(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114884
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】温度センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
G01K 1/14 20210101AFI20230810BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K1/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017456
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 達雄
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CE01
2F056CL07
2F056CL11
(57)【要約】
【課題】 ガルバニック腐食が生じ難いと共に、長期にわたって安定した取付力を得ることができる温度センサ取付構造を提供すること。
【解決手段】 樹脂で成形され、互いに対向させた状態で配管Pと配管に接触させた温度センサとを間に挟み込む一対の温度センサ取付用治具1A,1Bと、対向させた状態の一対の温度センサ取付用治具に取り付けられて一対の温度センサ取付用治具を互いに対向方向に向けて付勢するバネ部材10とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で成形され、互いに対向させた状態で配管と前記配管に接触させた温度センサとを間に挟み込む一対の温度センサ取付用治具と、
前記対向させた状態の前記一対の温度センサ取付用治具に取り付けられて前記一対の温度センサ取付用治具を互いに対向方向に向けて付勢するバネ部材とを備えていることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサ取付構造において、
前記バネ部材が、金属で形成された板バネであることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度センサ取付構造において、
前記一対の温度センサ取付用治具が、互いに同一形状とされていることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサ取付構造において、
前記一対の温度センサ取付用治具のうち一方と前記一対の温度センサ取付用治具のうち他方とが、それぞれ配管を内側に嵌め込み可能な配管側支持部と、
前記配管に接触させた温度センサを内側に嵌め込み可能なセンサ側支持部とを備え、
前記一方が、凸部を備え、
前記他方が、前記一方と対向されて前記配管及び前記温度センサを挟み込んだ状態で、前記一方の前記凸部が嵌め込み可能な凹部を備えていることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の温度センサ取付構造において、
前記センサ側支持部が、その側端部に前記温度センサが嵌め込まれた際に前記温度センサの端部に当接して位置決めするセンサ係止部を備えていることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の温度センサ取付構造において、
前記一方の前記凸部が、前記配管側支持部に形成され、
前記他方が、前記配管側支持部の前記凸部と互いに嵌め合い可能な前記凹部を有した配管側凹凸用支持部を備えていることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の温度センサ取付構造において、
前記一方の前記配管側支持部に前記配管を嵌め込むと共に前記一方の前記センサ側支持部に前記温度センサを嵌め込み、さらに前記他方を前記配管の延在方向に前記一方から離間させた位置で前記他方の前記配管側支持部に前記配管を嵌め込んだ状態で、
前記他方が、前記一方に向けて前記配管の延在方向に移動させた際に前記センサ側支持部に前記温度センサを嵌め込み可能であると共に前記他方の前記凹部と前記一方の前記凸部とが互いに嵌め合い可能であることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項8】
請求項7に記載の温度センサ取付構造において、
前記一方の前記凸部が、前記センサ側支持部にも形成され、
前記他方が、前記一方の前記センサ側支持部の前記凸部と互いに嵌め合い可能な前記凹部を有したセンサ側凹凸用支持部を備えていることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項9】
請求項4から6のいずれか一項に記載の温度センサ取付構造において、
前記一方の前記配管側支持部に前記配管を嵌め込むと共に前記一方の前記センサ側支持部を前記温度センサに嵌め込み、さらに前記他方の前記センサ側支持部に前記温度センサを嵌め込んだ状態で、
前記他方が、前記温度センサの軸線を中心に回動させて前記配管側支持部に前記配管を嵌め込み可能であると共に前記他方の前記凸部と前記一方の前記凹部とが互いに嵌め合い可能であることを特徴とする温度センサ取付構造。
【請求項10】
請求項9に記載の温度センサ取付構造において、
