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017442
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000220170
【氏名又は名称】竹田東京プロセスサービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000111270
【氏名又は名称】ニューロング精密工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517355958
【氏名又は名称】株式会社ニシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 幹
(72)【発明者】
【氏名】田中 良治
(72)【発明者】
【氏名】田代 季生
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197BA02
2H197CA04
2H197CD12
2H197CD15
2H197CD18
2H197EA19
2H197EA25
2H197EB22
2H197EB23
2H197HA03
5F131AA03
5F131AA10
5F131CA32
5F131CA42
5F131DA09
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EA15
5F131EA22
5F131EA24
5F131KA14
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB07
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB54
5F131KB55
(57)【要約】
【課題】手動位置合わせ式の処理装置に取付けられて、この処理装置を、低コストで自動位置合わせ式の処理装置にすることができる位置決め装置を提供する。
【解決手段】支持面17a上で対象物W1,W2を支持する支持台12と、支持台に対する対象物の位置及び向きを保持する保持機構と、を有し、対象物を処理する処理装置10に取付けて用いられる位置決め装置30であって、支持面上の対象物の像を取得する撮像部31と、支持台に対する対象物の、支持面に沿うとともに互いに交差する第1方向X及び第2方向Yの位置、及び支持面に直交する軸線周りの向きを調節可能な調節部32と、像に基づいて、調節部により、支持台に対する対象物の第1方向及び第2方向の位置、及び軸線周りの向きを調節する制御部33と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面上で対象物を支持する支持台と、前記支持台に対する前記対象物の位置及び向きを保持する保持機構と、を有し、前記対象物を処理する処理装置に取付けて用いられる位置決め装置であって、
前記支持面上の前記対象物の像を取得する撮像部と、
前記対象物の、前記支持面に沿うとともに互いに交差する第1方向及び第2方向の位置、及び前記支持面に直交する軸線周りの向きを調節可能な調節部と、
前記像に基づいて、前記調節部により、前記支持台に対する前記対象物の前記第1方向及び前記第2方向の位置、及び前記軸線周りの向きを調節する制御部と、
を備える、位置決め装置。
【請求項2】
前記処理装置は、前記支持台及び前記保持機構を搬送する搬送部を有し、
前記調節部は、前記支持台に接続された状態から離脱可能である、請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記調節部は、
前記支持台を、前記支持台に対する前記第1方向の第1側から係止して前記第1方向に位置決めする第1位置決め部と、
前記支持台を、前記支持台に対する前記第1方向の前記第1側から係止して、前記第1位置決め部とは前記第2方向に異なる位置を前記第1方向に位置決めする第2位置決め部と、
前記支持台を、前記支持台に対する前記第2方向の第1側から係止して前記第2方向に位置決めする第3位置決め部と、を有する、請求項1又は2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記処理装置は、前記支持台を搬送する搬送部を備え、
前記支持面に直交する方向に見たときに、前記保持機構により前記対象物を保持した前記支持台は、前記搬送部により、前記第1方向の第2側と前記第2方向の第2側との間の向きに搬送される、請求項3に記載の位置決め装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の位置決め装置と、