前記センサ側支持部が、前記温度センサが嵌め込まれた状態で前記温度センサの軸線方向に互いに離間して複数対設けられていることを特徴とする温度センサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に温度センサを取り付けるために用いる温度センサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品、自動車関連又は電機製品等に使用される温度センサ(サーミスタ素子使用)のうち、配管で供給、循環又は排出されるガス又は液体等の状態を検知するために、配管に取り付けられて配管の温度を測定するものが用いられている。
従来、耐食性、温度履歴に対しての取付力の保持、取付易さ等を考慮して、ステンレス又はその他の金属薄板を防蝕コーティングした板バネで温度センサを配管に固定しているものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、配管を保持する配管保持部、及び配管の温度を測定する感温部(温度センサ)を保持する感温部保持部を有し、配管に感温部を固定するための配管クリップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記特許文献1の技術では、配管への取付の容易さから金属製の板バネを感温部保持部に用いていたが、温度センサの表面が主にAl等の金属であると共に板バネがSUS等の金属であるため、これらの間で異種金属の接触によるガルバニック腐食と呼ばれる腐食が発生する場合があった。このため、板バネにコーティングを施す対策もあるが、必ずしも仕様の温度環境に耐え得るとは限らない。また、ガルバニック腐食が生じ難い樹脂部品で固定することも考えられるが、長期使用によるクリープによって取付力の低下が生じるおそれがあるという不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、ガルバニック腐食が生じ難いと共に、長期にわたって安定した取付力を得ることができる温度センサ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサ取付構造は、樹脂で成形され、互いに対向させた状態で配管と前記配管に接触させた温度センサとを間に挟み込む一対の温度センサ取付用治具と、前記対向させた状態の前記一対の温度センサ取付用治具に取り付けられて前記一対の温度センサ取付用治具を互いに対向方向に向けて付勢するバネ部材とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この温度センサ取付構造では、樹脂で成形され、互いに対向させた状態で配管と配管に接触させた温度センサとを間に挟み込む一対の温度センサ取付用治具と、対向させた状態の一対の温度センサ取付用治具に取り付けられて一対の温度センサ取付用治具を互いに対向方向に向けて付勢するバネ部材とを備えているので、温度センサ取付用治具が樹脂で形成されていることで温度センサとの間でガルバニック腐食が生じ難いと共に、バネ部材によって一対の温度センサ取付用治具が付勢されていることで、長期にわたって安定した取付力を得ることができる。
また、一対の温度センサ取付用治具で両側から配管及び温度センサを挟み込むので、配管の熱を効率的に温度センサに伝えることができる。また、互いに対向して配管を挟み込む一対の温度センサ取付用治具により、配管及び温度センサを両側からそれぞれ保持し、さらにバネ部材で付勢することで、1つの治具だけで固定した場合に比べて、より高い保持力を得ることができる。
【0009】
第2の発明に係る温度センサ取付構造は、第1の発明において、前記バネ部材が、金属で形成された板バネであることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付構造では、バネ部材が、金属で形成された板バネであるので、簡易かつ低コストに作製することができると共に、安定した付勢力により長期に強い取付力を得ることができる。
なお、金属のバネ部材は、樹脂の一対の温度センサ取付用治具に取り付けられ温度センサ、配管には接触しないため、ガルバニック腐食が生じない。
【0010】
第3の発明に係る温度センサ取付構造は、第1又は第2の発明において、前記一対の温度センサ取付用治具が、互いに同一形状とされていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付構造では、一対の温度センサ取付用治具が、互いに同一形状とされているので、同じ部品を2つ使用することで、別形状のものを作製する必要がなく、部品単価を低減することができる。
【0011】
第4の発明に係る温度センサ取付構造は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記一対の温度センサ取付用治具のうち一方と前記一対の温度センサ取付用治具のうち他方とが、それぞれ配管を内側に嵌め込み可能な配管側支持部と、前記配管に接触させた温度センサを内側に嵌め込み可能なセンサ側支持部とを備え、前記一方が、凸部を備え、前記他方が、前記一方と対向されて前記配管及び前記温度センサを挟み込んだ状態で、前記一方の前記凸部が嵌め込み可能な凹部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付構造では、前記一方が、凸部を備え、前記他方が、前記一方と対向されて配管及び温度センサを挟み込んだ状態で、前記一方の凸部が嵌め込み可能な凹部を備えているので、嵌め込まれた配管に対する配管側支持部のバネ力(付勢力・弾性力)に加えて凹部と凸部との嵌め込み力により、配管に温度センサを安定した十分な保持力で容易に取り付けできる。
【0012】
第5の発明に係る温度センサ取付構造では、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記センサ側支持部が、その側端部に前記温度センサが嵌め込まれた際に前記温度センサの端部に当接して位置決めするセンサ係止部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、センサ側支持部が、その側端部に温度センサが嵌め込まれた際に温度センサの端部に当接して位置決めするセンサ係止部を備えているので、前記他方を前記一方側にスライドさせて互いの凸部と凹部とを嵌め合わせる際に、温度センサがセンサ側支持部から位置ずれしてしまうことをセンサ係止部で防ぐことができる。
【0013】
第6の発明に係る温度センサ取付構造は、第4又は第5の発明において、前記一方の前記凸部が、前記配管側支持部に形成され、前記他方が、前記配管側支持部の前記凸部と互いに嵌め合い可能な前記凹部を有した配管側凹凸用支持部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付構造では、前記他方が、配管側支持部の凸部と互いに嵌め合い可能な凹部を有した配管側凹凸用支持部を備えているので、配管側支持部とは別にバネ性を調整可能な配管側凹凸用支持部を別途設けたことで、配管側支持部のバネ性とは別に凹部と凸部との嵌め込み力を調整でき、一対の温度センサ取付用治具をより安定して固定することができる。
【0014】
第7の発明に係る温度センサ取付構造は、第4から第6の発明のいずれかにおいて、前記一方の前記配管側支持部に前記配管を嵌め込むと共に前記一方の前記センサ側支持部に前記温度センサを嵌め込み、さらに前記他方を前記配管の延在方向に前記一方から離間させた位置で前記他方の前記配管側支持部に前記配管を嵌め込んだ状態で、前記他方が、前記一方に向けて前記配管の延在方向に移動させた際に前記センサ側支持部に前記温度センサを嵌め込み可能であると共に前記他方の前記凹部と前記一方の前記凸部とが互いに嵌め合い可能であることを特徴とする。
【0015】
すなわち、この温度センサ取付構造では、前記一方の配管側支持部に配管を嵌め込むと共に前記一方のセンサ側支持部に温度センサを嵌め込み、さらに前記他方を配管の延在方向に前記一方から離間させた位置で前記他方の配管側支持部に配管を嵌め込んだ状態で、前記他方が、前記一方に向けて配管の延在方向に移動させた際にセンサ側支持部に温度センサを嵌め込み可能であると共に前記他方の凹部と前記一方の凸部とが互いに嵌め合い可能であるので、前記他方を前記一方へとスライドさせることで一対の温度センサ取付用治具で容易に配管を挟んだ状態で固定することができる。
【0016】
第8の発明に係る温度センサ取付構造では、第7の発明において、前記一方の前記凸部が、前記センサ側支持部にも形成され、前記他方が、前記一方の前記センサ側支持部の前記凸部と互いに嵌め合い可能な前記凹部を有したセンサ側凹凸用支持部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、前記他方が、前記一方のセンサ側支持部の凸部と互いに嵌め合い可能な凹部を有したセンサ側凹凸用支持部を備えているので、センサ側支持部とは別にバネ性を調整可能なセンサ側凹凸用支持部を別途設けたことで、センサ側支持部のバネ性とは別に凹部と凸部との嵌め込み力を調整でき、一対の温度センサ取付用治具をより安定して固定することができる。
なお、温度センサを内側に嵌め込んだセンサ側支持部を外側からセンサ側凹凸用支持部によって押さえ込むようにして重ね、凹部と凸部とを嵌め合わせることで、センサ側支持部が不意な力で開くことを防止可能になる。
【0017】
第9の発明に係る温度センサ取付構造では、第4から第6の発明のいずれかにおいて、前記一方の前記配管側支持部に前記配管を嵌め込むと共に前記一方の前記センサ側支持部を前記温度センサに嵌め込み、さらに前記他方の前記センサ側支持部に前記温度センサを嵌め込んだ状態で、前記他方が、前記温度センサの軸線を中心に回動させて前記配管側支持部に前記配管を嵌め込み可能であると共に前記他方の前記凸部と前記一方の前記凹部とが互いに嵌め合い可能であることを特徴とする。
【0018】
すなわち、この温度センサ取付用治具では、前記一方の配管側支持部に配管を嵌め込むと共に前記一方のセンサ側支持部を温度センサに嵌め込み、さらに前記他方のセンサ側支持部に温度センサを嵌め込んだ状態で、前記他方が、温度センサの軸線を中心に回動させて配管側支持部に配管を嵌め込み可能であると共に前記他方の凸部と前記一方の凹部とが互いに嵌め合うので、前記他方を回動させることで一対の温度センサ取付用治具で容易に配管を挟んだ状態で固定することができる。
【0019】