前記処理装置と、
を備える処理システムであって、
前記制御部が、前記対象物の、前記第1方向及び前記第2方向の位置、及び前記軸線周りの向きを調節してから、前記制御部が、前記処理装置に動作開始の指示を出す、処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め装置及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーン印刷機等の、対象物を処理する処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された処理装置は、対象物との位置合わせを作業者が手動で行う、いわゆる手動位置合わせ式の処理装置である。支持台の支持面上で位置決めされた対象物は、保持機構により支持台に対する位置及び向きを保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-052688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象物の位置合わせを、対象物の像を取得する撮像部により行う、いわゆる自動位置合わせ式の処理装置は、比較的高価である。手動位置合わせ式の処理装置から、自動位置合わせ式の処理装置に買い替えるには、多大なコストを要する。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、手動位置合わせ式の処理装置に取付けられて、この処理装置を、低コストで自動位置合わせ式の処理装置にすることができる位置決め装置、及びこの位置決め装置を備える処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の位置決め装置は、支持面上で対象物を支持する支持台と、前記支持台に対する前記対象物の位置及び向きを保持する保持機構と、を有し、前記対象物を処理する処理装置に取付けて用いられる位置決め装置であって、前記支持面上の前記対象物の像を取得する撮像部と、前記対象物の、前記支持面に沿うとともに互いに交差する第1方向及び第2方向の位置、及び前記支持面に直交する軸線周りの向きを調節可能な調節部と、前記像に基づいて、前記調節部により、前記支持台に対する前記対象物の前記第1方向及び前記第2方向の位置、及び前記軸線周りの向きを調節する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
この発明では、位置決め装置は、支持台及び保持機構を有し、手動位置合わせ式の処理装置に取付けて用いられる。例えば、作業者が、処理装置の支持台の支持面上に対象物を配置する。その後で、位置決め装置の制御部は、撮像部が取得した支持面上の対象物の像に基づいて、調節部により、対象物の第1方向及び第2方向の位置、及び軸線周りの向きを自動的に調節する。すなわち、対象物の位置合わせが、位置決め装置によって自動で行われる。処理装置において、保持機構により支持台に対する対象物の位置及び向きを保持する。このように、既存の手動位置合わせ式の処理装置を用いることにより、処理装置を自動位置合わせ式にするのに必要なコストが抑えられる。
以上のように、手動位置合わせ式の処理装置に位置決め装置を取付けることにより、この処理装置を、低コストで自動位置合わせ式の処理装置にすることができる。
【0008】
また、前記位置決め装置において、前記処理装置は、前記支持台及び前記保持機構を搬送する搬送部を有し、前記調節部は、前記支持台に接続された状態から離脱可能であってもよい。
この発明では、位置決め装置の調節部が支持台に接続された状態で、調節部により、対象物の位置及び軸線向きを自動的に調節する。その後、処理装置の保持機構により支持台に対する対象物の位置及び向きが保持された状態で、調節部を支持台から離脱させる。この状態で、処理装置の搬送部により、調節部を搬送することなく、支持台及び保持機構を搬送することができる。
【0009】
また、前記位置決め装置において、前記調節部は、前記支持台を、前記支持台に対する前記第1方向の第1側から係止して前記第1方向に位置決めする第1位置決め部と、前記支持台を、前記支持台に対する前記第1方向の前記第1側から係止して、前記第1位置決め部とは前記第2方向に異なる位置を前記第1方向に位置決めする第2位置決め部と、前記支持台を、前記支持台に対する前記第2方向の第1側から係止して前記第2方向に位置決めする第3位置決め部と、を有してもよい。
この発明では、第1位置決め部及び第2位置決め部により支持台の第1方向の位置、及び軸線周りの向きが調節され、第3位置決め部により支持台の第2方向の位置が調節される。このように、第1位置決め部、第2位置決め部、及び第3位置決め部という比較的簡単な構成で、支持台により支持される対象物の第1方向及び第2方向の位置、及び軸線周りの向きを調節することができる。
【0010】
また、前記位置決め装置において、前記処理装置は、前記支持台を搬送する搬送部を備え、前記支持面に直交する方向に見たときに、前記保持機構により前記対象物を保持した前記支持台は、前記搬送部により、前記第1方向の第2側と前記第2方向の第2側との間の向きに搬送されてもよい。
この発明では、搬送部により、支持台が第1方向の第2側と第2方向の第2側との間の向きに搬送される際には、搬送される支持台に対して、第1位置決め部、第2位置決め部、及び第3位置決め部が支障とならない。
従って、第1位置決め部、第2位置決め部、及び第3位置決め部に対して、搬送部により支持台を容易に搬送することができる。
【0011】
また、本発明の処理システムは、前記のいずれかに記載の位置決め装置と、前記処理装置と、を備える処理システムであって、前記制御部が、前記対象物の、前記第1方向及び前記第2方向の位置、及び前記軸線周りの向きを調節してから、前記制御部が、前記処理装置に動作開始の指示を出すことを特徴としている。
【0012】
この発明では、位置決め装置により対象物の位置及び向きを調節した後で、処理装置の動作を開始させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の位置決め装置及び処理システムでは、手動位置合わせ式の処理装置に取付けて、この処理装置を、低コストで自動位置合わせ式の処理装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の露光システムの概要を示す図である。
図2】同露光システムにおける要部の斜視図である。
図3】同露光システムの動作を説明する一部を破断した斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態の変形例における露光システムの要部の斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態の露光システムにおける要部の斜視図である。
図6】同露光システムの動作を説明する斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態の変形例における露光システムの要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る処理システムの第1実施形態を、処理システムが露光システムである場合を例にとって、図1から図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の露光システム1は、露光装置(処理装置)10と、本実施形態の位置決め装置30とを備える。
図2に示すように、例えば、露光装置10は、基板W1及びガラスマスクW2の位置合わせを作業者が手動で行う、いわゆる手動位置合わせ式の処理装置である。基板W1及びガラスマスクW2は、それぞれ対象物を構成する。
【0016】
例えば、基板W1はシリコン等で形成されている。ガラスマスクW2では、ガラスに、図示しないパターン原版が形成されている。ガラスマスクW2の上面又は下面には、図示しないアライメントマークが設けられている。例えば、アライメントマークは、上面又は下面に形成された凸形状、凹形状、貫通孔等である。アライメントマークは、基板W1にも設けられてもよい。
図1及び図2に示すように、露光装置10は、筐体11と、支持台12と、保持機構(不図示)と、搬送部13と、露光部14と、露光制御部15とを有する。
【0017】
図1に示すように、筐体11は、露光装置10の下部の外形を形成する。例えば、筐体11は、後述する第1方向Xに長い直方体状である。
図2に示すように、本実施形態では、支持台12は、平面視で矩形を呈する箱状である。支持台12は、いわゆる治具テーブルである。支持台12は、本体16と、支持板17とを有する。
本体16は、上方が開口する箱状である。支持板17は、本体16の開口を覆う。支持板17の上面である支持面17aは、平坦である。支持台12は、支持板17の支持面17aが水平面に沿うように配置されている。なお、支持台12が配置される向きは、これに限定されない。
【0018】
ここで、支持面17aに沿うとともに互いに直交する方向を、第1方向X及び第2方向Yと規定する。支持面17aに直交する軸線を、軸線L1と規定する。
なお、第1方向X及び第2方向Yは、支持面17aに沿うとともに互いに交差する方向であるとしてもよい。