第10の発明に係る温度センサ取付構造では、第9の発明において、前記センサ側支持部が、前記温度センサが嵌め込まれた状態で前記温度センサの軸線方向に互いに離間して複数対設けられていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、センサ側支持部が、温度センサが嵌め込まれた状態で温度センサの軸線方向に互いに離間して複数対設けられているので、温度センサをその軸線方向の少なくとも4箇所で保持することができ、より安定した保持力と温度センサへの高い伝熱性とを得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサ取付構造によれば、樹脂で成形され、互いに対向させた状態で配管と配管に接触させた温度センサとを間に挟み込む一対の温度センサ取付用治具と、対向させた状態の一対の温度センサ取付用治具に取り付けられて一対の温度センサ取付用治具を互いに対向方向に向けて付勢する金属製バネ部材とを備えているので、金属製バネ部材を配管、温度センサに接触しないような配置にでき、温度センサとの間でガルバニック腐食が生じ難いと共に、長期にわたって安定した取付力を得ることができる。
したがって、本発明の温度センサ取付構造では、異種金属腐食を防止すると共に、熱履歴に対しても安定した保持力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る温度センサ取付構造の第1実施形態において、配管に取り付けた一対の温度センサ取付用治具をスライドする前の状態(a)及びスライドした後にバネ部材を取り付けた状態(b)を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態において、配管に取り付けた一対の温度センサ取付用治具をスライドする前の状態(a)と、スライドした後にバネ部材を取り付けた状態(b)とを示す正面図である。
【
図3】第1実施形態において、配管に一対の温度センサ取付用治具及びバネ部材で温度センサを取り付けた状態を示す側面図である。
【
図4】第1実施形態において、温度センサ取付用治具を示す側面図である。
【
図5】第1実施形態において、一方の温度センサ取付用治具を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態において、他方の温度センサ取付用治具を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態において、バネ部材を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る温度センサ取付構造の第2実施形態において、一対の温度センサ取付用治具のうち一方を配管及び温度センサに取り付けた状態で、他方を温度センサだけに取り付けた状態(a)と、一対の温度センサ取付用治具及びバネ部材により配管に温度センサを取り付けた状態(b)とを示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態において、配管に一対の温度センサ取付用治具及びバネ部材で温度センサを取り付けた状態を示す側面図である。
【
図10】第2実施形態において、温度センサ取付用治具を示す側面図である。
【
図11】第2実施形態において、一対の温度センサ取付用治具のうち一方を配管及び温度センサに取り付けた状態で、他方を温度センサだけに取り付けた状態を示す側面図である。
【
図12】第2実施形態において、一対の温度センサ取付用治具のうち一方を示す斜視図である。
【
図13】第2実施形態において、一対の温度センサ取付用治具のうち他方を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る温度センサ取付構造の第1実施形態を、
図1から
図7を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態の温度センサ取付構造1は、
図1から
図7に示すように、樹脂で成形され、互いに対向させた状態で配管Pと配管Pに接触させた温度センサSとを間に挟み込む一対の温度センサ取付用治具1A,1Bと、対向させた状態の一対の温度センサ取付用治具1A,1Bに取り付けられて一対の温度センサ取付用治具1A,1Bを互いに対向方向に向けて付勢するバネ部材10とを備えている。
上記バネ部材10は、金属で形成された板バネである。
【0024】
本実施形態の温度センサ取付用治具1A,1Bは、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bのうち一方1Aと一対の温度センサ取付用治具のうち他方1Bとが、それぞれ配管Pを内側に嵌め込み可能な配管側支持部2と、配管Pに接触させた温度センサSを内側に嵌め込み可能なセンサ側支持部3とを備えている。
【0025】
前記一方1Aは、凸部4aを備えている。
また、前記他方1Bは、前記一方1Aと対向されて配管P及び温度センサSを挟み込んだ状態で、前記一方1Aの凸部4aが嵌め込み可能な凹部4bを備えている。
本実施形態の温度センサ取付用治具1A,1Bは、前記一方1Aの配管側支持部2に配管Pを嵌め込むと共に前記一方1Aのセンサ側支持部3に温度センサSを嵌め込み、さらに前記他方1Bを配管Pの延在方向に前記一方1Aから離間させた位置で前記他方1Bの配管側支持部2に配管Pを嵌め込んだ状態で、前記他方1Bが、前記一方1Aに向けて配管Pの延在方向に移動させた際にセンサ側支持部3に温度センサSを嵌め込み可能であると共に前記他方1Bの凹部4bと前記一方1Aの凸部4aとが互いに嵌め合い可能である。
【0026】
前記一方1Aの凸部4aは、配管側支持部2とセンサ側支持部3とに形成されている。すなわち、前記一方1Aの凸部4aは、配管側支持部2の端部と、センサ側支持部3の端部とにそれぞれ外方に突出して形成された一対であり、断面L字状の凸部となっている。