例えば、本体16内には、公知のXYθステージ(不図示)が配置されている。XYθステージは、作業者が、手動位置合わせに用いていたステージであってもよい。
XYθステージは、第1ステージと、第2ステージと、回転ステージとを有する。第1ステージは、本体16に対して支持板17が第1方向Xに移動するように案内する。第2ステージは、本体16に対して支持板17が第2方向Yに移動するように案内する。回転ステージは、本体16に対して支持板17が軸線L1周り回転するように案内する。
なお、XYθステージの構成はこれに限定されない。例えば、XYθステージでは、第1ステージ、第2ステージ、及び回転ステージが一体に構成されてもよい。
【0019】
支持台12は、支持面17a上で基板W1及びガラスマスクW2を支持する。本実施形態では、支持面17a上に基板W1が配置され、さらに基板W1上にガラスマスクW2が配置されている。
【0020】
例えば、保持機構は、真空引きによる公知の吸着方法により、支持台12に対する基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yそれぞれの位置、及び軸線L1周りの向きを保持する。保持機構は、支持台12に内蔵されている。
搬送部13は、支持台12及び保持機構を搬送する。例えば、搬送部13は、レール18と、図示しない駆動モータとを有している。
レール18は、第1方向Xに延びている。レール18は、支持台12の本体16の下部と嵌め合っている。レール18は、支持台12の本体16を第1方向Xに案内する。
駆動モータは、レール18上の支持台12を第1方向Xの第2側X2(以下では、単に第2側X2とも言う)、及び第1方向Xにおける第2側X2とは反対側の第1側X1(以下では、単に第1側X1とも言う)に移動させる。
【0021】
図1に示すように、露光部14は、基板W1を露光(処理)する。図示はしないが、露光部14は、例えば、メタルハライドランプと、反射板とを有する。
メタルハライドランプは、下方に向かって光L3を照射する。反射板は、メタルハライドランプの上方を覆う。反射板は、一対の脚部23により筐体11における第2側X2の部分上に支持されている。
露光制御部15は、保持機構、搬送部13、及び露光部14に接続され、保持機構、搬送部13、及び露光部14を制御する。露光制御部15は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)と、メモリとを有する。メモリには、CPUを動作させるための制御プログラム等が記憶されている。CPUは、制御プログラムを読み込むと、制御プログラムに基づいて保持機構、搬送部13、及び露光部14を制御する。
【0022】
位置決め装置30は、露光装置10に取付けて用いられる。例えば、位置決め装置30は、露光装置10の筐体11に固定される。図1及び図2に示すように、位置決め装置30は、撮像部31と、調節部32と、位置決め制御部(制御部)33とを有する。
本実施形態では、撮像部31は、第1カメラ36と、第2カメラ37とを有する。すなわち、撮像部31は、2台のカメラ36,37を有する。なお、撮像部が有するカメラの数に制限は無く、1台でもよいし、3台以上でもよい。
各カメラ36,37は、撮像素子を有している。各カメラ36,37は、支持面17a上の基板W1及びガラスマスクW2の像を取得する。各カメラ36,37は、取得した像を信号に変換し、この信号を位置決め制御部33に送る。
例えば、第1カメラ36は、支持台12の支持面17a上の基板W1及びガラスマスクW2における所定の隅部の像を取得する。第2カメラ37は、支持面17a上の基板W1及びガラスマスクW2における、前記所定の隅部とは異なる隅部の像を取得する。
カメラ36,37は、支持部材38により筐体11における第1側X1の部分上に支持されている。
【0023】
調節部32は、支持台12の本体16に対する、基板W1及びガラスマスクW2の、第1方向X及び第2方向Yの位置、及び軸線L1周りの向きを調節可能である。
調節部32は、図示はしないが、第1移動モータと、第2移動モータと、回転モータとを有する。調節部32が支持台12に接続されたときに、各モータは支持台12のXYθステージに以下のように接続される。すなわち、第1移動モータは、第1ステージに接続される。同様に、第2移動モータは第2ステージに接続され、回転モータは回転ステージに接続される。例えば、各モータとステージとの接続は、例えば、ピニオンギアとラックギアとの接続のように行われる。
図2に示すように、調節部32は、支持台12の側面に連なるように配置され、支持台12に接続されている。調節部32が支持台12に接続された状態から、例えば第1移動モータを駆動すると、第1移動モータに接続された第1ステージにより、支持台12の本体16に対して支持板17が第1方向Xに移動する。第2移動モータ及び回転モータについても、第1移動モータと同様である。
【0024】
一方で、第1ステージに接続された第1移動モータは、第1ステージから離脱可能である。同様に、第2ステージに接続された第2移動モータは、第2ステージから離脱可能である。回転ステージに接続された回転移動モータは、回転ステージから離脱可能である。
以上のようにして、調節部32は、支持台12に接続された状態から離脱可能である。なお、調節部32は、支持台12に着脱可能であってもよい。
【0025】
位置決め制御部33は、露光制御部15と同様に構成されている。位置決め制御部33は、撮像部31、調節部32、及び露光装置10の露光制御部15に接続され、撮像部31及び調節部32を制御する。
位置決め制御部33は、前記像に基づいて、調節部32により、支持台12に対する基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yの位置、及び軸線L1周りの向きを調節する。例えば、位置決め制御部33のメモリには、基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yの位置のズレ、及び軸線L1周りの向きのズレがそれぞれ無い状態での、アライメントマークの位置情報が記憶されている。
【0026】
次に、以上のように構成された露光システム1の動作について説明する。予め、基板W1におけるガラスマスクW2側の表面にはレジストが塗布されている。基板W1とガラスマスクW2との位置合わせは、終わっているとする。
作業者は、露光装置10の支持台12の支持面17a上に、基板W1及びガラスマスクW2を置く。このとき、ガラスマスクW2よりも基板W1が下方となるように配置する。
位置決め装置30を起動すると、位置決め制御部33は、撮像部31のカメラ36,37により、支持面17a上の基板W1及びガラスマスクW2の像を取得する。カメラ36,37は、取得した像を信号に変換し、この信号を位置決め制御部33に送る。
【0027】
位置決め制御部33は、メモリから読み出したアライメントマークの位置情報、及びカメラ36,37から送られた像の信号に基づいて、支持面17a上の基板W1及びガラスマスクW2に、第1方向X及び第2方向Yの位置ズレ、及び軸線L1周りの向きのズレがそれぞれあるか否かを判断する。像の信号から基板W1及びガラスマスクW2の側面の位置を抽出するのには、公知の画像処理方法が用いられる。
少なくとも一方のズレがあると位置決め制御部33が判断すると、位置決め制御部33は、調節部32により、支持台12に対する基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yの位置、及び軸線L1周りの向きの少なくとも一方を調節する。この調節の後で、位置決め制御部33は、露光装置10の露光制御部15に動作開始の指示を出す。
一方で、いずれのズレも無いと位置決め制御部33が判断すると、位置決め制御部33は、調節部32による調節をすることなく、露光制御部15に動作開始の指示を出す。
【0028】
露光制御部15は、保持機構により、支持台12に対する基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yそれぞれの位置、及び軸線L1周りの向きを保持させる。搬送部13により、支持台12及び保持機構を第2側X2に搬送させ、図3に示すように、支持台12及び保持機構を、露光部14の光源21の下方に移動させる。このとき、調節部32は支持台12から離脱する。
露光部14により、メタルハライドランプから光L3を照射させる。照射された光L3の一部はガラスマスクW2を通過し、基板W1を露光する。
露光制御部15は、搬送部13により、支持台12及び保持機構を第1側X1に搬送させる。調節部32は、支持台12に接続される。露光制御部15は、保持機構による保持を解除する。作業者は、支持台12の支持面17a上から基板W1及びガラスマスクW2を取外す。