前記他方1Bは、配管側支持部2の凸部4aと互いに嵌め合い可能な凹部4bを有した配管側凹凸用支持部7と、前記一方1Aのセンサ側支持部3の凸部4aと互いに嵌め合い可能な凹部4bを有したセンサ側凹凸用支持部9とを備えている。すなわち、前記他方1Bの凹部4bは、配管側凹凸用支持部7とセンサ側凹凸用支持部9とにそれぞれ凹ませて設けられた一対である。センサ側凹凸用支持部9の凹部4bは、断面鉤状に形成された内側の凹部であり、配管側凹凸用支持部7の凹部4bは、先端部の内側に形成された凹んだ部分である。
【0027】
一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは、互いに同一形状とされている。
前記一方1Aのセンサ側支持部3は、先端部に凸部4aを有し温度センサSが内側に嵌め込み可能な円弧状支持部3aを備えている。
上記センサ側支持部3は、その側端部に温度センサSが嵌め込まれた際に温度センサSの端部に当接して位置決めするセンサ係止部8を備えている。
上記センサ係止部8は、円弧状支持部3aの端部に円弧状に形成され半径方向内方に突出している。
【0028】
上記一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは、下部に配管側支持部2が連続していると共に上部にセンサ側支持部3が連続している中間板部6を備えており、全体が樹脂で成形されている。
また、上記中間板部6の下部には、配管側支持部2と配管側凹凸用支持部7とが、スリット部6dを挟んで形成されている。
【0029】
中間板部6は、側方に突出した部分6aを有し、突出した部分6aの下部に配管側凹凸用支持部7が連続して形成されていると共に、突出した部分6aの上部にセンサ側凹凸用支持部9が連続して形成されている。
なお、中間板部6は、突出した部分6aの突出方向に延在させて外側に断面凸状に形成させた突条部6bによって剛性が高められている。
また、中間板部6は、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bで配管Pを挟持した際に配管Pに係止可能な突起部6cを内面に有している。
【0030】
上記温度センサSは、例えば円柱状に形成され、内部にサーミスタ素子等の感温素子(図示略)が収納されている。また、
図1及び
図2に示すように、温度センサSには、内部の感温素子に接続された一対のリード線Lが一端部から外部に延出している。
なお、温度センサSの外周面は、Al等の金属で形成されている。
上記配管Pの外径は、温度センサSの外径よりも大きく、配管側支持部2が、配管Pの外周面に沿って湾曲形成されている。
また、センサ側支持部3の円弧状支持部3aは、温度センサSの外周面に沿って配管側支持部2よりも小さな曲率半径を有して断面円弧状に湾曲形成されている。
【0031】
このように配管側支持部2が、配管Pの外周面に沿って湾曲し、センサ側支持部3が、温度センサSの外周面に沿って配管側支持部2よりも小さな曲率半径を有して湾曲しているので、強い付勢力(バネ力)が得られる曲率半径の小さいセンサ側支持部3により温度センサSに強固に取り付けることができる。また、配管側支持部2がセンサ側支持部3よりも大きな曲率半径であることで、比較的弱い力でも配管側支持部2を大きく開き易く、太い配管Pにも取り付け易くなる。
なお、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bを配管P及び温度センサSに取り付けた後に取り付けるバネ部材10により、外側から一対の温度センサ取付用治具1A,1Bをさらに付勢するので、樹脂成形された配管側支持部2自体及びセンサ側支持部3自体の付勢力が比較的弱くても構わない。
【0032】
上記バネ部材10は、SUS等の金属製であり、Al等の金属で外周面が形成された温度センサSには接触しないように取り付けられる。
また、上記バネ部材10は、
図7に示すように、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bの配管側支持部2及び配管側凹凸用支持部7を内側に嵌合可能な底側湾曲部10aと、底側湾曲部10aの両側上部に形成され一対の突条部6bを内側に嵌合可能な一対の上部湾曲部10bとを有している。
【0033】
次に、温度センサ取付構造1を用いて温度センサSを配管Pに取り付ける方法について説明する。
【0034】
まず、
図1の(a)に示すように、一対の温度センサ取付用治具のうち一方1Aの配管側支持部2に配管Pを嵌め込むと共に、前記一方1Aのセンサ側支持部3に温度センサSを嵌め込む。この前記一方1Aだけを用いた状態でも、温度センサSを配管Pに接触させた状態で保持できるが、取付時に配管側支持部2及びセンサ側支持部3を拡げ易くするために、これらの保持力が比較的弱く設定されている。
【0035】
そのため、さらに一対の温度センサ取付用治具1A,1Bのうち前記他方1Bを配管Pの延在方向に前記一方1Aから離間させた位置で前記他方1Bの配管側支持部2に配管Pを嵌め込む。そして、この状態から、前記他方1Bを、前記一方1Aに向けて配管Pの延在方向(
図1の(a)の矢印方向)に移動させ、センサ側支持部3に温度センサSを嵌め込む。