この後で、基板W1における露光されなかったレジストを除去する等の処理を適宜行い、露光システム1による基板W1の露光処理が終了する。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の位置決め装置30は、支持台12及び保持機構を有し、手動位置合わせ式の露光装置10に取付けて用いられる。作業者が、露光装置10の支持台12の支持面17a上に基板W1及びガラスマスクW2を配置する。その後で、位置決め制御部33は、撮像部31が取得した支持面17a上の基板W1及びガラスマスクW2の像に基づいて、調節部32により、基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yの位置、及び軸線L1周りの向きを自動的に調節する。すなわち、基板W1及びガラスマスクW2の位置合わせが、位置決め装置30によって自動で行われる。露光装置10において、露光制御部15は、保持機構により支持台12に対する基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yの位置、及び軸線L1周りの向きを保持する。このように、既存の手動位置合わせ式の露光装置10を用いることにより、露光装置10を自動位置合わせ式にするのに必要なコストが抑えられる。
【0030】
以上のように、手動位置合わせ式の露光装置10に位置決め装置30を取付けることにより、この露光装置10を、低コストで自動位置合わせ式の露光装置にすることができる。基板W1及びガラスマスクW2の位置決め作業において、作業者による位置決めのバラつきを無くすことができる。
後から取付ける、いわゆる外付け式の位置決め装置30を手動位置合わせ式の露光装置10に取付けることにより、露光装置10の改造を最小限に抑えることができる。
露光装置10が、基板W1及びガラスマスクW2の位置及び向きを一度だけ調節すればよい装置である場合には、位置決め装置30によりこれらを調節した後で、露光装置10から位置決め装置30を取外してもよい。そして、位置決め装置30を他の手動位置合わせ式の露光装置10に取付けて、基板W1及びガラスマスクW2の位置及び向きを調節してもよい。すなわち、複数台の露光装置10で、1台の位置決め装置30を共有して用いてもよい。
【0031】
露光装置10は搬送部13を有し、調節部32は支持台12に接続された状態から離脱可能である。位置決め装置30の調節部32が支持台12に接続された状態で、調節部32により、基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yの位置、及び軸線L1周りの向きを自動的に調節する。その後、露光装置10の保持機構により支持台12に対する基板W1及びガラスマスクW2の位置及び向きが保持された状態で、調節部32を支持台12から離脱させる。この状態で、露光装置10の搬送部13により、調節部32を搬送することなく、支持台12及び保持機構を搬送することができる。
搬送部13により搬送される対象が軽くなるため、支持台12の位置決め精度が向上するとともに、支持台12の搬送速度を速めることができる。
また、本実施形態の露光システム1では、位置決め装置30により基板W1及びガラスマスクW2の第1方向X及び第2方向Yの位置及び軸線L1周りの向きを調節した後で、露光装置10の動作を開始させることができる。
【0032】
なお、図4に示す変形例の露光システム1Aにおける露光装置10Aのように、支持台45を構成してもよい。支持台45の本体46は、筒状部47と、張出し部48とを有する。筒状部47は、有底筒状である。張出し部48は、筒状部47の上方に設けられ、調節部32の上方を覆うように張出している。
変形例の露光システム1Aでも、本実施形態の露光システム1と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5から図7を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、本実施形態の露光システム2は、第1実施形態の露光システム1の位置決め装置30に代えて、位置決め装置55を備えている。位置決め装置55は、位置決め装置30の調節部32に代えて、調節部56を有する。
本実施形態の調節部56は、第1位置決め部59と、第2位置決め部60と、第3位置決め部61と、を有する。
【0034】
例えば、第1位置決め部59は、ネジ部64と、本体65とを有する。ネジ部64の外周面には、ネジ部64の全長にわたって雄ネジ(不図示)が形成されている。ネジ部64は、第1方向Xに延びるように配置されている。本体65は、ネジ部64における第1側X1の端部に嵌め合っている。本体65は、ネジ部64を第1方向Xに移動させる。第1位置決め部59は、支持台12をネジ部64により、支持台12に対する第1側X1から係止して第1方向Xに位置決めする。
【0035】
第2位置決め部60は、第1位置決め部59と同一の構成であり、ネジ部64、本体65と同一の構成のネジ部68、本体69を有する。第2位置決め部60は、支持台12をネジ部68により、支持台12に対する第1側X1から係止して第1方向Xに位置決めする。第2位置決め部60は、支持台12における第1位置決め部59が位置決めする位置とは第2方向Yに異なる位置を、第1方向Xに位置決めする。
第3位置決め部61は、第1位置決め部59と同一の構成であり、ネジ部64、本体65と同一の構成のネジ部72、本体73を有する。第3位置決め部61は、支持台12をネジ部72により、支持台12に対する第2方向Yの第1側Y1(以下では、単に第1側Y1とも言う)から係止して第2方向Yに位置決めする。
また、以下では、第2方向Yにおける第1側Y1とは反対側を、単に第2側Y2とも言う。
【0036】
位置決め部59,60,61の各本体65,69,73は、支持台75により一体になっている。
調節部56は、第1位置決め部59に対して、支持台12を挟んで対向する位置に、バネ等の付勢部材を有してもよい。そして、その付勢部材によりて、支持台12を第1側X1に付勢してもよい。
調節部56は、位置決め部60,61に対応して、同様に付勢部材を有してもよい。
【0037】
調節部56では、第1位置決め部59及び第2位置決め部60により支持台12の第1方向Xの位置、及び軸線L1周りの向きが調節される。調節部56では、第3位置決め部61により支持台12の第2方向Yの位置が調節される。
なお、図5では、基板W1上にガラスマスクW2を配置してもよい。
本実施形態では、図6に示すように、露光制御部15は、保持機構により支持台12に対する基板W1の位置及び向きを保持した状態で、調節部56により支持台12及び基板W1の位置及び向きを調節させる。そして、搬送部13により、支持台12及び保持機構を第2側X2に搬送させる。
【0038】
このように構成された、本実施形態の位置決め装置55では、手動位置合わせ式の露光装置10に取付けられて、この露光装置10を、低コストで自動位置合わせ式の処理装置にすることができる。
さらに、第1位置決め部59、第2位置決め部60、及び第3位置決め部61という比較的簡単な構成で、支持台12により支持される基板W1の第1方向X及び第2方向Yの位置、及び軸線L1周りの向きを調節することができる。
【0039】
なお、図7に示す変形例の露光システム2Aのように、支持面17aに直交する方向に見たときに、保持機構により基板W1を保持した支持台12は、搬送部13により、第2側X2と第2側Y2との間の向きに搬送されてもよい。図7中に、搬送された支持台12を二点鎖線L5で示す。
【0040】
変形例の露光システム2Aでは、搬送部13により、支持台12が第2側X2と第2側Y2との間の向きに搬送される際には、搬送される支持台12に対して、第1位置決め部59、第2位置決め部60、及び第3位置決め部61が支障とならない。
従って、第1位置決め部59、第2位置決め部60、及び第3位置決め部61に対して、搬送部13により支持台12を容易に搬送することができる。
【0041】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、露光装置10,10Aは、搬送部13を備えなくてもよい。この場合、撮像部31が支持台12の上方から退避するとともに、露光装置10の露光部14が支持台12の上方に移動するように構成してもよい。
調節部32は、支持台12に固定されていてもよい。この場合、搬送部13は、支持台12、保持機構、及び調節部32を搬送する。
【0042】
基板W1に設けられたピン等の指標により、位置決め装置が位置決めをしてもよい。
対象物が、基板W1及びガラスマスクW2であるとした。しかし、対象物は、紙、ガラス基板等でもよい。
XYθステージは、平面視で基板W1及びガラスマスクW2の外側に配置されてもよい。そして、XYθステージは、基板W1及びガラスマスクW2を着脱可能に保持してもよい。
処理装置は露光装置10であるとしたが、処理装置は印刷装置等であるとしてもよい。この場合、処理システムは印刷システム等となる。
【符号の説明】
【0043】
1,1A,2,2A 露光システム(処理システム)
10,10A 露光装置(処理装置)
12,45 支持台
13 搬送部
17a 支持面
30,55 位置決め装置
31 撮像部
32,56 調節部
33 位置決め制御部(制御部)
59 第1位置決め部
60 第2位置決め部
61 第3位置決め部
L1 軸線
W1 基板(対象物)
W2 ガラスマスク(対象物)
X 第1方向
X1,Y1 第1側
X2,Y2 第2側
Y 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7