また、上記突出した部分6aが、配管Pに取り付けた状態で配管Pの軸線方向に延出しており、前記他方1Bを前記一方1Aに向けてスライドさせた際に、突出した部分6aが、前記一方1Aの配管側支持部2とセンサ側支持部3との間に挿入される。
このとき、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bの互いの凸部4aと凹部4bとが嵌め込み合って固定される。
【0036】
すなわち、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは互いに向き合った状態で、相手の一対の凸部4a上に自己の一対の凹部4bが重なり、互いに嵌まり合う。
また、このとき、温度センサSの先端面に前記他方1Bのセンサ係止部8が当接して温度センサSの先端が位置決めされる。なお、温度センサSの後端面には、前記一方1Aのセンサ係止部8が当接して温度センサSの後端が位置決めされる。
さらに、バネ部材10の底側湾曲部10aを、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bの配管側支持部2及び配管側凹凸用支持部7に嵌合させると共に、一対の上部湾曲部10bを一対の突条部6bに嵌合させる。この状態で、バネ部材10が一対の温度センサ取付用治具1A,1Bを互いに対向方向に向けて付勢する。
【0037】
このようにして一対の温度センサ取付用治具1A,1Bが、
図1の(b)及び
図3に示すように、温度センサS及び配管Pを挟んだ状態で取り付けられ、さらにバネ部材10を一対の温度センサ取付用治具1A,1Bの下部に嵌め込むことで一対の温度センサ取付用治具1A,1Bの対向状態が保持され、温度センサSを配管Pと接触させた状態で強固に保持することができる。
【0038】
このように本実施形態の温度センサ取付構造1では、樹脂で成形され、互いに対向させた状態で配管Pと配管Pに接触させた温度センサSとを挟み込む一対の温度センサ取付用治具1A,1Bと、対向させた状態の一対の温度センサ取付用治具1A,1Bに取り付けられて一対の温度センサ取付用治具1A,1Bを互いに対向方向に向けて付勢するバネ部材10とを備えているので、温度センサ取付用治具1A,1Bが樹脂で形成されていることで温度センサSとの間でガルバニック腐食が生じ難いと共に、バネ部材10によって一対の温度センサ取付用治具1A,1Bが付勢されていることで、長期にわたって安定した取付力を得ることができる。
【0039】
また、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bで両側から配管P及び温度センサSを挟み込むので、配管Pの熱を効率的に温度センサSに伝えることができる。また、互いに対向して配管Pを挟み込む一対の温度センサ取付用治具1A,1Bにより、配管P及び温度センサSを両側からそれぞれ保持し、さらにバネ部材10で付勢することで、1つの治具だけで固定した場合に比べて、より高い保持力を得ることができる。
【0040】
また、バネ部材10が、金属で形成された板バネであるので、簡易かつ低コストに作製することができると共に、安定した付勢力により長期に強い取付力を得ることができる。
なお、金属のバネ部材10は、樹脂の一対の温度センサ取付用治具1A,1Bに取り付けられ温度センサSには接触しないため、ガルバニック腐食が生じない。
さらに、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bが、互いに同一形状とされているので、同じ部品を2つ使用することで、別形状のものを作製する必要がなく、部品単価を低減することができる。
【0041】
また、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bでは、前記一方1Aが配管P及び温度センサSを挟み込んだ状態で、凸部4aを備え、前記他方1Bが、前記一方1Aと対向されて配管Pを挟み込んだ状態で、前記一方1Aの凸部4aが嵌め込み可能な凹部4bを備えているので、嵌め込まれた配管Pに対する配管側支持部2のバネ力(付勢力・弾性力)に加えて凹部4bと凸部4aとの嵌め込み力により、配管Pに温度センサSを安定した十分な保持力で容易に取り付けできる。
【0042】
特に、前記一方1Aの配管側支持部2に配管Pを嵌め込むと共に前記一方1Aのセンサ側支持部3に温度センサSを嵌め込み、さらに前記他方1Bを配管Pの延在方向に前記一方1Aから離間させた位置で前記他方1Bの配管側支持部2に配管Pを嵌め込んだ状態で、前記他方1Bが、前記一方1Aに向けて配管Pの延在方向に移動させた際にセンサ側支持部3に温度センサSを嵌め込み可能であると共に前記他方1Bの凹部4bと前記一方1Aの凸部4aとが互いに嵌め合い可能であるので、前記他方1Bを前記一方1Aへとスライドさせることで一対の温度センサ取付用治具1A,1Bで容易に配管を挟んだ状態で固定することができる。
【0043】
また、前記他方1Bが、配管側支持部2の凸部4aと互いに嵌め合い可能な凹部4bを有した配管側凹凸用支持部7を備えているので、配管側支持部2とは別にバネ性を調整可能な配管側凹凸用支持部7を別途設けたことで、配管側支持部2のバネ性とは別に凹部4bと凸部4aとの嵌め込み力を調整でき、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bをより安定して固定することができる。
【0044】
また、前記他方1Bが、前記一方1Aのセンサ側支持部3の凸部4aと互いに嵌め合い可能な凹部4bを有したセンサ側凹凸用支持部9を備えているので、センサ側支持部3とは別にバネ性を調整可能なセンサ側凹凸用支持部9を別途設けたことで、センサ側支持部3のバネ性とは別に凹部4bと凸部4aとの嵌め込み力を調整でき、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bをより安定して固定することができる。
また、温度センサSを内側に嵌め込んだセンサ側支持部3を外側からセンサ側凹凸用支持部9によって押さえ込むようにして重ね、凹部4bと凸部4aとを嵌め合わせることで、センサ側支持部3が不意な力で開くことを防止可能になる。
【0045】
さらに、センサ側支持部3が、その側端部に温度センサSが嵌め込まれた際に温度センサSの端部に当接して位置決めするセンサ係止部8を備えているので、前記他方1Bを前記一方1A側にスライドさせて互いの凸部4aと凹部4bとを嵌め合わせる際に、温度センサSがセンサ側支持部3から位置ずれしてしまうことをセンサ係止部8で防ぐことができる。
【0046】
次に、本発明に係る温度センサ取付構造の第2実施形態について、
図8から
図13を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0047】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bのうち前記他方1Bを前記一方1Aに向けて配管P上をスライドさせることで、配管P及び温度センサSを挟んだ状態で一対の温度センサ取付用治具1A,1Bを対向させていたが、第2実施形態の温度センサ取付構造21では、
図8から
図13に示すように、温度センサ取付用治具21A,21Bを配管P上で相対的に回動させることで、配管P及び温度センサSを挟んだ状態で一対の温度センサ取付用治具21A,21Bを対向させる点である。
【0048】
すなわち、第2実施形態では、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bのうち一方21Aの配管側支持部22に配管Pを嵌め込むと共に前記一方21Aのセンサ側支持部23を温度センサSに嵌め込み、さらに前記他方21Bのセンサ側支持部23に温度センサSを嵌め込んだ状態で、前記他方21Bが、温度センサSの軸線Cを中心に回動させて配管側支持部22に配管Pを嵌め込み可能であると共に前記他方21Bの凸部24aと前記一方の凹部24bとが互いに嵌め合うので、前記他方21Bを回動させることで一対の温度センサ取付用治具21A,21Bで容易に配管Pを挟んだ状態で固定することができる。
【0049】
上記一対の温度センサ取付用治具21A,21Bは、前記一方21Aが、凹部24b及び凸部24aを備え、前記他方21Bが、前記一方21Aと対向されて配管P及び温度センサSを挟み込んだ状態で、前記一方21Aの凹部24bに嵌め込み可能な凸部24a及び前記一方21Aの凸部24aが嵌め込み可能な凹部24bを備えている。
本実施形態の一対の温度センサ取付用治具21A,21Bは、前記一方21Aの配管側支持部22に配管Pを嵌め込むと共に一方のセンサ側支持部23を温度センサSに嵌め込み、さらに前記他方21Bのセンサ側支持部23に温度センサSを嵌め込んだ状態で、前記他方21Bが、温度センサSの軸線Cを中心に回動させて配管側支持部22に配管Pを嵌め込み可能であると共に前記他方21Bの凸部24aと前記一方21Aの凹部24bとが互いに嵌め合うように設定されている。
【0050】
前記一方21Aの凹部24bは、配管側支持部22に形成されている。すなわち、前記一方21Aの凹部24bは、配管側支持部22の先端側に設けられ外側が凹部となっている。
前記他方21Bは、前記一方21Aの凹部24bと互いに嵌め合い可能な凸部24aを有した配管側凹凸用支持部27を備えている。すなわち、前記他方21Bの凸部24aは、配管側凹凸用支持部27の先端部に設けられ内側が前記一方の凹部24bに嵌め込み可能な凸部となっている。
【0051】
上記一対の温度センサ取付用治具21A,21Bは、下部に配管側支持部22及び配管側凹凸用支持部27が連続していると共に上部にセンサ側支持部23が連続している中間板部26を備えている。
また、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bは、互いに同一形状とされている。
したがって、前記一方21Aにも、凸部24aを有した配管側凹凸用支持部27を備え、前記他方21Bにも、凹部24bを有した配管側支持部22を備えている。
すなわち、前記一方21Aの凸部24aは、前記他方の凹部24bに嵌め込み可能となっている。
また、センサ側支持部23は、温度センサSの外周面に沿って配管側支持部22よりも小さな曲率半径を有して断面円弧状に湾曲形成されている。
【0052】
また、上記センサ側支持部23は、温度センサSが嵌め込まれた状態で温度センサSの軸線方向に互いに離間して複数対設けられている。なお、本実施形態では、2つのセンサ側支持部23が一対の温度センサ取付用治具21A,21Bそれぞれに設けられている。したがって、温度センサSは4つのセンサ側支持部23で支持される。
上記センサ側支持部23の側端部には、温度センサSの先端を位置決めするセンサ係止部28が径内方に突出して円弧状に設けられている。
また、中間板部26の下部には、配管側支持部22と配管側凹凸用支持部27とが、スリット部26dを挟んで形成されている。
【0053】
上記バネ部材10は、
図1及び
図9に示すように、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bの配管側支持部22及び配管側凹凸用支持部27を内側に嵌合可能な底側湾曲部10aと、底側湾曲部10aの両側上部に形成され突条部6bを内側に嵌合可能な一対の上部湾曲部10bとを有している。
上記中間板部26は、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bで配管Pを挟持した際に配管Pに係止可能な突起部26cを内面に有している。
【0054】
次に、温度センサ取付構造21を用いて温度センサSを配管Pに取り付ける方法について説明する。
【0055】
まず、
図11に示すように、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bのうち一方21Aの配管側支持部22に配管Pを嵌め込むと共に前記一方21Aのセンサ側支持部23を温度センサSに嵌め込む。この前記一方21Aだけを用いた状態でも、温度センサSを配管Pに接触させた状態で保持できるが、取付時に配管側支持部22及びセンサ側支持部23を広げ易くするためにこれらの保持力が比較的弱く設定されている。
【0056】
そのため、さらに一対の温度センサ取付用治具21A,21Bのうち他方21Bのセンサ側支持部23に温度センサSを嵌め込んだ状態とし、この状態から、前記他方21Bを温度センサSの軸線Cを中心に回動させて前記一方21Aに対向した状態から前記他方21Bの配管側支持部22に配管Pを嵌め込む。
このとき、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bの互いの配管側支持部22の凹部24bと配管側凹凸用支持部27の凸部24aとが嵌め込み合って固定される。
【0057】
すなわち、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bは互いに向き合った状態で、相手の配管側支持部22上に自己の配管側凹凸用支持部27が重なって互いの凹部24bと凸部24aとが嵌まり合う。
さらに、バネ部材10の底側湾曲部10aを、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bの配管側支持部22及び配管側凹凸用支持部27に嵌合させると共に、一対の上部湾曲部10bを一対の突条部26bに嵌合させる。この状態で、バネ部材10が一対の温度センサ取付用治具21A,21Bを互いに対向方向に向けて付勢する。
【0058】
このようにして一対の温度センサ取付用治具21A,21Bが、
図8の(b)及び
図9に示すように、側面視で略三角形状となって温度センサS及び配管Pを挟んだ状態で取り付けられ、さらにバネ部材10を一対の温度センサ取付用治具21A,21Bの下部に嵌め込むことで一対の温度センサ取付用治具21A,21Bの対向状態が保持され、温度センサSを配管Pと接触させた状態で強固に保持することができる。
【0059】
このように本実施形態の温度センサ取付構造21では、前記一方21Aの配管側支持部22に配管Pを嵌め込むと共に前記一方21Aのセンサ側支持部23を温度センサSに嵌め込み、さらに前記他方21Bのセンサ側支持部23に温度センサSを嵌め込んだ状態で、前記他方21Bが、温度センサSの軸線Cを中心に回動させて配管側支持部22に配管Pを嵌め込み可能であると共に前記他方21Bの凸部24aと前記一方21Aの凹部24bとが互いに嵌め合うので、前記他方21Bを回動させることで一対の温度センサ取付用治具21A,21Bで容易に配管Pを挟んだ状態で固定することができる。
【0060】
特に、前記一方21Aの凹部24bが、配管側支持部22に形成され、前記他方21Bが、前記一方21Aの凹部24bと互いに嵌め合い可能な凸部24aを有した配管側凹凸用支持部27を備えているので、配管側支持部22とは別にバネ性を調整可能な配管側凹凸用支持部27を別途設けたことで、配管側支持部22のバネ性とは別に凹部24bと凸部24aとの嵌め込み力を調整でき、一対の温度センサ取付用治具21A,21Bをより安定して固定することができる。
【0061】
また、配管Pを内側に嵌め込んだ配管側支持部22を外側から配管側凹凸用支持部27によって押さえ込むようにして重ね、凹部24bと凸部24aとを嵌め合わせることで、配管側支持部22が不意な力で開くことを防止可能になる。
さらに、センサ側支持部23が、温度センサSが嵌め込まれた状態で温度センサSの軸線方向に互いに離間して複数対設けられているので、温度センサSをその軸線方向の少なくとも4箇所で保持することができ、より安定した保持力と温度センサSへの高い伝熱性とを得ることができる。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,21…温度センサ取付構造、1A,1B,21A,21B…温度センサ取付用治具、1A,21A…一対の温度センサ取付用治具のうち一方、1B,21B…一対の温度センサ取付用治具のうち他方、2,22…配管側支持部、3,23…センサ側支持部、4a,24a…凸部、4b,24b…凹部、7,27…配管側凹凸用支持部、8,28…センサ係止部、9…センサ側凹凸用支持部、10…バネ部材、P…配管、S…温度センサ